説明

運転支援装置

【課題】車載カメラを用いて障害物に対して通過が可能か等の視覚支援をドライバーに与えて運転支援を実現する。
【解決手段】車両15に設置された前方カメラ111の画像に消失線を重畳させて表示し、進行あるいは後行方向における障害物と車両15の接触に関する予測を可視化できるようにした。これにより、ドライバーは、降車による目視、確認作業が必要であるような車両と構造物距離が近く通り抜けが困難なシーンにおいても、車室内にて直視的に接触可能性を判断することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、車載カメラを用いてドライバーに対し障害物の通過が可能か等の視覚による支援を図った運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の周辺を示す映像中、自車両からの所定距離にガイド線を表示することにより、ドライバーの距離感向上を図る運転支援が提案されている。この運転支援のためのガイド線は、あくまで道路上での距離であり、自車両と周辺構造物等、本来ドライバーが車両から降りて目視を行う必要がある微妙な距離感が必要なシーンでは役立たない。
【0003】
また、トレーラー等の大型トラックにおいては、自車両の後方等を撮像するカメラを設け、ドライバーの死角となる映像を提供する車両後方視界支援も提案されている。この車両後方視界支援は、自車両の死角における障害物の有無を確認することができるが、自車両が障害物を避けて通過が可能かどうかの判断は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−39953号公報
【特許文献2】特開2002−46533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この実施形態では、車載カメラで得た画像に、障害物の通過が可能かを示すガイド線を重ねて表示する運転支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、前方または後方の少なくともいずれかを撮像するため車両の上部に設置したカメラと、前記車両の延長線の実質的な交わりを消失点とし、該消失点に基づき水平か垂直の少なくともいずれかの方向に描かれる消失線を生成する消失線画像処理部と、前記カメラで撮像された画像上に、前記消失線を重畳させた状態の画像をモニターに表示する画像処理部と、を備える。
【0007】
また、車両の上部の前方左右または後方左右にそれぞれ配置し、少なくともいずれか一方側を撮影するためのカメラと、前記車両の延長線の実質的な交わりを消失点とし、該消失点に基づき水平および垂直方向に描かれる消失線をそれぞれ生成する消失線画像処理部と、前記カメラで撮像された画像上に、前記消失線を重畳させた状態の画像をモニターに表示する画像処理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】運転支援装置に関する第1の実施形態について説明するための平面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】運転支援装置に関する第1の実施形態の概略的なシステム構成図である。
【図4】予め記録した消失点情報の読み出しについて説明するための説明図である。
【図5】消失点と消失線について説明するための説明図である。
【図6】図4の画像に消失線を重畳させた画像の説明図である。
【図7】車両推定軌跡をカメラ画像上に描画させた例示画像である。
【図8】第1の実施形態の消失線描画処理例について説明するため説明図である。
【図9】運転支援装置に関する第2の実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。
【図10】カメラが取得した画像に消失線を描いた説明図である。
【図11】運転支援装置に関する第3の実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。
【図12】図9の右側面図(車両背面)である。
【図13】運転支援装置に関する第3の実施形態の概略的なシステム構成図である。
【図14】カメラが取得した画像の説明図である。
【図15】第3の実施形態における左前方カメラ画像に消失線を重畳させた画像例の説明図である。
【図16】第3の実施形態における右前方カメラ画像に消失線を重畳させた画像例の説明図である。
【図17】運転支援装置に関する第4の実施形態について説明するための画像に消失線を重畳させた画像例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1〜図6は、運転支援装置に関する第1の実施形態について説明するための、図1は自車両を上空から眺めた平面図、図2は図1の左側面図、図3は概略的なシステム構成図、図4はカメラ画像から消失点取得について説明するための説明図、図5は消失点と消失線について説明するための説明図、図6は図4の画像に消失線を重畳させた画像の説明図を示す。
