説明

選抜された粘膜付着性ポリマーを含む、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための組成物

本発明は、呼吸器官ウイルス感染による感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において極めて効果的である呼吸器官用組成物に関する。これらの組成物は、好ましくは、酢酸亜鉛などの金属化合物、有機酸、及び選抜された粘膜付着性ポリマーを含み、その際、この選抜された粘膜付着性ポリマーが組成物の粘膜組織及び粘膜液への付着をもたらし、その結果、感冒及びインフルエンザ様の症状の改善された予防及び治療がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器官ウイルス感染による感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための呼吸器官用組成物に関し、その際、これらの組成物は、感冒及びインフルエンザの発症を予防すること、又はある人が既にこうした症状に悩まされている場合にはそれらを顕著に緩和することの両方において効果的である。特に、本発明は、選抜された粘膜付着性ポリマー類を含む、呼吸器官用組成物、特に鼻用組成物に関し、前記粘膜付着性ポリマー類は、呼吸器官の領域に対する組成物の付着性を改善し、呼吸器官の領域に知覚される炎症を引き起こすことなく感冒及びインフルエンザ様の症状を予防及び治療できるようにする。
【背景技術】
【0002】
多くの異なるウイルス類及びウイルス株類が呼吸器ウイルス感染に関連した症状を招くことが知られている。風邪は、5つのウイルス族に見出される200を超える抗原性の異なるウイルス類により引き起こされる複雑な症候群である。これらのウイルス族には、ライノウイルス、ミクソウイルス、パラミクソウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス及びコロナウイルスがある。最も重要な群はライノウイルスである(グワルトニー(Gwaltney)J.M.、風邪(Common Cold)、489〜493頁、マンデル(Mandell)G.L.、R.G.ダグラス(Douglas)ジュニア、J.E.ベネット(Bennett)、感染病の原理と実践(Principles and Practice of Infectious Diseases)、第3版、チャーチル・リビングストン(Churchill Livingstone)、ニューヨーク、1990年)。症状の発現への寄与が完全には理解されていない数多くの素因もまた存在するので、病気の具体的な原因を特定することは難しく、現実的ではない。これらには、肉体的疲労、精神的ストレス、及び身体全体の健全さが挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
感冒及びインフルエンザの発症につながるウイルス及び関連要因にかかわらず、風邪の症状を緩和するための数々の治療薬が提案されてきた。現在市販されている咳/感冒用製品は典型的に以下の活性物質のうちの1つ以上を含有する:プソイドエフェドリンなどの抗鼻閉薬、オキシメタゾリン、ドキシルアミンなどの抗ヒスタミン剤、デキストロメトルファンなどの鎮咳剤、グアイフェネシンなどの去痰剤、及びアセトアミノフェノンのような解熱剤。既存の感冒治療薬を改良するための試みにおいて、当業者は幾つかの代替の薬物療法及び引き続きそれらの効能を試験するために行われる感冒試験を提案してきた。これらの療法の例として次のものが挙げられる:インターフェロン−α2の使用(ダグラス(Douglas)ら、家庭環境におけるライノウイルス感染に対する鼻腔内α2−インターフェロンの予防的効能(Prophylactic Efficacy of Intranasal Alpha2-Interferon Against Rhinovirus Infection in the Family Setting)、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(The New England Journal of Medicine)、314、65〜70頁、1986年);ブラジキニン拮抗薬(ヒギンス(Higgins)ら、ヒト志願者のライノウイルス感染におけるブランジキニン(Brandykinin)拮抗薬、NPC567の効能の研究(A Study of the Efficacy of the Brandykinin Antagonist,NPC567,in Rhinovirus Infections in Human Volunteers)、抗ウイルスリサーチ(Antiviral Research)第14巻、339〜344頁、1990年);グルココルチコイド(ファー(Farr)ら、実験的ライノウイルス感染に対するグルココルチコイド予防の無作為化比較試験(A Randomized Controlled Trial of Glucocorticoid Prophylaxis Against Experimental Rhinovirus Infection)、感染病ジャーナル(Journal of Infectious Diseases)、第162巻、1173〜1177頁、1990年);ネドクロミル(nedocromil)(バロー(Barrow)ら、ヒト志願者のウイルス性上気道感染に対する鼻腔内ネドクロミルナトリウムの効果(The Effect of Intranasal Nedocromil Sodium on Viral Upper Respiratory Tract Infections in Human Volunteers)、臨床及び実験的アレルギー(Clinical and Experimental Allergy)、第20巻、45〜51頁、1990年);インターフェロン−α2、イプラトロピウム及びナプロキセンの組み合わせ(グワルトニー(Gwaltney)、ライノウイルス感冒の抗ウイルス及び抗化学伝達物質の複合治療(Combined Antiviral and Antimediator Treatment of Rhinovirus Colds)、感染病ジャーナル第166巻、776〜782頁、1992年);亜鉛塩類(ポッター(Potter)ら、DIASラウンド(DIAS Rounds)、風邪の治療のための亜鉛ロゼンジ(Zinc Lozenges for Treatment of Common Colds)、薬物療法年鑑(The Annals of Pharmacotherapy)、第27巻、589〜592頁、1993年)。
【0004】
風邪の予防及び治療のための組成物並びにそれらの使用方法を開示している数多くの特許もまた発行されてきた。こうした特許の実例としては、次のものが挙げられる:抗ウイルス及び抗炎症化合物の組み合わせを用いた治療を開示している、米国特許第5,240,694号、同5,422,097号、及び同5,492,689号(すべてグワルトニー(Gwaltney));亜鉛塩類を用いた治療を開示している、米国特許再発行第33,465号及び米国特許第5,409,905号(両方ともイービ(Eby));経口投与アミノカルボン酸化合物を用いた治療を開示している米国特許第5,626,831号(バン・モアカーケン(Van Moerkerken));NSAIDSのような非ステロイド性抗炎症薬をクロロフェニラミンのような抗ヒスタミン剤として効果的な物質とともに含む組成物を用いた咳及び感冒の治療を開示している、米国特許第4,619,934号及び同第4,552,899号(両方ともサンシャイン(Sunshine))。
