説明

道路区画線検出装置

【課題】左右の道路区画線のうち、一方の道路区画線が直線状区画線であり、他方の道路区画線がボッツドッツ等で構成される点列状区画線である場合でも、直線状区画線と点列状区画線を確実に検出することができる道路区画線検出装置の提供。
【解決手段】車線を規定する左側の道路区画線と右側の道路区画線が撮像されるように路面を撮像する撮像手段と、撮像手段により取得された撮像画像に基づいて、各道路区画線の特徴点を取得する特徴点取得手段と、特徴点取得手段により取得された特徴点を記憶する記憶手段と、記憶手段から読み出した特徴点に基づいて、各道路区画線を検出する区画線検出手段とを備え、記憶手段は、左側の道路区画線の特徴点を記憶する第1記憶領域と、右側の道路区画線の特徴点を記憶する第2記憶領域とを含み、記憶可能な特徴点の数は、第1記憶領域と第2記憶領域とで互いに独立に設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路区画線検出装置に関し、より詳しくは、左右の道路区画線のうち一方が白線等の直線状区画線であり、他方がボッツドッツ等で構成される点列状区画線である場合でも、直線状区画線と点列状区画線を確実に検出することができる道路区画線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転者の負担軽減を目的として、レーンキープアシストシステム(LKA)等の運転支援装置が開発されている。レーンキープアシストシステムは、車載カメラで白線等の道路区画線を撮像する撮像手段と、取得した撮像画像に基づき道路区画線の特徴点を取得する特徴点取得手段と、取得した特徴点に基づき道路区画線を検出する区画線検出手段と、検出した道路区画線と自車との位置関係に基づいてハンドリングをアシストするハンドリングアシスト手段とを備えている。
【0003】
道路区画線は走行車線を規定する線である。左右2本の道路区画線が1つの走行車線を規定する。道路区画線は、白線、黄色線のような直線状区画線が一般的である。しかしながら、米国には、ボッツドッツと称される道路鋲を点列状に並べて構成される点列状区画線がある。また、日本国や米国には、キャッツアイと称される道路鋲を点列状に並べて構成される点列状区画線がある。以下、白線と黄色線をまとめて白線等と称する。また、ボッツドッツとキャッツアイをまとめてボッツドッツ等と称する。
【0004】
ボッツドッツ等は、白線等に比べ、アスファルトとのコントラストが低く且つ道路長さ方向の連続性に乏しいため、視認性が悪い。従って、撮像画像に基づいて道路区画線を検出するためには、白線等とボッツドッツ等では画像解析の手法を切り替えることが好ましい。同一の解析手法を用いて両者を画一的に検出しようとすると、検出精度の低下を招く可能性があるからである。
【0005】
白線等の検出方法の一例を説明する。白線等の直線状区画線の特徴点は、直線状区画線の輪郭部を構成する点である。レーンキープアシストシステムにおいて、特徴点取得手段は、アスファルトと直線状区画線の境界部における輝度のコントラストを検出することにより、特徴点を取得する。特徴点取得手段は、左側の道路区画線と右側の道路区画線が含まれる所定の領域について道路幅方向の画素列毎に特徴点を探索する。特徴点取得手段は、画素列を道路長さ方向に不連続的(離散的)に探索する。これにより、所定の領域について低い密度で特徴点が探索される。これは、白線等は連続性が高いため、低い密度で特徴点を検出しても、多数の特徴点を取得することができ、白線等の検出精度を良好に確保できるからである。区画線検出手段は、取得された特徴点に対してハフ(Hough)変換等の演算を行うことにより特徴点の並びに近似した直線を求める。これにより、区画線検出手段は直線状区画線を検出する。
【0006】
ボッツドッツ等の検出方法の一例を説明する。ボッツドッツ等から構成される点列状区画線の特徴点は、ボッツドッツ等の輪郭部を構成する点である。レーンキープシステムにおいて、特徴点取得手段は、撮像画像にモルフォロジー演算を施すことにより、特徴点を取得する。特徴点取得手段は、左側の道路区画線と右側の道路区画線が含まれる所定の領域について道路幅方向の画素列毎に特徴点を探索する。特徴点取得手段は、画素列を道路長さ方向に連続的に探索する。これにより、所定の領域について高い密度で特徴点が探索される。これは、ボッツドッツ等は連続性が乏しいため、高い密度で特徴点を探索しなければ、特徴点を十分に取得することができず、ボッツドッツを確実に検出することができないからである。特徴点取得手段は、取得した特徴点に基づき、点列状区画線を検出する。
