説明

遠心分離システム

本発明は、流体の成分を分離する遠心分離機に用いるのに適当なシステム及び該システム用の容器(23,29,31,39,43)及び配管(53,57,65)のセット(21)に関する。遠心分離中に、容器に設けたピストン(27,33,35,47)により流体を容器から容器に移動する。ピストンの質量を内部をピストンが移動する容器の断面積で割った比がピストン(27,33,35,47)毎に異なる。遠心分離中に流体を質量/断面積比の高いピストンの容器から質量/断面積比の低いピストンの容器へ移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の密度の異なる成分の分離を行うシステム及びセットに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の流体、特に血液のような生物学的流体は、多数の価値のある及び/又は医学的もしくは薬学的に有用な成分を含有する。このような有価・有用成分を比較的純粋な濃度で効率よく分離し収集することができる方法と装置を求めて多大な努力が払われてきた。血液のサンプルから成分を分離するこの種の方法が米国特許第6733433号(特許文献1)に開示されている。同特許に記載された生物学的流体の遠心分離システムでは、サンプルを軸線方向に可動なピストンの設けられた可変容積円筒チャンバ内に入れる。シリンダをその長さ方向軸線のまわりに急速回転し、これにより生物学的流体中の諸成分を複数同心リング内の複数フラクションに、密度の最も高いフラクションがチャンバの円周にもっとも近く、密度の最も低いフラクションがチャンバの中心にくるように、分離する。圧縮空気を用いてピストンをチャンバの頂部に向けて移動することにより、異なるフラクションを順次チャンバからチャンバの頂部にある中心開口を通して抜き出すことができる。中心開口は回転シールにより弁、チューブ及び収集バッグを有するシステムに連結されており、異なるフラクションをそれぞれの収集バッグに送ることができる。中心開口から延びているチューブ上の光センサによりチューブ内の吸光度を測定する。コントロール装置は、光検出器からの信号の変化を利用して、異なるフラクションが光センサを通過する時点を判定し、そのフラクションを正しい収集バッグに送るように弁を制御する。
【特許文献1】米国特許第6733433号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、流体、特に生物学的流体を複数フラクションに分離するシステム及びセット、特定すると特許請求の範囲の請求項1に記載の構成要素を有するシステム及び請求項6に記載の構成要素を有するセットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1は本発明による遠心分離機1を線図的に示す平面図であり、但し当業者に周知の部分は省略してある。遠心分離機は中心回転シャフト5を支持する本体3を有し、複数の、本例では4つの遠心分離チャンバ支持アーム7が中心シャフト5に取り付けられている。各アームはそれぞれの遠心分離チャンバ9を支持する。撮像装置11、例えばビデオカメラ13及び高速カメラフラッシュ15が、中心シャフト5のまわりに回転されるとき遠心分離チャンバ9が通る通路の所定部分の画像を撮影するように配置されている。各遠心分離チャンバ9は、撮像装置11に面する透明な壁又は窓17を有する。遠心分離機1は、マイクロプロセッサもしくはコンピュータのようなコントロール装置により制御可能で、コントロール装置により遠心分離機の回転速度を制御するとともに、フラッシュ15及び弁(後述)を制御し、また撮像装置11からの画像を制御、加工する。各遠心分離チャンバ9の擬似静止、即ち「スチル」画像を得るために、各遠心分離チャンバ9がカメラ13の視野内の同一位置を通過するときに遠心分離チャンバ9を照射するように、フラッシュ15を制御する。コントロール装置9と遠心分離機1、弁、撮像装置11及びフラッシュ15との接続はワイヤを介してもよいし、ワイヤレス接続、例えば赤外もしくは無線周波通信による接続でもよいし、その両方でもよい。
【0005】
