説明

過給機及び過給機の制御方法

【課題】性能の劣化を抑制できる過給機を提供する。
【解決手段】過給機は、排気ガスが供給されるタービンインペラと、タービンインペラを囲むように、排気ガスが流通するガス流路に配置された複数のノズルベーンと、ノズルベーンを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構と、支持機構に支持されたノズルベーンを所定軸回りに回転する駆動機構と、ノズルベーンの回転状態を検出する検出装置と、駆動機構によってノズルベーンが第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、検出装置の検出結果に基づいて、ノズルベーンの回転状態に異常が発生したと判断したとき、ノズルベーンを異常が発生した異常発生位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へのノズルベーンの回転を開始するように、駆動機構を制御する制御装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機及び過給機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの排気ガスを利用して圧縮機を作動させ、その圧縮機で圧縮した気体を内燃機関に供給する過給機において、下記特許文献1に開示されているような、排気ガスが流通する流路の大きさ(有効面積)を調整可能な複数のノズルベーン(可変ノズル)を備えた過給機が案出されている。
【特許文献1】特開2000−265846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排気ガスが流通する流路の大きさを調整するためにノズルベーンを回転する際、ノズルベーンの回転とともに動く可動部の少なくとも一部が摩耗していたり、あるいはその可動部に異物が存在していると、ノズルベーンの回転状態に異常が発生する可能性がある。ノズルベーンの回転状態に異常が発生した状態を放置しておくと、排気ガスが流通する流路の大きさを良好に調整できず、過給機の性能、ひいては内燃機関の性能が劣化する可能性がある。そのため、ノズルベーンの回転状態に異常が発生した場合には、そのノズルベーンの回転状態を正常な状態に戻すための処置を講ずる必要がある。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、性能の劣化を抑制できる過給機及び過給機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
本発明の第1の態様によると、排気ガスが供給されるタービンインペラと、前記タービンインペラを囲むように、前記排気ガスが流通する流路に配置された複数のノズルベーンと、前記ノズルベーンを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構と、前記支持機構に支持された前記ノズルベーンを前記所定軸回りに回転する駆動機構と、前記ノズルベーンの回転状態を検出する検出装置と、前記駆動機構によって前記ノズルベーンが第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記ノズルベーンの回転状態に異常が発生したと判断したとき、前記ノズルベーンを前記異常が発生した異常発生位置から前記第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、前記第1の方向への前記ノズルベーンの回転を開始するように、前記駆動機構を制御する制御装置と、を備えた過給機が提供される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ノズルベーンの回転状態を検出する検出装置を設けたので、駆動機構によってノズルベーンが第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、そのノズルベーンの回転状態に異常が発生した場合でも、その回転状態の異常を検出装置で検出することができる。そして、制御装置は、検出装置の検出結果に基づいて、ノズルベーンの回転状態に異常が発生したと判断したとき、ノズルベーンを、異常発生位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へ戻すように回転することによって、ノズルベーンの回転状態を正常な状態に戻すことができる。したがって、排気ガスが流通する流路の大きさを良好に調整することができ、過給機の性能の劣化を抑制することができる。
【0007】
上記態様の過給機において、前記支持機構は、前記ノズルベーンに接続された支持軸と、前記支持軸を回転可能に支持する第1部材とを含み、前記駆動機構は、前記支持軸にその一端が接続された第2部材と、前記第2部材の他端に形成された開口の内側に配置され、前記開口の内側で可動な第3部材と、前記第3部材を支持する第4部材と、前記第4部材を移動可能なアクチュエータとを含む構成を採用することができる。
【0008】
これによれば、ノズルベーンは、支持軸を回転中心として第1部材に支持される。そして、アクチュエータを用いて第4部材を移動することによって、その第4部材に支持されている第3部材、及びその第3部材を配置可能な開口を備えた第2部材を介して、支持軸を回転中心としてノズルベーンを回転させることができる。
【0009】
上記態様の過給機において、前記ノズルベーンの回転状態の異常は、前記ノズルベーンの回転の停止を含み、前記異常発生位置は、前記ノズルベーンが前記第1の方向に回転する途中で停止した回転停止位置を含み、前記検出装置は、前記ノズルベーンの回転停止位置を含む位置情報を検出可能である構成を採用することができる。
【0010】
これによれば、例えばノズルベーンの回転とともに動く可動部の摩耗、あるいは可動部における異物の存在等によって、ノズルベーンが第1の方向に回転する途中で停止した場合であっても、その回転の停止を検出装置で検出することができる。そして、制御装置は、検出装置の検出結果に基づいて、ノズルベーンの回転が停止したと判断したとき、ノズルベーンを、回転停止位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へ戻すように回転することによって、ノズルベーンの回転状態を正常な状態に戻すことができる。
【0011】
上記態様の過給機において、前記制御装置は、前記ノズルベーンを前記異常発生位置から前記第2の方向に移動した後、前記異常発生位置よりも前記第1の目標位置側であって、前記第1の目標位置とは別の第2の目標位置に向かって前記ノズルベーンの前記第1の方向への移動を開始する構成を採用することができる。
【0012】
これによれば、例えば異常発生位置と第1の目標位置との距離(回転量)によらずに、ノズルベーンの回転状態を短時間で正常な状態に戻すことができる。
【0013】
上記態様の過給機において、前記第2の目標位置は、前記第2の方向に移動が完了した位置と前記第1の目標位置との間の位置である構成を採用することができる。
【0014】
さらに、前記第2の目標位置は、前記異常発生位置と前記第1の目標位置との間の位置である構成を採用することができる。
【0015】
これによれば、ノズルベーンの回転状態を短時間で正常な状態に戻すことができる。
【0016】
上記態様の過給機において、前記制御装置は、前記ノズルベーンを前記第2の方向に所定量回転する動作と、再度前記第1の方向への回転を開始する動作とを、予め定められた所定回数繰り返す構成を採用することができる。
【0017】
これによれば、ノズルベーンの回転状態に異常が発生した場合でも、そのノズルベーンの回転状態を正常な状態に良好に戻すことができる。
【0018】