【0007】
左側の道路区画線と右側の道路区画線の双方が白線等である場合は、上記した白線等の検出方法を用いて道路区画線を検出すればよい。また、左側の道路区画線と右側の道路区画線の双方がボッツドッツ等から構成されている場合は、上記したボッツドッツ等の検出方法を用いて道路区画線を検出すればよい。
【0008】
ボッツドッツ等は片側複数車線の道路において車線間を区切る位置に設けられており、道路の両端すなわち走行車線と路肩を区切る位置(路端)には設けられていない。道路の両端には白線等が設けられている。従って、左端の車線および右端の車線では、一方側の道路区画線が白線等であり、他方側の道路区画線がボッツドッツ等である。この場合、従来は、白線等を上記した白線等の検出方法で検出し、ボッツドッツ等を上記したボッツドッツ等の検出方法で検出していた。
【0009】
この場合、以下の問題が生じていた。特徴点取得手段に入力される撮像画像は、白線等とボッツドッツ等を含んでいる。上記したように、ボッツドッツ等の検出方法では、撮像画像内の所定の領域において高い密度で特徴点を探索する。CPUの処理速度を考慮して、画像1フレームにつき取得する特徴点の数には上限値が設定されており、その上限値は左側の道路区画線と右側の道路区画線の双方についてまとめて合計値で設定されていた。このため、連続性に乏しいボッツドッツ等において点列状区画線検出に必要な数の特徴点が取得される前に、連続性の高い白線等において圧倒的多数の特徴点が取得され、特徴点の数が上限値に達した場合、その時点で特徴点の取得処理が停止してしまう。そうすると、ボッツドッツ等から構成される点列状区画線を検出することができないという問題があった。
【0010】
特許文献1には、ボッツドッツの検出装置に関する発明が開示されている。しかしながら、この装置においても、一方の道路区画線が白線で、他方の道路区画線がボッツドッツで構成されている場合に、上記した問題を解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−182303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、左右の道路区画線のうち一方が白線等の直線状区画線であり、他方がボッツドッツ等で構成される点列状区画線である場合でも、直線状区画線と点列状区画線を確実に検出することができる道路区画線検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、
道路上の道路区画線を検出する道路区画線検出装置であって、
車線を規定する左側の道路区画線と右側の道路区画線が撮像されるように路面を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段により取得された撮像画像に基づいて、各上記道路区画線の特徴点を取得する特徴点取得手段と、
上記特徴点取得手段により取得された特徴点を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段から読み出した上記特徴点に基づいて、各上記道路区画線を検出する区画線検出手段とを備え、
上記記憶手段は、上記左側の道路区画線の特徴点を記憶する第1記憶領域と、上記右側の走行区間線の特徴点を記憶する第2記憶領域とを含み、記憶可能な特徴点の数は、上記第1記憶領域と上記第2記憶領域とで互いに独立に設定されていることを特徴とする道路区画線検出装置である。
【0014】
第1の発明によれば、記憶手段は、左側の道路区画線の特徴点を記憶する第1記憶領域と、右側の走行区間線の特徴点を記憶する第2記憶領域とを含んでいる。記憶可能な特徴点の数は、第1記憶領域と第2記憶領域とで互いに独立に設定されている。従って、例えば、左側の道路区画線が白線であり、右側の道路区画線がボッツドッツである場合、第1記憶領域に記憶される白線の特徴点の数に関わらず、第2記憶領域に十分にボッツドッツの特徴点が記憶される。よって、左側の道路区画線が白線であり、右側の道路区画線がボッツドッツで構成されている場合であっても、ボッツドッツで構成される道路区画線を確実に検出することができる。また、白線は連続性が高いから、白線の特徴点の取得数が上限値に達して特徴点を多少取得できなくても、道路区画線検出装置は白線を十分に検出することができる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