図2は、生物学的流体の諸成分を分離し収集するための遠心分離チャンバ9及び容器及び配管のセット21を線図的に示す。セット21は、分離すべき生物学的流体を受けとる生物学的流体受容容器23を備え、容器23は円筒壁25及び断面積AFのボアを有し、円筒壁25と密封接触関係にて質量MFの可動ピストン27を収納し、ピストン27及び容器23の基部55間のボアの容積が生物学的流体受け入れキャビティ28を形成し;分離されたフラクションを受けとる第1分離フラクション受容容器29を備え、容器29は可変容積の可撓性バッグ又はシリンダの形態であるのが好ましく;所望に応じて、円筒壁33及び断面積ASのボアを有する分離フラクション清浄化シリンダ31を備え、シリンダ31は質量MSの可動ピストン35を円筒壁33と密封接触関係で収容しており、ピストン35及び容器31の基部32間のボアの容積が分離フラクション及び洗浄バッファを受け入れるのに十分な容積のキャビティ34を形成し;所望に応じて、円筒壁39及び断面積ABのボアを有する洗浄バッファ収容容器37を備え、容器37は質量MBの可動ピストン41を円筒壁39と密封接触関係で収容しており、ピストン41及び容器37の基部38間のボアの容積が洗浄バッファを収容するキャビティ40を形成し;円筒壁45及び断面積AAのボアを有する第1添加剤収容容器43を備え、容器43は質量MAの可動ピストン47を円筒壁45と密封接触関係で収容しており、ピストン47及び容器43の基部44間のボアの容積が添加剤溶液を貯蔵するキャビティ48を形成し;さらに第2分離フラクション受容容器49を備える。所望に応じて、本セット内に第2添加剤収容容器51が含まれ、下記の通りに配置されている。即ち、第1添加剤収容容器43から出てくる添加剤が第2添加剤収容容器51にその一端又は一端近くに位置する入口50から流入し、第2添加剤収容容器51の内容物と混合し、混合を所望に応じてミキサ52により促進し、そして混合した添加剤が第2添加剤収容容器51からその反対端又は反対端近くに位置する出口54を通って出て行く。
【0006】
本セット21はさらに、第1添加剤収容容器43の基部44を(装備した場合には、第2添加剤収容容器51を介して)流体受容容器23の基部55に連結する(好ましくは可撓性の)第1配管53、並びにピストン27の通路59からT接合部61の脚部につながる(好ましくは可撓性の)第2配管57を備え、T接合部61は、第1アーム及び(好ましくは可撓性の)第3配管63を介して第2分離フラクション受容容器49に、また第2アーム及び(好ましくは可撓性の)第4配管65を介して第1分離フラクション受容容器29に通じている。任意の分離フラクション清浄化シリンダ31及び任意の洗浄バッファ収容シリンダ37が存在する場合、それらの基部32及び38はそれぞれ枝管67及び69により配管65に連結されている。
【0007】
遠心分離チャンバ9はキャビティ71を有し、キャビティ71には、セット21をキャビティ71内に、容器23,31,37,43の基部が反対端よりも遠心分離機の回転中心から遠くなる所定の配向で、受け入れ、保持するよう構成された凹所73が予め形成されている。第1遠隔制御弁75が、配管53を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。第2遠隔制御弁77が、配管57を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。第3遠隔制御弁79が、配管63を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。第4遠隔制御弁81が、配管65を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。第5遠隔制御弁83が、枝管67を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。第6遠隔制御弁85が、枝管69を通る流体流れを通すか阻止できるように配置されている。
【0008】
所望容量の生物学的流体を生物学的流体受容容器23に簡単に導入できるようにするため、好ましくは密封可能な入口ポート89を有する入口ライン87をセット21の任意適当な位置に、例えば弁75と生物学的流体受容容器23の間、又は弁77と生物学的流体受容容器23の間に設けることができる。
【0009】