本発明の第2の態様によると、排気ガスが供給されるタービンインペラと、前記タービンインペラを囲むように、前記排気ガスが流通する流路に配置された複数のノズルベーンと、前記ノズルベーンを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構と、前記支持機構に支持された前記ノズルベーンを前記所定軸回りに回転する駆動機構とを備えた過給機の制御方法であって、前記駆動機構によって前記ノズルベーンを回転する際の前記ノズルベーンの回転方向における目標位置を設定する動作と、前記ノズルベーンを前記目標位置に配置するために前記駆動機構によって前記ノズルベーンを第1の方向に回転する動作と、前記ノズルベーンが前記目標位置に向かって前記第1の方向に回転する途中で、前記ノズルベーンの回転状態を検出装置を用いて検出する動作と、前記検出結果に基づいて、前記ノズルベーンの回転状態に異常が発生したかどうかを判断する動作と、前記異常が発生したと判断したとき、前記ノズルベーンを前記異常が発生した異常発生位置から前記第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転する動作と、前記第2の方向に前記ノズルベーンを回転した後、再度前記第1の方向への前記ノズルベーンの回転を開始する動作と、を含む制御方法が提供される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、駆動機構によってノズルベーンが第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、そのノズルベーンの回転状態に異常が発生した場合でも、その回転状態の異常を検出装置で検出することができる。そして、検出装置の検出結果に基づいて、ノズルベーンの回転状態に異常が発生したと判断したとき、ノズルベーンを、異常発生位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へ戻すように回転することによって、ノズルベーンの回転状態を正常な状態に戻すことができる。したがって、排気ガスが流通する流路の大きさを良好に調整することができ、過給機の性能の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異常が発生したノズルベーンの回転状態を正常な状態に戻すことができる。したがって、過給機の性能の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0022】
図1は、本実施形態に係る過給機(ターボーチャージャ)1を示す概略構成図である。図1において、過給機1は、排気ガスが供給されるタービンインペラ2と、タービンインペラ2を囲むように、排気ガスが流通するガス流路3に配置された複数のノズルベーン4と、ノズルベーン4のそれぞれを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構5と、支持機構5に支持されたノズルベーン4を所定軸回りに回転する駆動機構6と、ノズルベーン4の回転状態を検出する検出装置7と、駆動機構6を含む過給機1全体を制御する制御装置8とを備えている。制御装置8には、時間を計測可能なタイマー9と、過給機1の動作に関する各種情報を記憶した記憶装置10とが接続されている。
【0023】
本実施形態においては、過給機1には、例えば特開2000−265846号公報に開示されているように、内燃機関からの排気ガスが供給される。過給機1は、タービンインペラ2を収容するハウジング(不図示)を備えており、ガス流路3は、ハウジングとタービンインペラ2との間において、タービンインペラ2を囲むように環状に形成されている。内燃機関からの排気ガスは、ハウジングに形成された導入口を介して、ガス流路3に供給される。過給機1のタービンインペラ2には、ガス流路3を介して、内燃機関からの排気ガスが供給される。
【0024】
タービンインペラ2は、内燃機関から供給される排気ガスによって回転し、そのタービンインペラ2に連結された軸部材を回転させる。軸部材は圧縮機に連結されており、軸部材が回転することによって、圧縮機が作動する。圧縮機は、気体を圧縮可能であり、圧縮機によって圧縮された高圧の気体は、内燃機関に供給される。本実施形態においては、タービンインペラ2は、X軸とほぼ平行な回転軸Jを回転中心として回転する。
【0025】
ノズルベーン4は、タービンインペラ2を囲むように、排気ガスが流通するガス流路3に複数配置されている。ノズルベーン4のそれぞれは、支持軸51を回転中心として回転可能であり、回転することによって、排気ガスが流通するガス流路3の大きさ(有効面積)を調整可能である。すなわち、本実施形態の過給機1は、タービンインペラ2を囲むようにガス流路3に配置され、そのガス流路3の大きさを調整するために可動な複数のノズルベーン4を備えた、いわゆるマルチベーン方式の過給機である。本実施形態においては、支持軸51はX軸とほぼ平行であり、ノズルベーン4のそれぞれは、X軸とほぼ平行な支持軸51を回転中心として回転(傾斜)する(図1中、矢印K1参照)。
【0026】
支持機構5は、ノズルベーン4に接続された支持軸51と、支持軸51を回転可能に支持する支持プレート52とを備えている。ノズルベーン4は、支持軸51の一端に固定されている。支持プレート52は、タービンインペラ2を囲むように、過給機1のハウジングに固定されている。支持軸51は、支持プレート52に形成された孔の内側に、回転可能に配置されている。
【0027】
駆動機構6は、支持軸51にその一端が接続されたアーム部材61と、アーム部材61の他端に形成された開口(凹部)61Kの内側に配置され、その開口61Kの内側で可動なジョイント部材62と、ジョイント部材62を支持する駆動プレート(駆動リング)63と、駆動プレート63を移動可能なアクチュエータ64とを備えている。
【0028】
アーム部材61は、支持軸51の他端に固定されている。アーム部材61は、YZ平面内(支持軸51によって形成されるノズルベーン4の回転軸とほぼ垂直な平面内)において、略Y字状であり、支持軸51に固定された固定部61Aと、回転軸Jに対して固定部61Aよりも離れた位置に配置され、開口(凹部)61Kが形成された二股部61Bとを含む。
【0029】
駆動プレート63は、支持プレート52をガイドとして環状に形成されている。駆動プレート63は、アーム部材61に対して可動である。駆動プレート63は、タービンインペラ2とほぼ同心に配置されており、X軸とほぼ平行な回転軸Jを回転中心として回転(傾斜)可能である。
【0030】
ジョイント部材62は、駆動プレート63に固定されており、アーム部材61の開口61Kの内側に配置される。本実施形態においては、ジョイント部材62は、YZ平面内(支持軸51によって形成されるノズルベーン4の回転軸とほぼ垂直な平面内)において矩形状(長方形状、又は正方形状)である。
【0031】
また、駆動機構6は、アクチュエータ64に接続された作動軸65と、作動軸65の一部と駆動レバー66を含むリンク機構を介して接続されたアーム部材67と、駆動プレート63の所定位置に固定され、アーム部材67に形成された開口67Kの内側に配置されるジョイント部材68とを備えている。
【0032】
本実施形態においては、アクチュエータ64は、回転モータを含む。制御装置8は、所定の電力供給装置からアクチュエータ64に電力を供給することによって、そのアクチュエータ64を駆動する。回転モータを含むアクチュエータ64が駆動することによって、作動軸65が移動する。本実施形態においては、アクチュエータ64が駆動することによって、作動軸65が、Z軸方向に移動する(図1中、矢印K2参照)。
【0033】
アクチュエータ64が作動し、作動軸65が移動することによって、アーム部材67が、回転軸69を回転中心としてθX方向に回転(傾斜)し、そのアーム部材67の回転(移動)に伴って、駆動プレート63が、支持プレート52に対して、回転軸Jを回転中心として回転(傾斜)する(図1中、矢印K3、K4参照)。
【0034】
ジョイント部材62は駆動プレート63に接続されており、アクチュエータ64によって駆動プレート63が回転軸Jを回転中心としてθX方向に回転すると、その駆動プレート63の回転に伴って、ジョイント部材62が駆動プレート63と一緒に、回転軸Jを回転中心としてθX方向に移動する。ジョイント部材62がθX方向に移動すると、アーム部材61の二股部61Bは、ジョイント部材62に押されて、θX方向に移動する。アーム部材61の回転中心は支持軸51であり、ジョイント部材62の移動に伴って、アーム部材61は、支持軸51を回転中心としてθX方向に回転(傾斜)する。
【0035】
