説明

道路情報管理装置、道路情報管理方法、コンピュータプログラム

【課題】経路探索処理や経路誘導処理といった各種処理における負担を軽減し、その処理速度の向上を図ると共に、これから走行するのであろう道路を予測可能とする。
【解決手段】本装置10では、所定の道路を指定するリンク情報を受け付け、そのリンク属性(指定リンク属性情報)を特定する。また、リンク情報よりノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、そのリンク属性(接続リンク属性情報)をそれぞれ特定する。次いで、指定リンク属性情報と全ての接続リンク属性情報とを比較し、リンク属性に基づき統合可能な接続リンクの有無を判定する。さらに、指定したリンク情報と統合可能な接続リンクの接続角度に基づき統合維持可能な接続リンクの有無を判定する。そして、統合維持可能なリンク情報と接続リンク情報とを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報におけるデータサイズの削減を図る技術に係り、詳しくは、道路情報を規則的にまとめることで、経路探索処理や経路誘導処理といった各種処理における負担を軽減し、その処理速度の向上を図ると共に、これから走行するのであろう道路を予測可能とするようにした道路情報管理装置、道路情報管理方法、及び道路情報管理用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の目的地までの到達を支援する経路探索処理や経路誘導処理を実施する手段として、ナビゲーションシステムが知られている。このナビゲーションシステムは、GPS(Global Positioning System)によって移動体の位置を計測し、この移動体の現在位置情報と道路地図情報とを基に経路探索処理によって推奨移動経路を求め、この推奨移動経路に基づいて移動経路の自動案内(以下、「経路誘導」という。)を行う。たとえば、カーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という。)が搭載された車両では、道路地図情報と車両の現在位置情報とを表示装置(モニタ)上に表示すると共に、目的地までの推奨移動経路を探索して表示装置上に併せて表示することで、視覚によって道順を報知する。また、カーナビには、案内音声の出力によって、聴覚によって道順を報知する機能を備えたものもある。
【0003】
このようなカーナビでは、経路探索処理や経路誘導処理等において走行する経路を算出する場合、走行可能な道路を示すリンクを特定するリンク情報を記憶する道路情報記憶部を参照し、1つ1つのリンク情報に基づいてその処理を行っている。
ところが、このような処理では、参照すべきリンク情報のデータ量が多く、システム全体の処理速度が低減してしまう。
【0004】
また、リンク情報のネットワークは、道路を示すリンクと、道路の端点を示すノードとで構成されている。したがって、道路種別や車線数、幅員、通行規制といった道路属性が同一の場合は、1つの塊として見ることができ、これによってリンク情報のデータ量を削減することができる。
ところが、道路属性に基づいてリンク情報をあまりにまとめて過ぎてしまうと、ユーザの好みに合わせた経路探索処理や経路誘導処理等を実現することが困難になってしまうと共に、ユーザがこれから走行すると思われる道路を推測し、適切な道路情報を提供するといった新たなサービスを実現する処理を行うこともできない。なお、道路情報とは、たとえば走行中の道路の先に踏切や通学路、急カーブ等があるといったときに、ユーザに注意を喚起させるような情報をいう。
【0005】
そこで、少ないデータ量で、効率良くデータ処理を行うようにした手段がいくつか提案されている。
たとえば、リンク列データの内部に、隣接するリンクに対応してノード情報を1つずつ設けることで、ノード情報の数を減らして地図情報のデータ量を削減するようにした技術がある。(特許文献1を参照)。
また、経路誘導に使用する誘導データに方向特性を持たせ、道路の進行方向により異なる経路誘導データを扱えるようにした技術がある。(特許文献2を参照)。
【特許文献1】特許第2826079号公報
【特許文献2】特許第3474380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載された技術は何れも、道路の属性に基づいてデータ量の削減を行なうものであり、ユーザがこれから走行すると思われる道路を推測し、経路探索処理や経路誘導処理等における処理の負担軽減を行うことを意図したものではない。したがって、データ量を削減しつつ、走行予測処理の実現を可能とすることができるものではない。
このように、経路探索処理や経路誘導処理といった各種処理における負担を軽減し、その処理速度の向上を図ると共に、これから走行するのであろう道路を予測可能とするようにした手段は、現在のところ提案されていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、経路探索処理や経路誘導処理といった各種処理における負担を軽減し、その処理速度の向上を図ると共に、これから走行するのであろう道路を予測可能とする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の走行経路予測装置は、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図るようにした道路情報管理装置であって、走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付けるリンク情報受付手段と、前記リンク情報受付手段でのリンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する指定リンク属性情報特定手段と、前記指定リンク属性情報特定手段での指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する接続リンク属性情報特定手段と、前記指定リンク属性情報特定手段で特定した指定リンク属性情報と、前記接続リンク属性情報特定手段