図3〜9は、生物学的流体のサンプルから所定の成分を分離する本発明の方法で、添加剤としての密度勾配媒体91及び所定成分を洗浄するための洗浄バッファ93を用いる実施形態における諸工程を示す。この実施形態では、生物学的流体は血液95であり、密度勾配媒体91の密度は、血液中のモノヌクレオチド細胞の密度より高く、赤血球の密度より低くなるように選択する。第1添加剤容器43及び第2添加剤容器51に密度勾配媒体91を満たし、洗浄バッファ収容容器37に洗浄バッファ93を満たす。図3は、血液のサンプル95を入口ポート89及び入口ライン87から生物学的流体受容容器23に充填する工程を示す。この充填工程を行うには、ピストン27を容器23の基部に配置し、弁75及び77を閉じ、血液サンプル95を入口ポート89から入口ライン87に注入する。弁75及び77が閉じていると血液サンプルが配管53及び57に入ることができず、その結果、血液サンプル95が導入されるにつれて、ピストン27が容器23の基部55から離れ押し上げられる。血液サンプル95の容器23への導入は、セット21が遠心分離チャンバ9内部にあるとき行ってもよいが、好ましくはセット21を遠心分離チャンバ9に入れる前に行うことができる。
【0010】
血液サンプル95を導入し、(セット21がまだ遠心分離チャンバ9内に配置されていない場合には)セット21を遠心分離チャンバ9内に配置した後、セット21の遠心分離を開始する。コントロール装置によりシャフトを所望の速度で回転させ、次いで密度勾配媒体91をサンプル95に添加する。このために弁75を開く。密度勾配媒体91を添加剤容器43から容器23に移すのにポンプは不要である。それは、可動ピストン47の質量の容器43の断面積に対する比がピストン27の質量の容器23の断面積に対する比より大きいので、両容器間に生じる差圧が密度勾配媒体91を容器23中に押し込むからである。この密度勾配媒体91の流れは、差圧が等しくなるか、弁75を閉じるまで続く。密度勾配媒体の流れが終わった後も遠心分離を継続するにつれて、血液サンプルの成分及び密度媒体が、それらの密度に依存する容器23内のレベルに移動し、図4に示すように個別の層を形成する。この例では、血液サンプル95が分離されて高密度な赤血球の層101を形成しており、その上に密度勾配媒体91の層がある。モノヌクレオチド細胞の層103が密度勾配媒体91の上にあり、さらに低密度な血漿の層105がモノヌクレオチド細胞層103の上にくる。
【0011】
コントロール装置19には画像処理用のソフトウェアを装備することができ、撮像装置11からの画像信号を処理することにより、諸成分がほぼ安定な層に分離し終わった時間を同定することができる。ほぼ安定な層が同定されたら(或いは遠心分離の開始から所定の時間が経過した後)、コントロール装置19は弁77及び79を開く指令を出す。これは、遠心分離チャンバ9の回転により発生する力Accの元でピストン27が容器23の基部に向かって移動するのを許し、このためピストン27にもっとも近い容器23中の流体、即ち血漿105が通路59を通って容器23から出て行く。血漿105は配管57に沿って弁77を通過し、配管63に沿って第2分離フラクション受容容器49に流れる。血漿105全部が容器23から出たら、図5に示すように、モノヌクレオチド細胞103が容器23から通路59を通って出て行き始める。
【0012】
コントロール装置19には、ピストン27の押しのけ速度を測定し、配管57の既知の単位長さ当たりの容積を用いることにより、配管57を通る血漿の流量を計算できるソフトウェアを装備するのが好ましい。コントロール装置は、最後の血漿105及び最初のモノヌクレオチド細胞103がT接合部61に到達する時間を計算でき、この時点で(もしくはこの時点の直前に)弁79を閉じ、弁83を開く指令を出し、モノヌクレオチド細胞103が少しでも配管63に入るおそれを回避することにより、モノヌクレオチド細胞103の収量を最大限にすることができる。
【0013】
