説明

遠心ポンプ用羽根車及びそれを備えた遠心ポンプ

【課題】簡単な構成により、羽根車を液中で回転させた際に生じる流体力の不釣合を解消して振動の発生を抑制する。
【解決手段】羽根車本体11aの天井面30には、ボルトを受け止めるための突起部61が等間隔に3つ形成され、突起部61上には中心部分を切り欠いた円形の蓋70がボルト60によって取り付けられている。蓋70の裏面(内部側)には、バランスウェイト80がボルトによって取り付けられ、蓋70はバランスウェイト80が天井面30の一部に形成された窪み33内に配置されるように設置されている。バランスウェイト80にかかる遠心力により、羽根車の回転時に羽根に加わる流体力は打ち消され、振動の発生を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ポンプ用羽根車及びそれを備えた遠心ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遠心ポンプは、排水設備等の各種設備においてよく用いられている。遠心ポンプは、モータシャフトに連結された羽根車が渦巻形ケーシングの内部に収容されて構成されている。
【0003】
遠心ポンプの羽根車には、用途に応じて様々な形態のものが使用されている。例えば汚水槽の汚水を排出する用途等においては、汚水に固形物が含まれている場合があるため、詰まりが少なく固形物をそのまま排出できるような羽根車が好ましい。そのような羽根車として、いわゆるノンクロッグタイプの羽根車が知られている。
【0004】
ノンクロッグタイプの羽根車は、一端に吸込口が形成され、側面に吐出口が設けられた略円筒体からなる。円筒体の内部には、軸方向から見て渦巻き状に形成され、吸込口と吐出口とをつなぐ流路が形成されている。この流路は、1枚の羽根によって区画されている。そのため、ノンクロッグタイプの羽根車の羽根は、回転軸に対して非軸対称な形状となる。したがって、この羽根車は、そのままでは静止時における静的バランスや気中回転時における動的バランス(以下、機械的バランスという)がとれず、組立作業性の低下や、回転時の振動を引き起こすこととなる。そこで、一般的に、この種の羽根車では、重量の大きい箇所を削ること等により、機械的バランスが保たれている。
【0005】
しかし、上記羽根車では、機械的バランスが修正されても、ポンプの運転に伴って、羽根車の回転のバランス(以下、水力的バランスという)がくずれることがある。すなわち、ポンプを運転させると、羽根車は回転し、吸い込んだ汚水等の流体により、羽根車の羽根は力を受けることとなる。このとき、上記羽根は非軸対称形状であるため、羽根にかかる力の分布も非軸対称となる。そのため、当該羽根車では、軸対称に配置された複数枚の羽根を有する羽根車と異なり、羽根に作用する流体力が打ち消し合わない。したがって、上記羽根車では、機械的バランスを修正してもなお、ポンプ運転時に流体力によって不釣合が生じてしまい、振動を招くことがあった。
【0006】
そこで、以上のような水力的バランスの不釣合状態を解消すべく、羽根車にバランスウェイトを取り付け、このバランスウェイトに生じる遠心力によって、流体力の不釣合を解消する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に開示された羽根車では、表面の一部に溝を設けることにより、重量の一部を取り除いている。一方、羽根車の表面の他の部分には、溝を有する突起を設け、該溝内部にバランスウェイトを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公昭45−11447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に開示された羽根車のように、バランスウェイトを取り付けるために羽根車の表面に突起を設けると、回転時に羽根車の表面側の流体に乱れが生じやすく、動力の損失が大きかった。また、羽根車の表面にバランスウェイトを直接取り付けていたため、羽根車の鋳型自体を変更しなければ、バランスウェイトの取り付け位置を変更することはできなかった。したがって、羽根車を鋳造した後は、バランスウェイトの微調整が困難であった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転時に羽根車に生じる流体力の不釣合を簡単な構成により解消し、振動の発生を効果的に防止することのできる羽根車及びそれを備えた遠心ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る遠心ポンプ用羽根車は、一端に吸込口が形成され且つ他端に軸方向に窪んだ凹部が形成されるとともに、側方に吐出口が形成され、軸方向から見て渦巻き状に形成され且つ前記吸込口と前記吐出口とをつなぐ内部流路を区画する羽根を有する略円筒形状の羽根車本体と、少なくとも前記羽根車本体の前記凹部を覆う蓋と、前記蓋に設けられたバランスウェイトと、を備えたものである。
【0012】