上述のように、ノズルベーン4は支持軸51の一端に固定され、アーム部材61は支持軸51の他端に固定されており、ノズルベーン4と支持軸51とアーム部材61とは一体である。したがって、アーム部材61が回転すると、そのアーム部材61の回転に伴って、支持軸51がアーム部材61と一緒に、θX方向に回転するとともに、その支持軸51の回転に伴って、ノズルベーン4が支持軸51と一緒に、支持軸51を回転中心としてθX方向に回転(傾斜)する。
【0036】
このように、制御装置8は、アクチュエータ64を駆動することによって、駆動プレート63、ジョイント部材62、及びアーム部材61を介して、ノズルベーン4を、支持軸51を回転中心として、θZ方向に回転(傾斜)することができる。
【0037】
本実施形態においては、駆動プレート63の回転方向(θX方向)におけるジョイント部材62の外側面62Sと、そのジョイント部材62の外側面62Sと対向するアーム部材61の開口61Kの内側面61Tとは、ほぼ平行であり、ジョイント部材62がθX方向に移動すると、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tがジョイント部材62の外側面62Sに押され、アーム部材61の二股部61BがθX方向に移動する。ジョイント部材62の外側面62Sとアーム部材61の開口61Kの内側面61Tとがほぼ平行であるので、ジョイント部材62の外側面62Sと、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tとの接触面積が大きくなる。これにより、駆動プレート63の回転方向(θX方向)に関して、ジョイント部材62からアーム部材61に対して力を良好に伝達することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、駆動機構6は、アーム部材67の回転を所定範囲内に規制するためのストッパ部材70を備えている。本実施形態においては、ストッパ部材70は、ハウジングの所定位置に固定されている。
【0039】
検出装置7は、ノズルベーン4の回転状態を検出する。本実施形態においては、検出装置7は、ノズルベーン4の位置情報を検出可能である。
【0040】
本実施形態においては、検出装置7は、位置情報を検出可能な位置検出センサを含む。本実施形態においては、位置検出センサを含む検出装置7は、アクチュエータ64の駆動部材の駆動量を検出する。制御装置8は、その検出装置7の検出結果に基づいて、ノズルベーン4の回転量(位置情報)を検出可能である。アクチュエータ64の駆動部材は、例えば、作動軸65と連結されるアクチュエータ(回転モータ)64の出力軸を含む。
【0041】
ここで、アクチュエータ64の駆動部材の駆動量は、所定の基準位置に対する駆動部材の相対位置を意味する。ノズルベーン4の回転量は、所定の基準位置に対するノズルベーン4の回転方向の相対位置(所定の基準位置に対するノズルベーン4の回転角度)を意味する。
【0042】
位置検出センサを含む検出装置7の検出結果(アクチュエータ64の駆動部材の駆動量に関する情報)は、制御装置8に出力される。アクチュエータ64の駆動部材の駆動量とノズルベーン4の回転量との関係は、例えば設計値上既知であり、その関係に関する情報は、記憶装置10に予め記憶されている。制御装置8は、検出装置7を用いてアクチュエータ64の駆動部材の駆動量を検出し、その検出装置7の検出結果と、記憶装置10に記憶されている上述の関係とに基づいて、ノズルベーン4の回転量を検出可能である。なお、アクチュエータ64の駆動部材の駆動量とノズルベーン4の回転量との関係は、例えば予備実験及びシミュレーションの少なくとも一方を用いて予め求めることができ、その求めた関係を記憶装置10に記憶してもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、検出装置7は、電力を検出可能(モニタ可能)な電力計を含む。本実施形態においては、電力計を含む検出装置7は、アクチュエータ64に供給される電力を検出する。
【0044】
ここで、検出装置7が検出する電力は、アクチュエータ64に供給される電流の大きさ、及びアクチュエータ64に印加される電圧の少なくとも一方を含む。検出装置7の電力計は、電流計及び電圧計の少なくとも一方を含む。
【0045】
電力計を含む検出装置7の検出結果(アクチュエータ64に供給される電力に関する情報)は、制御装置8に出力される。アクチュエータ64に供給される電力とアクチュエータ64の駆動部材の駆動量との関係は、例えば設計値上既知であり、アクチュエータ64の駆動部材の駆動量とノズルベーン4の回転量との関係も、例えば設計値上既知であり、それらの関係に関する情報は、記憶装置10に予め記憶されている。なお、アクチュエータ64に供給される電力とノズルベーン4の回転量との関係は、例えば予備実験及びシミュレーションの少なくとも一方を用いて予め求めることができ、その求めた関係を記憶装置10に記憶してもよい。
【0046】
本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7を用いて、アクチュエータ64の駆動部材の駆動量、及びアクチュエータ64に供給される電力の少なくとも一方を検出し、その検出結果を用いて、ノズルベーン4の回転量(位置情報)を求める。
【0047】
また、本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7の位置検出センサの検出結果に基づいて、アーム部材61が所望の位置に配置されるようにアクチュエータ64に供給する電力の値を決定し、その決定された値の電力をアクチュエータ64に供給する、いわゆるフィードバック制御を行う。制御装置8は、電力計でアクチュエータ64に供給される電力をモニタしつつ、そのアクチュエータ64に電力を供給する。
【0048】
次に、圧縮機1の動作の一例について説明する。ここで、以下の説明においては、各部材が、図中、Y軸からZ軸へ向かう向き(−X方向から各部材を見た場合、時計回り)への回転方向を適宜、+θX方向、と称し、その逆方向(−X方向から各部材を見た場合、反時計回り)を適宜、−θX方向、と称する。
【0049】
制御装置8は、例えば、駆動プレート63が+θX方向に回転するように、アクチュエータ64を駆動する(図1中、矢印K3参照)。支持プレート52に対して駆動プレート63が+θX方向に回転すると、ジョイント部材62がアーム部材61の二股部61Bを+θX方向に移動する。アーム部材61の二股部61Bが+θX方向に移動すると、そのアーム部材61が支持軸51を回転中心として+θX方向に回転し、ノズルベーン4も+θX方向に回転する。ノズルベーン4のそれぞれが+θX方向に回転することによって、互いに隣り合うノズルベーン4どうしが離れ、ガス流路3の大きさ(有効面積)が大きくなる。
【0050】
一方、制御装置8は、駆動プレート63が−θX方向に回転するように、アクチュエータ64を駆動する(図1中、矢印K4参照)。支持プレート52に対して駆動プレート63が−θX方向に回転すると、ジョイント部材62がアーム部材61の二股部61Bを−θX方向に移動する。アーム部材61の二股部61Bが−θX方向に移動すると、そのアーム部材61が支持軸51を回転中心として−θX方向に回転し、ノズルベーン4も−θX方向に回転する。ノズルベーン4のそれぞれが−θX方向に回転することによって、互いに隣り合うノズルベーン4どうしが近づき、ガス流路3の大きさ(有効面積)が小さくなる。
【0051】
本実施形態においては、内燃機関からの排気ガスは、ガス流路3を介して、図1中、破線矢印Fで示す方向に流れ、ガスタービンインペラ2に供給される。ノズルベーン4によってガス流路3の有効面積が大きくなると、排気ガスはタービンインペラ2に流入し易くなる。一方、ノズルベーン4によってガス流路3の有効面積が小さくなると、排気ガスはタービンインペラ2に流入し難くなる。
【0052】
制御装置8は、例えば内燃機関の回転数等、内燃機関の運転状態に応じて、ガス流路3に配置されているノズルベーン4のそれぞれを支持軸51を回転中心として回転し、タービンインペラ2に供給される排気ガスが流通するガス流路3の大きさ(有効面積)を調整する。例えば、制御装置8は、排気ガスの流量が多くなる高負荷・高回転領域において、ガス流路3の有効面積を大きくするように、ノズルベーン4を+θX方向に回転にする。一方、制御装置8は、排気ガスの流量が少なくなる低負荷・低回転領域において、ガス流路3の有効面積を小さくするように、ノズルベーン4を−θX方向に回転にする。
