説明

遠心噴霧加湿装置

【課題】 従来の超微粒子噴霧装置は、微粒子化生成部より浮上した微粒子を、加熱手段でドライな超微粒子化させる超微粒子化部を介して、その噴射口より拡散・霧化する構成である。従って、加熱手段という付帯設備を要し、装置の複雑化、加熱手段を装置するに際して安全面の配慮と、噴射した超微粒子の取扱いに注意を要し、少なからず問題点を抱えている。
【構成】 本発明は、底部に膨出部を、壁面に開設した複数の吸気口を、また上部の収れん部位に噴霧口を備えたケーシングに、環状穴と小穴を備えた仕切り板を設け、仕切り板の上方に延設した回転軸に、翼片を備えた回転板を設け、回転板の周辺に間隔をおいてエリミネ―タを設け、このエリミネ―タの上方に間隔をおいて遮蔽板を重畳設置し、この遮蔽板の下方に向って給水管を配備する構成とした遠心噴霧加湿装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、農事用(茸の栽培)、又は工場用として利用される遠心噴霧加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、細霧粒子拡散装置の目的として、例えば、ハウス(温室等)内の温湿度調整、茸の栽培に必要とする加湿状態を確保すること、又は工場において、湿度調整が挙げられる。そして、例えば、この種の細霧粒子拡散装置で、ハウス(温室等)内の温湿度調整を行う場合には、ハウス内に生育する作物に最適な環境の提供できること、又は作物への微粒内への埃、細菌等の侵入を回避し、かつ植物挿し木、植物苗接木等を行なった場合の雑菌の侵入防止に役立つこと等が知られている。ここで、さらに、植物挿し木、植物苗接木(挿し木、接木)等の養生に使用される場合を詳細に説明すると、この養生においては、適正かつ精緻な湿度管理・維持が不可欠であり、かつこの湿度の管理・維持には、細霧粒子拡散装置から発生する粒子径が重要になってくる。例えば、加湿の際、大きい粒子が噴霧されると挿し木、接木の茎や葉に水滴が付着し、この水滴中に含まれる細菌(水滴が、空中を浮遊中に、細菌を拾い)が、この接木箇所に入り、菌の侵入及び/又はカビが発生し、病気を惹起し、苗の生育に障害を与えること、また苗接木の歩留まりを悪くする原因となり問題である。殊に、苗接木の接合部分は手術後の傷と同じであり、特別な配慮が必要であると考えられている。
【0003】
このような状況から、細霧粒子拡散装置で、ミクロの細霧粒子(超微粒子)を噴霧すれば、挿し木、接木の養生に最適であること、又は樹木の朽ちれ発生とか、葉面に付着した場合の葉の濡れ、朽ちれ、汚染、薬害発生等の回避等に、極めて、有効である。そして、このミクロの細霧粒子であれば、イオン発生も増殖し、生育環境の一段の向上が期待できる。さらにハウス(温室)内の濡れ、汚染、茸の栽培での結露の問題解消等にも、極めて、有益である。
【0004】
尚、現状、茸栽培で使用されている細霧粒子拡散装置の中に、超音波加湿器(超音波振動子・超音波素子)がある。しかし、この超音波加湿器は、耐久時間があり、例えば、水質により、超音波振動子等(超音波振動子とする)に異物が付着し、この超音波振動子のスムーズな動きに障害を来たすこと、また破損の原因となること等が考えられる。このような状況では、例えば、茸栽培の如く、昼夜兼行で加湿する状況下では、一部で問題となることがあり得る。また、市販されている自動制御方式の細霧粒子拡散装置では、大きい粒子になり易いことと、この大きい粒子が存在すると、加湿運転終了後も気化するため結露が発生し易く、また、設定値に対して多湿状態(オーバーフロー)になる傾向がある。この大きい粒子は湿度センサーとの相性も非常に悪く、高分子センサーの寿命を極端に短くする。そして、一般的には、市販の湿度センサーの殆どは、結露しない条件下での使用であるので、この湿度センサーを、養生室等(養生室とする)の密閉された空間で使用する場合、一度、結露が発生するとオーバーフロー状態となり、その間は制御が行われなくなるので、問題である。そして、また、この養生室は、環境上で、一般的には、相対湿度90%以上の条件下で養生される。従って、湿度センサーに付着した大きい粒子は蒸発しにくく、復旧するまでにかなりの時間を要する等の改良点がある。また養生室は、最低条件として、結露しにくい構造であるが、湿度センサーが結露することはあり得る。このような場合は、結露した湿度センサーのために室内を換気して湿度を下げることもあり、この苗接木の養生には問題がある。
【0005】
