運転支援装置
【課題】 交通の流れをスムースにできる運転支援装置を提供する。
【解決手段】 運転支援装置1は、自車の走行する道路上に存在する信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段41と、自車の前方において、自車の走行する道路に進入しようとする他車を検出する他車検出手段51と、他車の走行道路への進入位置から信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段21と、信号機情報と進入位置から信号機付き交差点までの距離とに基づいて、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段24と、を備える。従って、他車は、走行道路を走行する各車両が停止する際に適切な車間距離まで詰めるのを待たされることなく、適切なタイミングで走行道路に進入可能となるため、交通の流れをスムーズにできる。
【解決手段】 運転支援装置1は、自車の走行する道路上に存在する信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段41と、自車の前方において、自車の走行する道路に進入しようとする他車を検出する他車検出手段51と、他車の走行道路への進入位置から信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段21と、信号機情報と進入位置から信号機付き交差点までの距離とに基づいて、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段24と、を備える。従って、他車は、走行道路を走行する各車両が停止する際に適切な車間距離まで詰めるのを待たされることなく、適切なタイミングで走行道路に進入可能となるため、交通の流れをスムーズにできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、自車の運転を支援する運転支援装置に関し、特に他車が脇道や店舗駐車場などから自車の走行道路に進入しようとする際の運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行車両に追従して自車を走行させた際に、渋滞などにより先行車両が交差点通過後直ぐに停止し、そのために、自車が交差点内で停止してしまい、他の車両や歩行者の通行を阻害する可能性があるという問題に対し、例えば、下記の引用文献1のような技術が提案されている。すなわち、引用文献1には、交差点の通過地点から先行車両までの距離と自車の車両長とを比較し、通過地点から先行車両までの距離が自車の車両長より短い場合、自車を交差点の手前で停止させるよう運転者に通知することが記載されている。また、引用文献1には、交差点だけでなく、脇道の場合も同様に行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引用文献1に記載された運転支援装置のように、脇道から自車の走行道路に進入しようとする他車が先行車両と自車との間に入れるようにスペースを確保したとしても、それだけでは未だ充分な配慮が為されているとは言い難い。以下に、その状況を図10と図11を用いて説明する。図10は、車両前方の信号機が黄信号に変わった際の車両の様子を示す図である。交差点IN1に設置された信号機TS1が青信号から黄信号に変わった際、車両C1は、交差点IN1を通過して道路R2に進入しかかっている。車両C2〜C6は交差点TS1手前の道路をR1を適切な車間距離を保ちながら順次走行している。C9は、信号機の無いT字交差点IN2において、道路R5から道路R1へ進入しようとする車両であって、T字交差点IN2手前で待機している。R3、R4は、交差点IN1において、道路R1、R2と左右に交差する道路、SL1、SL2は、道路R1上の交差点IN1手前にペイントされた停止線である。また、AR1は、道路R1における停止線SL1手前にペイントされた矢印であって、道路R1の交差点IN1手前における左レーンが左折用および直進用レーンであることを示している。なお、図10においては、車両C2に矢印AR1が上書きされているが、便宜上矢印AR1が左折および直進を示すことを明示するためであって、実際は、矢印AR1は、車両C2で隠れて見えない。AR2は、矢印AR1と同様、道路R1における停止線SL2手前にペイントされた矢印であって、道路R1の交差点IN1手前における右レーンが右折専用レーンであることを示している。
【0005】
その後、図11に示すように、信号機TS1が黄信号から赤信号に変わり、同時に右折矢印信号が点灯すると、車両C2は停止線SL1で停止し、それに続く車両C3〜C8(C7、C8は、図10における車両C6に続く車両であって、図10では図示されていない)が適切な車間距離を保って順次停止する。その際、引用文献1に照らして、車両C5は、交差点IN2の通過地点X1から先行の車両C4までの距離が短いことから、交差点IN2手前で停止し、車両C9を道路R1に進入させることとなる。ここで、一般に走行中の車間距離よりも停止する際の車間距離の方が短くなることに起因して、車両C9は車両C3、C4が走行中の車間距離から停止する際の車間距離に詰めるまで(すなわち、停止するまで)待たされることとなる。車両C9が車両C2〜C4と同様に左レーンに行こう(左折または直進しよう)とするならば、信号機TS1は赤信号であるため、特に考慮する必要はないが、車両C9が右レーンに行きたい場合には、車両C4が停止するまで待っている間、信号機TS1の右折矢印信号が点灯しているにも関わらず、道路R1に進入することが出来ない。そして、結局、道路R1に進入できた頃には、右折矢印信号が消えてしまい、停止線SL2手前で、次の青信号まで待たなければならないという状況が発生し得る。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みたものであって、赤信号による停止時、停止する際の車間距離まで詰める前に敢えて停止し、脇道や店舗駐車場などから自車の走行道路に進入しようとする他車を自車よりも先(前方)に自車の走行道路に進入させることにより、交通の流れをスムーズにできるようにした運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る運転支援装置は、自車の位置を検出する自車位置検出手段と、自車が走行している道路を検出する走行道路検出手段と、該走行道路検出手段により検出された走行道路上に存在する信号機付きの交差点を、その位置と共に検出する交差点検出手段と、前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、自車の前方において、前記走行道路に進入しようとしている他車を検出する他車検出手段と、該他車検出手段により検出された他車の位置を検出する他車位置検出手段と、該他車位置検出手段により検出された他車の位置に基づいて、他車の走行道路への進入位置を検出する進入位置検出手段と、該進入位置検出手段により検出された進入位置から前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段と、前記信号機情報取得手段により取得された信号機情報と前記第一距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車が前記進入位置に到達した際に自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段と、該判断手段による判断に基づいて、その旨を運転者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの前方直近距離を検出する前方直近距離検出手段と、を各々有し、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記前方直近距離検出手段により検出された前方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0009】
また、前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0010】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0011】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記前方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することも好適である。
【0012】
また、他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、前記判断手段は、該進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と同じ場合、前記判断を行うことも好適である。
【0013】
また、自車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する自車退出方向検出手段と、他車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する他車退出方向検出手段と、を更に備え、前記判断手段は、前記自車退出方向検出手段により検出された自車の退出方向と前記他車退出方向検出手段により検出された他車の退出方向が異なる場合、前記判断を行うことも好適である。
【0014】
この場合、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報に基づき、前記前方直近交差点の信号機の点灯パターンが、全ての退出方向に対応する赤信号を介すことなく、任意の退出方向に対応する青信号から別の任意の退出方向に対応する青信号に連続して切り替わる状態(以下、「連続切替り」と言う)を有するか否かを判断し、前記連続切替りを有し、かつ、前記連続切替りが前記自車の退出方向に相当する青信号に続いて前記他車の退出方向に相当する青信号に切り替わる場合、前記判断を行うことも好適である。
【0015】
他方、前記交差点検出手段は、自車の後方における直近の信号機付き交差点を検出する後方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を後方直近信号機情報として取得する後方直近信号機情報取得手段を、前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点までの後方直近距離を検出する後方直近距離検出手段を、各々有し、前記判断手段は、前記後方直近信号機情報取得手段により取得された後方直近信号機情報と前記後方直近距離検出手段により検出された後方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0016】
また、前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、更に各々有し、前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0017】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0018】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記後方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することも好適である。
【0019】
また、前記他車の位置に基づいて、他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からか/対向車線側からかを検出する進入側検出手段と、他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、前記判断手段は、前記進入側検出手段により他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からと検出された場合、かつ、前記進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と逆の場合、前記判断を行うことも好適である。
【0020】
また、前記判断手段に判断に基づいて、その旨を他車に伝達する伝達手段を更に備えることも好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る運転支援装置によれば、自車の前方において、自車の走行道路に進入しようとしている他車を検出した場合、信号機付き交差点までの距離と該交差点の信号機情報とを用いて、他車が信号機付き交差点に到達した際に該交差点を通過できるとの判断であれば、他車を自車よりも先(前方)に自車の走行道路に進入させる旨を運転者に報知することができる。反対に、他車が信号機付き交差点を通過できないとの判断であれば、自車をそのまま通過させる旨を運転者に報知することができる。従って、他車は、走行道路を走行する各車両が停止する際に適切な車間距離まで詰めるのを待たされることなく、適切なタイミングで走行道路に進入可能となるため、交通の流れをスムーズにできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一の実施形態に係る運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態における各車状況の一例を示す図である。
【図3】第一の実施形態における信号機の点灯パターンの一例を示す図である。
【図4】第一の実施形態における各車状況の一例を示す図である。
【図5】第一の実施形態における第4から第6の判断条件を纏めた表である。
【図6】第一の実施形態における第7、第8の判断条件を纏めた表である。
【図7】第一の実施形態に係る優先判断処理の全体の手順を示すフローチャートである。
【図8】第一の実施形態に係るステップS7の同方向処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第一の実施形態に係るステップS9の逆方向処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】先行技術の課題を説明するための各車状況の一例を示す図である。
【図11】先行技術の課題を説明するための各車状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第一の実施形態〕 本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1に示すように、本発明に係る運転支援装置1を車載用のナビゲーション装置として構成した場合を例として説明する。この運転支援装置1は、運転支援装置が搭載されている車両(以下、「自車」と称する。)の前方に自車の走行する道路(以下、「走行道路」と称する。)に進入しようとする他車がいる場合に、自車よりも先に他車を進入させた方が良いかの判断を行う装置である。そして、この運転支援装置1は、このような判断に際して、自車周辺の信号機付き交差点の信号機情報と他車が走行道路へ進入しようとする位置から該信号機付き交差点までの距離とを用いる。これにより、青信号の間に他車が信号機付き交差点を退出できるのであれば、先に他車に走行道路への進入を譲った方が良い旨を運転者に知らせることができる。よって、交通の流れをスムーズにできるものとなっている。
【0024】
まず、運転支援装置1の構成について説明する。図1に示す運転支援1の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、運転支援装置1の各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、前記演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、地図データベース31は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係る運転支援装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0025】
