説明

道路状況に応じた自動的制限速度調整

【課題】道路条件に応じて自動的に制限速度を調整する。
【解決手段】乗り物に搭載可能で、位置情報を受けることができる移動式コンピュータが、好ましくない天候や道路状況に応じて、最高速度制限を調整し、乗り物が調整された最高速度制限以下にスピードを自動的に落とすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、道路状況に応じて、自動的に最高速度制限の値を調整し、自動的に調整後の制限速度以下に乗り物の速度を落とすことに関する。
【背景技術】
【0002】
制限速度を表示するために、電子的な道路標識が設けられている。この標識は、遠隔にある設備によって制御可能であるため、表示された制限速度を容易に変更することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ここで理解されるように、これらの標識は、相対的に大きく、大掛かりなインフラストラクチャとコストが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
乗り物に搭載可能な移動式コンピュータが、位置情報を受けるように構成される。このコンピュータは又、位置情報に関連し、かつ、道路状況に応じて調整される制限速度についての通信を行い、調整後の最高速度制限以下になるように、乗り物を自動的に減速させる。
【0005】
この移動式コンピュータは、制限速度のデータベースにアクセスするように構成することができる。さらに、この移動式コンピュータは、道路状況の送信機と通信し、道路状況の情報を受けるように構成してもよい。道路状況に関する取り決めを適用し、位置情報に関連する調整後の制限速度を出力するように、コンピュータを構成することができる。
【0006】
代替として、道路状況に応じて調整された制限速度を基地局から受けるようにコンピュータを構成してもよい。この目的を達成するために、発展的テレビジョン放送標準化委員会方式(ATSC)のチューナをコンピュータに備えることができる。
【0007】
別の側面おいては、プロセッサによってコンピュータ用有形記憶媒体を読み取り、道路状況に関連する取り決めの適用によって修正された制限速度の上限に応じて、乗り物の最高制限速度までの範囲で、制限速度の上限を超えない、いずれかの速度で移動するように、乗り物の最高速度を自動的に制限することができる。
【0008】
さらに別の側面においては、本発明による方法は、地理的位置情報を受けるステップと、制限速度のデータベースにアクセスし、地理的情報に関連する通常状態の制限速度を求めるステップとを含む。この方法は又、制限速度に関する現在の道路状況についての情報にアクセスするステップを含む。現在の道路状況の情報が求める場合には、この方法は、制限速度を下げるように調整し、修正後の制限速度の状態にするステップを含む。
【0009】
本発明の構成及び動作の詳細については、添付図面を参照することによって、最もよく理解することができる。図面において、同様の参照符号は、同様の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に関連する非限定的なシステムの斜視図である。
【図2】一又はそれ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に格納された符号要素を実行する、一又はそれ以上のプロセッサによって実行可能な非限定的な論理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に図1を参照すると、移動式コンピュータ10が、プロセッサ12と、有形デジタル記憶媒体14とを含む。この媒体14には、限定的な意味ではないが、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリ、取り外し可能なスティックメディア、取り外し可能なフロッピー(登録商標)ディスク等のような磁気又は光学ディスクドライブ、或いは、半導体デバイスが含まれる。媒体14及びプロセッサ12は、図示したように、ディスプレイ18とともに、コンピュータハウジング16に収めることができる。このディスプレイ18には、限定的な意味ではないが、高解像度(HD)マトリックスディスプレイ又は標準解像度陰極線管ディスプレイが含まれる。プロセッサ12が、信号をディスプレイ18及び一又はそれ以上のオーディオスピーカ20に出力してもよく、一又はそれ以上のキーパット、キーボード、マウス等のような入力デバイス22から入力信号を受け取ってもよい。
【0012】
図1に示すように、いくつかの実施形態においては、移動式コンピュータ10は又、全地球測位システム(GPS)受信機のような、位置情報をプロセッサ12に入力する位置受信機24を含むことができる。移動式コンピュータ10は、いくつかの実施形態では、さらに、限定的な意味ではないが、発展的テレビジョン放送標準化委員会方式(ATSC)のチューナのような単方向性の受信機26をさらに含んでもよい。プロセッサ12は、受信機26からの信号をディスプレイ18に表示するものとすることができる。実施形態において示されるように、ATSC受信機26は又、非動画データを受け取って、直ちに公表することができる。
【0013】
図1に示される非限定的な実施形態においては、移動式コンピュータ10は、追加的に、WiFi送受信機、WIMAX送受信機のような長距離ワイヤレス送受信機28、或いは、移動式通信用全地球型システム(GSM)送受信機、符号分割多重接続(CDMA)送受信機又はそれらの変形等のような電話型送受信機を含む。送受信機28は、プロセッサ12と通信する。
【0014】