上記左側の道路区画線と上記右側の道路区画線のいずれか一方がボッツドッツまたはキャッツアイで構成され、他方が白線または黄色線であることを特徴とする。
【0016】
第2の発明によれば、白線等の直線状区画線とボッツドッツ等の点列状区画線とを確実に検出することができる。
【0017】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
上記特徴点取得手段は、連続探索手段を含み、
上記連続探索手段は、上記撮像画像の上記左側の道路区画線と上記右側の道路区画線とが含まれる一部の領域について道路幅方向の画素列毎に上記特徴点を探索し、且つ、上記画素列を道路長さ方向に連続的に探索することを特徴とする。
【0018】
第3の発明によれば、連続探索手段は画素列を道路長さ方向に連続的に探索する。よって、左側の道路区画線と右側の道路区画線とが含まれる一部の画像領域における全ての画素について特徴点の探索が行われる。これにより、点列状に設けられているために連続性に乏しいボッツドッツやキャッツアイであっても、特徴点検出手段はその特徴点を確実に検出することができる。
【0019】
第4の発明は、第3の発明において、
上記特徴点取得手段は、上記特徴点を探索するためにモルフォロジー演算を行うことを特徴とする。
【0020】
第4の発明によれば、高い精度でボッツドッツやキャッツアイの特徴点を検出することができる。
【0021】
第5の発明は、第3または第4の発明において、
上記特徴点取得手段は、上記一部の領域について最遠部から最近部に向かって上記画素列毎に上記特徴点を探索することを特徴とする。
【0022】
第5の発明によれば、最遠部から最近部に向かって画素列毎に特徴点が探索される。カーブ路においては、自車から遠い程、撮像画像における見かけ上の曲率が大きくなる。よって、見かけ上曲率が大きい部分から特徴点を探索することとなる。これにより、最近部の探索が終了するまでに特徴点の取得数が上限値に達したとしても、特徴点を取得できないことによる影響を小さく抑えることができる。
【0023】
第6の発明は、第3乃至第5いずれかの発明において、
上記特徴点取得手段は、不連続探索手段をさらに含み、
上記不連続探索手段は、上記一部の領域について上記画素列毎に上記特徴点を探索し、且つ、上記画素列を道路長さ方向に不連続的に探索し、
上記不連続探索手段により探索が行われる画素列の間隔は、上記最遠部から上記最近部に向かうにつれて次第に広くなっていることを特徴とする。
【0024】
第6の発明によれば、特徴点取得手段は、画素列を道路長さ方向に不連続的に探索する不連続探索手段をさらに含んでいる。白線等の直線状区画線は連続性が高いため、特徴点取得手段は、道路長さ方向に不連続的(離散的)に特徴点を探索しても、区画線検出に十分な数の特徴点を取得することができる。よって、特徴点取得手段は、不連続探索手段によって白線等の直線状区画線を検出することができる。
また、探索が行われる画素列の間隔は、最遠部から最近部に向かうにつれて次第に広くなっている。カーブ路においては、自車から遠い程、撮像画像における見かけ上の曲率が大きくなる。よって、探索が行われる画素列の間隔を最遠部に向かうにつれて次第に狭くすることにより、最遠部から最近部にかけて全体的にバランス良く白線等の直線状区画線の検知精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、左右の道路区画線のうち一方が白線等の直線状区画線であり、他方がボッツドッツ等で構成される点列状区画線である場合でも、直線状区画線と点列状区画線を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る道路区画線検出装置を示すブロック図
【図2】路端の道路区画線(車道外側線)が直線状区画線であり、車線境界部の道路区画線(車線境界線)が点列状区画線である3車線道路の上面図
【図3】図2に示す道路をカメラで撮像したときの撮像画像を示す図
【図4】ボッツドッツを示す図
【図5】第1実施形態において、不連続探索手段が探索する画素列を道路長さ方向に不連続的(離散的)である様子を示す図