地図データベース31は、地図データが記憶されたデータベースである。地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。加えて、各ノードには、対応する交差点が信号機を付帯しているか否かを示す情報を含ませても良い。また、地図データベースに格納された地図データには、各施設の位置を表す座標情報等を有して構成される施設データも含まれている。この施設データは、各施設の名称、住所、電話番号、サービス種別等の各種の属性情報等も含んでいる。また、地図データは、道路ネットワークデータ及び施設情報以外にも、表示案内処理部14による地図表示処理に必要な描画情報や経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。
【0026】
送受信部11は、周辺車両との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local
Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。本実施形態においては、送受信部11は、後述するように、自車に関する情報を周辺車両へ送信する。また、送受信部11は、周辺車両から車種や位置情報や走行予定経路情報等のような他の車両に関する情報を受信する。これらの点については後述する。また、本実施形態においては、送受信部11は、VICS(Vehicle
Information and Communication System:道路交通情報通信システム、登録商標)等を構成する車両3の外部に設置された発信装置からの信号を受信する受信装置も備えている。このような発信装置には、例えば、VICSを構成する電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の発信装置が含まれる。更に、本実施形態においては、送受信部11は、周辺の交差点に設置された信号機から発信される信号機情報を受信する受信装置も備えている。
【0027】
自車位置検出部12は、運転支援装置1が搭載されている車両(自車両)の現在位置を示す自車位置情報を取得する機能部である。ここでは、自車位置検出部12は、GPS(Global
Positioning System)受信機41、方位センサ42、及び距離センサ43に接続されている。自車位置検出部12は、GPS受信機41、方位センサ42、及び距離センサ43からの出力に基づいて自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置検出部12は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークデータに基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を道路上に合わせる補正も行う。
【0028】
ナビゲーション用演算部13は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するために所定のアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理部である。表示案内処理部14は、地図画像、施設等の検索用画面、各種の設定画面等、ナビゲーション機能として必要な各種の画像を生成し、表示入力装置44に表示させる等の処理を行う。また、表示案内処理部14は、ナビゲーション用演算部13による演算結果に従って、表示入力装置44による案内表示や音声出力装置45による音声案内等による案内等も行う。更に本実施形態では、表示案内処理部14は、後述するように、判断部24による判断結果を表示入力装置44や音声出力装置45を介して出力する処理も行う。なお、表示入力装置44は液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネルや操作スイッチ等の入力装置が一体となった装置である。音声出力装置45は、スピーカやアンプ等の音声を出力するための装置を有して構成されている。
【0029】
走行道路検出部15は、前述の公知のマップマッチング処理により自車位置を補正した道路を特定する機能部である。詳細は後述するが、各車の状況例が図2及び図4に示されている。これらの例では、道路R1が走行道路として特定される。交差点検出部16は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークデータを参照して、走行道路検出部15で特定した道路上に存在し、信号機を付帯している交差点を自車位置の前後所定範囲に渡って検出する機能部である。また、交差点検出部16は、後述するように送受信部11で受信した信号機情報内に含まれる位置情報に基づいて、信号機を付帯している交差点を自車位置の前後所定範囲に渡って検出するものとしても良い。図2及び図4の例では、自車位置の前後に渡って存在する交差点として交差点IN1、IN2、IN3が挙げられるが、交差点IN2は信号機を付帯していないため、この場合、交差点IN1と交差点IN3が対象として検出される。本実施形態では、このような機能を実現するため、交差点検出部16はその下位の機能部として、前方直近交差点検出部17及び後方直近交差点検出部18を備えている。
【0030】
前方直近交差点検出部17は、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点を検出する機能部である。図2及び図4の例では、交差点IN1が対象として検出される。同様に、後方直近交差点検出部18は、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点を検出する機能部である。図4の例では、交差点IN3が対象として検出される。
【0031】
自車退出方向検出部20は、前方直近交差点検出部17で検出した自車の前方直近交差点IN1において、自車がいずれの方向に退出するかを検出する機能部である。具体的には、ナビゲーション用演算部13で探索された出発地から目的地までの経路を参照することにより、前方直近交差点IN1における自車の退出方向を検出することができる。なお、目的地が設定されておらず、経路が無い場合には、運転者に対して前方直近交差点IN1における退出方向を問い合わせることにより、検出するようにすることもできる。
【0032】
信号機情報取得部41は、送受信部11を介して各交差点に付帯する信号機に関する情報を取得する機能部である。信号機情報には、その信号機の固有番号、その信号機が設置されている交差点の位置情報、信号機の点灯パターン情報、月日や曜日(平日/休日も含む)毎に点灯パターンのタイミング情報などが含まれている。図3は、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1(図2及び図4を参照)の点灯パターンの一例を示す図である。この信号機TS1は、図3(a)から順に示すように青信号→黄信号(図3(b))→赤信号と同時に右折矢印信号(図3(c))→右折矢印信号が消えると同時に黄信号(図3(d))→赤信号(図3(e))→青信号→・・・といった具合に点灯を繰り返す。ここで、いずれの退出方向に相当する信号が赤を示す状態、すなわち、いずれの退出方向にも進めない図3(e)の赤信号を介すことなく、点灯パターンが切り替わることにより何れかの退出方向への進入が連続して許可される状態、具体的には、図3(a)の全退出方向が許可される青信号から図3(c)の右折への退出のみが許可される右折矢印信号へ連続して変化する状態のことを「連続切替り」と言うこととする。なお、図3では、図3(d)に示されるように、右折矢印信号(図3(c))の後に黄信号を介して赤信号(図3(e))に変化するパターンを図示しているが、この図3(d)の黄信号を省略して、右折矢印信号(図3(c))から直接赤信号(図3(d))に変化する点灯パターンであっても良い。また、タイミング情報としては、例えば、2009年11月25日(水)の午前10時35分42秒から午前10時36分58秒までは青信号といった具合に直接的に時刻に照らし合わせるものとしても良いし、ある時刻を基準として75秒間は青信号といった具合に基準時刻から秒数を加算して、間接的に時刻に照らし合わせて求めるものとしても良い。そして、本実施形態では、このような機能を実現するため、信号機情報取得部41はその下位の機能部として、前方直近信号機情報取得部42及び後方直近信号機情報取得部43を備えている。
【0033】
前方直近信号機情報取得部42は、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点に付帯する信号機に関する情報を特定する機能部である。図2及び図4の例では、交差点IN1に付帯する信号機TS1からの信号機情報を取得する。具体的な特定としては、信号機情報に含まれるその信号機が設置されている交差点の位置情報と、地図データベース31に記憶された道路ネットワーク(より詳細にはノード)との比較により可能となる。その他にも、図示しないが、各信号機の固有番号とノードとを対応させるテーブルを運転支援装置1が備える場合には、それを用いて特定するようにしても良い。
【0034】
同様に、後方直近信号機情報取得部43は、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、後方直近交差点検出部18で検出した自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点に付帯する信号機に関する情報を特定する機能部である。図4の例では、交差点IN3に付帯するTS3からの信号機情報を取得する。
【0035】
他車検出部51は、自車の前方において、走行道路検出部15で検出した走行道路に進入しようとしている他車を検出する機能部である。図2及び図4の例では、信号機の無いT字交差点IN2において、道路R5から道路R1へ進入しようとする車両C9が相当する。具体的な検出としては、送受信部11で受信した周辺車両からの情報(特に走行予定経路情報)に基づいている。本実施形態では、このような機能を実現するため、他車検出部51はその下位の機能部として、他車位置検出部52、進入予定方向検出部53及び他車退出方向検出部54を備えている。
【0036】
他車位置検出部52は、他車検出部51で検出した他車の位置を検出する機能部である。この検出には、送受信部11を介して他車から受信した位置情報を用いることができる。進入予定方向検出部53は、他車が走行道路に進入しようとする方向を検出する機能部である。具体的には、自車の走行方向と同じ方向(図2及び図4の例では、図面上側方向)か、逆(図2及び図4の例では、図面下側方向)か、を検出する。この検出には、送受信部11を介して他車から受信した走行予定経路情報を用いることができる。他車退出方向検出部54は、進入予定方向検出部53において他車の走行道路への進入予定方向が自車と同じ方向と検出された場合に限って、前方直近交差点検出部17で検出した前方直近交差点IN1において、他車がいずれの方向に退出するかを検出する機能部である。他車の走行道路への進入予定方向が自車と同じ方向と検出された場合に限るのは、この場合だけ、前方直近交差点IN1における他車退出方向が前方直近交差点IN1における自車退出方向及び前方直近信号機情報と密接に関わってくるからであって、逆の方向であれば、後方直近交差点検出部18で検出した後方直近交差点IN3における他車退出方向が前方直近交差点IN1における自車退出方向及び前方直近信号機情報とは直接関わりを持たないからである。この場合も、送受信部11を介して他車から受信した走行予定経路情報を参照すれば良い。
【0037】
進入位置設定部19は、他車位置検出部52で検出した他車位置に基づき、他車の走行道路への進入位置を設定する機能部である。具体的には、他車位置を走行道路上となる位置にシフトさせるのであって、その方法としては、他車位置から走行道路幅方向中心線に向かって垂線を引いた時に走行道路幅方向中心線と交わる点とすることができる。図2及び図4の例では、他車C9から道路R1の幅方向中心線Y(一点鎖線で示す)に向かって垂線を引いた時にその幅方向中心線Yと交わる点X2が進入位置とされる。
【0038】
第一距離検出部21は、進入位置検出部19で検出された他車の走行道路への進入位置から交差点検出部16で検出された自車位置の前後所定範囲に存在する各信号機付き交差点までの距離L1を検出する機能部である。ここで、交差点までの距離としては、交差点への進入地点までの距離を採用する。これは、青信号から黄信号に変わったら交差点内に進入することなく停止線手前で停止する、所謂イエローストップを遵守させる為である。この距離L1は、交差点中心地点(ノード)までの距離から交差点において走行道路と交差する道路の道路幅×1/2の距離を減算すれば求められる。そして、この距離L1は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークに基づいて、道路形状に沿った実距離であるのが好ましい。本実施形態では、このような機能を実現するため、第一距離検出部21はその下位の機能部として、前方直近距離検出部22及び後方直近距離検出部23を備えている。
【0039】
前方直近距離検出部22は、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置と前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点との間の前方直近距離L1f(図2を参照)を特定する機能部である。同様に、後方直近距離検出部23は、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置と後方直近交差点検出部18で検出した自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点との間の後方直近距離L1r(図4を参照)を特定する機能部である。
【0040】
第二距離検出部25は、自車位置検出部12で検出された自車位置から前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点までの距離L2(図2及び図4を参照)を検出する機能部である。ここでも、距離L2は、第一距離検出部21で検出される距離L1同様、イエローストップを配慮に入れて、前方直近交差点手前までの距離とされ、かつ、道路形状に沿った実距離とされる。
【0041】
判断部24は、他車検出部51により自車の前方において走行道路に進入しようとしている他車が検出された場合に、信号機情報取得部41により取得された信号機情報と第一距離検出部21により検出された距離L1とに基づいて、自車が進入位置設定部19にて設定された進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する機能部である。より具体的には、他車が走行道路に進入後、距離L1を走行した際、赤信号で停止することなく、そのまま信号機付き交差点を青信号で通過できるか否かによって、自車が先に進入位置を通過した方が良いのか、あるいは、他車を先に走行道路へ進入させる(進入位置を通過させる)方が良いのか、を判断する。赤信号で停止することなく、そのまま信号機付き交差点を青信号で通過できるのであれば基本的に他車を優先させ、自車が進入位置を通過するよりも前に他車を走行道路に進入させるようにする。反対に、仮に他車を優先させたとしても結局は他車が信号機付き交差点で赤信号により停止を余儀なくされることが予想されるのであれば自車を優先して、自車が先に進入位置を通過するようにする。ここで理解される通り、この判断は、自車が進入位置に到達する前でなされるということは言うまでもない。そして、距離L1の走行に要する時間が信号機情報に含まれるタイミング情報と密に関連することになるが、この距離L1の走行に要する時間は一般道路における平均車速を用いて演算される。図示しないが、車種別の平均速度テーブルを運転支援装置1が備える場合には、そのテーブルと送受信部11を介して他車から受信した車種を照らし合わせて平均車速を得るようにすれば、より正確な時間を求めることができる。
【0042】
さて、前述してきた通り、進入予定方向検出部53により検出される他車の走行道路へ進入しようとする方向に応じて、直近交差点としての対象が異なってくる。図2は、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と同じ方向である場合の自車及び他車を含む周辺各車の走行状況を示す図である。その様子は自車がC5であることを明示していない点、道路が比較的空いているために車両C4、C6が存在しない点以外はほぼ図9を用いて説明したものと同じであるため、その他の説明は省略する。この場合、自車、他車共に直近交差点としての対象は前方直近交差点IN1となる。従って、判断部24は、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断の要素として、進入位置X2から前方直近交差点IN1までの前方直近距離L1f、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2、前方直近交差点IN1の信号機情報、自車C5の前方直近交差点IN1における退出方向、他車C9の前方直近交差点IN1における退出方向を考慮に入れて判断している。
