運転支援表示装置
【課題】車両後方、又は前方の安全確認と駐車操作の終了段階での車両周辺のごく限られた領域の把握のために、目線の移動が容易であり、かつ撮像画像をバランス良く大きく表示する運転支援表示装置を提供する。
【解決手段】10cは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、11cは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、13は撮像画面11cの底辺を除く各辺と撮像画面10cの削った各辺が同じ撮像位置に相当する部分同士でつなげるように引き延ばした撮像画面である。12cは撮像画面10c、撮像画面11c、及び撮像画面13が表示される以外の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、撮像画面10c、撮像画面13、撮像画面11cの境目は線を描画することで、各画面の区別を明確にする。
【解決手段】10cは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、11cは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、13は撮像画面11cの底辺を除く各辺と撮像画面10cの削った各辺が同じ撮像位置に相当する部分同士でつなげるように引き延ばした撮像画面である。12cは撮像画面10c、撮像画面11c、及び撮像画面13が表示される以外の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、撮像画面10c、撮像画面13、撮像画面11cの境目は線を描画することで、各画面の区別を明確にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラにて撮像した車両後方、又は前方の映像を処理して運転者に提示する運転支援表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラを車両のリアトランク部等に後ろ向きに設置し、この車載カメラで撮像した画像を運転者に提示することで、ミラーを見ることなく車両後方の様子を運転者に知らせる運転支援表示装置が普及している。そしてその画像表示方法は、レンズの歪みを補正したり、あたかも任意の仮想視点から撮影したかのような変換など、様々である。
【0003】
このような運転支援表示装置を示す例として特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2003−104145号公報
【0004】
前記特許文献1では図3に示すように、車両後方の広い範囲を表示する主画面としての撮像画面10aと、車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した子画面としての撮像画面11aとを同時に表示し、かつ撮像画面10aと撮像画面11aとがそれぞれ画面全体の左右方向中心に表示されている。尚、図3における12aは撮像画面10aと撮像画面11aとの隙間を埋めるマスク描画画面であり、撮像画像はここには表示されないものとする。
【0005】
図1における1は前記車両を示す自車両であり、2は前記撮像画像を撮像する車載カメラであり、3は図3の合成変換処理画像を表示するモニタである。
【0006】
尚、前記特許文献1における画像合成変換装置による撮像画像の変換や撮像画像の合成やガイド線の描画等の処理部は、車載カメラ2、またはモニタ3に搭載したものとする。
【0007】
図3に示す合成変換処理画像において、図2に示す位置関係の場面を撮像した場合の画像イメージが図4〜図6である。尚、7aは高さ2mの立方体で固定位置とし、7bは高さ20cm、横幅1m、奥行き25cmの移動する立方体とする。
【0008】
モニタ3はアスペクト比が16:9のものがあり横長の特徴があるので、合成変換画像は16:9で表示した場合を例とする。以降特記無き場合は全て16:9とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の特許文献1における運転支援表示装置では複数の課題を有していた。
【0010】
第1の課題は、図4や図6に示す例のように同じ立方体7bが2ヶ所に表示されることにある。同じ被写体が2ヶ所に表示され、かつその画面表示位置が離れていることで運転者は視線を変えた2ヶ所で見比べることになり、頭の中で位置関係を考える時間が必要になる。そのため車両操作が滞る可能性があるという課題を有していた。
【0011】
図5、図6、図4の順番で立方体7bが横方向に移動した場合、目線は撮像画面10a上を追いかけることになるが、撮像画面11aで見る場合は、撮像画面10aから目線を離し改めて撮像画面11aの中を探すことになる。車両後方から近づく物体の場合でも同様である。
【0012】
第2の課題は、図4〜図6の全ての例に示す通り、撮像画面10a、及び撮像画面11aの上下方向の表示寸法に大きな制限が出る。モニタ3の表示範囲は限られており、撮像画面10a、及び撮像画面11aは互いに表示範囲を分け合う必要が出る。撮像画面10aの上下方向の表示範囲を大きくしたい場合は、撮像画面11aの上下方向の表示範囲を小さくする必要がある。撮像画面11aは特に被写体の縦横の寸法を同じ比率で表示したい場合には、上下方向の表示範囲に合わせて左右方向の表示範囲を小さくする必要が出るため、全体として小さい画面となり見づらいことになる。逆に撮像画面11aの上下方向を大きく表示したい場合には、撮像画面10aの上下方向を小さくする必要があるが、その場合撮像画面10aは横に延びた画像になってしまう。この関係は横長の画面である16:9のアスペクト比の場合に特に目立った影響となってしまうという課題を有していた。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、撮像画像の重複部分を無くし、撮像画像の表示位置関係を実写に近い配置にすることで、目線の移動が容易であり、かつ撮像画像をバランス良く大きく表示する運転支援表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するため、