【図6】第1実施形態において、不連続探索手段で検出された特徴点を示す図
【図7】第1実施形態において、連続探索手段が探索する画素列が道路長さ方向に連続的である様子を示す図
【図8】第1実施形態において、連続探索手段で検出された特徴点を示す図
【図9】第1実施形態に係る道路区画線検出装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る道路区画線検出装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る道路区画線検出装置を示すブロック図である。図2は、路端の道路区画線(車道外側線)が直線状区画線であり、車線境界部の道路区画線(車線境界線)が点列状区画線である3車線道路の上面図である。図3は、図2に示す道路をカメラで撮像したときの撮像画像を示す図である。図4は、ボッツドッツを示す図である。
【0028】
第1実施形態に係る道路区画線検出装置1は、道路上の道路区画線を検出する装置である。道路区画線検出装置1は、車両20(図2参照)に搭載される。以下の説明では、片側複数車線の道路(図2参照)を自車20が走行する場合を例にとって説明する。図2に示される例では、道路が片側3車線の道路となっている。
【0029】
道路区画線検出装置1は、撮像手段2と、特徴点取得手段3と、記憶手段4と、区画線検出手段5とを備えている。特徴点取得手段3と、記憶手段4と、区画線検出手段5は、ECU(Electronic Control Unit)19内に設けられている。
【0030】
撮像手段2は、図3に例示されるように、自車20の走行車線を規定する左側の道路区画線6と右側の道路区画線7が撮像されるように路面を撮像する。撮像手段2は、例えば、自車20のウィンドシールド(フロントガラス)の上部室内側に配置され、自車20前方を撮像する。撮像手段2の種類は特に限定されないが、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラである。道路区画線6,7の種類には、ボッツドッツ12(図4参照)またはキャッツアイ(図示せず)で構成された点列状区画線13と、白線または黄色線である直線状区画線14とがある。ボッツドッツ12は、図4に示されるように、直径10cm程度の円形状の道路鋲であり、陶器等で構成されている。図4では、ボッツドッツ12の右側に影を付している。キャッツアイは、長方形状または平行四辺形状の道路鋲であり、アルミニウム合金等で構成されている。
【0031】
点列状区画線13は片側複数車線の道路において車線境界部分に設けられており、路端には設けられていない。路端には直線状区画線14が設けられている。従って、図2に示されるように、片側複数車線の道路において、左端の車線および右端の各車線では、一方側の道路区画線が直線状区画線14であり、他方側の道路区画線が点列状区画線13である。図3に示される例では、左端の車線において、左側の道路区画線6が直線状区画線14であり、右側の道路区画線7が点列状区画線13となっている。また、右端の車線において、左側の道路区画線6が点列状区画線13であり、右側の道路区画線7が直線状区画線14となっている。また、中央の車線において、左側の道路区画線6および右側の道路区画線7が共に点列状区画線13となっている。
【0032】
特徴点取得手段3は、撮像手段2により取得された撮像画像に基づいて、左側の道路区画線6の特徴点8(図6参照)および右側の道路区画線7の特徴点9(図8参照)を取得する。特徴点取得手段3は、連続探索手段17と不連続探索手段18とを含む。
【0033】
不連続探索手段18は、白線等の実線や破線で構成された直線状区画線14の特徴点を主な取得対象とする。不連続探索手段18は、撮像画像の左側の道路区画線6と右側の道路区画線7とが含まれる一部の領域15(図5参照)について画素列16毎に特徴点8,9を探索する。不連続探索手段18は、図5に例示されるように、画素列16を道路長さ方向に不連続的(離散的)に探索する。これにより、低い密度で特徴点8,9が探索される。白線等は連続性が高いため、低い密度で特徴点を検出しても、多数の特徴点を取得することができ、白線等の検出精度を良好に確保することができる。不連続探索手段18により探索が行われる画素列16の間隔は、図5に例示されるように、最遠部から最近部に向かうにつれて次第に広くなっている。ここで、「最遠部」は、一部の領域15において自車20から最も遠い部分を指す。また、「最近部」は、一部の領域15において自車20から最も近い部分を指す。不連続探索手段18は、探索の結果、直線状区画線14の特徴点(図6に例示する特徴点8)を取得する。
