説明

遠隔操作システム

【課題】 車載機器のリモート操作を安全性を確保しつつ適切に実行することにある。
【解決手段】 車載機器を備える車載機10と、車両使用者により操作される操作端末12と、センタ14と、からなり、車両使用者による操作端末12の操作に従ってその操作端末12から車載機10に対して車載機器の駆動要求がなされることにより、その車載機器をリモート操作するシステムであって、各種センサやスイッチを用いて車室内又は車室外の車両近傍に人が存在するか否かを判別し、否定判定がなされる場合にはその車載機器のリモート操作を実行する一方、肯定判定がなされる場合にはそのリモート操作要求された車載機器のリモート操作を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作システムに係り、特に、車両使用者による操作端末の操作に従って該操作端末から車両に対して車載機器の駆動要求がなされることにより、該車載機器をリモート操作するうえで好適な遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両盗難防止のため車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かをカメラを用いて判別し、不審者が存在する場合にその旨やカメラによる撮像画像を正規の車両使用者の携帯する操作端末に対して通報・送信するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいては、不審者が車室内又は車室外近傍に存在することを車両使用者が知った場合等において、車両使用者による操作端末の操作によってその操作端末から車両へ所定の車載機器を駆動するための指示要求が行われると、その所定の車載機器が駆動されることとなっている。従って、上記したシステムによれば、車両使用者が車両から位置的に離れている場合においても、車室内や車室外近傍の不審者を威嚇等すべく、操作端末を操作することによって遠隔的に、車両に搭載された車載機器をリモート操作することが可能となっている。
【特許文献1】特開2002−19548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記したシステムにおいては、人が車室内や車室外近傍に存在するときにも、車両使用者が要求すれば車載機器が駆動されることとなるため、車載機器のリモート操作を行ううえで安全上問題となるおそれがある。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車載機器のリモート操作を安全性を確保しつつ適切に実行することが可能な遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、車両使用者による操作端末の操作に従って該操作端末から車両に対して車載機器の駆動要求がなされることにより、該車載機器をリモート操作する遠隔操作システムであって、車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別する人判別手段と、前記人判別手段により車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別される場合に、前記車載機器のリモート操作を禁止又は制限するリモート操作規制手段と、を備える遠隔操作システムにより達成される。
【0006】
仮に車室内や車室外近傍に人が存在する状況で車載機器の駆動が行われると、その人に不意に危険が及ぶ可能性がある。本発明において、車室内又は車室外近傍に人が存在する場合には、操作端末の操作に従った車載機器のリモート操作が禁止又は制限される。このため、本発明によれば、車載機器のリモート操作が実行されることに起因して車室内や車室外近傍にいる人に危険が及ぶのを回避することができ、これにより、車載機器のリモート操作の実行を安全性を確保しつつ適切に行うことができる。
【0007】
この場合、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車両盗難防止のためのアラームが吹鳴しているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車両盗難を行おうとする不審者にリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0008】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車両使用者の携帯する車両用携帯機が車両との無線通信により所定の車室外エリア内で検知されるか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車室外近傍に存在する車両使用者にリモート操作に起因した危害が及ぶのを回避できる。
【0009】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、キーシリンダに車両キーが挿入されている状況で該車両キーと車両との無線通信によるID照合がとれない場合に車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別することとすれば、車室内に侵入して車両盗難を行おうとする不審者にリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0010】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車室内又は車室外近傍を撮影するカメラの撮像画像に基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、更に、前記人判別手段は、車両に配設されたドップラセンサを用いて車両に接近する移動物体が検知されるか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車室内や車室外近傍にいる人にリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0011】