説明

遠隔操作装置

【課題】操作者が、マニピュレータの出力動作を容易に連想及び体感しながら入力動作を行うことができる遠隔操作装置を提供すること。
【解決手段】重力方向に対する姿勢及び回動動作が入力される第一入力部10と、第一入力部10に対して回転可能に接続されて、重力方向に対する姿勢及び第一入力部10に対する回転動作が入力される第二入力部11と、第一入力部10又は第二入力部11に対して移動可能に接続されて、第一入力部10又は第二入力部11に対する移動動作が入力される第三入力部12と、入力動作を第一入力部10又は第二入力部11の何れか一方に規制する入力切換スイッチ(入力切換部)13と、加速度センサ(加速度検出部)15と、入力動作を腕部に対する手先部の回動方向及び回動角度に変換し、入力動作を手先部の移動方向及び移動距離に変換し、並びに、入力動作を把持部の開閉量に変換する制御部17と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作型ロボットマニピュレータのための遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔操作型ロボットマニピュレータは、遠隔地から作業を遂行するシステムとして原子力発電所、宇宙などの極限環境や、手術支援などの医療分野に応用されており、その操作は訓練を受けた各分野における専門家によってなされている。このため、マニピュレータ操作の入力デバイスである遠隔操作装置には、目的とする作業を効率的に行える構成となっていることが第一に求められている。
【0003】
遠隔操作型ロボットマニピュレータの操作方法は、マスター(入力デバイス)とスレーブ(ロボットマニピュレータ)とが同じ構造を持つ同構造タイプと、異なる構造を持つ異構造タイプと、に大別される。同構造タイプは、マスターの動作が直接スレーブの動作に置き換えられるため、操作者にとって直感的に分り易い反面、マスター側に複雑な機構を必要とし、大型で高価となる。このため、マスター側にジョイスティックを使用する異構造タイプが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−288872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のジョイスティックを使用する遠隔操作装置では、機構が比較的単純で小型化が容易である反面、マスターであるジョイスティックの入力動作を、スレーブであるマニピュレータの動作に直接置き換えることができない。また、入力操作はジョイスティックを倒す、ボタンを押す程度のものであり、運動負荷がほとんどない。そのため、操作者がマスターへの入力動作からスレーブの出力動作を連想及び体感することが難しく、操作方法の学習を要する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、操作者が、マニピュレータの出力動作を容易に連想及び体感しながら入力動作を行うことができる遠隔操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る遠隔操作装置は、入力動作に基づき、腕部と、該腕部の先端に配されて前記腕部に対して回動する手先部と、該手先部に接続されて開閉する把持部と、を備えるマニピュレータの出力動作を指示する遠隔操作装置であって、重力方向に対する姿勢及び回動動作が入力される第一入力部と、前記第一入力部に対して回転可能に接続されて、重力方向に対する姿勢及び前記第一入力部に対する回転動作が入力される第二入力部と、
前記第一入力部又は前記第二入力部に対して移動可能に接続されて、前記第一入力部又は前記第二入力部に対する移動動作が入力される第三入力部と、前記第一入力部及び前記第二入力部からの入力を何れか一方に規制する入力切換部と、重力方向を検知する加速度検出部と、前記第一入力部の前記姿勢及び前記回動動作を前記腕部に対する前記手先部の回動方向及び回動角度に変換し、前記第二入力部の前記姿勢及び前記回転動作を前記手先部の移動方向及び移動距離に変換し、並びに、前記第三入力部の前記移動動作を前記把持部の開閉量に変換する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る遠隔操作装置は、前記遠隔操作装置であって、前記第一入力部が、輪状に形成されて把持される本体を備え、前記第二入力部が、前記本体に対して回転する回転操作部と、該回転操作部の回転量を検出する回転量検出部と、重力方向をZ軸方向としたときに、Y−Z平面上で前記回転操作部の回転操作を行う姿勢と、Z−X平面上で前記回転操作部の回転操作を行う姿勢と、を前記制御部に認識させる姿勢切換部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る遠隔操作装置は、前記遠隔操作装置であって、前記制御部が、前記第一入力部及び前記第二入力部の重力方向に対する姿勢を判別する状態判定部と、前記第一入力部の前記姿勢及び前記回動動作から、前記腕部に対する前記手先部の回動方向及び回動角度を算出する回動量算出部と、前記第二入力部の前記姿勢及び前記回転動作から、前記手先部の移動方向及び移動距離を算出する移動量算出部と、前記第三入力部の移動動作から、前記把持部の開閉量を算出する開閉量算出部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る遠隔操作装置は、前記遠隔操作装置であって、前記入