【0011】
先ず、図1〜図3において、運転支援装置100は画像取得部11、消失線描画処理部12、画像処理部13それにモニター14から構成される。各部11〜13の機能は、コンピュータに記憶されたプログラムによって実行される。
【0012】
画像取得部11は、車両15の荷台16の前寄り幅方向中央に位置する屋根17上に、車両15の前方向きで、光軸18が路面とほぼ平行な状態で設置された固定焦点レンズのカメラ111とこのカメラ111の車両15に対する取り付け角度情報を基に予め取得した消失点データが記憶された車両消失点情報部112から構成される。
【0013】
カメラ111は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いた一般的なカメラであり、図1の一点鎖線、図2の2点鎖線で示す領域で撮像が可能である。
【0014】
車両消失点情報部112は、例えば図4に示す無限遠線である車両15の延長線15l,15rから実質的に交わる点を消失点41として管理する。ここでの消失点は、車両15の延長線15l,15rから実質的に交わる2次元座標(Xv,Yv)の位置データであり、以下ではこの2次元座標の位置データを単に消失点として説明する。
【0015】
図5に示すように、消失点は車両15の平面上に存在する平行線群1,2・・・の数だけ無数(消失点1,2・・・)に存在する。ただし、それらの平行線群が同一の平面上にある場合、全ての消失点は画像上では直線状に並び、この直線を消失線と呼ぶ。消失線は、車両平面の無限遠での収束線ということになる。つまり、消失線は車両15を無限遠方まで拡張した場合の収束線であり、障害物が消失線より内側か外側かで、その接触可否を判断するためのガイド線となる。
【0016】
この実施形態では説明を簡単にするため、カメラ111の光軸18は車両延長方向に対して平行であると仮定し、車両15は道路平面に対して平行に設置されているものとする。この場合は消失点41はカメラ画像中心になり、車両15上面の消失線は、カメラ画像中で水平な線分となる。
【0017】
取得した消失点41は、例えば車両消失点情報部112内のROM(Read Only Memory)112aに消失点情報として記憶させておき、必要に応じて読み出せるようにする。
【0018】
画像取得部11のカメラ111で撮像された画像の画像信号と車両消失点情報部112のROM112aから読み出された消失点情報は、次段の消失線描画処理部12に供給する。
【0019】
消失線描画処理部12は、入力部20から命令を受け、水平消失線52を生成する制御信号を発生させる制御部121と水平消失線52の描画データを生成する消失線描画部122から構成される。なお、入力部20の入力形態としては、キー入力タイプでもよいし、モニター14の画面上をタッチして操作するタッチパネル入力タイプでもよいし、音声入力タイプのものでも構わない。
【0020】
制御部121は、車両消失点情報部112のROM112aに記憶された消失点41を読み出し、消失線描画部122に供給する。制御部121は、消失線描画部122を制御し、消失点41を基点として水平に延びる水平消失線52を描くデータを生成する。水平消失線52の色や線の形状(実線、破線、太さ)等は、これらのデータが予め記憶された消失線描画部122のROM112aから読み出す。
【0021】
画像処理部13は、信号処理部131と画像合成部132とから構成される。信号処理部131は、カメラ111からのアナログ映像信号をデジタル変換された映像信号を、プログラム制御に基づき取得し、画像変換処理等を行うことによってカメラ画像を得る機能を備える。また、画像処理部13は消失線描画部122で生成された消失線データから水平消失線52の画像を得る機能を備える。画像合成部132は、カメラ111の画像と水平消失線52との画像合成処理を行い、図6に示すようにモニター14に表示させる。
【0022】
さらに、画像合成部132は、カメラ111を後方に向けた場合に画像を左右に反転した上でモニター14に表示したり、入力画像に例えば図7に示す予め記憶された車両15の車両推定軌跡61のデータを読み出し、カメラ画像に合成表示したりする機能を持たせてもよい。カメラが複数台ある場合にカメラ毎の画像を画像合成部132は、モニター14の1画面に並べるようにしてもよいし、シフトレバーの状態に合わせて進行方向に向けたカメラ画像のみを1または複数のモニター画面に表示させる機能を持たせてもよい。
【0023】
ここで、車両消失点情報部112のROM112aに記憶される消失点41の取得例について説明する。
【0024】
図4に示すように、消失点(Xv,Yv)=(W/2,H/2)は、モニター14上の画像幅Wに対して半分の位置W/2と画像高さHに対して半分の位置H/2との位置にあるとする。なお、Xは水平方向、Yは垂直方向を示す。この場合の消失点41は、モニター14画像のほぼ中心位置にあることを意味し、その位置を車両消失点情報部112のROM112aに記憶させてある。また、この消失点(Xv,Yv)=(W/2,H/2)に基づき水平に描かれる消失線としては、(a,b,c)=(0,1,−H/2)となる。