【0034】
不連続探索手段18は、アスファルトと直線状区画線14の境界部における輝度のコントラストを検出することにより、特徴点を取得する。不連続探索手段18は、取得された特徴点に対してハフ(Hough)変換等の演算を行うことにより特徴点の並びに近似した直線を求める。これにより、不連続探索手段18は直線状区画線14を検出する。
【0035】
連続探索手段17は、ボッツドッツ12等で構成された点列状区画線13の特徴点を主な取得対象とする。連続探索手段17は、一部の領域15について道路幅方向の画素列16毎に特徴点8,9を探索する。連続探索手段17は、図7に例示されるように、画素列16を道路長さ方向に連続的に探索する。連続探索手段17は、一部の領域15について最遠部から最近部に向かって画素列16毎に特徴点8,9を探索する。これにより、一部の領域15における全ての画素について特徴点8,9が探索される。従って、高い密度で特徴点8,9が探索される。連続探索手段17は、特徴点8,9を探索するためにモルフォロジー演算を行う。モルフォロジー演算は、例えば「モルフォロジー」(コロナ社)に詳述された周知技術である。モルフォロジー演算においては、予め設定された構造要素を使用した集合的論理操作により、元画像(2値画像または濃淡画像)から特定の大きさ以下の構造物のみを選択的に抽出することができる。モルフォロジー演算では、通常、道路幅方向において特定の大きさ以下である構造物が抽出される。ボッツドッツ12から構成される点列状区画線13を検出対象とする場合、ボッツドッツ12の直径10cmに合わせて上記構造要素の大きさが設定される。この場合、連続探索手段17は、ボッツドッツ12以下の大きさの構造物を検出することができる。連続探索手段17は、探索の結果、点列状区画線13の特徴点(図8に例示する特徴点9)を取得する。また、白線等の直線的区画線14の幅がボッツドッツ12の幅以下であれば、直線状区画線14の特徴点(図8に例示する特徴点8)も取得される。
【0036】
記憶手段4は、特徴点取得手段3により取得された特徴点8,9に関する情報(位置等)を記憶する。記憶手段4は、左側の道路区画線6の特徴点8を記憶する第1記憶領域10と、右側の走行区間線7の特徴点9を記憶する第2記憶領域11とを含む。
【0037】
記憶可能な特徴点8,9の数は、第1記憶領域10と第2記憶領域11とで互いに独立に設定されている。第1記憶領域10で記憶可能な特徴点8の数は、左側の道路区画線6が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第1記憶領域10が飽和しないような記憶容量を有している。また、第2記憶領域11で記憶可能な特徴点9の数は、右側の道路区画線7が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第2記憶領域11が飽和しないような記憶容量を有している。第1記憶領域10で記憶可能な特徴点8の数と、第2記憶領域11で記憶可能な特徴点9の数は、例えば、互いに同数に設定することができる。
【0038】
区画線検出手段5は、記憶手段4から読み出した特徴点8に基づいて道路区画線6を検出し、記憶手段4から読み出した特徴点9に基づいて道路区画線7を検出する。
【0039】
次に、道路区画線検出装置1の動作について、図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0040】
まず、撮像手段2が、左側の道路区画線6と右側の道路区画線7が撮像されるように路面を撮像する(ステップS1)。
【0041】
次いで、不連続探索手段18が、撮像画像の左側の道路区画線6と右側の道路区画線7とが含まれる一部の領域15について道路幅方向の画素列16毎に特徴点8,9を探索する(ステップS2)。不連続探索手段18は、画素列16を道路長さ方向に不連続的(離散的)に探索する。これにより、低い密度で特徴点8,9が探索される。特徴点取得手段3は、一部の領域15について最遠部から最近部に向かって画素列16毎に特徴点8,9を探索する。
【0042】
