説明

遠心力基盤の核酸抽出用の微細流動装置及び前記微細流動装置を備えた微細流動システム

【課題】遠心力基盤の核酸抽出用の微細流動装置及び該微細流動装置を備えた微細流動システムを提供する。
【解決手段】回転体100と、微細流動構造物と、磁性ビードM1と、を備える微細流動装置101であって、微細流動構造物は、回転体100に配置され、複数のチャンバー、複数のチャンバーを連結する複数の通路、及び通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁を備え、回転体100の回転による遠心力を利用して流体を移送し、磁性ビードM1は、複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集し、微細流動構造物は、標的物質を捕集した磁性ビードM1を洗浄及び分離し、磁性ビードM1に対し外部から電磁波を照射することにより核酸を分離する。また、本発明の微細流動装置101と共に回転駆動部と、外部エネルギー源と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に設けられた微細流動構造物において、遠心力により流体の流れを制御する遠心力基盤の微細流動装置に係り、特に生体試料から標的細胞またはウイルスのDNAを抽出可能にする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、微細流動装置を構成する微細流動構造物には、少量の流体を溜めておくチャンバー、流体が流れるチャンネル(通路)、流体の流れを調節する弁、流体を受けて所定の機能を行う色々な機能性ユニットなどが備えられる。小型のチップ上で生化学的反応を含む試験を行えるように、チップ形態の基板にかかる微細流動構造物を配置した装置をバイオチップといい、特に色々な段階の処理及び操作を一つのチップで行えるように製作された装置をラボオンチップ(lab−on−a chip)という。
【0003】
微細流動構造物内で流体を移送するためには、駆動圧力が必要であるが、駆動圧力として毛細管圧が利用されてもよく、別途のポンプによる圧力が利用されてもよい。最近では、コンパクトディスク形状の回転板に微細流動構造物を配置して遠心力を利用する微細流動装置が提案されている。これをラボオンCD(lab−on−a CD)あるいはラボCD(Lab CD)ともいい。しかし、この場合は、フレームに固定されずに動く回転体の特性上、その内で流体の流れを制御するか、またはユニットの温度を制御するなどの操作が容易でない。
【特許文献1】米国特許第6,919,058号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/202572号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、遠心力基盤の核酸抽出用の微細流動装置及び前記微細流動装置を備えた微細流動システムに係り、遠心力が作用する回転体上に設けられた微細流動構造物に生体試料を注入すれば、前記微細流動構造物内で行われる一連の過程を通じて前記生体試料から特定の標的物質を分離及び濃縮し、前記分離された標的物質を溶解してPCR(Polymerase Chain Reaction)の可能な核酸を提供できるように構成された微細流動装置及び前記微細流動装置とそれを駆動する装置とを備える微細流動システムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による遠心力基盤の核酸抽出用の微細流動装置は、回転体と、微細流動構造物と、磁性ビードと、を備え、前記微細流動構造物は、前記回転体に配置され、複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、を備え、前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送し、前記磁性ビードは、前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集し、前記微細流動構造物は、前記標的物質を捕集した前記磁性ビードを洗浄及び分離し、前記磁性ビードに対し外部から電磁波を照射することにより核酸を分離する。前記標的物質は、細胞及びウイルスを含む生体物質をいう。
【0006】
ここで、前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を備える群から選択される。前記相転移弁は、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制するものである。
【0007】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質され、前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成される群から選択される。また、前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含みうる。
【0008】
本発明の一側面による遠心力基盤の核酸抽出用の微細流動装置は、回転体と、微細流動構造物と、磁性ビードと、を備え、前記微細流動構造物は、前記回転体に配置され、複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、を備え、前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送し、前記磁性ビードは、前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集し、前記複数のチャンバーは、試料チャンバーと、バッファチャンバーと、混合チャンバーと、廃棄チャンバーと、細胞溶解チャンバーと、を含み、前記試料チャンバーは、試料を収容し、前記バッファチャンバーは、バッファ液を収容し、前記混合チャンバーは、磁性ビードを収容し、前記試料チャンバー及びバッファチャンバーと通路で連結され、前記それぞれの通路に配置される弁の統制によって流入される前記試料と前記バッファ液とを収容し、前記回転体の中心から最も遠い位置に弁を備える出口を有し、前記磁性ビードと前記試料との反応及び前記バッファ液を利用した前記磁性ビードの洗浄を行い、前記廃棄チャンバーは、前記混合チャンバーの出口に隣接して回転体の中心に近い位置と通路で連結され、前記通路に配置された弁の統制によって前記混合チャンバーから排出される流体を収容し、前記細胞溶解チャンバーは、前記混合チャンバーの出口と通路で連結され、前記混合チャンバーの出口から排出される前記磁性ビードを含んだ流体を収容することを特徴とする。
【0009】
前記混合チャンバーは、前記試料チャンバー及び前記バッファチャンバーよりも回転体の中心から遠い位置に配され、前記廃棄チャンバー及び前記細胞溶解チャンバーよりは回転体の中心に近い位置に配されることが望ましい。前記バッファチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路は、前記混合チャンバーの出口と隣接した位置に連結される。一方、前記微細流動装置は、前記混合チャンバーより回転体の中心に近い位置に配置され、前記混合チャンバーに連結され、前記混合チャンバーに磁性ビードを供給する磁性ビードチャンバーをさらに備え、この場合、前記磁性ビードチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路に弁をさらに備える。
【0010】
前記細胞溶解チャンバーは、前記流入した流体中から磁性ビードを集め、前記細胞溶解チャンバーの出口を通じて残りの流体を排出できる。前記細胞溶解チャンバーの出口は、回転体の中心に向かって延び、流体より密度が高い磁性ビードを遠心力により前記細胞溶解チャンバー内に溜めておく。前記微細流動装置は、前記細胞溶解チャンバーに隣接して配置され、磁力により前記細胞溶解チャンバー内に磁性ビードを集める磁場形成物質をさらに備える。
【0011】
一方、前記試料チャンバー及び前記混合チャンバーに連結された通路と連結され、前記試料チャンバーに収容される試料を遠心分離してその一部を前記通路に排出する遠心分離ユニットをさらに備える。前記遠心分離ユニットは、例えば全血を血球と血漿とに分離し、上層に分離された血漿のみを試料として前記混合チャンバーに供給できる。
【0012】
前記微細流動装置において、前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を備える群から選択される。前記相転移弁は、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、前記弁プラグを通路内に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制する。このとき、前記相転移弁は、前記弁プラグに隣接して余裕空間を設け、前記弁プラグが前記通路内に配置され、前記通路が閉じた状態である時に、前記弁プラグが熱により溶融し、前記余裕空間に溶融した前記プラグが移動し、前記通路を開ける開放弁を備える。また、前記相転移弁は、前記通路と連結した弁チャンバーに前記弁プラグを配置し、前記通路が開いた状態である時に、前記弁プラグが熱により溶融及び膨脹し、前記通路に流入されて前記通路を閉める閉鎖弁を備える。
【0013】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されたものであり、前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成された群から選択される。また、前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0014】
