説明

遠隔監視装置

【課題】ビル装置の停電通報に対して輪番停電か否かの特定を正確に行うことができる遠隔監視装置の提供する。
【解決手段】 住所23Aa1毎に予め輪番停電グループ23Aa2が設定され、この輪番停電グループ毎の停電時期を定めた輪番停電の予定情報を入力して格納する輪番停電情報格納テーブル23Aaと、ビルマスターテーブル23と前記輪番停電情報格納テーブル2 3 A aの住所23Aa1に基づき、輪番停電グループ23Ba3を仮設定する輪番停電情報仮登録テーブル23Baと、この輪番停電情報仮登録テーブル23Baの輪番停電発生時期を、端末装置11A,12Aから送信される停電及び復電の時刻を参照して輪番停電グループを特定する輪番停電情報本登録テーブル23Bbとを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔監視装置に係り、特に、輪番停電のグループ特定に好適な遠隔監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電設備に事故が発生した場合、事故による停電が発生した設備に対して電量設備グループを特定することで、電力系統の事故によるものを判定するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−316619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力会社の発電能力に対し、電力需用が増大して電力不足による停電が発生することが懸念されている。
【0005】
そこで、複数の配電系統を複数のグループに割り当て、複数のグループの少なくとも1グループに対し、所定の時間帯で電源供給を停止させる輪番停電を行い、広域で発生する停電を防止させることが考えられる。
【0006】
但し、輪番停電のグループは、特許文献1記載の電力系統とは合致していないとともに、特にビル設備の遠隔監視における管理は、ビルの住所に基づいているため、同一丁目名に配電系統が複数存在して2つの輪番停電グループがある場合、グループの特定が事前にできない問題があり、ビルに設置される端末装置から遠隔監視センターへ送信される停電通報が輪番停電が判断できないため、無駄な停電復旧指示を行う虞れがある。
【0007】
本発明の目的は、ビル装置の停電通報に対して輪番停電か否かの特定を正確に行う遠隔監視装置を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の建物毎に設置され、該建物のビル設備の少なくとも停電及び復元を含む異常を検出する端末装置と、この端末装置と通信回線を介して遠隔的に接続される監視センターとで構成され、前記監視センターに、少なくとも建物の名称と建物の住所及び建物における監視対象である前記ビル設備の名称を、予め格納するビルマスターテーブルを備えた遠隔監視装置において、前記住所毎に予め輪番停電グループが設定され、この輪番停電グループ毎の停電時期を定めた輪番停電の予定情報を入力して格納する輪番停電情報格納テーブルと、前記ビルマスターテーブルと前記輪番停電情報格納テーブルの前記住所に基づき、前記輪番停電グループを仮設定する輪番停電情報仮登録テーブルと、この輪番停電情報仮登録テーブルの前記輪番停電発生時期を、前記端末装置から送信される停電及び復電の時刻を参照して前記輪番停電グループを特定する輪番停電情報本登録テーブルとを備え、前記輪番停電情報仮登録テーブルにおける前記輪番停電グループが複数設定された建物に対し、前記輪番停電発生時期に該当する前記輪番停電グループを削除するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、住所に対する輪番停電グループを予め入力しておくことで、輪番停電グループが複数設定されていても、建物に対する正しい輪番停電グループの登録を、多大な手間を掛けることなく正確に行える。
【0010】
また、建物に対する輪番停電グループを正確に登録できるので、停電の原因が輪番停電によるものか否かの判断を的確に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態例に係る遠隔監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】該遠隔監視システムで監視サーバ装置が輪番停電グループを特定する際に行う処理手順を示すフローチャートである。
【図3】該監視センターによって作成される輪番停電情報格納テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】該監視センターによって作成される輪番停電情報仮登録テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】該監視センターによって作成される輪番停電情報本登録テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】該監視センターによって作成される停電情報テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1において、複数のエリアの一つである監視エリア1 Aに図示しない複数の建物にそれぞれには端末装置11A、12Aが設けられ、端末装置11A、12Aは、入力電圧の有無で停電発生や停電復旧を検知している。
【0014】
また、これらの端末装置11A、12Aは、一般電話回線4を介して監視センター2Aに遠隔的に接続されている。。
【0015】