次いで、記憶手段4が、不連続探索手段18により取得された特徴点8,9を記憶する(ステップS3)。第1記憶領域10は左側の道路区画線6の特徴点8を記憶し、第2記憶領域11は右側の道路区画線7の特徴点9を記憶する。上記したように、第1記憶領域10で記憶可能な特徴点8の数は、左側の道路区画線6が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第1記憶領域10が飽和しないような記憶容量を有している。また、第2記憶領域11で記憶可能な特徴点9の数は、右側の道路区画線7が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第2記憶領域11が飽和しないような記憶容量を有している。よって、不連続探索手段18で最遠部から最近部まで特徴点8,9の取得が行われた時に、左側の道路区画線6および右側の道路区画線7のいずれか一方が点列状区画線13であり、且つ、他方が直線状区画線14であっても、第1記憶領域10および第2記憶領域11は飽和しない。
【0043】
次いで、区画線検出手段5が、第1記憶領域10から読み出した特徴点8に基づいて道路区画線6を検出し、第2記憶領域11から読み出した特徴点9に基づいて道路区画線7を検出する(ステップS4)。上記の不連続探索手段18は低い密度で特徴点8,9を探索するため、通常、直線状区画線14の特徴点しか検出できない。このため、第1記憶領域10および第2記憶領域11には直線状区画線14の特徴点しか記憶されない。よって、ステップS4では、区画線検出手段5は、直線状区画線14のみを検出する。図4に示される例では、左側の道路区画線6のみが検出される。
【0044】
次いで、連続探索手段17が、一部の領域15について道路幅方向の画素列16毎に特徴点8,9を探索する(ステップS5)。連続探索手段17は、画素列16を道路長さ方向に連続的に探索する。これにより、一部の領域15における全ての画素について特徴点8,9が探索される。つまり、高い密度で特徴点8,9の探索が行われる。
【0045】
次いで、記憶手段4が、連続探索手段17により取得された特徴点8,9を記憶する(ステップS6)。第1記憶領域10は左側の道路区画線6の特徴点8を記憶し、第2記憶領域11は右側の道路区画線7の特徴点9を記憶する。上記したように、第1記憶領域10で記憶可能な特徴点8の数は、左側の道路区画線6が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第1記憶領域10が飽和しないような記憶容量を有している。また、第2記憶領域11で記憶可能な特徴点9の数は、右側の道路区画線7が直線状区画線14である場合に連続探索手段17がその直線状区画線14の最遠部から最近部まで特徴点8を取得しても、第2記憶領域11が飽和しないような記憶容量を有している。よって、連続探索手段17で最遠部から最近部まで特徴点8,9の取得が行われた時に、左側の道路区画線6および右側の道路区画線7のいずれか一方が点列状区画線13であり、且つ、他方が直線状区画線14であっても、第1記憶領域10および第2記憶領域11は飽和しない。
【0046】
次いで、区画線検出手段5が、第1記憶領域10から読み出した特徴点8に基づいて道路区画線6を検出し、第2記憶領域11から読み出した特徴点9に基づいて道路区画線7を検出する(ステップS7)。上記の連続探索手段17は高い密度で特徴点8,9を探索するため、直線状区画線14および点列状区画線13の双方の特徴点を検出することができる。よって、第1記憶領域10および第2記憶領域11は、直線状区画線14および点列状区画線13の特徴点の双方を記憶することができる。従って、ステップS7では、区画線検出手段5は、直線状区画線14および点列状区画線13の双方を検出する。図4に示される例では、区画線検出手段5は、左側の道路区画線6および右側の道路区画線7の双方を検出する。なお、上記したステップS4において直線状区画線14が既に検出されているから、ステップS7では直線状区画線14の検出動作を省略してもよい。以上が道路区画線検出装置1の動作である。
【0047】
なお、区画線検出手段5で検出された道路区画線6,7の情報は、ハンドリングアシスト手段(図示せず)等に出力され、運転支援等に用いられる。
【0048】
