説明

遠隔会議システム、及び遠隔制御方法

【課題】会議室側にいる参加者の方向を直感的に把握可能とし、遠隔側の参加者はカメラを直感的に操作可能にする。
【解決手段】遠隔側端末1において、ディスプレイ2、及びカメラ3が設置されているディスプレイアーム7を操作し、ディスプレイ2、及びカメラ3を移動させると、ディスプレイアーム7の回転軸に設けられている回転角度センサにより、ディスプレイ2、及びカメラ3の位置が計算される。会議室側では、上記遠隔側のディスプレイアーム7の操作に伴うディスプレイ2、及びカメラ3の位置に基づいて、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、マイク24が設置されている回転ステージ26を回転させ、ディスプレイ21、及びカメラ22を、遠隔側端末1のディスプレイ2、及びカメラ3の移動に応じた方向に向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の会議参加者がいる会議室側と一人だけの会議参加者がいる遠隔側とでテレビ会議を行う遠隔会議システム、及び遠隔制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の会議参加者がいる会議室側と一人だけの会議参加者がいる遠隔側とで、映像と音声とを通信回線などを介して相互に伝送してテレビ会議を行うテレビ会議システムが知られている。このようなテレビ会議システムにおいては、単に、複数の会議参加者がいる会議室にカメラを設置しても、遠隔側から、会議室側を見る場合に、カメラの画角分の映像しか見ることができず、画角の外に存在する会議参加者を確認することができない。
【0003】
そこで、従来より、パン、チルト、ズーム可能なカメラを使ったテレビ会議システムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。この場合、遠隔側の会議参加者は、ジョイスティックなどの操作インタフェースを利用するか、PC画面上のGUIを用いて、会議室側のカメラを制御するようなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3542587号
【特許文献2】特表2001−524286号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、直感的に会議室側にいる会議参加者がどちらの方向にいるかを把握することができず、また、自分が会議室側のどちらを向いているのかも把握することができないため、遠隔側から会議室側のカメラを制御することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、会議室側にいる参加者の存在する方向を直感的に把握することができ、遠隔側の参加者はカメラを直感的に操作することができるとともに、自分が会議室側のどちらを向いているのかも容易に把握することができる遠隔会議システム、及び遠隔制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、A地点とB地点とで互いの映像、音声を伝送することでテレビ会議を行う遠隔会議システムであって、前記A地点側の映像を表示する第1のディスプレイと、前記B地点側の参加者を撮影する第1のカメラと、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとを一体で移動可能に支持する支持手段と、前記第1のディスプレイの位置を検出する検出手段とを備え、前記B地点側に設置された第1の端末と、前記B地点側の参加者の映像を表示する第2のディスプレイと、前記A地点側の映像を撮影する第2のカメラと、前記検出手段によって検出された、前記第1のディスプレイの位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する制御手段とを備え、A地点側に設置された第2の端末とを備えることを特徴とする遠隔会議システムである。
【0008】
本発明は、上記の発明において、前記検出手段は、前記第1のディスプレイの二次元平面上の位置を検出する位置検出手段であり、前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記第1のディスプレイの二次元平面上の位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記の発明において、前記検出手段は、前記第1のディスプレイの3次元空間での位置を検出する位置検出手段であり、前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記第1のディスプレイの3次元空間での位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記の発明において、前記検出手段は、前記支持手段の各関節の回転角度を検出する位置検出手段であり、前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記支持手段の各関節の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記の発明において、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとは、回転可能な椅子に固定したアームの先端に前記B地点の参加者に対面するように設置され、前記検出手段は、前記椅子の回転角度を検出する回転角度検出手段であり、前記制御手段は、前記回転角度検出手段により検出された前記椅子の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する、ことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、A地点とB地点とで互いの映像、音声を伝送することでテレビ会議を行う遠隔会議システムの遠隔制御方法であって、前記B地点側に設置された第1の端末が、移動可能に支持され、前記A地点側の映像を表示する第1のディスプレイと、該第1のディスプレイと一体で移動可能に支持され、前記B地点側の参加者を撮影する第1のカメラとの位置を検出する第1のステップを含み、前記A地点側に設置された第2の端末が、前記第1の端末で検出された、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの位置に基づいて、前記B地点側の参加者の映像を表示する第2のディスプレイと該第2のディスプレイと一体に支持され、前記A地点側の映像を撮影する第2のカメラとの向きを、制御する第2のステップとを含む、ことを特徴とする遠隔制御方法である。