【0005】
インフルエンザの治療としては、ワクチン接種と特定の抗ウイルス薬の使用が挙げられる。これらは、A.エリオット(Elliot)及びJ.エリス(Ellis)、2000年、薬剤ジャーナル(Pharmaceutical Journal)、265、446〜451に概説されている。アマンタジン(Amantidine)及びリマンタジン(Rimantidine)はインフルエンザ感染を治療するために用いられてきた。それらはインフルエンザウイルスのM2タンパク質を対象とし、感染細胞へのウイルス性遺伝物質の放出を妨げ、こうしてウイルスの複製を防止する。次のものを含む数々の副作用が報告されている:神経性及び胃腸性の病訴(R.B.ベルシ(Belshe)、M.H.スミス(Smith)、CBホール(Hall)、ベッツ(Betts)、R.J.ヘイ(Hay))、インフルエンザウイルス感染の治療におけるリマンタジン(Rimantidine)結合に対する抵抗の遺伝的な根拠(Genetic basis of Resistance to Rimantidine Merging During Treatment of Influenza Virus Infection)、ウイルス学ジャーナル(Journ.of Virology)、1988年、62、1508〜12;A.J.ヘイ(Hay)、インフルエンザAウイルスに対するアダマンタンアミン類の作用:M2イオンチャネル、タンパク質の阻害(The Action of Adamantanamines Against Influenza A Viruses:Inhibition of the M2 Ion Channel,Protein.)、ウイルス学セミナー(Semin Virol.)、1992年、3、21〜30。
【0006】
インフルエンザ治療の別の手法は、ウイルス上で、そのウイルスの複製及び感染性にとって重要なノイラミニダーゼ酵素分子を阻害することであった。こうした治療薬の1つは、グラクソ・ウェルカム(Glaxo Wellcome)、A.S.モント(Mont)、D.P.ロビンソン(Robinson)、M.L.ヘルローチャー(Herlocher)、J.M.ヒンソン(Hinson)、M.J.エリオット(Elliot)、A.クリスプ(Crisp)により開発されたザナミビル(健康な成人の間でのインフルエンザの予防におけるザナミビル:無作為化比較試験、JAMA、1999年、282、31〜5)である。報告されている副作用は、副鼻腔炎、下痢、吐き気、及び肺への有害反応であった。第2のノイラミニダーゼ阻害薬は、商品名タミフル(Tamiflu)で認可されているオセルタミビル(Oseltamivir)である(J.J.トリーナー(Treanor)、F.G.ヘイデン(Hayden)、P.S.ブルーマン(Vrooman)、R.バララッシュ(Bararush)、R.ベティス(Bettis)、D.リフ(Riff)、急性インフルエンザの治療における経口ノイラミニダーゼ阻害物質オセルタミビルの効能及び安全性:無作為化比較研究、JAMA、2000年、283、1016〜24)。アマンタジン(Amantidine)、リマンタジン(Rimantidine)、及びノイラミニダーゼ阻害物質に関しては、ウイルス抵抗が発現して、それらの効果がなくなる可能性があるという懸念がある(A.エリオット(Elliot)及びJ.エリス(Ellis)、2000年、薬剤ジャーナル(Pharmaceutical Journal)、265、446〜451)。
【0007】
米国特許第4,689,223号(T&Rケミカルズ(T&R Chemicals)に譲渡、1987年8月25日発行)は、風邪の症状を治療する又は風邪を予防するための鼻用スプレー組成物を開示しており、この組成物は低pHであるが特定されないpHを有する亜硫酸塩類又は亜硫酸水素塩類を含む。EP046409(ワリチェク(Walliczek)、1982年2月24日公開)は、ヒト又は動物の身体の治療的処置のための第一銅錯体の溶液を調製するためのプロセスを開示しており、本明細書に参考として組み込まれる。開示されたプロセスの1つには、第一銅錯体をアスコルビン酸又はpH4〜6の非毒性アスコルベートを用いて調製することが挙げられる。この錯体は、菌性、炎症性、又はウイルス性の病訴を局所治療するための溶液を作製するのに使用してもよい。米国特許第6,080,783号(ガム・テック・インターナショナル社(Gum Tech International,Inc.)に譲渡、2000年6月27日発行)は、効果のある少々のホメオパシー(homeopathic)量の亜鉛又は別の金属を鼻の膜に送達するための粘着性のゲルを開示しており、本明細書に参考として組み込まれる。この組成物はイオン性亜鉛を鼻の膜に直接接触した状態に維持し、また、この組成物は亜鉛の鼻の膜への、そして最終的には血流内への急速な送達をもたらして感冒を治療すると考えられている。粘着性ゲル類又は他の粘着性構築高分子物質類を含む鼻用組成物の他の開示としては、米国特許第4,891,226号;PCT国際公開特許WO91/10434;米国特許第4,478,822号;米国特許第5,599,534号;米国特許第5,215,739号;米国出願公開番号(U.S.Published Application)2002/0032231号;米国特許第6,365,624号;米国特許第5,158,761号;米国特許第5,897,858号;及びEP1108422が挙げられる。
【0008】
ライノウイルス類の既知の特徴は、それらが酸性条件下で感染力を失うことである。5.0のpH値でさえ、ライノウイルスの感染力を減少させることが知られている(J.H.ヒューズ(Hughes)、ライノウイルス14型の酸不安定性:pH、時間及び温度の効果(Acid Lability of Rhinovirus Type 14:Effect of pH,Time and Temperature)、実験生物学医学協会会報(Proc.Soc.Exp.Biol.Med.)、1993、144、555〜60)。EP310317(ボルツ(Bordt)ら、ビーチャム(Beecham)に譲渡、1989年4月5日公開)は、ウイルス又は細菌を酸素及び重金属イオン類の存在下でアスコルビン酸又はその塩類を用いて不活性化することにより調製されたワクチンを含む医薬組成物を用いて、ウイルス及び細菌を不活性化する方法を開示している。米国特許第4,767,788号(ダイアナ、スターリングドラッグ社(Sterling Drug Inc.)に譲渡、1988年8月30日発行)は、鼻粘膜においてライノウイルスを含むウイルスをグルタル酸で破壊するプロセスを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当該技術分野で既知の豊富な組成物及び予防治療にもかかわらず、感冒及びインフルエンザの症状の予防及び治療のための、一貫性があり効果的な方法を提供することが、依然として必要とされている。感冒及びインフルエンザの症状の改善された予防及び治療を提供する選抜された粘膜付着性ポリマーを含む、これらの感冒及びインフルエンザの症状の予防及び治療において極めて効果的である組成物、特に鼻用組成物もまた、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、呼吸器官ウイルス感染による感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための呼吸器官用組成物及びかかる組成物を使用するための方法に関する。本発明の呼吸器官用組成物は、好ましくは鼻腔などの呼吸器官の領域に適用されて、鼻腔組織の表面pHを約3.0〜約5.5にする。これらの組成物は、ピログルタミン酸と約3.0〜約5.5のpKa値を有する有機酸との組み合わせなどの活性成分の組み合わせを伴い、あるいは伴わずに、ウイルス感染に不利な環境を作り出す。