【0053】
ところで、内燃機関の運転状態に応じて、ノズルベーン4を回転するために駆動機構6を駆動することによって、ノズルベーン4の回転とともに動く可動部の少なくとも一部が摩耗する可能性がある。例えば、ノズルベーン4を所望の位置に配置するために、+θX方向及び−θX方向のそれぞれへの駆動プレート63の回転(傾斜)を繰り返すと、アーム部材61及びジョイント部材62の少なくとも一方が摩耗する可能性がある。
【0054】
図2は、駆動プレート63の回転に伴って、アーム部材61が+θX方向及び−θX方向のそれぞれに回転している状態を示す模式図である。上述のように、本実施形態においては、ジョイント部材62からアーム部材61に対して力を良好に伝達するために、すなわち、ジョイント部材62の外側面62Sと、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tとの接触面積を大きくするために、YZ平面内におけるジョイント部材62の形状が矩形状になっている。また、ジョイント部材62からアーム部材61に対して力を良好に伝達するために、ジョイント部材62の外側面62Sと、そのジョイント部材62の外側面62Sと対向するアーム部材61の開口61Kの内側面61Tとが、ほぼ平行となっている。
【0055】
駆動プレート63を回転した場合、その駆動プレート63の回転に伴って、アーム部材61も回転するが、上述のように、駆動プレート63の回転中心は回転軸Jであり、アーム部材61の回転中心は支持軸51である。すなわち、本実施形態においては、駆動プレート63の回転中心と、アーム部材61の回転中心とは異なる。その場合、駆動プレート63の回転に伴って、ジョイント部材62が+θX方向及び−θX方向の少なくとも一方に回転した場合、ジョイント部材62が、アーム部材61の開口61Kの内側で、支持軸51に近づく方向及び離れる方向の少なくとも一方に移動する(スライドする)。
【0056】
すなわち、図2において、例えば、アーム部材61が実線で示す中央の第1の位置に配置されている状態においては、ジョイント部材62とアーム部材61の開口61Kのエッジとの距離はD1であるが、アーム部材61が、その第1の位置に配置されている状態から、+θX方向及び−θX方向の少なくとも一方に回転(傾斜)し、図2において、二点鎖線で示す第2、第3の位置に配置されている状態においては、ジョイント部材62とアーム部材61の開口61Kのエッジとの距離D2、D3は、距離D1よりも大きくなる。
【0057】
ジョイント部材62が、アーム部材61の開口61Kの内側で、支持軸51に近づく方向及び離れる方向の少なくとも一方に移動する(スライドする)状況が多く発生し、ジョイント部材62の外側面62Sと、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tとが擦れ合う状況が多く発生すると、ジョイント部材62の外側面62S及びアーム部材61の開口61Kの内側面61Tの少なくとも一方が摩耗する可能性がある。
【0058】
すなわち、ノズルベーン4を回転するために駆動機構6が頻繁に駆動すると、アーム部材61とジョイント部材62との相対位置が頻繁に変化して、ジョイント部材62の外側面62S及びアーム部材61の開口61Kの内側面61Tの少なくとも一方が摩耗する可能性がある。また、アーム部材61とジョイント部材62との相対位置の変化のみならず、ノズルベーン4の位置(アーム部材61とジョイント部材62との相対位置)を固定した状態において、内燃機関の作動を継続している状況においても、その内燃機関の作動に起因する振動等によって、ジョイント部材62の外側面62S及びアーム部材61の開口61Kの内側面61Tの少なくとも一方が摩耗する可能性がある。
【0059】
図3は、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tが摩耗した状態を示す模式図である。図3に示すように、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tが摩耗した状態、あるいはジョイント部材62の外側面62Sが摩耗した状態においては、ジョイント部材62が、アーム部材61の開口61Kの内側で、支持軸51に近づく方向及び離れる方向の少なくとも一方に円滑に移動(スライド)できなくなる可能性がある。すなわち、本実施形態においては、ノズルベーン4を回転するために駆動機構6を駆動した場合、その駆動に伴ってアーム部材61とジョイント部材62との相対位置が変化するが、ジョイント部材62の外側面62S及びアーム部材61の開口61Kの内側面61Tの少なくとも一方が摩耗し、外側面62S及び内側面61Tの少なくとも一方に凹凸部が形成されるなど、その形状が異常な状態になると、アーム部材61とジョイント部材62との相対位置の変化が円滑に実行されなくなる可能性がある。具体的には、アーム部材61とジョイント部材62とが相対的に移動している途中で、例えばジョイント部材62が、アーム部材61の開口61Kの内側面61Tに形成された凹凸部に引っかかる現象(以下適宜、‘引っかかり現象’、と称する)が生じたり、あるいは停止したりして、ジョイント部材62が円滑に移動できなくなる可能性がある。
【0060】
また、アーム部材61の開口61Kとジョイント部材62との間に、カーボン、金属等の異物が付着する可能性もある。アーム部材61の開口61Kとジョイント部材62との間に異物が存在することによっても、ノズルベーン4を回転するために駆動機構6を駆動した場合において、アーム部材61とジョイント部材62との相対位置の変化が円滑に実行されない可能性がある。
【0061】
また、アーム部材67に形成された開口67Kとジョイント部材68との間においても、上述のような磨耗および異物等により相対位置の変化が円滑に実行されない可能性がある。
【0062】
このように、排気ガスが流通するガス流路3の大きさ(有効面積)を調整するために、駆動機構6を用いてノズルベーン4を回転(傾斜)する際、ノズルベーン4の回転とともに動くアーム部材61及びジョイント部材62の少なくとも一方が摩耗していたり、あるいはアーム部材61とジョイント部材62との間に異物が存在していると、アーム部材61とジョイント部材62との相対位置の変化を円滑に実行できず、ノズルベーン4の回転速度が遅くなる等、ノズルベーン4を正常に回転させることができなくなったり、回転の途中でノズルベーン4が停止してしまったりするなど、ノズルベーン4の回転状態に異常が発生する可能性がある。ノズルベーン4の回転状態に異常が発生した場合、ノズルベーン4を所望の位置に配置することができなくなったり、ガス流路3の大きさ(有効面積)を所望の大きさに調整することができなくなったりする不具合が生じる可能性がある。
【0063】
そこで、本実施形態においては、制御装置8は、内燃機関の運転状態に応じて、ガス流路3の大きさ(有効面積)を調整するために、駆動機構6によってノズルベーン4を第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、検出装置7の検出結果に基づいて、ノズルベーン4の回転状態に異常が発生したと判断したとき、ノズルベーン4を異常が発生した異常発生位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へのノズルベーン4の回転を開始するように、駆動機構6を制御する。
【0064】
図4及び図5は、駆動機構6の動作の一例を示す模式図である。制御装置8は、駆動機構6を用いてノズルベーン4の位置(回転量)を調整するが、上述のように、ノズルベーン4とアーム部材61とは一体であり、ノズルベーン4の位置(回転量)とアーム部材61の位置(回転量)とは対応関係にある。そこで、以下の説明においては、説明を簡単にするために、制御装置8がアーム部材61の位置(回転量)を制御する場合を例にして説明する。
【0065】
