説明

遷移金属化合物、これを含む触媒組成物及びこれを用いたオレフィン単独重合又は共重合体の製造方法

【課題】非架橋形構造として触媒合成が最も経済的だけでなく、オレフィン重合で触媒の活性に優れて高級α−オレフィンとの共重合性能に非常に優れる遷移金属化合物、及びこれを含む触媒組成物及びこれらの遷移金属及び遷移金属触媒組成物を用いて多様な物性を有するエチレンとα−オレフィンの共重合体を商業的な観点から経済的に製造できる重合方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1の遷移金属化合物を特徴とする。
<化学式1>


式中、Mは周期律表上の4族の遷移金属であり;CpはMとη5−結合でき、(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されないシクロペンタジエニル環、又はシクロペンタジエニル環を含む(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されない融合環であり;R1は(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル基、(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換シリル基、(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィド基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;R2は水素原子、ハロゲン原子、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル基、又は一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル置換シリル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキル又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;nは整数1又は2であり;Xは互いに独立にハロゲン原子、(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキルシロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、及び(C1-C20)アルキル置換メルカプト基からなる群から選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用遷移金属触媒として有用な遷移金属化合物、これを含む触媒組成物及びこれを用いたエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造方法に関するものであって、より具体的には4族遷移金属の周りにシクロペンタジエン誘導体及びフェニルの2−位に(C1-C30)炭化水素基又は(C1-C20)炭化水素基を有するシリル基などが置換されたフェニルオキシドリガンドを最少一つ以上を含み、リガンドの相互間に架橋されない遷移金属化合物に関するものであり、なお、前記遷移金属化合物とアルミノキサン又はホウ素化合物から選ばれる共触媒を含む触媒組成物とこれを用いたエチレンとα−オレフィンの共重合体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来にエチレンの単独重合体又はα−オレフィンとの共重合体の製造には一般としてチタニウム又はバナジウム化合物の主触媒成分とアルキルアルミニウム化合物の共触媒成分で構成されるいわゆるチーグラー−ナッタ(Ziegler-Natta)触媒系が使用されてきた。しかし、チーグラー−ナッタ触媒系はエチレン重合に対して高活性を示すが、不均一な触媒活性点のために一般に生成重合体の分子量の分布が広く、特にエチレンとα−オレフィンの共重合体においては組成分布が均一でない短所があった。
【0003】
最近にチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどの周期律表4族の遷移金属のメタロセン化合物と共触媒であるメチルアルミノキサン(methyl-aluminoxane)で構成されるいわゆるメタロセン触媒系が開発された。メタロセン触媒系は単一種の触媒活性点を有する均一系触媒であるため、既存のチーグラー−ナッタ触媒系に比べて分子量の分布が狭く組成分布が均一なポリエチレンを製造することができる特徴を有している。例えば、ヨーロッパ公開特許第320,632号又は日本特開昭63−092621号、日本特開平02−84405号、又は特開平03−2347号ではCp2TiCl2、Cp2ZrCl2、Cp2ZrMeCl、Cp2ZrMe2、エチレン(IndH4)2ZrCl2などでメタロセン化合物を共触媒のメチルアルミノキサンで活性化させることによってエチレンを高活性で重合させて分子量分布(Mw/Mn)が1.5乃至2.0の範囲であるポリエチレンが製造できることが公知になっている。しかし、前記触媒系としては高分子量の重合体を得ることが難しく、特に140℃以上の高温において行われる溶液重合法に適用する場合、重合活性が急激に減少し、β−水素離脱反応が優勢であって重量平均分子量(Mw)が100,000以上の高分子量重合体を製造するには適合でないものと知られている。
【0004】
一方、溶液重合条件においてエチレン単独重合又はエチレンとα−オレフィンとの共重合で高い触媒活性と高分子量の重合体を製造することができる触媒として遷移金属を環状で連結させたいわゆる幾何拘束型非メタロセン系触媒(一名、単一活性点触媒)が発表された。ヨーロッパ公開特許第0416815号とヨーロッパ公開特許第0420436号では一つのシクロペンタジエンリガンドにアミド基を環状で連結させた化合物が公知になり、ヨーロッパ公開特許第0842939号では電子供与化合物としてフェノール系リガンドをシクロペンタジエンリガンドと環状で連結させた触媒の例が公知になった。しかし、前記の幾何拘束型触媒の合成段階の中で遷移金属化合物間の環形成反応過程の収率が非常に低いため、商業的に利用するには様々な問題がある。
【0005】
反面、幾何拘束型でない非メタロセン系触媒でありながら高温溶液条件に使用できる触媒が米国特許第6,329,478号と韓国公開特許公報第2001−0074722号に公知になった。前記特許では少なくとも一つ以上のホスフィンイミン化合物をリガンドで使用した単一活性点触媒が140℃以上の高温溶液重合条件においてエチレンとα−オレフィンの共重合時に高いエチレン転換率を示すことを記載している。しかし、前記ホスフィンイミンリガンドの合成のためには制限的なホスフィン化合物を使用しなければならなく、またこのような化合物は環境と人体に有害であって汎用オレフィン重合体の製造用として使用するには多くの問題点がある。米国特許第5,079,205号にはビス−フェニルオキシドリガンドを有する触媒の例があるが、商業的に使用するには触媒活性が低すぎるという問題がある。
【0006】
前記例示の以外の非メタロセン系触媒としてフェニルの2,6−位にアルキル基を置換されたフェニルオキシドリガンドの合成及びこれを重合に使用した例が「Organometallics 1998, 17, 2152(野村他)」に報告されているが、フェニルオキシドリガンド上の置換体の立体的障害が大きくて高温において高い収率でオレフィンと高級α−オレフィンの共重合体を製造するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の従来技術の問題点を克服するために本発明者らは広範囲な研究を行った結果、シクロペンタジエン誘導体及びフェニルの2−位(第2位置:2-position)に(C1-C30)炭化水素基又は(C1-C20)炭化水素基を含むシリル基が置換されたフェニルオキシドリガンドを少なくとも一つ以上含む非架橋形遷移金属触媒がオレフィンの重合において優秀な触媒活性を現すことを発見した。このような事実に着眼して80℃以上において施されるオレフィン重合工程で高分子量のオレフィン単独重合体又は共重合体を高い活性で製造することができる触媒を開発し、本発明はこれに基づいて完成された。
【0008】
