説明

運転支援装置および運転支援方法

【課題】簡素な構成で感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知することができる運転支援装置および運転支援方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る運転支援装置10は、車両の前方周囲の画像を撮像するカメラ11を有する。また、運転支援装置10は、カメラ11により取得された車両の前方周囲の撮像画像情報から前方に感応式信号機があるか否かを判定する信号種別判定部22と、撮像画像情報から車両が停止しているか否かを判定する停止判定部23と、信号種別判定部22により感応式信号機が前方にあると判定されるとともに停止判定部23により車両が停止していると判定されると撮像画像情報から前方の感応式信号機が車両を感知したか否かを判定する感知判定部24とを備える。また、運転支援装置10は、感知判定部24により前方の感応式信号機が車両を感知していないと判定されるとその旨の情報を車両の運転者に提示する支援情報提示部25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両の運転者に対して運転支援を行う運転支援装置および運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
信号機には、停止線で停止した車両を感知すると信号を赤から青へと切り替える車両感応式のものがある。しかし、運転者が前方の感応式信号機が赤であることを認識して車両を停止させても、車両が信号機の感知領域から外れていると信号機に感知されない場合がある。この場合、一向に信号機が青に切り替わらないため、運転者は、前方の信号機が感応式信号機であることを知っているか否かによらず、不便な思いをすることになる。また、この場合、運転者が後続の車両にクラクションで警告されてしまい非常に不愉快な思いをすることもある。
【0003】
そこで従来、この種の感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知するための種々の技術が開発されている(たとえば特許文献1参照)。特許文献1に開示された車両案内システムは、自車の現在地を検出するとともに前方の信号機データが感知式信号機であるか否かを判定し、前方の信号機が感応式信号機である場合には自車の現在地が感知式信号機の感知領域内であるか否かを判定し、感知領域内に停車していない場合はその旨を運転者に案内するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−271345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の運転支援装置は、停車した自車の前方に存在する信号機が感知式信号機であるか否かを判定するために、設置された信号機の位置情報と自車の現在地情報とを必要とするか、あるいは信号機と通信可能に構成されている必要がある。また、従来の運転支援装置は、感知式領域内に停車しているか否かを判定するために、自車の現在地情報および感知式信号機の感知領域の情報を必要とするか、あるいは感知用信号(超音波など)を検知可能に構成されている必要がある。このため、従来の技術では、感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知するために非常に複雑なシステムが必要となってしまう。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、簡素な構成で感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知することができる運転支援装置および運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運転支援装置は、上述した課題を解決するために、車両に配設され、少なくとも前記車両の前方周囲の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方に感応式信号機があるか否かを判定する信号種別判定部と、前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前記車両が停止しているか否かを判定する停止判定部と、前記信号種別判定部により前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記停止判定部により前記車両が停止していると判定されると、前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定する感知判定部と、前記感知判定部により前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定されるとその旨の情報を前記車両の運転者に提示する支援情報提示部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
一方、本発明に係る運転支援方法は、上述した課題を解決するために、車両に配設された撮像部により撮像された前記車両の前方周囲の画像を取得するステップと、前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方に感応式信号機があるか否かを判定するステップと、前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前記車両が停止しているか否かを判定するステップと、前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記車両が停止していると判定されると、前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定するステップと、前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定するステップで前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定されると、その旨の情報を前記車両の運転者に通知するステップと、を有することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る運転支援装置および運転支援方法は、簡素な構成で感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る運転支援装置の構成例を示す概略的なブロック図。