本実施形態においては、ノズルベーン4の可動範囲が予め定められ、アーム部材61にも、ノズルベーン4の可動範囲に応じた可動範囲が予め定められている。以下の説明において、ノズルベーン4の可動範囲のうち、ガス流路3の大きさ(有効面積)を最も大きくすることができるノズルベーン4の位置を適宜、‘全開位置’、と称し、ガス流路3の大きさ(有効面積)を最も小さくすることができるノズルベーン4の位置を適宜、‘全閉位置’、と称する。
【0066】
また、以下の説明において、アーム部材61の可動範囲のうち、ノズルベーン4の全開位置に対応するアーム部材61の位置を適宜、‘100%位置’、と称し、ノズルベーン4を全閉位置に対応するアーム部材61の位置を適宜、‘0%位置’、と称する。
【0067】
また、以下の説明において、アーム部材61の可動範囲内におけるそのアーム部材61の位置を、0%位置を基準とした可動範囲の割合として表す。例えば、0%位置から100%位置に向かう方向に可動範囲の10%だけ進んだ位置を、‘10%位置’、と表し、0%位置から100%位置に向かう方向に可動範囲の90%だけ進んだ位置を、‘90%位置’、と表す。
【0068】
また、以下の説明において、アーム部材61が0%位置から100%位置に向かう方向を適宜、‘開方向’、と称し、アーム部材61が100%位置から0%位置に向かう方向を適宜、‘閉方向’、と称する。
【0069】
また、以下の説明において、アーム部材61の可動範囲内におけるそのアーム部材61の回転量(回転角度)を、可動範囲の割合として表す。例えば、アーム部材61の可動範囲内における所定位置(例えば50%位置)から、開方向(100%位置に向かう方向)に、アーム部材61の可動範囲の15%だけアーム部材61を回転した場合を、‘開方向に15%回転する’、と表し、アーム部材61の可動範囲内における所定位置から、閉方向(0%位置に向かう方向)に、アーム部材61の可動範囲の20%だけアーム部材61を回転した場合を、‘閉方向に20%回転する’、と表す。
【0070】
図4(A)は、一例として、アーム部材61が90%位置に配置されている状態を示す模式図である。図4(A)に示す状態から、例えば内燃機関の運転状態に応じて、アーム部材61(ひいてはノズルベーン4)を、第1の目標位置として10%位置まで回転する場合について考える。制御装置8は、駆動機構6のアクチュエータ64を駆動して、図4(A)に示す状態から、アーム部材61を10%位置に向かって閉方向に回転する。
【0071】
アーム部材61が10%位置に向かって閉方向に回転する途中で、上述のような摩耗又は異物の存在等の不具合が生じていると、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態に異常が発生する可能性がある。本実施形態においては、図4(B)に示すように、アーム部材61が10%位置に向かって閉方向に回転する途中で、60%位置において、アーム部材61の回転状態に異常が発生した場合を例にして説明する。すなわち、本実施形態においては、アーム部材61の回転状態に異常が発生した異常発生位置は、60%位置である。
【0072】
また、本実施形態においては、発生した異常が、アーム部材61が閉方向に回転する途中で停止する異常である場合を例にして説明する。すなわち、本実施形態においては、アーム部材61の回転が停止した回転停止位置は、60%位置である。
【0073】
アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態の異常は、検出装置7によって検出可能である。検出装置7は、アーム部材61の回転状態の異常が発生した異常発生位置を検出可能である。上述のように、検出装置7は位置検出センサを含み、アーム部材61が閉方向に回転する途中で、そのアーム部材61の回転が停止した回転停止位置を検出可能である。
【0074】
制御装置8は、アーム部材61の回転に異常が発生したと判断したとき(アーム部材61の回転が停止したと判断したとき)、図5(A)に示すように、アーム部材61を、回転停止位置(異常発生位置)から、閉方向とは反対の開方向へ所定量回転する。本実施形態においては、制御装置8は、アーム部材61を、異常発生位置(60%位置)から開方向に予め定められた第1の量だけ回転する。
【0075】
ここで、以下の説明においては、回転停止位置(異常発生位置)から開方向(第2の方向)に第1の量だけ回転した位置を適宜、‘リカバリー開始位置’、と称する。
【0076】
本実施形態においては、第1の量は15%であり、制御装置8は、アーム部材61を、異常発生位置(60%位置)から開方向に15%回転する。アーム部材61は75%位置に配置される。すなわち、本実施形態においては、アーム部材61のリカバリー開始位置は、75%位置である。
【0077】
そして、制御装置8は、閉方向へのアーム部材61(ノズルベーン4)の回転を開始するように、駆動機構6を制御する。すなわち、制御装置8は、アーム部材61を、異常発生位置(60%位置)から開方向に第1の量(15%)だけ回転してリカバリー開始位置(75%位置)に配置した後、閉方向へ戻すように回転する。
【0078】
本実施形態においては、制御装置8は、アーム部材61(ノズルベーン4)を異常発生位置(60%位置)から開方向に第1の量(15%)だけ移動した後、異常発生位置よりも第1の目標位置(10%位置)側、すなわち異常発生位置を超えた側であって、第1の目標位置とは別の第2の目標位置に向かって、アーム部材61の閉方向への移動を開始する。本実施形態においては、第2の目標位置は、異常発生位置(60%位置)と第1の目標位置(10%位置)との間に設定される。本実施形態においては、図5(B)に示すように、制御装置8は、異常発生位置(60%位置)から閉方向に、予め定められた第2の量だけ超えた位置を第2の目標位置として、アーム部材61の閉方向への移動を開始する。本実施形態においては、第2の量は5%であり、制御装置8は、異常発生位置(60%位置)から閉方向に5%超えた位置、すなわち、55%位置を第2の目標位置として、アーム部材61の閉方向への移動を開始する。
【0079】
本実施形態においては、アーム部材61を第1の目標位置に向かって閉方向に回転する途中で、引っかかり現象等が生じて、アーム部材61の回転が停止してしまった場合であっても、その回転停止位置から、一旦アーム部材61を開方向へ戻すように回転した後、再び、アーム部材61の閉方向への回転を実行することによって、引っかかり現象等を解除することができ、アーム部材61の回転状態を正常な状態に戻すことができる。
【0080】
すなわち、閉方向への回転を再実行することによって、引っかかり現象等に起因するアーム部材61の回転の停止等の不具合を解消することができる。引っかかり現象等に起因するアーム部材61の回転の停止が解除された後、アーム部材61は、第1の目標位置まで円滑に回転することができる。また、アーム部材61とジョイント部材62との間に異物が存在していても、アーム部材61の回転(アーム部材61とジョイント部材62との相対位置の変化)によって、その異物を排除できる。
【0081】
なお、上述の実施形態においては、第2の目標位置を異常発生位置と第1の目標位置との間に設定したが、第2の目標位置を異常発生位置とリカバリー開始位置との間に設定してもよい。
【0082】
このように設定することで、それまで移動可能であったリカバリー開始位置から第2の目標位置に移動する範囲で、移動が不可能となったことがわかれば、アクチュエータの故障が原因の一つとして推定できる。
【0083】
また、リカバリー開始位置から第2の目標位置に移動する範囲では移動ができ、その後、再度、異常発生位置で引っかかりが生じたのであれば、支持機構、ノズルベーンに主に異常の原因があることが推定できる。
【0084】
このように、第2の目標位置を異常発生位置とリカバリー開始位置との間に設定することにより、移動状況から異常箇所の推定が可能となる。
【0085】
次に、圧縮機1の制御方法の一例について、図6のフローチャート、及び図7のグラフ(タイミングチャート)を参照しながら説明する。図7は、アーム部材61の位置と時間との関係、及びアクチュエータ64に供給される電力と時間との関係を示す図であり、横軸は時間、縦軸はアーム部材61の位置、及びアクチュエータ64に供給される電力である。また、図7において、破線L1はアーム部材61の目標位置を示し、実線L2はアーム部材61の実際の位置を示す。
【0086】