【0013】
本発明は、上記の発明において、前記第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの二次元平面上の位置を検出し、前記第2のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの二次元平面上の位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記の発明において、前記第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの3次元空間での位置を検出し、前記第2のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの3次元空間での位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記の発明において、前第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとを一体に支持する支持手段の各関節の回転角度を検出し、前記第2のステップは、前記支持手段の各関節の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記の発明において、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとは、回転可能な椅子に固定したアームの先端に前記B地点の参加者に対面するように一体に設置され、前記第1のステップは、前記椅子の回転角度を検出し、前記第2のステップは、前記椅子の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、会議室側にいる参加者の存在する方向を直感的に把握することができ、遠隔側の参加者はカメラを直感的に操作することができるとともに、自分が会議室側のどちらを向いているのかも容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるテレビ会議システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による遠隔側端末の外観構成を示す模式図である。
【図3】本実施形態による会議室側端末の外観構成を示す模式図である。
【図4】本実施形態による遠隔側端末の演算系の構成、及び会議室側の回転制御系の略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態による遠隔制御方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
本発明は、複数の参加者がいる地点A(会議室側)の空間スペースが広く、その一部を映した映像を、一人の参加者がいる地点B(遠隔側)で見ることを前提としたテレビ会議を行う場合において、地点Bでディスプレイ、及び該ディスプレイと一体に移動可能なカメラを移動させることで、地点Aのカメラ、及び該カメラと一体に向きを変えることが可能なディスプレイの向きを変える、つまり、地点Aの映像の撮影範囲の変更を地点Bのディスプレイの移動で行うことを特徴としている。以下、詳細に説明する。
【0021】
A.実施形態
図1は、本発明の実施形態によるテレビ会議システムの構成を示すブロック図である。図1において、遠隔側端末1は、ディスプレイ2、カメラ3、スピーカ(または、ヘッドフォン)4、マイク5、映像・音声伝送部6、ディスプレイアーム(回転角度センサを備える)7、演算部8、及び制御信号転送部9から構成されている。
【0022】
ディスプレイ2は、会議室側の参加者の映像(参加者以外も含む)を表示する。なお、ディスプレイ2は、会議室側の参加者の映像に加えて、遠隔側の参加者(子画面など、ディスプレイ2の一部のウインドウを用いる)や、テレビ会議で必要とされる情報、その他の情報などを表示してもよい。
【0023】
カメラ3は、遠隔側のディスプレイ2を見ている参加者を撮影する。スピーカ4は、会議室側の音声(会話等)を出力する。マイク5は、遠隔側の音声を取り込む。映像・音声伝送部6は、遠隔側のカメラ3で撮影した参加者の映像、マイク5で取り込んだ音声を、ネットワーク10を介して、会議室側端末20に伝送するとともに、会議室側端末20からの映像、音声を受信し、それぞれ遠隔側のディスプレイ2、スピーカ4に出力する。
【0024】
ディスプレイアーム7は、複数の回転軸(関節)を有し、少なくとも、上記ディスプレイ2、カメラ3、及びマイク5が一体に設置されている。このため、利用者がディスプレイアーム7を操作することで、ディスプレイ2、カメラ3、及びマイク5を、所望する位置に移動させることが可能となっている。また、複数の回転軸には、回転量を検出する回転角度センサ(後述)が設けられており、該回転角度センサにより、ディスプレイアーム7の回転軸の回転量を検出する。
【0025】
演算部8は、ディスプレイアーム7の各回転軸に設けられた上記回転角度センサにより検出された回転量に基づいて、まず、ディスプレイ2の位置を算出し、次いで、該ディスプレイ2の位置に基づいて、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21を遠隔側のディスプレイ2の位置に応じた方向に向けるために、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21の姿勢を算出する。制御信号転送部9は、演算部8で算出された、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21の姿勢を制御するための制御信号を、ネットワーク10を介して、会議室側端末20に転送する。