【図2】感知表示画像の一例を示し、(a)は感知表示部が「感知中」の文字により車両感知を通知する場合の説明図、(b)は感知表示部が「おまちください」の文字により車両感知を通知する場合の説明図、(c)は感知表示部が発光体により構成され発光体を発光させることにより車両感知を通知する場合の説明図。
【図3】感応式信号機近傍の道路上に設けられる道路標示の一例を示し、(a)は感知位置標示の一例を示す説明図、(b)は感応式信号機近傍の道路上に感知位置標示および停止線が設けられた様子の一例を示す説明図。
【図4】第1実施形態に係るカメラECUにより、車両の前方周囲の画像の情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知する際の手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2実施形態に係る運転支援装置の構成例を示す概略的なブロック図。
【図6】第2実施形態に係るカメラECUにより、車両の前方周囲の画像の情報、自車位置情報および車両センサ情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知する際の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る運転支援装置および運転支援方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る運転支援装置は、撮像装置により取得された車両の前方周囲の画像の情報にもとづいて、感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知するものである。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る運転支援装置の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、本実施形態では、本発明に係る運転支援装置が自動車に適用される場合の例について説明するが、本発明に係る運転支援装置は、自動車に限らず各種車両に適用することができる。
【0014】
運転支援装置10は、図1に示すように、車両の前方周囲を撮像するカメラ11、カメラECU(Electronic Control Unit)12、記憶部13、表示部14およびスピーカ15を有する。
【0015】
カメラ11は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成され、少なくとも車両の前方周囲の映像を取り込んで映像信号を生成してカメラECU12に与える。カメラ11は、たとえば前側ナンバープレート近傍など、車両の前方周囲を撮像可能な位置に設けられ、フロントカメラとして機能する。なお、カメラ11には、より広範な車両外画像が取得可能なように広角レンズが取り付けられるとよい。カメラ11は、所定の時間ごと(たとえば1秒ごとなど)に車両の前方周囲の撮影を行って画像情報を出力する。
【0016】
カメラECU12は、CPU、RAMおよびROMなどの記憶媒体などにより構成される。カメラECU12のCPUは、ROMなどの記憶媒体に記憶された運転支援プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って車両の前方周囲の画像の情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知する処理を実行する。
【0017】
カメラECU12のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。カメラECU12のROMなどの記憶媒体は、運転支援プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0018】
なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は図示しないネットワーク接続部を介して電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0019】
なお、この場合、ネットワーク接続部は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装し、この各種プロトコルに従ってカメラECU12と他の車両のECUなどの電気機器とを電子ネットワークを介して接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0020】
記憶部13は、カメラECU12によるデータの読み書きが可能な不揮発性のメモリであり、あらかじめ、感応式信号機標識等画像情報、感知表示画像情報、停止線画像情報および支援情報を記憶している。これらの情報は、電子ネットワークを介してまたは光ディスクなどの可搬型記憶媒体を介して更新されてもよい。
【0021】
感応式信号機標識等画像情報は、感応式信号機が設置されていることを車両運転者に知らせるための道路標識や電光掲示板、および感応式信号機近傍の道路上に設けられる感知位置を示す道路標示(感知位置標示)の画像情報である。この感応式信号機標識等は、感応式信号機の周囲に設置されている。カメラECU12は、カメラ11により取得された車両の前方周囲の画像情報と、記憶部13に記憶された感応式信号機標識等の画像情報と、を比較することにより車両前方に感応式信号機があるか否かを判定することができる。
【0022】
なお、記憶部13は、できるだけ多種類の感応式信号機標識等画像情報を記憶しておくことが望ましい。
【0023】
図2は、感知表示画像の一例を示し、(a)は感知表示部101が「感知中」の文字により車両感知を通知する場合の説明図であり、(b)は感知表示部101が「おまちください」の文字により車両感知を通知する場合の説明図であり、(c)は感知表示部101が発光体により構成され発光体を発光させることにより車両感知を通知する場合の説明図である。
【0024】
図2(a)〜(c)の左側は感応式信号機が車両を感知していない場合における感知表示部101の様子の一例を、右側は感応式信号機が車両を感知した場合における感知表示部101の様子の一例を、それぞれ示した。
【0025】