尚、以上は細霧粒子拡散装置を、農事用として採用した従来例を説明したが、この種の超微粒子拡散装置は、この分野に限定されず、例えば、生活空間となる全ての建屋(人的施設)、海苔・茸等の製造、倉庫、飲食店、乗り物等の分野においても、利用できる。そして、利用の際には、一部の面において、前述の例と、略同じ問題が考えられる。
【0006】
そして、この細霧等粒子拡散装置に関する文献としては、特開平9−10641号の「液体用の超微粒子噴霧装置」がある(文献1)。この発明の概要は、超微粒子化用の液体を充填できるタンク部と、タンクの液体を吸上げて微粒子化し、ケーシングの噴霧口に吹上げる微粒子化生成部と、この微粒子化生成部より浮上した微粒子を、ドライな超微粒子の状態に変換して超微粒子化させる超微粒子化部からなる構成であり、その特徴は、被噴霧物を、煙と略均等な0.2〜0.5μmに微粒子化し、軽量、低コストで火災の危険性のない超微粒子の噴霧を図る。この発明の利用分野は、液体を超微粒子化して噴霧し、病院、レストラン、映画館、劇場、体育館において、消毒・殺菌・殺虫、又は芳香する分野(業種)に使用することを目的とする。また他の文献としては、特開2005−131546の「超微粒子拡散装置」がある(文献2)。この発明の概要は、水槽に誘流部の先端が位置して架承された遠心回転体と、この遠心回転体の下側に送風羽根と、この遠心回転体の回転を司る駆動部を包囲する一方が閉塞し、かつその外周面に設けた複数の羽を備えた閉塞筒体と、この閉塞筒体に適宜間隔をもって囲繞されるとともに、前記水槽にセットされる上下方開口部を有するケーシングと、このケーシングの上方開口部の下側に設けた開口を備えたネットと、前記上方開口部に嵌合される筒部とで構成した超微粒子拡散装置である。この発明は、その粒径の超微粒子化を介して、埃、細菌等の侵入回避と、この侵入回避を介して作物に好影響を与えるとともに、挿し木、接木箇所への雑菌の侵入防止、最適な挿し木、接木を図ること、又は樹木・葉面の朽ちれ回避、また汚染、薬害発生等の弊害回避を図ること、等を意図する。
【0007】
【特許文献1】特開平9−10641号
【特許文献2】特開2005−131546
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献1では、微粒子化生成部より浮上した微粒子を、加熱手段を利用してドライな超微粒子の状態で超微粒子化させる構造である。従って、加熱手段という付帯設備を要し、装置の複雑化と、加熱手段を装置するに際して安全面の配慮と、噴射した超微粒子の取扱いにも注意を要し、解決すべき問題を抱えている。またこの加熱手段を装置することで、装置の大型化と、設置(使用)箇所が制限されること、又はランニングコスト・製造等のコストの上昇と、環境破壞に繋がる虞があること等の弊害が考えられる。
【0009】
また文献2では、その粒径の超微粒子化を介して、埃、細菌等の侵入回避等が図れる特徴がある。しかし、この発明では、遠心回転体と、これに装置した送風羽根とを介して、水槽の水を吸上げ、この吸上げた水を、遠心回転板を介して、拡散しつつ、その周辺に設けたエリミネ―タ(環状拡散室の環状壁面)を介して、超微粒子化する構造である。この発明は、構造が簡単で、効率よく超微粒子化が図れる。しかし、遠心回転板とエリミネ―タとの構造では、この超微粒子化も限界があると考えられる。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、「い」 樹木、苗における挿し木、接木の養生、又は茸等の作物の栽培において、ミクロの微粒子を発生するとともに、このミクロの微粒子を瞬時に気化し、樹木、苗及び/又はその葉面、又は茸に水滴が付着しない遠心噴霧加湿装置の提供と、「ろ」 そして、ミクロの超微粒子化を介して、噴霧と略同時に素早く気化される機構を採用し、ハウス内(栽培室内)の湿度設定値を、瞬時に確保し、この湿度設定値オーバーを回避しつつ、適正かつ精緻な湿度環境の維持を可能にする。「は」 また挿し木、接木、葉面又は茸の笠等への水滴の付着を無くし、細菌の繁殖やカビの発生と、各種の病気の発生を抑え、樹木、苗、茸等の歩留まりの飛躍的に向上を図ること、「に」 また、生育及び/又は栽培環境の確保と、エネルギーの節約化、環境維持の確保と、経済性の向上等を図ること、等を目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、前述した「い」〜「に」の目的を達成することを意図する。
