説明

道路雪氷作業管理システム

【課題】複雑な作業入力を自動で行い、作業の効率化を果せる道路雪氷作業管理システムを提供する。
【解決手段】道路雪氷作業管理システムは、車載装置1と、該車載装置から作業状況データ及び位置データを受信して管理する第一管理装置2を有する道路雪氷作業管理システムであって、サーバー装置3と第二管理装置4を包含している。該サーバー装置は、該第一管理装置から受信したデータを一時蓄積して該第二管理装置に送信すると同時に蓄積データを消去する各手段を備える。該第二管理装置は、起動時に該サーバー装置と接続して蓄積データを受信し、その後に任意の時間間隔で該サーバー装置と接続して蓄積データを受信し、受信データを該第二管理装置に格納されている各マスタに従って整理及び集計を行い、データを蓄積し、蓄積データを各種様式に従って帳票出力したりする各手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路雪氷作業管理システムにかかり、雪氷作業の車両管理に関するシステムと雪氷作業データ情報の整理・蓄積に関するシステムを連携対応させたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、除雪車毎の位置、作業状況を収集し、除雪状況を一般ユーザーのデータ端末に配信し、除雪状況を簡単に把握可能にした発明が特開2007−114917号公報に開示されている。また、除雪車が高速道路上に設定された目標地点に接近したことを精度よく検出し、その目標地点に対する音声ガイダンス、運行記録の自動採取などの付随処理を行う運行処理装置も特開平10−241098号公報に示されている。
また、高速道路においては、雪氷対策作業での作業量(機械作業)・作業人員・費用等の膨大なデータ量を、雪氷作業データの整理・蓄積に関するシステムに、全て手動で入力(登録)しているのが現状である。
【特許文献1】2007−114917号公報
【特許文献2】特開平10−241098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特開2007−114917号公報に示された発明は、一般の道路で行われる除雪作業が対象で、車載装置から基地局及び公衆回線網を介してホストシステムとデータを送受信することが述べられているが、高速道路で行われる雪氷作業では作業の種類が多く、また作業範囲が広すぎて、そのままでは適用できない。
また、特開平10−241098号公報ではキロポストの利用が述べられているが、除雪車の行動を経済的になすためにキロポストの目標地点集合を設定し、除雪車がこの目標地点集合からある半径の範囲に入ったとき、その中に含まれる目標地点と前回検出した目標地点とによってその間のコスト計算を行い、コストが最小となる目標地点を次の目標地点とするもので、雪氷作業全般にわたって管理するものではない。
本発明は、雪氷作業の車両管理に関するシステムと雪氷作業データの管理・蓄積に関するシステムを連携対応させることにより、複雑な作業記録の入力を自動で行い、作業の効率化を果せる道路雪氷作業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(請求項1)本発明に係る道路雪氷作業管理システムは、車載装置と、該車載装置から作業状況データ及び位置データを受信して管理する第一管理装置を有する道路雪氷作業管理システムであって、サーバー装置と第二管理装置を包含している。
該サーバー装置は、該第一管理装置から通信回線を通じて受信したデータを一時蓄積する第1手段と、該第二管理装置に送信すると同時に蓄積されたデータを消去する第2手段を備える。
該第二管理装置は、該第二管理装置を起動する際に該サーバー装置と接続して該サーバー装置に蓄積されているデータを受信し、その後に任意の時間間隔で該サーバー装置と接続して該サーバー装置に蓄積されているデータを受信する第3手段と、該サーバー装置から受信した位置、作業状況及び車両認識の各データを該第二管理装置に格納されている契約マスタ、路線マスタ、道路施設(IC、JCT、SA、PA等)マスタ、車両マスタ、基地マスタ等の各種のコード・マスタに従って整理及び集計を行う第4手段と、該第4手段で得られたデータを蓄積する第5手段と、該第5手段で蓄積されたデータを各種様式に従って帳票出力する第6手段と、該第4手段でデータを得た際に発生したエラーロブを表示すると共に蓄積する第7手段と、該第4手段で得たデータ又は該第5手段で蓄積されたデータを修正できる第8手段を備えている。
【0005】