また、以下の説明において、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態を正常な状態に戻すための、アーム部材61を開方向(第2の方向)に第1の量回転する動作、及び再度閉方向(第1の方向)への回転を開始する動作を適宜、‘リカバリー動作’、と称する。
【0087】
まず、内燃機関の始動とともに、過給機1が始動される(ステップS1)。なお、本実施形態においては、内燃機関及び過給機1の停止時に、ノズルベーン4は全閉位置に配置されており、アーム部材61は0%位置に配置されている。そして、制御装置8は、始動直後、過給機1の初期化動作を実行する(ステップS2)。
【0088】
初期化動作は、可動範囲の全てに亘ってアーム部材61を動かす動作を含む。本実施形態においては、0%位置に配置されていたアーム部材61を、一旦100%位置まで大きく移動させる動作を含む。
【0089】
また、初期化動作は、検出装置7のキャリブレーション動作を含む。上述のように、検出装置7は、位置検出センサを含み、その位置検出センサは、所定の基準位置に対するアクチュエータ64の駆動部材の相対位置を検出することによって、所定の基準位置に対するアーム部材61(ノズルベーン4)の回転方向の相対位置を検出する。したがって、初期化動作において、位置検出センサの検出基準位置を設定する動作が実行される。本実施形態においては、制御装置8は、ストッパ部材70によって駆動プレート63の回転が停止される位置までその駆動プレート63を閉方向に回転し、その停止した位置を基準位置、すなわち0%位置として設定する。
【0090】
また、初期化動作において、カウンタnも初期化され、ゼロに設定される。
【0091】
そして、制御装置8は、内燃機関の運転状態に応じて、駆動機構6によってアーム部材61を回転する際のアーム部材61の回転方向における第1の目標位置を設定する(ステップS3)。
【0092】
制御装置8は、アーム部材61(ノズルベーン4)を第1の目標位置に配置するために駆動機構6によってアーム部材61を回転する動作を開始する(ステップS4)。ここでは、図4を参照して説明したように、90%位置に配置されている状態のアーム部材61を10%位置に配置するために、制御装置8は駆動機構6を用いて、アーム部材61を閉方向に回転する。
【0093】
制御装置8は、少なくともアーム部材61が10%位置(第1の目標位置)に向かって閉方向に回転する途中で、そのアーム部材61の回転状態(位置情報)を、検出装置7を用いて検出(モニタ)する。
【0094】
制御装置8は、検出装置7の検出結果に基づいて、アーム部材61の回転状態に異常が発生したかどうかを判断する(ステップS5)。本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7の検出結果に基づいて、アーム部材61の回転が停止したかどうかを判断する。
【0095】
上述のように、検出装置7は、位置検出センサ及び電力計を含み、制御装置8は、検出装置7の位置検出センサの検出結果に基づいて、アーム部材61の回転が停止したかどうかを判断できる。また、本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7の電力計の検出結果も用いて、アーム部材61の回転が停止したかどうかを判断する。
【0096】
アーム部材61が停止した場合、制御装置8は、アーム部材61を動かすために、すなわちアクチュエータ64の駆動力を増大させるために、アクチュエータ64に供給する電力(例えば電流)を増大させる。上述のように、本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7の位置検出センサの検出結果に基づいて、アーム部材61が所望の位置に配置されるようにアクチュエータ64に供給する電力を決定し、その決定された電力をアクチュエータ64に供給する、いわゆるフィードバック制御を行っている。アーム部材61の停止状態が続くと、図7の線L3で示すように、アクチュエータ64に供給される電力が所定値(例えば供給可能な最大電力)で飽和状態となり、一定の値となる。本実施形態においては、制御装置8は、検出装置7の位置検出センサを用いてアーム部材61の位置をモニタしつつ、アクチュエータ64に供給される電力が一定の値となる状態が予め定められた所定時間T1(例えば3秒間)継続した場合、アーム部材61の回転が停止したと判断する。本実施形態においては、制御装置8にはタイマー9が接続されており、制御装置8は、タイマー9を用いて、所定時間T1を計測可能である。
【0097】
ステップS5において、アーム部材61の回転が停止していない(回転状態は正常である)と判断した場合、制御装置8は、通常の過給機作動シーケンスとなり、アーム部材61を第1の目標位置まで回転させる(ステップS11)。
【0098】
一方、ステップS5において、アーム部材61の回転が停止したと判断した場合、制御装置8は、リカバリー動作を実行する。すなわち、制御装置8は、図5(A)を参照して説明したように、アーム部材61を、異常が発生した回転停止位置(60%位置)から開方向に第1の量(15%)回転する(ステップS6)。
【0099】
本実施形態においては、図7に示すように、アーム部材61の回転停止位置から開方向への回転動作(回転停止位置からリカバリー開始位置までの回転動作)が予め定められた所定時間T2(例えば0.4秒)以内で完了するように、第1の量(15%)が定められている。制御装置8は、タイマー9を用いて所定時間T2を計測可能である。制御装置8は、回転停止位置(60%位置)から開方向への回転を開始したときを基準として、予め定められた所定時間T2(例えば0.4秒)の間、開方向に回転動作を実施する。所定時間T2経過後、リカバリー開始位置に到達していなくても第2の目標値への動作に移行する。
【0100】
そして、制御装置8は、開方向に第1の量だけアーム部材61を回転した後、再度、閉方向へのアーム部材61の回転を開始する(ステップS7)。図5(B)を参照して説明したように、制御装置8は、異常発生位置(60%位置)から閉方向に第2の量(5%)超えた位置(55%位置)を第2の目標位置として、アーム部材61の閉方向への移動を開始する。第2の目標位置は、リカバリー開始位置(75%位置)から閉方向に20%進んだ位置である。
【0101】
本実施形態においては、図7に示すように、アーム部材61のリカバリー開始位置から第2の目標位置までの回転動作が予め定められた所定時間T3(例えば0.4秒)で完了するように、第2の量(5%)が定められている。制御装置8は、タイマー9を用いて所定時間T3を計測可能である。制御装置8は、リカバリー開始位置(75%位置)から閉方向への回転を開始したときを基準として、所定時間T3(例えば0.4秒)経過時に、アーム部材61が第2の目標位置(55%位置)に到達したかどうかを、検出装置7の位置検出センサの検出結果とタイマー9の計測値とに基づいて判断する。
【0102】
制御装置8は、アーム部材61を第2の目標位置まで回転し、検出装置7の検出結果に基づいて、アーム部材61の回転状態が正常に戻ったかどうかを判断する。
【0103】
本実施形態においては、制御装置8は、リカバリー開始位置(75%位置)から閉方向への回転を開始した後、所定時間T3(例えば0.4秒)経過時に、検出装置7の位置検出センサの検出結果に基づいて、第2の目標位置に対して予め定められた許容範囲内(例えば±1%)にアーム部材61が配置されかどうかを判断する(ステップS8)。そして、制御装置8は、アーム部材61が第2の目標位置に対して予め定められた許容範囲内に配置されたと判断したとき、アーム部材61の回転状態が異常である状態(回転が停止する状態)が解除され、アーム部材61の回転状態が正常な状態に戻ったと判断する。
【0104】
アーム部材61の回転状態が正常に戻ったと判断した場合、通常の過給機作動シーケンス(第1の目標位置への移動)を実行する(ステップS11)。
【0105】
一方、アーム部材61の回転状態が正常な状態に戻っていないと判断した場合、カウンタnが加算され(ステップS9)、制御装置8は、そのカウンタnの値が予め定められた所定数N(例えば5)を超えたかどうかを判断する(ステップS10)。
【0106】
