説明

過酢酸および過酸化水素からなる組成物の水溶液を用いる医療用、外科用および歯科用器具を手により滅菌する方法

【課題】医療用、外科用および歯科用器具を滅菌する新規な方法を提供する。
【解決手段】医療用および外科用器具、特に内視鏡または歯科用器具を手により滅菌する方法であって、前記器具を0.08重量%を超え、0.35重量%未満の過酢酸および少なくとも1重量%且つ多くとも10重量%の過酸化水素を含む10から20リットル水溶液を浸漬タンクに注ぎ、滅菌する器具をその中に完全に浸漬させ、室温で20分間から1時間放置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の課題は、ヒトまたは動物の身体についてのまたはそれらの内部での検査診断機能および手術機能についての両方で用いられる医療用、外科用および歯科用器具を滅菌する新規な方法であり、特に、内視鏡を滅菌する方法である。
【0002】
医療処置の現在の発展は、熱感受性材料でしばしば作られるますます小さくなっていくデバイスを用いる検査技術の増加に導いている。それらのデバイスは熱の使用により消毒され得ないし、それらが1回のみ用いられることを意図されないとき、それらはそれぞれの使用の後化学的に洗浄され滅菌されねばならないことになる。医療用デバイスがその使用のあいだに接触するに至る組織の性質に依存して、達成される活性スペクトルについて要求される滅菌処理のレベルに対応する感染の危険の3つのレベルが確立されている。高いレベルの感染の危険に対しては、バクテリアの胞子を含むすべてのタイプの微生物に対して有効でなければならない高いレベルの処理が対応する。この高いレベルの処理に供されねばならない器具の例として、熱の使用による滅菌に供され得る条件でないばあいについては、微小手術、および腸手術装置およびモーター、歯科、口腔医学および外科における手で使う器具、泌尿器科のバイオフィードバック装置および多数の内視鏡が言及され得る。
【0003】
化学的滅菌操作は一般的に以下の工程を含む、すなわち、
a)その目的が以下の工程を促進することである、例えば汚れが乾燥することを防止することによる予備処理。従って、その使用の後、導管を含む医療装置の導管はフラッシュされ、および/または可能な限り早く洗剤および任意に殺細菌剤溶液中に浸漬される。
【0004】
b)その目的が汚れを除去することである洗浄。それは用いられる溶液の物理化学的作用と手によるかまたは機械により実施される機械的作用を組み合わせる。したがって、導管を含む医療装置の導管は吸引され、十分にすすがれ、交換される。
【0005】
c)装置を滅菌溶液との接触で滅菌されるようにもたらすことを含む化学的滅菌が手による方法かまたは半自動または自動化方法によるかのいずれかで実施され得る。手による方法は、装置が浸漬可能であるとき滅菌溶液中に浸漬することにより、浸漬可能でない医療用装置については滅菌溶液であらかじめ湿らされた支持体の補助により滅菌剤を与えることにより、または装置に向けられる滅菌溶液をスプレーすることによる。半自動化方法は、滅菌溶液の「方向づけられた分散装置」による接触滅菌を可能とする電気スプレー装置によるスプレーによる。この方法は表面を洗浄するためにしばしば用いられる。自動化方法は、コンテナ、内視鏡または装置の滅菌のために特定された装置、または空気通路、それらが含む敷地および装置の表面による滅菌のためのエアロライザー(aerolyser)のいずれかを用いる。
【0006】
d)その目的が再汚染を回避しながらいずれの生成残滓も除去することである最終すすぎ。これは、危険のレベルに依存して、無菌であるかまたはろ過されているこの要求について適切な水の使用を含む。かつ、装置がすぐには再使用されないときは、
e)乾燥、次いで、
f)貯蔵。装置の再汚染を回避する条件の下でもまた実施される最後の2工程のために必要である。
【0007】
手による滅菌においては、作業者は、内視鏡の導管に洗浄液をシリンジで注入しなければならず、次いで製品を滅菌する。それらの工程はふたのあるタンクの中で実施される。滅菌剤は一般的に使用できるようになっており、使用上のその持続時間は浸漬物の数に依存し、それは一般的に1から2週または40回の滅菌操作である。
【0008】
手による滅菌についての水中での2%グルタールアルデヒドおよび自動化滅菌についての水中での20%は現在、ヨーロッパで最も広く用いられている活性材料である。この物体での有効な滅菌時間は、手による滅菌では、中間の感染の危険性の場合には20分、ないし感染の非常な危険の場合には1時間である。機械による滅菌においては、この時間はほぼ5ないし20分である。しかしながら、グルタールアルデヒドは毒性があり、それを用いる操作、特に手による滅菌は、通気された空間内またはさらに吸入安全キャビネットの下で実施されねばならない。更に、それはタンパク質を固定し、胞子に対してはそれほど有効でない。実際、グルタールアルデヒドの2重量%の水溶液は、20℃で20分後、バチルス・セレウスおよびバチルス・サブティリスの両方に対して有効でない。それは、1時間の浸漬の後にのみそれらの菌株に対して有効となる。
【0009】