で特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定するリンク属性判定手段と、前記リンク属性判定手段で統合可能な接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する接続角度判定手段と、前記接続角度判定手段で統合維持可能な接続リンクがあると判定したとき、前記リンク情報受付手段で受け付けたリンク情報と、前記接続角度判定手段で統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶するリンク列生成手段と、を備え、前記リンク情報受付手段は、前記接続角度判定手段で統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付けることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の走行経路予測装置は、前記接続角度判定手段が、前記リンク属性判定手段において統合可能な接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定するものとしても良い。
【0010】
また、本発明の走行経路予測方法は、走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、道路情報管理装置により、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図るようにした道路情報管理方法であって、前記道路情報管理装置において、所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付ける第1ステップと、前記道路情報管理装置において、前記第1ステップでのリンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する第2ステップと、前記道路情報管理装置において、前記第2ステップでの指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する第3ステップと、前記道路情報管理装置において、前記第2ステップで特定した指定リンク属性情報と、前記第3ステップで特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定する第4ステップと、前記道路情報管理装置において、前記第4ステップで統合可能な接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する第5ステップと、前記道路情報管理装置において、前記第5ステップで統合維持可能な接続リンクがあると判定したとき、前記第1ステップで受け付けたリンク情報と、前記第5ステップで統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶する第6ステップと、前記第5ステップで統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、前記道路情報管理装置において、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付ける第7ステップと、を含んだことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の走行経路予測方法は、前記道路情報管理装置において、前記第5ステップは、前記第4ステップにおいて統合可能な接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定するものとしても良い。
【0012】
また、本発明のコンピュータプログラムは、走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図ることを実行させるためにコンピュータを、所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付ける手段、前記リンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する手段、前記指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する手段、特定した前記指定リンク属性情報と、特定した全ての前記接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定する手段、統合可能な前記接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する手段、統合維持可能な前記接続リンクがあると判定したとき、受け付けた前記リンク情報と、統合可能な接続リンクと判定した前記接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶する手段、統合可能な接続リンクと判定した前記接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付ける手段、として機能させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、統合可能な前記接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する手段、としてさらに機能させるものとしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の走行経路予測装置は、リンク属性に基づいて統合可能な接続リンクがあると判定したとき、総合するリンク同士の接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する手段を備える。ゆえに、リンク属性が同一であってもこの接続角度が所定の角度範囲内に無いときは、統合可能と判定せず、一方、リンク属性が同一であり、かつ、この接続角度が所定の角度範囲内にあるときは、統合維持可能と判定し、両者のリンク情報を統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて記憶する。そして、経路探索処理や経路誘導処理においては、道路情報を規則的にまとめるたこのリンク列情報を用いるものとする。