以上説明したように、道路区画線検出装置1によれば、記憶手段4は、左側の道路区画線6の特徴点8を記憶する第1記憶領域10と、右側の道路区画線7の特徴点9を記憶する第2記憶領域11とを含んでいる。記憶可能な特徴点8,9の数は、第1記憶領域10と第2記憶領域11とで互いに独立に設定されている。従って、例えば、左側の道路区画線6が白線であり、右側の道路区画線7がボッツドッツ12である場合、第1記憶領域10に記憶される白線の特徴点8の数に関わらず、第2記憶領域11に十分にボッツドッツ12の特徴点が記憶される。よって、左側の道路区画線6が白線であり、右側の道路区画線7がボッツドッツ12で構成されている場合であっても、ボッツドッツ12で構成される道路区画線7を確実に検出することができる。また、白線は連続性が高いから、白線の特徴点の取得数が上限値に達して特徴点を多少取得できなくても、道路区画線検出装置1は白線を十分に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ボッツドッツ等で構成される点列状区画線を検出する道路区画線検出装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 道路区画線検出装置
2 撮像手段
3 特徴点取得手段
4 記憶手段
5 区画線検出手段
6 左側の道路区画線
7 右側の道路区画線
8 左側の道路区画線の特徴点
9 右側の道路区画線の特徴点
10 第1記憶領域
11 第2記憶領域
12 ボッツドッツ
13 点列状区画線
14 直線状区画線
15 一部の領域
16 画素列
17 連続探索手段
18 不連続探索手段
19 ECU
20 自車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の道路区画線を検出する道路区画線検出装置であって、
車線を規定する左側の道路区画線と右側の道路区画線が撮像されるように路面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により取得された撮像画像に基づいて、各前記道路区画線の特徴点を取得する特徴点取得手段と、
前記特徴点取得手段により取得された特徴点を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記特徴点に基づいて、各前記道路区画線を検出する区画線検出手段とを備え、
前記記憶手段は、前記左側の道路区画線の特徴点を記憶する第1記憶領域と、前記右側の道路区画線の特徴点を記憶する第2記憶領域とを含み、記憶可能な特徴点の数は、前記第1記憶領域と前記第2記憶領域とで互いに独立に設定されていることを特徴とする道路区画線検出装置。
【請求項2】
前記左側の道路区画線と前記右側の道路区画線のいずれか一方がボッツドッツまたはキャッツアイで構成され、他方が白線または黄色線であることを特徴とする請求項1に記載の道路区画線検出装置。
【請求項3】
前記特徴点取得手段は、連続探索手段を含み、
前記連続探索手段は、前記撮像画像の前記左側の道路区画線と前記右側の道路区画線とが含まれる一部の領域について道路幅方向の画素列毎に前記特徴点を探索し、且つ、前記画素列を道路長さ方向に連続的に探索することを特徴とする請求項1または2に記載の道路区画線検出装置。
【請求項4】
前記特徴点取得手段は、前記特徴点を探索するためにモルフォロジー演算を行うことを特徴とする請求項3に記載の道路区画線検出装置。
【請求項5】
前記特徴点取得手段は、前記一部の領域について最遠部から最近部に向かって前記画素列毎に前記特徴点を探索することを特徴とする請求項3または4に記載の道路区画線検出装置。
【請求項6】
前記特徴点取得手段は、不連続探索手段をさらに含み、
前記不連続探索手段は、前記一部の領域について前記画素列毎に前記特徴点を探索し、且つ、前記画素列を道路長さ方向に不連続的に探索し、
前記不連続探索手段により探索が行われる画素列の間隔は、前記最遠部から前記最近部に向かうにつれて次第に広くなっていることを特徴とする請求項3乃至5いずれか1項に記載の道路区画線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−170396(P2010−170396A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13172(P2009−13172)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】