本発明の他の側面による微細流動システムは、回転体と、微細流動装置と、回転駆動部と、外部エネルギー源と、を備え、前記微細流動装置は、前記回転体に配置され、複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送する微細流動構造物と、前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集する磁性ビードと、を備え、前記回転駆動部は、前記微細流動装置の回転体を駆動し、前記外部エネルギー源は、前記標的物質を捕集した前記磁性ビードに前記電磁波を照射し、前記微細流動装置は、前記標的物質を捕集した前記磁性ビードを洗浄及び分離し、分離された前記磁性ビードに対し外部から電磁波を照射することにより核酸を分離することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を備える群から選択される。前記相転移弁は、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、前記弁プラグを通路内に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制する。
【0016】
前記微細流動システムは、外部エネルギー源調整手段をさらに備え、前記複数の弁は、複数の相転移弁を含み、前記相転移弁は、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグと、を備え、前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制し、前記外部エネルギー源調整手段は、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整し、前記エネルギー源は、前記複数の相転移弁のうち選択された一つの相転移弁を備える領域に電磁波を照射する。前記外部エネルギー源は、レーザービームを照射するレーザー光源を含む。
【0017】
このとき、前記回転駆動部は、前記回転体を定速または定域回転させるモーターを備える。前記外部エネルギー源調整手段は、前記回転体に向かって設置された前記外部エネルギー源を前記回転体の半径方向に移動させる直線移動手段を備え、固定された外部エネルギー源から放出された電磁波を反射させる少なくとも一つの反射鏡、及び前記反射鏡の角度を調節して電磁波の経路を変更する反射鏡運動部を備えることもある。
【0018】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されたものであり、前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成された群から選択される。また、前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0019】
本発明のさらに他の側面による微細流動システムは、前述した本発明の一側面による微細流動装置(微細流動装置は、試料チャンバーと、バッファチャンバーと、混合チャンバーと、廃棄チャンバーと、細胞溶解チャンバーと、を備える)と、前記微細流動装置の回転体を駆動する回転駆動部と、前記細胞溶解チャンバーにレーザーアブレーションのための電磁波を照射する外部エネルギー源と、を備える。
【0020】
ここで、前記微細流動装置の各構成要素は、前述した特徴を有することができる。また、前記微細流動システムは、外部エネルギー源調整手段をさらに備え、前記微細流動装置は、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグと、前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制し、前記外部エネルギー源調整手段は、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整し、前記外部エネルギー源は、前記複数の相転移弁のうち選択された一つの相転移弁を備える領域に前記電磁波を照射する。
【0021】
このとき、前記回転駆動部は、前記回転体を定速または定域回転させるモーターを備える。前記外部エネルギー源調整手段は、前記回転体に向かって設置された前記外部エネルギー源を前記回転体の半径方向に移動させる直線移動手段を備える。
【0022】
前記本発明の多様な実施形態による微細流動システムを利用して試料から標的物質の核酸を抽出する方法は、試料チャンバーに注入された試料を磁性ビードが収容された混合チャンバーに移送する過程と、前記混合チャンバー内で前記磁性ビードと前記試料とを混合して前記磁性ビードの表面に標的細胞またはウイルスを捕集する過程と、前記磁性ビードと前記試料との混合液を遠心分離して上澄み液を廃棄チャンバーに排出する過程と、前記バッファチャンバーに収容されたバッファ液を前記混合チャンバーに移送し、前記磁性ビードを洗浄した後、再び遠心分離して上澄み液を廃棄チャンバーに排出し、前記混合チャンバーの出口部分に集まった磁性ビード混合流体を前記細胞溶解チャンバーに移送し、前記細胞溶解チャンバーに前記磁性ビードを溜めてレーザー(電磁波)を照射して、前記磁性ビードの表面に捕集された細胞またはウイルスを溶解させる過程と、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明による核酸抽出用の微細流動装置及び前記微細流動装置を備える微細流動システムは、前記微細流動装置に試料を注入する一回の手作業のみで、前記微細流動構造物内で短時間内に行われる一連の過程を通じて前記生体試料から特定セルを分離及び濃縮し、前記分離されたセルを溶解してPCRの可能なDNAを提供できる。したがって、熟練者の多くの手作業を必要とした従来のDNA抽出作業を非常に簡素化して手間を大きく省くことができる。また、少量の試料のみで標的物質のDNA抽出を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第1実施形態を概略的に示す平面図である。本実施形態による微細流動装置101は、対称的形状の一例であって、ディスク状を有する回転体100を備える。一つの回転体100には、一つまたは複数の微細流動構造物が設けられる。例えば、前記回転体100を複数の扇状の領域に分け、各領域に微細流動構造物が設けられる。図1は、複数の微細流動構造物が設けられた回転体100の一部分を示す図面である。図1では、上方は前記回転体100の中心部を、下方は前記回転体100の外郭部を表す。
【0026】
前記回転体100に設けられた微細流動構造物は、複数のチャンバー、それらを連結する複数の通路、及び前記複数の通路を通じた流体の流れを統制する複数の弁を備える。かかる微細流動構造物は、互いに重なって前記ディスク状の回転体100をなす二つのディスクと、前記二つのディスクが対向する面のうちいずれか一方の面に形成された立体パターンとにより提供される。前記二つのディスクのうち上部ディスクは、流体の移動や反応に対する検知可能な材料であり、特に透明な材料で生成されることが望ましい。かかる微細流動構造物を製造する方法は、本発明の技術分野で周知である。
【0027】
本実施形態による微細流動装置101において、微細流動構造物の構成を説明すれば、次の通りである。前記微細流動構造物は、流体試料を収容する試料チャンバー11と、バッファ液を収容するバッファチャンバー12と、を備える。前記試料チャンバー11及び前記バッファチャンバー12は、それぞれ注入口(図示せず)を備え、ユーザーは、前記注入口を通じて試料と適切なバッファ液とを注入できる。
【0028】
前記回転体100の中心から前記二つの試料チャンバー11及びバッファチャンバー12より遠い位置には、混合チャンバー14が配置され、前記混合チャンバー14は、前記試料チャンバー11及び前記バッファチャンバー12とそれぞれ流体移動通路であるチャンネル21、22を通じて連結される。各チャンネル21、22には、流体の流れを統制する弁31、32が設けられる。前記混合チャンバー14は、前記回転体100の中心から最も遠い側に出口を有し、前記混合チャンバー14の出口には、弁34が設けられる。前記混合チャンバー14は、回転体の中心から近い方より遠い方の断面積が狭いことが望ましい。すなわち、前記混合チャンバー14の出口の弁34に近い方の断面積が狭いことが望ましい。このために、前記混合チャンバー14の出口の弁34の内側の一部分がチャンネル形態に設けられることもある。一方、前記バッファチャンバー12と前記混合チャンバー14とを連結するチャンネル22は、前記混合チャンバー14の出口に隣接した部分に連結されうる。前記混合チャンバー14は、あらかじめ注入された磁性ビードM1を収容し、前記試料チャンバー11から試料を、前記バッファチャンバー12からバッファ液を供給されうる。
【0029】
前記回転体100の中心から前記混合チャンバー14より遠い位置には、廃棄チャンバー15が配置される。前記廃棄チャンバー15は、チャンネル25を通じて前記混合チャンバー14の出口の弁34に近い部分、すなわち前述したように断面積が狭い部分に連結される。ただし、前記チャンネル25が連結された部分と前記混合チャンバー14の出口の弁34との間には、前記混合チャンバー14に収容された磁性ビードM1が集まる程度の空間を確保することが望ましい。前記廃棄チャンバー15に連結されたチャンネル25にも、流体の流れを統制する弁35、45が設けられる。
【0030】
一方、前記回転体100の中心から前記混合チャンバー14の出口の弁34より遠い位置に、細胞溶解チャンバー16が配置される。前記細胞溶解チャンバー16は、その入口がチャンネル26を通じて前記混合チャンバー14の出口と連結される。前記細胞溶解チャンバー16の出口は、回転体100の中心に向かって延びる。この場合、前記入口を通じて流入された磁性ビードM1を遠心力により前記細胞溶解チャンバー16内に溜めておく。前記細胞溶解チャンバー16の出口は、チャンネル27を通じて他の廃棄チャンバー17に連結される。前記細胞溶解チャンバー16の入口及び出口と連結されたそれぞれのチャンネル26、27には、それぞれ弁46、47が設けられて、前記細胞溶解チャンバー16内に濃縮された磁性ビードM1が備えられた流体を溜めることができる。
【0031】
前述した二つのチャンバー15、17には、流体の流入時に排気できる排気口29がそれぞれ備えられ、かかる排気口29は、前述した他のチャンバーにも備えられる。
【0032】