したがって、経路探索処理や経路誘導処理といった各種処理における負担を軽減し、その処理速度の向上を図ると共に、これから走行するのであろう道路を予測可能とする仕組みを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る道路情報管理装置、道路情報管理方法、道路情報管理用のコンピュータプログラムの一例について説明する。
本発明に係る道路情報管理装置(以下、「本装置」という)10は、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図るようにした装置である。
【0016】
<第1の実施の形態>
図1は、本装置を用いた道路情報管理システム(以下、「本システム」という)の一例を示す概略図である。
本システムは、図1に示すように、本装置10と、情報入力装置20によって構成することができる。
情報入力装置20は、本装置10に対して所定の道路を指定するリンク情報の入力を行なう装置であり、リンク指定テキスト情報を入力するキーボードや、ポインタ選択式のコマンド入力ボタンを選択するマウス等である。
【0017】
次に、本装置10の構成について説明する。
図2は、本装置10の一例を示すブロック構成図である。
本装置10は、図2に示すように、道路情報記憶部(第1記憶部)F1と、リンク列情報記憶部(第2記憶部)F2と、リンク情報受付部11と、指定リンク属性情報特定部12と、接続リンク属性情報特定部13と、リンク属性判定部14と、接続角度判定部15と、リンク列生成部16と、制御部Cと、を少なくとも有している。なお、図中の符号Bは、本装置10において制御信号、データ等を伝送するバスである。
【0018】
本装置10は、情報処理装置であればよく、たとえば、机上据え置きタイプのパーソナルコンピュータをはじめ、モバイルタイプのパーソナルコンピュータや、専用デバイスなどで実現される。また、本装置10は、図示しないが、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、ディスプレイ(モニタ)等の出力装置、補助記憶装置、OS(オペレーティング・システム)、等を有する。
CPUは、プログラム記憶部に記憶されたコンピュータプログラムに従い、本装置10の各構成要素を統制制御し、プログラム処理を実行する手段である。プログラム記憶部は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成され、本装置10が使用する各種コンピュータプログラムを記憶している手段である。
【0019】
道路情報記憶部F1は、走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、この道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、この道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、この道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する手段である。
【0020】
図3は、道路情報記憶部F1に記憶されている情報の例を示す図である。
たとえば、図3に示す道路情報管理ファイルでは、リンク情報としてリンクIDと、第1ノード情報としてノードID、及び第2ノード情報としてノードIDと、リンク属性情報として道路種別、車線数、幅員、通行規制等を、それぞれ互いに関連付けてファイルを構成することを示している。また、図3に示す道路情報管理ファイルでは、ノードIDと、このノードの位置情報と、このノードに対する接続リンク数、これら接続リンク情報としてリンクID、及びリンクと接続リンクとの接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ互いに関連付けてファイルを構成することを示している。
したがって、この道路情報管理ファイルにより、統合の可否を確認するリンクを特定するリンク情報が分かれば、そのリンク属性と、全ての接続リンクのリンク属性が分かり、さらに、リンクと接続リンクとの接続角度情報が分かるものとなる。
【0021】
この道路情報は、予め本装置10の記憶部に記憶される外、たとえば所謂SDメモリカードと称されるリムーバブルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介してダウンロードするものとしても構わない。
【0022】
リンク列情報記憶部F2は、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、このリンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する手段である。
【0023】
図4は、リンク列情報記憶部F2に記憶されている情報の例を示す図である。
たとえば、図4に示すリンク列情報管理ファイルでは、リンク列情報(リンク列ID)と、統合したリンクの数を示す統合リンク数、及びそのリンクをそれぞれ特定する複数のリンク情報(リンクID)と、を互いに関連付けると共に、このリンク列における一方の端点を示す第1ノード情報(ノードID)、及び同リンク列における他方の端点を示す第2ノード情報(ノードID)を関連付けてファイルを構成することを示している。
したがって、このリンク列情報管理ファイルにより、複数のリンク情報を統合してリンク列として管理することができると共に、リンク列の一方の端点を示ノード情報が分かれば、複数のリンク情報を統合した他方の端点を示ノード情報が分かり、効率良くリンク情報をまとめて特定することができるものとなる。
【0024】
リンク情報受付部11は、所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付ける処理を行う。