本発明の請求項1に記載の運転支援表示装置は、
車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面と、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面と、
前記それぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面と、
を構成する合成変換処理画像において、
前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面側は、前記視点変換撮像画面で表示される部分を削り、削った部分に前記視点変換撮像画面を配置し、前記視点変換撮像画面の上、及び左右の辺ごとに色を変えたマスク描画を前記車両後方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺までつなげる
こととした。
【0015】
この構成によって、それぞれの被写体の位置関係が実写に対して大きく変わることなく表示されると共に重複表示が無い。また、削った部分の表示領域を使って前記視点変換撮像画面を表示できる。また、互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって、互いの画面の位置関係を関連付けることができる。
【0016】
本発明の請求項2に記載の運転支援表示装置は、
前記つなぎ目のマスク描画領域を互いの画面の辺の画像で引き延ばした撮像画像でつなげる
こととした。
【0017】
この構成によって、互いの画面間を移動する被写体が切れることなく表示される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、
本発明の請求項1に記載の運転支援表示装置によれば、
撮像画像の表示位置関係が大きく変わることなく表示されるので、視認性が良い。そして重複部分も無いことで目線を2ヶ所で見比べることも無いので、位置関係を考える時間を削減できる。また、削った表示領域を使って互いの画面を表示するため上下表示寸法に影響が無く互いを大きく表示することができる。更に互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって位置関係が関連付けられているため、目線移動が容易になる。
【0019】
本発明の請求項2に記載の運転支援表示装置によれば、
互いの画面間を移動する被写体が途切れることなく表示されるので、目線移動が更に容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における構成図である。
【0022】
図1において、
1は運転支援表示装置が搭載される自車両であり、
2は撮像画像を撮像する車載カメラであり、
3は合成変換処理画像を表示するモニタである。
【0023】
尚、車載カメラ2は車両の後方に搭載した図であるが、車両の前方に搭載しても良い。ここでは車両後方に搭載した例として以降説明する。また、車載カメラ2で撮像した画像の変換や画像の合成、およびマスク描画の合成や車幅や距離を示すガイド線の描画等の処理部は、車載カメラ2、またはモニタ3に搭載されているものとする。
【0024】
画像処理は、撮像例を具体的に示すために図2の撮像例を用いて説明する。
【0025】
図2において、
4aは自車両の左右方向中心を示す軸であり、
4bは自車両後部のバンパーなどの最後部であり、
5a〜5dは自車両の左右方向中心から図2に示す距離の位置を示す線であり、
6a〜6eは自車両の最後部から図2に示す距離の位置を示す線であり、
7aは移動しない高さ2mの立方体であり、
8は自車両後部バンパーである。
【0026】
図7〜10は本発明の実施の形態1における合成変換処理画像である。
【0027】
図7において、
10bは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、
11bは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、
12bは撮像画面10bと撮像画面11bそれぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、マスク描画画面12bは図8〜10の例に示すように複数色で表現される。
【0028】
次に、図2に示す撮像例を表示した例を図8〜10に示す。
【0029】
図8〜10において、
9は水平線であり、
7bは高さ20cm、横幅1m、奥行き25cmの横方向に移動する立方体である。
【0030】
立方体7bは左方向から移動してくるものとし、それを表示した例として図9、図10、図8の順となる。
【0031】
撮像画面11bは自車両1の最後部バンパー付近を底辺とし、車両後方方向1m強、幅2.2m強の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換している。
【0032】
撮像画面10bは撮像画面11bで表示している部分を削り、車両後方の広い範囲を表示している。尚、撮像画面10bはレンズの歪み補正や広い範囲を見やすく補正する画像処理を行うか、補正を行わない撮像画像であっても良い。図8〜10では補正を行っている例である。
【0033】
撮像画面11bは撮像画面10bの削った部分に配置している。
【0034】