上記羽根車では、羽根車本体には凹部が形成されており、当該凹部によって羽根車本体の機械的バランスが保たれる。また、本発明に係る羽根車は、バランスウェイトが設けられた蓋を備えている。羽根車本体の凹部は蓋によって覆われているので、凹部における流体の乱れは抑制される。よって、流体の乱れに起因する振動の発生を抑えることができる。また、羽根車が回転するとバランスウェイトには遠心力が働き、この遠心力が、羽根に作用する流体力の不釣合を打ち消すこととなる。したがって、水力的バランスも保つことができ、羽根車の振動及び軸振れを防止することができる。本発明によれば、上述のような制振効果を、バランスウェイトを取り付けた蓋を羽根車本体に取り付けるという簡単な構成により得ることができる。また、バランスウェイト及び蓋を微調整することにより、羽根車本体の鋳型を何ら変更することなく、水力的バランスの微調整を行うことができる。
【0013】
前記羽根車本体は、外周面における前記吐出口よりも前記吸込口側部分から前記外周面に沿って外方に突出し、前記吸込口側と前記吐出口側とを仕切るフランジ部と、前記フランジ部よりも前記吐出口側の外周部分の一部を内側に削ったような形状に形成され、前記内部流路と連続し且つ外周面に沿って周回する外部流路を区画する2次羽根と、を備え、前記内部流路は、螺旋状に形成されていることが好ましい。
【0014】
上記羽根車では、吸込口から吸い込まれた流体は、螺旋状の内部流路内を流れた後、羽根車本体の外周面に沿った外部流路を流れる。そのため、ポンプの性能が向上する。内部流路を区画する羽根及び上記2次羽根の全体は非軸対称形状であるが、上述の通り、羽根車の機械的バランス及び水力的バランスは保たれる。
【0015】
前記バランスウェイトは、前記凹部内に配置されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る羽根車は、凹部内にバランスウェイトを配置している。このことにより、上述のような制振効果を及ぼすためにバランスウェイト用の新たなスペースを必要とすることなく、省スペース化を図ることができる。また、バランスウェイトが凹部内に収まるため、羽根車外部の流体から余計な力を受けて動力を損失することも防止できる。
【0017】
前記バランスウェイトは、前記蓋と一体的に形成されていることが好ましい。
【0018】
このことにより、バランスウェイトを蓋に取り付ける作業は不要となり、バランスウェイトを備えた羽根車の組立が容易になる。また、バランスウェイトが羽根車の回転によって蓋から脱落することを防止することができる。
【0019】
前記バランスウェイトは、締結具によって前記蓋に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
このことにより、バランスウェイトを容易に取り付けることができ、バランスウェイトを備えた羽根車の組立が容易になる。
【0021】
前記蓋は、締結具によって前記羽根車本体に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0022】
このことにより、羽根車本体に蓋を容易に取り付けることができ、羽根車の組立が容易になる。
【0023】
本発明に係る遠心ポンプは、前記遠心ポンプ用羽根車を備えたものである。
【0024】
このことにより、振動等の発生を防止し、耐久性の高い羽根車を備えた遠心ポンプが得られる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、機械的バランス及び水力的バランスのとれた羽根車を簡単な構成で得ることができる。すなわち、本発明によれば、簡単な構成に基づいて、羽根車の凹部に起因する流体の乱れを抑制することができ、また、羽根車を回転させた際に羽根に生じる流体力の不釣合を解消することができ、振動及び軸振れの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】遠心ポンプの断面図である。
【図2】羽根車を下方から見た斜視図である。
【図3】羽根車を上方から見た斜視図である。
【図4】羽根車本体の平面図である。
【図5】図4のA方向矢視図である。
【図6】図4のB方向矢視図である。
【図7】図4のC方向矢視図である。
【図8】図4のD方向矢視図である。
【図9】図4のNN線断面図である。
【図10】図6のMM線断面図である。
【図11】図4のLL線断面図である。
【図12】図7のKK線断面図である。
【図13】図4のJJ線断面図である。
【図14】図8のII線断面図である。
【図15】図4のHH線断面図である。
【図16】図5のGG線断面図である。
【図17】図5のEE線断面図である。
【図18】図5のFF線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、実施形態に係る遠心ポンプは、汚水処理用のターボ式遠心ポンプ10である。このポンプ10は、羽根車11と、羽根車11を覆うポンプケーシング12と、羽根車11を回転させる密閉型の水中モータ13とを備えている。
【0029】