リンク情報受付部11は、受け付けたリンク情報を指定リンク属性情報特定部12へ送信する。また、リンク情報受付部11は、必要に応じて受け付けたリンク情報をリンク列生成部16へ送信する。ここで、必要に応じてとは、接続角度判定部15において統合維持可能な接続リンクがあると判定したときである。
【0025】
また、リンク情報受付部11は、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報として接続角度判定部15よりさらに受け付ける機能を有する。
【0026】
指定リンク属性情報特定部12は、リンク情報受付部11でのリンク情報の受け付けに応じ、道路情報記憶部F1を参照してリンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する処理を行う。
指定リンク属性情報特定部12は、特定した指定リンク属性情報を接続リンク属性情報特定部13及びリンク属性判定部14へ送信する。
【0027】
接続リンク属性情報特定部13は、指定リンク属性情報特定部12での指定リンク属性情報の特定後、引き続き、道路情報記憶部F1よりリンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する処理を行う。
接続リンク属性情報特定部13は、特定した全ての接続リンク情報に対する指定リンク属性情報をリンク属性判定部14へ送信する。
【0028】
リンク属性判定部14は、指定リンク属性情報特定部12で特定した指定リンク属性情報と、接続リンク属性情報特定部13で特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定する処理を行う。
リンク属性判定部14は、統合可能と判定した接続リンク属性情報を接続角度判定部15へ送信する。
【0029】
接続角度判定部15は、リンク属性判定部14で統合可能な接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定したリンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき道路情報記憶部F1を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する処理を行う。ここで、所定の角度範囲内とは、リンク情報受付部11でリンク情報の入力を受け付けた所定のリンクと、リンク属性判定部14で統合可能と判定した接続リンクとの直線性を判断するものであり、たとえば180°から一定の範囲内の角度にあることをいう。したがって、180°から一定の範囲内にあるとき、直線性があると判断することができる。
接続角度判定部15は、統合維持可能と判定した接続リンク情報をリンク列生成部16へ送信する。また、接続角度判定部15は、統合維持可能と判定した接続リンク情報をリンク情報受付部11へ送信する。
【0030】
リンク列生成部16は、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンクがあると判定したとき、リンク情報受付部11で受け付けたリンク情報と、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけてリンク列情報記憶部F2に記憶する処理を行う。
【0031】
制御部Cは、CPU、ROM、RAM等を具備し、本装置10の各構成要素を統制制御し、その処理を実行する。
【0032】
次に、上述した道路情報管理方法を実施する本装置10の動作の一例を、図5を参照しながら説明する。図5は、本システムにおける道路情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
ここで、1つ1つのリンクと、互いに隣接するリンクとの接続角度は、たとえば図6に示すことができる。図6は、本発明に係る道路情報管理装置においてリンクを統合する処理の一例を示す模式図ある。
図6(A)において、一方の端点(ノード)がノードN1であり、他方の端点(ノード)がノードN2である道路(リンク)がリンクL001で示され、また、このノードN2を一方の端点とし、他方の端点をノードN3とする道路がリンクL002で示され、また、このノードN3を一方の端点とし、他方の端点をノードN4とする道路がリンクL003で示され、また、このノードN4を一方の端点とし、他方の端点をノードN5とする道路がリンクL004で示され、さらに、このノードN5を一方の端点とし、他方の端点をノードN6とする道路がリンクL005で示されている。ここで、リンクL001〜リンクL005は、何れもリンク属性が互いに同一であるものとする。
【0034】
また、図6(A)において、リンクL001とリンクL002との接続角度がα1、リンクL002とリンクL003との接続角度がα2、リンクL003とリンクL004との接続角度がα3、リンクL004とリンクL005との接続角度がα4で示されている。ここで、接続角度α1、α2、α4は所定の角度範囲内にあり、接続角度α3は所定の角度範囲内に無いものとする。
【0035】
このような状況において、リンク情報受付部11が、所定の道路を指定するリンク情報の入力を取得する(S10)。すなわち、たとえばリンクL001を所定の道路として指定するリンク情報を入力すると、リンク情報受付部11が、リンクL001のリンク情報を取得する。
次いで、指定リンク属性情報特定部12が、リンク情報受付部11でのリンク情報の受け付けに応じ、道路情報記憶部F1を参照してリンク情報に基づき指定リンク属性情報を特定する(S20)。すなわち、リンクL001のリンク属性情報を、指定リンク属性情報として特定する。
【0036】
また、指定リンク属性情報特定部12での指定リンク属性情報の特定後、引き続き、接続リンク属性情報特定部13が、道路情報記憶部F1より、リンク情報に基づきノード情報を特定する(S30)。すなわち、たとえばノードN1を一方の端点としたとき、リンクL001の他方の端点であるノードN2を特定する。
さらに、接続リンク属性情報特定部13が、特定したノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定する(S40)。すなわち、ノードN2に接続されているリンクL002のリンク情報を接続リンク情報として特定する。