本発明の方法のこの実施形態では、分離フラクション受容容器29内に収集する前に、モノヌクレオチド細胞103を清浄化するのが望ましく、したがって、弁79を閉じたら、弁81を閉じたままとし、弁83を開く。これにより、図6に示すように、モノヌクレオチド細胞103が配管65及び枝管67を経て分離フラクション清浄化容器31に流れる。ピストン質量の容器31の断面積に対する比が容器23の比より小さいので、この流れはポンプの助けなしで起こる。コントロール装置19には、ピストン27の押しのけ速度を測定し、配管57の既知の単位長さ当たりの容積を用いることにより、配管57を通る密度勾配媒体91の流量を計算できるソフトウェアを装備するのが好ましい。コントロール装置は、最後のモノヌクレオチド細胞103及び最初の密度勾配媒体91が枝管67に到達する時間を計算でき、この時点で(もしくはこの時点の直前に)弁77及び83を閉じる指令を出し、密度勾配媒体91が分離フラクション清浄化容器31への枝管67に入るのを防止する。
【0014】
モノヌクレオチド細胞103を分離フラクション清浄化容器31内で清浄化するには、第5遠隔制御弁83及び第6遠隔操作弁85を開く。可動ピストン41の質量の容器37の断面積に対する比がピストン35の質量の容器31の断面積に対する比より大きいので、両容器31,37間に生じる差圧が洗浄バッファ93を容器37から容器31中に、平衡に達するまで、押し入れる。洗浄バッファ93は、モノヌクレオチド血液細胞103の密度より小さい特定の密度を有するように選択するのが好ましい。この洗浄バッファ93の容器31への流れはモノヌクレオチド細胞103を容器31の基部31から押し上げ、もしも洗浄バッファ93の流入速度が十分に高ければ、モノヌクレオチド細胞103を洗浄バッファ93の流入流れ中、基部32からある距離に懸垂する。図7に示すように、流入する洗浄バッファ93がモノヌクレオチド細胞103の層を通過するので、モノヌクレオチド細胞103は懸垂状態に留まり、こうしてモノヌクレオチド細胞103を所謂「エルトリエーション」(水簸elutriation)プロセスにて洗浄する。所定の時間後、又は所定容量の洗浄バッファ93が容器31に入った後、又はピストン35が所定の位置に到達したら、弁83及び85を閉じる。これにより、図8に示すように、モノヌクレオチド細胞103が容器31の基部に集まる。
【0015】
モノヌクレオチド細胞103を第1分離フラクション受容容器29に移すには、弁81及び83を開く。これにより、図9に示すように、ピストン35が容器31の内容物に対して発揮する力が、モノヌクレオチド細胞103を枝管67及び配管65から弁81及び83を経て第1分離フラクション受容容器29に送りこむように作用する。コントロール装置19には、ピストン35の押しのけ速度を測定し、配管65及び67の既知の単位長さ当たりの容積を用いることにより、配管65及び67を通るモノヌクレオチド細胞103の流量を計算できるソフトウェアを装備するのが好ましい。コントロール装置は、最後のモノヌクレオチド細胞103及び最初の洗浄バッファ93が弁81に到達する時間を計算でき、この時点で(もしくはこの時点の直前に)弁81及び83を閉じる指令を出し、洗浄バッファ93が弁81から分離フラクション受容容器29に入るのを防止する。次に遠心分離を停止し、さらなる処理のためにセット21を遠心分離チャンバ9から外すことができる。
【0016】
本発明の方法の第2の実施形態では、モノヌクレオチド細胞103を清浄化なしで収集するのが望ましい。本発明方法の第2の実施形態は、血漿を第2フラクション受容容器49に入れ、弁79を閉じる時点までは、本発明方法の第1の実施形態と同じである(洗浄バッファ収容容器37に入れた洗浄バッファを用意することがもはや不要であること以外)。弁79を閉じた後、本発明方法の第2の実施形態では、弁81を開くと、ピストン27が容器23の内容物に対して発揮する力により、モノヌクレオチド細胞103が配管65を経て第1分離フラクション受容容器29に流れる。すべてのモノヌクレオチド細胞103が容器23から出たら、密度勾配媒体91が容器23から通路59を通って流出し始める。コントロール装置19には、ピストン27の押しのけ速度を測定し、配管57の既知の単位長さ当たりの容積を用いることにより、配管57を通る密度勾配媒体91の流量を計算できるソフトウェアを装備するのが好ましい。コントロール装置は、最後のモノヌクレオチド細胞103及び最初の密度勾配媒体91が弁81に到達する時間を計算でき、この時点で(もしくはこの時点の直前に)弁81を閉じる指令を出し、密度勾配媒体91が弁81を経て第1分離フラクション受容容器29に入るのを防止する。次に遠心分離を停止し、さらなる処理のためにセット21を遠心分離チャンバ9から外すことができる。