【0043】
反対に、図4は、他車の進行道路への進入が自車の走行方向とは逆の方向である場合の自車及び他車を含む周辺各車の走行状況を示す図である。C10、C11は走行道路を自車C5とは逆方向に走行している車両である。R6は、自車C5にとって後方直近交差点IN2よりも後方で走行道路に続く道路、R7、R8は、交差点IN3において、道路R1、R6と左右に交差する道路、TS3は、交差点IN3に設置された信号機、SL3は、道路R1上の交差点IN3手前にペイントされた停止線である。なお、その他の構成について、特に説明しない点については、図2と同様である。この場合には、自車にとって直近交差点としての対象は図2と同じく前方直近交差点TS1となるが、他車にとっての対象は後方直近交差点となる。従って、判断部24は、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断の要素として、進入位置X2から後方直近交差点IN3までの後方直近距離L1r、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2、前方直近交差点IN1の信号機情報、後方直近交差点IN3の信号機情報、自車C5の前方直近交差点IN1における退出方向、他車C9の後方直近交差点IN3における退出方向を考慮に入れて判断している。ただし、判断部24は、図4で示されるように、他車の走行道路への進入が自車の走行車線側(走行道路R1の左側)からの場合のみに限って、自車を優先させるか、他車を優先させるかを判断するようになっている。これは、他車の走行道路への進入が自車の対向車線側(走行道路R1の右側)からの場合には、自車と他車が互いに干渉することなく他車が走行道路へ進入できるため、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断を必要としないからである。本実施形態においては、判断部24が本発明における「進入側検出手段」に相当する。以上のように、他車の走行道路へ進入しようとする方向に応じて、二つの場面に分けられるため、これ以降の判断部24の説明は各々の場面毎に行うこととする。
【0044】
始めに、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と同じ方向である場合について説明する。この場合、判断部24は、第1から第6の判断基準に基づいて、自車を優先させるか、他車を優先させるか、言い換えれば、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断している。第1の判断基準は、「前方直近交差点IN1における自車C5の退出方向と他車C9の退出方向との関係」を考慮するものである。これらの退出方向が同じであるならば、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であるため、わざわざ交通の流れを停めてまで(自車C5が減速してまで)他車C9を優先して走行道路へ進入させる必要はないと考えられるからである。第2の判断基準は、「前方直近交差点IN1の信号機情報」自体を考慮するものである。具体的には、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有するか否かを考慮する。連続切替りを有さなければ、すなわち、図3でいう青信号(図3(a))→黄信号(図3(b))→赤信号(図3(e))の点灯パターンであれば、自車が前方直近交差点IN1を通過できないと判断して他車を優先させたとしても、他車が前方直近交差点IN1を通過できるはずがないからである。逆に、自車が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば、第1の判断基準同様、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路となるため、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないと考えられるからである。第3の判断基準は、「前方直近交差点IN1における自車C5の退出方向と他車C9の退出方向と連続切替りとの三者の関係」を考慮するものである。具体的には、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっているかを考慮する。連続切替りとなっていない、すなわち、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応するTS1の点灯色が、図3(e)で示す全ての退出方向が許可されない赤信号を介すのであれば、結局は自車C5も他車C9もその赤信号(図3(e))で余儀なく停止させられることとなり、自車を優先させるか、他車を優先させるか、の判断は不要となるからである。第4の判断基準は、「連続切替りの下での、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の順番」を考慮するものである。これは、これらの順番によって以降の判断が若干異なるためであり、その詳細は後述する。第5の判断基準は、「自車C5の位置から前方直近交差点IN1までの距離L2と信号機TS1のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、自車C5が前方直近交差点IN1を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できるのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。第6の判断基準は、「進入位置X2から前方直近交差点IN1までの前方直近距離L1fと信号機TS1のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、他車C9が前方直近交差点IN1を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できないのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。
【0045】
図5は、第4から第6の判断条件を総合的に纏めた表である。図5(a)は、第4の判断条件における、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合の表、図5(b)は、第4の判断条件における、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合の表である。ここでの考え方は、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば、その車両を優先とする考え方に基づいている。すなわち、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が自車C5の場合、図5(a)F1、F2に示すように、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できると判断されれば、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、自車C5が優先となっている。反対に、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が他車C9の場合には、図5(b)F5、F7に示すように、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できると判断されれば、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、他車C9が優先となっている。F5では、他車C9を優先させても自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色がその後で赤信号となるため、自車C5も前方直近交差点IN1を通過できるからである。図5(a)に戻って、自車C5が前方直近交差点IN1で赤信号による停止が予測される条件下、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば他車C9を優先させ(図中、F3参照)、他車C9が通過できないのであれば自車C5を優先させる(図中、F4参照)。F4は、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であり、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないと考えられるからである。一方、図5(b)F6、F8に示すように、他車C9が前方直近交差点IN1で赤信号による停止が予測される条件下では、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、自車C5を優先させる。F8でも、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であり、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないとの考えに基づいている。結果、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない、かつ、他車C9が通過できる、の条件では他車C9を優先させ、それ以外では自車C5を優先させる。他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる、の条件では他車C9を優先させ、通過できない、の条件下では自車C5を優先させる。
【0046】
続いて、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と逆の方向である場合について説明する。この場合、判断部24は、第7と第8の二つの判断基準に基づいて、自車を優先させるか、他車を優先させるか、言い換えれば、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断している。第7の判断基準は、前述の第5の判断基準と同じであるため説明を省略する。第8の判断基準は、「進入位置X2から後方直近交差点IN3までの後方直近距離L1rと信号機TS3のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、他車C9が後方直近交差点IN3を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できないのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。
【0047】
図6は、第7、第8の判断条件を総合的に纏めた表である。これからも分かる通り、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない、かつ、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる、の条件では他車C9を優先させ(図中、F11参照)、それ以外では自車C5を優先させる。
【0048】
次に、本実施形態に係る運転支援装置1(判断部24)において実行される判断処理の手順(判断方法)について説明する。図7は、本実施形態に係る判断処理の全体の手順を示すフローチャートである。また、図8は、図7のステップ(以下、Sと略記する)7の同方向処理の手順を示すフローチャートである。更に、図9は、図7のS9の逆方向処理の手順を示すフローチャートである。以下、これらのフローチャートに従って説明する。
【0049】
まず、判断処理の全体の手順について説明する。図7に示すように、始めに自車位置検出部12が自車C5の現在位置を検出する(S1)。それに続いて走行道路検出部15が公知のマップマッチング処理により自車位置を補正した道路R1を走行道路として特定する(S2)。その後、送受信部11が自車位置所定範囲内に存在する他車C9を含む周辺車両から各種情報(例えば、車種や位置情報や走行予定経路情報等)を受信する(S3)。他車検出部51は、送受信部11が受信した周辺車両のうち、自車C5の前方に存在し走行道路検出部15で検出した走行道路R1に進入しようとしている車両(他車C9)がいるか否かを判定する(S4)。他車がいると判定された場合には(S4:Yes)、進入位置設定部19が、送受信部11が受信した他車C9からの各種情報のうちの位置情報により他車位置検出部52が求めた他車C9の位置と走行道路R1とに基づき、他車C9の進入位置X2を設定する(S5)。そして、判断部24は、送受信部11が受信した他車C9の各種情報のうちの走行予定経路情報により進入予定方向検出部53が求めた他車C9の走行道路R1へ進入しようとする方向と自車C5の進行方向とを比較し、同じか否かを判断する(S6)。他車がいないと判定された場合には(S4:No)、再度S3に戻って、送受信部11が新たな周辺車両からの各種情報を受信する。そして、ステップS3、S4の処理を繰り返し実行する。
【0050】
他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の進行方向と同じ方向と判断されると(S6:Yes)、自車C5が進入位置設定部19にて設定された進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させるか否か(自車C5を優先させるか、他車C9を優先させるか)を同方向において判断する同方向処理が実行される(S7)。この同方向処理については、後に図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。自車C5、他車C9の何れを優先させるかが判断されると、表示案内処理部14はそれに基づいた内容を表示入力装置44や音声出力装置45を介して出力する(S10)。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の進行方向と逆の方向と判断されると(S6:No)、判断部24は、他車位置検出部52が求めた他車C9の位置に基づいて、他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の走行車線側(走行道路R1の左側)からか否かを判断する(S8)。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の走行車線側からと判断されると(S8:Yes)、自車C5が進入位置設定部19にて設定された進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させるか否か(自車C5を優先させるか、他車C9を優先させるか)を逆方向において判断する逆方向処理が実行される(S9)。この逆方向処理についても、後に図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の対向車線側(走行道路R1の右側)からと判断されると(S8:No)、前述した通り、自車C5と他車C9が互いに干渉することなく他車C9が走行道路へ進入でき、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断を必要としないため、本全体処理を終了する。
【0051】