そして、接続リンク属性情報特定部13が、特定した接続リンク情報に基づき接続リンク属性情報をそれぞれ特定する(S50)。すなわち、リンクL002のリンク属性情報を、接続リンク属性情報として特定する。
【0037】
次に、リンク属性判定部14が、指定リンク属性情報特定部12で特定した指定リンク属性情報と、接続リンク属性情報特定部13で特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクが有るか否か判定する(S60)。すなわち、リンクL001のリンク属性情報と、リンクL002のリンク属性情報と、をそれぞれ比較して統合可能な接続リンクが有るか否か判定する。
【0038】
その結果、リンク属性判定部14が、同一リンク属性の接続リンクがある(統合可能な接続リンクがある)と判定した場合(Y)、引き続き、接続角度判定部15が、統合可能と判定したリンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき道路情報記憶部F1を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクが有るか否か判定する(S70)。すなわち、リンクL001とリンクL002とが統合可能であると判定した場合、さらに、リンクL001とリンクL002との接続角度α1を特定して統合維持可能な接続リンクであるか否か判定する。
一方、リンク属性判定部14が、同一リンク属性の接続リンクが無いと判定した場合(N)、そのまま本装置10での道路情報管理処理における一連の動作が終了する。
【0039】
また、接続角度は所定の角度範囲内であるか判定した結果、接続角度判定部15が接続角度は所定の角度範囲内である(統合維持可能な接続リンクがある)と判定した場合(Y)、引き続き、リンク列生成部16が、リンク情報受付部11で受け付けたリンク情報と、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出する(S80)。すなわち、接続角度α1は所定の角度範囲内にあり、リンクL001とリンクL002とが統合維持可能であると判定した場合、さらに、リンクL001のリンク情報とリンクL002のリンク情報をそれぞれ抽出する。
一方、接続角度判定部15が、接続角度は所定の角度範囲内に無いと判定した場合(N)、そのまま本装置10での道路情報管理処理における一連の動作が終了する。
【0040】
さらに、リンク列生成部16は、抽出したリンク情報と接続リンク情報とを、何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけてリンク列情報記憶部F2に記憶する(S90)。すなわち、リンクL001のリンク情報とリンクL002のリンク情報とを統合し、リンク列A1として記憶する。
【0041】
そして、接続角度判定部15は、統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報に指定する(S100)。接続角度判定部15は、統合維持可能と判定した接続リンク情報をリンク情報受付部11へ送信する。
その後、リンク情報受付部11は、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報をリンク情報としてさらに受け付けることを繰り返す(S10)。すなわち、リンクL002のリンク情報を、所定の道路として指定するリンク情報とし、統合維持可能な接続リンクが無いと判定するまで上記処理を順次繰り返す。
【0042】
そうすると、本装置10では、リンク属性が同一であり、接続角度も所定の角度範囲内にあるリンクL002とリンクL003とを互いに統合し、リンク列A1としてリンク列情報記憶部F2に記憶する。また、リンク属性は同一であるが、接続角度が所定の角度範囲内にないリンクL003とリンクL004とは互いに統合しない。したがって、図6(B)に示すように、リンク列A1は、リンクL001〜L003により構成されたものとなる。
また、リンクL004のリンク情報は、所定の道路を指定するリンク情報として再度上記処理を繰り返す。そして、リンク属性が同一であり、接続角度も所定の角度範囲内にあるリンクL004とリンクL005とを互いに統合し、リンク列A2としてリンク列情報記憶部F2に記憶する。したがって、図6(B)に示すように、リンク列A2は、リンクL004とL005により構成されたものとなる。
【0043】
以上のように本実施の形態においては、リンク列の統合条件に、道路の直線性(リンクの接続角度)の制約を加えてリンク列の接続状態を見ることで、複数のリンク情報を同一のリンク列にまとめてデータ量の削減を行なう。
これにより、同一のリンク列にあるリンクをこれから走行するのであろう道路とみなし、経路探索処理や経路誘導処理において処理速度の軽減を可能としつつ、効率良く適切な道路情報を提供するといった新たなサービスを実現することができる。
【0044】
すなわち、本実施の形態では、データ量削減の技術であるリンク列統合の技術を走行予測に使うことで、これから連続して走行すると思われる道路を同一のリンク列にまとめるリンク列の統合を行なうことができる。
したがって、踏み切り案内等、主に誘導において、これから走行すると思われる道路の推測の処理における負担を軽減し、ユーザに快適な動作環境を提示することが可能となる。
【0045】
<第2の実施の形態>
また、本発明では、統合可能な接続リンクが2以上ある場合でも、同一のリンク列情報として記憶する接続リンクを見極めて特定することもできる。すなわち、上述した第1の実施の形態とは、統合可能な接続リンクが2以上あると判定したときに、接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する点で異なる。
なお、以下に述べる他の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0046】