【0011】
好ましくは、本発明は鼻用組成物、特に、鼻用スプレー剤に関し、それらは金属化合物及び有機酸のような物質の組み合わせを、カーボポール(Carbopol)980など既知の粘膜付着性ポリマー物質の添加とともに、あるいはそれらを添加せずに、選抜された粘膜付着性ポリマー類と組み合わせて含む。具体的には、本発明は、(a)約0.001重量%〜約20重量%の金属化合物、(b)約0.01重量%〜約10重量%の有機酸、及び(c)約0.01重量%〜約30重量%の粘膜付着性ポリマーを含む鼻用組成物のような呼吸器官用組成物の好ましい実施形態に関し、ここで、前記組成物は約0.001Pa・s(1cps)〜約2Pa・s(2000cps)の粘度を有する。
【0012】
本発明はまた、好ましくは感冒又はインフルエンザの症状を治療する方法に関し、この方法は(a)約0.001Pa・s(1cps)〜約2Pa・s(2000cps)の粘度を有し、約0.001重量%〜約20重量%の金属化合物、約0.01重量%〜約10重量%の有機酸、及び約0.01重量%〜約30重量%の粘膜付着性ポリマーを含む呼吸器官用組成物を調製する工程;並びに(b)前記呼吸器官用組成物が粘膜組織及び粘膜液と接触するように組成物を呼吸器領域に投与する工程を含む。前記呼吸器官用組成物は、この組成物が鼻用スプレーを用いて投与される場合に特に効果的である。
【0013】
鼻の組織に適用すると、本発明の呼吸器官用組成物はウイルスにとって不利な環境を作り出すことが見出された。このような環境は、呼吸器官ウイルス感染が存在する鼻腔にウイルスが感染するのを妨げる。本発明の呼吸器官用組成物はまた、既に感染した被験者を感冒及びインフルエンザ様の症状を緩和するために治療するのにも好適であるとともに、学校及びオフィスビルを含む危険度の高い公共環境に直面した場合に、このようなウイルスに感染する可能性を低減又は除去する方法の適用のためにも好適である。
【0014】
前述したように、本発明の呼吸器官用組成物は、金属化合物、有機酸、及び選抜された粘膜付着性ポリマーの好ましい組み合わせを含む鼻用組成物、特に鼻用スプレー剤の好ましい実施形態において投与する場合に、特に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の組成物は、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において効果的である呼吸器官用組成物である。これらの組成物は、組成物が鼻用組成物の形態で投与される場合に、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において特に効果的である。本発明の呼吸器官用組成物は、典型的には、キャリアシステムと呼ばれることもある、医薬上許容できるビヒクルを用いて投与される。
【0016】
「呼吸器官用組成物」という用語は、本明細書で使用するとき、鼻及び口から気管へと直接送達可能である形態にある組成物をいう。これらの組成物には、点滴器、ポンプ噴霧器、加圧式噴霧器、アトマイザー、エアー吸入装置、及びその他の既知の又はいまだ開発途中のパッケージング及び装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
呼吸器官用組成物は「感冒及びインフルエンザ様の症状」を予防及び治療するために投与される。本明細書で使用するとき、「感冒及びインフルエンザ様の症状」とは、呼吸器官ウイルス感染に通常関連する症状をいう。これらの症状には、鼻詰まり、胸部鬱血、くしゃみ、鼻漏、疲労又は倦怠感、咳、発熱、悪寒、体の痛み、咽頭炎、頭痛、及び他の既知の感冒及びインフルエンザ様の症状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「呼吸器ウイルス」という用語は、本明細書で使用するとき、感冒及びインフルエンザ様の症状の原因となる作用物質であるウイルスをいう。これらのウイルスには、ライノウイルス、ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス)、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス及びコロナウイルスがある。
【0019】
用語「医薬上許容できるビヒクル」とは、本発明の呼吸器官用組成物の構成成分と組み合わされてその構成成分を使用者の呼吸器官へと送達する、任意の固体、液体又は気体をいう。これらのビヒクルは、一般にはヒトへの使用に対し安全であるとみなされ、キャリアシステムとしても知られている。
【0020】
本発明の呼吸器官用組成物は、本明細書に記載される本発明の構成要素及び制限、並びに、本明細書に記載されるいかなる追加の若しくは任意の成分、構成成分、又は制限をも含み、それらから成り、又は本質的にそれらから成ることができる。
【0021】
全ての百分率、割合及び比率は、特に指示がない限り、呼吸器官用組成物の重量による。列挙する成分に関するこのようなすべての重量は、特定の成分の濃度に基づいており、そのため特に指定しない限り、市販の材料に含まれる場合があるキャリアや副生成物を含まない。
【0022】
(ピログルタミン酸)
本発明の呼吸器官用組成物は、ピログルタミン酸を約3.0〜約5.5のpKa値を有する有機酸と組み合わせて含むことができ、その際、前記ピログルタミン酸と有機酸との組み合わせは、鼻腔組織の表面pHを約pH3.0〜5.5にすることが示された。本発明の呼吸器官用組成物は、ピログルタミン酸を、典型的には組成物の約0.01重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の範囲の濃度で含む。
【0023】
本発明の呼吸器官用組成物は、安全且つ有効な量のピログルタミン酸(PCA)、又はこれらの組成物中に含まれる任意の他の活性構成成分を含む鼻用組成物の形態で投与されるのが好ましい。この場合、用語「安全且つ有効な量」とは、有害反応が最小限であるか又は全くない状態で、治療的な利益を提供する量をいう。
【0024】
本発明の呼吸器官用組成物での使用に好適なピログルタミン酸には、集合的にピログルタミン酸の立体異性体及び互変異性体と称されるピログルタミン酸化合物が含まれる。ピロリドンカルボン酸とも称されるピログルタミン酸は、2つの立体異性体(D及びL)を有し、各々が本明細書で使用するのに好ましい。ピログルタミン酸の医薬上許容可能な塩類もまた本明細書で使用するのに好適である。
【0025】
ピログルタミン酸のD立体異性体はまた、次の名前でも知られる:D−プロリン、5−オキソ−(+)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(+)−ピログルタミン酸、(R)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、5−オキソ−D−プロリン、D−2−ピロリドン−5−カルボン酸、D−ピログルタミン酸、D−ピロリジノンカルボン酸、及びD−ピロリドンカルボン酸。