次に、図7のS7における同方向処理の手順について説明する。図8に示すように、始めに前方直近交差点検出部17が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点IN1を特定する(S21)。続いて自車退出方向検出部20が、前方直近交差点検出部17で特定した自車C5の前方直近交差点IN1において、自車C5がいずれの方向に退出するかを特定する(S22)。そして判断部24が、この自車C5の退出方向と送受信部11が受信した他車C9からの各種情報のうちの走行予定経路情報により他車退出方向検出部54が求めた他車C9の前方直近交差点IN1における退出方向とを比較し、異なるか否かを判断する(S23)。前方直近交差点IN1における自車C5と他車C9の退出方向が異なると判断されると(S23:Yes)、前方直近信号機情報取得部42が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S24)。そして判断部24が、前方直近信号機情報取得部42が取得した前方直近交差点IN1の信号機情報に基づき、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有するか否かを判断する(S25)。信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有すると判断されると(S25:Yes)、続いて、判断部24が、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっているかを判断する(S26)。これらの点灯色が連続切替りとなっていると判断されると(S26:Yes)、引き続き、判断部24が、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の赤信号の方が他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の赤信号よりも先か否かを判断する(S27)。自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の方が先に赤信号になると判断されると(S27:Yes)、第二距離検出部25が、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2を算出する(S28)。その後、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と第二距離検出部25で検出した距離L2とに基づき、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)か否かを判断する(S29)。他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の方が先に赤信号になると判断された場合(S27:No)や、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(赤信号になる)と判断された場合(S29:Yes)には、前方直近距離検出部22が、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置設定部19にて設定された進入位置X2と前方直近交差点IN1との間の前方直近距離L1fを算出する(S30)。その後さらに、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と前方直近距離検出部22で検出した前方直近距離L1fとに基づき、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっているか)か否かを判断する(S31)。他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる(青信号となっている)と判断されると(S31:Yes)、判断部24が、他車C9を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させる)と決定する(S32)。また、前方直近交差点IN1における自車C5と他車C9の退出方向が同じと判断された場合(S23:No)や、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有さないと判断された場合(S25:No)や、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっていない場合(S26:No)や、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっている)と判断された場合(S29:No)や、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)と判断された場合(S31:No)には、判断部24が、自車C5を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させない)と決定する(S33)。以上で同方向処理を終了する。
【0052】
最後に、図7のS9における逆方向処理の手順について説明する。図9に示すように、始めに前方直近交差点検出部17が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点IN1を特定する(S41)。そして自車退出方向検出部20が、前方直近交差点検出部17で特定した自車C5の前方直近交差点IN1において、自車C5がいずれの方向に退出するかを特定する(S42)。続いて前方直近信号機情報取得部42が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S43)。更に続いて、第二距離検出部25が、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2を算出する(S44)。その後、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と第二距離検出部25で検出した距離L2とに基づき、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)か否かを判断する(S45)。自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(赤信号になる)と判断されると(S45:Yes)、後方直近交差点検出部18が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点IN3を特定する(S46)。
続いて、後方直近信号機情報取得部43が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、後方直近交差点IN3に付帯する信号機TS3に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S47)。更に続いて、後方直近距離検出部23が、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置設定部19にて設定された進入位置X2と後方直近交差点IN3との間の後方直近距離L1rを算出する(S48)。その後、判断部24が、信号機TS3のタイミング情報と後方直近距離検出部23で検出した後方直近距離L1rとに基づき、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる(後方直近交差点IN3に到達した際に、他車C9の退出方向に対応する信号機TS3の点灯色が青信号となっているか)か否かを判断する(S49)。他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる(青信号となっている)と判断されると(S49:Yes)、判断部24が、他車C9を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させる)と決定する(S50)。また、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっている)と判断された場合(S45:No)や、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できない(後方直近交差点IN3に到達するまでに、他車C9の退出方向に対応する信号機TS3の点灯色が赤信号となる)と判断された場合(S49:No)には、判断部24が、自車C5を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させない)と決定する(S51)。以上で逆方向処理を終了する。
【0053】
本実施形態においては、判断部24により自車C5、他車C9の何れを優先させるかが判断されると、それに基づいた内容を表示入力装置44や音声出力装置45を介して運転者に報知する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばその判断結果を送受信部11を介して他車C9に伝達し、他車C9の運転者に報知するようにすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、送受信部11が本発明における「伝達手段」に相当する。
【0054】
また、本実施形態においては、判断部24が自車C5と他車C9の各種情報を用いて自車C5、他車C9の何れを優先させるかを判断する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない、すなわち、例えば自車C5の後方における車両C7、C8(図2及び図4を参照)や自車C5に対向して走行する車両C10、C11(図4を参照)からの各種情報を加味して自車C5、他車C9の何れを優先させるかを判断することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0055】
更に、本実施形態においては、運転支援装置1を自車C5に搭載されるナビゲーション装置として構成する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば運転支援装置1を複数の車両に搭載されるナビゲーション装置と通信可能に設けられた集中管理サーバとして構成するようにすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、自車C5、他車C9を含む各車は自身の各種情報を集中管理サーバに送信し、集中管理サーバからは自車C5を優先させるのか、他車C9を優先させるのか、の判断結果を受信するようにすれば良い。また、集中管理サーバは各交差点に付帯する信号機の情報を最新の状態で把握するようにすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自車の前方に自車の走行する道路に進入しようとする他車がいる場合に、自車よりも先に他車を進入させた方が良いかの判断を行う運転支援装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置(運転支援装置)
12 自車位置検出部(自車位置検出手段)
14 表示案内処理部(報知手段)
15 走行道路検出部(走行道路検出手段)
16 交差点検出部(交差点検出手段)
19 進入位置設定部(進入位置検出手段)
21 第一距離検出部(第一距離検出手段)
24 判断部(判断手段)
41 信号機情報取得部(信号機情報取得手段)
51 他車検出部(他車検出手段)
52 他車位置検出部(他車位置検出手段)
C5 自車
C9 他車
R1 走行道路
IN1 前方直近交差点
TS1 信号機
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、自車の運転を支援する運転支援装置に関し、特に他車が脇道や店舗駐車場などから自車の走行道路に進入しようとする際の運転を支援する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行車両に追従して自車を走行させた際に、渋滞などにより先行車両が交差点通過後直ぐに停止し、そのために、自車が交差点内で停止してしまい、他の車両や歩行者の通行を阻害する可能性があるという問題に対し、例えば、下記の引用文献1のような技術が提案されている。すなわち、引用文献1には、交差点の通過地点から先行車両までの距離と自車の車両長とを比較し、通過地点から先行車両までの距離が自車の車両長より短い場合、自車を交差点の手前で停止させるよう運転者に通知することが記載されている。また、引用文献1には、交差点だけでなく、脇道の場合も同様に行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引用文献1に記載された運転支援装置のように、脇道から自車の走行道路に進入しようとする他車が先行車両と自車との間に入れるようにスペースを確保したとしても、それだけでは未だ充分な配慮が為されているとは言い難い。以下に、その状況を図10と図11を用いて説明する。図10は、車両前方の信号機が黄信号に変わった際の車両の様子を示す図である。交差点IN1に設置された信号機TS1が青信号から黄信号に変わった際、車両C1は、交差点IN1を通過して道路R2に進入しかかっている。車両C2〜C6は交差点TS1手前の道路をR1を適切な車間距離を保ちながら順次走行している。C9は、信号機の無いT字交差点IN2において、道路R5から道路R1へ進入しようとする車両であって、T字交差点IN2手前で待機している。R3、R4は、交差点IN1において、道路R1、R2と左右に交差する道路、SL1、SL2は、道路R1上の交差点IN1手前にペイントされた停止線である。また、AR1は、道路R1における停止線SL1手前にペイントされた矢印であって、道路R1の交差点IN1手前における左レーンが左折用および直進用レーンであることを示している。なお、図10においては、車両C2に矢印AR1が上書きされているが、便宜上矢印AR1が左折および直進を示すことを明示するためであって、実際は、矢印AR1は、車両C2で隠れて見えない。AR2は、矢印AR1と同様、道路R1における停止線SL2手前にペイントされた矢印であって、道路R1の交差点IN1手前における右レーンが右折専用レーンであることを示している。
【0005】
その後、図11に示すように、信号機TS1が黄信号から赤信号に変わり、同時に右折矢印信号が点灯すると、車両C2は停止線SL1で停止し、それに続く車両C3〜C8(C7、C8は、図10における車両C6に続く車両であって、図10では図示されていない)が適切な車間距離を保って順次停止する。その際、引用文献1に照らして、車両C5は、交差点IN2の通過地点X1から先行の車両C4までの距離が短いことから、交差点IN2手前で停止し、車両C9を道路R1に進入させることとなる。ここで、一般に走行中の車間距離よりも停止する際の車間距離の方が短くなることに起因して、車両C9は車両C3、C4が走行中の車間距離から停止する際の車間距離に詰めるまで(すなわち、停止するまで)待たされることとなる。車両C9が車両C2〜C4と同様に左レーンに行こう(左折または直進しよう)とするならば、信号機TS1は赤信号であるため、特に考慮する必要はないが、車両C9が右レーンに行きたい場合には、車両C4が停止するまで待っている間、信号機TS1の右折矢印信号が点灯しているにも関わらず、道路R1に進入することが出来ない。そして、結局、道路R1に進入できた頃には、右折矢印信号が消えてしまい、停止線SL2手前で、次の青信号まで待たなければならないという状況が発生し得る。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みたものであって、赤信号による停止時、停止する際の車間距離まで詰める前に敢えて停止し、脇道や店舗駐車場などから自車の走行道路に進入しようとする他車を自車よりも先(前方)に自車の走行道路に進入させることにより、交通の流れをスムーズにできるようにした運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る運転支援装置は、自車の位置を検出する自車位置検出手段と、自車が走行している道路を検出する走行道路検出手段と、該走行道路検出手段により検出された走行道路上に存在する信号機付きの交差点を、その位置と共に検出する交差点検出手段と、前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、自車の前方において、前記走行道路に進入しようとしている他車を検出する他車検出手段と、該他車検出手段により検出された他車の位置を検出する他車位置検出手段と、該他車位置検出手段により検出された他車の位置に基づいて、他車の走行道路への進入位置を検出する進入位置検出手段と、該進入位置検出手段により検出された進入位置から前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段と、前記信号機情報取得手段により取得された信号機情報と前記第一距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車が前記進入位置に到達した際に自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段と、該判断手段による判断に基づいて、その旨を運転者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの前方直近距離を検出する前方直近距離検出手段と、を各々有し、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記前方直近距離検出手段により検出された前方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0009】