前記細胞溶解チャンバー16は、表面に標的細胞またはウイルスを捕集した磁性ビードM1を溜め、外部からの電磁波の照射を伴う細胞溶解作業、例えばレーザーアブレーションによる細胞溶解作業を行う。電磁波及び磁性ビードを利用した迅速な細胞溶解は、液体培地で加熱及び電磁波によるアブレーションにより行われる。電磁波は、磁性ビードにエネルギーを供給して前記磁性ビードに付着された細胞に熱を供給すると共に、前記磁性ビードに物理的な衝撃および機械的な衝撃を加えることによって細胞を溶解させる。
【0033】
磁性ビードと電磁波とを利用した細胞溶解の大きい長所のうちの一つは、核酸分離段階を減らすことができるという点であるが、これは、かかる細胞溶解が蛋白質変性を伴うためである。変性された蛋白質及び細胞カスは、磁性ビードに再び付着され、かかる磁性ビードは、重力、遠心力または磁力により核酸抽出溶液から分離されるためである。これは、標的物質を検出する能力を高め、核酸抽出段階を一つ減らすことによって核酸抽出時間を大幅低減し、信号振幅を増大させることによってPCRを通じた分析を顕著に改善する。電磁波及び磁性ビードを利用して細胞を破壊するのに要求される時間は、約30ないし40秒である。
【0034】
レーザーアブレーションとは、レーザービームにより露出された素材に発生する現象を総称する。レーザーアブレーションにより、素材表面の温度は数百から数千℃まで急速に上昇し、素材表面の温度が蒸発点以上に上昇すれば、液体状態の材料の蒸発と共に表面での飽和蒸気圧も急速に上昇する。飽和蒸気圧は、クラウジウス・クラペイロン式により温度の関数で表され、高出力のパルスレーザー加工の場合、通常数十気圧以上まで上昇する。蒸気の噴出と共に蒸気により素材の表面に作用する圧力を反発圧力といい、反発圧力の大きさは、蒸気圧をPsatとするとき、約0.56Psatとなる。
【0035】
衝撃波は、主にパルスレーザーのように瞬間強度が非常に高いレーザー加工で発生する。数ナノ秒または数十ナノ秒間の短時間に温度が蒸発点以上に加熱された材料表面で発生した蒸気は、圧力が数気圧から数十気圧まで上昇し、周辺の大気中に膨脹しつつ衝撃波を放つ。非常に高い圧力により膨脹する蒸気は、素材にも約0.56Ps(ここで、Psは、表面での飽和蒸気圧である)の圧力が作用する。
【0036】
前記レーザーは、パルスレーザーまたは連続波動レーザーを備える。過度に低いレーザー出力では、効率的にレーザーアブレーション作業を行えず、レーザー出力は、連続波動レーザーの場合、10mW以上、パルスレーザーの場合、1mJ/パルス以上を伝達せねばならない。望ましくは、前記パルスレーザーが3mJ/パルス以上であり、連続波動レーザーが100mW以上の出力を有する。これは、連続波動レーザーの場合、10mW未満であり、パルスレーザーの場合、1mJ/パルス未満であれば、細胞を破壊する十分なエネルギーが伝達されないという問題が発生するためである。
【0037】
レーザーアブレーションによる細胞溶解を行う場合、前記レーザーは、磁性ビードが吸収する特定の波長帯で発生せねばならない。前記レーザーは、400nm以上の波長帯で発生することが望ましく、750nmないし1300nmの波長帯で発生することがさらに望ましい。これは、400nm未満の波長では、核酸の変性または損傷の問題が発生するためである。また、前記レーザーは、一つ以上の波長帯で発生しうる。すなわち、レーザーは、前記波長範囲内の一つの波長であってもよく、波長が異なる二つ以上の波長であってもよい。
【0038】
前記磁性ビードM1は、全血、唾液、小便などの生体試料から標的物質(細胞、ウイルスなどを含む)を捕集できるように、前記標的物質との特異的結合が可能な表面を有する。前記磁性ビードM1の表面は、標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物で処理される。
【0039】
前記抗体は、所望の特定の細胞またはウイルスのみを選択的に捕集できるため、非常に低い濃度の細胞またはウイルスを検出しようとする場合に有効である。細胞またはウイルスに特異的に結合できる抗体が結合された磁性ビードは、Invitrogen、Qiagen社などで市販しており、その例は、Dynabeads(商標登録)Genomic DNA Blood(Invitrogen)、Dynabeads(商標登録)anti−E.coli O157(Invitrogen)、CELLectionTM Biotin Binder Kit(Invitrogen)、MagAttract Virus Min M48 Kit(Qiagen)などがある。前記特定の抗体が結合された磁性ビードを利用して、ジフテリア毒素、エンテロコッカスフェシウム、ヘリコバクターピロリ、HBV、HCV、HIV、インフルエンザA、インフルエンザB、リステリア、肺炎マイコプラズマ、シュードモナス種、ルベラウイルス、ロタウイルスなどを分離できる。
【0040】
前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、FeまたはHfOなどであるが、これらに限定されない。前記金属酸化物は、望ましくは、AlまたはTiOであり、さらに望ましくは、Alである。前記金属酸化物の蒸着は、PVD(Physical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、ゾルゲル法などにより行われる。磁性ビードの表面に金属酸化物を蒸着する方法は、公知の技術であって、一般的にPVD、ALD、ゾルゲル法などにより行われる。
【0041】
前記磁性ビードM1のサイズは、50nmないし1,000μmであることが望ましく、さらに望ましくは、1μmないし50μmである。また、前記磁性ビードM1は、二つ以上のサイズを有するビードで混合されうる。すなわち、前記磁性ビードM1は、同じサイズであってもよく、異なるサイズを有する磁性ビードの混合物であってもよい。
【0042】
前記磁性ビードM1の材料としては、磁性を有するものであれば、いずれも可能である。特に、強磁性を有するFe、Ni、Crの金属及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含む。
【0043】
図2は、本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第2実施形態を概略的に示す平面図である。本実施形態による微細流動装置102は、図1の実施形態による微細流動装置101とほぼ同じである。ただし、前記混合チャンバー14より回転体100の中心に近い位置に磁性ビードM1を収容する別途の磁性ビードチャンバー13をさらに備え、前記磁性ビードチャンバー13と前記混合チャンバー14とを連結するチャンネル23に設けられた弁33を開放して、前記磁性ビードM1を前記混合チャンバー14に供給する構成を有するという点で差がある。ここで、前記磁性ビードM1は、所定の流体に分散された形態で前記磁性ビードチャンバー13に注入されることが望ましい。
【0044】
図3は、本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第3実施形態を概略的に示す平面図である。本実施形態による微細流動装置103は、図2の実施形態による微細流動装置102とほぼ同じである。ただし、前記試料チャンバー11の出口と前記混合チャンバー14との間に遠心分離ユニット18をさらに備える。前記遠心分離ユニット18は、前記試料チャンバー11の出口から回転体100の外側に延びた上澄み液チャンネル182と、前記上澄み液チャンネル182の端部に幅が拡張された沈殿物収集部181と、を備え、前記上澄み液チャンネル182の一部分が弁31及びチャンネル21を通じて前記混合チャンバー14に連結される。
【0045】
例えば、前記試料チャンバー11に全血を注入し、前記回転体100を回転させれば、重い血球は、前記沈殿物収集部181に収集され、前記上澄み液チャンネル182は、ほとんど血漿で満たされる。このとき、前記混合チャンバー14に連結されたチャンネル21の弁31が開放されれば、前記上澄み液チャンネル182中で前記チャンネル21と連結された部分より回転の中心に近い部分に満たされていた血漿が前記混合チャンバー14に移送される。本実施形態による微細流動装置103は、前記遠心分離ユニット18により最終的な核酸抽出液にPCR阻害要素が混入される可能性をあらかじめ低減できる。
【0046】
図4は、本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第4実施形態を概略的に示す平面図である。本実施形態による微細流動装置104は、図3の実施形態による微細流動装置103とほぼ同じである。ただし、前記細胞溶解チャンバー16に隣接して配置されて、磁力により前記細胞溶解チャンバー16内に磁性ビードM1を集める磁石231をさらに備えるという点で差がある。
【0047】
前記磁石231は、前記微細流動装置104の回転体100の底面、上面または両面に配置される。また、前記磁石231は、前記回転体100に対して固定して配置されることもあり、移動可能であるが、必要な時期に前記細胞溶解チャンバー16に隣接して位置できるように設置されることもある。前記のような条件下で、前記磁石231は、前記回転体100の半径方向に移動でき、速く振動することもできる。レーザーアブレーションによる細胞溶解時に前記磁石231が振動することによって、前記細胞溶解チャンバー16内の磁性ビードM1を振動させ、これを通じて細胞溶解作業の効率性をさらに向上させる。
【0048】
以上の実施形態についての説明で言及されたもしくは以下の説明で言及される複数の弁30、31、32、33、34、35、40、45、46、47は、毛細管弁、疎水性弁、機械的弁及び相転移弁を備える群から選択される。前記複数の弁は、望ましくは、外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制する相転移弁である。
【0049】
このとき、前記相転移弁は、前記弁プラグに隣接して余裕空間を設け、前記弁プラグが前記通路内に配置され、前記通路が閉じた状態である時に、前記弁プラグが熱により溶融し、前記余裕空間に移動し、前記通路を開ける開放弁を備える。また、前記相転移弁は、前記通路と連結した弁チャンバーに前記プラグを配置し、前記通路が開いた状態である時に、前記弁プラグが熱により溶融及び膨脹し、前記通路に流入し、前記通路を閉める閉鎖弁を備えることもできる。
【0050】