感知表示画像情報は、感応式信号機が車両を感知するとその旨の情報を感応式信号機近傍に設けられた感知表示部101に表示する場合における、車両を感知した旨の表示を行った感知表示部101の画像情報である(図2(a)〜(c)の右側参照)。カメラECU12は、カメラ11により取得された車両の前方周囲の画像情報と、記憶部13に記憶された感知表示画像情報と、を比較することにより車両前方の感応式信号機が自車両を感知しているか否かを判定することができる。
【0026】
なお、道路上には図2(a)〜(c)に示した例のほかにも多くの感知表示部101が存在する。記憶部13は、できるだけ多種類の感知表示画像情報を記憶しておくことが望ましい。
【0027】
図3は、感応式信号機近傍の道路上に設けられる道路標示の一例を示し、(a)は感知位置標示102の一例を示す説明図であり、(b)は感応式信号機近傍の道路上に感知位置標示102および停止線103が設けられた様子の一例を示す説明図である。
【0028】
図3(b)に示すように、感応式信号機近傍の道路上には感知位置標示102および停止線103が設けられる場合がある。カメラECU12は、車両前方の感応式信号機が自車両を感知しているか否かを判定する際に、カメラ11により取得された車両の前方周囲の画像情報と、記憶部13に記憶された感知表示画像情報、感応式信号機標識等(感知位置標示102)の画像情報および停止線画像情報としての停止線103の画像情報と、を比較してもよい。たとえば、カメラ11により取得された車両の前方周囲の画像情報に感知位置標示102の画像情報が含まれている場合、自車両はこの感知位置標示102よりも手前に位置していることに他ならず、感知式信号機に感知されるためには車両を前進させる必要があることがわかる。
【0029】
支援情報は、感応式信号機に自車両が感知されていない場合に、運転者にその旨の情報を通知するための情報や、車両を前進させるよう促すための情報である。カメラECU12は、感応式信号機に自車両が感知されていない場合に記憶部13からこの支援情報を読み出し、読み出した支援情報を表示部14に表示したり、スピーカ15から音声出力させたりすることにより運転者に提示する。
【0030】
表示部14は、運転者が視認可能な位置に設けられ、車載用の一般的なディスプレイやカーナビゲーションシステム、HUD(ヘッドアップディスプレイ)などの表示出力装置を用いることができ、カメラECU12の制御に従って運転支援情報などの各種情報を表示する。
【0031】
スピーカ15は、カメラECU12の制御に従って運転支援情報などの各種情報に対応した音声を出力する。
【0032】
続いて、カメラECU12のCPUによる機能実現部の構成について説明する。
【0033】
図1に示すように、カメラECU12のCPUは、運転支援プログラムによって、少なくとも画像情報入力部21、信号種別判定部22、停止判定部23、感知判定部24および支援情報提示部25として機能する。この各部21〜25は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。なお、これらの機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0034】
画像情報入力部21は、カメラ11から車両の前方周囲の画像情報を入力され、この画像情報を信号種別判定部22、停止判定部23および感知判定部24に与える。
【0035】
信号種別判定部22は、カメラ11から受けた車両の前方周囲の画像情報(以下、撮像画像情報という)と、記憶部13に記憶された感応式信号機標識等の画像情報と、を比較し、車両前方に感応式信号機があるか否かを判定する。
【0036】
停止判定部23は、撮像画像情報にもとづいて車両が現在停止中であるか否かを判定する。
【0037】
感知判定部24は、信号種別判定部22により感応式信号機が前方にあると判定されるとともに停止判定部23により車両が停止していると判定されると、撮像画像情報から前方の感応式信号機が車両を感知したか否かを判定する。
【0038】
具体的には、感知判定部24は、まず撮像画像情報に感知表示画像情報が含まれている場合には、感応式信号機が車両を感知したと判定する。また、撮像画像情報に感知表示画像情報が含まれていない場合には、さらに撮像画像情報に感知位置標示102の画像情報および停止線画像情報としての停止線103の画像情報が含まれているか否かを判定し、感知位置標示102の画像情報および停止線画像情報としての停止線103の画像情報の両方が含まれていない場合には感知されていると判定する一方、少なくとも一方が含まれている場合には感知されていないと判定する。
【0039】
支援情報提示部25は、感知判定部24により感応式信号機に自車両が感知されていないと判定されると、記憶部13に記憶された支援情報を読み出し、表示部14およびスピーカ15の少なくとも一方を介して運転者に対して支援情報を提示する。支援情報は、感応式信号機に自車両が感知されていない旨の情報や車両を前進させるよう促すための情報により構成される。
【0040】
次に、本実施形態に係る運転支援装置10の動作の一例について説明する。
【0041】
図4は、カメラECU12により、車両の前方周囲の画像の情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知する際の手順を示すフローチャートである。図4において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0042】
この手順は、車両のシステム電源(ACC電源)がONとなり運転支援装置10に対して電力が供給された時点でスタートとなる。
【0043】
まず、ステップS1において、画像情報入力部21は、カメラ11から車両の前方周囲の画像情報(撮像画像情報)を入力され、この画像情報を信号種別判定部22、停止判定部23および感知判定部24に与える。
【0044】
次に、ステップS2において、信号種別判定部22は、撮像画像情報と、記憶部13に記憶された感応式信号機標識等の画像情報と、を比較し、車両前方に感応式信号機があるか否かを判定する。車両前方に感応式信号機がある場合は、ステップS3に進む。一方、車両前方に感応式信号機がない場合は、ステップS6に進む。
【0045】
次に、ステップS3において、停止判定部23は、撮像画像情報にもとづいて車両が現在停止中であるか否かを判定する。車両が停止中である場合はステップS4に進む。一方、車両が停止中でない場合はステップS6に進む。
【0046】
次に、ステップS4において、感知判定部24は、撮像画像情報に感知表示画像情報が含まれているか否かを判定する。撮像画像情報に感知表示画像情報が含まれている場合には、自車両は感応式信号機に感知されていると判定し(ステップS4のNO)、ステップS6に進む。