従って、本出願人はこの製品についての置換物を探索した。十分な過酸濃度を有するときすべての微生物に対して、特に胞子に対してその有効性について公知である過酢酸の水溶液を研究し、それは5分間に5対数減少のために約5000ppmであり、3対数減少のために約2500ppmである。しかしながら、この濃度では、過酢酸は、医療用および外科用器具の構成材料の一部、特にその金属部分について腐食性となり、それはまた、皮膚について僅かに刺激性となり始める。また、過酸化水素単独は10重量%から20重量%の最少濃度でのみ殺胞子性であることも公知である。
【0010】
[発明が解決しようとする課題]
それゆえ、本出願人は、刺激がなく腐食性のない投与量で過酢酸を用いて医療用、外科用および歯科用器具を滅菌する手による方法を開発するために探索し、それはバチルス・セレウスについて3logの対数減少を20℃で20分以内に得ることを可能とし、それはcm3 当り103 スポアの減少であり、この結果は、AFNOR T 72 301標準化分析により定量される。これは、グルタールアルデヒドおよび800ppm(それは約0.08重量%である)の過酢酸および1重量%の過酸化水素を含む水性滅菌溶液であるCIDEX(登録商標)PAについての置換としてこの方法の商業的実施を予見するために要求される最低条件を構成する。実際、出願人は、1年間貯蔵し、1週間使用した後の800ppm(それは約0.08重量%である)の過酢酸および1重量%の過酸化水素を含む水溶液が20分後20℃でバチルス・セレウスに対して有効でなかったことを観察した。過酢酸の有効性の指数としての殺胞子活性の選択は、要求される高いレベルの滅菌により規定される。それは、その抵抗を増加させる細菌のまわりの胞子の膜の存在のために大きな投与量の滅菌剤を一般的に要求するものである。過酢酸の殺胞子活性についての標的として、AFNOR T72 301標準、すなわち、バチルス・セレウスCIP7803、バチルス・サブティリスおよびクロストリディウム・スポロジェネスCIP7939において示される菌株のあいだの研究対象としてのバチルス・セレウスの選択は予備試験の結果から生じ、そのあいだに、出願人は、バチルス・セレウスはグルタールアルデヒドによりバチルス・サブティリスより破壊するのが容易であり、一方対照的に、バチルス・セレウスは、過酢酸によりバチルス・サブティリスより破壊するのがより困難であったことが分かった。
【0011】
[課題を解決するための手段]
本出願人は、本特許出願の課題である方法が用いられたとき要求された結果が達成されたことを見出した。
【0012】
本発明の課題は、医療用および外科用器具または歯科用器具を滅菌するための手による方法であって、前記器具を、0.08重量%を超えて0.35重量%未満の過酢酸を含み、且つ少なくとも1重量%且つ多くとも10重量%の過酸化水素を含む水溶液と接触させる工程を具備することを特徴とする方法である。
【発明の実施の形態】
【0013】
上記滅菌の手による方法において、デバイスが浸漬可能であるとき、それは滅菌溶液におけるその浸漬を具備し、医療用デバイスが浸漬可能でないとき、それは、滅菌溶液ですでに湿らされた支持体の補助による滅菌剤の付与または前記デバイス上に向けられる滅菌溶液のスプレー工程を具備する。
【0014】
「医療用および外科用器具または歯科用器具」とは、上記定義の方法において、特に、微小手術または腸手術のための装置、歯科、口腔医学のための手で用いるデバイス、泌尿器科のための手術およびバイオフィードバック装置、および特に内視鏡を示す。
【0015】
「内視鏡」とは、上記定義の方法において、特に、気管支鏡、喉頭鏡、食道鏡、胃カメラ、結腸鏡、直腸鏡、腹腔鏡、関節鏡、膀胱鏡、羊水鏡、隔膜鏡、子宮内視鏡、体腔鏡、シヌスコープ(sinuscope)、通壁胆管鏡、逆行胆管鏡または尿管鏡を表す。
【0016】
本発明の課題は、特に、上記定義のような、前記器具を前記溶液と接触させる工程に先立つ少なくとも1つの洗浄工程を含む滅菌の方法である。
【0017】
「洗浄工程」とは、その目的が汚れを除去し、用いられる溶液の物理化学的作用と手で実施される機械的作用とを組み合わせる工程を表す。例えば、医療器具が導管を具備するとき、作業者は洗浄溶液を導管に注入し、次いで前記溶液は吸入され、次いで器具は十分にすすがれ、交換される。この操作は必要であれば数回反復され得る。
【0018】
本発明の課題は特に、前記器具を洗浄する工程に先立つ予備処理工程を含む上記定義の滅菌方法である。
【0019】
「予備処理工程」とは、その目的が、例えば汚れが乾燥することを防止することにより、その使用の後に、洗剤および任意に殺細菌剤溶液で導管を含む医療器具の導管を即座にフラッシングすることにより、および/またはそれを前記溶液に浸漬することにより続く工程を速やかに進ませることからなる工程を表す。
【0020】
本発明の課題は、特に、前記器具を前記溶液と接触させる工程に続くすすぎ工程および必要であれば次いで乾燥工程を含む上記定義の滅菌の方法である。
【0021】
最後のすすぎ工程の目的は、再汚染を回避しながらいずれの生成物残滓も除去することである。これは、危険のレベルに応じて、無菌であるかまたはろ過されているこの要求にとって適切な水の使用を含む。デバイスが即座に再使用されないとき乾燥は必要である。
【0022】
本発明は、また、同時に、器具の幾つかの医療用、外科用または歯科用部品を滅菌する方法も含むことが明確に理解される。
【0023】