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車両のウィンドウ位置がイグニションオフ状態で開方向へずれているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車両ウィンドウを不正に開けた不審者にリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0012】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車両のタイヤホイール又はタイヤホイールナットが取り外されているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車両を整備するためにタイヤホイールやタイヤホイールナットを外した整備士などにリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0013】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記人判別手段は、車両のタイヤ空気圧が所定値以下に低下しているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、また、前記人判別手段は、車両のボンネットが開いているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、更に、前記人判別手段は、車両のフューエルリッドが開いているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することとすれば、車両の整備士などにリモート操作に起因した危険が及ぶのを回避できる。
【0014】
尚、上記した遠隔操作システムにおいて、前記リモート操作規制手段は、車載機器の駆動要求がなされた時点で前記人判別手段により車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別される場合に、該車載機器のリモート操作を禁止又は制限することとすればよい。
【0015】
また、上記した遠隔操作システムにおいて、前記リモート操作規制手段は、駆動が車室内又は車室外近傍に存在する人に影響を及ぼす可能性の高い前記車載機器のリモート操作のみを禁止することとすればよい。
【0016】
ところで、上記した遠隔操作システムにおいて、前記リモート操作規制手段は、車両に設けられていることとしてもよいし、また、前記車載機器のリモート操作が、車両使用者による操作端末の操作に従って該操作端末からセンタを介して車両に対して車載機器の駆動要求がなされることにより実現されシステムにおいては、前記リモート操作規制手段は、センタに設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車載機器のリモート操作が実行されることに起因して車室内や車室外近傍にいる人に危険が及ぶのを回避することができ、これにより、車載機器のリモート操作の実行を安全性を確保しつつ適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である遠隔操作システムの構成図を示す。本実施例のシステムは、車両に搭載される車載機10と、その車両の運転者や所有者などの正規の車両使用者に携帯・所持される携帯電話やパソコン,PDA等の操作端末12と、車載機10と操作端末12との間における情報を管理するセンタ14と、により構成されている。本実施例の遠隔操作システムは、特に車両使用者が車両から降車した後に、その車両使用者により操作端末12が操作されることにより車載機10の有する車載機器を遠隔的に駆動させるリモート操作を実行するためのシステムである。
【0019】
車載機10は、通信ネットワークを通じて上記したセンタ14と無線通信を行わせるためのデータ通信モジュール(DCM)などの送受信機20、及び、コンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、車載ECUと称す)22を備えている。送受信機20は、タイマ機能を有すると共に、車載機10側の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を車載機10に受信する機能を有している。車載ECU22は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。車載ECU22は、自車両の電話番号を含む識別情報及び上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有し、送受信機20との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0020】
車載ECU22には、車室内に配設されたカメラ24が接続されている。カメラ24は、特に車内全域の状況やウィンドウ越しに映る車外の状況を撮影し得るカメラである。カメラ24は、一台の広角カメラであってもよいし、複数台の通常カメラであってもよい。カメラ24の撮像画像は、車載ECU22に供給される。車載ECU22は、内蔵する画像処理装置を用いてカメラ24の撮影した撮像画像を処理する。
【0021】
車載ECU22には、また、車内のイグニションキーシリンダに車両キーが差し込まれているか否かを検知するキー挿入センサ26、及び、後述の車両キーのトランスポンダが発する電波を受信するキー受信機28が接続されている。車載ECU22は、キー挿入センサ26の検知情報に基づいてイグニションキーシリンダに車両キーが差し込まれているか否かを判別する。正規の車両使用者の所持する車両キーには、その車両キー固有のIDコードを発信するトランスポンダ(通信チップIC)が内蔵されている。車両キーは、イグニションキーシリンダに挿入された際にそのキーシリンダ周囲に磁界が発生することにより、トランスポンダからIDコードを発信する。車載ECU22は、キー挿入センサ26の出力に基づいてキーシリンダに車両キーが差し込まれていると判別する状況下、そのキーシリンダに挿入された車両キーの発するIDコードと予め自車両に登録されているIDコードとの照合を実施する。その結果、IDコードが一致した場合には、正規の車両キーがイグニションキーシリンダに挿入されているとして、車両に搭載された動力であるエンジンの始動を許可し、一方、IDコードが一致しない場合には、そのエンジンの始動を禁止する。