【0026】
会議室側端末20は、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、マイク24、映像・音声伝送部25、回転ステージ26、制御信号転送部27、及び回転制御部28から構成されている。ディスプレイ21は、遠隔側の参加者の映像を表示する。なお、ディスプレイ21は、遠隔側の参加者の映像に加えて、会議室側の参加者(子画面など、ディスプレイの一部のウインドウを用いる)や、テレビ会議で必要とされる情報、その他の情報などを表示してもよい。
【0027】
カメラ22は、会議室側のディスプレイ21を見ている参加者(参加者以外も含む)を撮影する。スピーカ23は、遠隔側の音声(会話等)を出力する。マイク24は、会議室側の音声を取り込む。映像・音声伝送部25は、会議室側のカメラ22で撮影した映像、マイク24で取り込んだ音声を、ネットワーク10を介して、遠隔側端末1に伝送するとともに、遠隔側端末1からの映像、音声を受信し、それぞれ会議室側のディスプレイ21、スピーカ23に出力する。
【0028】
回転ステージ26は、少なくとも水平方向に回転可能なテーブルであり(パン機能)、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、及びマイク24が一体に設置されている。なお、映像・音声伝送部25も、回転ステージ26上に設置されていてもよい。制御信号転送部27は、ネットワーク10を介して、遠隔側端末1から転送される、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21の姿勢を制御するための制御信号を受信する。回転制御部28は、該制御信号に従って、回転ステージ26に一体に設置されている、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、及びマイク24を、遠隔側のディスプレイ2の位置に応じた方向に向けるべく、回転ステージ26を回転させるようになっている。
【0029】
図2は、本実施形態による遠隔側端末1の外観構成を示す模式図である。図2において、遠隔側端末1において、カメラ3は、ディスプレイ2を見ている参加者を画角内に収めるように、ディスプレイ2上に参加者に向けられて設置されている。マイク5も同様にディスプレイ2を見ている参加者の音声を拾うようディスプレイ2上のカメラ3近傍に設置されている。ディスプレイアーム7は、回転角度センサ7b、7bが設けられた、複数の回転軸7aを有している。なお、図示の例では、スピーカ4としてヘッドフォン4aを用いている。また、図1の映像・音声伝送部6、演算部8、及び制御信号転送部9として、遠隔用制御PC(パーソナルコンピュータ)30を用いている。
【0030】
図3は、本実施形態による会議室側端末20の外観構成を示す模式図である。図3において、会議室側端末20において、回転ステージ26上には、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、マイク34が一体に設置されている。図示の例では、ディスプレイ21の前面に、該ディスプレイ21を見ている参加者を撮影するようにカメラ22が設置されている。つまり、回転ステージ26を回転させることで、該回転ステージ26上のカメラ22、ディスプレイ21、スピーカ23、及びマイク24の向きを変えることが可能となっている。
【0031】
図4は、本実施形態による遠隔側端末1の演算系の構成、及び会議室側20の回転制御系の略構成を示すブロック図である。図4に示すように、遠隔側端末1において、ディスプレイ位置計算部8aは、ディスプレイアーム7の各回転軸7aに設けられた、複数の回転角度センサ7bからの回転量に従って、ディスプレイ2の位置を随時算出する。会議室カメラ姿勢計算部8bは、ディスプレイ2の位置に従って、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21を遠隔側のディスプレイ2の位置に応じた方向に向けるために、会議室側端末20のカメラ22の姿勢(水平方向の回転量)を算出する。会議室側端末20において、回転制御部28は、遠隔側端末1で算出された、会議室側のカメラ22の姿勢(制御信号)に従って、回転ステージ26を回転させて、該回転ステージ26上のカメラ22、ディスプレイ21、スピーカ23、及びマイク24の向きを変える。
【0032】
図5は、本実施形態による遠隔制御方法を説明するための模式図である。会議室側端末20において、回転ステージ26が初期位置のパン方向の角度θになっていることを確認した上で、遠隔側の参加者は、ディスプレイアーム7を初期位置Pに設定する。ディスプレイアーム7の回転軸7aが、例えば、n個存在していた場合に、各回転軸7aの回転量をr、r、…、rとする。
【0033】
ディスプレイアーム7の各アームの長さは、既知の値であるため、ディスプレイ位置計算部8aは、ディスプレイアーム7の既知の各アームの長さと、各回転角度センサ7bの回転量r〜rとから、ディスプレイ2を移動させた任意の時刻tにおけるディスプレイ2の位置P(座標値)を決定する。なお、ディスプレイ2(及びカメラ3)は、図5の左側に示すように、常に、遠隔側の参加者M側に向けられていることを前提とする。つまり、ディスプレイ2の画面の垂直方向に参加者Mが居ることになる。
【0034】
会議室側カメラ姿勢計算部8bは、位置Pと位置Pとから、二次元平面上での移動角度θを算出する。そして、会議側端末20では、図5の右側に示すように、回転ステージ26を、上記移動角度θだけ水平方向に回転させる。図5の右側において、黒色部分がディスプレイ21の前面、すなわちカメラ22の撮影方向である。
【0035】
これにより、遠隔側の参加者が、図5の左側に示すように、ディスプレイ2を移動させると、該遠隔側のディスプレイ2の位置に応じて、図5の右側に示すように、会議室側のカメラ22、及びディスプレイ21が回転し、会議側の様子を広い視野で見ることができる。
【0036】