【0017】
上述した本発明の実施形態では、1種類の密度勾配媒体だけを使用し、この媒体が密度勾配媒体より大きい密度を有する生物学的サンプルの成分と密度勾配媒体より小さい密度を有する成分との間に層を形成した。しばしば、密度勾配媒体の層により生物学的流体を3つ以上のフラクションに分離するのが望ましく、これには密度勾配媒体の2つ以上の密度を用いる必要がある。これには、密度の異なる2つの密度勾配媒体(元の密度Aを有する高密度媒体と密度Bを有する低密度媒体)を様々な割合で混合して、実質的に連続な勾配の密度勾配媒体(密度がAからBまでの範囲にある)を形成するか、元の密度勾配媒体それぞれを所定の割合(例えば、10%A+90%B、50%A+50%Bなど)で混合して、密度が高密度の元の密度勾配媒体Aと低密度の元の密度勾配媒体Bの密度の間にある多数の中間密度の密度勾配媒体を形成するのが好ましい。
【0018】
本発明の方法の第3の実施形態では、連続勾配の密度勾配媒体を用いるのが望ましい。この方法は、第1添加剤容器43内の第1の(好ましくは最高密度の)密度勾配媒体A及び第2添加剤容器51内の第2の最低密度の密度勾配媒体Bで出発する点で、本発明の第1及び第2の実施形態とは異なる。密度勾配媒体の勾配は、ミキサ52を付勢し、弁75を開くことにより達成される。弁75を開くことで、密度勾配媒体Aが第1添加剤容器43から第2添加剤容器51に流れ、そこでミキサ52により密度勾配媒体Bと混合され、AとBの中間の密度を有する中間密度・密度勾配媒体を形成する。中間密度・密度勾配媒体が第2添加剤容器51から出て、生物学的流体受容容器23に流入するにつれて、第2添加剤容器51における密度勾配媒体A対密度媒体Bの割合が増加し、第2添加剤容器51から出ていく中間密度・密度勾配媒体の密度も増加する。この結果、密度上昇勾配の中間密度・密度勾配媒体が生物学的流体受容容器23に導入される。所望容量の密度勾配媒体を生物学的流体受容容器23中に導入し終わったら、ミキサ52を停止し、弁75を閉じる。この後、本方法は前述した方法と同様に進行するが、両方法の大きな違いとして、正しい密度勾配媒体の勾配が達成されたら、生物学的流体の目標成分(1つ又は複数)がいくつかの層に分離され、このときこれらの層は密度勾配媒体の層で分離されている。
【0019】
上述した実施形態は本発明を具体的に説明するものであり、特許請求の範囲に規定される保護範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による遠心分離機の第1実施形態を示す線図的平面図である。
【図2】遠心分離チャンバ内に配置される、本発明にしたがって生物学的流体の複数フラクションを分離し、収集する使い捨てセットの第1実施形態を示す線図である。
【図3】図2の使い捨てセットを用いて生物学的流体のフラクションを分離し、収集する方法の1実施形態の1工程を示す線図である。
【図4】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【図5】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【図6】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【図7】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【図8】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【図9】上記分離収集方法の次の工程を示す線図である。
【符号の説明】
【0021】
3 本体
5 シャフト
7 支持アーム
9 遠心分離チャンバ
11 撮像装置
13 ビデオカメラ
15 フラッシュ
17 窓
19 コントロール装置
21 セット
23 生物学的流体受容容器
25 円筒壁
27 ピストン
28 キャビティ
29 第1分離フラクション受容容器
31 シリンダ
32 容器31の基部
33 円筒壁
34 キャビティ
35 ピストン
37 洗浄バッファ収容容器
38 容器37の基部
39 円筒壁
40 キャビティ
41 ピストン
43 第1添加剤収容容器
45 円筒壁
47 ピストン
48 キャビティ
49 第2分離フラクション受容容器