また、監視センター2Aは、一般電話回線4との接続を制御する回線制御装置21と、この回線制御装置21に接続され、監視センター2A内に設けられる各機器の処理や演算等の制御を行うとともに、監視対象の建物に対して着脱自在に接続される汎用パソコン3を介して、輪番停電グループの設定を行う輪番停電グループ設定部22Aを備える制御装置22と、この輪番停電グループ設定部22Aで設定された輪番停電情報を記憶する輪番停電情報格納部23A、及び端末装置11A、12Aから受信した停電発生時刻と停電復旧時刻を記憶する停電情報格納部23Bを備えた記憶装置23と、を備えている。
【0016】
ここで、図3に示す輪番停電情報格納部23Aにて記憶する輪番停電情報格納テーブル23Aaの構成は、住所2 3 A a 1 と輪番停電グループ名2 3 A a2と、輪番停電時間帯(1)2 3 A a3と、輪番停電時間帯(2 )2 3 A a 4とで構成され、住所2 3 A a 1は、住所情報であり、輪番停電グループ名2 3 A a2はステップSA1にて入力したグループ名称で、輪番停電時間帯(1)2 3 A a3と輪番停電時間帯(2)2 3 A a4はステップSA1にて入力した輪番停電を実施する時刻帯が書き込まれる。
【0017】
次に、図4に示す停電情報格納部23Bにて記憶する輪番停電情報仮登録テーブル23Baの構成は、ビル名称23Ba1とビル住所23Ba2と輪番停電グループ名23Ba3と輪番停電グループ登録プラグ23Ba4で構成され、ビル名称23Ba1は、端末装置が設置されているビルの名称で、ビル住所23Ba2は、端末装置が設置されているビルの住所、輪番停電グループ名23Ba3は、端末が設置されているビルが該当する仮登録された輪番停電グループの名称、輪番停電グループ登録プラグ23Ba4は、輪番停電グループの登録状況を示しており、例えば仮登録であれば、コードOと書き込まれる。
【0018】
次に、図5に示す停電情報格納部23Bにて記憶ずる輪番停電情報本登録テーブル23Bbの構成は、ビル名称23Bb1とビル住所23Bb2と輪番停電グループ名23Bb3と輪番停電グループ登録プラグ23Bb4で構成され、ビル名称23Bb1は、端末装置が設置されているビルの名称で、ビル住所23Bb2は、端末装置が設置されているビルの住所、輪番停電グループ名23Bb3は、端末が設置されているビルが該当する仮登録または本登録された輪番停電グループの名称、輪番停電グループ登録プラグ23Bb4は、輪番停電グループの登録状況を示しており、例えば本登録であれば、コード1と書き込まれる。
【0019】
輪番停電情報を登録するための入力を行う汎用PC3が設けられている。ここで、汎用PC3は、制御装置22に接続可能な通信機能を有している。
【0020】
次に、監視対象の建物を輪番停電グループに割り当てる動作の説明を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0021】
汎用PC3にて輪番停電グループ情報を手入力し、輪番停電(ステップSB1)、制御装置22を介して記憶装置23に記憶される輪番停電グループ情報を管理する図4に示すテーブル23Aaに該当データを書き込む(ステップSB2)。
【0022】
次に、図示しない監視対象の建物の情報を管理するビルマスターテーブルの住所と輪番停電情報格納テーブル23Aaの住所23Aa1に基づき、輪番停電グープ名23Aa2を取り込む。Aビルの輪番停電グループ名23Ba2に1A、1B、Cビル輪番停電グループ名23Ba2に1A、1Bとなる輪番停電情報仮登録テーブル23Baを作成し、輪番停電グループを仮設定する(ステップSB3 )。このとき、テーブル23Baの輪番停電グループ登録プラグ23BaはコードOとなる。 次に、監視しているAビルで停電が発生し(ステップSA1)、端末装置11Aは停電したことを入力電圧の有無にて検知し(ステップSA2)、一般電話回線4を介して監視センター2Aへ通報する(ステップSA3)。
【0023】
監視センター2Aの回線制御装置21は、端末装置11AからのAビルの停電発生情報を受信すると(ステップSB4)、制御装置22内の輪番停電グループ設定部22Aが、記憶装置23内の停電情報格納部23Bにある輪番停電情報仮設定テーブル23BaのAビルの輪番停電グループ名23Ba3と、記憶装置23内の輪番停電情報格納部23Aに記憶される輪番停電情報格納テーブル23Aaの輪番停電グループ名23Aa2と一致した輪番停電時間帯(1)23Aa3、輪番停電時間帯(2)23Aa4を取得し、受信した停電情報の停電発生時刻が輪番停電時間帯内に受信したかを判定する(ステップSB5)。
【0024】
Aピルの停電発生時刻が輪番停電時間帯内であるため、前記停電発生情報を記憶装置23内の停電情報格納部23Bに記憶される停電情報を管理する図6に示す停電情報テ−プル23Bcの停電発生時刻23Bc2に停電発生時刻を書き込む(ステップSB6)。
【0025】
ここで、停電情報を管理する停電情報テーブル23Bcの構成は、ビル名称23Bc1と停電発生時刻23Bc2と停電復|日時刻23Bc3で構成され、停電発生時刻23Bc2は該当のビルで停電が発生した時刻で、停電復旧時刻23Bc3は停電から復旧した時刻が書き込まれる。
【0026】
次に、監視しているAビルで停電から復旧し(ステップSA4)、端末装置11A、12Aは復旧したことを入力電圧の有無にて検知し(ステップSA5)、一般電話回線4を介して監視センター2Aへ通報する(ステップSA6 )。
【0027】
次に、監視センター2Aの回線制御装置21は、端末装置11Aからの停電復旧情報を受信すると(ステップSB7)、制御装置22を介して記憶装置23内の停電情報格納部23Bに記憶される停電情報テーブル23Bcの停電復旧時刻23Bc3に停電復旧時刻を書き込む(ステップSB8)。