【0047】
一方、撮像画像情報に感知表示画像情報が含まれていない場合には、感知判定部24は、さらに撮像画像情報に感知位置標示102の画像情報および停止線103の画像情報が含まれているか否かを判定する。感知位置標示102の画像情報および停止線103の画像情報の両方が含まれていない場合には、自車両は感応式信号機に感知されていると判定し(ステップS4のNO)、ステップS6に進む。一方、感知位置標示102の画像情報および停止線103の画像情報の少なくとも一方が含まれている場合には、自車両は感応式信号機に感知されていないと判定し(ステップS4のYES)、ステップS5に進む。
【0048】
次に、ステップS5において、支援情報提示部25は、記憶部13に記憶された支援情報を読み出し、表示部14およびスピーカ15の少なくとも一方を介して運転者に対して支援情報を提示する。
【0049】
次に、ステップS6において、カメラECU12は、システム電源(ACC電源)がOFFとされたか否かを判定する。システム電源がOFFとされた場合は、一連の手順は終了となる。一方、システム電源がONである場合は、ステップS1に戻る。
【0050】
以上の手順により、車両の前方周囲の画像の情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知することができる。
【0051】
本実施形態に係る運転支援装置10は、フロントカメラ11の撮像画像情報のみを用いて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知する。このため、非常に簡素な構成で感応式信号機に車両が感知されていないことを運転者に通知することができる。
【0052】
したがって、運転支援装置10によれば、運転者は、感応式信号機の赤信号で停車した場合に確実に車両を感知領域に移動させることができ、後続の車両にクラクションで警告されてしまい非常に不愉快な思いをすることもなく快適な運転を楽しむことができる。
【0053】
また、運転支援装置10は、フロントカメラ11の撮像画像情報を用いて感知式信号機の有無判定を行う。このため、カーナビゲーションシステムの地図情報等を用いて感知式信号機の有無判定を行う場合に比べ、非常にリアルタイム性に優れ、設置されたばかりの感応式信号機であっても容易に有無を判定することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る運転支援装置の第2実施形態について説明する。
【0055】
図5は、本発明の第2実施形態に係る運転支援装置10Aの構成例を示す概略的なブロック図である。この第2実施形態に示す運転支援装置10Aは、自車位置を特定するための情報を出力するカーナビゲーションシステム51および車両の状態を特定するための情報を出力する車両センサ52をさらに備え、信号種別判定部22による車両前方に感応式信号機があるか否かの判定にカーナビゲーションシステム51の出力情報を利用するとともに停止判定部23による車両が現在停止中であるか否かの判定に車両センサ52の出力情報を利用する点で第1実施形態に示す運転支援装置10と異なる。他の構成および作用については図1に示す運転支援装置10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
カーナビゲーションシステム51は、自車位置を特定するための情報および地図情報に含まれる感知式信号機の設置位置の情報(以下、自車位置情報という)を信号種別判定部22に出力する。
【0057】
車両センサ52は、車両速度、加速度、アクセル開度、ブレーキ操作量等の車両の状態を特定するための情報を停止判定部23に出力する。
【0058】
次に、本実施形態に係る運転支援装置10Aの動作の一例について説明する。
【0059】
図6は、第2実施形態に係るカメラECU12Aにより、車両の前方周囲の画像の情報、自車位置情報および車両センサ情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には、運転者にその旨の情報を通知する際の手順を示すフローチャートである。図4と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0060】
まず、ステップS11において、カメラECU12Aは、カーナビゲーションシステム51から自車位置を特定するための情報および地図情報に含まれる感知式信号機の設置位置の情報(自車位置情報)を、車両センサ52から車両の状態を特定するための情報を、それぞれ受けたか否かを判定する。自車位置情報および車両センサ52の情報を受けた場合には、ステップS12に進む。一方、自車位置情報および車両センサ52の情報がない場合にはステップS1に進み、図4に示したステップS1からステップS6の手順を実行する。
【0061】
次に、ステップS12において、信号種別判定部22は、カーナビゲーションシステム51から受けた自車位置を特定するための情報および地図情報に含まれる感知式信号機の設置位置の情報(自車位置情報)にもとづいて、車両前方に感応式信号機があるか否かを判定する。車両前方に感応式信号機がある場合は、ステップS13に進む。一方、車両前方に感応式信号機がない場合は、ステップS2に進む。
【0062】
なお、ステップS12において車両前方に感応式信号機がないと判定された場合、ステップS11に戻ってもよい。しかし、カーナビゲーションシステム51が保持する感知式信号機の設置位置の情報は古い情報である場合があることから、ステップS2に進んで信号種別判定部22に撮像画像情報にもとづいて車両前方に感応式信号機があるか否かを判定させるほうが好ましい。
【0063】
次に、ステップS13において、停止判定部23は、車両センサ52から受けた車両の状態を特定するための情報にもとづいて車両が現在停止中であるか否かを判定する。車両が停止中である場合はステップS4に進む。一方、車両が停止中でない場合はステップS6に進む。
【0064】
以上の手順により、車両の前方周囲の画像の情報、自車位置情報および車両センサ情報にもとづいて感知式信号機の有無判定、車両の停止判定、感知式信号機が自車両を感知中であるか否かの判定を行うとともに、感知式信号機が自車両を感知していない場合には運転者にその旨の情報を通知することができる。
【0065】