該車載装置は通常のように、GPS衛星電波、車速及び該車載装置に格納されているキロポストデータから、作業車両の現在位置データを検出して表示する表示手段と、該車載装置に格納されている、該第二管理装置での集計等を可能とするための、作業状況入力規則に従って作業状況を前記作業車両の搭乗者によって入力する入力手段と、該表示手段で検出された現在位置データ、該入力手段で入力された作業状況データ及び該車載装置に格納されている車両認識データ等の車両運行データを該第一管理装置に送信する送信手段を備えている。
【0006】
該第一管理装置も通常のように、道路地図データ及びキロポストデータを格納した地図データベースと、該車載装置から受信した該作業車両の現在位置データ及び作業状況データに基づき、該作業車両の現在位置と作業状況を地図と共にモニター上に示す表示手段と、該車載装置から受信したデータを蓄積する蓄積手段を備えている。
【0007】
また、該第一管理装置は、該蓄積手段で蓄積されたデータを該第二管理装置で読み込み可能な作業データに作成する処理手段と、該処理手段で得られたデータを該サーバー装置に送信する送信手段を備えている。
【0008】
該サーバー装置は、受信したデータを該第二管理装置に送信すると同時に蓄積されたデータを消去するので、データの氾濫を抑制でき、誤りの発生を防げる。
【0009】
また、該第二管理装置は、起動時に該サーバー装置から蓄積されているデータを受信し、その後に任意の時間間隔で該サーバー装置と接続して該サーバー装置に蓄積されているデータを受信するので、徒に細分化されたデータを取り込むことがなく、該サーバー装置から受信したデータを該第二管理装置に格納されている各種のコード・マスタに従って整理及び集計を行え、該データの蓄積も行え、蓄積されたデータを各種様式に従って帳票出力でき、データ取得時に発生したエラーログを表示しかつ蓄積でき、該取得データ又は該蓄積データを修正できる。
更には、該サーバー装置からデータを受信する際に、作業開始時間や作業終了時間等を任意の最小時間単位で整理(例えば2捨3入して最小単位を5分として整理)する整理手段を備えていてもよい。
これにより該取得データ又は該蓄積データの修正作業が容易となる。
【0010】
(請求項2)該第一管理装置は、該各種のコード・マスタと前回の作業データの両者及び車両運行データを関連付けながら、作業データ作成処理をするようになっていてもよい。
こうすると、作業データの作成処理を効率的に行えると共に一連の車両運行中に作業内容の変更があった場合、例えばインターチェンジ間で行っている除雪作業を途中で止めて以後回送した場合でも、前回作業データとの関連付けが可能となる。
【0011】
(請求項3)該作業データの作成処理には、作業が完了したデータのみ一定時間間隔で作成され、前回作成したデータは含まれないようになっていてもよい。
こうすると、データの極度の細分化を無くして、必要なデータのみ作成できると共に作成されたデータの二重化が防止できる。なお、第一管理装置に蓄積されているデータを基に、ユーザーのリクエストに応じてデータを再作成する機能を持たせるようにしてもよい。
【0012】
(請求項4)該第二管理装置は、該第一管理装置の該作業データ作成処理から取得した該作業データと自身に格納された該各種コード・マスタとから、機械作業のデータをインポートし、エラーがあればエラーログに表示させ、なければ機械作業データ、機械作業データ明細、機械作業車両データを作成するようになっていてもよい。
こうすると、データの共有が容易で、記録の正確さを確保できる。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1)本発明にかかる道路雪氷作業管理システムによれば、サーバー装置と第二管理装置を包含し、該サーバー装置は、該第一管理装置から通信回線を通じて受信したデータを一時蓄積する第1手段と、該第二管理装置に送信すると同時に蓄積されたデータを消去する第2手段を備え、受信したデータを該第二管理装置に送信すると同時に蓄積されたデータを消去するので、データの氾濫を抑制でき、誤りの発生を防げる。
また、該第二管理装置は、該第二管理装置を起動する際に該サーバー装置と接続して該サーバー装置に蓄積されているデータを受信し、その後に任意の時間間隔で該サーバー装置と接続して該サーバー装置に蓄積されているデータを受信するので、データの徒な細分化による洪水を防げる。また、該サーバー装置から受信した位置、作業状況及び車両認識の各データ等を該第二管理装置に格納されている契約マスタ、路線マスタ、道路施設(IC、JCT、SA、PA等)マスタ、車両マスタ、基地マスタ等の各種のコード・マスタに従って整理及び集計を行うことができる。更に、得られたデータを蓄積できるので、このデータを各種様式に従って帳票出力でき、データ手得時に発生したエラーログを表示すると共に蓄積もでき、該手得データ又は蓄積データを修正することもできる。