従って、本発明の目的は非架橋形構造として触媒合成が最も経済的だけでなく、オレフィン重合で触媒の活性に優れて高級α−オレフィンとの共重合性能に非常に優れる遷移金属化合物、及びこれを含む触媒組成物及びこれらの遷移金属及び遷移金属触媒組成物を用いて多様な物性を有するエチレンとα−オレフィンの共重合体を商業的な観点から経済的に製造できる重合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明は下記化学式1の遷移金属を特徴とし、詳しくは中心金属として周期律表上の第4族遷移金属の周りにシクロペンタジエン誘導体及びフェニルの2−位に(C1-C30)炭化水素基又は(C1-C20)炭化水素基を含むシリル基などが置換されたフェニルオキシドリガンドを少なくとも一つ以上含み、リガンド相互間に架橋されないことを特徴とする遷移金属化合物に関するものである。
【0010】
下記化学式1の遷移金属化合物:
【0011】
<化学式1>

【0012】
式中、Mは周期律表上の4族の遷移金属であり;CpはMとη5−結合でき、(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されないシクロペンタジエニル環、又はシクロペンタジエニル環を含む(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されない融合環であり;R1は(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル基、(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換シリル基、(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィド基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;R2は水素原子、ハロゲン原子、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル基、又は一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル置換シリル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキル又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;nは整数1又は2であり;Xは互いに独立にハロゲン原子、(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキルシロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、及び(C1-C20)アルキル置換メルカプト基からなる群から選ばれる。
【0013】
前記目的を達成するための本発明のもう一つの範囲は前記遷移金属化合物とアルキルアルミノキサン又は有機アルミニウム共触媒又はホウ素化合物共触媒を含むエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用遷移金属触媒組成物、前記遷移金属化合物又は前記触媒組成物を用いたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造方法及びこれから製造されたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体を含む。
【0014】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0015】
前記化学式1で表示された遷移金属触媒で、Mは望ましくはチタニウム、ジルコニウム、又はハフニウムである。また、Cpは中心金属とη5−結合できるシクロペンタジエン陰イオン又はシクロペンタジエニル環を含む(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されない融合環を骨格とする誘導体であり、より具体的にシクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ブチルシクロペンタジエニル、sec-ブチルシクロペンタジエニル、tert-ブチルメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、メチルインデニル、ジメチルインデニル、エチルインデニル、イソプロピルインデニル、フルオレニル、メチルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、エチルフルオレニル、イソプロピルフルオレニルなどを例示することができる。
【0016】
フェニルオキシドリガンド上の2−位の置換基であるR1に関しては、線形又は非線形(C1-C20)アルキル基の例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、又はn−エイコシルであり、この中で望ましいものはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチルであり;(C3-C20)シクロアルキル基は例えばシクロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はアダマンチル基であり、この中で望ましいものはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基であり;(C6-C30)アリール基又は(C1-C20)アルキル(C6-C30)アリール基は例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ビフェニル(biphenyl)、フルオレニル、トリフェニル、ナフチル基又はアントラセニル基であり、この中で望ましいものはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル(biphenyl)、2−イソプロピルフェニル、3,5−キシリル基又は2,4,6−トリメチルフェニル基であり;(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基の例としてベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec-ブチルフェニル)メチル基、(tert-ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基又はアントラセニルメチル基が挙げられ、この中で望ましいものはベンジル基、トリフェニルメチル基であり;(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換シリル基の例として、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基又はジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基又はトリフェニルシリル基が挙げられ、この中で望ましいものはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基又はトリフェニルシリル基であり;(C1-C20)アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデコキシ基、n−ペンタデコキシ基又はn−エイコソキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はtert-ブトキシ基であり;(C3-C20)アルキルシロキシ基の例としてトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、トリ−tert−ブチルシロキシ基、トリ−イソブチルシロキシ基、tert-ブチルジメチルシロキシ基、トリ−n−ペンチルシロキシ基、トリ−n−ヘキシルシロキシ基又はトリシクロヘキシルシロキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはトリメチルシロキシ基、又はtert-ブチルジメチルシロキシ基である。