本実施形態に係る運転支援装置10Aは、カメラ11の撮像画像情報に加え、信号種別判定部22による車両前方に感応式信号機があるか否かの判定にカーナビゲーションシステム51の出力情報を利用するとともに停止判定部23による車両が現在停止中であるか否かの判定に車両センサ52の出力情報を利用する。このため、第1実施形態に係る運転支援装置10にくらべ、車両前方に感応式信号機があるか否かの判定および車両が現在停止中であるか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0067】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0068】
10 運転支援装置
11 カメラ
12 カメラECU
13 記憶部
14 表示部
15 スピーカ
21 画像情報入力部
22 信号種別判定部
23 停止判定部
24 感知判定部
25 支援情報提示部
51 カーナビゲーションシステム
52 車両センサ
101 感知表示部
102 感知位置標示
103 停止線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設され、少なくとも前記車両の前方周囲の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方に感応式信号機があるか否かを判定する信号種別判定部と、
前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前記車両が停止しているか否かを判定する停止判定部と、
前記信号種別判定部により前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記停止判定部により前記車両が停止していると判定されると、前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定する感知判定部と、
前記感知判定部により前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定されるとその旨の情報を前記車両の運転者に提示する支援情報提示部と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記感応式信号機の周囲に設置され前記感応式信号機が設置されていることを車両運転者に通知するための道路標識、電光掲示板および感知位置を示すための道路標示の画像情報をあらかじめ記憶した記憶部、
をさらに備え、
前記信号種別判定部は、
前記記憶部に記憶された前記画像情報を読み出し、この画像情報のいずれかが前記車両の前方周囲の前記画像情報に含まれていると前方に前記感応式信号機があると判定する、
請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記感応式信号機が車両を感知するとその旨の情報を前記感応式信号機近傍に設けられた所定の表示部に表示する場合における、前記車両を感知した旨の表示を行った前記所定の表示部の画像情報をさらに記憶し、
前記感知判定部は、
前記信号種別判定部により前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記停止判定部により前記車両が停止していると判定されると、前記記憶部に記憶された前記車両を感知した旨の表示を行った前記所定の表示部の前記画像情報を読み出し、前記車両を感知した旨の表示を行った前記所定の表示部の前記画像情報が前記車両の前方周囲の前記画像情報に含まれていると、前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したと判定する、
請求項2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
停止線の道路標示の画像情報をさらに記憶し、
前記感知判定部は、
前記信号種別判定部により前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記停止判定部により前記車両が停止していると判定されると、前記記憶部に記憶された前記車両を感知した旨の表示を行った前記所定の表示部の前記画像情報、前記感知位置を示すための道路標示の前記画像情報、および前記停止線の前記画像情報を読み出し、前記車両を感知した旨の表示を行った前記所定の表示部の前記画像情報が前記車両の前方周囲の前記画像情報に含まれておらず、かつ前記感知位置を示すための道路標示の前記画像情報および前記停止線の前記道路標示の前記画像情報の少なくとも一方が前記車両の前方周囲の前記画像情報に含まれていると、前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定する、
請求項2または3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記支援情報提示部は、
前記感知判定部により前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定されるとその旨の情報および前記車両を前進させるよう案内するための情報を、少なくとも音声を介して前記車両の運転者に提示する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
車両に配設された撮像部により撮像された前記車両の前方周囲の画像を取得するステップと、
前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方に感応式信号機があるか否かを判定するステップと、
前記撮像部により取得された前記車両の前方周囲の前記画像情報から前記車両が停止しているか否かを判定するステップと、
前記感応式信号機が前方にあると判定されるとともに前記車両が停止していると判定されると、前記車両の前方周囲の前記画像情報から前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定するステップと、
前方の前記感応式信号機が前記車両を感知したか否かを判定するステップで前方の前記感応式信号機が前記車両を感知していないと判定されると、その旨の情報を前記車両の運転者に通知するステップと、
を有することを特徴とする運転支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−7996(P2012−7996A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143954(P2010−143954)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】