このように、本実施形態では、遠隔側において、ディスプレイ2(及びカメラ3、マイク5)が設置されているディスプレイアーム7を操作し、ディスプレイ2(及びカメラ3、マイク5)を移動させると、ディスプレイ2(及びカメラ3、マイク5)の位置が算出される。会議室側では、上記遠隔側のディスプレイアーム7の操作に伴うディスプレイ2(及びカメラ3、マイク5を含む)の位置に基づいて、ディスプレイ21、カメラ22、スピーカ23、マイク24が設置されている回転ステージ26を回転させる。これにより、遠隔側の参加者は、会議室側のディスプレイ21やカメラ22、スピーカ23、マイク24などを所望する方向に向けることが可能となる。
【0037】
このとき、遠隔側端末1では、ディスプレイ2を見ている参加者を画角内に収めるように、ディスプレイ2上に参加者方向を向いてカメラ3が一体に設置されており、会議室側端末20では、ディスプレイ21を見ている参加者を画角内に収めるように、該ディスプレイ21の前面に参加者方向を向いてカメラ22が一体に設置されているので、遠隔側端末1のカメラ3で撮影されている参加者と、会議室側端末20のカメラ22で撮影されている参加者とは、常に対面した状態で、互いのディスプレイ2、21に表示されることになる。
【0038】
上述した実施形態によれば、遠隔側端末1のディスプレイ2、及びカメラ3を、稼働可能なディスプレイアーム7に一体に固定し、該ディスプレイアーム7の動きを検出することでディスプレ2の移動位置を算出し、該ディスプレ2の移動位置に追従させて、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21の向きを制御することにより、遠隔側にいる参加者は、直感的で簡易な操作で、自分が会議室側の見たい方向を見ることができるとともに、広い視野を確保することができ、また、会議室側にいる参加者の存在する方向を直感的に把握することができる。
【0039】
また、会議室側のカメラ22、及びディスプレイ21の方向制御を、遠隔側端末1のディスプレイ2、及びカメラ3を移動させるという操作によって実現することで、利用者は、カメラ3、及びディスプレイ2を直感的に移動操作することができるとともに、自分がどちらを向いているのかも容易に把握することができる。
【0040】
また、遠隔側端末1のディスプレイ2、及びカメラ3が、稼働可能なディスプレイアーム7に一体に設置し、会議室側端末20のカメラ22、及びディスプレイ21を一体に設置しているので、常に、遠隔側、及び会議室側の双方の会話相手と対面した状態の映像が表示されるので、視線を合わせつつ会話をすることができる。
【0041】
なお、上述した実施形態において、遠隔側のディスプレイ2、及びカメラ3の水平移動に応じて、会議室側のカメラ22、及びディスプレイ21を、回転ステージ26により水平方向の回転(パン機能)を制御するようにしたが、これに加えて、遠隔側のディスプレイ2、及びカメラ3の垂直方向の角度(向き)に応じて、会議室側のカメラ22、及びディスプレイ21の垂直方向の角度(向き)を制御するようにしてもよい(チルト機能)。
【0042】
また、図5において、ディスプレイ2、及びカメラ3と参加者Mとの距離を測定するか、予め参加者Mの二次元平面上の座標を入力しておくことで、該距離に応じて、会議室側のカメラ22のズーム率を制御するようにしてもよい。これにより、遠隔側の参加者Mがディスプレイ2を自分の近くに寄せた場合に、会議室側のカメラ22をズームさせることが可能となり、ディスプレイ2を寄せるという操作と会議室側の映像を拡大させるという制御とが関連付けられ、より直感的に移動操作することができる。
【0043】
また、上述した実施形態では、遠隔側端末1のディスプレイ2の移動前の位置Pと移動後の位置Pとから移動角度θを算出し、該移動角度θに従って、会議室側のカメラ22を回転させるようにしたが、これに限らず、例えば、ディスプレイ2と参加者Mとの距離が変わらないことを前提にして、ディスプレイ2の移動前の位置Pと移動後の位置Pとから、ディスプレイ2の移動方向と移動量とを特定し、該移動方向と移動量とに基づいて、会議室側のカメラ22を回転させるようにしてもよく、同様の効果を得ることが可能である。
【0044】
また、上述した実施形態では、遠隔側端末1において、ディスプレイ2、及びカメラ3は、回転角度センサ7bが設けられた、複数の回転軸7aを有するディスプレイアーム7に支持されていたが、これに限らず、例えば、ディスプレイ2、及びカメラ3を、回転可能な椅子に固定したアームの先端に、参加者が椅子に座ると、丁度、ディスプレイ2と対面するように設置し、上記回転角度センサ7bに代えて、椅子の回転角度を検出する回転角度センサを設ける(椅子の座面を支持し、脚部が固定される支軸の回転を検出する)。
【0045】
これにより、椅子に座っている参加者が椅子を回転させて任意の方向に向きを変えると、回転角度センサにより椅子の回転角度が検出される。ディスプレイ2、及びカメラ3は、椅子とともに回転するので、椅子に座っている参加者は、常に、ディスプレイ2、及びカメラ3と対面した状態が保たれる。会議室側端末20においては、上記回転角度センサにより検出された椅子の回転角度に応じて、回転ステージ29を回転させて、該回転ステージ29上のカメラ22、ディスプレイ21、スピーカ23、及びマイク24の向きを変えるようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態において、遠隔側端末1、会議室側端末20による各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、符号化処理、及び復号化処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0047】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 遠隔側端末
2、21 ディスプレイ
3、22 カメラ
4、23 スピーカ
4a ヘッドフォン
5、24 マイク
6、25 映像・音声伝送部
7 ディスプレイアーム
7a 回転軸
7b 回転角度センサ
8 演算部
8a ディスプレイ位置計算部
8b 会議室側カメラ姿勢計算部
9、27 制御信号転送部
