説明

遠隔監視システム

【課題】画像圧縮処理を不要にし、監視性能を低下させることなく、監視画像の蓄積効率を高める。
【解決手段】監視カメラで撮影した画像を画像伝送装置によって伝送し、この伝送されてきた画像を画像蓄積部で蓄積または画像閲覧装置でリアルタイムに閲覧する遠隔監視システムにおいて、画像蓄積部は、タイマによる時間管理の下に(S1,S5)、一定時間の画像蓄積継続(S2,S3)と、一定時間の画像蓄積停止(S4,S6)を繰り返す。
異なる時間間隔で画像蓄積継続と画像蓄積停止の処理を繰り返すこと、画像のフレーム単位の比較による画像変化の有無判定による監視画像蓄積の要否判定、画像認識技術を用いた監視画像蓄積の要否判定により、監視画像を蓄積することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ、画像伝送装置、画像蓄積部、画像閲覧装置等から成る遠隔監視システムに係り、特に画像蓄積部の画像蓄積方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の「遠隔監視システム」は、図3に示すように、監視カメラ1で撮影した画像を、画像伝送装置2によってネットワークを利用して伝送し、この伝送された画像を画像蓄積部3で蓄積または画像閲覧装置4でリアルタイムに閲覧することができる。画像蓄積部3による画像蓄積は、過去の画像も閲覧可能にする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
画像蓄積部3において、画像を蓄積する媒体は様々であるが、情報量の多い画像を蓄積できるビデオテープ、ハードディスク等が主流となっている。また、伝送・蓄積する画像の符号化方式も様々であり、例としてはMotion−JPEG方式、MPEG方式等が挙げられる。
【特許文献1】特開2000−059758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の技術における問題点としては、画像蓄積媒体の容量の有限化が挙げられる。画像蓄積部3で使用される主流媒体であるビデオテープやハードディスクの容量は有限であり、情報量の多い画像を常時蓄積状態で運用した場合、蓄積媒体が満杯になる周期で蓄積媒体の交換やバックアップ等の作業が必要になってしまう。よって、このように画像蓄積機能を持ったシステムにおいては、蓄積媒体の交換やメンテナンス作業の省力化が望まれる。
【0005】
前記の特許文献1では、蓄積部への画像データの蓄積を効果的に行うため、画像データを圧縮処理して蓄積しているが、これら圧縮処理のための複雑・高価なシステム構成と装置が必要となる。
【0006】
本発明の目的は、画像圧縮処理を不要にし、監視性能を低下させることなく、監視画像の蓄積効率を高めた遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するため、監視画像蓄積に際し、タイマによる画像蓄積の時間管理、画像のフレーム単位の比較による画像変化の有無判定による監視画像蓄積の要否判定、画像認識技術を用いた監視画像蓄積の要否判定により、監視画像を蓄積するようにしたもので、以下のシステムを特徴とする。
【0008】
(1)監視カメラで撮影した画像を画像伝送装置によって伝送し、この伝送されてきた画像を画像蓄積部に蓄積または画像閲覧装置でリアルタイムに閲覧する遠隔監視システムにおいて、
前記画像蓄積部は、タイマによる時間管理の下に、一定時間の画像蓄積継続と一定時間の画像蓄積停止を繰り返す手段、または異なる時間間隔で画像蓄積継続と画像蓄積停止の処理を繰り返す手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
(2)監視カメラで撮影した画像を画像伝送装置によって伝送し、この伝送されてきた画像を画像蓄積部に蓄積または画像閲覧装置でリアルタイムに閲覧する遠隔監視システムにおいて、