【0026】
ピログルタミン酸のL立体異性体はまた、次の名前でも知られる:L−プロリン、5−オキソ−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(−)−ピログルタミン酸、(5S)−2−オキソピロリジン−5−カルボン酸、(S)−(−)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(S)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(S)−5−オキソ−2−ピロリジンカルボン酸、(S)−ピログルタミン酸、2−L−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ピロリジノン−5−カルボン酸、5−カルボキシ−2−ピロリジノン、5−オキソ−L−プロリン、5−オキソプロリン、5−ピロリジノン−2−カルボン酸、グルチミン酸(Glutimic acid)、グルチミニン酸(Glutiminic acid)、L−2−ピロリドン−5−カルボン酸、L−5−カルボキシ−2−ピロリジノン、L−5−オキソ−2−ピロリジンカルボン酸、L−5−オキソプロリン、L−グルタミン酸、γ−ラクタム、L−グルチミン酸、L−グルチミニン酸、L−ピログルタミン酸、L−ピロリジノンカルボン酸、L−ピロリドンカルボン酸、オキソプロリン、PCA、ピドール酸(Pidolic acid)、ピログルタミン酸、ピロリジノンカルボン酸、ピロリドン−5−カルボン酸、及びピロリドンカルボン酸。
【0027】
ピログルタミン酸のDL形態(D及びL立体異性体の混合物)は次の名前で知られている:DL−プロリン、5−オキソ−(.+−.)−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(.+−.)−ピログルタミン酸、5−オキソ−DL−プロリン、DL−2−ピロリジノン−5−カルボン酸、DL−2−ピロリドン−5−カルボン酸、DL−ピログルタメート、DL−ピログルタミン酸、DL−ピロリドンカルボン酸、及びオキソプロリン。DL形態はまた、味の素(Ajinomoto)から商品名アジデュー(Ajidew)A100及びアジデューN50(Na−PCA)で市販されている。
【0028】
上記に挙げた立体異性体の幾つかはUCIB(フランス)から、バーネット・プロダクツ社(Barnet Products Corp.)(ニュージャージー(New Jersey))を介して市販されている。こうした化合物は、商品名キブリドン(Cuivridone)(Cu−PCA)及びL−FERピドレート(Pidolate)(Fe−PCA)、及びピドリドン(Pidolidone)などの商品名で販売されている。
【0029】
(有機酸)
本発明の呼吸器官用組成物は、上述したピログルタミン酸と組み合わせて使用するのに好適な有機酸を含む。呼吸器官用組成物が有機酸とピログルタミン酸との組み合わせを含む場合、感冒及びインフルエンザ様の症状の原因となることが知られているウイルスにとって不利となる組成物が作り出されると考えられる。
【0030】
本明細書に用いるのに好適な有機酸は、個々の有機酸として、又は有機酸類の組み合わせとして、呼吸器官用組成物に含まれることができるが、ただし有機酸の合計の濃度は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜5重量%、より好ましくは約0.10重量%〜約2.5重量%の範囲とする。前記有機酸は、約3.0〜約5.5の解離定数(pKa)を有する。有機酸がPCAと組み合わさる場合、呼吸器官用組成物は増大された緩衝能を有し、鼻腔内又は鼻甲介の処置される組織の表面pHを約3.0〜約5.5にすることが示された。
【0031】
本明細書に用いるのに好適な有機酸の非限定例としては、アスコルビン酸、モノカルボン酸類、ジカルボン酸類、トリカルボン酸類、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸の具体的な非限定例としては、サリチル酸、フマル酸、安息香酸、グルタル酸、乳酸、クエン酸、マロン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、フタル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルコン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。有機酸類は呼吸器官組織に対して潜在的な刺激性があることが知られているにもかかわらず、これらの有機酸は、規定の濃度で本発明の呼吸器官用組成物に組み込まれて、鼻の組織などの呼吸器官の特定の領域を顕著に刺激することなしに、ウイルスにとって不利な環境を作り出すことができることが見出された。
【0032】
前記有機酸はピログルタミン酸と組み合わせて使用された場合に効果的であるが、前記有機酸と金属化合物類との組み合わせもまた感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療に効果的であることが見出された。前記有機酸と金属化合物との組み合わせは、ピログルタミン酸の添加を伴って、あるいは伴わずに、呼吸器官用組成物に含まれて、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において治療的利益を提供することができる。
【0033】
(金属化合物)
本発明の呼吸器官用組成物は、安全且つ有効な量の金属化合物、好ましくは上述の有機酸と組み合わされた金属化合物を含む。金属化合物は一般に「金属塩」と称され、その際、鉄、銀、銅、及び亜鉛などの金属イオン置換基が、感冒及びインフルエンザウイルスにとって不利な環境をもたらす金属化合物の主要な構成要素であると考えられている。
【0034】
本発明の呼吸器官用組成物における金属化合物の濃度は、典型的には組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約2重量%の範囲である。金属化合物は、呼吸器官用組成物中に、個々の金属化合物として、又は金属化合物類の組み合わせとして含まれることができ、その際、金属化合物の合計濃度は、典型的には組成物の約0.001重量%〜約20重量%の範囲である。
【0035】
前述したように、本発明の呼吸器官用組成物の好ましい実施形態では、組成物が有機酸と金属化合物との組み合わせを含む。呼吸器官用組成物がこの成分の組み合わせを含む場合、有機酸は組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2.5重量%の範囲の濃度で含まれ、金属化合物は、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2.5重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0036】