水中モータ13は、ステータ14及びロータ15からなるモータ16と、モータ16を覆うモータケーシング17とを備えている。ロータ15の中心部分には、上下方向に延びる駆動軸18が設けられている。この駆動軸18は、軸受19,20によって回転自在に支持されている。駆動軸18の下端部は羽根車11に連結されており、水中モータ13の回転駆動力が羽根車11に伝達されるようになっている。
【0030】
ポンプケーシング12は、羽根車11を覆うとともに、羽根車11から吐出される汚水をポンプ外へ排出する流路50を形成している。ポンプケーシング12の内部には、断面視で半円状に湾曲した側壁12aにより外周側を囲まれたポンプ室26が形成されている。このポンプ室26内には、羽根車11の吐出部28(図3参照)が収容されている。そして、図1に示すように、羽根車11がポンプケーシング12内に配置された状態で、ポンプ室26の一部が前記流路50を構成している。
【0031】
また、図1に示すように、ポンプケーシング12の下部には、下方に突出した吸込部21が形成されている。この吸込部21には、下方に向かって開口した吸込口22が形成されている。吸込口22は、羽根車11の吸込口29に連通している。一方、ポンプケーシング12の側部には、側方に突出した吐出部23が形成されている。この吐出部23には、側方に向かって開口した吐出口24が形成されている。この吐出口24は流路50の出口になっており、羽根車11から吐出された汚水は吐出口24からポンプ外へ排出されることになる。
【0032】
図2に示すように、羽根車11の羽根車本体11aには、軸方向の下側から上側に向かって順に、吸込部27と吐出部28とが設けられている。これらの吸込部27及び吐出部28は、いずれも略円筒形状に形成されており、吐出部28は吸込部27よりも大径に構成されている。そして、吐出部28と吸込部27との間には、全周にわたってフランジ部40が形成されている。図1に示すように、フランジ部40は、羽根車11の吐出部28と吸込部27とを上下に仕切っている。すなわち、この羽根車11は、吸込部27と吐出部28とがフランジ部40で仕切られたクローズドタイプの羽根車である。
【0033】
図2に示すように、吸込部27の下端には、下方に向かって開口した吸込口29が設けられている。一方、吐出部28の上端には、天井面30(図4参照)が形成されている。
【0034】
図4に示すように、天井面30には、ボルト孔が形成された突起部61が等間隔に3つ設けられている。天井面30の一部(ここでは、軸方向から見て天井面30の4分の3の部分であり、羽根車11の重量が大きい側)には、下方に窪んだ窪み33が形成されている。この窪み33により、羽根車1は軽量化され、また、機械的バランスがとられ、回転の安定性が向上している。ただし、天井面30の窪み33の大きさや形状は、何ら限定されるものではない。また、機械的バランスが維持される限り、窪み33は必ずしも必要ではなく、天井面30の形状は特に限定されるものではない。
【0035】
図3に示すように、羽根車本体11aの天井面30上には、中心部分を切り欠いた円形の蓋70がボルト60によって取り付けられている。羽根車本体11aの中心部には、駆動軸18を取り付けるための取付部31が形成されており、蓋70中心部の切り欠き部分には、取付部31が挿入されている。この取付部31の中央には、駆動軸18の先端を挿入するための挿入穴32が形成されている。この蓋70は羽根車本体11aの窪み33を覆っており、蓋70と天井面30とにより室51が形成されている(図9〜図16参照)。
【0036】
図12及び図16に示すように、蓋70の裏面(内部側)には、バランスウェイト80がボルト83によって取り付けられている。このバランスウェイト80により、羽根車11が回転した際に生じる流体力の不釣合が打ち消され、振動の発生が抑制される。本実施形態では、バランスウェイト80は窪み33が最も窪んでいる箇所に位置しているが、バランスウェイト80の位置は何ら限定されるものではない。また、バランスウェイト80の数、大きさ、形状も何ら限定されるものではない。
【0037】
図3に示すように、蓋70の内側端部には、複数の孔81が形成されている。これら孔81は、バランスウェイト80よりも半径方向の内側に形成されている。また、これら孔81は、周方向に関して、バランスウェイト80の両側に位置している。この孔81を通じて、室51の内部と外部とが連通され(図10等参照)、孔81から水及び空気が出入りすることとなる。なお、これら孔81から排出された空気は、羽根車11とポンプケーシング12との隙間を通って吐出口24または空気抜きバルブ85(図1参照)を経てポンプ10外へ排出される。
【0038】
一方、図7、図9、図10及び図12に示すように、羽根車11の吐出部28には、側方に向かって開口する吐出口34が形成されている。図6、図7及び図9〜図18に示すように、羽根車11の内部には、吸込部27の吸込口29から吐出口34に至る螺旋状の1次流路35(螺旋状流路)が区画形成されている。すなわち、図17に示すように、吐出口34は、螺旋状の1次流路35の延長方向に向かって開口している。なお、本明細書では、この1次流路35を区画している区画壁を1次羽根36と称する。