【0012】
請求項1は、筒状のケーシングは、その底部にモータ設置用の膨出部を、またこの膨出部の上方に設けた、中心部に環状穴と、その周辺部に小穴を備えた仕切り板を、さらに上部の収れん部位には、この噴霧口を備えており、このケーシングの膨出部に設けたモータの回転軸を、前記仕切り板の上方に延設して回転板を設け、この回転板の下面に設けた翼片は、前記仕切り板に間隔をおいて設置される構造とし、またこの回転板の周辺に間隔をおいて環状のエリミネ―タを設け、このエリミネ―タの上方に間隔をおいて遮蔽板を設置し、この遮蔽板の下方に向って給水管を配備する構成とし、前記ケーシングの壁面で、かつその仕切り板の下側に複数の吸気口を開設し、またこのケーシングの壁面で、かつ膨出部の下方にオーバーフロー用の排水口を開設する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに、最適なケーシングの構造を提供することを意図する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記ケーシングの一方の底部に、ポンプを配備し、他方の底部に吸水管と電磁弁を配備する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに、最適なエリミネ―タの構造を提供することを意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記エリミネ―タは、平板状の本体と、この本体の周縁部に立設した環状体と、この環状体に開設した多数の溝と、この各溝に隣接して設けられた多数の突条とでなる構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに、最適で、かつミクロの超微粒子を、確実かつ瞬時に発生できるエリミネ―タの構造を提供することを意図する。
【0018】
請求項4は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記エリミネ―タは、その周辺部に誘導用の壁面を設ける構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0019】
請求項5・6の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成し、最適で、かつミクロの超微粒子を、確実かつ瞬時に発生するに役立つ回転板の構造を提供することを意図する。
【0020】
請求項5は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記回転板の下面に設けた翼片は、中心部と、周辺部との間に設けられており、最適で、かつ平面視してクロス形状に配備する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0021】
請求項6は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記回転板を、第一回転板と、翼片を備えた第二回転板とで構成し、この第一及び第二回転板との間に、前記エリミネ―タの本体を、介在する構成とした遠心噴霧加湿装置。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するに最適で、保守管理・取扱い等が容易で、かつ分割可能なケーシングの構造を提供することを意図する。
【0023】
請求項7は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記ケーシングは、分割構造であり、その底部に膨出部を備え、かつその壁面に複数の吸気口を備えた第一ケーシングと、この第一ケーシングに積層され、その中心部に環状穴と、またその周辺部に小穴を備えた仕切り板を設けた第二ケーシングと、この第二ケーシングに積層され、その上部に収れん部位と、この収れん部位の先端に設けた噴霧口を備えた第三ケーシングで構成する遠心噴霧加湿装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明は、筒状のケーシングは、その底部にモータ設置用の膨出部を、またこの膨出部の上方に設けた、中心部に環状穴と、その周辺部に小穴を備えた仕切り板を、さらに上部の収れん部位には、この噴霧口を備えており、このケーシングの膨出部に設けたモータの回転軸を、前記仕切り板の上方に延設して回転板を設け、この回転板の下面に設けた翼片は、前記仕切り板に間隔をおいて設置される構造とし、またこの回転板の周辺に間隔をおいて環状のエリミネ―タを設け、このエリミネ―タの上方に間隔をおいて遮蔽板を設置し、この遮蔽板の下方に向って給水管を配備する構成とし、前記ケーシングの壁面で、かつその仕切り板の下側に複数の吸気口を開設し、またこのケーシングの壁面で、かつ膨出部の下方にオーバーフロー用の排水口を開設する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0025】