あるいは、本発明の呼吸器官用組成物は、金属化合物と有機酸をピログルタミン酸と組み合わせて含むことができる。理論に制限されないが、本発明の呼吸器官用組成物が金属化合物、有機酸、及びピログルタミン酸を含む場合、前記金属化合物及びピログルタミン酸は相乗的な即時の及び残留性の抗ウイルス効果を与えることができる金属−酸錯体を形成することができるものと考えられる。金属化合物をピログルタミン酸と組み合わせて金属−酸錯体を形成してから、この金属−酸錯体を本発明の呼吸器官用組成物に組み込むことができる。金属−酸錯体を形成してから本明細書の呼吸器官用組成物に含ませる場合、この金属−酸錯体は組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の範囲の濃度で含まれる。本発明の呼吸器官用組成物が、有機酸を含まずに金属化合物とピログルタミン酸との組み合わせを含み得ることも、意図されている。
【0037】
本明細書に用いるのに好適な金属化合物としては、マンガン(Mn)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びこれらの混合物から成る群から選択される金属イオンを含有する金属化合物が挙げられる。好ましい金属化合物としては、Cu、Fe、若しくはZn金属イオン、又はこれらの組み合わせを含有する金属化合物が挙げられる。
【0038】
本明細書に用いるのに好適な金属化合物の非限定例としては、サリチラート類、フマラート類、ベンゾエート類、グルタレート類、ラクテート類、シトレート類、マロネート類、アセテート類、グリコレート類、チオサリチラート類、アジペート類、サクシネート類、グルコネート類、アスパルテート類、グリシナート類、タータレート類、マレート類、マレアート類、アスコルベート類、クロリド類、スルフェート類、ニトレート類、ホスフェート類、フルオリド類、ヨージド類、ピドレート類と称される金属化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。アセテート類、アスコルベート類、クロリド類、ベンゾエート類、シトレート類、グルコネート類、グルタレート類、ラクテート類、マレート類、マロネート類、サリチラート類、サクシネート類、スルフェート類、及びこれらの混合物が、好ましい金属化合物である。
【0039】
本明細書に用いるのに好適な金属化合物の具体的な例としては、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドール酸亜鉛(zinc pidolate)、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。酢酸亜鉛が最も好ましい金属化合物である。
【0040】
本発明の呼吸器官用組成物が亜鉛イオンを含有する金属化合物を含む場合、亜鉛イオンが抗ウイルス特性を提供すると考えられる。更に、鉄、銀、銅、及び亜鉛などの金属イオンは感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療のための抗ウイルス特性を与えることができるということが知られている。特に、亜鉛及びその風邪に対して考えられる効果については広範囲にわたって記載されてきた(風邪の治療のためのハンドブック(The Handbook for Curing the Common Cold)、ジョージ A.イービ(George A.Eby)、1994年出版、ジョージ・イービ・リサーチ(George Eby Research)、米国テキサス州)。その作用機構は、多因子性であると考えられている。亜鉛イオン類は抗ウイルス性及び抗菌性の両方であることが示されてきた。それらは、ライノウイルスポリペプチド類の開裂を阻害して、感染ウイルス類の複製及び形成を防止すると考えられている。亜鉛イオンは、細胞間付着分子ICAMの発現をある程度低下させることによって、ライノウイルス類が細胞膜に浸透する能力を減少させる。亜鉛イオンは、天然の抗ウイルス性インターフェロン−γの生成を含め、T−細胞リンパ球(lyphocytes)を刺激することもまた示されてきた。それらは細胞血漿膜を安定化させ、細胞を細胞毒性薬から保護し、細胞漏出を防止する。
【0041】
(粘膜付着性ポリマー)
本発明の呼吸器官用組成物は粘膜付着性ポリマーを含み、この粘膜付着性ポリマーは、鼻腔などの呼吸器官の領域における組成物の保持を改善し、それにより、鼻の炎症を引き起こすことなく感冒及びインフルエンザ様の症状の改善された予防及び治療をもたらす。粘膜付着性ポリマーは、鼻用組成物などの呼吸器官用組成物に組み込まれて、刺激反応性を示すことができることが知られている。刺激反応性とは、粘膜液又は粘膜組織と接触した際に、組成物が十分に粘着性又は粘稠となってその組織に付着し、その表面からすぐには侵食しないことを意味する。
【0042】
本明細書に用いるのに好適な粘膜付着性ポリマーは、単独で又は組み合わせて用いられて、その呼吸器官用組成物が、pH、体温、イオン濃度の変化などの刺激と接触した場合にその組成物の粘度に変化を与える、いかなる固体又は液体をも含む。したがって、粘膜付着性ポリマーは一般に粘度構築ポリマーと称されることもある。粘度の変化を提供する粘膜付着性ポリマーを組み込むことで、本発明の呼吸器官組成物の酸性の性質により引き起こされ得る知覚される炎症、特に知覚される鼻の炎症が低減及び/又は除去されることが見出された。
【0043】
本明細書に用いるのに好適な粘膜付着性ポリマーは、呼吸器官用組成物を粘膜組織、特に鼻の粘膜組織に付着させ、その結果、酸性の呼吸器官用組成物が粘膜組織及び粘膜液と接触し、それによりその呼吸器官領域における組成物の粘度に変化をもたらす。結果として、本発明の呼吸器官用組成物は、典型的な呼吸器官用組成物よりも長期間にわたり粘膜の表面上に維持され、それによってウイルスに不利な環境を維持して、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療を改善する。例えば、本発明の呼吸器官用組成物が液体の呼吸器官用組成物として投与される場合、この組成物は噴霧散布器を使用して適用され、そして鼻腔などの呼吸器官領域に噴霧される際に組成物は鼻の組織に付着するポリマー皮膜、好ましくはポリマーの粘稠な皮膜を直ちに形成する。このポリマー皮膜は好ましくは薄いポリマー皮膜であり、より好ましくは薄いポリマーの粘稠な皮膜であり、この皮膜はまたくしゃみ、鼻かみ、又は粘膜毛様体除去時の侵食に対しても耐性がある。粘膜付着性ポリマーはまた、呼吸器官用組成物を粘膜組織及び粘膜液に適用した際にその場で組成物の粘度を変化させることができる。
【0044】
粘膜付着性ポリマーは、個々の粘膜付着性ポリマーとして、又は粘膜付着性ポリマー類の組み合わせとして、本発明の呼吸器官用組成物中に含まれることができるが、ただし粘膜付着性ポリマーの合計の濃度は、組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約15重量%の範囲とする。
【0045】