また、前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0010】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0011】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記前方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することも好適である。
【0012】
また、他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、前記判断手段は、該進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と同じ場合、前記判断を行うことも好適である。
【0013】
また、自車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する自車退出方向検出手段と、他車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する他車退出方向検出手段と、を更に備え、前記判断手段は、前記自車退出方向検出手段により検出された自車の退出方向と前記他車退出方向検出手段により検出された他車の退出方向が異なる場合、前記判断を行うことも好適である。
【0014】
この場合、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報に基づき、前記前方直近交差点の信号機の点灯パターンが、全ての退出方向に対応する赤信号を介すことなく、任意の退出方向に対応する青信号から別の任意の退出方向に対応する青信号に連続して切り替わる状態(以下、「連続切替り」と言う)を有するか否かを判断し、前記連続切替りを有し、かつ、前記連続切替りが前記自車の退出方向に相当する青信号に続いて前記他車の退出方向に相当する青信号に切り替わる場合、前記判断を行うことも好適である。
【0015】
他方、前記交差点検出手段は、自車の後方における直近の信号機付き交差点を検出する後方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を後方直近信号機情報として取得する後方直近信号機情報取得手段を、前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点までの後方直近距離を検出する後方直近距離検出手段を、各々有し、前記判断手段は、前記後方直近信号機情報取得手段により取得された後方直近信号機情報と前記後方直近距離検出手段により検出された後方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0016】
また、前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、更に各々有し、前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0017】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することも好適である。
【0018】
この場合、前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記後方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することも好適である。
【0019】
また、前記他車の位置に基づいて、他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からか/対向車線側からかを検出する進入側検出手段と、他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、前記判断手段は、前記進入側検出手段により他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からと検出された場合、かつ、前記進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と逆の場合、前記判断を行うことも好適である。
【0020】
また、前記判断手段に判断に基づいて、その旨を他車に伝達する伝達手段を更に備えることも好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る運転支援装置によれば、自車の前方において、自車の走行道路に進入しようとしている他車を検出した場合、信号機付き交差点までの距離と該交差点の信号機情報とを用いて、他車が信号機付き交差点に到達した際に該交差点を通過できるとの判断であれば、他車を自車よりも先(前方)に自車の走行道路に進入させる旨を運転者に報知することができる。反対に、他車が信号機付き交差点を通過できないとの判断であれば、自車をそのまま通過させる旨を運転者に報知することができる。従って、他車は、走行道路を走行する各車両が停止する際に適切な車間距離まで詰めるのを待たされることなく、適切なタイミングで走行道路に進入可能となるため、交通の流れをスムーズにできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第一の実施形態に係る運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態における各車状況の一例を示す図である。
【図3】第一の実施形態における信号機の点灯パターンの一例を示す図である。
【図4】第一の実施形態における各車状況の一例を示す図である。
【図5】第一の実施形態における第4から第6の判断条件を纏めた表である。
【図6】第一の実施形態における第7、第8の判断条件を纏めた表である。
【図7】第一の実施形態に係る優先判断処理の全体の手順を示すフローチャートである。
【図8】第一の実施形態に係るステップS7の同方向処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】第一の実施形態に係るステップS9の逆方向処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】先行技術の課題を説明するための各車状況の一例を示す図である。
【図11】先行技術の課題を説明するための各車状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第一の実施形態〕 本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1に示すように、本発明に係る運転支援装置1を車載用のナビゲーション装置として構成した場合を例として説明する。この運転支援装置1は、運転支援装置が搭載されている車両(以下、「自車」と称する。)の前方に自車の走行する道路(以下、「走行道路」と称する。)に進入しようとする他車がいる場合に、自車よりも先に他車を進入させた方が良いかの判断を行う装置である。そして、この運転支援装置1は、このような判断に際して、自車周辺の信号機付き交差点の信号機情報と他車が走行道路へ進入しようとする位置から該信号機付き交差点までの距離とを用いる。これにより、青信号の間に他車が信号機付き交差点を退出できるのであれば、先に他車に走行道路への進入を譲った方が良い旨を運転者に知らせることができる。よって、交通の流れをスムーズにできるものとなっている。
【0024】
まず、運転支援装置1の構成について説明する。図1に示す運転支援1の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、運転支援装置1の各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、前記演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、地図データベース31は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROM、CD−ROM等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係る運転支援装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0025】
地図データベース31は、地図データが記憶されたデータベースである。地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。加えて、各ノードには、対応する交差点が信号機を付帯しているか否かを示す情報を含ませても良い。また、地図データベースに格納された地図データには、各施設の位置を表す座標情報等を有して構成される施設データも含まれている。この施設データは、各施設の名称、住所、電話番号、サービス種別等の各種の属性情報等も含んでいる。また、地図データは、道路ネットワークデータ及び施設情報以外にも、表示案内処理部14による地図表示処理に必要な描画情報や経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。
【0026】
送受信部11は、周辺車両との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local
Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。本実施形態においては、送受信部11は、後述するように、自車に関する情報を周辺車両へ送信する。また、送受信部11は、周辺車両から車種や位置情報や走行予定経路情報等のような他の車両に関する情報を受信する。これらの点については後述する。また、本実施形態においては、送受信部11は、VICS(Vehicle
Information and Communication System:道路交通情報通信システム、登録商標)等を構成する車両3の外部に設置された発信装置からの信号を受信する受信装置も備えている。このような発信装置には、例えば、VICSを構成する電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の発信装置が含まれる。更に、本実施形態においては、送受信部11は、周辺の交差点に設置された信号機から発信される信号機情報を受信する受信装置も備えている。
【0027】
自車位置検出部12は、運転支援装置1が搭載されている車両(自車両)の現在位置を示す自車位置情報を取得する機能部である。ここでは、自車位置検出部12は、GPS(Global
Positioning System)受信機41、方位センサ42、及び距離センサ43に接続されている。自車位置検出部12は、GPS受信機41、方位センサ42、及び距離センサ43からの出力に基づいて自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置検出部12は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークデータに基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を道路上に合わせる補正も行う。
【0028】
ナビゲーション用演算部13は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するために所定のアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理部である。表示案内処理部14は、地図画像、施設等の検索用画面、各種の設定画面等、ナビゲーション機能として必要な各種の画像を生成し、表示入力装置44に表示させる等の処理を行う。また、表示案内処理部14は、ナビゲーション用演算部13による演算結果に従って、表示入力装置44による案内表示や音声出力装置45による音声案内等による案内等も行う。更に本実施形態では、表示案内処理部14は、後述するように、判断部24による判断結果を表示入力装置44や音声出力装置45を介して出力する処理も行う。なお、表示入力装置44は液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネルや操作スイッチ等の入力装置が一体となった装置である。音声出力装置45は、スピーカやアンプ等の音声を出力するための装置を有して構成されている。
【0029】
走行道路検出部15は、前述の公知のマップマッチング処理により自車位置を補正した道路を特定する機能部である。詳細は後述するが、各車の状況例が図2及び図4に示されている。これらの例では、道路R1が走行道路として特定される。交差点検出部16は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークデータを参照して、走行道路検出部15で特定した道路上に存在し、信号機を付帯している交差点を自車位置の前後所定範囲に渡って検出する機能部である。また、交差点検出部16は、後述するように送受信部11で受信した信号機情報内に含まれる位置情報に基づいて、信号機を付帯している交差点を自車位置の前後所定範囲に渡って検出するものとしても良い。図2及び図4の例では、自車位置の前後に渡って存在する交差点として交差点IN1、IN2、IN3が挙げられるが、交差点IN2は信号機を付帯していないため、この場合、交差点IN1と交差点IN3が対象として検出される。本実施形態では、このような機能を実現するため、交差点検出部16はその下位の機能部として、前方直近交差点検出部17及び後方直近交差点検出部18を備えている。
【0030】
前方直近交差点検出部17は、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点を検出する機能部である。図2及び図4の例では、交差点IN1が対象として検出される。同様に、後方直近交差点検出部18は、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点を検出する機能部である。図4の例では、交差点IN3が対象として検出される。
【0031】
自車退出方向検出部20は、前方直近交差点検出部17で検出した自車の前方直近交差点IN1において、自車がいずれの方向に退出するかを検出する機能部である。具体的には、ナビゲーション用演算部13で探索された出発地から目的地までの経路を参照することにより、前方直近交差点IN1における自車の退出方向を検出することができる。なお、目的地が設定されておらず、経路が無い場合には、運転者に対して前方直近交差点IN1における退出方向を問い合わせることにより、検出するようにすることもできる。
【0032】
信号機情報取得部41は、送受信部11を介して各交差点に付帯する信号機に関する情報を取得する機能部である。信号機情報には、その信号機の固有番号、その信号機が設置されている交差点の位置情報、信号機の点灯パターン情報、月日や曜日(平日/休日も含む)毎に点灯パターンのタイミング情報などが含まれている。図3は、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1(図2及び図4を参照)の点灯パターンの一例を示す図である。この信号機TS1は、図3(a)から順に示すように青信号→黄信号(図3(b))→赤信号と同時に右折矢印信号(図3(c))→右折矢印信号が消えると同時に黄信号(図3(d))→赤信号(図3(e))→青信号→・・・といった具合に点灯を繰り返す。ここで、いずれの退出方向に相当する信号が赤を示す状態、すなわち、いずれの退出方向にも進めない図3(e)の赤信号を介すことなく、点灯パターンが切り替わることにより何れかの退出方向への進入が連続して許可される状態、具体的には、図3(a)の全退出方向が許可される青信号から図3(c)の右折への退出のみが許可される右折矢印信号へ連続して変化する状態のことを「連続切替り」と言うこととする。なお、図3では、図3(d)に示されるように、右折矢印信号(図3(c))の後に黄信号を介して赤信号(図3(e))に変化するパターンを図示しているが、この図3(d)の黄信号を省略して、右折矢印信号(図3(c))から直接赤信号(図3(d))に変化する点灯パターンであっても良い。また、タイミング情報としては、例えば、2009年11月25日(水)の午前10時35分42秒から午前10時36分58秒までは青信号といった具合に直接的に時刻に照らし合わせるものとしても良いし、ある時刻を基準として75秒間は青信号といった具合に基準時刻から秒数を加算して、間接的に時刻に照らし合わせて求めるものとしても良い。そして、本実施形態では、このような機能を実現するため、信号機情報取得部41はその下位の機能部として、前方直近信号機情報取得部42及び後方直近信号機情報取得部43を備えている。