【0022】
車載ECU22には、また、車両盗難に関わる行為を検出するための行為検出センサ30、及び、セキュリティアラーム32が接続されている。この行為検出センサ30としては、例えば、カメラ画像や電波,超音波,赤外線,シート荷重などを用いて車室内に存在する人や物体の動きを検知し或いはフロントガラスやリアガラス,車両ドアに設けられた窓ガラスが割れる際の音や振動を検知するための侵入センサ、車両の水平からの前後方向軸周り,左右方向軸周りの傾斜角(すなわち、ロール角,ピッチ角)を検出するための傾斜センサ、又は、フロントやリア,ラッゲージなどの車両ドアの開閉を検出するためのカーテシスイッチなどがある。
【0023】
車載ECU22は、車両のイグニションキーシリンダに正規の車両キーが差し込まれていると判別する状態ですべてのウィンドウ及びすべての車両ドアが閉じられかつ施錠されている場合に、車両の盗難や不正行為を監視・警戒するセキュリティモード(警戒状態)にセットする。また、そのセキュリティモード中又はそのモードセット時において、行為検出センサ30の出力信号に基づいて、車外から車内への侵入者が存在するか否か、窓ガラスが割られたか否か、車両の意図しないレッカー移動やジャッキアップが行われているか否か、及び、車両ドアがこじ開けられたか否かを判定し、上記の如き車両に対する不正行為の有無を検知する。車載ECU22は、セキュリティモードにおいて行為検出センサ30を用いて車両に対する不正な行為を検知すると、その不正行為が発生した旨を車両周囲の人に知らせ或いはその不審者を威嚇すべくセキュリティアラーム32を駆動して警報を行う。尚、セキュリティアラーム32は、車室内へ向けたブザーやスピーカによる音声・警報出力を行うものであってもよいし、また、車室外へ向けたホーンや外部スピーカによる音声・警報出力を行うものであってもよい。
【0024】
また、車載機10は、車室外に設けられたアンテナを用いて、車両使用者の所持するトランスミッタの応答を要求する信号を送信する送信機能、及び、そのトランスミッタの発する応答信号を受信する受信機能を有している。このトランスミッタは、車両使用者が車両キーを手にすることなく車載機10との無線通信を行うことにより車両ドアのロックやアンロックを行うための通信機であって、車載機10からの応答要求を受信する機能、及び、その応答要求に対して自己を特定するためのIDを含む応答信号を車載機10へ向けて発信する機能を有している。車載機10の受信可能範囲及び送信可能範囲は、車両を中心にした予め所定の領域に限定されている。車載ECU22は、車両がイグニションオフかつアクセサリオフになった後、車室外アンテナからの応答要求に対してトランスミッタから自己のIDを含む応答信号を受信するか否かに基づいて、自己のトランスミッタが車室外の車両近傍領域に存在するか否かを判別する。そして、肯定判定がなされると、車両ドアがロックされ或いはアンロックされる。
【0025】
車載ECU22には、また、車外において自車両に接近してくる物体を検出するためのドップラセンサ34が接続されている。ドップラセンサ34は、発信波と反射波との周波数ずれに応じた信号を出力するセンサである。車載ECU22は、ドップラセンサ34の出力信号に基づいて発信波と反射波との周波数ずれの有無を検知し、自車両周辺で自車両に接近する物体の有無を検出する。
【0026】
車載ECU22には、各車両ドアのウィンドウごとに設けられた開閉位置センサ36が接続されている。各開閉位置センサ36は、ウィンドウの、全開位置と全閉位置との間の絶対的な開閉位置に応じた信号を出力するセンサである。車載ECU22は、各ウィンドウについて、開閉位置センサ36の出力信号に基づいてその絶対的な開閉位置を検出する。
【0027】
車載ECU22には、また、各車輪に設けられたナット外れセンサ38、及び、タイヤ空気圧センサ40が接続されている。各ナット外れセンサ38は、車体側にタイヤホイールを締結するためのナットの外れの有無に応じた信号を出力するセンサである。車載ECU22は、各車輪について、ナット外れセンサ38の出力信号に基づいてナット外れの有無を検知する。各タイヤ空気圧センサ40は、タイヤの空気圧に応じた信号を出力するセンサである。車載ECU22は、各車輪について、タイヤ空気圧センサ40の出力信号に基づいてタイヤ空気圧を検出する。
【0028】
車載ECU22には、また、エンジンなどを格納するエンジンルームを覆うボンネットの開閉状態に応じた信号を出力するボンネットスイッチ42、及び、燃料タンクへの燃料注入時に開けられるフューエルリッドの開閉状態に応じた信号を出力するフューエルリッドスイッチ44が接続されている。車載ECU22は、ボンネットスイッチ42の状態に基づいてボンネットが開いているか否かを判別すると共に、フューエルリッドスイッチ44の状態に基づいてフューエルリッドが開いているか否かを判別する。
【0029】
車載ECU20には、更に、リモート操作される車載機器を駆動するためのアクチュエータ50が接続されている。このアクチュエータ50としては、ウィンドウやスライドルーフを開閉するアクチュエータ、スライドドアなどの各種車両ドアを開閉するアクチュエータ、車両ドアをロック・アンロックするアクチュエータ、ハザードランプやルームランプ,ヘッドランプなどのランプ類を点灯・消灯するアクチュエータ、エアコンをオン・オフするアクチュエータ、及びホーンやブザー,スピーカなどを駆動するアクチュエータなどがある。車載ECU20は、後に詳述する如く、操作端末12の操作に従って車載機器の駆動要求がなされた場合に、その車載機器に対応するアクチュエータ50に対してその機能を発揮させるための指令信号を供給して、その車載機器を駆動する。
【0030】