マスク描画画面12bにおいて、撮像画面11bの底辺を除く各辺と撮像画面10bの削った各辺に合わせて面で色を変えている。尚、面で色を変えずに、各辺の角とを線でつないだマスク描画画面であっても良い。
【0035】
撮像画面10bの削る領域は、撮像画面11bの表示領域の端と完全に合わせても良いが、若干重なるようにしても良い。図8〜10では幅2.2m強付近、及び奥行き1m強付近が互いの画面で表示されている例である。
【0036】
この図8〜10に構成された合成変換処理画像によって、車両後方から離れた広い範囲の被写体は撮像画面10bに表示され、例えば立方体7bのように車両後方に近づいた場合は撮像画面10bから撮像画面11bに移動する。互いの画面への移動は、互いの画面の端部の近い位置からとなるので、目線の移動が容易となる。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、
撮像画像の表示位置関係が大きく変わることなく表示されるので、視認性が良い。そして重複部分も無いことで目線を2ヶ所で見比べることも無いので、位置関係を考える時間を削減できる。また、削った表示領域を使って互いの画面を表示するため上下表示寸法に影響が無く互いを大きく表示することができる。更に互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって位置関係が関連付けられているため、目線移動が容易になる。
【0038】
(実施の形態2)
図11〜14は本発明の実施の形態2における合成変換処理画像である。
【0039】
図11において、
10cは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、
11cは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、
13は撮像画面11cの底辺を除く各辺と撮像画面10cの削った各辺が同じ撮像位置に相当する部分同士でつなげるように引き延ばした撮像画面である。
【0040】
12cは撮像画面10c、撮像画面11c、及び撮像画面13が表示される以外の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、撮像画面10c、撮像画面13、撮像画面11cの境目は線を描画することで、各画面の区別を明確にする。
【0041】
尚、撮像画面10cの削る位置は撮像画面11cの表示位置と完全に一致させることが望ましい。
【0042】
図12〜14は図8〜10同様図2に示す撮像例を表示した例である。
【0043】
特に図14にあるように、撮像画面10cと撮像画面11cとを跨る立方体7bは撮像画面13によって途切れることなく表示される。
【0044】
以上のように本実施の形態によれば、
互いの画面間を移動する被写体が切れることなく表示されるので、目線移動が更に容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる運転支援表示装置は、
撮像画像の重複部分を無くし、撮像画像の表示位置関係を実写に近い配置にすることで、目線の移動が容易であり、かつ撮像画像をバランス良く大きく表示する
運転支援表示装置として幅広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1,2における運転支援表示装置の概略構成図
【図2】撮像例の位置関係を示す図
【図3】従来の合成変換処理画像
【図4】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図5】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図6】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図7】本発明の実施の形態1における合成変換処理画像
【図8】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図9】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図10】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図11】本発明の実施の形態2における合成変換処理画像
【図12】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【図13】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【図14】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【符号の説明】
【0047】
1 自車両
2 車載カメラ
3 モニタ
4a 自車両の左右方向中心
4b 自車両の最後部
5a〜5d 自車両の左右方向中心から図2に示す距離の位置
6a〜6e 自車両の最後部から図2に示す距離の位置
7a,7b 立方体
8 自車両後部バンパー
9 水平線
10a〜10c 撮像画面
11a〜11c 撮像画面
12a〜12c マスク描画画面
13 撮像画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラにて撮像した車両後方、又は前方の映像を処理して運転者に提示する運転支援表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラを車両のリアトランク部等に後ろ向きに設置し、この車載カメラで撮像した画像を運転者に提示することで、ミラーを見ることなく車両後方の様子を運転者に知らせる運転支援表示装置が普及している。そしてその画像表示方法は、レンズの歪みを補正したり、あたかも任意の仮想視点から撮影したかのような変換など、様々である。