手による浸漬の場合においては、用いられる溶液は使用の準備がされている溶液である。それゆえ、それは、上記で示された比率で成分を含む。10から20リットルのこの溶液は、浸漬タンクに注がれ、滅菌される器具はその中に完全に浸漬される。方法は室温で実施され、それは15ないし35℃であり、一般的に20ないし25℃であり、浸漬は、感染の危険に応じて20分から1時間続く。
【0024】
本発明の課題は、特に、用いられる滅菌溶液が1%を超えるが10重量%以下、特に2%以上で5重量%未満の濃度で酢酸を含む上記定義の方法である。
【0025】
上記定義の方法の第1の特定の変形によれば、用いられる滅菌溶液は、2重量%を超え、5重量%未満の過酸化水素、特に、少なくとも0.10%で多くとも0.20重量%、好ましくは多くとも0.15重量%の過酢酸を含む。
【0026】
用いられる過酢酸の水溶液は任意に、特にノニオン性界面活性剤、アミンオキシド、腐食防止剤、安定化剤、強酸、着色料または香料から選ばれる1以上の添加剤をさらに含む。
【0027】
ノニオン性界面活性化剤は、本特許出願において、EP0,873,687の下で公開されている欧州特許出願において記載されているものを表し、特に以下の商業製品、すなわち、GENAPOL(登録商標)2822、GENAPOL(登録商標)2908、GENAPOL(登録商標)2908D、GENAPOL(登録商標)2909、TRITON(登録商標)DF12、TRITON(登録商標)DF16、TRITON(登録商標)CF10、DOWFAX(登録商標)20B102、AKYPO(登録商標)RO90、SYNPERONIC(登録商標)LF RA30またはSIMULSOL(登録商標)NW900、AKYPO LF2またはAKYPO LF4を表す。それらの商業的に入手可能な製品は以下の化学的組成を有する。
【表1】

【0028】
ノニオン性界面活性剤として、以下の式(I)に対応するものが好ましい、すなわち、
1 −O−[CH(R2 )−CH(R3 )−O]n −R4 (I)
(式中、R1 は、5から31炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを表し、R2 およびR3 は、互いについて独立に、水素原子または1または2炭素原子を含むアルキルラジカルを表し、R4 は、水素原子、1から4炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキルラジカルまたはベンジルラジカルを表し、nは1から50、好ましくは20未満の整数を表す)。
【0029】
「5から31炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカル」とは、上記定義の式(I)のR1 について、特にアルキルラジカルまたはアルケニルラジカルを表す。R1 は特にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オクタデセニル、オクタデカトリエニル、オクタデカジエニル、エイコサニルまたはベヘニルラジカルから選ばれるラジカルを表し、前記ラジカルは直鎖または分岐鎖である。本発明の特定の側面によれば、R1 は、好ましくは、8から18炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキルラジカルから選ばれるラジカルを表す。
【0030】
「1から4炭素原子を含むアルキルラジカル」とは、上記定義の式(I)のR4 について直鎖または分岐鎖メチル、エチル、プロピルまたはブチルラジカルを表す。
【0031】
2価ラジカル官能基−[CH(R2 )−CH(R3 )−O]n −は、単にエトキシル基(R2 およびR3 =H)から構成される鎖、または単にプロポキシル基(R2 またはR3 =CH3 )から構成される鎖、または単にブトキシル基(R2 およびR3 =CH3 )から構成される鎖、または上記官能基の2種または3種の混合物から構成される鎖のいずれかを表す。後者の場合において、フラグメント−CH2 −CH2 −O−、−CH(CH3 )−CH2 −O−および−CH(CH3 )−CH(CH3 )−O−は、順次的にまたはランダムに前記の鎖の中に分布する。本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、0.1重量%までの少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含み得る。
【0032】
アミンオキシドは、本特許出願において、番号EP0,873,687の下で公開される欧州特許出願において記載されるものおよび特に式(II):
(R5 )(R6 )(R7 )N→O
(式中、R5 は、8から18炭素原子を含む飽和または不飽和直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを表し、R6 およびR7 はそれぞれメチルラジカルを表し、特に、商標AROMOX(登録商標)のもとで販売されているもの、特にAROMOX(登録商標)MCD−Wであり、その活性成分はココジメチルアミンN−オキシドである)に対応するものを表す。本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、0.1重量%までの少なくとも1種のアミンオキシドを含み得る。