従って、請求項1は、下記の特徴を有する。
【0026】
「い」 樹木、苗における挿し木、接木の養生、又は茸等の作物の栽培において、ミクロの微粒子を発生するとともに、このミクロの微粒子を瞬時に気化し、樹木、苗及び/又はその葉面、又は茸に水滴が付着しない遠心噴霧加湿装置の提供できる。
「ろ」 そして、ミクロの超微粒子化を介して、噴霧と略同時に素早く気化される機構を採用し、ハウス内(栽培室内)の湿度設定値を、瞬時に確保し、この湿度設定値オーバーを回避しつつ、適正かつ精緻な湿度環境の維持が可能となる。
「は」 また挿し木、接木、葉面又は茸の笠等への水滴の付着を無くし、細菌の繁殖やカビの発生と、各種の病気の発生を抑え、樹木、苗、茸等の歩留まりの飛躍的に向上が図れる。
「に」 また、生育及び/又は栽培環境の確保と、エネルギーの節約化、環境維持の確保と、経済性の向上等が図れる。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
ケーシングの一方の底部に、ポンプを配備し、他方の底部に吸水管と電磁弁を配備する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0028】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに、最適な、ケーシングの構造を提供できること等の特徴を有する。
【0029】
請求項3の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
エリミネ―タは、平板状の本体と、本体の周縁部に立設した環状体と、環状体に開設した多数の溝と、各溝に隣接して設けられた多数の突条とでなる構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0030】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに、最適な、エリミネ―タの構造を提供できること等の特徴を有する。
【0031】
請求項4の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
エリミネ―タは、周辺部に誘導用の壁面を設ける構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0032】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに、最適で、かつミクロの超微粒子を、確実かつ瞬時に発生できるエリミネ―タの構造を提供できること等の特徴を有する。
【0033】
請求項5の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
回転板の下面に設けた翼片は、中心部と、周辺部との間に設けられており、かつ平面視してクロス形状に配備する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0034】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
回転板を、第一回転板と、翼片を備えた第二回転板とで構成し、第一及び第二回転板との間に、エリミネ―タの本体を、介在する構成とした遠心噴霧加湿装置である。
【0035】
従って、請求項5・6は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成し、かつミクロの超微粒子を、確実かつ瞬時に発生するに役立つ回転板の構造を提供できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項7の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