【0014】
請求項2によれば、該第一管理装置は、該各種のコード・マスタと前回の作業データの両者及び車両運行データを関連付けながら、作業データを作成処理するようになっているので、作業データの作成処理を効率的に行えると共に一連の車両運行中に作業内容の変更があった場合でも、前回作業データとの関連付けが可能となる。
【0015】
請求項3によれば、該作業データの作成処理には、作業が完了したデータのみ一定時間間隔で作成され、前回作成したデータは含まれないようになっているので、データの極度の細分化を無くして、必要なデータのみ作成できると共に作成されたデータの二重化が防止できる。なお、第一管理装置に蓄積されているデータを基に、ユーザーのリクエストに応じてデータを再作成する機能をもたせることにより、データの再作成を行える。
【0016】
請求項4によれば、該第二管理装置は、該第一管理装置の該作業データ作成処理から取得した該作業データと自身に格納された該各種コード・マスタとから、機械作業のデータをインポートし、エラーがあればエラーログに表示させ、なければ機械作業データ、機械作業データ明細、機械作業車両データを作成するようになっているので、データの共有が容易で、記録の正確さを確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明に係る道路雪氷作業管理システムの具体例における車載装置1、第一管理装置2、サーバー装置3及び第二管理装置4の関係を示す概念図である。
この道路雪氷作業管理システムは、車載装置1と、この車載装置1から作業状況データ及び位置データを受信して管理する第一管理装置2を有する。車載装置1は通常のように、作業車両5に搭載され、端末装置6と、第一管理装置2との間にデジタル無線システム7を形成する無線機8を備えている。この端末装置6は、GPS衛星電波の受信により判明した緯度・経度、当該地点に最も近いキロポスト、当該キロポストを包含する経路等を表示する表示部9を備え、図示は省略したが、作業内容を表示・入力できるタッチパネル機能を備えている。
【0018】
第一管理装置2は車載装置1の無線機8との間でデータをやりとりする基地局無線装置10、回線制御装置11、管理事務所装置12を備えている。
この道路雪氷作業管理システムにはサーバー装置3と第二管理装置4が包含される。
【0019】
このサーバー装置3は、図2及び図3に示すように、第一管理装置2と第二管理装置4を連携させるためのもので、第一管理装置2又は第二管理装置4に包含される。このサーバー装置3は、通信回線13を通じて第一管理装置2から受信したデータをサンバフォルダ等31に一時蓄積する第1手段と、第二管理装置4に送信すると同時に蓄積されたデータを消去する第2手段を備えている。
【0020】
また、第二管理装置4は、自身が起動する際にサーバー装置3と接続してそれに蓄積されているデータを受信し、その後に任意の時間間隔でサーバー装置3と接続してそれに蓄積されているデータを受信する第3手段と、サーバー装置3から受信した位置、作業状況及び車両認識等のデータを第二管理装置4に格納されている契約マスタ、路線マスタ、道路施設(IC、JCT、SA、PA等)マスタ、車両マスタ、基地マスタ等の各種のコード・マスタに従って整理及び集計を行う第4手段を備えている。これにより、データの共用が可能となる。
【0021】
第二管理装置4はこの第4手段で得られたデータを蓄積する第5手段や、ここに蓄積されたデータを各種様式に従って帳票出力する第6手段も備えており、いつでもデータの利用が可能となる。第二管理装置4は第4手段でデータを得た際に発生したエラーログを表示すると共に蓄積する第7手段も備え、第4手段で得たデータ又は第5手段で蓄積されたデータは第8手段により修正できる。
【0022】
(請求項2)図4に示すように、第一管理装置2は、各種のコード・マスタ21と前回作業データ22の両者及び車両運行データ23を関連付けながら、作業データ作成処理24をするようになっている。
この場合、作業データの作成処理を効率的に行えると共に一連の車両運行中に作業内容の変更があった場合でも、前回作業データとの関連付けが可能となる。
【0023】
(請求項3)作業データ作成処理24には、作業が完了したデータのみ一定時間間隔で作成され、前回作成データ22は含まれないようになっている。
この場合、データの極度の細分化を無くして、必要なデータのみ作成できると共に作成されたデータの二重化が防止できる。なお、第一管理装置2に蓄積されているデータを基に、ユーザーのリクエストに応じてデータを再作成する機能をもたせた場合、データの再作成を行える。
【0024】