50 入口
51 第2添加剤収容容器
52 ミキサ
53,57,63,65 配管
54 出口
55 容器23の基部
59 通路
61 T接合部
67,69 枝管
71 キャビティ
75 第1遠隔制御弁
77 第2遠隔制御弁
79 第3遠隔制御弁
87 入口ライン
89 入口ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をフラクションに加工・分離するシステムにおいて、
分離すべき流体を受けとる流体受容容器(23)であって、円筒壁(25)及び断面積AFのボアを有する流体受容容器(23)と、
分離された流体成分を受けとる第1分離フラクション受容容器(29)と、
添加剤溶液を貯蔵する第1添加剤収容容器(43)であって、円筒壁(45)及び断面積AAのボアを有する第1添加剤収容容器(43)と、
前記容器(23,43)それぞれの長さ方向軸線が遠心分離機(1)の回転中心に向いている状態で、容器(23,43)を受け入れかつ保持する少なくとも1つの遠心分離チャンバ(9)を含む遠心分離機(1)と、
前記流体受容容器(23)と前記第1添加剤収容容器(43)間に選択的連通を確立する配管(53)及び弁(75)と、
前記流体受容容器(23)と前記第1分離フラクション受容容器(29)間に選択的連通を確立する配管(57,65)及び少なくとも1つの弁(77,81)と、
前記システムの運転中前記容器(23,29,43)の画像を撮影し、容器の画像を表す信号を生成する撮像手段(11)と、
前記信号を受けとり解析することができ、さらに前記システムにおける流体の流れを制御するために前記遠心分離機(1)及び前記弁(75,77,81)の作動を制御することができるコントロール手段(19)とを備え、
前記流体受容容器(23)には前記円筒壁(25)と密封接触関係にある質量MFの可動ピストン(27)が設けられ、前記ピストン(27)には、前記流体受容容器(23)の流体受け入れキャビティ(28)を、前記流体受容容器(23)と前記第1分離フラクション受容容器(29)間に選択的連通を確立する配管(57,65)及び弁(77,81)に連結する貫通通路(59)が設けられ、
前記第1添加剤収容容器(43)には前記円筒壁(45)と密封接触関係にある質量MAの可動ピストン(47)が設けられ、
前記第1添加剤収容容器(43)についてのピストン質量MAをボア断面積AAで割った比が前記流体受容容器(23)についてのピストン質量MFをボア断面積AFで割った比より大きい、
流体をフラクションに加工・分離するシステム。
【請求項2】
さらに、前記第1添加剤収容容器(43)と前記流体受容容器(23)の間に流体連通関係に配列された少なくとも1つの他の添加剤収容容器(51)を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記他の添加剤収容容器(51)の少なくとも1つにミキサ(52)が設けられている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
さらに、流体受け入れキャビティ(28)に選択的に連結可能な第2分離フラクション受容容器(49)を備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のシステム。
【請求項5】
さらに、円筒壁(33)及び断面積ASのボアを有する分離フラクション清浄化シリンダ(31)であって、前記シリンダ(31)は質量MSの可動ピストン(35)を円筒壁と密封接触関係で収容しており、ピストン(35)及び前記容器(31)の基部(32)間のボアの容積がキャビティ(34)を形成する、分離フラクション清浄化シリンダ(31)と、
円筒壁(39)及び断面積ABのボアを有する洗浄バッファ収容容器(37)であって、前記容器(37)は質量MBの可動ピストン(41)を円筒壁(39)と密封接触関係で収容しており、ピストン(41)及び前記容器(37)の基部(38)間のボアの容積がキャビティ(40)を形成する、洗浄バッファ収容容器(37)とを備え、
前記洗浄バッファ収容容器(37)についてのピストン質量MBをボア断面積ABで割った比が前記分離フラクション清浄化シリンダ(31)についてのピストン質量MSをボア断面積ASで割った比より大きく、