操作端末12は、電子制御ユニット(以下、携帯ECUと称す)60を備えている。携帯ECU60は、コンピュータを搭載し、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。携帯ECU60は、自操作端末12に対応する車両(車載機10)の電話番号及び自操作端末12のメールアドレスや電話番号を含む識別情報並びに上記したセンタ14の電話番号などを格納する記憶装置を有している。携帯ECU60には、データ通信アンテナを有する送受信機62が接続されている。送受信機62は、所定の通信ネットワークを通じてセンタ14と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機62は、操作端末12側の情報を通信ネットワークを介してセンタ14へ送信する機能、及び、センタ14から通信ネットワークを介して送信される情報を操作端末12に受信する機能を有している。携帯ECU60は、送受信機62との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0031】
携帯ECU40には、車両使用者により手動入力操作されると共に、車両使用者へ向けて表示出力や音声出力を行う入出力部64が接続されている。操作端末12は、webブラウザを有しており、入出力部64への入力操作により通信ネットワークを介して外部のwebサーバーに蓄積されたファイルやデータ等を閲覧可能であり、センタ14の提供する各種の情報例えば後述の車載機器のリモート操作を要求するためのweb画面を取得可能である。
【0032】
センタ14は、高速演算可能なホストコンピュータ70を備えている。ホストコンピュータ70は、ROMなどの記憶装置に予め格納されたソフトウェアプログラムに従って動作する。ホストコンピュータ70には、大容量のデータベース72が接続されている。データベース72には、センタ14を利用する利用者である車両の正規使用者の識別情報や操作端末12のメールアドレス,電話番号及び車両の識別情報や電話番号などの顧客情報が格納されている。
【0033】
センタ14には、データ通信アンテナを有する送受信機74が接続されている。送受信機74は、所定の通信ネットワークを通じて車載機10及び操作端末12と無線通信を行うことが可能となっている。送受信機74は、センタ14側の情報を通信ネットワークを介して車載機10及び操作端末12へ送信する機能、並びに、車載機10及び操作端末12から通信ネットワークを介して送信される情報をセンタ14に受信する機能を有している。センタ14のホストコンピュータ70は、送受信機74との間で送信データ及び受信データの授受を行う。
【0034】
以下、本実施例の遠隔操作システムの動作について説明する。本実施例において、車両使用者は、特に車両から離れた地点で、盗難防止等のため車両ドアのウィンドウを完全に若しくはある程度閉め若しくは車両ドアをロックさせること、車室内温度の上昇抑制等のためウィンドウをある程度若しくは完全に開けること、搭乗等のため車両ドアをアンロックさせること、灯火類を点灯若しくは消灯することなどを希望する場合、操作端末12の入出力部64を操作してwebブラウザを起動させる。
【0035】
センタ14は、操作端末12の操作によって遠隔的に車両の有する車載機器を駆動させるのに必要なリモート操作を要求するためのフォーマットを格納している。操作端末12は、webブラウザを起動した状態で車両使用者が所定操作を行うことによりセンタ14と通信ネットワークを介して無線通信接続して、センタ14の有するリモート操作を要求するためのweb画面を提供するようにセンタ14に要求する。センタ14は、操作端末12から要求された場合、リモート操作を要求するためのweb画面を操作端末12に提供する。操作端末12は、上記処理に従ってセンタ14からリモート操作を要求するためのweb画面を取得する。
【0036】
このweb画面には、操作端末12の操作によって遠隔制御することが可能なリモート操作の項目が設けられている。操作端末12は、遠隔制御可能な車載機器のリモート操作の項目ごとに設けられたチェックボックスにおけるチェックの有無に基づいて、何れの車載機器の遠隔駆動が車両使用者に希望されているか否かを判別する。操作端末12は、車両使用者による操作によって上記何れかのチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、そのチェックに対応する車載機器の遠隔駆動が希望されていることをセンタ14に通知すべくそのリモート操作要求情報をセンタ14に対して送信する。
【0037】
センタ14は、リモート操作を要求するためのweb画面を操作端末12に提供した後に、その操作端末12から送信されるリモート操作要求情報を受信した場合、操作端末12における操作によって特定の車載機器の遠隔駆動が要求されていることを示すリモート操作要求情報を車載機10に対して送信する。車載機10は、センタ14から送信されるリモート操作要求情報を受信した場合、そのリモート操作要求に応じた車載機器の駆動を実行する。
【0038】
このように本実施例の遠隔操作システムにおいては、車載機器の駆動は、操作端末12が操作されることによってセンタ14を介して遠隔的に行われる。このため、車両使用者は、車両に搭乗していなくてもまた車両近傍に位置しなくても車両から離れた場所において車載機器を駆動させることが可能である。従って、本実施例のシステムによれば、各種のアクチュエータ50による車載機器の駆動を遠隔的なリモート操作によって実現することが可能となっている。
【0039】
ところで、車載機器のリモート操作が、操作端末12が車両使用者に操作されるごとに常に行われるものとすると、その操作端末12を操作する車両使用者は車室内や車両周辺の状況を把握することができないため、車室内や車室外の車両近傍に人が存在する場合には安全上問題となるおそれがある。例えば、上記の如く、セキュリティモード時に行為検出センサ30を用いて車両に対する不正行為が検出された場合、その不正行為の発生を車両周囲の人に知らせ或いはその不審者を威嚇すべくセキュリティアラーム32が駆動されるが、かかる場合には車両侵入者や不審者が車室内又は車室外の車両近傍に存在すると判断できるので、ドアロックやウィンドウ閉など、駆動によってそれらの人に危険を伴った影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を許可し実行することは安全上好ましくない。
