説明

道路施設配設用表示体の積層構造

【課題】道路空間において広い表面積を有しながらも普段利用・活用されることがなく殺風景な高速道路や高架橋の橋脚や換気塔等の道路施設を、広報・告知・宣伝等の公共メッセージの表示域として社会的に有効に利用・活用することができる道路施設配設用表示体を提供する。
【解決手段】高架橋の橋脚や換気塔等の表面に基板を配設して印刷媒体となる素地を形成し、基板の表面に文字、図形等を表示して印刷層を形成し、基板の表面に形成された文字、図形等の表示をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、シート又はフィルム及び基板を接着せしめるとともに、シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又はシート表面及び基板の両者又は基板の表面に形成された文字、図形等の表示に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成して道路施設配設用表示体の積層構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路付随施設に配設する表示体の積層構造に関する。さらに詳しく言えば、本発明は、高速道路や高架橋の橋脚や換気塔、利用活用されることがほとんどない道路付随施設に、基板及び文字、図形等の告知情報を印刷した表示体シートを一体化した表示体を配設するものであって、基板及び/又は表示体シートに光触媒微粒子を含有又は付着させたことを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
従来から交通の安全や円滑のため、高速道路や自動車専用道路をはじめとして、一般国道、県道、市(町村)道には、種々多様な交通標識板や道路案内表示板等の表示板が、支柱や取付け桁に支持させて、全国津々浦々の道路に設置されている。場所によっては、過度の標識板や表示板によって、標識等の機能を低下させている状況も知られているところである。これ以上、新たに標識板や表示板を敷設することは不可能に近い。
このような状況に鑑み、道路案内表示板等の表示板の裏面や、表示板の脇の空いている場所に、広報、広告、宣伝等の表示体を設けることさえ案出されている(特許文献1)。
【0003】
一方、高速道路や自動車専用道路等の環境は、自動車の排気ガスにより汚染が進行しつつある。この大気汚染を極力防ぐための工夫も多々行われている。
道路附帯設備物として、例えば、道路標識、防音壁、透孔遮音壁板、ガードレール、デリニエータ、ポストコーンなどがあるが、これらは外気中の埃や煤煙が付着しやすく通常2〜3ヶ月で変色し汚染が進み、美観や機能を損ねてしまう。この対策として、接着層を介して光触媒層を基材に担持した道路附帯設備物構成材が提案されている(特許文献2)。
【0004】
特許文献2に見られる光触媒は、近年、空気中に飛散する悪臭や有害物質を分解して除去したり、あるいは、排水処理や浄水処理等を行うための環境浄化材料として開発された。中でも、種々の基材の表面に優れた親水性を付与するための親水性付与剤として、温度、pH値、ガス雰囲気、毒性等の反応条件の制約が少なく、しかも、高活性で取扱いが容易であることから、光触媒活性を有する酸化チタン(チタニア)が着目されている。例えば、アルデヒド、メルカプタン、アンモニア、各種のアミン類等の悪臭物質や有害物質の分解脱臭や、NO、SO、PCB、ダイオキシン、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、界面活性剤等の有害物質の分解除去や、各種の菌類や藻類等の殺菌・藻処理等の用途を始めとして、建築材料や土木材料等の親水性処理等の多くの用途に応用されている。
光触媒活性を有する酸化チタンの製造方法も確立されている(非特許文献1)。
【0005】
さらに、大気汚染物質を酸化分解する能力の大きい光触媒を高速道路や幹線道路に使用して大気中に含まれる大気汚染物質を効率良く分解除去する方法(特許文献3)、既存の建築物や防音壁に光触媒をスプレー、自然乾燥する方法(特許文献4)、屋外に設置された道路標識に使用することを主眼として、光透過性を有するベースフィルムの一方の面に印刷された標示物を、光触媒を含有する光触媒層を有する他方の面から観察する標示シート(特許文献5)、特定の光触媒を道路標識、看板等に使用すること(特許文献6、7)等、多数の技術的な提案がなされている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−13426号公報
【特許文献2】特開2000−27124号公報
【特許文献3】特開2005−137987号公報
【特許文献4】特開2000−336778号公報
【特許文献5】特開2000−250451号公報
【特許文献6】特開2006−299210号公報
【特許文献7】特開2008−253991号公報
【非特許文献1】清野学著技報堂出版発酵「酸化チタン−物性と応用技術」pp18-27(1991.6.25)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、道路案内表示板の裏面や脇の空いている場所に、別の表示板を設けることは、表示が走行車線上ではなく対向車線上に設けられるから運転者が交通標識や道路案内と混同する恐れは少ないとはいっても、道路上の設置物であることに変わりなく、各種規制によりその実施は困難である。
実際に、高速道路や自動車専用道路等にあっては交通に必要な交通標識や道路案内板は設置されているものの、それら以外の広報・告知・宣伝等の公共メッセージを発信する手段が設置されることはほとんどなかった。
【0008】
本発明者は、橋脚の上に設置された高速道路に思いを巡らせた時、道路上に位置していない高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設にあっては、広い表面積を有しながらも普段はほとんど利用・活用されることがなく、特に高架下はその暗さと相俟って無機質で殺風景な光景を呈していることに思い至った。