【0039】
図2及び図5〜図18に示すように、吐出部28の外周面上の一部には、当該外周面に沿って延びるように内側に窪んだ2次流路37が形成されている。図17に示すように、この2次流路37は、吐出口34において、羽根車11内に形成された1次流路35の下流側と連続している。そして、2次流路37は、羽根車11の半周以上の長さにわたって吐出部28を周回している。2次流路37の下流端は、吐出口34の近傍にまで延びている。なお、2次流路37の長さは、半周以上且つ1周未満が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0040】
すなわち、2次流路37は、非螺旋状の流路であり、その流路中心は羽根車11の軸線と直交する直交面上に位置している。この2次流路37を区画している区画壁を2次羽根38と称すると、2次羽根38はいわゆる半径流形の羽根であり、この2次羽根38によって汚水は外周側(径方向外側)に吐出される。
【0041】
以上が本実施形態に係るポンプ10の構成である。次に、羽根車11の製作方法について説明する。
【0042】
まず、ステンレス等の金属材料を用いて羽根車本体11aを鋳造する。この際、軽量化及び機械的バランスの確保のために、羽根車本体11aには予め窪み33を設けておく。すなわち、窪み33を設けることにより、強度上特に必要でない部分をなくし、さらに、非軸対称形状である羽根車本体11aの機械的バランスをとる。
【0043】
一方、羽根車本体11aとは別に、蓋70を製作しておく。そして、この蓋70に、バランスウェイト80をボルト83によって取り付ける。次に、蓋70のボルト孔と羽根車本体11aの突起部61のボルト孔とを合わせ、蓋70を羽根車本体11aにボルト締めする。すなわち、蓋70を羽根車11の天井面30上に載せ、ボルト60によって固定する。これにより、バランスウェイト80は、窪み33内の所定位置(羽根車11の回転中に生じる流体力を打ち消す位置)に配置される。
【0044】
このポンプ10では、汚水は、以下のようにして搬送される。すなわち、水中モータ13によって羽根車11が回転し、この回転によって、羽根車11の1次羽根36が下側の吸込口29から汚水を上方へ向かって吸い込む。そして、吸い込まれた汚水は、羽根車11内の螺旋状の1次流路35を通過し、吐出口34及び2次羽根38によって外周側に吐出される。吐出された汚水は、羽根車11を覆うポンプケーシング12によって受け止められ、流路50を流通した後、吐出口24からポンプ外へ排出される。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る羽根車11によれば、羽根車本体11aの天井面30には、窪み33が設けられている。これにより、羽根車11の軽量化を図ることができ、あわせて機械的バランスをとることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、羽根車本体11aの窪み33は、蓋70によって覆われている。そのため、窪み33によって流体の流れが乱されることが抑制され、ポンプの効率を向上させることができる。また、流れの乱れに起因する振動を抑制することができる。
【0047】
本実施形態の羽根車11では、1次羽根36と2次羽根38とは連続しており、軸方向から見て螺旋状の一枚羽根を形成している。このような一枚羽根の羽根車11では、羽根は非軸対称形状となる。そのため、羽根に加わる流体(汚水)の力は、羽根の一方の側と他方の側とで異なり、全体として不釣合の力となる。したがって、該流体力は、軸対称形状の羽根を有する羽根車のように打ち消し合わず、羽根車を振動させてしまう。しかし、本実施形態に係る羽根車11には、バランスウェイト80を固定した蓋70が取り付けられている。そのため、羽根車11が回転するとバランスウェイト80に遠心力が働き、この遠心力は該流体力を打ち消すように作用する。したがって、本実施形態に係る羽根車11によれば、機械的バランスだけでなく水力的バランスをもとることができ、振動の発生を効果的に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る羽根車11では、羽根車本体11aにバランスウェイトを取り付けるのではなく、蓋70にバランスウェイト80を取り付け、該蓋70を羽根車11本体に取り付けている。そのため、羽根車本体11aの形状に拘わらず(例えば天井面30の凹凸に左右されずに)バランスウェイト80を適宜に設置することができる。したがって、振動防止に好適な位置にバランスウェイト80を容易に設置することができる。
【0049】
また、バランスウェイト80の取付位置等を微調整する必要が生じたときには、蓋70の一部を改良すれば足り、羽根車本体11aの改良は必要ではない。そのため、羽根車本体11aの鋳型等を変更する必要がなく、バランスの微調整を容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態に係る羽根車11では、バランスウェイト80が上述の窪み33内に設けられている。そのため、従来のように、バランスウェイト80を設置するために新たなスペースを確保する必要がない。したがって、省スペース化、軽量化を図りつつ、バランスウェイト80による羽根車11の振動防止を実現することができる。