図5は、本発明による微細流動装置で流体の流れを制御する開放弁の例を示す平面図であり、図6は、図5に示した開放弁の初期及び開けられた状態をそれぞれ示す断面図である。
【0051】
前述した微細流動装置101ないし104には、流体の流れを制御する弁ユニットが備えられる。弁ユニットの一例である開放弁30は、常温で固体状態の弁物質からなる弁プラグ301を備える。前記弁物質としては、常温で固体状態の相転移物質である分散媒に発熱粒子が分散されている材料を使用できる。前記固体状態の弁プラグ301が配置された初期位置に隣接したチャンネル20の上流及び下流には、その幅または深さが拡張されて余裕空間を提供する一対のチャンネル拡張部302が配置される。
【0052】
前記弁プラグ301は、常温で開口部301Aを中心にチャンネル20の所定部分を完全に塞いで入口I側から流入される流体サンプルFの流れを遮断する。前記弁プラグ301は、高温で溶融されて前記チャンネル20の上下流側に流れ、隣接して配置されたチャンネル拡張部302に移動して、流体サンプルFの流路を開放した状態で再び凝固する。前記開口部301Aは、微細流動装置の製作時に溶融された弁物質を投入して弁プラグ301を形成する注入口の役割も担う。
【0053】
前記弁プラグ301に熱を加えるために、前記微細流動装置101ないし104の外部には、外部エネルギー源60が配置され、前記外部エネルギー源60が前記弁プラグ301の初期状態、すなわち前記開口部301Aとその周辺とを含む領域に電磁波を照射する。このとき、前記外部エネルギー源60は、例えばレーザービームを照射するレーザー光源であり、その場合、少なくとも一つのレーザーダイオードを備える。前記レーザー光源は、パルスレーザーを照射する場合、1mJ/pulse以上のエネルギーを有するパルスレーザーを、連続波動レーザーを照射する場合、10mW以上の出力を有する連続波動レーザーを照射する。
【0054】
後ほど図9ないし図12で示される実験を参照すると、808nm波長のレーザーを照射するレーザー光源を使用したが、必ずしもこの波長のレーザービームを照射するものに限定されるものではなく、400ないし1300nmの波長を有するレーザーを照射するレーザー光源であれば、前記微細流動システムの外部エネルギー源60として採用されうる。
【0055】
前述したチャンネル20は、回転体をなす上板110または下板120の内面に形成された立体パターンにより提供される。前記上板110は、外部エネルギー源(図示せず)から照射される電磁波が前記弁プラグ301に入射されるように透過させ、外部で流体サンプルFを観測可能にする光学的に透明な材料で生成されることが望ましい。その例として、ガラスまたは透明なプラスチック素材は、光学的な透明性に優れ、製造コストが安いという点で有利である。
【0056】
前記チャンネル20と一対のチャンネル拡張部302とは、互いに接合された上板110及び下板120を備えてなる回転体100に形成される。上板110と下板120との接合方法は、接着剤や両面接着テープを利用してもよく、超音波融着を行ってもよい。具体的に、前記下板120に前記チャンネル20及び一対のチャンネル拡張部302が陰刻パターンで形成され、前記上板110には、前記チャンネル20中で前記一対のチャンネル拡張部302の間に弁物質を注入するための開口部301Aが形成されている。前記チャンネル20は、幅が約1mm、深さが約0.1mmである微細チャンネルである。前記チャンネル拡張部302は、約3mmの深さを有するように形成される。
【0057】
前記弁プラグ301に分散された発熱粒子は、数千μmの幅を有するチャンネル20内で自由に流動可能な1nmないし100μmの直径を有しうる。前記発熱粒子は、レーザーが照射されれば、その放射エネルギーにより温度が急激に上昇して発熱する性質を有し、ワックスに均一に分散される性質を有する。かかる性質を有するように、前記発熱粒子は、金属成分を含むコアと、疎水性を有するシェルと、を備える構造を有する。例えば、前記発熱粒子は、強磁性物質であるFeからなるコアと、前記Feに結合されてFeを取り囲む複数の界面活性成分からなるシェルと、を備えた構造を有しうる。通常、前記発熱粒子は、キャリアオイルに分散された状態で保管される。疎水性の表面構造を有する前記発熱粒子が均一に分散されるように、キャリアオイルも疎水性であることが望ましい。ワックスに前記発熱粒子が分散されたキャリアオイルを注いで混合することによって、前記弁プラグ301の素材を製造できる。前記発熱粒子の粒子形態は、前記例として挙げた形態に限定されるものではなく、重合体ビード、クァンタムドット、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、金属化合物ビード、炭素粒子または磁性ビードであってもよい。前記炭素粒子には、黒鉛粒子も含まれる。
【0058】
前記弁物質をなす相転移物質は、ワックスでありうる。前記発熱粒子が吸収した電磁波のエネルギーを熱エネルギーの形態に周囲に伝達すれば、ワックスは、これにより溶融されて流動性を有し、これにより弁プラグ301が崩壊し、流体サンプルFの流路が開放される。前記弁プラグ301を構成するワックスは、適当な溶融点を有することが望ましい。溶融点が高すぎれば、レーザー照射を始めてから溶融されるまで長時間かかってしまい、開放時点の精密な制御が困難になり、逆に溶融点が低すぎれば、レーザーが照射されていない状態でも部分的に溶融されてしまい、流体サンプルFが漏れることもあるためである。前記ワックスとしては、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックスまたは天然ワックスなどが採用される。
【0059】
一方、前記相転移物質は、ゲルまたは熱可塑性樹脂でありうる。前記ゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリビニルアミドなどが採用される。また、前記熱可塑性樹脂としては、COC(cyclic olefin copolymer)、PMMA(polymethylmethacrylate)、PC(polycarbonate)、PS(polystyrene)、POM(polyoxymethylene)、PFA(perfluoralkoxy)、PVC(polyvinylchloride)、PP(polypropylene)、PET(polyethylene terephthalate)、PEEK(polyetheretherketone)、PA(polyamide)、PSU(polysulfone)、またはPVDF(polyvinylidene fluoride)などが採用される。
【0060】
図7は、本発明による微細流動装置で流体の流れを制御する閉鎖弁の例を示す平面図であり、図8は、図7に示した閉鎖弁の断面図である。
【0061】
前記弁ユニットの他の例である閉鎖弁40は、入口Iと出口Oとを有するチャンネル20と、前記チャンネル20の中間に連結された弁チャンバー402と、初期状態は、前記弁チャンバー402内に常温で固体状態として充填されていて、加熱されれば、溶融及び膨脹され、前記チャンネル20に流入し、再び凝固し、前記チャンネル20を通じた流体の流れを遮断する弁物質Vと、を備える。ここで、前記閉鎖弁40は、前述した微細流動装置101ないし104の微細流動構造物をなす基礎ユニットのうち一つであって、前記入口Iと出口Oとは、異なる基礎ユニットにそれぞれ連結され、前記チャンネル20は、前記ユニットの間で流体サンプルFを移動可能にする通路の役割を行う。
【0062】
前記閉鎖弁40の構造物も、前述した開放弁30と同様に、微細流動装置101ないし104の回転体100をなす上板110または下板120の内面に形成された立体パターンにより提供される。ただし、前記弁チャンバー402は、前記チャンネル20の深さより深く、前記開放弁30のチャンネル拡張部302より浅い深さ、例えば1mm程度の深さを有するように形成される。前記上板110は、外部エネルギー源(図示せず)から照射される電磁波を透過させ、外部で流体サンプルFを観測可能にするために、光学的に透明な材料で生成されることが望ましい。また、前記上板110は、前記電磁波(例えば、レーザービーム)を前記弁プラグにさらに効率よく入射できるように、前記弁チャンバー402に対応する開口部401Aを有してもよい。前記開口部401Aは、微細流動装置101ないし104の製作時に弁物質を投入する注入口の役割も行う。
【0063】
前記弁物質Vをなす相転移物質Pと発熱粒子M2に関する事項は、開放弁30の例を通じて説明した通りである。また、前記弁物質Vに電磁波を提供する外部エネルギー源60に関する事項も前述した通りである。分散媒である相転移物質Pと発熱粒子M2とを含む弁物質Vにレーザービームが照射されれば、前記発熱粒子M2がエネルギーを吸収して前記相転移物質Pを加熱させる。これにより、前記弁物質Vは、溶融されつつ体積が膨脹し、連結された通路403を通じて前記チャンネル20に流入される。前記チャンネル20内で流体サンプルFと接触しつつ再び凝固された弁物質Vは、弁プラグをなし、前記チャンネル20を通じた流体サンプルFの流れを遮断する。
【0064】
前述した弁ユニットの反応時間を測定した実験の結果は、次の通りである。実験のためのテストチップにおいて、作動流体の圧力は46kPaに維持した。圧力維持のために、シリンジポンプ(Havard PHD2000,USA)と圧力センサー(MPX 5500DP,Freescale semiconductor Inc.,AZ,USA)とを使用した。前記弁ユニットに電磁波を照射する外部エネルギー源としては、放出波長が808nmであり、出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。弁ユニットの反応時間に関するデータは、高速撮影装置(Fastcam−1024,Photron,CA,USA)の結果物分析を通じて得た。前記弁物質としては、発熱粒子である平均直径10nmの磁性ビードがキャリアオイルに分散された、いわゆる磁性流体とパラフィンワックスとが1対1の割合で混合された、すなわち磁性流体の体積比が50%である磁性ワックスを使用した。
【0065】
図9は、前記開放弁の作動形態を示す一連の高速撮影写真である。前記開放弁の弁プラグにレーザービームを照射し始めてから、前記弁プラグが溶融されてチャンネルが開けられるまでの反応時間は0.012秒であった。