本発明は、高架橋の橋脚や換気塔からなる高架下の大気の汚染を低減せしめると同時に、高架下の無機質で殺風景な空間を有効に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、高架橋の橋脚や換気塔からなる高架下の有効的な利用・活用について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに到ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は、高速道路に付随する高架橋の橋脚や換気塔の表面に基板を配設して印刷媒体となる素地を形成し、
該基板の表面に告知情報を印刷して、印刷層を形成し、
該基板の表面に形成された印刷層をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、
該シート又はフィルム及び該基板を接着せしめるとともに、
該シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された印刷層に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成すること
を特徴とする道路施設配設用表示体の積層構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の道路施設配設用表示体は、高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設に配設する表示体であって、該表示体は、道路に付随する施設の表面に配設される基板、該基板の表面に形成された文字、図形等の表示を覆うシート及び該基板と該シートを接着する接着層からなり、広い面積を有しながらも普段利用・活用されることがなく、殺風景であった高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設の空間を、広報、告知、宣伝等の公共メッセージの表示域として有効に利用することが可能となる。
【0012】
高速道路上には本発明の道路施設配設用表示体は配設されないので、新たな都市のランドマークとしての機能を発揮させることができる。従来、高速道路上には、法律的な規制もあり、広報、告知、宣伝等に使用・利用することができなかった。本発明の道路施設配設用表示体に公共メッセージを配置することにより、新たな広報、告知、宣伝として機能させることができる。
【0013】
本発明の道路施設配設用表示体のシートの表面には、光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された文字、図形等の表示に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめているので、大気中の例えば、アルデヒド、メルカプタン、アンモニア、各種のアミン類等の悪臭物質や有害物質の分解脱臭や、NOx、SOx、PCB、ダイオキシン、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、界面活性剤等の有害物質の分解除去や、各種の菌類や藻類等の殺菌・藻処理等の効果も認められるので、道路施設配設用表示体を設置した道路空間の環境保護及び環境浄化に資することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の道路施設配設用表示体の積層構造は、
高速道路に付随する高架橋の橋脚や換気塔の表面に基板を配設して印刷媒体となる素地を形成し、
該基板の表面に告知情報を印刷して、印刷層を形成し、
該基板の表面に形成された印刷層をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、
該シート又はフィルム及び該基板を接着せしめるとともに、
該シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された印刷層に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成すること
を特徴とする。
なお、本明細書において、告知情報とは、例えば、宣伝、広告、注意喚起等に用いられる文字、図形、色彩等である。
【0015】
本発明の表示体の積層構造は、第1に、高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設の表面に基板を配設して印刷媒体となる素地を形成する。第2に、該基板の表面に文字、図形等を表示して印刷層を形成する。第3に、該基板の表面に形成された文字、図形等の表示をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成する。第4に、該シート又はフィルム及び該基板を接着せしめる。
基板は、道路に付随する施設の表面に配設される。基板を接着剤により道路に付随する施設の表面に取付けてもいいが、表示板の取替えや、配設の便利さを考慮すると、基板の脱着可能な枠体を道路に付随する施設の表面に配設して、この基板をこの枠体に嵌合せしめるとよい。
【0016】
基板の脱着可能な枠体の材質は、特に限定しないが、アルミニウム板体が、軽量で設置しやすく、かつ、撓むこともなく平面を保持する強度を有しているので、好ましい。
高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設への、基板の脱着可能な枠体を固定するには、接着剤、ビス止め等、任意の固定方法が使用される。
【0017】
本発明に使用する基板の材質は、無機基材でも、有機重合体から選んでもよい。
無機基材としては、Si化合物、Al化合物、各種セラミックスや金属等が挙げられる。具体的には、シリカ、アルミナ、ムライト、スピネル、ジルコニア、チタニア、黒鉛、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、鉄、ステンレス、チタン、ジルコン等を例示することができる。