粘膜付着性ポリマーを本発明の呼吸器官用組成物に組み込むことで、粘度が約0.001Pa・s(1センチポアズ(cps))〜約2Pa・s(2000cps)、好ましくは約0.001Pa・s(1cps)〜約1Pa・s(1000cps)、より好ましくは約0.005Pa・s(5cps)〜約0.5Pa・s(500cps)、最も好ましくは約0.005Pa・s(5cps)〜約0.3Pa・s(300cps)の範囲である組成物が、通常得られる。組成物の粘度は、粘度を判定するために利用されるいかなる既知の又はその他の効果的な技術によっても測定することができる。一般には、本発明の呼吸器官用組成物の粘度は、ASTM D1824−87、ASTM D1084−88、及びASTM D2196−86に記載されているものなどの既知の方法を用いて判定される。粘度を測定するために利用される典型的な粘度計には、ブルックフィールド・シンコ−レクトリック粘度計(Brookfield Syncho-Lectric Viscometer)及びハーケ粘度計(Haake Viscometer)がある。例えば、ブルックフィールド・シンコ−レクトリック粘度計(Brookfield Syncho-Lectric Viscometer)を粘度の測定に利用する場合、この粘度計は典型的にはスピンドル4を装備し、所与の回転速度における低せん断速度において8Pa・s(8,000センチポアズ)未満の粘度を測定する。同様に、ハーケ粘度計(Haake Viscometer)を利用する場合、好適なハーケ粘度計はレオストレス1型(Rheostress 1 model)であり、これはプローブC35/2Tなどのプローブ(すなわちスピンドル)を装備し、その際、粘度測定は0℃〜5℃の温度範囲で、5.2rad/s(1分当たり50回転(50rpm)/秒(sec))にて行われる。
【0046】
本明細書に用いるのに好適な既知の粘膜付着性ポリマーは、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0047】
ペンタエリスリトールのアリルエーテル又はスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸の好適なホモポリマー類の非限定例は、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から商品名「カーボポール(Carbopol)」で入手可能である。具体的なカーボポール類(Carbopols)としては、カーボポール934、940、941、956、980、及びこれらの混合物が挙げられる。カーボポール(Carbopol)粘膜付着性ポリマー類の中では、カーボポール980がとりわけ好ましい。この種類のポリマー類はわずかに酸性のカルボキシ基置換基を有する。このようなポリマー類は一般に、水中で3前後のpHを有し、通常は組成物の調製時の中和により使用され、粘稠な皮膜及び/又はゲルを形成する。本発明の呼吸器官用組成物が1つ以上のカーボポール(Carpobol)粘膜付着性ポリマーを含む場合、一般にはこれらのポリマー類は、組成物の約0.01重量%〜約2.5重量%の範囲の濃度で用いられる。
【0048】
ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸の好適なホモポリマー類の非限定例は、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)からポリカルボフィルとして商品名「ノベオン(Noveon)」で入手可能である。
【0049】
本明細書に用いるのに好適な粘膜付着性ポリマーのその他の非限定例としては、天然ポリマー類、高分子セルロース誘導体類、ポリビニルピロリドン類(PVPs)、デキストランポリマー類、ポリオックス(Polyox)−600を含むポリエチレンオキシドポリマー類、熱可逆性ポリマー類、イオン応答性ポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、及びこれらの混合物が挙げられる。高分子セルロース誘導体類及び熱可逆性ポリマー類が好ましい。
【0050】
本明細書の粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な天然ポリマー類の具体的な非限定例としては、アラビアゴム類、トラガカントゴム類、寒天ポリマー類、キサンタンガム類、アルギン酸とアルギン酸ナトリウムとのコポリマー類、キトサンポリマー類、ペクチン類、カラギーナン類、ポルラン(pollulan)ポリマー類、加工デンプン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本明細書で好ましい粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な高分子セルロース誘導体類の具体的な非限定例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含むヒドロキシアルキルセルロースポリマー類、メチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロース(CMC)ポリマー類、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を含むカルボキシメチルセルロースの塩類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本明細書で好ましい粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な熱可逆性ポリマー類の具体的な非限定例としては、ルトロール(Lutrol)F−127及びルトロールF−68の商品名で販売されているポロキサマー類を含むポロキサマー類、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
本明細書で粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適なイオン応答性ポリマー類の具体的な非限定例としては、ゲルライト(gelrite)、ジェランガム、ケルコゲル(Kelcogel)F、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
本明細書で粘膜付着性ポリマーとして用いるのに好適な、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類の具体的な非限定例としては、ガントレツ(Gantrez)の商品名で販売されているこのようなコポリマー類が挙げられ、ガントレツS及びガントレツMS型コポリマー類が含まれる。
【0055】
本明細書に用いるのに好適な粘膜付着性ポリマーについては、調剤薬理学誌(Journal Pharmacy Pharmacology)53、3〜22頁(2001年版);製剤学国際誌(International Journal of Pharmaceutics)(1988、1996、及び1998年版);及び制御放出ジャーナル(Journal Controlled Release)62、101〜107頁、(1999年版)に、より完全に記載されており、これらの記述は本明細書に参考として組み込まれる。
【0056】
(医薬上許容可能なビヒクル)
本発明の呼吸器官用組成物は典型的には、医薬上許容できるビヒクル又はキャリアシステムを含む製剤として呼吸器官領域に投与される。液体、固体、又は気体の形態の医薬上許容できるいかなるビヒクルもが、感冒及びインフルエンザ様の症状を予防及び治療するために呼吸器官用組成物を送達するのに好適である。
【0057】
所望の形態及び使用されるべき送達装置に依存して、本発明の呼吸器官用組成物は、水、水混和性溶媒類(エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トランスクトール(transcutol)、グリセロール、及び他の既知の又はその他の効果的な水混和性溶媒類を含む)、液体エアゾール噴射剤類、及びこれらの混合物などの医薬上許容できるビヒクル類と組み合わせることができる。好ましくは、これらのビヒクル類はヒトの血漿と等張性である。