【0003】
このような運転支援表示装置を示す例として特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2003−104145号公報
【0004】
前記特許文献1では図3に示すように、車両後方の広い範囲を表示する主画面としての撮像画面10aと、車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した子画面としての撮像画面11aとを同時に表示し、かつ撮像画面10aと撮像画面11aとがそれぞれ画面全体の左右方向中心に表示されている。尚、図3における12aは撮像画面10aと撮像画面11aとの隙間を埋めるマスク描画画面であり、撮像画像はここには表示されないものとする。
【0005】
図1における1は前記車両を示す自車両であり、2は前記撮像画像を撮像する車載カメラであり、3は図3の合成変換処理画像を表示するモニタである。
【0006】
尚、前記特許文献1における画像合成変換装置による撮像画像の変換や撮像画像の合成やガイド線の描画等の処理部は、車載カメラ2、またはモニタ3に搭載したものとする。
【0007】
図3に示す合成変換処理画像において、図2に示す位置関係の場面を撮像した場合の画像イメージが図4〜図6である。尚、7aは高さ2mの立方体で固定位置とし、7bは高さ20cm、横幅1m、奥行き25cmの移動する立方体とする。
【0008】
モニタ3はアスペクト比が16:9のものがあり横長の特徴があるので、合成変換画像は16:9で表示した場合を例とする。以降特記無き場合は全て16:9とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の特許文献1における運転支援表示装置では複数の課題を有していた。
【0010】
第1の課題は、図4や図6に示す例のように同じ立方体7bが2ヶ所に表示されることにある。同じ被写体が2ヶ所に表示され、かつその画面表示位置が離れていることで運転者は視線を変えた2ヶ所で見比べることになり、頭の中で位置関係を考える時間が必要になる。そのため車両操作が滞る可能性があるという課題を有していた。
【0011】
図5、図6、図4の順番で立方体7bが横方向に移動した場合、目線は撮像画面10a上を追いかけることになるが、撮像画面11aで見る場合は、撮像画面10aから目線を離し改めて撮像画面11aの中を探すことになる。車両後方から近づく物体の場合でも同様である。
【0012】
第2の課題は、図4〜図6の全ての例に示す通り、撮像画面10a、及び撮像画面11aの上下方向の表示寸法に大きな制限が出る。モニタ3の表示範囲は限られており、撮像画面10a、及び撮像画面11aは互いに表示範囲を分け合う必要が出る。撮像画面10aの上下方向の表示範囲を大きくしたい場合は、撮像画面11aの上下方向の表示範囲を小さくする必要がある。撮像画面11aは特に被写体の縦横の寸法を同じ比率で表示したい場合には、上下方向の表示範囲に合わせて左右方向の表示範囲を小さくする必要が出るため、全体として小さい画面となり見づらいことになる。逆に撮像画面11aの上下方向を大きく表示したい場合には、撮像画面10aの上下方向を小さくする必要があるが、その場合撮像画面10aは横に延びた画像になってしまう。この関係は横長の画面である16:9のアスペクト比の場合に特に目立った影響となってしまうという課題を有していた。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、撮像画像の重複部分を無くし、撮像画像の表示位置関係を実写に近い配置にすることで、目線の移動が容易であり、かつ撮像画像をバランス良く大きく表示する運転支援表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するため、
本発明の請求項1に記載の運転支援表示装置は、
車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面と、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面と、
前記それぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面と、
を構成する合成変換処理画像において、
前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面側は、前記視点変換撮像画面で表示される部分を削り、削った部分に前記視点変換撮像画面を配置し、前記視点変換撮像画面の上、及び左右の辺ごとに色を変えたマスク描画を前記車両後方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺までつなげる
こととした。
【0015】
この構成によって、それぞれの被写体の位置関係が実写に対して大きく変わることなく表示されると共に重複表示が無い。また、削った部分の表示領域を使って前記視点変換撮像画面を表示できる。また、互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって、互いの画面の位置関係を関連付けることができる。
【0016】
本発明の請求項2に記載の運転支援表示装置は、
前記つなぎ目のマスク描画領域を互いの画面の辺の画像で引き延ばした撮像画像でつなげる
こととした。
【0017】
この構成によって、互いの画面間を移動する被写体が切れることなく表示される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、
本発明の請求項1に記載の運転支援表示装置によれば、