【0066】
図10は、前記閉鎖弁の作動形態を示す一連の高速撮影写真である。前記閉鎖弁の弁物質にレーザービームを照射し始めてから、前記弁物質が溶融及び膨脹し、チャンネルを閉めるまでの反応時間は0.444秒であった。従来のワックス弁の反応時間が2ないし10秒であった点と比較すれば、はるかに速い反応時間であるということが分かる。
【0067】
図11は、前記開放弁で弁プラグに含まれる磁性流体の体積比と弁の反応時間との関係を示すグラフである。磁性流体の体積比が大きくなるにつれて、反応時間が短くなる推移を示す。しかし、これと別途に、磁性流体の体積比が0.7(70%)以上に大きくなれば、弁プラグの最大許容圧力が低くなる傾向がある。したがって、前記弁ユニットで弁物質に含まれる磁性流体の体積比は、反応時間への要求と最大許容圧力への要求との折衝により決まりうる。
【0068】
図12は、前記開放弁で外部エネルギー源として使われるレーザー光源の出力と弁の反応時間との関係を示すグラフである。出力が高くなるほど、反応時間が短くなる推移を示す。しかし、レーザー光源の出力が1.5Wに近接すれば、反応時間の変化が緩慢になり、(グラフに示していないが)1.5Wを超えれば、所定の最小反応に収束する。パラフィンワックスを通した熱伝導率の制約があるためである。前記実験では、かかる理由により、出力が1.5Wであるレーザー光源を使用した。しかし、本発明の外部エネルギー源がこれに限定されるものではない。
【0069】
図13は、図4の実施形態による微細流動装置の分解斜視図である。本実施形態による微細流動装置104は、上部ディスク110、下部ディスク120、及び上部ディスク110と下部ディスク120とを互いに付着させる両面接着シート115から構成される。上部ディスク110及び下部ディスク120は、透明なプラスチック板、例えばポリカーボネート板で設けられる。
【0070】
前記上部ディスク110には、その上下面を貫通する複数の注入口111と、複数の穿孔部110Aとが設けられる。前記複数の注入口111は、前述した試料チャンバー、磁性ビードチャンバー及びバッファチャンバーに対応する位置にそれぞれ設けられ、前記複数の穿孔部110Aは、前述した複数の相転移弁で弁プラグの初期位置に対応して設けられる。
【0071】
前記下部ディスク120には、所定の深さほど掘られて前記上部ディスク110と共にチャンバー構造を形成する複数の溝127が設けられる。前記所定の深さは、例えば3mmでありうる。また、前記下部ディスク120には、上部ディスク110と共に前述したチャンネル拡張部302及び弁チャンバー402をなす陰刻構造物がさらに設けられる。
【0072】
前記両面接着シート115は、従来に知られた商用の両面接着テープで作られる。例えば、Flexmount DFM 200 Clear V−95150 POLY H−9V−96 4,FLEXcon Inc.,MA,USAで作られる。両面接着シート115には、前記複数の溝127に対応する複数のチャンバー輪郭117が設けられ、図4で説明されたチャンネルにそれぞれ対応するチャンネル輪郭116が設けられる。前記チャンネル輪郭116は、その幅が1mmでありうる。前述した商用の両面接着テープの厚さは100μmであるので、この場合、前記上部ディスク110、下部ディスク120及び両面接着シート115により形成されたチャンネルの深さは100μmである。チャンネルの深さは、前記両面接着シート115の厚さ選択によって容易に変更される。
【0073】
前述した注入口111、穿孔部110A、溝127及びチャンネル輪郭116などの構造物は、既存のCNC(Computer Numerical Control)加工により前記上部ディスク110、下部ディスク120及び両面接着シート115それぞれに形成される。
【0074】
前述した微細流動装置の具体的な構造及び規格は、一つの例に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、前記上部ディスク110と下部ディスク120とは、両面接着シート115により接合される代わりに、サーマルボンディング、低温ボンディング、化学接着剤によるボンディングまたは超音波ボンディングのように多様なプラスチックボンディング方法により接合される。前記チャンネル及びチャンバーの規格は、微細流動装置104の全体のサイズ及び処理しようとするサンプルの容量などによってさらに大きくなるか、または小さくなる。また、前述した実施形態では、微細流動構造物が一つの層に設けられたが、微細流動装置が複数の層から形成され、各層にチャンネル及びチャンバーなどを備える微細流動構造物が設けられることも可能である。
【0075】
図14A及び図14Bは、磁石位置制御装置が付加された本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第5実施形態を示す図面である。本実施形態によれば、図4に示したような微細流動装置の下で第1磁石230の位置を制御することによって、前記微細流動装置内で磁性ビードを移動させるか、またはトラッピング可能にする磁石位置制御装置が備えられる。かかる磁石位置制御装置の一部構成要素は、図13に示したように組み立てられた微細流動装置で下部ディスク120の底層に一体に備えられる。
【0076】
磁石位置制御装置は、その内部に第1磁石230を収容し、前記第1磁石230の移動経路を案内するガイドレール210、及び前記第1磁石230の移動経路中で回転の中心から最も近い位置に対応する前記微細流動装置の外部に配置された第2磁石231を備える。微細流動装置が回転するとき、前記ガイドレール210内の第1磁石230には、半径の外側方向の遠心力と前記第2磁石231による磁力(引力)とが作用し、第1磁石230は、前記二つの力が平衡をなす位置に移動する。前記第1磁石230と第2磁石231とは、永久磁石であって、互いに引力が作用するように配置されたものである。前記第1磁石230及び第2磁石231としては、永久磁石の一例として、いわゆるネオジウム磁石(Nd−Fe−B、JungWoo、Korea)が採用される。
【0077】
図14Aは、微細流動装置が時計回り方向に回転する場合を示す。微細流動装置が約480rpmの速度で回転すれば、前記第1磁石230がB位置に移動し、前記微細流動装置が約180rpmの速度で回転すれば、前記第1磁石230がA位置に移動する。前記第1磁石230をB位置からA位置に移動させることによって、遠心力により混合チャンバー14内で狭い出口の弁34の内側に集まっている磁性ビードを再び前記混合チャンバー14の広い部分に引き上げる(もどす)ことができる。
【0078】
図14Bは、微細流動装置が逆時計回り方向に回転する場合を示す。微細流動装置が約480rpmの速度で回転すれば、前記第1磁石230がC位置に移動し、微細流動装置の回転速度が約600rpmを超えれば、遠心力が磁力を勝って前記第1磁石230をD位置まで移動させる。かかる第1磁石230の移動を利用して、微細流動装置で遠心力により前記混合チャンバー14の内部からチャンネル26を通じて移動してきた磁性ビードを細胞溶解チャンバー16に集束させる。
【0079】
以上、ガイドレールの形状は、微細流動装置内でのチャンバー及びチャンネルの配置形態及び磁性ビードを備える流体の移動順序などによって変わりうる。したがって、前記ガイドレールは、回転体の中心からの距離が異なる任意の位置を連結し、前記第1磁石230の移動を可能にする通路であれば十分である。
【0080】
図15Aないし図15Kは、図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。以下の説明を通じて、本発明による微細流動装置の特徴をさらに明確に理解できるであろう。
【0081】
実験に先立って、磁性ビードM1を準備する。
【0082】
1)磁性ビード及び表面改質のための抗体を準備
ビオチンが付着されたB型肝炎ウイルス表面の抗原に特異的親和性を有する二次抗体(Virostat、1817、host animal:rabbit)溶液を10μl準備する。
【0083】
2)磁性ビードの洗浄
ストレプトアビジンでラベリングされた直径1.0μmのDynabeads(商標登録)Streptavidin C1 100μlを混合して、均質溶液を製造した。製造された溶液100μlをチューブに入れ、磁石に置いて2分間放置した。ピペットで上澄み液を取って除去した。チューブを磁石から取り出し、緩衝液1(0.1%のBSAを含むPBS、pH7.4)を100μl添加して混合した。再び磁石に置いて2分間放置した。ピペットで上澄み液を取って除去した。チューブを磁石から取り出し、緩衝液1(0.1%のBSAを含むPBS、pH7.4)を100μl添加して混合した。
【0084】
3)抗体を利用したビードの予備コーティング
前記のように準備されたビード溶液100μlにビオチンが付着されたHBV二次抗体(Virostat、1817)8μgを入れて混合した。数回ひっくり返して混合しつつ室温で30分間インキュベーションした。磁石を利用して磁性ビードを2分間集め、上澄み液を除去した。洗浄緩衝液(1%のBSAを含むPBS、pH7.4)を2ml添加して数回ひっくり返して混合した。磁石を利用してビードを1分間集め、上澄み液を除去した。緩衝液1(0.1%のBSAを含むPBS、pH7.4)を100μl添加し、予備コーティングされた磁性ビードを再懸濁した。
【0085】
前記のような過程で準備された磁性ビードM1と図4の実施形態による微細流動装置104とを利用して、血液サンプルからHBVのDNAを抽出する実験を次のように進めた。
【0086】
まず、試料チャンバー11にHBVがスパイクされた血液100μlを、磁性ビードチャンバー13には表面に抗体が付着された磁性ビードM1溶液100μlを、バッファチャンバー12にはPBSバッファ液100μlをそれぞれ注入し(図15A参照)、回転体100を回転させつつ遠心分離ユニット18を利用して前記血液サンプルを遠心分離する(図15B参照)。
【0087】
次いで、前記遠心分離ユニット18と混合チャンバー14との間の弁31を開けて分離された血漿30μlを前記混合チャンバー14に移送する一方(図15C参照)、前記磁性ビードチャンバー13と混合チャンバー14との間の弁33を開けて磁性ビードM1溶液も前記混合チャンバー14に移送する(図15D参照)。