【0025】
そこで、図8の消失線描画のフローチャートを参照し、消失点から消失線を描画する処理例について説明する。
【0026】
ステップS1において、制御部121は入力部20から消失線描画の命令があるかを判断し、命令があった場合は、カメラ111が駆動中かを判断し(S2)、カメラ111が駆動中の場合、カメラ111で撮像された画像を、画像処理部13に送る。
【0027】
制御部12がステップS2において、カメラ111が駆動中でないと判断した場合は、カメラ111を駆動させ(S3)、ステップS4に進む。ステップS4において、制御部121は信号処理部131を制御し、カメラ111からのアナログ映像信号をデジタルに変換された映像信号を、プログラム制御に基づき取得し、画像変換処理等を行うことによってカメラ画像を得てモニター14に表示する。同時に、制御部121は、車両消失点情報部112のROM112aに記憶される消失点41のデータ[(Xv,Yv)=(W/2,H/2)]を読み出す(S5)。制御部121は、消失線描画部122を制御し、消失点に基づく水平消失線52のデータ[(a,b,c)=(0,1,−H/2)]を生成するとともに、ROM122aに記憶される色や太さ等のデータ読み出す(S6)。
【0028】
そして、ステップS7において、ドライバーは、図6に示す消失点41(Xv.Yv)を基点とした(aX+bY+c=0)で描かれる水平消失線52を生成し、カメラ111の画像と合成した状態でモニター14に描画する。
【0029】
制御部121は、水平消失線52の描画時間が設定した例えば30秒を経過したかを判断し(S8)、経過した場合は、水平消失線52をモニター14上から消去する(S9)。
【0030】
なお、水平消失線52は、入力部20から消去の命令をしない限り、消去しないようにしてもよい。また、水平消失線52描画を命令したとき既に、モニター14が表示された状態でない場合は、ステップS9においてモニター14の表示を停止させてもよい。逆に、ステップS2でモニター14が駆動中であれば、ステップS9終了後のモニター14を描画動作の前の状態とする。
【0031】
次に、車両15の前方に、図6に示すトンネル51があり、車両15がトンネル51を通過できるかどうかの判断する手順についてさらに説明する。
【0032】
まず、カメラ111をオンにし、カメラ111で撮像された画像を、画像処理部13を介して画像処理を行いモニター14で表示する。次に、図6に示す車両15の前方画像に映し出されたトンネル51に対し、自車両が通行できるかどうかの判断が微妙な場合は、ドライバーが入力部20から水平消失線52を描かせる操作を行う。
【0033】
この操作に基づき、車両消失点情報部112は、予め記憶させておいた消失点41をROM112aから読み出し、カメラ111で撮像した前方画面とともに次段の消失線描画処理部12に出力する。
【0034】
消失線描画処理部12では、入力部20からの設定によりカメラ画像に水平消失線52を重畳させるかの設定を行う。水平消失線52を描画する場合は、消失点41を車両消失点情報部112のROM112aから読み出し、消失点41を基点として水平に延びる水平消失線52を描くデータを消失線描画部122から生成する。消失線描画部122のROM122aには、予め水平消失線52の色や太さ等のデータが予め記憶しておき、これを水平消失線52の描画時に読み出し、画像処理部13に入力する。なお、消失線描画部122の水平消失線52の色や線の形状は、複数の色、複数の線の太さがROMに記憶させておき、入力部20からの設定により、線の色や太さを選択することも可能である。
【0035】
画像処理部13では、モニター14にカメラ111の画像を映し出すとともに、図6に示すカメラ画像上に水平消失線52を表示する。
【0036】
ドライバーはモニター14の画像を見てモニター14上に描かれた水平消失線52がトンネル51の高さの上か下かで、通過が可能か否かの判断が可能となる。
【0037】
なお、カメラ111を回転させ、前方用と兼用で後方の障害物に対する通過が可能かどうかを判断する場合は、カメラ111の回転に合わせて、例えば画像処理部13内に画像を左右反転させる機能を持たせることで、トライバーはモニター14に映し出される画像を違和感なく確認することができる。この場合、後方にある障害物の高さに対し、自車両が通過できるかの判断がモニター14上で判断することができる。また、車両消失点情報部112の機能は、消失線描画処理部12に持たせても構わない。
【0038】