ステップS10において、カウンタnが所定数N以下であると判断した場合、制御装置8は、リカバリー動作、すなわちアーム部材61を開方向に第1の量回転する動作(ステップS6)と、再度閉方向への回転を開始する動作(ステップS7)とを繰り返す。本実施形態においては、リカバリー動作は所定数N繰り返される。そして、リカバリー動作を所定数N繰り返しても、アーム部材61の回転状態が正常な状態に戻らないと判断した場合(ステップS10)、例えば内燃機関の作動停止、過給機1の作動停止等、適切な処置を実行する(ステップS12)。
【0107】
図8は、リカバリー動作を実行しない場合とリカバリー動作を実行した場合とを比較した実験結果を示す図である。縦軸は、検出装置7の位置検出センサの出力、横軸は、時間である。図8(A)は、リカバリー動作を実行しない場合の実験結果を示す図、図8(B)は、リカバリー動作を実行した場合の図である。図8に示すように、リカバリー動作を実行することによって、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態に異常が発生した場合でも、リカバリー動作を実行することによって、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態を正常な状態に戻すことができることが分かる。
【0108】
以上説明したように、ノズルベーン4(アーム部材61)の回転状態を検出する検出装置7を設けたので、駆動機構6によってノズルベーン4が第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、そのノズルベーン4の回転状態に異常が発生した場合でも、その回転状態の異常を検出装置7で検出することができる。そして、制御装置8は、検出装置7の検出結果に基づいて、ノズルベーン4の回転状態に異常が発生したと判断したとき、ノズルベーン4を、異常発生位置から第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、第1の方向へ戻すように回転することによって、ノズルベーン4の回転状態を正常な状態に戻すことができる。したがって、排気ガスが流通するガス流路3の大きさを良好に調整することができ、過給機1の性能の劣化を抑制することができる。
【0109】
上述したリカバリー動作において、アーム部材61を開方向(第2の方向)に回転するときの第1の量(15%)、及び再度閉方向(第1の方向)へのアーム部材61を回転するときの第2の目標位置を規定する第2の量(5%)は、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態を短時間で正常な状態に戻せるように、例えば予備実験等によって最適な値に定められている。
【0110】
そして、上述のように、予め定められた第1の量及び第2の量に基づいて、リカバリー動作を実行することによって、回転停止位置から開方向へ回転し、所定時間T2で第2の量を移動し、その後閉方向への回転し、所定時間T3経過時に、アーム部材61が第2の目標位置に到達したかどうかを判断できる。したがって、リカバリー動作を短時間で効率良く実行することができる。
【0111】
また、本実施形態においては、制御装置8は、例えば異常発生位置と第1の目標位置との距離(回転量)によらずに、異常発生位置を基準として、第2の目標位置を設定する。例えば、図9(A)に示すように、90%位置に配置されている状態のアーム部材61を、10%位置(第1の目標位置)まで閉方向に回転する途中で、12%位置において異常が発生した(停止した)場合について考える。この場合、制御装置8は、図9(B)に示すように、アーム部材61を、異常発生位置(12%位置)から開方向へ第1の量(15%)回転する。この場合、リカバリー開始位置は、27%位置となる。その後、制御装置8は、異常発生位置(12%位置)から閉方向に第2の量(5%)超えた位置、すなわち、7%位置を第2の目標位置として、リカバリー開始位置(27%位置)に配置されているアーム部材61の閉方向への移動を開始する。
【0112】
なお、図9においては、第2の目標位置は、第1目標位置に対して異常発生位置よりも離れた位置に設定される。換言すれば、第2の目標位置と異常発生位置との間に第1の目標位置が配置されるように、第2の目標位置が設定されたことになる。
【0113】
このように、本実施形態においては、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態の異常が、アーム部材61の可動範囲内においていずれの位置で発生した場合においても、制御装置8は、異常発生位置を基準として、異常発生位置から開方向(第2の方向)に回転する際の回転量を規定するための第1の量(15%)、及び第2の目標位置を規定するための第2の量(5%)を一定の値に定める。こうすることにより、ノズルベーン4の回転状態を短時間で正常な状態に戻すことができる。
【0114】
すなわち、第1の量及び第2の量の少なくとも一方を、異常発生位置を基準として定めない場合、異常発生位置に応じて、リカバリー開始位置とそのリカバリー開始位置から閉方向への回転を開始するときの第2の目標位置との距離が変動する可能性がある。例えば、アーム部材61をリカバリー開始位置から閉方向への回転を開始するときの目標位置(第2の目標位置)を、最終的な目標位置である第1の目標位置に定め、第1の量が15%と一定の値である場合について考える。
【0115】
図10(A)に示すように、最終的な目標位置である第1の目標位置が10%位置であり、異常発生位置が例えば15%位置であり、リカバリー開始位置(30%位置)と第2の目標位置(すなわち第1の目標位置)との距離が小さい場合において、アーム部材61がリカバリー開始位置(30%位置)から第2の目標位置(10%位置)に到達するように要する時間は、例えば0.4秒であるとする。
【0116】
一方、図10(B)に示すように、最終的な目標位置である第1の目標位置が10%位置であり、異常発生位置が例えば70%位置であり、リカバリー開始位置(85%位置)と第2の目標位置(すなわち第1の目標位置)との距離が大きい場合、アーム部材61がリカバリー開始位置(85%位置)から第2の目標位置(10%位置)に到達するのに要する時間は、例えば1秒であるとする。
【0117】
アーム部材61がリカバリー開始位置から第2の目標位置に到達するのに要する時間が1秒の場合、アーム部材61が第2の目標位置に到達したかどうかの判断動作は、アーム部材61がリカバリー開始位置からの回転を開始した後、1秒経過時に実行する必要がある。この場合、図7に示した所定時間T3が長時間化することになるため、リカバリー動作に要する全体の時間が長くなる。
【0118】
一方、リカバリー動作を短時間化するために、アーム部材61がリカバリー開始位置から第2の目標位置に到達するのに要する時間が1秒であるにもかかわらず、アーム部材61がリカバリー開始位置からの回転を開始した後、0.4秒経過時に、アーム部材61が第2の目標位置に到達したかどうかの判断動作を実行してしまうと、正常な回転状態においてはアーム部材61は1秒経過後に第2の目標位置に到達できるにもかかわらず、0.4秒経過時には、第2の目標位置には到達していないので、制御装置8は誤った判断を下したり、不要なリカバリー動作を再度実行してしまう可能性がある。
【0119】
本実施形態においては、予め定められた第1の量及び第2の量に基づいて、リカバリー動作を実行することによって、回転停止位置から開方向への回転を開始した後、所定時間T2(例えば0.4秒)経過時に、アーム部材61がリカバリー開始位置に到達したかどうかを判断することができるとともに、リカバリー開始位置から閉方向への回転を開始した後、所定時間T3(例えば0.4秒)経過時に、アーム部材61が第2の目標位置に到達したかどうかを判断することができる。したがって、リカバリー動作を短時間で効率良く実行することができる。
【0120】
なお、第1の量及び第2の量を一定にすることによって、ノズルベーン4の回転状態を短時間で正常な状態に戻すことができるが、例えば、図11(A)に示すように、90%位置に配置されたアーム部材61を10%位置に向かって閉方向に回転する場合において、89%位置において異常が発生した場合、異常発生位置(89%位置)から開方向に第1の量(15%)回転しようとしても、アーム部材61の可動範囲外となり、第1の量回転することが不可能となる可能性もある。そのような場合には、稼動範囲外である100%より大きい指示値は全て100%に変更するようにしてもよい。