ケーシングは、分割構造であり、底部に膨出部を備え、かつ壁面に複数の吸気口を備えた第一ケーシングと、第一ケーシングに積層され、中心部に環状穴と、また周辺部に小穴を備えた仕切り板を設けた第二ケーシングと、第二ケーシングに積層され、上部に収れん部位と、収れん部位の先端に設けた噴霧口を備えた第三ケーシングで構成する遠心噴霧加湿装置である。
【0037】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するに最適で、保守管理・取扱い等が容易で、かつ分割可能なケーシングの構造を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の一例を説明する。
【0039】
以下、本発明の図面の説明をすると、図1〜図4−2は、第一実施例を示しており、図1は全体の断面図、図2は全体の分解図、図3は風と超微粒子の流れを示す側面模式図、図4−1は図3のA位置における風と超微粒子の流れを示す平面模式図、図4−2は図3のA位置から噴霧口(開口)に至る風と超微粒子の流れを示す平面模式図である。また、図5〜図7は、第二実施例を示しており、図5は全体の断面図、図6は全体の分解図、図7は風と超微粒子の流れを示す側面模式図である。
【0040】
最初に、第一実施例を説明すると、1は筒状のケーシングで、このケーシング1は、この例では、分割構造であり、底部1aに膨出部2を備え、かつ壁面1bに複数の吸気口3を備えた第一ケーシング100と、第一ケーシング100に積層され、中心部に環状穴5と、また周辺部1cに小穴6を備えた仕切り板7を設けた第二ケーシング101と、第二ケーシング101に積層され、上部に収れん部位と、収れん部位の先端に設けた噴霧口8を備えた第三ケーシング102で構成される。この第一ケーシング100の底部1a(膨出部2の周辺に形成された底部1a)の一方には、ポンプ10を配備し、その他方の底部1aの他方には吸水管11と電磁弁12を配備する。従って、このケーシング1は、第一ケーシング100〜第三ケーシング102を組付け構成することで、後述する各部品の設置を可能としつつ、組付け及び/又は修理の容易化を図り、また交換(保守管理)による利便性の確保等を意図する。そして、この第三ケーシング102の噴霧口8側を収れんし、収れん部位を形成することで、超微粒子と、粒子とを分別して、中心部に浮遊する超微粒子のみを、噴霧口8に導き、また粒子は、壁面1bに導く構造とする。これにより、超微粒子のみを装置外に拡散、放出できる構造を提供する。
【0041】
そして、この膨出部2には、モータ13を設ける。この取付け方法を採用することで、例えば、モータ13をケーシング1から開放した状態で設置できる。またこの設置を介して、モータ13が周囲との温度差による結露や、多湿雰囲気において、暴露されることがなくなるため、モータ13及び/又は図示しないベアリングの寿命の飛躍的な向上が図れる。さらに、モータ13を、密閉型のケースに納める必要が無くなり、経費の削減と、組付け及び/又は修理の容易化が図れ、また交換による利便性の確保等が図れる特徴が考えられる。尚、14はフロートスィッチを示す。
【0042】
前記第二ケーシング101の仕切り板7の上方には、僅かな間隔をおいて、回転板16(霧化板)が設けられており、この回転板16の下面には、仕切り板7の上方に近接して、少なくとも四枚の翼片17(送風羽根)がクロス形状(十文字形状)に設けられている。そして、この回転板16は、仕切り板7の環状穴5に至っているモータ13の出力軸1300に設けたボス部1600(出力軸1300とボス部1600及び/又は軸「後述する」を回転軸とする)に固止されている。従って、この回転板16は、モータ13の回転により、同時かつ等速等で回転する構造となっている。そして、この翼片17を介して、この回転板16及び/又は第二ケーシング101(ケーシング1)内に、旋回空気の流れを生成する。
【0043】
また20は環状のエリミネ―タで、このエリミネ―タ20は、回転板16の周辺に、数mm、望ましくは、略1〜2mmの近接した間隔をおいて設けられている。これにより、例えば、回転板16とエリミネータ20を極限まで(略1〜2mm)近付けることで、回転板16から分離された水滴は最も速度が出ている状態で、かつ瞬時に、エリミネータ20の突条(後述する)に衝突させることで、非常に粒子径の小さい霧(超微粒子)が発生するとともに、イオンの発生を増大する特徴がある。尚、このエリミネ―タ20は、平板状の本体200と、本体200の周縁部に立設した環状体201と、環状体201に開設した多数の溝202と、各溝に隣接して設けられた多数の突条203(フィン)とで構成する。図中204は本体200及び/又は環状体201の下面に設けた脚を示す。図中204は本体200及び/又は環状体201の下面に設けた脚を示す。さらに205は突条203の外周面に設けた誘導用の壁面で、この壁面205との衝突を介して、超微粒子の発生を促進することと、この壁面205より上昇した、超微粒子を、風とともに第三ケーシング102の噴霧口8に誘導する構造となっている。