【0018】
有機重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、アラミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等から選ぶことができる。
【0019】
基板の材質の選択は、材質等を勘案して、その重量が大きな選択要因であるが、無機基材や有機重合体から選択する場合には、発泡体を使用することができる。
【0020】
本発明の表示体のもう一方の構成である、基板の表面に形成される文字、図形等の表示を覆うシートの材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン66、アラミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂等から選択することができる。
【0021】
本発明の表示体は、道路に付随する施設の表面に配設される基板、該基板の表面に形成された文字、図形等の表示を覆うシート及び該基板と該シートを接着する接着層からなり、該シートの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された文字、図形等の表示に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめたことを特徴とする。
【0022】
シートの表面に具備せしめ、若しくは基板に含有せしめるか、又はシート表面及び基板の両者又は基板の表面に形成された文字、図形等の表示に具備若しくは含有せしる光触媒粒子として好適に用いることが可能であるものを例示すると、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化カドミウム、タンタル酸カリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、セレン化カドミウム、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化タングステン、酸化スズ等、特に制限はないが、触媒能が高く、毒性の低い酸化チタンであることが好ましい。
【0023】
光触媒粒子は、有機重合体に添加して組成物として使用することができる。使用できる有機重合体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然樹脂等が挙げられる。有機重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66、アラミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、シリコン樹脂、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、セルロース及びレーヨンその他のセルロース誘導体等が挙げられる。
【0024】
光触媒粒子を含むこれらの有機重合体組成物は、コンパウンド、マスターバッチなどの形態で使用することができる。有機重合体組成物中の光触媒の濃度は、組成物全質量につき、0.01〜80質量%、好ましくは1〜50質量%である。有機重合体組成物には、悪臭物質の除去高架を高めるために活性炭、ゼオライトのような吸着剤を添加してもよい。
このような有機重合体組成物を通常の方法で成形加工することにより、光触媒粒子を含有するシート、基板を得ることができる。
【0025】
光触媒粒子を溶媒に分散させ、これにバインダーを添加して塗工剤となし、これを前記のシートの表面に塗布することにより、シート表面に光触媒を具備せしめることができる。光触媒粒子を溶媒に分散させたスラリーを調整する際の溶媒には特に制限はないが、通常光触媒粒子の表面は、親水性なので親水性溶媒が好ましく用いられる。また、水若しくは水と親水性有機溶媒との混合溶媒のような水系溶媒が推奨される。
【0026】
スラリー中の光触媒粒子の含有割合については特に制限はなく、例えば、0.01質量%〜50質量%、さらには1質量%〜40質量%の範囲が望ましい。光触媒粒子の含有量が0.01質量%を下回ると、塗工後に十分な光触媒効果が得られない。50質量%を超えると増粘等の問題を惹起し、かつ、経済的に不利である。水を含有する溶媒を使用するときは、そのスラリーのpHは5〜9であることが好ましい。さらに好ましくは、pH6〜8である。pHが5より小さいか、9より大きいと、生体や環境に対して好ましくない影響を与えたり、金属に対する腐蝕作用が無視できなくなるので、好ましくない。コーティングなどの成型時の光触媒能や接着性の向上のために、前記スラリーに、各種金属酸化物を追加することができる。金属元素としては、遷移金属元素やアルカリ土類金属、アルカリ金属、IIIb族又はIV族から選ばれるZr、Si、Sn、Tiが好ましい。中でも、Zr、Siが好ましい。
前記金属酸化物の追加方法には、特に制限はないが、例えば金属アルコキシドを原料として液相法により合成されたゾルを前記スラリーに添加する方法が挙げられる。
【0027】
上記スラリー(分散体)にバインダーを任意に添加して塗工剤となし、これをシートの表面に塗布することにより、光触媒活性を有するシートを製造することができる。塗工剤は、塗料やコーティング組成物などの形態で使用することができる。ここで添加するバインダーの材料については特に制限はなく、有機系バインダーであっても、無機系バインダーであってもよい。有機系バインダーには、水溶性のバインダーが挙げられるが、具体例としては、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、セルロイド、キチン、澱粉シート、ポリアクリルアミド等が挙げられる。無機系バインダーとしては、Zr化合物、Si化合物、Ti化合物、Al化合物が例示される。具体的には、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、アルコキシシラン、ケイ酸塩等の珪素化合物等が挙げられる。