この実施形態では、車両屋根に設置されたカメラの光軸は路面とほぼ平行な状態で設置されていることから消失点の高さは、カメラが設置された車両屋根にほば相当することになる。この消失点に基づきカメラ画像に水平に描かれる消失線に対して障害物が、下側にあれば接触となり、上側にあれば接触しないということなる。これによりドライバーは、消失線に対して障害物が上側にあるか下側にあるかで接触可否の判断ができ、本来であれば、ドライバーの降車による目視、確認作業が必要であるような、車両と構造物等の距離が近く通り抜けできるかどうかの判断が困難なシーンにおいても、車内にて直観的に接触の可能性を判断することが可能となる。
【0039】
(第2の実施形態)
図9、図10は、運転支援装置に関する第2の実施形態について説明するための、図9は概略的なシステム構成図、図10はカメラが取得した画像に消失線を描いた説明図である。この実施形態以降の説明では、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分を中心に説明する。
【0040】
この実施形態は、図9に示すように、ドライバー(右ハンドル)とは反対の車両側面91にカメラ111を設置した。ドライバーが障害物に対して、自車両の左側ボデイが通過できるか否かの判断が難しい場合が多いことから、車両側面91側のカメラ画像を表示するとともに、図10に示す垂直消失線92を描くようにした。
【0041】
すなわち、消失線描画部122には無限遠線である車両15の左側上下の延長線15u,15dが実質的に交わる点を消失点93からほぼ垂直方向に延びる垂直消失線92をカメラ111の画像と合成処理して出力し、モニター14に合成画像を映し出す。
【0042】
ドライバーは、トンネル51の幅方向に対し、車両15が通過できるかの判断が、モニター14上に描かれた垂直消失線92がトンネル51の内側にあるか外側にあるかで、通過が可能か否かの判断が可能となる。
【0043】
なお、この実施形態の場合も、カメラ111を回転させ、前方用と兼用で後方の障害物に対する通過が可能かどうかを判断する場合は、カメラ111の回転に合わせて、例えば画像処理部13内に画像を反転させる機能を持たせることで、トライバーはモニター14に映し出される画像を、違和感なく確認することができる。
【0044】
この実施形態では、車両側面(左)に設置されたカメラの光軸は車両側面とほぼ平行な状態で設置されていることから消失点は、設置されたカメラの車両側面(左)にほぼ相当する。この消失点に基づきカメラ画像に垂直に描かれた消失線に対して障害物が、内側(右側)にあれば接触し、右側にあれば接触しないということになる。これによりドライバーは、垂直消失線に対して障害物が左右どちら側にあるかで接触可否の判断ができる。本来であれば、ドライバーの降車による目視、確認作業が必要であるような、車両と構造物等の距離が近く通り抜けできるかどうかの判断が困難なシーンにおいても、車内にて直観的に接触の可能性を判断することが可能となる。
【0045】
(第3の実施形態)
図11〜図16は、それぞれ運転支援装置に関する第3の実施形態について説明するための、図11は図2に相当する側面図、図12は図11の右側面図(車両背面)、図13は概略的なシステム構成図、図14は左前方カメラが取得した画像の説明図、図15は図13の左前方カメラが取得した画像に消失線を重畳させた画像例の説明図、図16は右前方カメラが取得した画像に消失線を重畳させた画像例の説明図である。
【0046】
この実施形態は、車両15の進行方向荷台16の屋根17前方に左前方カメラ11Lf、右前方カメラ11Rfと、屋根17後方に左後方カメラ11Lr、右前方カメラ11Rfをそれぞれ設置したものである。さらに、画像処理部13内には、左後方カメラ11Lrおよび右前方カメラ11Rfは、撮像された画像を左右反転させる左右反転機能を備えている。左右反転機能は、カメラ自体に備えることも可能であるが、カメラ外に設ける構成にした場合には、前方のカメラと共通のものを用いることが可能となる。
【0047】
以下、左右前方のカメラ11Lf,11Rfで撮像された画像に、消失線描画部122で消失線を描き、画像処理部13の画像合成部132で消失線を合成する処理について説明する。なお、説明は省略するが左右後方のカメラ11Lr,11Rrについても同じような処理で消失線描画が行われる。
【0048】
すなわち、ドライバーが入力部20を操作し、左前方カメラ11Lfをオンした場合は、図15に示すこのカメラ11Lfで撮像された画像をモニター14に映し出す。そして入力部20から制御部121に消失線描画の入力があったとする。
【0049】
制御部121は消失線描画部122を制御して、図15に示す消失点141を基点として水平に伸ばして描く水平消失線142のデータを生成する。水平消失線142の色や線の形状等は、予めこれらのデータが記憶された消失線描画部122のROM122aから読み出す。
【0050】
さらに、制御部121は消失線描画部122を制御し、消失点141を基点として垂直に伸ばして描く垂直消失線143データを生成するとともに、垂直消失線143の色や線の形状等は、これらのデータが予め記憶されたROM122aから読み出す。
【0051】