また(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基の例としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、tert-ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルヘキシルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルアミノ基、又は同一アルキル置換ホスフィン基であり、この中で望ましいものはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又はジフェニルアミノ基であり;(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基の例としてジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、ジ−n−プロピルホスフィン基、ジイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ブチルホスフィン基、ジ-sec-ブチルホスフィン基、ジ-tert-ブチルホスフィン基、ジイソブチルホスフィン基、tert-ブチルイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ヘキシルホスフィン基、ジ-n-オクチルホスフィン基、ジ−n−デシルホスフィン基、ジフェニルホスフィン基、ジベンジルホスフィン基、メチルエチルホスフィン基、メチルフェニルホスフィン基、ベンジルヘキシルホスフィン基、ビストリメチルシリルホスフィン基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルホスフィン基が挙げられ、この中で望ましいものはジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、又はジフェニルホスフィン基である。
【0017】
フェニルオキシドリガンド上の4−位の置換基であるR2に関しては、線形又は非線形(C1-C20)アルキル基の例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、又はn−エイコシル基であり、この中で望ましいものはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基であり;(C6-C30)アリール基又は(C1-C20)アルキル(C6-C30)アリール基は例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ビフェニル(biphenyl)、フルオレニル、トリフェニル、ナフチル基又はアントラセニル基であり、この中で望ましいものはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル(biphenyl)、2−イソプロピルフェニル、3,5−キシリル基又は2,4,6−トリメチルフェニル基であり;(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基の例としてベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec-ブチルフェニル)メチル基、(tert-ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基又はアントラセニルメチル基が挙げられ、この中で望ましいものはベンジル基、トリフェニルメチル基であり;(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換シリル基の例として、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基又はジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基又はトリフェニルシリル基が挙げられ、この中で望ましいものはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基又はトリフェニルシリル基であり;(C1-C20)アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデコキシ基、n−ペンタデコキシ基又はn−エイコソキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はtert-ブトキシ基であり;(C3-C20)アルキルシロキシ基の例としてトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、トリ−tert−ブチルシロキシ基、トリ−イソブチルシロキシ基、tert-ブチルジメチルシロキシ基、トリ−n−ペンチルシロキシ基、トリ−n−ヘキシルシロキシ基又はトリシクロヘキシルシロキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはトリメチルシロキシ基、又はtert-ブチルジメチルシロキシ基である。また(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基の例としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、tert-ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルヘキシルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルアミノ基、又は同一アルキル置換ホスフィン基であり、この中で望ましいものはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又はジフェニルアミノ基であり;(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基の例としてジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、ジ−n−プロピルホスフィン基、ジイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ブチルホスフィン基、ジ-sec-ブチルホスフィン基、ジ-tert-ブチルホスフィン基、ジイソブチルホスフィン基、tert-ブチルイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ヘキシルホスフィン基、ジ-n-オクチルホスフィン基、ジ−n−デシルホスフィン基、ジフェニルホスフィン基、ジベンジルホスフィン基、メチルエチルホスフィン基、メチルフェニルホスフィン基、ベンジルヘキシルホスフィン基、ビストリメチルシリルホスフィン基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルホスフィン基が挙げられ、この中で望ましいものはジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、又はジフェニルホスフィン基である。
【0018】