【0088】
回転体100を両方向に交互に5分間回転させつつ、前記磁性ビードM1を血漿と混合し、前記磁性ビードM1の表面に標的細胞であるHBVを捕集する(図15E参照)。次いで、回転体100を再び一方向に回転させて、磁性ビードM1を前記混合チャンバー14の出口側に集束する(図15F参照)。
【0089】
前記混合チャンバー14と廃棄チャンバー15との間の開放弁35を開けて、上澄み液(HBVが分離されて残った残余血漿)を前記廃棄チャンバー15に排出し(図15G参照)、前記開放弁35と同じチャンネル25に配置された閉鎖弁45を閉める(図15H参照)。次いで、前記バッファチャンバー12と混合チャンバー14との間の開放弁32を開けて、前記バッファ液を前記混合チャンバー14に移送する(図15I参照)。
【0090】
再び前記回転体100を両方向に交互に20秒間回転させつつ、前記バッファ液で前記磁性ビードM1を洗浄する。次いで、前記混合チャンバー14の出口に設けられた開放弁34を開け、前記混合チャンバー14内の磁性ビードM1を含む流体を細胞溶解チャンバー16に移送する(図15J参照)。前記流体は、前記二つのチャンバー14、16の間のチャンネル26と前記細胞溶解チャンバー16とを経て他の廃棄チャンバー17に移送され、その過程で前記表面にHBVを捕集した磁性ビードM1は、遠心力及び磁力により前記細胞溶解チャンバー16内に残される(図15K参照)。
【0091】
次いで、前記細胞溶解チャンバー16の前後の閉鎖弁46、47を閉め、前記細胞溶解チャンバー16にレーザービームを照射してレーザーアブレーションを行う。このとき、前述したように、前記磁性ビードM1の表面に付着されたHBVを破壊し、DNAを取り出し、HBVの破壊時に発生した残りカスは、再び磁性ビードM1の表面に付着される。したがって、前記細胞溶解を終えた前記細胞溶解チャンバー16では、直ちにPCRを行える程度のDNAが提供される。
【0092】
図16は、図4の実施形態による微細流動装置を利用して、血液サンプルから抽出されたHBVのDNAでリアルタイムPCRを行った結果を示す図面である。図15Aないし図15Kで示したような実験を5回行い、それぞれの結果物を用いてリアルタイムPCRを行った結果を示す。結果が安定的であるだけでなく、熟練者の手作業による結果と比較しても遜色ないということを確認できる。
【0093】
図17は、本発明による微細流動システムの構成を概略的に示す斜視図である。本発明による微細流動システム105は、前記回転体100上に設けられたものであって、前述した多様な実施形態による微細流動装置、前記回転体100を回転させる回転駆動部50、及び前記回転体100上の選択された領域にレーザービームを照射できるレーザー光源60を備える。一方、前記微細流動装置でなされる反応の中間産物または結果物を光学的に観測できる光検出部70をさらに備えることもできる。
【0094】
前記レーザー光源60は、前述したレーザーアブレーションに使われるものであって、少なくとも一つのレーザーダイオードを含み、前述した出力、波長などの条件を満足すべきものであれば十分である。また、前記微細流動装置に磁性ビードなどの発熱粒子を含む相転移弁が採用された場合には、前記相転移弁を作動させるためにも使われる。
【0095】
前記微細流動システム105は、前記レーザー光源60の位置または方向を調整して、これから照射されたレーザービームが前記回転体100上の所望の領域に、具体的には、前記微細流動装置に備えられた複数の相転移弁31または細胞溶解チャンバーのうち選択されたものに該当する領域に集中的に達させるレーザー光源調整手段(図示せず)を備える。
【0096】
図17のシステム105において、外部エネルギー源調整手段(図示せず)は、回転体100に向かって設置された前記レーザー光源60をその上に表示された矢印方向、すなわち回転体100の半径方向に移動できる。前記レーザー光源60を直線移動させるメカニズムは、多様に提供され、当業者に自明なものであるので、本明細書ではそれについての説明を省略する。
【0097】
一方、前記微細流動システム105は、前記回転体101を駆動する回転駆動部50を備える。図示した回転駆動部50は、前記回転体100を載置させ、回転力を伝達するための装置の一部分であり、図示していないが、前記回転体100を定速または定域回転させるモーター及びそれと関連した部品を備えうる。前記回転駆動部50についての具体的な構成の例は、本明細書で省略する。図17のシステム105において、前記レーザー光源60は、前記レーザー光源調整手段(図示せず)と前記回転駆動部50との助けにより、レーザービームを前記微細流動装置の回転体100上で選択された領域に集中的に照射できる。
【0098】
例えば、現時点において作動させたい相転移弁31が選択された場合、レーザー光源60を照準し始める現時点における前記相転移弁31の位置と、現時点のレーザー光源60の位置との偏差Δ(r、θ)を求める。そして、回転駆動部50を利用して前記回転体100をΔθ定域回転させ、前記レーザー光源調整手段(図示せず)を利用して前記レーザー光源60を前記回転体100の半径方向にΔr移動させる。
【0099】
前記微細流動装置の回転体100の下部には、第2磁石231が配置されうる。前記第2磁石231は、微細流動装置内の磁性ビードに直接的に影響を及ぼすか、または図14A及び図14Bに示した実施形態のように、微細流動装置の下部に磁石位置制御装置(図示せず)が備えられた場合、第1磁石230を通じて磁性ビードに間接的に影響を及ぼす。前記第2磁石231は、回転体100の半径方向に動くように設置される。
【0100】
以上、本発明による望ましい実施形態が説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、微細流動システム関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第1実施形態を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第2実施形態を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第3実施形態を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第4実施形態を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明による微細流動装置で流体の流れを制御する開放弁の例を示す平面図である。
【図6】図5に示した開放弁の初期及び開けられた状態をそれぞれ示す断面図である。
【図7】本発明による微細流動装置で流体の流れを制御する閉鎖弁の例を示す平面図である。
【図8】図7に示した閉鎖弁の断面図である。
【図9】前記開放弁の作動形態を示す一連の高速撮影写真である。
【図10】前記閉鎖弁の作動形態を示す一連の高速撮影写真である。
【図11】前記開放弁で弁プラグに含まれた磁性流体の体積比と弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図12】前記開放弁で外部エネルギー源として使われたレーザー光源のパワーと弁反応時間との関係を示すグラフである。
【図13】図4の実施形態による微細流動装置の分解斜視図である。
【図14A】磁石位置制御装置が付加された本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第5実施形態を示す図面である。
【図14B】磁石位置制御装置が付加された本発明による核酸抽出用の微細流動装置の第5実施形態を示す図面である。
【図15A】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15B】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15C】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15D】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15E】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15F】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15G】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15H】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15I】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15J】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図15K】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルからHBVのDNAを抽出する過程を示す図面である。
【図16】図4の実施形態による微細流動装置を利用して血液サンプルから抽出されたHBVのDNAでリアルタイムPCRを行った結果を示す図面である。
【図17】本発明による微細流動システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0103】
11 試料チャンバー、
12 バッファチャンバー、
13 磁性ビードチャンバー、
14 混合チャンバー、
15、17 廃棄チャンバー、
16 細胞溶解チャンバー、
20、21、22、23、25、26、27 チャンネル、
29 排気口、
30、31、32、33、34、35 開放弁、
40、45、46、47 閉鎖弁、
50 回転駆動部、
60 外部エネルギー源、
70 光検出部、
100 回転体、
101 微細流動装置、
231 磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
微細流動構造物と、
磁性ビードと、
を備える微細流動装置であって、