【0044】
尚、21は回転板16の上方に間隔をおいて設けた遮蔽板で、この遮蔽板21は、回転板16及び/又はエリミネ―タ20より大径に形成し、水滴及び/又は水が風で誘導されない目的に設けられている。この遮蔽板21は、エリミネ―タ20の上面か、又はケーシング1の内壁面に固止されている。
【0045】
図中22は給水管で、この給水管22の基端2200は、前記ポンプ10に接続され、その自由端2201は、遮蔽板21を貫通し、回転板16の表面160に近接して設けられている。そして、この給水管22は、回転板16等の動きを邪魔しない構造となっていることは勿論である。この給水管22から吐出された水(給水)は、回転板16の表面160に給水される構造である。
【0046】
そして、この第一実施例の作用と、風と超微粒子の流れを説明する。最初に、風の流れを説明すると、複数の吸気口3から導入された空気は、エリミネータ20を介さず、エリミネータ20下の隙間Sから抵抗無く噴霧口8まで導かれる(矢印「Y」)。従って、このエリミネータ20により風の回転が無効化されることが無いため、この風は回転板16の回転方向と同じ向きに回転しながら噴霧口8へ導かれるのが特徴である。一方、回転板16から遠心力で、エリミネータ20の突条203に衝突し、超微粒子が発生するとともに、イオンの発生を増大する特徴がある。そして、このケーシング1内で発生した大きい粒子は、この遠心力により、回転板16の外側(放射方向)に追いやることで(矢印「Z」)、ケーシング1の内壁に当り、小穴6より底部1a(タンク内)に戻される分別効果があり、噴霧口8から外には、超微粒子のみが放出されることで、その拡散効果が大きくなる。
【0047】
尚、水の供給は、電磁弁12とフロートスイッチ14により水位が制御される。そして、ポンプ10からの吸込みはポンプ底部から行われるため、水位は必要最小限を保つことと、安全対策として排水口103が設けてある。また、必要最小限の水量は水の入れ替わりが頻繁になることで停滞することがなくなり、長時間使用しないときの雑菌やカビの繁殖を抑える。また、寒冷地での凍結による破損を防止と、凍結防止ヒータ等に使用することで、エネルギー量を抑える効果も考えられる。尚、タンク内の抗菌(抗菌処理・抗菌塗料)を行なうこともあり得る。
【0048】
図中Aは、回転板16の表面160の近傍に生成される負圧領域を示しており、前述の如く、分別された浮遊する超微粒子を、回転板16の表面160側に導き、また粒子を、壁面1bに押しやること、又は給水管22からの水を、この回転板16の周面方向(放射方向)に誘導すること等を意図する構造である。
【0049】
次に、第二実施例を説明すると、基本的な構造は同じであり、その相違点を説明すると、例えば、回転板16を、第一回転板16aと、翼片17を備えた第二回転板16bとで構成し、第一回転板16a及び第二回転板16bが、モータ13の出力軸1300に固着(固止)されている。尚、出力軸1300に代わり、第一回転板16aと第二回転板16bを軸で連繋することも可能である。そして、この例では、第一回転板16a及び第二回転板16bとの間に、エリミネ―タ20の本体200を、介在する構成である。これによって、吸気口3から導入された空気は、専用の通風経路(矢印「Y1」)を介して、超微粒子が、旋回しながら噴霧口8まで導かれる。換言すると、エリミネータ20の風の回転が無効化されることが無いため、風は回転板16の回転方向と同じ向きに回転しながら噴霧口8へ導かれる特徴がある。この風を有効利用して、エリミネータ20の突条203との衝突で発生した、超微粒子が、確実かつ効率的に、噴霧口8に導くことを特徴とする。その他の構造と、作用は前述の第一実施例に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は第一実施例の全体の断面図
【図2】図2は第一実施例の全体の分解図
【図3】図3は第一実施例の風と超微粒子の流れを示す側面模式図