【0040】
また、上記の如く、車載機10がイグニションオフかつアクセサリオフ後、車室外の所定領域に向けて車両使用者の所持するトランスミッタの応答を要求する信号を送信した結果として、自車両に対応するトランスミッタがその領域に存在すると判別されることがあるが、かかる場合には正規の車両使用者が車室外近傍にいると判断できる。また、イグニションキーシリンダに車両キーが差し込まれているにもかかわらずその車両キーのIDコードと予め自車両に登録されているIDコードとの照合結果が照合不一致となる場合には、エンジンの始動が禁止されるが、かかる場合には不審者又は車両侵入者が車室内にいると判断できる。また、車室内やウィンドウ越しの車室外の状況がカメラ24を用いて撮影されるが、このカメラ24による撮像画像の画像処理の結果として人や動物などが映っているときには、車室内又はウィンドウ越しの車室外近傍に人などが存在すると判断できる。また、ドップラセンサ34を用いて自車両周辺で自車両に接近する人などの物体の有無が検出されるが、自車両に接近する物体が存在すると検知されるときには、人などが車室外で自車両に近づきつつあると判断できる。
【0041】
更に、上記の如く、各車両ドアのウィンドウについて開閉位置センサ36を用いてその絶対的な開閉位置が検出されるが、一般的にパワーウィンドウは車両のイグニションがオンとならない限り作動しないので、従って、イグニションがオフに維持されておりオンとなっていないにもかかわらず、ウィンドウが、前回イグニションがオンからオフへ切り替わった時点での開閉位置から特に開方向にずれているときには、不正に車室内に侵入し或いは車室外から侵入しようとしている人が存在すると判断できる。従って、これら何れかの状況において、正規の車両使用者(正規の車両使用者が複数人存在するときもあり、そのときは何れか一人でもよい。)による操作端末12の操作に従って、ウィンドウ閉やドアロックなど、駆動によって人に影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を許可し実行することは安全上好ましくない。
【0042】
また、車両修理等のため、修理工場やサービスステーションの整備士などによりタイヤホイール締結用のナットが外され或いはボンネットが開けられることがある。また、タイヤ空気圧が極端に低下したときなどは、運転者は修理工場などに車両の修理を依頼することが一般的である。このため、これらの現象が生じているときは、車室外の車両近傍や車室内に整備士などが存在する可能性が極めて高くなる。更に、燃料補給のためフューエルリッドが開けられることがあるが、かかる場合には車室外の車両近傍にガソリンスタンドの店員などがいる可能性が極めて高くなる。従って、これら何れかの状況において、正規の車両使用者による操作端末12の操作に従って、ウィンドウ閉やドアロックなど、駆動によって整備士やガソリンスタンドの店員などに影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を許可し実行することは安全上好ましくない。
【0043】
そこで、本実施例のシステムは、かかる点を考慮して車載機器のリモート操作を車両での安全性を確保しつつ適切に行う点に特徴を有している。以下、図2及び図3を参照して、本実施例の特徴部について説明する。
【0044】
図2は、本実施例の遠隔操作システムにおいて実行されるフローチャートを示す。また、図3は、本実施例の遠隔操作システムにおいて車載機10が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、本実施例の遠隔操作システムにおいて、車載機10、操作端末12、及びセンタ14はそれぞれ、以下に示す機能を実現するためのプログラムをROM等に有し、そのプログラムに従って動作する。これらの各プログラムは、CDやDVD,ハードディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることが可能である。
【0045】
本実施例において、車両使用者が特定の車載機器のリモート操作を希望して、操作端末12の入出力部64を操作してwebブラウザを起動させ、センタ14にそのリモート操作を要求するためのweb画面を提供するように要求すると、センタ14は、その要求に応答して、リモート操作を要求するためのweb画面をその操作端末12に提供する。操作端末12は、センタ14から提供されるリモート操作要求のためのweb画面を取得した後、車両使用者による入力操作に従ってweb画面上でそのリモート操作に関するチェックボックスにチェックが入った状態で送信要求がなされると、そのリモート操作を要求する旨の情報を送受信機62からセンタ14へ向けて送信する(ステップ100)。センタ14は、操作端末12からのリモート操作要求情報を送受信機74で受信した場合、その操作端末12の識別情報からその操作端末12に対応する車両(車載機10)の情報を読み出して、その車載機10宛てにリモート操作が要求されていることを示す情報を送信する(ステップ110)。
【0046】
車載機10は、操作端末12からセンタ14を介して送信されるリモート操作要求情報を送受信機20で受信した場合(ステップ120における肯定判定時)、まず、そのリモート操作要求情報からリモート操作が要求されている車載機器を特定し(ステップ122)、その特定した車載機器のリモート操作を実行するうえで必要な前提条件が成立するか否かを判別する(ステップ124)。車載機器のリモート操作を実行するうえで必要な前提条件は、車載機器ごとに異なるものとしてもよいが、その駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器(例えば、ウィンドウ閉やドアロックなど)については、車載機10におけるリモート操作要求情報の受信時点で以下に示す前提条件が成立する場合にのみリモート操作が許可され、何れかの前提条件が成立しない場合にはそのリモート操作が禁止される。
【0047】