力動作の際に、前記第一入力部、前記第二入力部、及び前記第三入力部が、それぞれ運動負荷を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る遠隔操作装置は、前記遠隔操作装置であって、前記マニピュレータが撮像される撮像部と、撮像された前記マニピュレータの出力動作を表示する表示部と、を備え、前記制御部が、前記入力動作の際に、前記第一入力部及び前記第二入力部の重力方向に対する前記姿勢を示す画像と、前記回動動作又は前記回転動作を示す画像と、を前記マニピュレータとともに仮想的に前記表示部に表示させる画像生成部を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る遠隔操作装置は、前記遠隔操作装置であって、前記姿勢、前記回動動作、前記回転動作、及び前記移動動作を表す情報を前記制御部に伝送する無線通信部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作者が、マニピュレータの出力動作を容易に連想及び体感しながら入力動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置からの動作が出力されるマニピュレータを示す概要図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置を示す概要図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置の要部を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置の操作時における表示部の状態を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置の操作時における表示部の状態を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置の操作時における表示部の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置の入力動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る一実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
本実施形態に係る遠隔操作装置1は、腕部2と、腕部2の先端に配されて腕部2に対して回動する手先部3と、手先部3に接続されて開閉する把持部5と、を備える、図1に示すようなマニピュレータ6の出力動作を入力動作に基づき指示する遠隔操作装置である。
【0016】
この遠隔操作装置1は、さらに図2及び図3にも示すように、所定の入力動作がそれぞれ入力される第一入力部10と、第二入力部11と、第三入力部12と、第一入力部10及び第二入力部11からの入力を何れか一方に規制する入力切換スイッチ(入力切換部)13と、重力方向を検知する加速度センサ(加速度検出部)15と、電源部16と、制御部17と、各入力部10,11,12に入力されたそれぞれの入力動作を制御部17に伝送する無線通信部18と、マニピュレータ6が撮像されるカメラ(撮像部)20と、撮像されたマニピュレータ6の出力動作を表示する表示部21と、を備えている。
【0017】
第一入力部10は、互いに直交する中心軸線C1,C2,C3に対して、中心軸線C3回りに輪状に形成された本体22を備えている。そして、本体22の重力方向に対する姿勢と、その姿勢における中心軸線C1、中心軸線C2、又は中心軸線C3回りの本体22の回動動作と、が、入力動作として入力される。加速度センサ15、電源部16、及び無線通信部18は、本体22に配された箱体23内に収容されている。
【0018】
第二入力部11は、第一入力部10の本体22に対して回転する操作ハンドル(回転操作部)25と、操作ハンドル25の回転量を検出するロータリーエンコーダ(回転量検出部)26と、姿勢切換スイッチ(姿勢切換部)27と、を備えている。
【0019】
操作ハンドル25は、第一入力部10の本体22に回転可能に接続されている。そして、本体22の重力方向に対する姿勢、すなわち、重力方向と本体22の中心軸線C1、中心軸線C2、又は中心軸線C3の何れかを一致させた状態と、その姿勢での操作ハンドル25の回転方向及び回転角度が、第二入力部11の入力動作として入力される。
【0020】
姿勢切換スイッチ27は、第一入力部10の裏面に配された突出部28に配されている。そして、図2に示す座標軸に対して、重力方向をZ軸方向としたとき、第一入力部10の本体22の中心軸線C1をZ軸と一致させたときに、Y−Z平面と本体22とが平行状態で操作ハンドル25を回転操作する姿勢、すなわち、図2に示す座標軸に対して第一入力部10の本体22をZ軸回り(中心軸線C1回り)に90度回転して、図3に示す状態にて操作ハンドル25の回転操作を行う姿勢と、図2に示す状態、すなわち、Z−X平面と本体22とが平行状態で操作ハンドル25の回転操作を行う姿勢と、を制御部17に区別して認識させる。
【0021】
ここでは、Y−Z平面と本体22とが平行状態にて操作ハンドル25の回転操作を行う際に、姿勢切換スイッチ27をONにして操作する。これにより、Z−X平面と本体22とが平行状態で操作ハンドル25の回転操作を行う姿勢と区別している。なお、何れかの方向での操作を識別できればよいので、姿勢切換スイッチ27のON/OFF状態により識別される姿勢が、上記の場合とは逆であっても構わない。