10 ネットワーク
20 会議室側端末
26 回転ステージ
28 回転制御部
30 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A地点とB地点とで互いの映像、音声を伝送することでテレビ会議を行う遠隔会議システムであって、
前記A地点側の映像を表示する第1のディスプレイと、
前記B地点側の参加者を撮影する第1のカメラと、
前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとを一体で移動可能に支持する支持手段と、
前記第1のディスプレイの位置を検出する検出手段と
を備え、前記B地点側に設置された第1の端末と、
前記B地点側の参加者の映像を表示する第2のディスプレイと、
前記A地点側の映像を撮影する第2のカメラと、
前記検出手段によって検出された、前記第1のディスプレイの位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する制御手段と
を備え、A地点側に設置された第2の端末と
を備えることを特徴とする遠隔会議システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1のディスプレイの二次元平面上の位置を検出する位置検出手段であり、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記第1のディスプレイの二次元平面上の位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1のディスプレイの3次元空間での位置を検出する位置検出手段であり、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記第1のディスプレイの3次元空間での位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議システム。
【請求項4】
前記検出手段は、前記支持手段の各関節の回転角度を検出する位置検出手段であり、
前記制御手段は、前記位置検出手段により検出された、前記支持手段の各関節の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議システム。
【請求項5】
前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとは、回転可能な椅子に固定したアームの先端に前記B地点の参加者に対面するように設置され、
前記検出手段は、前記椅子の回転角度を検出する回転角度検出手段であり、
前記制御手段は、前記回転角度検出手段により検出された前記椅子の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔会議システム。
【請求項6】
A地点とB地点とで互いの映像、音声を伝送することでテレビ会議を行う遠隔会議システムの遠隔制御方法であって、
前記B地点側に設置された第1の端末が、
移動可能に支持され、前記A地点側の映像を表示する第1のディスプレイと、該第1のディスプレイと一体で移動可能に支持され、前記B地点側の参加者を撮影する第1のカメラとの位置を検出する第1のステップを含み、
前記A地点側に設置された第2の端末が、
前記第1の端末で検出された、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの位置に基づいて、前記B地点側の参加者の映像を表示する第2のディスプレイと該第2のディスプレイと一体に支持され、前記A地点側の映像を撮影する第2のカメラとの向きを、制御する第2のステップとを含む、
ことを特徴とする遠隔制御方法。
【請求項7】
前記第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの二次元平面上の位置を検出し、
前記第2のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの二次元平面上の位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の遠隔制御方法。
【請求項8】
前記第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの3次元空間での位置を検出し、
前記第2のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとの3次元空間での位置に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の遠隔制御方法。
【請求項9】
前第1のステップは、前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとを一体に支持する支持手段の各関節の回転角度を検出し、
前記第2のステップは、前記支持手段の各関節の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体でパン制御、またはチルト制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の遠隔制御方法。
【請求項10】
前記第1のディスプレイと前記第1のカメラとは、回転可能な椅子に固定したアームの先端に前記B地点の参加者に対面するように一体に設置され、
前記第1のステップは、前記椅子の回転角度を検出し、
前記第2のステップは、前記椅子の回転角度に基づいて、前記第2のディスプレイと前記第2のカメラとの向きを一体で制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の遠隔制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−166613(P2011−166613A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29383(P2010−29383)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】