【0058】
呼吸器官用組成物が医薬上許容できるビヒクルとして水を用いて投与される場合、その水は純水又は脱イオン水であり有機の不純物を含んでいないのが好ましい。呼吸器官領域に送達するための最終製品形態に呼吸器官用組成物を処方するために利用される水の濃度は、最終製品製剤の約40重量%〜約99.98重量%、好ましくは約80重量%〜約99.95重量%の範囲である。
【0059】
本発明の呼吸器官用組成物が固体の医薬上許容できるビヒクルを用いて投与される場合、このビヒクルは粉末形態で適用されてよい。換言すれば、本発明の呼吸器官用組成物は、本明細書中に記載された必須成分及び任意成分を、既知の又はその他の効果的な凝固助剤とともにあるいは凝固助剤を伴わずに含有する固体粉末として適用することができる。ただし、医薬上許容できる固体ビヒクル類を、組成物の加工を補助するため、組成物の粘稠度を補助するため、安定性を改善するため、取り扱いやすくするため、吸湿効果のため、などに加えることができる。医薬上許容できる固体ビヒクル材料としては、粒子状及び粉末充填剤類、例えばラクトース粉末などの成分が挙げられる。固体粉末の医薬上許容できるビヒクルを用いて投与される鼻用組成物の形態の呼吸器官用組成物に関しては、特にその鼻用組成物が鼻用吸入剤である場合には、その粉末の粒径は典型的には10ミクロン超過である。
【0060】
(任意成分)
本発明の呼吸器官用組成物は、既知の又はその他の医薬組成物に使用するのに効果的な1つ以上の任意成分を、この任意成分が本明細書に上述された必須成分と物理的及び化学的に適合し、又はさもなければ製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なわない限り、更に含んでもよい。本明細書に用いるのに好適な任意成分としては、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤、感覚剤、甘味剤、着香料、揮発性油、粘質物、ポリソルベート(Polysorbate)80として市販されているポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含む界面活性剤展着助剤(surfactant spreading aids)などの材料が挙げられる。任意成分は呼吸器官用組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%の範囲の濃度で含まれることができる。
【0061】
本発明の呼吸器官用組成物は任意でホメオパシー成分を含むことができる。このようなホメオパシー成分の詳細な、しかし必ずしも完全ではないリストは、米国ホメオパシー薬局方(The Homeopathic Pharmacopoeia of the United States)、1999年版、米国ホメオパシー協会薬局方コンベンション(The Pharmacopoeia Convention of the American Institute of Homeopathy)により出版、(著作権)1982、第1〜4巻に見ることができ、これらの記述は参考として本明細書に組み込まれる。本明細書に用いるのに好適な、既知の、ホメオパシーの若しくはその他の効果的な任意成分の具体的な非限定例を、以下により詳細に記載する。
【0062】
本明細書に用いるのに好適な任意成分の具体的な非限定例には、任意のpH調整剤がある。任意のpH調整剤は、組成物のpHを約4.5未満の値に調整するために本発明の呼吸器官用組成物中に含まれることができる。そのため、組成物が鼻組織などの呼吸器官領域に適用される場合、組成物の鼻組織上でのpHは約3.0〜約5.5のままであるが、鼻組織の炎症を引き起こすほど低くはない。このような任意のpH調整剤は、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、及びこれらの混合物などの化合物を含む、鼻用組成物での使用に普通関連するものを含む。存在する場合、任意のpH調整剤は一般に、組成物の約0.01重量%〜約5.0重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0063】
本明細書に用いるのに好適な任意成分のその他の具体的な非限定例としては、向上した抗ウイルス活性を提供すると考えられているキレート化剤が挙げられる。本発明の呼吸器官用組成物で有用な任意のキレート化剤としては、鉄、銅、亜鉛、及び他のこのような金属類などの遷移金属イオン類をキレート化するものが含まれる。理論に束縛されないが、金属イオン、特に金属カチオンが酸化種の形成において重要な役割を果たすとの仮定は正当である。酸化反応及びフリーラジカル形成は、炎症性疾患において細胞損傷の原因となり得る。本明細書で有用な任意のキレート化剤は酸化反応を抑制することが知られている。任意のキレート化剤は、非水性及び水性媒体において、並びに約3〜約6のpH範囲において、安定及び効果的である。好適な任意のキレート化剤の非限定例としては、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二ナトリウム及びカルシウム塩、EDTA四ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ジ(ヒドロキシエチル)グリシン、8−ヒドロキシキノリン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の呼吸器官用組成物が1つ以上の任意のキレート化剤を含む場合には、このキレート化剤は組成物の約0.001重量%〜10.00重量%、好ましくは約0.005重量%〜約5.0重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約2重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0064】
本明細書に用いるのに好適な任意成分の他の具体的な非限定例には、任意の防腐剤がある。防腐剤は、鼻に適用される注入装置又は呼吸器官用組成物に起因し得る微生物による汚染を防止するために任意で含まれることができる。このような任意の防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコネート、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及びこれらの混合物を含む、鼻用組成物での使用に普通関連するものが挙げられる。
【0065】
(製造方法)
本発明の呼吸器官用組成物は、感冒及びインフルエンザ様の症状の予防及び治療において治療的利益を提供する医薬組成物を提供するために好適な、既知の又はその他の効果的ないかなる技術によっても調製することができる。呼吸器官用組成物は好ましくは、本明細書に記載された金属化合物、有機酸、及び粘膜付着性ポリマーを含むように配合され、これらの組成物はその後、呼吸器官ウイルス感染による症状を予防及び治療するために呼吸器領域に投与するための液剤、スプレー剤、粉剤、吸入剤、ポンプ剤、滴剤などの最終製品形態へと製造される。
【0066】