【0022】
第三入力部12は、不図示の可変抵抗器と接続された状態で、第一入力部10の本体22に対して移動可能に接続されている。そして、第一入力部10に対して平行移動させる動作が、可変抵抗器の抵抗値の変化となって入力される。
【0023】
入力切換スイッチ13は、第一入力部10の本体22に配されており、入力切換スイッチ13がONの状態で第一入力部10の入力動作を行うことにより、第二入力部11からの入力を規制して第一入力部10からの入力を制御部17に伝送する。入力切換スイッチ13がOFFの状態で操作ハンドル25を回転させたときには、第一入力部10からの入力を規制して第二入力部11からの入力を制御部17へ伝送する。なお、入力切換スイッチ13のON/OFF状態により規制される入力動作は、上記の場合とは逆であっても構わない。
【0024】
制御部17は、機能モジュールとして、状態判定部30と、回動量算出部31と、移動量算出部32と、開閉量算出部33と、画像生成部35と、を備えて、第一入力部10の姿勢及び回動動作を腕部2に対する手先部3の回動方向及び回動角度に変換し、第二入力部11の姿勢及び操作ハンドル25の回転動作を手先部3の移動方向及び移動距離に変換し、並びに、第三入力部12の移動動作を把持部5の開閉量に変換する。
【0025】
状態判定部30は、第一入力部10及び第二入力部11の重力方向に対する姿勢を判別する。回動量算出部31は、第一入力部10の本体22の姿勢及び回動動作から、腕部2に対する手先部3の回動方向及び回動角度を算出する。移動量算出部32は、第二入力部11の姿勢及び操作ハンドル25の回転動作から、手先部3の移動方向及び移動距離を算出する。開閉量算出部33は、第三入力部12の移動動作から、把持部5の開閉量を算出する。画像生成部35は、入力動作の際に、第一入力部10及び第二入力部11の重力方向に対する姿勢を示す画像と、第一入力部10の回動動作又は操作ハンドル25の回転動作を示す画像として、第一入力部10及び第二入力部11とマニピュレータ6とを接続する仮想的な連結機構の画像と、をそれぞれマニピュレータ6の近傍に仮想的に表示部21に表示させる。
【0026】
ここで、第一入力部10の自重や、操作ハンドル25の回転抵抗、また、第三入力部12を移動する際の可変抵抗器の操作抵抗が、各入力動作を行う際の運動負荷となる。
【0027】
次に、本実施形態に係る遠隔操作装置1の作用について、図4から図7も参照しながら説明する。
【0028】
まず、操作開始時に、不図示の操作者が第一入力部10の本体22を両手で把持した状態における、加速度センサ15やロータリーエンコーダ26の出力値を制御部17が取得して初期値とする。そして、カメラ20に撮像されたマニピュレータ6の全体の画像I0を表示部21に表示させる。
【0029】
この状態で、まずは、手先部3を所望の位置まで移動する操作を行う。手先部3の位置を左右に水平移動させる場合には、第一入力部10の本体22の中心軸線C3が重力方向と平行になるように本体22の姿勢を決める。このとき、加速度センサ15が検知した重力との関係から、状態判定部30が第一入力部10の姿勢を判別する。そして、画像生成部35が、図4に示すように、第一入力部10及び第二入力部11の重力方向に対する姿勢を示す画像I1と、第一入力部10及び第二入力部11とマニピュレータ6とを接続する仮想的な連結機構の画像I2と、を生成して、表示部21におけるマニピュレータ6の近傍にそれぞれ仮想的に表示する。
【0030】
この表示部21の画像I0,I1,I2を見ながら、操作者は操作ハンドル25を本体22に対して時計回り又は反時計回りに回転する。このときの回転角度がロータリーエンコーダ26を経て、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに移動量算出部32によって手先部3の移動量に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として、手先部3が左又は右に水平移動する。
【0031】
次に、手先部3を手前方向又は奥行き方向に移動させる場合には、第一入力部10の本体22の中心軸線C1が重力方向と平行になるように本体22の姿勢を決める。このとき、加速度センサ15が検知した重力との関係から、状態判定部30が第一入力部10の姿勢を判別する。そして、画像生成部35が、図5に示すように、第一入力部10及び第二入力部11の重力方向に対する姿勢を示す画像I3と、第一入力部10及び第二入力部11とマニピュレータ6とを接続する仮想的な連結機構の画像I4と、を生成して、表示部21におけるマニピュレータ6の近傍にそれぞれ仮想的に表示する。
【0032】
この表示部21の画像I0,I3,I4を見ながら、操作者は操作ハンドル25を本体22に対して時計回り又は反時計回りに回転する。このときの回転角度がロータリーエンコーダ26を経て、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに移動量算出部32によって手先部3の移動量に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として、手先部3が手前方向又は奥行き方向に移動する。
【0033】
手先部3を重力方向を含む垂直上下方向に移動させる場合には、第一入力部10の本体22の中心軸線C1が重力方向と平行になるように本体22の姿勢を決める。このとき、さらに、姿勢切換スイッチ27をONとする。これにより、加速度センサ15が検知した重力方向ととともに、垂直方向の移動をすべきことを状態判定部30が認識する。