【0033】
前方直近信号機情報取得部42は、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点に付帯する信号機に関する情報を特定する機能部である。図2及び図4の例では、交差点IN1に付帯する信号機TS1からの信号機情報を取得する。具体的な特定としては、信号機情報に含まれるその信号機が設置されている交差点の位置情報と、地図データベース31に記憶された道路ネットワーク(より詳細にはノード)との比較により可能となる。その他にも、図示しないが、各信号機の固有番号とノードとを対応させるテーブルを運転支援装置1が備える場合には、それを用いて特定するようにしても良い。
【0034】
同様に、後方直近信号機情報取得部43は、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、後方直近交差点検出部18で検出した自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点に付帯する信号機に関する情報を特定する機能部である。図4の例では、交差点IN3に付帯するTS3からの信号機情報を取得する。
【0035】
他車検出部51は、自車の前方において、走行道路検出部15で検出した走行道路に進入しようとしている他車を検出する機能部である。図2及び図4の例では、信号機の無いT字交差点IN2において、道路R5から道路R1へ進入しようとする車両C9が相当する。具体的な検出としては、送受信部11で受信した周辺車両からの情報(特に走行予定経路情報)に基づいている。本実施形態では、このような機能を実現するため、他車検出部51はその下位の機能部として、他車位置検出部52、進入予定方向検出部53及び他車退出方向検出部54を備えている。
【0036】
他車位置検出部52は、他車検出部51で検出した他車の位置を検出する機能部である。この検出には、送受信部11を介して他車から受信した位置情報を用いることができる。進入予定方向検出部53は、他車が走行道路に進入しようとする方向を検出する機能部である。具体的には、自車の走行方向と同じ方向(図2及び図4の例では、図面上側方向)か、逆(図2及び図4の例では、図面下側方向)か、を検出する。この検出には、送受信部11を介して他車から受信した走行予定経路情報を用いることができる。他車退出方向検出部54は、進入予定方向検出部53において他車の走行道路への進入予定方向が自車と同じ方向と検出された場合に限って、前方直近交差点検出部17で検出した前方直近交差点IN1において、他車がいずれの方向に退出するかを検出する機能部である。他車の走行道路への進入予定方向が自車と同じ方向と検出された場合に限るのは、この場合だけ、前方直近交差点IN1における他車退出方向が前方直近交差点IN1における自車退出方向及び前方直近信号機情報と密接に関わってくるからであって、逆の方向であれば、後方直近交差点検出部18で検出した後方直近交差点IN3における他車退出方向が前方直近交差点IN1における自車退出方向及び前方直近信号機情報とは直接関わりを持たないからである。この場合も、送受信部11を介して他車から受信した走行予定経路情報を参照すれば良い。
【0037】
進入位置設定部19は、他車位置検出部52で検出した他車位置に基づき、他車の走行道路への進入位置を設定する機能部である。具体的には、他車位置を走行道路上となる位置にシフトさせるのであって、その方法としては、他車位置から走行道路幅方向中心線に向かって垂線を引いた時に走行道路幅方向中心線と交わる点とすることができる。図2及び図4の例では、他車C9から道路R1の幅方向中心線Y(一点鎖線で示す)に向かって垂線を引いた時にその幅方向中心線Yと交わる点X2が進入位置とされる。
【0038】
第一距離検出部21は、進入位置検出部19で検出された他車の走行道路への進入位置から交差点検出部16で検出された自車位置の前後所定範囲に存在する各信号機付き交差点までの距離L1を検出する機能部である。ここで、交差点までの距離としては、交差点への進入地点までの距離を採用する。これは、青信号から黄信号に変わったら交差点内に進入することなく停止線手前で停止する、所謂イエローストップを遵守させる為である。この距離L1は、交差点中心地点(ノード)までの距離から交差点において走行道路と交差する道路の道路幅×1/2の距離を減算すれば求められる。そして、この距離L1は、地図データベース31に記憶された道路ネットワークに基づいて、道路形状に沿った実距離であるのが好ましい。本実施形態では、このような機能を実現するため、第一距離検出部21はその下位の機能部として、前方直近距離検出部22及び後方直近距離検出部23を備えている。
【0039】
前方直近距離検出部22は、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置と前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点との間の前方直近距離L1f(図2を参照)を特定する機能部である。同様に、後方直近距離検出部23は、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置と後方直近交差点検出部18で検出した自車の進行方向後方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点との間の後方直近距離L1r(図4を参照)を特定する機能部である。
【0040】
第二距離検出部25は、自車位置検出部12で検出された自車位置から前方直近交差点検出部17で検出した自車の進行方向前方であって自車位置に最も近い信号機付き交差点までの距離L2(図2及び図4を参照)を検出する機能部である。ここでも、距離L2は、第一距離検出部21で検出される距離L1同様、イエローストップを配慮に入れて、前方直近交差点手前までの距離とされ、かつ、道路形状に沿った実距離とされる。
【0041】
判断部24は、他車検出部51により自車の前方において走行道路に進入しようとしている他車が検出された場合に、信号機情報取得部41により取得された信号機情報と第一距離検出部21により検出された距離L1とに基づいて、自車が進入位置設定部19にて設定された進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する機能部である。より具体的には、他車が走行道路に進入後、距離L1を走行した際、赤信号で停止することなく、そのまま信号機付き交差点を青信号で通過できるか否かによって、自車が先に進入位置を通過した方が良いのか、あるいは、他車を先に走行道路へ進入させる(進入位置を通過させる)方が良いのか、を判断する。赤信号で停止することなく、そのまま信号機付き交差点を青信号で通過できるのであれば基本的に他車を優先させ、自車が進入位置を通過するよりも前に他車を走行道路に進入させるようにする。反対に、仮に他車を優先させたとしても結局は他車が信号機付き交差点で赤信号により停止を余儀なくされることが予想されるのであれば自車を優先して、自車が先に進入位置を通過するようにする。ここで理解される通り、この判断は、自車が進入位置に到達する前でなされるということは言うまでもない。そして、距離L1の走行に要する時間が信号機情報に含まれるタイミング情報と密に関連することになるが、この距離L1の走行に要する時間は一般道路における平均車速を用いて演算される。図示しないが、車種別の平均速度テーブルを運転支援装置1が備える場合には、そのテーブルと送受信部11を介して他車から受信した車種を照らし合わせて平均車速を得るようにすれば、より正確な時間を求めることができる。
【0042】
さて、前述してきた通り、進入予定方向検出部53により検出される他車の走行道路へ進入しようとする方向に応じて、直近交差点としての対象が異なってくる。図2は、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と同じ方向である場合の自車及び他車を含む周辺各車の走行状況を示す図である。その様子は自車がC5であることを明示していない点、道路が比較的空いているために車両C4、C6が存在しない点以外はほぼ図9を用いて説明したものと同じであるため、その他の説明は省略する。この場合、自車、他車共に直近交差点としての対象は前方直近交差点IN1となる。従って、判断部24は、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断の要素として、進入位置X2から前方直近交差点IN1までの前方直近距離L1f、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2、前方直近交差点IN1の信号機情報、自車C5の前方直近交差点IN1における退出方向、他車C9の前方直近交差点IN1における退出方向を考慮に入れて判断している。
【0043】
反対に、図4は、他車の進行道路への進入が自車の走行方向とは逆の方向である場合の自車及び他車を含む周辺各車の走行状況を示す図である。C10、C11は走行道路を自車C5とは逆方向に走行している車両である。R6は、自車C5にとって後方直近交差点IN2よりも後方で走行道路に続く道路、R7、R8は、交差点IN3において、道路R1、R6と左右に交差する道路、TS3は、交差点IN3に設置された信号機、SL3は、道路R1上の交差点IN3手前にペイントされた停止線である。なお、その他の構成について、特に説明しない点については、図2と同様である。この場合には、自車にとって直近交差点としての対象は図2と同じく前方直近交差点TS1となるが、他車にとっての対象は後方直近交差点となる。従って、判断部24は、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断の要素として、進入位置X2から後方直近交差点IN3までの後方直近距離L1r、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2、前方直近交差点IN1の信号機情報、後方直近交差点IN3の信号機情報、自車C5の前方直近交差点IN1における退出方向、他車C9の後方直近交差点IN3における退出方向を考慮に入れて判断している。ただし、判断部24は、図4で示されるように、他車の走行道路への進入が自車の走行車線側(走行道路R1の左側)からの場合のみに限って、自車を優先させるか、他車を優先させるかを判断するようになっている。これは、他車の走行道路への進入が自車の対向車線側(走行道路R1の右側)からの場合には、自車と他車が互いに干渉することなく他車が走行道路へ進入できるため、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断を必要としないからである。本実施形態においては、判断部24が本発明における「進入側検出手段」に相当する。以上のように、他車の走行道路へ進入しようとする方向に応じて、二つの場面に分けられるため、これ以降の判断部24の説明は各々の場面毎に行うこととする。
【0044】
始めに、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と同じ方向である場合について説明する。この場合、判断部24は、第1から第6の判断基準に基づいて、自車を優先させるか、他車を優先させるか、言い換えれば、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断している。第1の判断基準は、「前方直近交差点IN1における自車C5の退出方向と他車C9の退出方向との関係」を考慮するものである。これらの退出方向が同じであるならば、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であるため、わざわざ交通の流れを停めてまで(自車C5が減速してまで)他車C9を優先して走行道路へ進入させる必要はないと考えられるからである。第2の判断基準は、「前方直近交差点IN1の信号機情報」自体を考慮するものである。具体的には、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有するか否かを考慮する。連続切替りを有さなければ、すなわち、図3でいう青信号(図3(a))→黄信号(図3(b))→赤信号(図3(e))の点灯パターンであれば、自車が前方直近交差点IN1を通過できないと判断して他車を優先させたとしても、他車が前方直近交差点IN1を通過できるはずがないからである。逆に、自車が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば、第1の判断基準同様、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路となるため、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないと考えられるからである。第3の判断基準は、「前方直近交差点IN1における自車C5の退出方向と他車C9の退出方向と連続切替りとの三者の関係」を考慮するものである。具体的には、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっているかを考慮する。連続切替りとなっていない、すなわち、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応するTS1の点灯色が、図3(e)で示す全ての退出方向が許可されない赤信号を介すのであれば、結局は自車C5も他車C9もその赤信号(図3(e))で余儀なく停止させられることとなり、自車を優先させるか、他車を優先させるか、の判断は不要となるからである。第4の判断基準は、「連続切替りの下での、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の順番」を考慮するものである。これは、これらの順番によって以降の判断が若干異なるためであり、その詳細は後述する。第5の判断基準は、「自車C5の位置から前方直近交差点IN1までの距離L2と信号機TS1のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、自車C5が前方直近交差点IN1を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できるのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。第6の判断基準は、「進入位置X2から前方直近交差点IN1までの前方直近距離L1fと信号機TS1のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、他車C9が前方直近交差点IN1を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できないのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。
【0045】