撮像画像の表示位置関係が大きく変わることなく表示されるので、視認性が良い。そして重複部分も無いことで目線を2ヶ所で見比べることも無いので、位置関係を考える時間を削減できる。また、削った表示領域を使って互いの画面を表示するため上下表示寸法に影響が無く互いを大きく表示することができる。更に互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって位置関係が関連付けられているため、目線移動が容易になる。
【0019】
本発明の請求項2に記載の運転支援表示装置によれば、
互いの画面間を移動する被写体が途切れることなく表示されるので、目線移動が更に容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における構成図である。
【0022】
図1において、
1は運転支援表示装置が搭載される自車両であり、
2は撮像画像を撮像する車載カメラであり、
3は合成変換処理画像を表示するモニタである。
【0023】
尚、車載カメラ2は車両の後方に搭載した図であるが、車両の前方に搭載しても良い。ここでは車両後方に搭載した例として以降説明する。また、車載カメラ2で撮像した画像の変換や画像の合成、およびマスク描画の合成や車幅や距離を示すガイド線の描画等の処理部は、車載カメラ2、またはモニタ3に搭載されているものとする。
【0024】
画像処理は、撮像例を具体的に示すために図2の撮像例を用いて説明する。
【0025】
図2において、
4aは自車両の左右方向中心を示す軸であり、
4bは自車両後部のバンパーなどの最後部であり、
5a〜5dは自車両の左右方向中心から図2に示す距離の位置を示す線であり、
6a〜6eは自車両の最後部から図2に示す距離の位置を示す線であり、
7aは移動しない高さ2mの立方体であり、
8は自車両後部バンパーである。
【0026】
図7〜10は本発明の実施の形態1における合成変換処理画像である。
【0027】
図7において、
10bは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、
11bは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、
12bは撮像画面10bと撮像画面11bそれぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、マスク描画画面12bは図8〜10の例に示すように複数色で表現される。
【0028】
次に、図2に示す撮像例を表示した例を図8〜10に示す。
【0029】
図8〜10において、
9は水平線であり、
7bは高さ20cm、横幅1m、奥行き25cmの横方向に移動する立方体である。
【0030】
立方体7bは左方向から移動してくるものとし、それを表示した例として図9、図10、図8の順となる。
【0031】
撮像画面11bは自車両1の最後部バンパー付近を底辺とし、車両後方方向1m強、幅2.2m強の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換している。
【0032】
撮像画面10bは撮像画面11bで表示している部分を削り、車両後方の広い範囲を表示している。尚、撮像画面10bはレンズの歪み補正や広い範囲を見やすく補正する画像処理を行うか、補正を行わない撮像画像であっても良い。図8〜10では補正を行っている例である。
【0033】
撮像画面11bは撮像画面10bの削った部分に配置している。
【0034】
マスク描画画面12bにおいて、撮像画面11bの底辺を除く各辺と撮像画面10bの削った各辺に合わせて面で色を変えている。尚、面で色を変えずに、各辺の角とを線でつないだマスク描画画面であっても良い。
【0035】
撮像画面10bの削る領域は、撮像画面11bの表示領域の端と完全に合わせても良いが、若干重なるようにしても良い。図8〜10では幅2.2m強付近、及び奥行き1m強付近が互いの画面で表示されている例である。
【0036】
この図8〜10に構成された合成変換処理画像によって、車両後方から離れた広い範囲の被写体は撮像画面10bに表示され、例えば立方体7bのように車両後方に近づいた場合は撮像画面10bから撮像画面11bに移動する。互いの画面への移動は、互いの画面の端部の近い位置からとなるので、目線の移動が容易となる。
【0037】
以上のように本実施の形態によれば、
撮像画像の表示位置関係が大きく変わることなく表示されるので、視認性が良い。そして重複部分も無いことで目線を2ヶ所で見比べることも無いので、位置関係を考える時間を削減できる。また、削った表示領域を使って互いの画面を表示するため上下表示寸法に影響が無く互いを大きく表示することができる。更に互いの画面の位置関係を示すマスク描画によって位置関係が関連付けられているため、目線移動が容易になる。
【0038】
(実施の形態2)
図11〜14は本発明の実施の形態2における合成変換処理画像である。
【0039】
図11において、
10cは車両後方の広い範囲を表示する撮像画面であり、
11cは車両後方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面であり、
13は撮像画面11cの底辺を除く各辺と撮像画面10cの削った各辺が同じ撮像位置に相当する部分同士でつなげるように引き延ばした撮像画面である。
【0040】
12cは撮像画面10c、撮像画面11c、及び撮像画面13が表示される以外の隙間を埋めるマスク描画画面である。尚、撮像画面10c、撮像画面13、撮像画面11cの境目は線を描画することで、各画面の区別を明確にする。
【0041】
尚、撮像画面10cの削る位置は撮像画面11cの表示位置と完全に一致させることが望ましい。
【0042】
図12〜14は図8〜10同様図2に示す撮像例を表示した例である。
【0043】
特に図14にあるように、撮像画面10cと撮像画面11cとを跨る立方体7bは撮像画面13によって途切れることなく表示される。