【0034】
そして、画像生成部35が、図6に示すように、第一入力部10及び第二入力部11の重力方向に対する姿勢を示す画像I5と、第一入力部10及び第二入力部11とマニピュレータ6とを接続する仮想的な連結機構の画像I6と、を生成して、表示部21におけるマニピュレータ6の近傍にそれぞれ仮想的に表示する。
【0035】
この表示部21の画像I0,I5,I6を見ながら、操作者は、姿勢切換スイッチ27のON状態を維持するよう突出部28を把持しながら、操作ハンドル25を本体22に対して、時計回り又は反時計回りに回転する。このときの回転角度がロータリーエンコーダ26を経て、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに移動量算出部32によって手先部3の移動量に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として手先部3が、上方向又は下方向に垂直移動する。
【0036】
こうして手先部3を所望の位置まで移動させた後、手先部3に対して把持部5を所定の方向に向けるために行う動作について次に説明する。
【0037】
把持部5の向きを腕部2に対してピッチ方向Pに移動させる場合には、まずは、入力切換スイッチ13をONの状態として、操作ハンドル25からの入力を規制する。そして、操作者は、図7に示すように、第一入力部10の本体22を把持した状態で中心軸線C2回りに所定角度に本体22を回動する。このときに加速度センサ15が検知する加速度の変化量が、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに回動量算出部31によって手先部3の回動方向及び回動角度に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として手先部3が腕部2に対してピッチ方向Pに回動する。
【0038】
把持部5の向きを腕部2に対してロール方向Rに移動させる場合には、操作者は、第一入力部10の本体22を中心軸線C1回りに所定角度に回動する。このときに加速度センサ15が検知する加速度の変化量が、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに回動量算出部31によって手先部3の回動方向及び回動角度に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として手先部3が腕部2に対してロール方向Rに回動する。
【0039】
把持部5の向きを腕部2に対してヨー方向Yに移動させる場合には、操作者は、第一入力部10の本体22を中心軸線C3回りに所定角度に回動する。このときに加速度センサ15が検知する加速度の変化量が、無線通信部18によって制御部17に伝送され、さらに回動量算出部31によって手先部3の回動方向及び回動角度に変換される。そして、実際にマニピュレータ6の出力動作として手先部3が腕部2に対してヨー方向Yに回動する。
【0040】
マニピュレータ6の把持部5を開閉操作する場合には、上記各場合において、第三入力部12を第一入力部10の本体22に対して移動する。このとき、把持部5が表示部21に拡大表示される。そして、第三入力部12の移動量が、可変抵抗器の抵抗値の変化となって無線通信部18を介して開閉量算出部33に伝送され、把持部5の開閉量に変換される。こうして、実際にマニピュレータ6の出力動作として、把持部5が所定距離だけ開閉する。
【0041】
この遠隔操作装置1によれば、本体22の中心軸線C3を重力方向と合わせて操作ハンドル25を操作することにより、例えば、自転車のペダルを漕ぐと前進するようなイメージにて、手先部3を右方向又は左方向に移動することができる。また、本体22の中心軸線C1を重力方向と合わせ、かつ、図2に示すように、本体22をZ−X平面と平行状態として操作することにより、ねじを回すようなイメージで手先部3を手前方向又は奥行き方向に移動することができる。さらに、本体22の中心軸線C1を重力方向と合わせ、かつ、本体22をY−Z平面と平行状態として、姿勢切換スイッチ27をONにした状態で操作ハンドル25を操作することにより、例えば、釣竿のリールを回すようなイメージで手先部3を上方向又は下方向に移動することができる。また、第一入力部10の本体22を把持して、ピッチ方向P、ロール方向R、及びヨー方向Yにそれぞれ回動することにより、腕部2に対して手先部3を同様に回動することができる。すなわち、第一入力部10及び第二入力部11による入力動作から、マニピュレータ6の出力動作を容易に連想させることができる。
【0042】
また、第一入力部10の本体22が輪状に形成されているので、本体22を把持しやすくなり、第二入力部11の操作ハンドル25の本体22に対する回転動作も容易に行うことができる。さらに、姿勢切換スイッチ27のON/OFF操作により、重力方向に対する第二入力部11の姿勢を明確に識別することができ、出力動作に対する入力動作をより正確に伝えることができる。
【0043】
ここで、第一入力部10の自重や、操作ハンドル25の回転抵抗、また、第三入力部12を移動する際の可変抵抗器の操作抵抗が、各入力動作を行う際の運動負荷となる。すなわち、各入力動作の際に適度な運動負荷を操作者に付与することができ、本装置1を操作者の運動に利用することもできる。