前記微細流動構造物は、
前記回転体に配置され、
複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、を備え、
前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送し、
前記磁性ビードは、
前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、
該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集し、
前記微細流動構造物は、
前記標的物質を捕集した前記磁性ビードを洗浄及び分離し、
前記磁性ビードに対し外部から電磁波を照射することにより核酸を分離することを特徴とする遠心力基盤の微細流動装置。
【請求項2】
前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項3】
前記相転移弁は、
外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、
前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制することを特徴とする請求項2に記載の微細流動装置。
【請求項4】
前記標的物質は、細胞と、ウイルスと、細胞やウイルスから抽出される少なくとも一つの生体分子からなる生体物質と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項5】
前記生体物質は、核酸であることを特徴とする請求項4に記載の微細流動装置。
【請求項6】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項7】
前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、FeO4及びHfOで構成される群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の微細流動装置。
【請求項8】
前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項9】
前記回転体は、二枚のディスクを備え、前記二枚のディスクは互いに重ねる構造をしており、
前記微細流動構造物は、前記二枚のディスク間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の微細流動装置。
【請求項10】
回転体と、
微細流動構造物と、
磁性ビードと、
を備える微細流動装置であって、
前記微細流動構造物は、
前記回転体に配置され、
複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、を備え、
前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送し、
前記磁性ビードは、
前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、
該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集し、
前記複数のチャンバーは、試料チャンバーと、バッファチャンバーと、混合チャンバーと、廃棄チャンバーと、細胞溶解チャンバーと、を含み、
前記試料チャンバーは、試料を収容し、
前記バッファチャンバーは、バッファ液を収容し、
前記混合チャンバーは、磁性ビードを収容し、前記試料チャンバー及びバッファチャンバーと通路で連結され、前記それぞれの通路に配置される弁の統制によって流入される前記試料と前記バッファ液とを収容し、前記回転体の中心から最も遠い位置に弁を備える出口を有し、前記磁性ビードと前記試料との反応及び前記バッファ液を利用した前記磁性ビードの洗浄を行い、
前記廃棄チャンバーは、前記混合チャンバーの出口に隣接して回転体の中心に近い位置と通路で連結され、前記通路に配置された弁の統制によって前記混合チャンバーから排出される流体を収容し、
前記細胞溶解チャンバーは、前記混合チャンバーの出口と通路で連結され、前記混合チャンバーの出口から排出される前記磁性ビードを含んだ流体を収容することを特徴とする微細流動装置。
【請求項11】
前記混合チャンバーは、
前記試料チャンバー及び前記バッファチャンバーよりも回転体の中心から遠い位置に配され、
前記廃棄チャンバー及び前記細胞溶解チャンバーよりは回転体の中心に近い位置に配されることを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項12】
前記バッファチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路は、前記混合チャンバーの出口と隣接した位置に連結されることを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項13】
前記混合チャンバーより回転体の中心に近い位置に配され、前記混合チャンバーに連結され、前記混合チャンバーに磁性ビードを供給する磁性ビードチャンバーをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項14】
前記磁性ビードチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路に弁をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の微細流動装置。
【請求項15】
前記細胞溶解チャンバーは、
前記流入した流体中から磁性ビードを集め、
前記細胞溶解チャンバーの出口を通じて残りの流体を排出することを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項16】
前記細胞溶解チャンバーの出口は、
回転体の中心に向かって延び、
流体より密度が高い磁性ビードを遠心力により前記細胞溶解チャンバー内に溜めることを特徴とする請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項17】
前記細胞溶解チャンバーに隣接して配置され、磁力により前記細胞溶解チャンバー内に磁性ビードを集める磁場形成物質をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の微細流動装置。
【請求項18】
前記試料チャンバー及び前記混合チャンバーに連結される通路と連結され、前記試料チャンバーに収容される試料を遠心分離してその一部を前記通路に排出する遠心分離ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項19】
前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を備える群から選択されたことを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項20】
前記相転移弁は、
外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、
前記弁プラグを通路内に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制することを特徴とする請求項19に記載の微細流動装置。
【請求項21】
前記相転移弁は、
前記弁プラグに隣接して余裕空間を設け、
前記弁プラグが前記通路内に配置され、前記通路が閉じた状態である時に、
前記弁プラグが熱により溶融し、前記余裕空間に溶融した前記プラグが移動し、前記通路を開ける開放弁を備えることを特徴とする請求項20に記載の微細流動装置。
【請求項22】
前記相転移弁は、
前記通路と連結した弁チャンバーに前記弁プラグを配置し、前記通路が開いた状態である時に、
前記弁プラグが熱により溶融及び膨脹し、前記通路に流入し、前記通路を閉める閉鎖弁を備えることを特徴とする請求項20に記載の微細流動装置。
【請求項23】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されたことを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項24】
前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成された群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の微細流動装置。
【請求項25】
前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項26】
ガイドレールと、
第1磁石と、
第2磁石と、
を更に備える微細流動装置であって、
前記ガイドレールは、
前記回転体の前記微細流動構造物が設けられたディスクと他のディスクとに一体に形成され、
回転軸からの距離が異なる任意の位置を連結する通路形態を有し、
前記第1磁石は、前記ガイドレールの前記通路形態が形成する領域の内部を移動することが可能であり、
前記第2磁石は、
前記回転体の外部に配置され、
前記ガイドレールの前記通路形態が形成する領域の内部の前記回転体の中心に最も近い位置に少なくとも一時的に固定して配置されることを特徴とする請求項10に記載の微細流動装置。
【請求項27】
前記第1磁石及び前記第2磁石は、互いに引力が作用するように配置されることを特徴とする請求項26に記載の微細流動装置。
【請求項28】
前記ガイドレールは、前記回転体の中心からから離れた二つの領域を繋ぐ通路形状を含むことを特徴とする請求項26に記載の微細流動装置。
【請求項29】
前記ガイドレールは、前記混合チャンバーの出口と前記細胞溶解チャンバーとにそれぞれ対応する位置を連結する二つの領域を形成する通路形状を有することを特徴とする請求項26に記載の微細流動装置。
【請求項30】
回転体と、
微細流動装置と、
回転駆動部と、
外部エネルギー源と、
を備える微細流動システムであって、
前記微細流動装置は、
前記回転体に配置され、
複数のチャンバーと、前記複数のチャンバーを連結する複数の通路と、前記通路に配置されて流体の流れを統制する複数の弁と、