Xはハロゲン原子であって例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨード原子;Cp誘導体でない(C1-C20)アルキル基の例としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、又はn−エイコシルであり、この中で望ましいものはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、アミル基であり;(C3-C20)シクロアルキル基の例としてシクロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、又はアダマンチル基であり;(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基の例としてベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec-ブチルフェニル)メチル基、(tert-ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基又はアントラセニルメチル基が挙げられ、この中で望ましいものはベンジル基であり;(C1-C20)アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデコキシ基、n−ペンタデコキシ基又はn−エイコソキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はtert-ブトキシ基であり;(C3-C20)アルキルシロキシ基の例としてトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−n−プロピルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリ−n−ブチルシロキシ基、トリ−sec−ブチルシロキシ基、トリ−tert−ブチルシロキシ基、トリ−イソブチルシロキシ基、tert-ブチルジメチルシロキシ基、トリ−n−ペンチルシロキシ基、トリ−n−ヘキシルシロキシ基又はトリシクロヘキシルシロキシ基が挙げられ、この中で望ましいものはトリメチルシロキシ基、又はtert-ブチルジメチルシロキシ基である。また(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基の例としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ-tert-ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、tert-ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルヘキシルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルアミノ基、又は同一アルキル置換ホスフィン基であり、この中で望ましいものはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又はジフェニルアミノ基であり;(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基の例としてジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、ジ−n−プロピルホスフィン基、ジイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ブチルホスフィン基、ジ-sec-ブチルホスフィン基、ジ-tert-ブチルホスフィン基、ジイソブチルホスフィン基、tert-ブチルイソプロピルホスフィン基、ジ−n−ヘキシルホスフィン基、ジ-n-オクチルホスフィン基、ジ−n−デシルホスフィン基、ジフェニルホスフィン基、ジベンジルホスフィン基、メチルエチルホスフィン基、メチルフェニルホスフィン基、ベンジルヘキシルホスフィン基、ビストリメチルシリルホスフィン基又はビス-tert-ブチルジメチルシリルホスフィン基が挙げられ、この中で望ましいものはジメチルホスフィン基、ジエチルホスフィン基、又はジフェニルホスフィン基である。
【0019】
一方、前記化学式1の遷移金属触媒はオレフィン重合に使用される活性触媒成分になるために、望ましくは本発明による遷移金属化合物中のXリガンドを抽出して中心金属を陽イオン化させながら弱い結合力を有する反対イオン、つまり陰イオンで作用できるホウ素化合物又はアルミニウム化合物、又はこれらの混合物が共触媒として使用される。この際、使用される有機アルミニウム化合物は水分、など触媒毒で作用する微量の極性物質を除去するためであるが、Xリガンドがハロゲンである場合にはアルキル化剤として作用することもある。
【0020】
本発明で共触媒として使用できるホウ素化合物は米国特許第5,198,401号からわかるように下記化学式3、化学式4、又は化学式5で示される化合物のうちから選ばれる。
【0021】
<化学式3>
B(R3)3
【0022】
<化学式4>
[R4]+[B(R3)4]-
【0023】
<化学式5>
[(R5)qZH][B(R3)4]-
【0024】
前記式中、Bはホウ素原子;R3はフェニル基であり、前記フェニル基はフッ素原子、フッ素原子によって置換され若しくは置換されない(C1-C20)アルキル基、又はフッ素原子によって置換され若しくは置換されない(C1-C20)アルコキシ基から選ばれる3乃至5つの置換基でさらに置換されてもよく;R4は(C5-C7)シクロアルキルラジカル又は(C1-C20)アルキル(C6-C20)アリールラジカル、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキルラジカル、例えば、トリフェニルメチルラジカル;Zは窒素又はリン原子;R4は(C1-C20)アルキルラジカル又は窒素原子と共に2つの(C1-C4)アルキル基で置換されたアニリニウムラジカル;qは2又は3の整数である。
【0025】
前記ホウ素系共触媒の望ましい例としてはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、テトラキス(3,4,5−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ホウ酸塩、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩又はテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ酸塩が挙げられる。また、それらの特定配合の例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、1,1′−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ酸塩、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ酸塩、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホウ酸塩、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、又はトリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩が含まれ、この中で最も望ましいものはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、トリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、又はトリスペンタフルオロボランである。
【0026】
本発明で使用されるアルミニウム化合物は化学式6又は化学式7のアルミノキサン化合物、化学式8の有機アルミニウム化合物、又は化学式9又は化学式10の有機アルミニウムヒドロカビルオキシド化合物が使用される。
【0027】
<化学式6>
(-Al(R7)-O-)m
【0028】
<化学式7>
(R7)2Al-(-O(R7)-)p-(R7)2
【0029】
<化学式8>
(R8)rAl(E)3-r
【0030】
<化学式9>
(R9)2AlOR10
【0031】
<化学式10>
R9Al(OR10)2
【0032】
前記式中、R7は線形又は非線形の(C1-C20)アルキル基であって、望ましくはメチル基又はイソブチル基であり、mとpは5乃至20の整数であり;R8、R9は(C1-C20)アルキル基;Eは水素原子又はハロゲン原子;rは1乃至3の整数;R10は(C1-C20)のアルキル基又は(C6-C30)アリール基のうちから選ばれる。
【0033】