【0033】
本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、0.7重量%までの、好ましくは、リン酸二水素ナトリウムNaH2 PO4 およびリン酸二ナトリウムNa2 HPO4 から選ばれる腐食防止剤を含み得る。
【0034】
本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、好ましくはピロリン酸ナトリウムである0.1重量%までの安定化剤を含み得る。
【0035】
過酢酸と接触して安定な着色料は、特に、番号EP0,658,309のもとで公開された欧州特許出願において記載されるものを表す。本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、0.03重量%までの着色料を含み得る。
【0036】
過酢酸と接触して安定な香料は、特に、番号EP0,596,493の下で公開された欧州特許出願において記載されるものを表す。本発明の主題である方法において用いられる過酢酸の水溶液は、0.03重量%までの香料を含み得る。
【0037】
本発明の最後の側面によれば、その主題は、少なくとも0.10重量%且つ多くとも0.20重量%の過酢酸、特に多くとも0.15重量%の過酢酸、2重量%を超え、5重量%未満の過酸化水素および少なくとも2重量%且つ多くとも5重量%の酢酸を含む水溶液の形態の組成物であり、特に、ノニオン性界面活性剤、アミンオキシド、腐食防止剤、安定化剤、強酸、着色料または香料から選ばれる1以上の添加剤をさらに含む上記定義の組成物である。
【0038】
手による浸漬を用いての滅菌について特に適切である直接使用できる組成物の例として、軟水において0.10重量%から0.12重量%の過酢酸、2.5重量%から3.5重量%の過酸化水素、2重量%から4重量%の酢酸、0.001重量%から0.002重量%のGENAPOL(登録商標)2908D、1重量%から2重量%のリン酸二水素ナトリウム(12H2 O)、0.01重量%から0.03重量%のピロリン酸ナトリウムを含み、また任意に、0.01重量%から0.03重量%のココジメチルアミンN−オキシドおよび/または0.003重量%までのたとえばORANGE SOLEIL W200(登録商標)のような着色料も含む水溶液が存在する。
【実施例】
【0039】

a)手による浸漬
t=0のときに1100ppmの過酢酸と約3重量%の過酸化水素を含む溶液Aの殺細菌活性、殺真菌活性および殺胞子活性が、EN1040(殺細菌活性)、EN1275(殺真菌活性)、AFNOR72180(殺ウイルス活性)およびAFNOR T 72310(殺胞子活性)標準のそれぞれにおいて記載されている分析方法を用いて、t=0のときに800ppmの過酢酸および約1重量%の過酸化水素を含む溶液Bのそれらと比較された。
【0040】
同様の殺細菌および殺真菌活性が考慮された標準により規定される接触時間の後2つの溶液について観察される。殺胞子活性の定量は以下の表においてまとめられた結果に導く(接触時間:20分、温度:20℃、胞子の減少/ml)。
【表2】

【0041】
発明の効果
それゆえ、溶液Aは、バチルス・セレウスについての殺胞子活性の観点で課される要求に思いがけなく合致することが観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用および外科用器具または歯科用器具を手で滅菌する方法であって、前記器具を0.08重量%を超え、0.35重量%未満の過酢酸および少なくとも1重量%且つ多くとも10重量%の過酸化水素を含む水溶液と接触させる工程を具備し、10から20リットルの前記溶液を浸漬タンクに注ぎ、滅菌する器具をその中に完全に浸漬させ、室温で20分間から1時間放置することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記器具を前記溶液と接触させる工程に先立つ少なくとも1つの洗浄工程を含む前記請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記器具を洗浄する工程に先立つ予備処理工程を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記器具を前記溶液と接触させる工程に続くすすぎ工程、次いで必要であれば乾燥工程を含む請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
医療用および外科用器具が内視鏡であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
用いられる滅菌溶液が、1重量%を超え、10重量%以下の濃度の酢酸、特に2%以上かつ5重量%未満の濃度の酢酸を含む請求項1ないし5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
用いられる滅菌溶液が、2重量%を超え、且つ5重量%未満の過酸化水素を含む請求項1ないし6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