本実施の形態において、接続角度判定部15は、リンク属性判定部14において統合可能な接続リンクが2以上あると判定したとき、接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する機能をさらに有する。
【0047】
以下、本装置10により実行される道路情報管理方法を実施する本装置10での道路情報管理処理の他の動作の一例を、図7を参照しながら説明する。図7は、本装置10での道路情報管理処理の他の一例を示すフローチャートである。
ここで、1つ1つのリンクと、互いに隣接するリンクとの接続角度は、たとえば図8に示すことができる。図8は、本発明に係る道路情報管理装置においてリンクを統合する処理の他の一例を示す模式図ある。
【0048】
図8(A)において、一方の端点(ノード)がノードN11であり、他方の端点(ノード)がノードN12である道路(リンク)がリンクL011で示され、このノードN12を一方の端点とし、他方の端点をノードN13とする道路がリンクL012で示され、また、このノードN13を一方の端点とし、他方の端点をノードN14とする道路がリンクL013で示され、また、このノードN14を一方の端点とし、他方の端点をノードN15とする道路がリンクL014で示されている。さらに、ノードN14を一方の端点とし、他方の端点をノードN16とする道路がリンクL015で示され、また、このノードN16を一方の端点とし、他方の端点をノードN17とする道路がリンクL016で示されている。ここで、リンクL011〜リンクL016は、何れもリンク属性が互いに同一であるものとする。
【0049】
また、図8(A)において、リンクL011とリンクL012との接続角度がβ1、リンクL012とリンクL013との接続角度がβ2、リンクL013とリンクL014との接続角度がβ3で示されている。また、リンクL013とリンクL015との接続角度がβ4で示され、リンクL015とリンクL016との接続角度がβ5で示されている。ここで、接続角度β1、β2、β3、β5は所定の角度範囲内にあり、接続角度β4は所定の角度範囲内に無いものとする。
【0050】
このような状況において、リンク情報受付部11が、所定の道路を指定するリンク情報の入力を取得する(S10)。すなわち、たとえばリンクL011及びリンクL012と統合された同一のリンク列A3となったリンクL013を所定の道路として指定するリンク情報を入力すると、リンク情報受付部11が、リンクL013のリンク情報を取得する。
次いで、指定リンク属性情報特定部12が、リンク情報受付部11でのリンク情報の受け付けに応じ、道路情報記憶部F1を参照してリンク情報に基づき指定リンク属性情報を特定し、引き続き、接続リンク属性情報特定部13が、道路情報記憶部F1よりリンク情報に基づきノード情報を特定する。すなわち、リンクL013のリンク属性情報を、指定リンク属性情報として特定し、さらに、たとえばノードN13を一方の端点としたとき、リンクL013の他方の端点であるノードN14を特定する。
【0051】
また、接続リンク属性情報特定部13が、特定したノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定すると共に、この接続リンク情報に基づき接続リンク属性情報をそれぞれ特定し、さらに、リンク属性判定部14が、指定リンク属性情報特定部12で特定した指定リンク属性情報と、接続リンク属性情報特定部13で特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクが有るか否か判定する(S60)。ここまで処理は、上述した第1の実施の形態の場合と同様である。すなわち、ノードN14に接続されているリンクL014とリンクL015のリンク情報をそれぞれ特定し、さらに、リンクL014とリンクL015のリンク属性情報を特定し、リンクL013のリンク属性情報とリンクL014のリンク属性情報、及びリンクL013のリンク属性情報とリンクL015のリンク属性情報、をそれぞれ比較して統合可能な接続リンクが有るか否か判定する。
【0052】
次いで、リンク属性判定部14が、同一リンク属性の接続リンクがある(統合可能な接続リンクがある)と判定した場合(Y)、引き続き、リンク属性判定部14が、統合可能な接続リンクが2以上あるか否か判定する(S61)
その結果、リンク属性判定部14が、統合可能な接続リンクが2以上あると判定した場合(Y)、次に、接続角度判定部15が、統合可能と判定した接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき道路情報記憶部F1を参照して接続角度情報をそれぞれ特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクが有るか否か判定する(S70)。すなわち、リンクL014とリンクL015のリンク属性情報が、何れもリンクL013のリンク属性情報と同一であり、統合可能な接続リンクが2つあると判定したとき、さらに、リンクL013とリンクL014との接続角度β3を特定して統合維持可能な接続リンクが有るか否か判定すると共に、リンクL013とリンクL015との接続角度β4を特定して統合維持可能な接続リンクであるか否か判定する。
【0053】
一方、リンク属性判定部14が、統合可能な接続リンクが2以上ない(1つだけである)と判定した場合(Y)、引き続き、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、リンク列生成16が、リンク情報受付部11で受け付けたリンク情報と、接続角度判定部14で統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出する(S80)。
【0054】
また、接続角度は所定の角度範囲内であるか判定した結果、接続角度判定部15が接続角度は所定の角度範囲内である(統合維持可能な接続リンクがある)と判定した場合(Y)、引き続き、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、リンク列生成部16が、リンク情報と統合維持可能な接続リンク情報と、をそれぞれ抽出する(S80)。すなわち、接続角度β3は所定の角度範囲内にあり、リンクL013とリンクL014とが統合可能であると判定した場合、さらに、リンクL013のリンク情報とリンクL014のリンク情報をそれぞれ抽出する。