【0028】
塗工剤中のバインダーの添加量は、例えば、0.01質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜10質量%の範囲が好ましい。
バインダーとの混合後の塗工剤のpHは5〜9、好ましくは6〜8である。
上記例示したスラリーは、光透過率が高いので、これから得られる膜も透明性が高い。透明性の高い膜を与える光触媒粒子としては、液相法によって合成された二酸化チタンを原料として使うことが推奨される。
具体的には、TiCl水溶液や硫酸チタニル水溶液を原料として熱加水分解したり、中和加水分解したりして得られる粒子を多塩基酸塩で表面処理した粒子などが例示される。通常、形成された膜が光触媒活性を効果的に示す膜の厚みは、0.01〜100μmである。また、干渉縞を効果的に抑制するためには、その膜の厚みは、0.01〜0.1μm、若しくは1μm以上であることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に本発明の構成を実施例により具体的に説明する。
図1は、本発明の道路施設配設用表示体を高速道路の橋脚に取付けた1例を示す。図1において、1は高速道路の橋脚、2は、橋脚を囲むように配設された基板であって、基板の最下層には、文字、図形等を表示して印刷層を形成し、その上をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、該シート又はフィルム及び該基板は接着される。そして、該シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された文字、図形等の表示に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成する。 図1では、各基板はリング状物3で支柱4に固定されている。
【0030】
図2は、本発明の道路施設配設用表示体を高速道路の橋脚に取付けた別の1例である。図2において、1は高速道路の橋脚、2は、橋脚を囲むように配設された基板であって、基板の最下層には、文字、図形等を表示して印刷層を形成し、その上をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、該シート又はフィルム及び該基板は接着される。そして、該シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された文字、図形等の表示に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成する。各基板は蝶番で結合されている(ただし、蝶番は、基板の内側にあるので、図には現われない。)
【0031】
施工の方法としては、表示体シートを対象物の側面に直接接着材等で貼る方法、表示体シートを基板に貼ったものを接着材等で貼る、あるいは、対象物を囲むように配した4本の支柱と支柱を繋げるように配したL型ピースから構成されたアルミニウム製の枠を設置し、表示体シートを直接テントロープ等で縛り付ける、もしくは基板に貼った表示体を枠に全ネジ又はボルトとナットで固定する方法、基板に貼った表示体を枠の上部乃至下部から差し込み固定する方法などが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の道路施設配設用表示体は、高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設に配設する表示体であって、従来、使用・利用されていなかった、殺風景な高架橋の橋脚や換気塔等の道路に付随する施設の空間を、広報、告知、宣伝等の公共メッセージの表示域として有効に利用することが可能となり、新しいメディアとして機能することが期待される。
本発明の道路施設配設用表示体のシートの表面には、光触媒粒子が具備又は含有しているので、大気中の悪臭物質や有害物質の分解脱臭や、NOx、SOx等の有害物質の分解除去等の効果も認められるので、道路施設配設用表示体を設置した道路空間の環境保護及び環境浄化に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の道路施設配設用表示体を高速道路の橋脚に取付けた1例である。
【図2】本発明の道路施設配設用表示体を高速道路の橋脚に取付けた他の1例である。
【符号の説明】
【0034】
1 高速道路の橋脚
2 橋脚を囲むように配設された基板
3 リング状物
4 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路に付随する高架橋の橋脚や換気塔の表面に基板を配設して印刷媒体となる素地を形成し、
該基板の表面に告知情報を印刷して、印刷層を形成し、
該基板の表面に形成された印刷層をシート又はフィルムで覆って透過性の印刷保護層を形成し、
該シート又はフィルム及び該基板を接着せしめるとともに、
該シート又はフィルムの表面に光触媒粒子を具備せしめるか、若しくは該基板に光触媒粒子を含有せしめるか、又は該シート表面及び該基板の両者又は該基板の表面に形成された印刷層に光触媒粒子を具備若しくは含有せしめて光触媒層を形成すること
を特徴とする道路施設配設用表示体の積層構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−145839(P2010−145839A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324312(P2008−324312)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(509331205)ビイ アンド ビイ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】