前記アルミニウム化合物で使用できる具体的な例であって、アルミのキサン化合物としてメチルアルミノキサン、改良メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサンがあり;有機アルミニウム化合物の例としてトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、及びトリヘキシルアルミニウムを含むトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、及びジヘキシルアルミニウムクロライドを含むジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、及びヘキシルアルミニウムジクロライドを含むアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジプロピルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド及びジプロピルアルミニウムヒドリドを含むジアルキルアルミニウムヒドリドが挙げられ、望ましくはトリアルキルアルミニウム、より望ましくはトリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムであり;この際中心金属のM:ホウ素原子:アルミニウム原子のモル比は望ましくは1:0.1乃至100:10乃至1,000、より望ましくは1:0.5乃至5:25乃至500である。
【0034】
本発明の他側面であって前記遷移金属触媒系を用いたエチレンとα−オレフィンの共重合体製造方法は適切な有機溶媒の存在下において前記の遷移金属触媒、共触媒、及びエチレン又は必要時にα−オレフィン共単量体を接触させて進まれる。この際、遷移金属触媒と共触媒成分は別途で反応器内に投入したり又は各成分を予め混合して反応器に投入することができ、投入順序、温度又は濃度などの混合条件は別途の制限がない。
【0035】
前記製造方法に使用できる望ましい有機溶媒は(C3-C20)炭化水素であり、その具体的な例としてはブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
【0036】
具体的にエチレン単独重合体の製造時には単量体としてエチレンを単独に使用し、本発明に適合したエチレンの圧力は1乃至1000気圧であり、さらに望ましくは10乃至150気圧である。また、重合反応温度は60℃乃至300℃の間において、望ましくは80℃乃至250℃で行なわれることが効果的である。
【0037】
なお、エチレンとα−オレフィンの共重合体を製造する場合にはエチレンと共に共単量体として(C3-C18)のα−オレフィンを使用することができ、望ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−アイトセンからなる群から選ばれる。より望ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、又は1−デセンとエチレンを共重合させることができる。この場合、望ましいエチレンの圧力及び重合反応温度は前記高密度ポリエチレンの製造の場合と同一であり、本発明の方法に従って製造されたエチレン共重合体は普通エチレン50重量%以上を含有し、望ましくは60重量%、さらに望ましくは60重量%乃至99重量%のエチレンを含む。前記したように、共単量体でC4〜C10のα−オレフィンを使用して製造された線形低密度ポリエチレン(LLDPE)は0.91から0.94g/ccの密度領域を有し、0.91〜0.86g/ccのオレフィン系共重合体の製造が可能である。また、本発明によるエチレン単独重合体又は共重合体の製造時に分子量を調節するために水素を分子量調節剤として使用することができ、通常80,000乃至500,000範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0038】
本発明から提示された触媒組成物は重合反応器内で均一な形態で存在するため、該重合体の溶融点以上の温度において行う溶液重合工程に適用するのが望ましい。しかし、米国特許第4,752,597号に記載されたように多孔性金属オキシド支持体に前記遷移金属化合物及び共触媒を支持させて非均一触媒系としてスラリー重合若しくは気相重合工程に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の製造例4による(ジクロロ)(2−イソプロピルフェニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の結晶構造を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明は実施例によってより詳細に説明されるが、下記の実施例によって本発明の範囲が限られるものではない。
【0041】
別途で言及される場合を除いて全てのリガンド及び触媒合成実験は窒素雰囲気の下において標準シューレンク(Schlenk)又はグローブボックスの技術を使用して行い、反応に使用される有機溶媒はナトリウム金属とベンゾフェノンの下において環流させて水分を除去して使用直前に蒸留して使用した。合成されたリガンド及び触媒の1H-NMR分析は常温でVarian Mercury 300 MHzスペクトロメータを使用して行った。
【0042】
重合溶媒のシクロヘキサンはQ-5触媒(BASF社)、シリカゲル及び活性アルミナが充填された管を順序に通過させ、高純度の窒素でバーブリングさせて水分、酸素、及びその他触媒毒物質を十分に除去させた後に使用した。重合された重合体は下記の説明された方法によって分析された。
【0043】
1.溶融流れ指数(MI)
【0044】
ASTM D2839に基づいて測定した。
【0045】
2.密度
【0046】
ASTM D1505に基づき、密度勾配管を使用して測定した。
【0047】
3.溶融点(Tm)分析
【0048】
Dupont DSC2910を用いて窒素雰囲気の下において10℃/minの速度で2nd加熱条件で測定した。
【0049】
4.分子量及び分子量分布
【0050】
PL Mixed-BX2+preColが装着されたPL210 GPCを用いて135℃で1.0mL/minの速度で1,2,3−トリクロロベンゼンの溶媒下において測定し、PLポリスチレン標準物質を使用して分子量を補正した。
【0051】
5.共重合体中のα−オレフィンの含量(重量%)
【0052】
Bruker DRX500核磁気共鳴分光器を用いて125MHzで1,2,4−トリクロロベンゼン/C6D6(7/3重量分率)混合溶媒を使用して120℃で13C-NMRモードで測定した。(参考文献:Randal, J. C. JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys. 1980, C29, 201)
【0053】
<製造例1>
【0054】
(ジクロロ)(2−メチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0055】
2−メチルフェノール(0.58g、5.05mmol、Aldrich)を乾燥されたフラスコに入れて40mLトルエンに溶解した後、よく攪拌させながら温度を0℃に下げる。n−ブチルリチウム(2.4mL、2.5M in hexane、Aldrich)を混合物に徐々に滴加する。滴加が終わると1時間温度を保持させた後、常温に上げ12時間攪拌する。溶媒層を除去した後、反応生成物をヘキサンを用いて洗って乾燥させた後に再び40mLトルエンに溶解させる。この混合物の温度を0℃に下げた後、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムクロライド(1.46g、5.05mmol)を10mLトルエンに溶かした溶液を徐々に滴加する。滴加が終わると1時間温度を保持させた後、常温に上げ12時間攪拌する。反応が終わると、反応物を濾過した後、真空で揮発物質を除去して橙色の固体成分を得る。得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.55g(収率85%)の橙色の結晶を得た。
【0056】
【化1】

【0057】
<製造例2>
【0058】
ビス(2−メチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)クロライドの合成
【0059】