前記画像蓄積部は、監視画像のフレーム単位の比較により監視画像にある程度の変化があったと判定した時点から、または画像認識技術を用いた監視画像蓄積を必要と判定した時点から監視画像の蓄積を開始し、前記変化が続く間または監視画像の蓄積を必要と判定される間は画像蓄積を継続し、ある一定の時間に監視画像にある程度の変化が無いと判定したとき、または監視画像の蓄積を不要と判定したときに監視画像の蓄積を停止する処理を繰り返す手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、監視画像蓄積に際し、タイマによる画像蓄積の時間管理、画像のフレーム単位の比較による画像変化の有無判定による監視画像蓄積の要否判定、画像認識技術を用いた監視画像蓄積の要否判定により、監視画像を蓄積するようにしたため、画像圧縮処理を不要にし、監視性能を低下させることなく、監視画像の蓄積効率を高めることができる。具体的には、
実施形態1では、蓄積する時間と蓄積しない時間管理ができ、常時蓄積する方式と比較して同じ容量の蓄積媒体で蓄積可能時間を向上できる。また、画像蓄積する/しないの判定がタイマによるものであるため、容易・安価に機能実装が可能となる。
【0011】
実施形態2では、監視対象物の状態変化が比較的急激である場合でも、その監視画像を蓄積漏れすることなく運用可能となる。また、監視対象物に急激な状態変化がほとんど無い場合は、より効率的な画像蓄積が可能となる。また、フレーム単位画像サイズの比較による画像蓄積有無判定方式は、高度な画像認識技術を必要としないため、容易、安価に機能実装が可能となる。さらに、監視画像蓄積有無判定に高度な画像認識技術を用いた場合は、監視対象物の変化を詳細に認識することが可能となるため、必要な監視画像の蓄積を逃すことなく高い監視精度が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
本実施形態では、図3の画像蓄積部3におけるタイマ制御により、任意の時間間隔で画像蓄積する方式を提案する。
【0013】
遠隔監視システムで監視する対象物によっては、監視対象物に急激な状態変化がほとんど無いものもある。本実施形態、このような場合に有効な手段である。本実施形態では、監視画像を常時蓄積はせず、予め設定されたタイマ間隔で監視画像を蓄積する。例えば、タイマ間隔を1分と設定した場合は、先ず1分間画像蓄積し、次の1分間は画像蓄積をしないといった方式である。
【0014】
図1に本実施形態の画像蓄積フローを示し、画像蓄積部3がコンピュータを搭載する場合のソフトウェア構成によって実現する。図1において、装置の起動で、一定時限にあらかじめ設定しておくタイマをオン(計時開始)し(S1)、監視画像の蓄積を開始する(S2)。この画像蓄積をタイマがタイムアウトになるまで継続し(S3)、タイムアウトになったときに画像蓄積を停止する(S4)。画像蓄積の停止で、一定時限にあらかじめ設定しておくタイマをオンし(S5)、このタイマのタイムアウトを待つ(S6)。このタイムアウトで処理(S1)に戻る。
【0015】
以上の画像蓄積フローの実行により、画像蓄積部は、処理S1によるタイマのオンからタイムアウトまでの時限だけ画像蓄積を継続し、その後、処理S5によるタイマのタイムアウトまでは画像蓄積を停止しておくという、一定時限の画像蓄積継続と一定時限の画像蓄積停止を繰り返す。
【0016】
本実施形態によれば、例えば、画像を蓄積する時間と蓄積しない時間を同じすれば、画像を常時蓄積する方式と比較して同じ蓄積容量をもつ媒体で、2倍の蓄積時間を得ることができる。また、画像蓄積する/しないの判定がタイマによるものであるため、容易・安価に機能実装が可能となる。
【0017】
なお、処理S1を実行するタイマと、処理S5を実行するタイマを異なる時限に設定する場合は、画像蓄積時間と画像蓄積停止時間を個別にした処理が可能となり、遠隔監視システムの監視目的の違い等に応じて適宜変更することができる。
【0018】
(実施形態2)
本実施形態では、監視画像にある程度の変化があった場合にのみ、画像蓄積する方式を提案する。
【0019】
監視画像にある程度の変化があったかどうかの認識手法については、直前のフレーム単位画像と現在のフレーム単位画像のサイズを比較し、一定のサイズ変化があった場合に「変化有り」と認識する手法や、画像認識技術を用いて動きベクトル検出により「変化有り」と認識する手法等があげられるが、本実施形態では画像変化認識手法については、特に問わないこととする。