具体的に前提条件としては主に、(1)行為検出センサ30による不正行為検知に起因したセキュリティアラーム32の駆動が行われていないこと、(2)自車両に対応するトランスミッタが車室外の所定領域に存在していないこと、(3)イグニションキーシリンダに差し込まれた車両キーのID照合がコード不一致とならないこと、(4)カメラ24による撮像画像内に人などの物体が映っていないこと、(5)ドップラセンサ34を用いて自車両に接近する物体の存在が検知されていないこと、(6)開閉位置センサ36を用いてウィンドウについて前回イグニションがオンからオフへ切り替わった時点での開閉位置からのずれが検知されていないこと、(7)ナット外れセンサ38を用いてタイヤホイール締結用ナットの外れが検知されていないこと、(8)タイヤ空気圧センサ40を用いてタイヤ空気圧の所定値以下への低下が検出されていないこと、(9)ボンネットスイッチ42を用いてボンネットの開が検知されていないこと、及び(10)フューエルリッドスイッチ44を用いてフューエルリッドの開が検知されていないことにより、車室内や車室外の車両近傍に人が存在しないことである。
【0048】
車載機10は、センタ14からのリモート操作要求情報を受信した場合、そのリモート操作が要求されている車載機器がその駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性の極めて低い車載機器であるときには(例えば、ハザードランプなどの点灯やホーンなどの吹鳴など)、上記(1)〜(10)の前提条件の成立有無に関係なく、その車載機器のリモート操作をアクチュエータ50を駆動して実行する(ステップ126)。
【0049】
また、センタ14からのリモート操作要求情報を受信した場合において、そのリモート操作が要求されている車載機器がその駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器であるときには、その受信時点で上記(1)〜(10)の何れの前提条件も成立すると判別する場合(ステップ124における肯定判定時)には、その車載機器のリモート操作をアクチュエータ50を駆動して実行する(ステップ126)。
【0050】
一方、リモート操作が要求されている車載機器がその駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器である状況において、その受信時点で上記(1)〜(10)の何れかの前提条件が成立しないと判別する場合(ステップ124における否定判定時)には、リモート操作が要求された車載機器に対応するアクチュエータ50の駆動を行わず、その車載機器のリモート操作を禁止する(ステップ128)。例えば、リモート操作要求情報の受信時に、セキュリティアラーム32が駆動されているとき、キー挿入センサ26がイグニションキーシリンダへの車両キーの挿入を検知しているにもかかわらずIDコードの照合が不一致であるとき、ドップラセンサ34が車両への物体の接近を検知しているとき、開閉位置センサ34を用いて検出されるウィンドウの開閉位置が前回イグニションオフ時のものからずれているとき、或いは、ナット外れセンサ38がタイヤホイール締結用のナットの外れを検知しているときは、車室内や車室外の車両近傍に人が存在する可能性が極めて高いと判断して、リモート操作要求された、駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を禁止する。
【0051】
このようにリモート操作の要求された車載機器のリモート操作が禁止された場合には、車載機10は、要求された車載機器のリモート操作が前提条件不成立により行われなかったことを車両使用者に知らせるべく、そのことを示す情報(操作NG応答)をメール等で送受信機20を用いてセンタ14へ送信する(ステップ130)。センタ14は、操作端末12からのリモート操作要求情報を対応する車載機10へ送信した後に、その車載機からの操作NG応答情報を送受信機74で受信した場合、リモート操作が要求されていた車載機器のリモート操作が前提条件不成立により行われなかったことを示す操作NG応答情報をメール等で、その対応する操作端末12宛てに送信する(ステップ112)。操作端末12は、センタ14を経由した車載機10からの操作NG応答情報を送受信機62で受信した場合、要求した車載機器のリモート操作が前提条件不成立により行われなかったことを入出力部64のディスプレイに表示し或いは入出力部64のスピーカなどから音声・ブザー出力する。尚、車載機10は、要求された車載機器のリモート操作が正常に完了した場合には、その完了の旨を示す操作OK応答情報をセンタ14を経由して操作端末12に対して通知することとしてもよい。
【0052】
このように本実施例の遠隔操作システムにおいては、操作端末12の操作に従って車載機器のリモート操作が要求された場合、車載機10がそのリモート操作の要求を受けた時点で各種のセンサやスイッチなどを用いて車室内や車室外の車両近傍に整備士や不審者などの人が存在することが検知されないときには、車載機10がその車載機器のリモート操作を許可することにより、車両においてその車載機器の駆動が実行される。一方、上記の時点で車室内や車室外の車両近傍に整備士や不審者などの人が存在することが検知されるときには、車載機10が車載機器のリモート操作を制限し、具体的には、リモート操作が要求された車載機器が駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器でないときには、その車載機器のリモート操作を許容するが、リモート操作が要求された車載機器が駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器であるときには、その車載機器のリモートを禁止する。
【0053】
かかる構成においては、車両使用者が操作端末12を操作して車載機器のリモート操作を要求した場合にも、車室内や車室外の近傍に人が存在するときには、駆動によって車室内や車室外の車両近傍にいる人に影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を規制することができる。この場合、車室内や車室外の人に対して不意に車載機器のリモート操作に起因する影響が及ぶことは回避される。従って、本実施例によれば、車載機器のリモート操作を車室内や車室外近傍の人に対する安全性を確保した適切な状況下でのみ実行することが可能となっている。