1.16g(10.14mmol)の2−メチルフェノール(Aldrich、99%)を40mLヘキサンに溶解した後、4.8mLのn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液)を0℃で徐々に滴加した。常温で6時間反応させ、生成された白色沈殿物を分離した後、ヘキサン10mLで2回洗い出した。真空状態おいて揮発物質を除去して再びトルエン(10mL)に溶かして(トリクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.64g、5.5mmol)を10mLのトルエンに溶かした溶液に0℃で徐々に滴加させた。常温で1時間攪拌させた後に12時間環流させた。反応混合物を濾過した後に揮発物質を除去し、トルエン/ヘキサンの混合溶液で−35℃で再結晶して橙色の固体成分1.93g(収率81%)を得た。
【0060】
【化2】

【0061】
<製造例3>
【0062】
(ジクロロ)(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0063】
2−フェニルフェノールの代わりに2−イソプロピルフェノール(0.72g、5.05mmol、Aldrich)を使用したことを除いては製造例1と同一な方法で得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.57g(収率80%)の橙色の結晶を得た。
【0064】
【化3】

【0065】
<製造例4>
【0066】
ビス(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)クロライドの合成
【0067】
2.1g(15.00mmol)の2−イソプロピルフェノール(Aldrich、98%)を40mLヘキサンに溶解した後、6.0mLのブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液)を0℃で徐々に滴加した。常温で6時間反応させ、生成された白色沈殿物を分離した後、ヘキサンで洗い出した(10mL×2)。真空状態おいて揮発物質を除去して再びトルエン(10mL)に溶かして(トリクロロ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(2.17g、7.5mmol)を10mLのトルエンに溶かした溶液に0℃で徐々に滴加させた。常温で1時間攪拌させた後に12時間環流させた。フィルターを通じて濾過した後に揮発物質を除去し、トルエン/ヘキサンの混合溶液で−35℃で再結晶して橙色の固体成分3.04g(収率83%)を得た。
【0068】
【化4】

【0069】
<製造例5>
【0070】
(ジクロロ)(2−tert−ブチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0071】
2−フェニルフェノールの代わりに2−tert−ブチルフェノール(0.79g、5.05mmol、Aldrich)を使用したことを除いては製造例1と同一な方法で得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.52g(収率75%)の橙色の結晶を得た。
【0072】
【化5】

【0073】
<比較製造例1>
【0074】
(ジクロロ)(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0075】
2−フェニルフェノールの代わりに2,6−ジイソプロピルフェノール(0.93g、5.05mmol、Aldrich)を使用したことを除いては製造例1と同一な方法で得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.83g(収率84%)の橙色の結晶を得た。
【0076】
【化6】

【0077】
<比較製造例2>
【0078】
(ジクロロ)(2,6−ジ−tertブチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0079】
2−フェニルフェノールの代わりに2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(1.07g、5.05mmol、Aldrich)を使用したことを除いては製造例1と同一な方法で得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.88g(収率81%)の黄色い結晶を得た。
【0080】
【化7】

【0081】
<比較製造例3>
【0082】
(ジクロロ)(2,6−ジフェニルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)の合成
【0083】
2−フェニルフェノールの代わりに2,6−ジフェニルフェノール(1.27g、5.05mmol、Aldrich)を使用したことを除いては製造例1と同一な方法で得られた個体をトルエンに溶かした後、−15℃で再結晶して1.97g(収率78%)の黄色い結晶を得た。
【0084】
【化8】

【0085】
<実施例1>
【0086】
十分に乾燥後窒素に置換させた200mL容量のステンレススチール反応機にシクロヘキサン100mLを入れた後、3mLのmMAO-7(Akzo-Nobel)45mMトルエン溶液を投入した。以後、反応機の温度を140℃まで加熱した後、エチレンで反応機内の圧力を満たしてから製造例1から合成した(ジクロロ)(2−メチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)0.5mLとトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)5mMトルエン溶液0.3mLを順次に投入して重合反応を開始し、以後にエチレンの圧力を30気圧で保持した。反応始めて2分以内に反応機の温度が181℃に達した。反応始めてから10分後、10mLのエタノール(10vol%塩酸水溶液含有)を投入して重合を終了させてから1500mLのエタノールで4時間攪拌した後、反応生成物を濾過、分離した。回収された反応生成物を60℃の真空オーブンで8時間乾燥させた結果、4.3gの重合体が得られた。重合体の溶融点は139.3℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィによる分析時に重量平均分子量が224,600、分子量分布が2.95であった。
【0087】
<実施例2>
【0088】
製造例1から合成された(ジクロロ)(2−メチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mLを使用したことを除いては実施例1と同一に重合を行って重合開始の2分後に反応温度が177℃に達した。乾燥された重合体6.4gを得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス1.7g/10min、溶融点は118.7℃、密度は0.9052、1−オクテン含量14.4重量%であった。
【0089】
<実施例3>
【0090】
製造例2から合成されたビス(2−メチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)クロライド(1.0mMトルエン溶液)1.0mLとトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)5mMトルエン溶液0.5mLを使用したことを除いては実施例1と同一な方法で重合を行って、反応開始の2分後に反応機の温度が182℃に達した。生成された重合体を乾燥して5.3gの重合体が得られ、重合体の溶融点は139.3℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が272,000であり、分子量分布が2.18であった。
【0091】
<実施例4>
【0092】
製造例3から合成された(ジクロロ)(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)0.5mLを使用したことを除いては実施例1と同一な方法で重合を行って、反応開始の2分後に反応機の温度が173℃に達した。生成された重合体を乾燥して5.1gの重合体が得られ、重合体の溶融点は138.6℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が460,300であり、分子量分布が4.4であった。