いくつかの実施形態においては、移動式コンピュータ10は、乗り物34の対応する受信インターフェース32と通信するのに有用なブルートゥース送受信機30又はその他の近距離インターフェースをさらに含むものとすることができる。このようにすると、移動式コンピュータから、エンジン制御部(ECM)36又は乗り物34内にあるその他のコンピュータに信号を送ることができるようになる。典型的には、ECM36が、乗り物34に搭載された機器のうち、特に速度センサ38からの信号を受け、例えば、車速設定モードにおいて乗り物34のエンジンスロットル40を制御する。
【0015】
移動式コンピュータ10は、一又はそれ以上の受信機26又は送信機28を介して、典型的には、コミュニケーションインターフェース44、プロセッサ46及びコンピュータ読み取り可能な媒体48を持つ一又はそれ以上のワイヤレス基地局42から情報を受けることができる。
【0016】
図2は、一又はそれ以上のプロセッサによって実行可能な本発明の原理に関連する論理を示す。前記プロセッサが、上述した一又はそれ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体にあるコンピュータ読み取り可能な命令にアクセスする。ブロック50から説明を始めると、移動式デバイス10(したがって、それが配置される乗り物34)の現在の地理的位置に関する情報を、位置受信機24によって受ける。いくつかの実施形態においては、受信機24を直接乗り物に備えるようにして、移動式デバイス10に備えなくてもよい。この場合には、ECM36から移動式デバイス10のプロセッサ12に、例えば、ブルートゥース送受信機30を用いて、位置情報を送ることができる。
【0017】
ブロック52において、制限速度のデータベースにアクセスして、ブロック50で受けた現在位置における、公表された制限速度を求める。プロセッサ12は、この目的のために、移動式デバイス10内にある媒体14にアクセスしてもよいし、また、基地局のプロセッサ46が、例えば、基地局42内にある媒体48に格納されているデータベースにアクセスしてもよい。次いで、基地局42が 、関係ある制限速度(すなわち、現在位置における制限速度)を移動式デバイス10に送ることができる。
【0018】
ブロック54に進むと、(道路状況に影響を与える天候情報を含む)現在の道路状況の情報に対するアクセスが行われる。この目的のために、基地局42が、道路状況の情報を移動式デバイス10に、例えば、チューナ26又は長距離送受信機28を介して送るようにしてもよいし、或いは、ブロック56における論理を、基地局42内で続いて実行してもよい。いずれの場合でも、道路状況の情報を、例えば、インターネット上にある州の道路状況情報サーバ、米国海洋大気庁(NOAA)の天候情報サイト、又は、その他適切な情報源から入手することができる。
【0019】
ブロック56において、表示されている(“通常状態の”)制限速度を、ブロック54において受けた道路状況情報に応じて調整することができる。典型的には、道路状況が最善でない場合には、表示されているの最大制限速度は、減少され、増加することはない。制限速度を調整するための取り決めは、普遍的であってもよいし、それぞれの道路又は道路群によって異なってもよい。この取り決めは、統計に基づいてもよいし、経験に基づいてもよい。
【0020】
非限定的な例を用いると、ブロック54で雨が表示されたときはいつでも、65mphの制限速度が表示されたいずれかの及び全ての道において、65mphの表示されている制限速度を、10mph減少させるようにすることができる。或いは、雨が表示されたとき、制限速度を、ある道路では5mph、別の異なる道路では10mph減少させるようにしてもよい。凍雨は、制限速度をより大きく減少させる結果をもたらすであろう。
【0021】
さらに、ある道路における統計が50mphを超えた速度で多くの事故を示すが、一方で、別の道路における統計が40mphを超えた速度で多くの事故を示す場合には、一番目の道路の制限速度を45mphに減少するように調整し、二番目の道路の制限速度を35mphに減少するように調整してもよい。
【0022】
さらに非限定的な例によると、道路状況が、近くで一車線閉鎖していることを示す場合には、制限速度を10mph減少させ、一方で、二車線閉鎖している場合には、制限速度を20mph減少させるようにすることができる。これらの減少量を定めるときには、統計を用いることができ、例えば、統計が、65mphの高速道路で一車線閉鎖することによって、平均速度55mph又はそれ以上において事故が増えることを示すならば、この道路上で一車線閉鎖することによって、制限速度が50mphまで減少する(すなわち、別の場合では“通常状態の”制限速度から15mph減少させる)ように調整すればよい。上述したように、このような取り決めは、普遍的に適用してもよいし、道路ごとに適用してもよい。
【0023】
プロセッサ12が、ブロック54において、例えば、基地局42から道路状況の情報を受ける場合には、ブロック56における論理を、移動式デバイス10によって実行することができる。もしくは、ブロック56における論理を基地局42によって実行し、次いで、上述した送受信経路を用いて、調整済みの制限速度を移動式デバイス10に送ることができる。
【0024】
ブロック58おいて、調整済みの制限速度が、ディスプレイ18/スピーカ20によって示される。この方法では、大きな道路標識は必要なく、制限速度を動的に変化させ、運転者に対して表示することができる。さらに、本発明の原理は、政府機関が、公表されている“通常状態の”制限速度を直接的に変更する場合だけでなく、最適でない道路状況に基づいて、運転者に提示される制限速度を自動的に減少させることも想定している。
【0025】
また、ブロック58において、乗り物34の速度を、調整後の制限速度を越えないように、自動的に減少させるようにしてもよい。この目的のため、移動式デバイスのプロセッサ12が、例えば、ブルートゥース送受信機を用いて、調整後の制限速度についての通信をECMに対して行い、次いで、ECMを用いて、スロットル40を制御し、速度センサ38によって示される乗り物の速度が、ブロック56において道路状況に応じて調整された制限速度を超えないことを確実にするようにすることができる。