前記回転体の回転による遠心力を利用して流体を移送する微細流動構造物と、
前記複数のチャンバーのうち少なくともいずれか一つに収容され、該チャンバーに流入した生体試料から標的物質を選択的に捕集する磁性ビードと、を備え、
前記回転駆動部は、前記微細流動装置の回転体を駆動し、
前記外部エネルギー源は、前記標的物質を捕集した前記磁性ビードに電磁波を照射し、
前記微細流動装置は、
前記標的物質を捕集した前記磁性ビードを洗浄及び分離し、
分離された前記磁性ビードに対し外部から電磁波を照射することにより核酸を分離することを特徴とする微細流動システム。
【請求項31】
外部エネルギー源調整手段をさらに備える微細流動システムであって、
前記複数の弁は、複数の相転移弁を含み、
前記相転移弁は、
外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、
前記弁プラグを通路内に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制し、
前記外部エネルギー源調整手段は、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整し、
前記外部エネルギー源は、前記複数の相転移弁のうち選択された一つの相転移弁を備える領域に電磁波を照射することを特徴とする請求項30に記載の微細流動システム。
【請求項32】
前記回転駆動部は、前記回転体を定速または定域回転させるモーターを備えることを特徴とする請求項30に記載の微細流動システム。
【請求項33】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記回転体に向かって設置された前記外部エネルギー源を前記回転体の半径方向に移動させる直線移動手段を備えることを特徴とする請求項31に記載の微細流動システム。
【請求項34】
前記外部エネルギー源は、レーザービームを照射するレーザー光源を含むことを特徴とする請求項30に記載の微細流動システム。
【請求項35】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されたことを特徴とする請求項30に記載の微細流動システム。
【請求項36】
前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成された群から選択されることを特徴とする請求項35に記載の微細流動システム。
【請求項37】
前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項35に記載の微細流動システム。
【請求項38】
請求項10に記載の微細流動装置と、
前記微細流動装置の回転体を駆動する回転駆動部と、
前記細胞溶解チャンバーにレーザーアブレーションのための電磁波を照射する外部エネルギー源と、
を備えることを特徴とする微細流動システム。
【請求項39】
前記混合チャンバーは、
前記試料チャンバー及び前記バッファチャンバーより回転体の中心から遠い位置に配され、
前記廃棄チャンバー及び前記細胞溶解チャンバーよりは回転体の中心に近い位置に配されることを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項40】
前記バッファチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路は、前記混合チャンバーの出口と隣接した位置に連結されることを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項41】
前記混合チャンバーより回転体の中心に近い位置に配され、前記混合チャンバーに連結され、前記混合チャンバーに磁性ビードを供給する磁性ビードチャンバーをさらに備えることを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項42】
前記磁性ビードチャンバーと前記混合チャンバーとを連結する通路に弁をさらに備えることを特徴とする請求項41に記載の微細流動システム。
【請求項43】
前記細胞溶解チャンバーは、
前記流入した流体中から磁性ビードを集め、
前記細胞溶解チャンバーの出口を通じて残りの流体を排出することを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項44】
前記細胞溶解チャンバーの出口は、
回転体の中心に向かって延び、
流体より密度が高い磁性ビードを遠心力により前記細胞溶解チャンバー内に溜めることを特徴とする請求項43に記載の微細流動システム。
【請求項45】
前記細胞溶解チャンバーに隣接して配置され、磁力により前記細胞溶解チャンバー内に磁性ビードを集める磁場形成物質をさらに備えることを特徴とする請求項43に記載の微細流動システム。
【請求項46】
前記試料チャンバー及び前記混合チャンバーに連結される通路と連結され、前記試料チャンバーに収容される試料を遠心分離してその一部を前記通路に排出する遠心分離ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項47】
前記複数の弁は、毛細管弁と、疎水性弁と、機械的弁と、相転移弁と、を備える群から選択されたことを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項48】
外部エネルギー源調整手段をさらに備える微細流動システムであって、
前記複数の弁は、複数の相転移弁を含み、
前記相転移弁は、
外部から照射される電磁波を吸収する発熱粒子と、前記発熱粒子が放出する熱により溶融される相転移物質と、を含む弁プラグを備え、
前記弁プラグを通路に配置し、前記通路を通過する流体の流れを統制し、
前記外部エネルギー源調整手段は、前記外部エネルギー源の位置または方向を調整し、
前記外部エネルギー源は、前記複数の相転移弁のうち選択された一つの相転移弁を備える領域に電磁波を照射することを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項49】
前記回転駆動部は、前記回転体を定速または定域回転させるモーターを備えることを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項50】
前記外部エネルギー源調整手段は、前記回転体に向かって設置された前記外部エネルギー源を前記回転体の半径方向に移動させる直線移動手段を備えることを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項51】
前記外部エネルギー源は、レーザービームを照射するレーザー光源を含むことを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項52】
前記相転移弁は、
前記弁プラグに隣接して余裕空間を設け、
前記弁プラグが前記通路内に配置され、前記通路が閉じた状態である時に、
前記弁プラグが熱により溶融し、前記余裕空間に溶融した前記プラグが移動し、前記通路を開ける開放弁を備えることを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項53】
前記相転移弁は、
前記通路と連結した弁チャンバーに前記弁プラグを配置し、前記通路が開いた状態である時に、
前記弁プラグが熱により溶融及び膨脹し、前記通路に流入し、前記通路を閉める閉鎖弁を備えることを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項54】
前記外部エネルギー源は、レーザービームを照射するレーザー光源を含むことを特徴とする請求項48に記載の微細流動システム。
【請求項55】
前記磁性ビードは、その表面が標的細胞またはウイルスに親和性を有する抗体または金属酸化物に改質されたことを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項56】
前記金属酸化物は、Al、TiO、Ta、Fe、Fe及びHfOで構成された群から選択されることを特徴とする請求項55に記載の微細流動システム。
【請求項57】
前記磁性ビードは、強磁性体を有するFe、Ni、Cr及びそれらの各酸化物からなる群から選択される一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項38に記載の微細流動システム。
【請求項58】
請求項10ないし29のうちいずれか一項に記載の微細流動装置を利用した核酸抽出方法であって、
試料チャンバーに注入された試料を磁性ビードが収容された混合チャンバーに移送する過程と、
前記混合チャンバー内で前記磁性ビードと前記試料とを混合して、前記磁性ビードの表面に標的細胞またはウイルスを捕集する過程と、
前記磁性ビードと前記試料との混合液を遠心分離して、上澄み液を廃棄チャンバーに排出する過程と、
バッファチャンバーに収容されたバッファ液を前記混合チャンバーに移送し、前記磁性ビードを洗浄した後、前記磁性ビードと前記バッファ液との混合流体を移送し、細胞溶解チャンバー内に前記磁性ビードを分離する過程と、
前記細胞溶解チャンバーに外部から電磁波を照射して、前記磁性ビードの表面に捕集された細胞またはウイルスを溶解させる過程と、
を含む微細流動システムを利用した標的物質の核酸抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図17】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図15I】
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【図15J】
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【図15K】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−61649(P2008−61649A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228425(P2007−228425)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】