信号処理部131では、消失線描画部122で生成された水平消失線データから水平消失線142の画像を得るとともに、消失線描画部122で生成された垂直消失線データから垂直消失線143の画像を得る。画像合成部132では、モニタ−14に左前方カメラ11Lfの画像と水平消失線142および垂直消失線143を合成処理して出力する。モニター14には、水平消失線142および垂直消失線143が合成された図15に示す画像を映し出す。
【0052】
同様に、右前方カメラ11Rfをオンした場合は、この左前方カメラ11Lfで撮像された図15とは角度の違った画像がモニター14に映し出す。そして、消失線描画の入力をすると制御部121は消失線描画部122を制御して、図16に示す消失点151を基点として水平に伸ばして描く水平消失線152のデータを生成する。水平消失線152の色や線の形状等は、予めこれらのデータが記憶された消失線描画部122のROM122aから読み出す。さらに、制御部121は消失線描画部122を制御し、消失点151を基点として垂直に伸ばして描く垂直消失線153データを生成するとともに、垂直消失線153の色や線の形状等は、これらのデータが予め記憶されたROM122aから読み出す。
【0053】
信号処理部131では、消失線描画部122で生成された水平消失線データから水平消失線152の画像を得るとともに、消失線描画部122で生成された垂直消失線データから垂直消失線153の画像を得る。画像合成部132では、モニタ−14に左前方カメラ11Rfの画像と水平消失線152および垂直消失線153を合成処理して出力する。モニター14には、水平消失線152および垂直消失線153が合成された図16に示す画像を映し出す。
【0054】
なお、図15に示す左前方カメラ11Lf画像の場合は、垂直消失線143の左側に通過の妨げになる樹木があり、かつこの樹木の枝が水平消失線142の下側まであることから、車両15がそのまま前進すれば、枝と接触することを示している。
【0055】
右前方カメラ11Rfオン時の場合は、モニター14から図16に示す画像を映し出す。この場合も同じように、車両上面と平行な水平消失線152を画像に描くとともに、ドライバーと反対側の車両側面と平行な垂直消失線153を画像に描くことにより、路上に突き出した枝等、通過可能かどうかの判定を行い、本来であれば、ドライバーの降車による反対側の車両側面との目視、確認作業が必要であるような、車両と構造物距離が近く通り抜けが困難なシーンにおいても車内にて直観的に接触の可能性を判断することが可能となる。
【0056】
なお、図16に示す右前方カメラ11Rf画像の場合は、垂直消失線153の右側に通過の妨げになる樹木等の障害物がないことから、車両15がそのまま前進しても何ら問題がないことを示している。
【0057】
ところで、図15および図16ともに、車両15が通過できない領域を示したハッチングは、実際のモニター14の画面上には表示してもよいが、画面が醜くなることから表示を省略している。
【0058】
なお、左右前方カメラ11Lf,11Rfのオンについては、入力部20から操作によりオンするとしたが、左右前方カメラ11Lf,11Rfおよび左右後方カメラ11Lr,11Rrを全てオン状態にしておき、画像処理部13の前後方向選択部133の選択により所望のカメラの出力を取り出すようにしてもよい。
【0059】
また、左右前方カメラ11Lf,11Rfおよび左右後方カメラ11Lr,11Rrを全てオン状態にしておき、モニター14の画面上に、前後左右のカメラの位置と対応する配置に全ての画像に水平消失線142、垂直消失線143を重畳した画像を表示させてもよい。さらに、例えばスイッチの操作により前後左右のカメラの画像を順次表示させるとともに、表示された画像に水平消失線142、垂直消失線143を重畳する方式でも構わない。
【0060】
この実施形態では、自車両の両側面、上面等の車両の無限遠線を画像に描画することにより、低い路上に突き出した枝等、通過可能かどうかの判定を行い、本来であれば、ドライバーの降車による目視、確認作業が必要であるような、車両と構造物距離が近く、通り抜けが困難なシーンにおいても車内にて直観的に接触の可能性を判断することが可能となる。
【0061】
(第4の実施形態)
図17は、運転支援装置に関する第4の実施形態について説明するための画像に消失線を重畳させた画像例の説明図である。図17は、図15に示す左前方カメラの画像領域14aと図16に示す右前方カメラの画像領域15aを合成した画像を示している。
【0062】
この実施形態は、画像処理部13において左前方カメラ11Lfで撮像された画像のうち図15に示す左前方カメラの画像領域14aと図16に示す右前方カメラ11Rfの画像領域15aを画像合成部132で合成し、モニター14に表示したものである。
【0063】
従って、モニター14の左半分には、左前方カメラ11Lfで撮像された画像に基づき求めて、予め記憶された消失点141を読み出し、消失点141を基点に水平方向に伸ばした線を水平消失線142を表示するとともに、消失点141を基点に垂直方向に伸ばした線を垂直消失線143を表示する。