用いられる水溶液が、少なくとも0.10重量%且つ多くとも0.20重量%、好ましくは、多くとも0.15重量%の過酢酸を含むことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
用いられる過酢酸の水溶液が、ノニオン性界面活性剤、アミンオキシド、腐食防止剤、安定化剤、強酸、着色料または香料から選ばれる1以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
用いられる過酢酸の水溶液が0.1重量%までの少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
用いられる過酢酸の水溶液が、式(I):
1 −O−[CH(R2 )−CH(R3 )−O]n −R4 (I)
(式中、R1 は、5から31炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルおよび好ましくは8から18炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを表し、R2 およびR3 は、互いについて独立に、水素原子または1または2炭素原子を含むアルキルラジカルを表し、R4 は、水素原子、1から4炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキルラジカルまたはベンジルラジカルを表し、nは、1ないし50、好ましくは20未満の整数を表す)のすくなくとも1種のノニオン性界面活性剤を0.1重量%まで含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
用いられる過酢酸の水溶液が0.1重量%までのアミンオキシドを含むことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
用いられる過酢酸の水溶液が0.1%までの式(II):
(R5 )(R6 )(R7 )N→O
(式中、R5 は8から18炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを表し、R6 およびR7 はそれぞれメチルラジカルを表す)の化合物を含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
用いられる過酢酸の水溶液が0.7重量%までのリン酸二水素ナトリウムまたはリン酸二ナトリウムを含むことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
用いられる過酢酸の水溶液が0.1重量%までのピロリン酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項9ないし14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
用いられる過酢酸の水溶液が0.03重量%までの着色剤を含むことを特徴とする請求項9ないし15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
用いられる過酢酸の水溶液が0.03重量%までの香料を含むことを特徴とする請求項9ないし16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
少なくとも0.10重量%かつ多くとも0.20重量%、特に多くとも0.15重量%の過酢酸、2重量%を超え、5重量%未満の過酸化水素およびすくなくとも2重量%且つ多くとも5重量%の酢酸を含む水溶液の形態の組成物。
【請求項19】
ノニオン性界面活性剤、アミンオキシド、腐食防止剤、安定化剤、強酸、着色料または香料から選ばれる1以上の添加剤をさらに含む請求項18記載の組成物。
【請求項20】
軟水中に、0.10重量%から0.12重量%の過酢酸、2.5重量%から3.5重量%の過酸化水素、2重量%から4重量%の酢酸、0.001重量%から0.002重量%のGENAPOL(登録商標)2908D、1重量%から2重量%のリン酸二水素ナトリウム(12H2 O)、0.01重量%から0.03重量%のピロリン酸ナトリウムを含む水溶液の形態の請求項18または19記載の組成物。
【請求項21】
0.01重量%から0.03重量%のココジメチルアミンN−オキシドおよび/または0%から0.003重量%の着色剤、特にORANGE SOLEIL W200(登録商標)をさらに含む請求項20記載の組成物。
【請求項22】
医療用および外科用器具または歯科用器具を滅菌するための請求項18ないし21のいずれか1項記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2011−147768(P2011−147768A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287694(P2010−287694)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2000−210146(P2000−210146)の分割
【原出願日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願人】(500327267)
【氏名又は名称原語表記】BIOXAL
【Fターム(参考)】