【0121】
また、図11(B)に示すように、第1の目標位置が3%位置に設定され、その3%位置に向かってアーム部材61を閉方向に回転する場合において、4%位置において異常が発生した場合、異常発生位置(4%位置)から閉方向に第2の量(5%)超えた位置を第2の目標位置に設定しようとしても、アーム部材61の可動範囲外となり、第2の目標位置まで回転することが不可能となる可能性もある。そのような場合には、稼動範囲外である0%より小さい指示値は全て0%に変更するようにしてもよい。
【0122】
なお、リカバリー動作を複数回(N=5)繰り返す場合において、所望の時間以内でリカバリー動作を実行できるのであれば、第1の量及び第2の量の少なくとも一方を変更しつつ、各リカバリー動作のそれぞれを実行するようにしてもよい。
【0123】
なお、上述の実施形態においては、アーム部材61が閉方向に回転する途中で、その回転が停止する場合を例にして説明したが、もちろん、アーム部材61が開方向に回転する途中で、その回転が停止する場合においても、リカバリー動作を実行することができる。
【0124】
なお、上述の実施形態においては、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態の異常が、アーム部材61(ノズルベーン4)回転の停止である場合を例にして説明したが、回転状態の異常は、回転の停止に限られない。例えば、上述の引っかかり現象、異物の存在等によって、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転速度が、所望速度より低速になったり、回転速度が変動したり、あるいは振動が発生する可能性もある。そのような異常(回転速度の低速化、回転速度の変動、振動の発生等)が生じた場合であっても、制御装置8は、リカバリー動作を実行することによって、アーム部材61(ノズルベーン4)の回転状態を正常な状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本実施形態に係る過給機の概略を示す図である。
【図2】駆動機構の動作の一例を説明するための模式図である。
【図3】ノズルベーンの回転とともに動く可動部の異常状態の一例を説明するための模式図である。
【図4】本実施形態に係る過給機の動作の一例を説明するための模式図である。
【図5】本実施形態に係る過給機の動作の一例を説明するための模式図である。
【図6】本実施形態に係る過給機の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る過給機の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本実施形態に係る過給機の効果を確認した実験結果を示す図である。
【図9】本実施形態に係る過給機の動作の一例を説明するための模式図である。
【図10】本実施形態に係る過給機の動作の一例を説明するための模式図である。
【図11】本実施形態に係る過給機の動作の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0126】
1…過給機、2…タービンインペラ、3…ガス流路、4…ノズルベーン、5…支持機構、6…駆動機構、7…検出装置、8…制御装置、51…支持軸、52…支持プレート、61…アーム部材、61K…開口、62…ジョイント部材、63…駆動プレート、64…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが供給されるタービンインペラと、
前記タービンインペラを囲むように、前記排気ガスが流通する流路に配置された複数のノズルベーンと、
前記ノズルベーンを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構と、
前記支持機構に支持された前記ノズルベーンを前記所定軸回りに回転する駆動機構と、
前記ノズルベーンの回転状態を検出する検出装置と、
前記駆動機構によって前記ノズルベーンが第1の目標位置に向かって第1の方向に回転する途中で、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記ノズルベーンの回転状態に異常が発生したと判断したとき、前記ノズルベーンを前記異常が発生した異常発生位置から前記第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転した後、前記第1の方向への前記ノズルベーンの回転を開始するように、前記駆動機構を制御する制御装置と、を備えた過給機。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記ノズルベーンに接続された支持軸と、
前記支持軸を回転可能に支持する第1部材とを含み、
前記駆動機構は、
前記支持軸にその一端が接続された第2部材と、
前記第2部材の他端に形成された開口の内側に配置され、前記開口の内側で可動な第3部材と、
前記第3部材を支持する第4部材と、
前記第4部材を移動可能なアクチュエータとを含む請求項1記載の過給機。
【請求項3】
前記ノズルベーンの回転状態の異常は、前記ノズルベーンの回転の停止を含み、
前記異常発生位置は、前記ノズルベーンが前記第1の方向に回転する途中で停止した回転停止位置を含み、
前記検出装置は、前記ノズルベーンの回転停止位置を含む位置情報を検出可能である請求項1又は2記載の過給機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ノズルベーンを前記異常発生位置から前記第2の方向に移動した後、前記異常発生位置よりも前記第1の目標位置側であって、前記第1の目標位置とは別の第2の目標位置に向かって前記ノズルベーンの前記第1の方向への移動を開始する請求項1〜3のいずれか一項記載の過給機。
【請求項5】
前記第2の目標位置は、前記第2の方向に移動が完了した位置と前記第1の目標位置との間の位置である請求項4記載の過給機。
【請求項6】
前記第2の目標位置は、前記異常発生位置と前記第1の目標位置との間の位置である請求項4記載の過給機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記ノズルベーンを前記第2の方向に所定量回転する動作と、再度前記第1の方向への回転を開始する動作とを、予め定められた所定回数繰り返す請求項1〜6のいずれか一項記載の過給機。
【請求項8】
排気ガスが供給されるタービンインペラと、前記タービンインペラを囲むように、前記排気ガスが流通する流路に配置された複数のノズルベーンと、前記ノズルベーンを所定軸回りに回転可能に支持する支持機構と、前記支持機構に支持された前記ノズルベーンを前記所定軸回りに回転する駆動機構とを備えた過給機の制御方法であって、
前記駆動機構によって前記ノズルベーンを回転する際の前記ノズルベーンの回転方向における目標位置を設定する動作と、
前記ノズルベーンを前記目標位置に配置するために前記駆動機構によって前記ノズルベーンを第1の方向に回転する動作と、
前記ノズルベーンが前記目標位置に向かって前記第1の方向に回転する途中で、前記ノズルベーンの回転状態を検出装置を用いて検出する動作と、
前記検出結果に基づいて、前記ノズルベーンの回転状態に異常が発生したかどうかを判断する動作と、
前記異常が発生したと判断したとき、前記ノズルベーンを前記異常が発生した異常発生位置から前記第1の方向とは反対の第2の方向に所定量回転する動作と、
前記第2の方向に前記ノズルベーンを回転した後、再度前記第1の方向への前記ノズルベーンの回転を開始する動作と、を含む制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−75635(P2008−75635A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259252(P2006−259252)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】