【0054】
尚、上記の実施例においては、車載機10の車載ECU22が、上記(1)〜(10)の前提条件すべてが成立するか否かに基づいて車室内又は車室外の車両近傍に人が存在するか否かを判別することにより特許請求の範囲に記載した「人判別手段」が、図3に示すルーチン中ステップ128の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「リモート操作規制手段」が、それぞれ実現されている。
【0055】
ところで、上記の実施例においては、車載機10がセンタ14からのリモート操作要求情報を受信した時点で何れかの前提条件が成立しない場合に、その車載機器のリモート操作を禁止することとしているが、何れかの前提条件が成立状態にあっても、未だ車室内や車室外の車両近傍に人が存在する可能性が高いもの(例えば、セキュリティアラーム32の吹鳴条件など)についてはその条件不成立の履歴が残っているときは、その車載機器のリモート操作を禁止することとしてもよい。かかる構成によれば、確実に車室内や車室外の人に対して不意に車載機器のリモート操作に起因する影響が及ぶのを回避でき、そのリモート操作を安全性を確保しつつ適切に実行することが可能となる。尚、上記の条件不成立の履歴をクリアする条件としては、イグニションスイッチがオン状態となったことや履歴保持後に一定時間が経過したことなどがある。
【0056】
また、上記の実施例においては、車室内や車室外の車両近傍に人が存在する可能性のあるときには、駆動によってその人に影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作を禁止することとしているが、完全なる禁止に限らず、その車載機器のリモート操作を制限・規制することとしてもよい。例えば車室内に人が存在する場合は、操作端末12の操作に基づくリモートドアロックを許可するが、そのリモートドアロックが行われた後は、通常のドアロック操作とは異なり、車室内のドアノブがドア開放操作されたときにドアロックの解除操作なしにドアが開放されるようにしてもよい。これは、かかる構成によれば、車室内でドアロックの解除操作を行うことが困難な幼児などが取り残された状況で車両使用者が誤って操作端末12を操作してドアロックさせたときにも、ドアロックの解除操作なしにその幼児などが車外へ出ることが可能となるからである。
【0057】
また、例えば、操作端末12の操作に基づくウィンドウ閉又は閉のリモート操作が行われる状況では、通常のスイッチ操作時と比べてウィンドウの開閉動作速度を遅くし、或いは、通常のスイッチ操作時はウィンドウの開又は閉を全閉位置から全開位置まで若しくは全開位置から全閉位置まで連続して行うのに対して、ウィンドウの開閉を予め定められた中途の位置で一旦停止させ、その後所定時間経過後にウィンドウの開閉を再開するなどして、ウィンドウ開閉の制御状態をリモート操作時と通常操作時とで異ならせることとしてもよい。これは、かかる構成によれば、リモート操作に基づくウィンドウ開閉の制御が通常の制御と同じである場合と比べて、車室内にいる人や車両周囲にいる人がリモートウィンドウ開閉に対応し易くなるので、従って、車室内や車室外の人に対する安全性を配慮して適切にウィンドウの遠隔開閉を実行することが可能となるからである。
【0058】
また、例えば、駆動によって車室内や車室外の人に影響が及ぶ可能性のある車載機器のリモート操作が要求された後、その車載機器のリモート操作が実行される前に、車室内又は車両周辺に対してその車載機器のリモート操作が行われることをホーンやブザー等により事前報知や音声出力することとしてもよい。これは、かかる構成によれば、車室内の人や車両周囲の人に予告もなしに車載機器のリモート操作が行われることはなく、その旨の注意喚起が事前になされるので、その車載機器のリモート操作に起因した影響が車室内や車両周囲の人に及ぶのを回避することができ、その車載機器のリモート操作を安全性の著しい低下を招来させることなく適切に実行させることが可能となるからである。
【0059】
また、上記の実施例においては、車載機10に車室内や車室外に人が存在するか否かを判別させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、センサやスイッチなどの車室内や車室外における人の存在有無に関する情報を車載機10からセンタ14へ送信したうえで、センタ14にその人が存在するか否かを判別させることとしてもよい。この構成においては、図4に示す如く、センタ14において車室内や車室外の車両近傍に人が存在することが検知されたときには、センタ14から車載機10へリモート操作要求情報を送信・供給しないことにより車載機器のリモート操作を禁止することとすればよい。かかる構成によれば、操作端末12側から特定の車載機器のリモート操作が要求されても、センタ14から車載機10へリモート操作要求情報が送信されないことがあるので、上記の実施例の構成に比べて通信費の削減が図られることとなる。この場合には、センタ14が車載機10からの情報に基づいて車室内や車室外の車両近傍に人が存在することを検知したときに車載機10へリモート操作要求情報を送信・供給しないことにより特許請求の範囲に記載した「リモート操作規制手段」が実現される。
【0060】
尚、センタ14が操作端末12側から要求された車載機器のリモート操作を禁止した場合には、要求された車載機器のリモート操作が前提条件不成立により行われなかったことを車両使用者に知らせるべく、そのことを示す操作NG応答情報をメール等でその操作端末12宛てに送信することとすればよい。この場合には、特定の車載機器のリモート操作を要求したユーザに、そのリモート操作が前提条件不成立により行われなかったことを、上記の実施例の構成に比べて速やかに知らせることが可能となる。
【0061】