【0020】
図2は本実施形態の画像蓄積フローを示す。伝送されてきた監視画像について直前に伝送されてきた監視画像(フレーム)との間に変化があるか否かの判定処理を行い(S11)、変化が生じるまで判定処理を繰り返す(S12)。この判定処理で監視画像に変化が生じた場合、伝送されてきた画像の蓄積を開始し(S13)、蓄積画像について変化があるか否かの判定処理を開始する(S14)。この判定で、変化が続く限り画像蓄積と判定処理を繰り返し(S15)、変化がなくなったときに一定時限に設定されたタイマをオンさせて計時を開始する(S16)。
【0021】
この計時開始で蓄積を継続しながら伝送されてくる画像について変化があるか否かの判定処理を行い(S17)、変化が生じたとき(S18)、タイマをオフさせて画像蓄積を継続する(S19)。判定処理S17による判定で画像変化がないまま、タイマがタイムアウトになったとき(S20)、画像蓄積を停止し(S21)、画像に変化があるか否かの判定処理S11に戻る。
【0022】
以上の画像蓄積フローの実行により、監視画像にある程度の変化があった場合は、その変化があった瞬間から監視画像の蓄積を行い、変化が続く間は蓄積を続け、ある一定の期間、監視画像にある程度の変化が無いと判断した場合には監視画像の蓄積を止める。
【0023】
本実施形態によれば、監視対象物の状態変化が比較的急激である場合でも、その監視画像を蓄積漏れすることなく運用可能となる。また、監視対象物に急激な状態変化がほとんど無い場合は、より効率的な画像蓄積が可能となる。また、フレーム単位画像サイズの比較による画像蓄積の要否判定は、高度な画像認識技術を必要としないため、容易、安価に機能実装が可能となる。
【0024】
なお、監視画像蓄積の要否判定に高度な画像認識技術を用いることができ、この場合は、監視対象物の変化を詳細に認識することが可能となるため、必要な監視画像の蓄積を逃すことなく高い監視精度が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態1を示す画像蓄積フロー。
【図2】本発明の実施形態2を示す画像蓄積フロー。
【図3】遠隔監視システムの構成例。
【符号の説明】
【0026】
1 監視カメラ
2 画像伝送装置
3 画像蓄積部
4 画像閲覧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラで撮影した画像を画像伝送装置によって伝送し、この伝送されてきた画像を画像蓄積部に蓄積または画像閲覧装置でリアルタイムに閲覧する遠隔監視システムにおいて、
前記画像蓄積部は、タイマによる時間管理の下に、一定時間の画像蓄積継続と一定時間の画像蓄積停止を繰り返す手段、または異なる時間間隔で画像蓄積継続と画像蓄積停止の処理を繰り返す手段を備えたことを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
監視カメラで撮影した画像を画像伝送装置によって伝送し、この伝送されてきた画像を画像蓄積部に蓄積または画像閲覧装置でリアルタイムに閲覧する遠隔監視システムにおいて、
前記画像蓄積部は、監視画像のフレーム単位の比較により監視画像にある程度の変化があったと判定した時点から、または画像認識技術を用いた監視画像蓄積を必要と判定した時点から監視画像の蓄積を開始し、前記変化が続く間または監視画像の蓄積を必要と判定される間は画像蓄積を継続し、ある一定の時間に監視画像にある程度の変化が無いと判定したとき、または監視画像の蓄積を不要と判定したときに監視画像の蓄積を停止する処理を繰り返す手段を備えたことを特徴とする遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−13568(P2006−13568A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183198(P2004−183198)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】