【0026】
特定の道路状況に応じた自動的な制限速度の調整が、ここに示され、詳細に記載されているが、一方で、本発明に包含される主題は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
10 移動式コンピュータ
12 プロセッサ
14 有形デジタル記憶媒体
16 コンピュータハウジング
18 ディスプレイ
20 オーディオスピーカ
22 入力デバイス
24 位置受信機
26 単方向性の受信機
28 長距離ワイヤレス送受信機
30 ブルートゥース送受信機
32 受信インターフェース
34 乗り物
36 エンジン制御部(ECM)
38 速度センサ
40 エンジンスロットル
42 基地局
44 コミュニケーションインターフェース
46 プロセッサ
48 コンピュータ読み取り可能な媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に搭載可能な移動式コンピュータであって、
位置情報を受信するように構成され、
前記位置情報に関連しており、かつ、道路状況に応じて調整された制限速度を通信し、乗り物が、調整された最大制限速度以下に速度を自動的に落とすように構成された、
ことを特徴とするコンピュータ。
【請求項2】
前記移動式コンピュータは、制限速度のデータベースにアクセスするように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記移動式コンピュータは、道路状況の送信機と通信をし、道路状況を受信するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ
【請求項4】
前記コンピュータは、道路状況に取り決めを適用し、位置情報に関連する調整された制限速度を出力するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ。
【請求項5】
前記コンピュータは、基地局から、道路状況に応じて調整された制限速度を受信するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項6】
前記移動式コンピュータは、発展的テレビジョン放送標準化委員会方式(ATSC)のチューナを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
【請求項7】
プロセッサによって読み取り可能なコンピュータ用有形記憶媒体であって、
道路状況に関する取り決めの適用によって修正された前記制限速度の上限に応じて、乗り物が、制限速度の上限までの範囲内で該上限を超えない、いずれかの速度で移動するように、前記乗り物の最大速度を自動的に制限することを特徴とする媒体。
【請求項8】
前記媒体は、前記プロセッサによって、
道路状況に関連する地理的位置情報を受信するように実行可能であることを特徴とする請求項7に記載の媒体。
【請求項9】
前記媒体は、前記プロセッサによって、
制限速度のデータベースにアクセスするように実行可能であることを特徴とする請求項7に記載の媒体。
【請求項10】
前記媒体は、前記プロセッサによって、
道路状況の送信機と通信し、道路状況を受信するように実行可能であることを特徴とする請求項7に記載の媒体。
【請求項11】
前記媒体は、前記プロセッサによって、
取り決めを道路状況に適用し、
位置情報に関連する調整された制限速度を出力するように実行可能であることを特徴とする請求項10に記載の媒体。
【請求項12】
前記媒体は、前記プロセッサによって、
基地局から、道路状況に応じて調整された制限速度を受信するように実行可能であることを特徴とする請求項7に記載の媒体。
【請求項13】
地理的位置情報を受信するステップと、
制限速度のデータベースにアクセスし、前記地理的情報に関連した通常状態の制限速度を求めるステップと、
制限速度に関連する現在の道路状況の情報にアクセスするステップと、
現在の道路状況の情報に応じて制限速度を下げるように調整し、修正された制限速度の状態にするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
調整後の制限速度を表示するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも一の道路状況についての取り決めを通常状態の制限速度に適用し、調整後の制限速度の状態にするステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記地理的位置にある乗り物が調整後の制限速度を越えることを自動的に防ぐステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
移動式コンピュータで、基地局から道路状況の情報を受信するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
道路状況の情報は、発展的テレビジョン放送標準化委員会方式(ATSC)のチューナから受信することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記移動式コンピュータは、前記修正された制限速度を求めることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基地局は、前記修正された制限速度を求め、前記修正された制限速度を前記移動式コンピュータに通信することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−15567(P2010−15567A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156686(P2009−156686)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593181638)ソニー エレクトロニクス インク (371)
【Fターム(参考)】