【0055】
一方、接続角度判定部15が、接続角度は所定の角度範囲内に無いと判定した場合(N)、そのまま本装置10での道路情報管理処理における一連の動作が終了する。すなわち、接続角度β4は所定の角度範囲内に無く、リンクL013とリンクL015とが統合不可能であると判定した場合、本装置10での連続した統合処理は終了し、このリンクL015を所定の道路として指定するリンク情報を入力し、再度最初から処理を繰り返す。
そうすると、リンク属性が同一であり、接続角度も所定の角度範囲内にあるリンクL015とリンクL016は互いに統合し、リンク列A4としてリンク列情報記憶部F2に記憶する。したがって、図8(B)に示すように、リンク列A4は、リンクL015とL016により構成されたものとなる。
【0056】
さらに、リンク列生成部16は、抽出したリンク情報と接続リンク情報とを、何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけてリンク列情報記憶部F2に記憶し(S90)。すなわち、リンクL013のリンク情報とリンクL014のリンク情報とを統合し、リンク列A3としてリンク列情報記憶部F2に記憶する。したがって、図8(B)に示すように、リンク列A3は、リンクL011〜リンクL014により構成されたものとなる。
そして、接続角度判定部15は、統合維持可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報に指定する(S100)。接続角度判定部15は、統合維持可能と判定した接続リンク情報をリンク情報受付部11へ送信する。
その後、リンク情報受付部11は、接続角度判定部15で統合維持可能な接続リンク情報をリンク情報としてさらに受け付けることを繰り返す(S10)。
【0057】
以上のように本実施の形態においては、統合可能な接続リンクが2以上ある場合でも、リンク列の統合条件に、道路の直線性(リンクの接続角度)の制約を加えてリンク列の接続状態を見ることで、複数のリンク情報を同一のリンク列にまとめてデータ量の削減を行なう。
したがって、ユーザがこれから走行すると思われる道路を推測し、経路誘導処理等において処理速度の軽減を可能としつつ、効率良く切な道路情報の案内を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、経路探索や経路誘導を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、電子地図の表示が可能なカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る道路情報管理装置を用いた道路情報管理システムの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る道路情報管理装置の実施形態の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明に係る道路情報管理装置が備える記憶部に記憶されている道路情報管理ファイルの構造を示す一例である。
【図4】本発明に係る道路情報管理装置が備える記憶部に記憶されているリンク列情報管理ファイルの構造を示す一例である。
【図5】本発明に係る道路情報管理装置での道路情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る道路情報管理装置においてリンクを統合する処理の一例を示す模式図ある。
【図7】本発明に係る道路情報管理装置での道路情報管理処理の他の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る道路情報管理装置においてリンクを統合する処理の他の一例を示す模式図ある。
【符号の説明】
【0060】
C 制御部、F1 道路情報記憶部(第1記憶手段)、F2 リンク列情報記憶部(第2記憶手段)、10 道路情報管理装置、11 リンク情報受付部、12 指定リンク属性情報特定部、13 接続リンク属性情報特定部、14 リンク属性判定部、15 接続角度判定部、16 リンク列生成部、20 情報入力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図るようにした道路情報管理装置であって、
走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、
複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、
所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付けるリンク情報受付手段と、
前記リンク情報受付手段でのリンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する指定リンク属性情報特定手段と、
前記指定リンク属性情報特定手段での指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する接続リンク属性情報特定手段と、
前記指定リンク属性情報特定手段で特定した指定リンク属性情報と、前記接続リンク属性情報特定手段で特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定するリンク属性判定手段と、
前記リンク属性判定手段で統合可能な接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する接続角度判定手段と、
前記接続角度判定手段で統合維持可能な接続リンクがあると判定したとき、前記リンク情報受付手段で受け付けたリンク情報と、前記接続角度判定手段で統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶するリンク列生成手段と、
を備え、