(請求項4)第二管理装置4は、第一管理装置2の作業データ作成処理24から取得した作業データ41と自身に格納された各種コード・マスタ42とから、機械作業のデータのインポート43をし、ここでエラーがあればエラーログ44に表示させ、なければ機械作業データ45、機械作業データ明細46、機械作業車両データ47を作成するようになっている。
この場合、データの共有が容易で、処理速度が上がり、記録の正確さを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる道路雪氷作業管理システムの具体例を示す概念図である。
【図2】第一管理装置2、第二管理装置4及びサーバー装置3の関係を示す概念図である。
【図3】第一管理装置2、第二管理装置4及びサーバー装置3の連携ネットワークの一例である。
【図4】第一管理装置2から第二管理装置4へのデータの取り込みフローを示す図である。
【図5】第二管理装置4で作成された帳票出力の一例であって機械作業データ一覧の一部を省略して示す図である。
【図6】同じく作業車両のダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0026】
1 車載装置
2 第一管理装置
3 サーバー装置
4 第二管理装置
5 作業車両
6 端末装置
7 デジタル無線システム
8 無線機
9 表示部
10 基地局無線装置
11 回線制御装置
12 管理事務所装置
13 通信回線
31 サンバフォルダ等
41 作業データ取込
42 各種コード・マスタ
43 機械作業データインポート
44 エラーログ
45 機械作業データ
46 機械作業データ明細
47 機械作業車両データ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置(1)と、該車載装置(1)から作業状況データ及び位置データを受信して管理する第一管理装置(2)を有する道路雪氷作業管理システムであって、サーバー装置(3)と第二管理装置(4)を包含し、
該サーバー装置(3)が、該第一管理装置(2)から通信回線(13)を通じて受信したデータを一時蓄積する第1手段と、該第二管理装置(4)に送信すると同時に蓄積されたデータを消去する第2手段を備え、
該第二管理装置(4)が、該第二管理装置(4)を起動する際に該サーバー装置(3)と接続して該サーバー装置(3)に蓄積されているデータを受信し、その後に任意の時間間隔で該サーバー装置(3)と接続して該サーバー装置(3)に蓄積されているデータを受信する第3手段と、
該サーバー装置(3)から受信した位置、作業状況及び車両認識の各データを該第二管理装置(4)に格納されている契約マスタ、路線マスタ、道路施設マスタ、車両マスタ、基地マスタ等の各種のコード・マスタ(42)に従って整理及び集計を行う第4手段と、
該第4手段で得られたデータを蓄積する第5手段と、
該第5手段で蓄積されたデータを各種様式に従って帳票出力する第6手段と、
該第4手段でデータを得た際に発生したエラーログを表示すると共に蓄積する第7手段と、
該第4手段で得たデータ又は該第5手段で蓄積されたデータを修正できる第8手段を備えている
ことを特徴とする道路雪氷作業管理システム。
【請求項2】
該第一管理装置(2)は、該各種のコード・マスタ(21)と前回作業データ(22)の両者及び車両運行データ(23)を関連付けながら、作業データ作成処理(24)をするようになっている請求項1に記載の道路雪氷作業管理システム。
【請求項3】
該作業データ作成処理(24)には、作業が完了したデータのみ対象として一定時間間隔でデータ作成され、前回作成データ(22)は含まれないようになっている請求項2に記載の道路雪氷作業管理システム。
【請求項4】
該第二管理装置(4)は、該第一管理装置(2)の該作業データ作成処理(24)から取得した作業データ(41)と自身に格納された該各種コード・マスタ(42)とから、機械作業のデータのインポート(43)をし、ここでエラーがあればエラーログ(44)に表示させ、なければ機械作業データ(45)、機械作業データ明細(46)、機械作業車両データ(47)を作成するようになっている請求項2又は3に記載の道路雪氷作業管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−117840(P2010−117840A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289905(P2008−289905)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(508337204)株式会社ネクスコ・エンジニアリング新潟 (4)
【Fターム(参考)】