【図4−1】図4−1は図3のP位置における風と超微粒子の流れを示す平面模式図
【図4−2】図4−2は図3のP位置から噴霧口(開口)に至る風と超微粒子の流れを示す平面模式図
【図5】図5は第二実施例の全体の断面図
【図6】図6は第二実施例の全体の分解図
【図7】図7は第二実施例の風と超微粒子の流れを示す側面模式図
【符号の説明】
【0051】
1 ケーシング
1a 底部
1b 壁面
1c 周辺部
100 第一ケーシング
101 第二ケーシング
102 第三ケーシング
103 排水口
2 膨出部
3 吸気口
5 環状穴
6 小穴
7 仕切り板
8 噴霧口
10 ポンプ
11 給水管
12 電磁弁
13 モータ
1300 出力軸
14 フロートスイッチ
16 回転板
16a 第一回転板
16b 第二回転板
160 表面
1600 ボス部
17 翼片
20 エリミネ―タ
200 本体
201 環状体
202 溝
203 突条
204 脚
205 壁面
21 遮蔽板
22 給水管
2200 基端
2201 自由端
A 負圧領域
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングは、その底部にモータ設置用の膨出部を、またこの膨出部の上方に設けた、中心部に環状穴と、その周辺部に小穴を備えた仕切り板を、さらに上部の収れん部位には、この噴霧口を備えており、このケーシングの膨出部に設けたモータの回転軸を、前記仕切り板の上方に延設して回転板を設け、この回転板の下面に設けた翼片は、前記仕切り板に間隔をおいて設置される構造とし、またこの回転板の周辺に間隔をおいて環状のエリミネ―タを設け、このエリミネ―タの上方に間隔をおいて遮蔽板を設置し、この遮蔽板の下方に向って給水管を配備する構成とし、前記ケーシングの壁面で、かつその仕切り板の下側に複数の吸気口を開設し、またこのケーシングの壁面で、かつ膨出部の下方にオーバーフロー用の排水口を開設する構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記ケーシングの一方の底部に、ポンプを配備し、他方の底部に吸水管と電磁弁を配備する構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項3】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記エリミネ―タは、平板状の本体と、この本体の周縁部に立設した環状体と、この環状体に開設した多数の溝と、この各溝に隣接して設けられた多数の突条とでなる構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記エリミネ―タは、その周辺部に誘導用の壁面を設ける構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項5】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記回転板の下面に設けた翼片は、中心部と、周辺部との間に設けられており、かつ平面視してクロス形状に配備する構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項6】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記回転板を、第一回転板と、翼片を備えた第二回転板とで構成し、この第一及び第二回転板との間に、前記エリミネ―タの本体を、介在する構成とした遠心噴霧加湿装置。
【請求項7】
請求項1に記載の遠心噴霧加湿装置であって、
前記ケーシングは、分割構造であり、その底部に膨出部を備え、かつその壁面に複数の吸気口を備えた第一ケーシングと、この第一ケーシングに積層され、その中心部に環状穴と、またその周辺部に小穴を備えた仕切り板を設けた第二ケーシングと、この第二ケーシングに積層され、その上部に収れん部位と、この収れん部位の先端に設けた噴霧口を備えた第三ケーシングで構成する遠心噴霧加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−121714(P2009−121714A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293653(P2007−293653)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】