前記リンク情報受付手段は、前記接続角度判定手段で統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付ける、
ことを特徴とする道路情報管理装置。
【請求項2】
前記接続角度判定手段は、前記リンク属性判定手段において統合可能な接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の道路情報管理装置。
【請求項3】
走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、道路情報管理装置により、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図るようにした道路情報管理方法であって、
前記道路情報管理装置において、所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付ける第1ステップと、
前記道路情報管理装置において、前記第1ステップでのリンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する第2ステップと、
前記道路情報管理装置において、前記第2ステップでの指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する第3ステップと、
前記道路情報管理装置において、前記第2ステップで特定した指定リンク属性情報と、前記第3ステップで特定した全ての接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定する第4ステップと、
前記道路情報管理装置において、前記第4ステップで統合可能な接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する第5ステップと、
前記道路情報管理装置において、前記第5ステップで統合維持可能な接続リンクがあると判定したとき、前記第1ステップで受け付けたリンク情報と、前記第5ステップで統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶する第6ステップと、
前記第5ステップで統合可能な接続リンクと判定した接続リンク情報を、前記道路情報管理装置において、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付ける第7ステップと、
を含んだことを特徴とする道路情報管理方法。
【請求項4】
前記道路情報管理装置において、前記第5ステップは、前記第4ステップにおいて統合可能な接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の道路情報管理方法。
【請求項5】
走行可能な道路を示すリンクをそれぞれ特定するリンク情報と、前記道路の一方の端点を示すノードを特定する第1ノード情報と、前記道路の他方の端点を示すノードを特定する第2ノード情報と、前記道路における道路種別、車線数、幅員、通行規制といったリンク属性情報と、を互いに関連付けて記憶すると共に、各ノード情報と関連付けて、このノードに接続しているリンクをそれぞれ特定する接続リンク情報と、その接続状態を示す接続角度情報と、をそれぞれ記憶する第1記憶手段と、複数のリンクが統合されることによって構成されたリンク列を特定するリンク列情報と、前記リンク列を構成する各リンクを特定する統合リンク情報と、を互いに関連付けて記憶する第2記憶手段と、を備え、経路探索処理や経路誘導処理に用いられる道路情報を規則的にまとめて各種処理速度の軽減を図ることを実行させるためにコンピュータを、
所定の道路を指定するリンク情報の入力を受け付ける手段、
前記リンク情報の受け付けに応じ、前記第1記憶手段を参照して前記リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「指定リンク属性情報」という。)を特定する手段、
前記指定リンク属性情報の特定後、引き続き、前記第1記憶手段より前記リンク情報に基づきノード情報を特定すると共に、このノード情報に関連付けられている全ての接続リンク情報を特定し、さらに、この接続リンク情報に基づきリンク属性情報(以下、「接続リンク属性情報」という。)をそれぞれ特定する手段、
特定した前記指定リンク属性情報と、特定した全ての前記接続リンク属性情報と、をそれぞれ比較し、前記指定リンク属性情報と同一のリンク属性を有する前記接続リンク属性情報の有無に応じて統合可能な接続リンクの有無を判定する手段、
統合可能な前記接続リンクがあると判定したとき、統合可能と判定した前記接続リンク属性情報を有する接続リンク情報に基づき前記第1記憶手段を参照して接続角度情報を特定し、この接続角度が所定の角度範囲内にあるかに応じて統合維持可能な接続リンクの有無を判定する手段、
統合維持可能な前記接続リンクがあると判定したとき、受け付けた前記リンク情報と、統合可能な接続リンクと判定した前記接続リンク情報と、をそれぞれ抽出し、これらを何れも統合リンク情報として互いに同一のリンク列情報に関連づけて前記第2記憶手段に記憶する手段、
統合可能な接続リンクと判定した前記接続リンク情報を、所定の道路を指定するリンク情報としてさらに受け付ける手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
統合可能な前記接続リンクが2以上あると判定したとき、前記接続角度に基づいて統合可能な接続リンクの有無を判定する手段、
としてさらに機能させることを特徴とする請求項5に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−270839(P2009−270839A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119105(P2008−119105)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【特許番号】特許第4268663号(P4268663)
【特許公報発行日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】