前記流体受容容器(23)についてのピストン質量MFをボア断面積AFで割った比が前記分離フラクション清浄化シリンダ(31)についてのピストン質量MSをボア断面積ASで割った比より大きい、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
分離すべき流体を受けとる流体受容容器(23)であって、円筒壁(25)及び断面積AFのボアを有する流体受容容器(23)と、
分離された流体成分を受けとる第1分離フラクション受容容器(29)と、
前記流体受容容器(23)と前記第1添加剤収容容器(43)間に選択的連通を確立する配管(53)及び弁(75)と、
前記流体受容容器(23)と前記第1分離フラクション受容容器(29)間に選択的連通を確立する配管(57,65)及び少なくとも1つの弁(77,81)とを備え、
前記流体受容容器(23)には前記円筒壁(25)と密封接触関係にある質量MFの可動ピストン(27)が設けられ、前記ピストン(27)には、前記流体受容容器(23)の流体受け入れキャビティ(28)を、前記流体受容容器(23)と前記第1分離フラクション受容容器(29)間に選択的連通を確立する配管(57,65)及び弁(77,81)に連結する貫通通路(59)が設けられ、
前記第1添加剤収容容器(43)には前記円筒壁(45)と密封接触関係にある質量MAの可動ピストン(47)が設けられ、
前記第1添加剤収容容器(43)についてのピストン質量MAをボア断面積AAで割った比が前記流体受容容器(23)についてのピストン質量MFをボア断面積AFで割った比より大きい、
流体の複数フラクションを収集するセット(21)。
【請求項7】
さらに、前記第1添加剤収容容器(43)と前記流体受容容器(23)の間に流体連通関係に配列された少なくとも1つの他の添加剤収容容器(51)を備える、請求項6記載のセット。
【請求項8】
前記他の添加剤収容容器(51)の少なくとも1つにミキサ(52)が設けられている、請求項6又は請求項7記載のセット。
【請求項9】
さらに、流体受け入れキャビティ(28)に選択的に連結可能な第2分離フラクション受容容器(49)を備える、請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載のセット。
【請求項10】
さらに、円筒壁(33)及び断面積ASのボアを有する分離フラクション清浄化シリンダ(31)であって、前記シリンダ(31)は質量MSの可動ピストン(35)を円筒壁と密封接触関係で収容しており、ピストン(35)及び前記容器(31)の基部(32)間のボアの容積がキャビティ(34)を形成する、分離フラクション清浄化シリンダ(31)と、
円筒壁(39)及び断面積ABのボアを有する洗浄バッファ収容容器(37)であって、前記容器(37)は質量MBの可動ピストン(41)を円筒壁(39)と密封接触関係で収容しており、ピストン(41)及び前記容器(37)の基部(38)間のボアの容積がキャビティ(40)を形成する、洗浄バッファ収容容器(37)とを備え、
前記洗浄バッファ収容容器(37)についてのピストン質量MBをボア断面積ABで割った比が前記分離フラクション清浄化シリンダ(31)についてのピストン質量MSをボア断面積ASで割った比より大きく、
前記流体受容容器(23)についてのピストン質量MFをボア断面積AFで割った比が前記分離フラクション清浄化シリンダ(31)についてのピストン質量MSをボア断面積ASで割った比より大きい、
請求項6乃至請求項9のいずれか1項記載のセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−535618(P2009−535618A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507622(P2009−507622)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000388
【国際公開番号】WO2007/126357
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(597064713)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ (109)
【Fターム(参考)】