【0044】
また、制御部17が、画像生成部35を備えているので、操作者は、表示部21に表示された画像を見ながら、各入力部10,11,12による入力動作がマニピュレータ6に実際にどのように出力されるか、を容易に連想することができる。
【0045】
また、無線通信部18を備えているので、各入力部10,11,12と制御部17とが離れていても、入力動作を示す各種情報が、各入力部10,11,12から制御部17に伝送されて、マニピュレータ6を操作することができる。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第一入力部10の本体22が輪状に形成されているとしているが、この形状に限らず、第一入力部として上記入力動作が可能な形状であればよい。
【符号の説明】
【0047】
1 遠隔操作装置
2 腕部
3 手先部
5 把持部
6 マニピュレータ
10 第一入力部
11 第二入力部
12 第三入力部
13 入力切換スイッチ(入力切換部)
15 加速度センサ(加速度検出部)
17 制御部
18 無線通信部
21 表示部
22 本体
25 操作ハンドル(回転操作部)
26 ロータリーエンコーダ(回転量検出部)
27 姿勢切換スイッチ(姿勢切換部)
30 状態判定部
31 回動量算出部
32 移動量算出部
33 開閉量算出部
35 画像生成部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力動作に基づき、腕部と、該腕部の先端に配されて前記腕部に対して回動する手先部と、該手先部に接続されて開閉する把持部と、を備えるマニピュレータの出力動作を指示する遠隔操作装置であって、
重力方向に対する姿勢及び回動動作が入力される第一入力部と、
前記第一入力部に対して回転可能に接続されて、重力方向に対する姿勢及び前記第一入力部に対する回転動作が入力される第二入力部と、
前記第一入力部又は前記第二入力部に対して移動可能に接続されて、前記第一入力部又は前記第二入力部に対する移動動作が入力される第三入力部と、
前記第一入力部及び前記第二入力部からの入力を何れか一方に規制する入力切換部と、
重力方向を検知する加速度検出部と、
前記第一入力部の前記姿勢及び前記回動動作を前記腕部に対する前記手先部の回動方向及び回動角度に変換し、前記第二入力部の前記姿勢及び前記回転動作を前記手先部の移動方向及び移動距離に変換し、並びに、前記第三入力部の前記移動動作を前記把持部の開閉量に変換する制御部と、
を備えていることを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項2】
前記第一入力部が、輪状に形成されて把持される本体を備え、
前記第二入力部が、前記本体に対して回転する回転操作部と、
該回転操作部の回転量を検出する回転量検出部と、
重力方向をZ軸方向としたときに、Y−Z平面上で前記回転操作部の回転操作を行う姿勢と、Z−X平面上で前記回転操作部の回転操作を行う姿勢と、を前記制御部に認識させる姿勢切換部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記第一入力部及び前記第二入力部の重力方向に対する姿勢を判別する状態判定部と、
前記第一入力部の前記姿勢及び前記回動動作から、前記腕部に対する前記手先部の回動方向及び回動角度を算出する回動量算出部と、
前記第二入力部の前記姿勢及び前記回転動作から、前記手先部の移動方向及び移動距離を算出する移動量算出部と、
前記第三入力部の移動動作から、前記把持部の開閉量を算出する開閉量算出部と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記入力動作の際に、前記第一入力部、前記第二入力部、及び前記第三入力部が、それぞれ運動負荷を有することを特徴とする請求項1から3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記マニピュレータが撮像される撮像部と、
撮像された前記マニピュレータの出力動作を表示する表示部と、
を備え、
前記制御部が、前記入力動作の際に、前記第一入力部及び前記第二入力部の重力方向に対する前記姿勢を示す画像と、前記回動動作又は前記回転動作を示す画像と、を前記マニピュレータとともに仮想的に前記表示部に表示させる画像生成部を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記姿勢、前記回動動作、前記回転動作、及び前記移動動作を表す情報を前記制御部に伝送する無線通信部を備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載の遠隔操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−194510(P2011−194510A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63756(P2010−63756)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第10回社団法人計測自動制御学会システムインテグレ−ション部門講演会論文集(SI2009),社団法人計測自動制御学会,12月24日−26日,2009
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】