図5は、第4から第6の判断条件を総合的に纏めた表である。図5(a)は、第4の判断条件における、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合の表、図5(b)は、第4の判断条件における、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合の表である。ここでの考え方は、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば、その車両を優先とする考え方に基づいている。すなわち、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が自車C5の場合、図5(a)F1、F2に示すように、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できると判断されれば、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、自車C5が優先となっている。反対に、先に赤信号となる退出方向に進もうとする車両が他車C9の場合には、図5(b)F5、F7に示すように、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できると判断されれば、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、他車C9が優先となっている。F5では、他車C9を優先させても自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色がその後で赤信号となるため、自車C5も前方直近交差点IN1を通過できるからである。図5(a)に戻って、自車C5が前方直近交差点IN1で赤信号による停止が予測される条件下、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できるのであれば他車C9を優先させ(図中、F3参照)、他車C9が通過できないのであれば自車C5を優先させる(図中、F4参照)。F4は、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であり、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないと考えられるからである。一方、図5(b)F6、F8に示すように、他車C9が前方直近交差点IN1で赤信号による停止が予測される条件下では、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる、できないに関わらず、自車C5を優先させる。F8でも、道路R5よりも走行道路R1の方が優先道路であり、自車C5が減速してまで他車C9に譲る必要はないとの考えに基づいている。結果、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない、かつ、他車C9が通過できる、の条件では他車C9を優先させ、それ以外では自車C5を優先させる。他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色の方が先に赤信号となる場合、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる、の条件では他車C9を優先させ、通過できない、の条件下では自車C5を優先させる。
【0046】
続いて、他車の走行道路への進入が自車の走行方向と逆の方向である場合について説明する。この場合、判断部24は、第7と第8の二つの判断基準に基づいて、自車を優先させるか、他車を優先させるか、言い換えれば、自車が進入位置に到達した際に自車の進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断している。第7の判断基準は、前述の第5の判断基準と同じであるため説明を省略する。第8の判断基準は、「進入位置X2から後方直近交差点IN3までの後方直近距離L1rと信号機TS3のタイミング情報との関係」を考慮するものである。具体的には、他車C9が後方直近交差点IN3を赤信号で停止することなく通過できるかを考慮する。通過できないのであれば、他車を優先させる必要はないと考えられるからである。
【0047】
図6は、第7、第8の判断条件を総合的に纏めた表である。これからも分かる通り、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない、かつ、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる、の条件では他車C9を優先させ(図中、F11参照)、それ以外では自車C5を優先させる。
【0048】
次に、本実施形態に係る運転支援装置1(判断部24)において実行される判断処理の手順(判断方法)について説明する。図7は、本実施形態に係る判断処理の全体の手順を示すフローチャートである。また、図8は、図7のステップ(以下、Sと略記する)7の同方向処理の手順を示すフローチャートである。更に、図9は、図7のS9の逆方向処理の手順を示すフローチャートである。以下、これらのフローチャートに従って説明する。
【0049】
まず、判断処理の全体の手順について説明する。図7に示すように、始めに自車位置検出部12が自車C5の現在位置を検出する(S1)。それに続いて走行道路検出部15が公知のマップマッチング処理により自車位置を補正した道路R1を走行道路として特定する(S2)。その後、送受信部11が自車位置所定範囲内に存在する他車C9を含む周辺車両から各種情報(例えば、車種や位置情報や走行予定経路情報等)を受信する(S3)。他車検出部51は、送受信部11が受信した周辺車両のうち、自車C5の前方に存在し走行道路検出部15で検出した走行道路R1に進入しようとしている車両(他車C9)がいるか否かを判定する(S4)。他車がいると判定された場合には(S4:Yes)、進入位置設定部19が、送受信部11が受信した他車C9からの各種情報のうちの位置情報により他車位置検出部52が求めた他車C9の位置と走行道路R1とに基づき、他車C9の進入位置X2を設定する(S5)。そして、判断部24は、送受信部11が受信した他車C9の各種情報のうちの走行予定経路情報により進入予定方向検出部53が求めた他車C9の走行道路R1へ進入しようとする方向と自車C5の進行方向とを比較し、同じか否かを判断する(S6)。他車がいないと判定された場合には(S4:No)、再度S3に戻って、送受信部11が新たな周辺車両からの各種情報を受信する。そして、ステップS3、S4の処理を繰り返し実行する。
【0050】
他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の進行方向と同じ方向と判断されると(S6:Yes)、自車C5が進入位置設定部19にて設定された進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させるか否か(自車C5を優先させるか、他車C9を優先させるか)を同方向において判断する同方向処理が実行される(S7)。この同方向処理については、後に図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。自車C5、他車C9の何れを優先させるかが判断されると、表示案内処理部14はそれに基づいた内容を表示入力装置44や音声出力装置45を介して出力する(S10)。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の進行方向と逆の方向と判断されると(S6:No)、判断部24は、他車位置検出部52が求めた他車C9の位置に基づいて、他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の走行車線側(走行道路R1の左側)からか否かを判断する(S8)。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の走行車線側からと判断されると(S8:Yes)、自車C5が進入位置設定部19にて設定された進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させるか否か(自車C5を優先させるか、他車C9を優先させるか)を逆方向において判断する逆方向処理が実行される(S9)。この逆方向処理についても、後に図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。他車C9の走行道路R1への進入が自車C5の対向車線側(走行道路R1の右側)からと判断されると(S8:No)、前述した通り、自車C5と他車C9が互いに干渉することなく他車C9が走行道路へ進入でき、自車を優先させるか、他車を優先させるかの判断を必要としないため、本全体処理を終了する。
【0051】
次に、図7のS7における同方向処理の手順について説明する。図8に示すように、始めに前方直近交差点検出部17が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点IN1を特定する(S21)。続いて自車退出方向検出部20が、前方直近交差点検出部17で特定した自車C5の前方直近交差点IN1において、自車C5がいずれの方向に退出するかを特定する(S22)。そして判断部24が、この自車C5の退出方向と送受信部11が受信した他車C9からの各種情報のうちの走行予定経路情報により他車退出方向検出部54が求めた他車C9の前方直近交差点IN1における退出方向とを比較し、異なるか否かを判断する(S23)。前方直近交差点IN1における自車C5と他車C9の退出方向が異なると判断されると(S23:Yes)、前方直近信号機情報取得部42が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S24)。そして判断部24が、前方直近信号機情報取得部42が取得した前方直近交差点IN1の信号機情報に基づき、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有するか否かを判断する(S25)。信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有すると判断されると(S25:Yes)、続いて、判断部24が、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっているかを判断する(S26)。これらの点灯色が連続切替りとなっていると判断されると(S26:Yes)、引き続き、判断部24が、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の赤信号の方が他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の赤信号よりも先か否かを判断する(S27)。自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の方が先に赤信号になると判断されると(S27:Yes)、第二距離検出部25が、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2を算出する(S28)。その後、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と第二距離検出部25で検出した距離L2とに基づき、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)か否かを判断する(S29)。他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の方が先に赤信号になると判断された場合(S27:No)や、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(赤信号になる)と判断された場合(S29:Yes)には、前方直近距離検出部22が、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置設定部19にて設定された進入位置X2と前方直近交差点IN1との間の前方直近距離L1fを算出する(S30)。その後さらに、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と前方直近距離検出部22で検出した前方直近距離L1fとに基づき、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっているか)か否かを判断する(S31)。他車C9が前方直近交差点IN1を通過できる(青信号となっている)と判断されると(S31:Yes)、判断部24が、他車C9を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させる)と決定する(S32)。また、前方直近交差点IN1における自車C5と他車C9の退出方向が同じと判断された場合(S23:No)や、信号機TS1の点灯パターンが連続切替りを有さないと判断された場合(S25:No)や、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色と他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が連続切替りとなっていない場合(S26:No)や、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっている)と判断された場合(S29:No)や、他車C9が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、他車C9の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)と判断された場合(S31:No)には、判断部24が、自車C5を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させない)と決定する(S33)。以上で同方向処理を終了する。
【0052】
最後に、図7のS9における逆方向処理の手順について説明する。図9に示すように、始めに前方直近交差点検出部17が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向前方であって自車位置に最も近い交差点IN1を特定する(S41)。そして自車退出方向検出部20が、前方直近交差点検出部17で特定した自車C5の前方直近交差点IN1において、自車C5がいずれの方向に退出するかを特定する(S42)。続いて前方直近信号機情報取得部42が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、前方直近交差点IN1に付帯する信号機TS1に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S43)。更に続いて、第二距離検出部25が、自車位置から前方直近交差点IN1までの距離L2を算出する(S44)。その後、判断部24が、信号機TS1のタイミング情報と第二距離検出部25で検出した距離L2とに基づき、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(前方直近交差点IN1に到達するまでに、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が赤信号となる)か否かを判断する(S45)。自車C5が前方直近交差点IN1を通過できない(赤信号になる)と判断されると(S45:Yes)、後方直近交差点検出部18が、交差点検出部16で検出した自車位置前後所定範囲の信号機付き交差点のうち、自車C5の進行方向後方であって自車位置に最も近い交差点IN3を特定する(S46)。
続いて、後方直近信号機情報取得部43が、信号機情報取得部41で取得した信号機に関する情報のうち、後方直近交差点IN3に付帯する信号機TS3に関する情報(例えば、固有番号、設置されている交差点の位置情報、点灯パターン情報、点灯パターンのタイミング情報など)を取得する(S47)。更に続いて、後方直近距離検出部23が、第一距離検出部21で検出した各距離のうち、進入位置設定部19にて設定された進入位置X2と後方直近交差点IN3との間の後方直近距離L1rを算出する(S48)。その後、判断部24が、信号機TS3のタイミング情報と後方直近距離検出部23で検出した後方直近距離L1rとに基づき、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる(後方直近交差点IN3に到達した際に、他車C9の退出方向に対応する信号機TS3の点灯色が青信号となっているか)か否かを判断する(S49)。他車C9が後方直近交差点IN3を通過できる(青信号となっている)と判断されると(S49:Yes)、判断部24が、他車C9を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させる)と決定する(S50)。また、自車C5が前方直近交差点IN1を通過できる(前方直近交差点IN1に到達した際に、自車C5の退出方向に対応する信号機TS1の点灯色が青信号となっている)と判断された場合(S45:No)や、他車C9が後方直近交差点IN3を通過できない(後方直近交差点IN3に到達するまでに、他車C9の退出方向に対応する信号機TS3の点灯色が赤信号となる)と判断された場合(S49:No)には、判断部24が、自車C5を優先させる(自車C5が進入位置X2に到達した際に自車C5の進入位置X2の通過に先駆けて他車C9を走行道路R1に進入させない)と決定する(S51)。以上で逆方向処理を終了する。
【0053】