【0051】
本実施形態に係る羽根車11のバランスウェイト80は、ボルト83によって蓋70に着脱自在に取り付けられている。また、蓋70は、ボルト60によって羽根車11に着脱自在に取り付けられている。そのため、従来のように、溶接等の手間のかかる作業が不要となり、取り付け作業が容易となる。また、これにより、製作コストの削減、及びメンテナンスの容易さより、ランニングコストの削減を図ることもできる。
【0052】
本実施形態に係る羽根車11の1次流路は螺旋状であったが、回転軸方向から視て渦巻き状であればよく、螺旋状に限定されるものではない。
【0053】
本実施形態に係る羽根車11において、バランスウェイト80は蓋70にボルト83によって、取り付けられていたが、バランスウェイト80を着脱自在に取り付ける締結具はボルト83に限定されるものではなく、他のもの(例えばねじ等)であってもよい。また、蓋70を羽根車本体11aに着脱自在に取り付ける締結具も、ボルト60に限らず、他のものであってもよい。
【0054】
上記実施形態では、バランスウェイト80と蓋70とはボルト60によって結合されていたが、バランスウェイト80は蓋70と一体的に形成されていてもよい。これにより、バランスウェイト80を蓋70に取り付ける作業は不要となり、羽根車11の組立を容易に行うことが可能となる。また、羽根車11の回転により、蓋70からバランスウェイト80が脱落してしまうことを防止することができる。なお、バランスウェイト80と蓋70とを同一または異なる材料で形成し、それらを接合することによって一体化してもよい。この場合であっても、蓋70からバランスウェイト80が脱落してしまうことを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、遠心ポンプ用羽根車及びそれを備えた遠心ポンプについて有用である。
【符号の説明】
【0056】
10 遠心ポンプ
11 羽根車
11a羽根車本体
27 吸込部
28 吐出部
29 吸込口
33 窪み(凹部)
34 吐出口
35 1次流路(内部流路)
36 1次羽根
37 2次流路(外部流路)
38 2次羽根
40 フランジ(フランジ部)
51 室
60 ボルト(締結具)
70 蓋
80 バランスウェイト
83 ボルト(締結具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に吸込口が形成され且つ他端に軸方向に窪んだ凹部が形成されるとともに、側方に吐出口が形成され、軸方向から見て渦巻き状に形成され且つ前記吸込口と前記吐出口とをつなぐ内部流路を区画する羽根を有する略円筒形状の羽根車本体と、
少なくとも前記羽根車本体の前記凹部を覆う蓋と、
前記蓋に設けられたバランスウェイトと、
を備えた遠心ポンプ用羽根車。
【請求項2】
前記羽根車本体は、
外周面における前記吐出口よりも前記吸込口側部分から前記外周面に沿って外方に突出し、前記吸込口側と前記吐出口側とを仕切るフランジ部と、
前記フランジ部よりも前記吐出口側の外周部分の一部を内側に削ったような形状に形成され、前記内部流路と連続し且つ外周面に沿って周回する外部流路を区画する2次羽根と、を備え、
前記内部流路は、螺旋状に形成されている請求項1に記載の遠心ポンプ用羽根車。
【請求項3】
前記バランスウェイトは前記凹部内に配置されている請求項1または2に記載の遠心ポンプ用羽根車。
【請求項4】
前記バランスウェイトは、前記蓋と一体的に形成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の遠心ポンプ用羽根車。
【請求項5】
前記バランスウェイトは、締結具によって前記蓋に着脱自在に取り付けられている請求項1〜3のいずれか一つに記載の遠心ポンプ用羽根車。
【請求項6】
前記蓋は、締結具によって前記羽根車本体に着脱自在に取り付けられている請求項1〜5のいずれか一つに記載の遠心ポンプ用羽根車。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の遠心ポンプ用羽根車を備えた遠心ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−236915(P2011−236915A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164113(P2011−164113)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2005−117518(P2005−117518)の分割
【原出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】