【0044】
以上のように本実施の形態によれば、
互いの画面間を移動する被写体が切れることなく表示されるので、目線移動が更に容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる運転支援表示装置は、
撮像画像の重複部分を無くし、撮像画像の表示位置関係を実写に近い配置にすることで、目線の移動が容易であり、かつ撮像画像をバランス良く大きく表示する
運転支援表示装置として幅広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1,2における運転支援表示装置の概略構成図
【図2】撮像例の位置関係を示す図
【図3】従来の合成変換処理画像
【図4】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図5】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図6】従来の撮像例を示す合成変換処理画像
【図7】本発明の実施の形態1における合成変換処理画像
【図8】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図9】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図10】本発明の実施の形態1における撮像例を示す合成変換処理画像
【図11】本発明の実施の形態2における合成変換処理画像
【図12】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【図13】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【図14】本発明の実施の形態2における撮像例を示す合成変換処理画像
【符号の説明】
【0047】
1 自車両
2 車載カメラ
3 モニタ
4a 自車両の左右方向中心
4b 自車両の最後部
5a〜5d 自車両の左右方向中心から図2に示す距離の位置
6a〜6e 自車両の最後部から図2に示す距離の位置
7a,7b 立方体
8 自車両後部バンパー
9 水平線
10a〜10c 撮像画面
11a〜11c 撮像画面
12a〜12c マスク描画画面
13 撮像画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面と、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面と、
前記それぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面と、
を構成する合成変換処理画像において、
前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面側は、前記視点変換撮像画面で表示される部分を削り、削った部分に前記視点変換撮像画面を配置し、前記視点変換撮像画面の上、及び左右の辺ごとに色を変えたマスク描画を前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺までつなげる合成変換処理画像を表示する
ことを特徴とする運転支援表示装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の運転支援表示装置の合成変換処理画像における、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面の底辺を除く各辺と、車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺において、同じ撮像位置に相当する部分同士がつながるように引き延ばした撮像画面を表示する
ことを特徴とする運転支援表示装置。
【請求項1】
車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面と、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面と、
前記それぞれの撮像画面の隙間を埋めるマスク描画画面と、
を構成する合成変換処理画像において、
前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面側は、前記視点変換撮像画面で表示される部分を削り、削った部分に前記視点変換撮像画面を配置し、前記視点変換撮像画面の上、及び左右の辺ごとに色を変えたマスク描画を前記車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺までつなげる合成変換処理画像を表示する
ことを特徴とする運転支援表示装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の運転支援表示装置の合成変換処理画像における、
車両後方、又は前方の領域を仮想上視点から見下ろした画像に視点変換した撮像画面の底辺を除く各辺と、車両後方、又は前方の広い範囲を表示する撮像画面の削った各辺において、同じ撮像位置に相当する部分同士がつながるように引き延ばした撮像画面を表示する
ことを特徴とする運転支援表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−219587(P2010−219587A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60467(P2009−60467)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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