【0093】
<実施例5>
【0094】
製造例3から合成された(ジクロロ)(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が184℃に達した。乾燥された重合体を5.2g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス3.7g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9022、1−オクテン含量15.9重量%であった。
【0095】
<実施例6>
【0096】
4mLのmMAO-7(Akzo-Nobel)45mMトルエン溶液と製造例4から合成されたビス(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)クロライド(1.0mMトルエン溶液)1.0mL及びトリフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(99%、Boulder Scientific)5mMトルエン溶液0.5mLを使用したことを除いては実施例1と同一な方法で重合を行って、反応開始の2分後に反応機温度が179℃に達した。生成された重合体を乾燥して5.6gの重合体が得られ、重合体の溶融点は137.7℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が240,300であり、分子量分布が2.13であった。
【0097】
<実施例7>
【0098】
製造例4から合成されたビス(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)クロライド(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が174℃に達した。乾燥された重合体を5.0g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス1.2g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9024、1−オクテン含量15.8重量%であった。
【0099】
<実施例8>
【0100】
製造例5から合成された(ジクロロ)(2−tert−ブチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例1と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が186℃に達した。生成された重合体を乾燥して5.7gの重合体が得られ、重合体の溶融点は138.6℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が289,300であり、分子量分布が2.3であった。
【0101】
<実施例9>
【0102】
製造例5から合成された(ジクロロ)(2−イソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が178℃に達した。乾燥された重合体を4.9g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス2.4g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9074、1−オクテン含量13.3重量%であった。
【0103】
<比較例1>
【0104】
比較製造例1から合成された(ジクロロ)(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例8と同一な方法で重合を行って、重合開始の2分後に反応機温度が162℃に達した。生成された重合体を乾燥して3.9gの重合体が得られ、重合体の溶融点は138.9℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が264,300であり、分子量分布が2.8であった。
【0105】
<比較例2>
【0106】
比較製造例1から合成された(ジクロロ)(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が163℃に達した。乾燥された重合体を3.5g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス1.3g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9061、1−オクテン含量13.9重量%であった。
【0107】
<比較例3>
【0108】
比較製造例2から合成された(ジクロロ)(2,6−ジ-tert-ブチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例8と同一な方法で重合を行って、重合開始の2分後に反応機温度が161℃に達した。生成された重合体を乾燥して3.0gの重合体が得られ、重合体の溶融点は138.9℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が252,300であり、分子量分布が2.9であった。
【0109】
<比較例4>
【0110】
比較製造例2から合成された(ジクロロ)(2,6−ジ-tert-ブチルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が161℃に達した。乾燥された重合体を3.0g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス0.5g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9115、1−オクテン含量11.0重量%であった。
【0111】
<比較例5>
【0112】
比較製造例3から合成された(ジクロロ)(2,6−ジフェニルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例8と同一な方法で重合を行って、重合開始の2分後に反応機温度が161℃に達した。生成された重合体を乾燥して4.0gの重合体が得られ、重合体の溶融点は137.9℃、メルトインデックス0.001g/10min以下、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が360,900であり、分子量分布が2.5であった。
【0113】
<比較例6>
【0114】
比較製造例3から合成された(ジクロロ)(2,6−ジフェニルフェノキシ)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0mMトルエン溶液)1.0mL を使用したことを除いては実施例2と同一に重合を行って、重合開始の2分後に反応温度が160℃に達した。乾燥された重合体を2.9g得て、ゲルクロマトグラフィの分析時に重量平均分子量が139,000、分子量分布が2.5であり、メルトインデックス0.21g/10min、溶融点は118.7、密度は0.9138、1−オクテン含量10.1重量%であった。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
前記表1と表2からわかるように、実施例1から9は140℃以上の高温重合条件に下でエチレン単独重合及び1−オクテンとの共重合において、比較例1から比較例6に比べて重合体収率が高く且つ同一な条件において高い1−オクテンが含有されたオレフィン共重合体が作られる。
【0118】
以上から調べたように、本発明の実施例について詳細に記述されているが、本発明が属する技術分野において通常の知識を持っている者であれば、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を外れないなら本発明を様々に変形して実施することができるだろう。従って、本発明のこれからの実施例の変形は本発明の技術を外れることはないだろう。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明による遷移金属化合物及びこれを含む触媒組成物は取り扱いが容易であり環境に優しい原料物質を使用して高い収率で合成することができるのみならず、高温の溶液重合条件で行われるオレフィン重合で高い触媒活性を見せながら高分子量の重合体を生成させることができ、また高級α−オレフィンとの共重合特性に非常に優れている。