【0064】
また、モニター14の右半分には、右前方カメラ11Rfで撮像された画像に基づき求めて、予め記憶された消失点151を読み出し、消失点151を基点に水平方向に伸ばした線を水平消失線152を表示するとともに、消失点151を基点に垂直方向に伸ばした線を垂直消失線153を表示している。
【0065】
これによりドライバーは、前方左右の障害物に対する通行できるかの判断がモニター14を通して確認することができる。
【0066】
なお、左右前方カメラ11Lf,11Rfについて説明したが、図13で示す画像処理部13の前後方向選択部133により左右後方カメラ11Lr,11Rr側を選択することにより、車両後方側についても同様の表示を行い車両が通過できるかどうかの支援を図ることができる。また、モニター14上下に、左右前方カメラ11Lf,11Rfと左右後方カメラ11Lr,11Rrを表示させてもよい。
【0067】
この実施形態では、同時に車両両側の上下と左右の消失線を描くことができることから、進行あるいは後行の車両の左右上下に対して、障害物を自車両が通過できるかの判断が可能となり、特に大型トレーラーのような場合には有効である。
【0068】
(第5の実施形態)
運転支援装置に関する第5の実施形態について説明する。上記した実施形態の車両消失点情報部112のROM112aに記憶される消失点は、(v,Yv)=(W/2,H/2)とした。つまり、光軸18が路面とほぼ平行な状態で設置された固定焦点レンズのカメラ111が車両15の屋根17上や車両側面91等に取り付けた状態における消失点である。
【0069】
この実施形態は、光軸18を例えば5度下向きに傾けて固定焦点レンズのカメラ111で消失点を取得するものである。下向きにカメラ111の角度を傾けた場合は、傾けた角度の分だけ消失点の位置を下方の座標となり、aX+bY+c=0のcを角度の変化に相当する値にすることで、消失線の位置を変化させることができる。5度下向きにした場合は、自車両15と障害物との間隔が広がり障害物と自車両15との位置関係が見やすくなり、通過可能かのどうかの判断がし易いものなる。
【0070】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100 運転支援装置
11 画像取得部
111 カメラ
11Lf 左前方カメラ
11Rf 右前方カメラ
11Lr 左後方カメラ
11Rr 右後方カメラ
112 車両消失点情報部
112a,122a ROM
113 車両情報処理部
12 消失線描画処理部
121 制御部
122 消失線描画部
13 画像処理部
131 信号処理部
132 画像合成部
133 前後方向選択部
14 モニター
15 車両
16 荷台
17 屋根
18 光軸
20 入力部
41,93,141,144 消失点
52,142,152 水平消失線
92,143,153 垂直消失線
91 車両側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方または後方の少なくともいずれかを撮像するため車両の上部に設置したカメラと、
前記車両の延長線の実質的な交わりを消失点とし、該消失点に基づき水平か垂直の少なくともいずれかの方向に描かれる消失線を生成する消失線画像処理部と、
前記カメラで撮像された画像上に、前記消失線を重畳させた状態の画像をモニターに表示する画像処理部と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記消失線画像処理部が、前記消失線を描画するかどうか水平か垂直方向に描画するかのいずれかに切り換える、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
車両の上部の前方左右または後方左右にそれぞれ配置し、少なくともいずれか一方側を撮影するためのカメラと、
前記車両の延長線の実質的な交わりを消失点とし、該消失点に基づき水平および垂直方向に描かれる消失線をそれぞれ生成する消失線画像処理部と、
前記カメラで撮像された画像上に、前記消失線を重畳させた状態の画像をモニターに表示する画像処理部と、を備える運転支援装置。
【請求項4】
前記消失点を2次元座標の位置データとして予め記憶した車両消失点情報部と、前記消失点を基点に、水平・垂直の少なくとも何れかに延びる前記消失線を描くデータを予め記憶した消失線描画部と、を備えた請求項1〜3のいずれかに記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−54720(P2013−54720A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18260(P2012−18260)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】