また、上記の実施例においては、遠隔操作システムを、車両に搭載される車載機10と、車両使用者に携帯される操作端末12と、情報管理を行うセンタ14とにより構成するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、センタ14を有さない車載機10と操作端末12とにより構成されるシステムに適用することとしてもよい。
【0062】
更に、上記の実施例においては、操作端末12を車両使用者が携帯・所持するものとしたが、車両使用者が携帯・所持するものではない公衆電話や自宅の固定電話,コンビニエンスストア等に設置されている情報端末機等を用いることとしてもよい。この場合は、操作端末12がセンタ14と通信接続した状態で予め定められた所定のボタン入力が行われることによって操作端末12からセンタ14を通じて車載機10へリモート操作を要求するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例である遠隔操作システムの構成図である。
【図2】本実施例の遠隔操作システムにおいて実行されるフローチャートである。
【図3】本実施例の遠隔操作システムにおいて車載機が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図4】本発明の変形例の遠隔操作システムにおいて実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 車載機
12 操作端末
14 センタ
50 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両使用者による操作端末の操作に従って該操作端末から車両に対して車載機器の駆動要求がなされることにより、該車載機器をリモート操作する遠隔操作システムであって、
車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別する人判別手段と、
前記人判別手段により車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別される場合に、前記車載機器のリモート操作を禁止又は制限するリモート操作規制手段と、
を備えることを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
前記人判別手段は、車両盗難防止のためのアラームが吹鳴しているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記人判別手段は、車両使用者の携帯する車両用携帯機が車両との無線通信により所定の車室外エリア内で検知されるか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記人判別手段は、キーシリンダに車両キーが挿入されている状況で該車両キーと車両との無線通信によるID照合がとれない場合に車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記人判別手段は、車室内又は車室外近傍を撮影するカメラの撮像画像に基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記人判別手段は、車両に配設されたドップラセンサを用いて車両に接近する移動物体が検知されるか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記人判別手段は、車両のウィンドウ位置がイグニションオフ状態で開方向へずれているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記人判別手段は、車両のタイヤホイール又はタイヤホイールナットが取り外されているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記人判別手段は、車両のタイヤ空気圧が所定値以下に低下しているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項10】
前記人判別手段は、車両のボンネットが開いているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項11】
前記人判別手段は、車両のフューエルリッドが開いているか否かに基づいて車室内又は車室外近傍に人が存在するか否かを判別することを特徴とする請求項1記載の遠隔操作システム。
【請求項12】
前記リモート操作規制手段は、車載機器の駆動要求がなされた時点で前記人判別手段により車室内又は車室外近傍に人が存在すると判別される場合に、該車載機器のリモート操作を禁止又は制限することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項記載の遠隔操作システム。
【請求項13】
前記リモート操作規制手段は、駆動が車室内又は車室外近傍に存在する人に影響を及ぼす可能性の高い前記車載機器のリモート操作のみを禁止することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項記載の遠隔操作システム。
【請求項14】
前記リモート操作規制手段は、車両に設けられていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項記載の遠隔操作システム。
【請求項15】
前記車載機器のリモート操作は、車両使用者による操作端末の操作に従って該操作端末からセンタを介して車両に対して車載機器の駆動要求がなされることにより実現されると共に、
前記リモート操作規制手段は、センタに設けられていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項記載の遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−315462(P2006−315462A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137806(P2005−137806)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】