【0120】
従って、既に知られた非メタロセン系単一活性点触媒に比べて実用性が高く、それで多様な物性を有するエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造に有用に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の遷移金属化合物。
<化学式1>

式中、Mは周期律表上の4族の遷移金属であり;
CpはMとη5−結合でき、(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されないシクロペンタジエニル環、又はシクロペンタジエニル環を含む(C1-C20)アルキル基、(C6-C30)アリール基、(C2-C20)アルケニル基、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基で置換され若しくは置換されない融合環であり;
R1は(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル基、(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル(C6-C30)アリール基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換シリル基、(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィド基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;
R2は水素原子、ハロゲン原子、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル基、又は一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された線形若しくは非線形(C1-C20)アルキル置換シリル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C6-C30)アリール(C1-C10)アルキル基、一つ以上のハロゲン原子が任意で置換された(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキル又は(C6-C20)アリール置換シロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基又は(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、(C1-C20)アルキル置換メルカプト基又はニトロ基であり;
nは整数1又は2であり;
Xは互いに独立にハロゲン原子、(C1-C20)アルキル基、(C3-C20)シクロアルキル、(C6-C30)アリール(C1-C20)アルキル基、(C1-C20)アルコキシ基、(C3-C20)アルキルシロキシ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換アミノ基、(C1-C20)アルキル置換又は(C6-C30)アリール置換ホスフィン基、及び(C1-C20)アルキル置換メルカプト基からなる群から選ばれる。
【請求項2】
前記Mはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項3】
前記Cpはシクロペンタジエニル又はペンタメチルシクロペンタジエニルから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項4】
前記R1はメチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項5】
前記Xは塩素、メチル基、メトキシ基、イソプロホキシ基、又はジメチルアミノ基から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の遷移金属化合物;及び
アルキルアルミノキサン又は有機アルミニウム共触媒、又はホウ素化合物共触媒、又はこれらの混合物;
を含むエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物。
【請求項7】
前記アルキルアルミノキサン又は有機アルミニウム共触媒はメチルアルミノキサン、改良メチルアルミノキサン、テトライソブチルアルミノキサン、トリアルキルアルミニウム、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウム、又はこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項6に記載のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物。
【請求項8】
前記遷移金属と前記共触媒の割合は遷移金属M:アルミニウムのモル比基準として1:50乃至1:5,000で使用されることを特徴とする請求項6又は7に記載のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物。
【請求項9】
前記ホウ素化合物共触媒はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、及びとりフェニルメチリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートから選ばれることを特徴とする請求項6に記載のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物。
【請求項10】
前記遷移金属化合物と共触媒の割合が遷移金属M:ホウ素原子:アルミニウム原子のモル比基準として1:0.5乃至5:25乃至500の範囲であることを特徴とする請求項6又は9に記載のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体製造用の遷移金属触媒組成物。
【請求項11】
請求項6に記載の遷移金属触媒組成物を用いたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造方法において、
前記エチレンと重合される共単量体はプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−エイコセンから選ばれる1種以上であり、前記エチレンと前記α−オレフィンの共重合体のうちエチレン含量は60重量%以上であることを特徴とするエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造方法。
【請求項12】
重合反応系内の圧力は6乃至150気圧であり、重合反応温度は80乃至250℃であることを特徴とする請求項11に記載のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至5のいずれかに記載の遷移金属化合物を触媒を用いて製造されたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体。
【請求項14】
請求項6に記載の遷移金属化合物を触媒組成物を用いて製造されたエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンの共重合体。

【図1】
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【公表番号】特表2011−507974(P2011−507974A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541386(P2010−541386)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006411
【国際公開番号】WO2009/084805
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】