【0028】
次に、制御装置22内の輪番停電グループ設定部22Aが、記憶装置23内の停電情報格納部23Bにある輪番停電情報仮設定テーブル23BaのAビルの輪番停電グループ名23Ba3と、記憶装置23内の輪番停電情報格納部23Aに記憶される輪番停電情報格納テーブル23Aaの輪番停電グループ名23Aa2と一致した輪番停電時間帯(1)23Aa3、輪番停電時間帯(2)23Aa4を取得し、記憶装置23内の停電情報格納部23Bに記憶される停電情報テーブル23Bcの停電復旧時刻23Bc3が輪番停電時間帯内であるかを判定する(ステップSB9)。
【0029】
Aビルの停電復旧時刻が輪番停電時間帯内であるため、輪番停電解除による停電復旧と判定しい輪番停電情報仮登録テーブル23Baの輪番停電グループ名23Baの該当しない輪番停電グループを削除する(ステップSB10)。
【0030】
ステップSB10にて輪番停電グループ名を削除した輪番停電情報仮登録テーブル23Baは、輪番停電グループ登録プラグ23Ba4をコード1に書き換え、輪番停電情報本登録テーブル23Bbに更新し、輪番停電グループの特定を完了する(ステップSB11)。
【0031】
次に、端末装置12Aから受信した停電発生情報が輪番停電時間帯内に受信していないと判定されると(ステップSB5)、制御装置22内の輪番停電グループ設定部22Aが受信した停電発生情報の対象のビルと同一丁名で輪番停電グループ登録プラグがコード1の本登録になっているビルがあるか判定する(ステップSB12)。同一丁名で本登録になっているビルの、輪番停電情報本登録テーブル23Bbの輪番停電グループ名23Bb3を、輪番停電情報仮登録テーブル23BbのBビルの輪番停電グループ名23Ba3から削除する(ステップSB13)
ステップSB13にて輪番停電グループ名を削除した輪番停電情報仮登録テーブル23Baは、輪番停電グループ登録プラグ23Ba4をコード1に書き換え、輪番停電情報本登録テーブル23Bbに更新し、輪番停電グループの特定を完了する(ステップSB15)。
【0032】
次に、端末装置12Aから受信した停電発生情報が輪番停電時間帯内に受信していないと判定されると(ステップSB5)、制御装置22内の輪番停電グループ設定部22Aが停電発生情報の対象のビルと同一丁名で輪番停電グループ登録プラグがコード1の本登録になっているビルがあるか判定する(ステップSB12)。
【0033】
同一丁名で本登録になっているビルが存在しないため、受信した停電情報は異常による停電と判断し、処理を終了する(ステップSB14)。
【0034】
以上説明したように、本実施形態例に係る遠隔監視システムでは、停電情報を受信した場合に、事前に登録した輪番停電情報の輪番停電発生時間帯と端末装置11A、12Aから受信した停電及び復旧した時間に基づいて輪番停電グループを自動的に特定できるようにしてあるため、停電情報に対して輪番停電か否かの特定を正確に行うことができる。
【0035】
また、輪番停電か否かの判断を正確に行うことができるため、無駄な停電復旧指示を軽減することができる。
【0036】
また、事前に登録した輪番停電情報の輪番停電発生時間帯と端末装置11A、12Aから受信した停電及び復旧した時間に基づいて輪番停電グループを特定するため、同一丁目名に配電系統が複数存在して一つのビルに対して、複数の輪番停電グループがある場合でも特定が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1A 監視エリア
2A 監視センター
3 汎用PC
4 通信回線
11A〜12A 端末装置
21 回線制御装置
22 制御装置
22A 輪番停電グループ設定部
23 記憶装置
23A 輪番停電情報格納部
23B 停電情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物毎に設置され、該建物のビル設備の少なくとも停電及び復元を含む異常を検出する端末装置と、この端末装置と通信回線を介して遠隔的に接続される監視センターとで構成され、前記監視センターに、少なくとも建物の名称と建物の住所及び建物における監視対象である前記ビル設備の名称を、予め格納するビルマスターテーブルを備えた遠隔監視装置において
前記住所毎に予め輪番停電グループが設定され、この輪番停電グループ毎の停電時期を定めた輪番停電の予定情報を入力して格納する輪番停電情報格納テーブルと、
前記ビルマスターテーブルと前記輪番停電情報格納テーブルの前記住所に基づき、前記輪番停電グループを仮設定する輪番停電情報仮登録テーブルと、
この輪番停電情報仮登録テーブルの前記輪番停電発生時期を、前記端末装置から送信される停電及び復電の時刻を参照して前記輪番停電グループを特定する輪番停電情報本登録テーブルと
を備えたことを特徴とする遠隔監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の遠隔監視装置において、
前記輪番停電情報仮登録テーブルにおける前記輪番停電グルゞ・プが複数設定された建物に対し、前記輪番停電発生時期に該当する前記輪番停電グループを削除するようにしたことを特徴とする遠隔監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102261(P2013−102261A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243412(P2011−243412)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】