本実施形態においては、判断部24により自車C5、他車C9の何れを優先させるかが判断されると、それに基づいた内容を表示入力装置44や音声出力装置45を介して運転者に報知する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばその判断結果を送受信部11を介して他車C9に伝達し、他車C9の運転者に報知するようにすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、送受信部11が本発明における「伝達手段」に相当する。
【0054】
また、本実施形態においては、判断部24が自車C5と他車C9の各種情報を用いて自車C5、他車C9の何れを優先させるかを判断する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない、すなわち、例えば自車C5の後方における車両C7、C8(図2及び図4を参照)や自車C5に対向して走行する車両C10、C11(図4を参照)からの各種情報を加味して自車C5、他車C9の何れを優先させるかを判断することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0055】
更に、本実施形態においては、運転支援装置1を自車C5に搭載されるナビゲーション装置として構成する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば運転支援装置1を複数の車両に搭載されるナビゲーション装置と通信可能に設けられた集中管理サーバとして構成するようにすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、自車C5、他車C9を含む各車は自身の各種情報を集中管理サーバに送信し、集中管理サーバからは自車C5を優先させるのか、他車C9を優先させるのか、の判断結果を受信するようにすれば良い。また、集中管理サーバは各交差点に付帯する信号機の情報を最新の状態で把握するようにすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自車の前方に自車の走行する道路に進入しようとする他車がいる場合に、自車よりも先に他車を進入させた方が良いかの判断を行う運転支援装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置(運転支援装置)
12 自車位置検出部(自車位置検出手段)
14 表示案内処理部(報知手段)
15 走行道路検出部(走行道路検出手段)
16 交差点検出部(交差点検出手段)
19 進入位置設定部(進入位置検出手段)
21 第一距離検出部(第一距離検出手段)
24 判断部(判断手段)
41 信号機情報取得部(信号機情報取得手段)
51 他車検出部(他車検出手段)
52 他車位置検出部(他車位置検出手段)
C5 自車
C9 他車
R1 走行道路
IN1 前方直近交差点
TS1 信号機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の位置を検出する自車位置検出手段と、
自車が走行している道路を検出する走行道路検出手段と、
該走行道路検出手段により検出された走行道路上に存在する信号機付きの交差点を、その位置と共に検出する交差点検出手段と、
前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、
自車の前方において、前記走行道路に進入しようとしている他車を検出する他車検出手段と、
該他車検出手段により検出された他車の位置を検出する他車位置検出手段と、
該他車位置検出手段により検出された他車の位置に基づいて、他車の走行道路への進入位置を検出する進入位置検出手段と、
該進入位置検出手段により検出された進入位置から前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段と、
前記信号機情報取得手段により取得された信号機情報と前記第一距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車が前記進入位置に到達した際に自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段による判断に基づいて、その旨を運転者に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、
前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの前方直近距離を検出する前方直近距離検出手段と、を各々有し、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記前方直近距離検出手段により検出された前方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記前方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項6】
他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を更に備え、
前記判断手段は、該進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と同じ場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項7】
自車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する自車退出方向検出手段と、
他車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する他車退出方向検出手段と、を更に備え、
前記判断手段は、前記自車退出方向検出手段により検出された自車の退出方向と前記他車退出方向検出手段により検出された他車の退出方向が異なる場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報に基づき、前記前方直近交差点の信号機の点灯パターンが、全ての退出方向に対応する赤信号を介すことなく、任意の退出方向に対応する青信号から別の任意の退出方向に対応する青信号に連続して切り替わる状態(以下、「連続切替り」と言う)を有するか否かを判断し、前記連続切替りを有し、かつ、前記連続切替りが前記自車の退出方向に相当する青信号に続いて前記他車の退出方向に相当する青信号に切り替わる場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項7に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記交差点検出手段は、自車の後方における直近の信号機付き交差点を検出する後方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を後方直近信号機情報として取得する後方直近信号機情報取得手段を、
前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点までの後方直近距離を検出する後方直近距離検出手段を、各々有し、
前記判断手段は、前記後方直近信号機情報取得手段により取得された後方直近信号機情報と前記後方直近距離検出手段により検出された後方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項10】
前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、を更に各々有し、
前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項9に記載の走行支援装置。
【請求項11】
前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項10に記載の走行支援装置。
【請求項12】
前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記後方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項13】
前記他車の位置に基づいて、他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からか/対向車線側からかを検出する進入側検出手段と、
他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記進入側検出手段により他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からと検出された場合、かつ、前記進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と逆の場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項14】
前記判断手段に判断に基づいて、その旨を他車に伝達する伝達手段を更に備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項1】
自車の位置を検出する自車位置検出手段と、
自車が走行している道路を検出する走行道路検出手段と、
該走行道路検出手段により検出された走行道路上に存在する信号機付きの交差点を、その位置と共に検出する交差点検出手段と、
前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点の信号機情報を取得する信号機情報取得手段と、
自車の前方において、前記走行道路に進入しようとしている他車を検出する他車検出手段と、
該他車検出手段により検出された他車の位置を検出する他車位置検出手段と、
該他車位置検出手段により検出された他車の位置に基づいて、他車の走行道路への進入位置を検出する進入位置検出手段と、
該進入位置検出手段により検出された進入位置から前記交差点検出手段により検出された信号機付き交差点までの距離を検出する第一距離検出手段と、
前記信号機情報取得手段により取得された信号機情報と前記第一距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車が前記進入位置に到達した際に自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段による判断に基づいて、その旨を運転者に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、
前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの前方直近距離を検出する前方直近距離検出手段と、を各々有し、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記前方直近距離検出手段により検出された前方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記前方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項6】
他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を更に備え、
前記判断手段は、該進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と同じ場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項7】
自車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する自車退出方向検出手段と、
他車の前記前方直近交差点における退出方向を検出する他車退出方向検出手段と、を更に備え、
前記判断手段は、前記自車退出方向検出手段により検出された自車の退出方向と前記他車退出方向検出手段により検出された他車の退出方向が異なる場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項8】
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報に基づき、前記前方直近交差点の信号機の点灯パターンが、全ての退出方向に対応する赤信号を介すことなく、任意の退出方向に対応する青信号から別の任意の退出方向に対応する青信号に連続して切り替わる状態(以下、「連続切替り」と言う)を有するか否かを判断し、前記連続切替りを有し、かつ、前記連続切替りが前記自車の退出方向に相当する青信号に続いて前記他車の退出方向に相当する青信号に切り替わる場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項7に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記交差点検出手段は、自車の後方における直近の信号機付き交差点を検出する後方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を後方直近信号機情報として取得する後方直近信号機情報取得手段を、
前記第一距離検出手段は、前記進入位置から前記後方直近交差点検出手段により検出された自車後方の直近の信号機付き交差点までの後方直近距離を検出する後方直近距離検出手段を、各々有し、
前記判断手段は、前記後方直近信号機情報取得手段により取得された後方直近信号機情報と前記後方直近距離検出手段により検出された後方直近距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項10】
前記交差点検出手段は、自車の前方における直近の信号機付き交差点を検出する前方直近交差点検出手段を、
前記信号機情報取得手段は、前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点の信号機情報を前方直近信号機情報として取得する前方直近信号機情報取得手段を、を更に各々有し、
前記自車位置検出手段により検出された自車の位置から前記前方直近交差点検出手段により検出された自車前方の直近の信号機付き交差点までの距離を検出する第二距離検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記前方直近信号機情報取得手段により取得された前方直近信号機情報と前記第二距離検出手段により検出された距離とに基づいて、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項9に記載の走行支援装置。
【請求項11】
前記判断手段は、自車が前記進入位置を通過しても前記前方直近交差点に到達するまでに赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させるか否かを判断することを特徴とする請求項10に記載の走行支援装置。
【請求項12】
前記判断手段は、自車が前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させても、他車が前記後方直近交差点での赤信号による停止が予測される場合、自車の前記進入位置の通過に先駆けて他車を走行道路に進入させないと判断することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項13】
前記他車の位置に基づいて、他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からか/対向車線側からかを検出する進入側検出手段と、
他車の前記走行道路への進入予定方向を検出する進入予定方向検出手段、を備え、
前記判断手段は、前記進入側検出手段により他車の前記走行道路への進入が自車走行車線側からと検出された場合、かつ、前記進入予定方向検出手段により検出される進入予定方向が自車の走行方向と逆の場合、前記判断を行うことを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【請求項14】
前記判断手段に判断に基づいて、その旨を他車に伝達する伝達手段を更に備えることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の走行支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−113503(P2011−113503A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271937(P2009−271937)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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