この呼吸器官用組成物が、その組成物をスプレー剤、ポンプ剤、液滴剤などの製品形態で送達するために、液体などの医薬上許容できるビヒクルを用いて投与される場合、その呼吸器官用組成物は通常、粘膜付着性ポリマーを水などの液体ビヒクルに可溶性にすることにより調製される。次いで、攪拌しながらピログルタミン酸(所望の場合)、金属化合物、及び有機酸をそのポリマー溶液に加える。次に、溶液を続けて攪拌させながら、感覚剤ミックスを加える。感覚剤ミックスは典型的には、エタノール、メンソール、ペパーミント油、及びスペアミント油の組み合わせなどの、成分の組み合わせを含有し得るプレミックス溶液として加えられる。得られる製品のpHは約3.0〜約5.5の間でなければならないが、水酸化ナトリウム及び/又はコハク酸二ナトリウムなどのpH調整剤を加えて、得られる製品のpHを約4.5未満の値に維持することができる。液体最終製品形態で投与されるこれらの呼吸器官用組成物は充填滴下バイヤル瓶(fill dropper vials)に組み込むのに特に好適であり、その際、組成物は、感冒及びインフルエンザ様の症状を効果的に予防及び治療するために鼻孔又は鼻甲介などの呼吸器官領域に噴霧される。典型的には、各鼻孔又は鼻甲介に約100μlの組成物が噴霧される。
【0067】
本発明の呼吸器官用組成物が粉末などの医薬上許容できるビヒクルを用いて投与される場合、組成物は通常、ピログルタミン酸(所望の場合)、金属化合物、及び有機酸をV−ミキサーを用いてドライブレンドすることにより調製される。クエン酸ナトリウムなどのpH調整剤をそのドライブレンドに添加できる。このドライブレンドを次に流体エネルギーミルを使用して微粉末化する。結果として得られるこの微粉末化されたドライブレンドを、次にラクトース粉末などの粉末充填剤と乾式混合する。この最終の呼吸器官用粉末組成物は、任意で、既知のスプレーコーティング技術を用いて感覚剤プレミックスでコーティングすることができる。この最終の呼吸器官用粉末組成物は、感冒及びインフルエンザの症状を予防及び治療するために鼻吸入用計量ポンプに充填することができ、その際、約10ミリグラム(mgs)の最終粉末を鼻孔又は鼻甲介などの呼吸器官領域に投与することができる。
【0068】
本明細書中で述べたように、本発明の呼吸器官用組成物は、液剤、スプレー剤、ポンプ剤、吸入剤、粉剤などの最終製品形態で投与するのに好適である。これらの最終の呼吸器官用組成物を投与するのに利用される好適な装置としては、一般的に使用される、又はその他の効果的な液体容器、点滴器、加圧噴霧器を含むスプレー容器、ポンプ容器、吸入装置、粉末容器、アトマイザーなどが挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態を更に説明及び立証する。これらの実施例は、単に例示の目的で与えられるに過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくこれらの多くの変形形態が可能であるため、本発明を制限するものと解釈すべきではない。すべての例示した濃度は、特に明記しない限り、重量−重量パーセントである。
【0070】
本発明の代表的な呼吸器官用組成物を下記の表IIに例示する。これらの呼吸器官用組成物は、好ましくは下記の表Iに例示した感覚剤プレミックスを含む。表Iの例示された感覚剤プレミックスは、味、風味、清涼感(coolness)、匂いなどにおいて審美的に心地良い呼吸器官用組成物を与える。
【0071】
下記の表IIに例示された呼吸器官用組成物は、典型的には粘膜付着性ポリマーを水などの液体ビヒクルに可溶性にすることによって調製される。次いで攪拌しながら、ピログルタミン酸(所望の場合)、金属化合物、及び有機酸をそのポリマー溶液に加える。次に、溶液を続けて攪拌させながら、感覚剤ミックスを加える。得られる溶液のpHは約3.0〜約5.5の間でなければならないが、水酸化ナトリウム及び/又はコハク酸二ナトリウムなどのpH調整剤を加えて、得られる溶液のpHを約4.5未満の値に維持することができる。これらの最終の呼吸器官用組成物は充填滴下バイヤル瓶(fill dropper vials)に組み込むのに好適であり、その際、組成物は、感冒及びインフルエンザ様の症状を効果的に予防及び治療するために、鼻孔又は鼻甲介などの呼吸器官領域に噴霧される。典型的には、各鼻孔又は鼻甲介に約100μlの組成物が噴霧される。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

重量%−重量パーセント
1−バーネット・プロダクツ社(Barnet Products Corp.)(ニュージャージー)を介してUCIB(フランス)から入手可能なピログルタミン酸
2−DSMファイン・ケミカルズ(DSM Fine Chemicals)(英国)から入手可能なコハク酸
3−バーダクト(Verdugt)B.V.(ベルギー)から入手可能な酢酸亜鉛二水和物
4−B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)(米国)から入手可能なカーボポール(Carbopol)980
5−カラーコン社(Colorcon Ltd)(英国、ケント(Kent))から入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロース
6−バスフ・スペシャリティー・ケミカルズ(BASF Speciality Chemicals)(米国、ニュージャージー州、マウントオリバー(Mount Oliver))から入手可能なルトロール(Lutrol)F−127

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約0.001重量%〜約20重量%の金属化合物;
(b)約0.01重量%〜約10重量%の有機酸;及び
(c)約0.01重量%〜約30重量%の粘膜付着性ポリマー
を含み;
約0.001Pa・s(1cps)〜約2Pa・s(2000cps)の粘度を有する呼吸器官用組成物。
【請求項2】
前記金属化合物が、サリチラート類、フマラート類、ベンゾエート類、グルタレート類、ラクテート類、シトレート類、マロネート類、アセテート類、グリコレート類、チオサリチラート類、アジペート類、サクシネート類、グルコネート類、アスパルテート類、グリシナート類、タータレート類、マレート類、マレアート類、アスコルベート類、クロリド類、スルフェート類、ニトレート類、ホスフェート類、フルオリド類、ヨージド類、ピドレート類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項3】
前記金属化合物がアセテート金属化合物である、請求項2に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項4】
前記アセテートが酢酸亜鉛である、請求項3に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項5】
前記有機酸が、アスコルビン酸、サリチル酸、フマル酸、安息香酸、グルタル酸、乳酸、クエン酸、マロン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、フタル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルコン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項6】
前記粘膜付着性ポリマーが、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、天然ポリマー類、高分子セルロース誘導体類、ポリビニルピロリドン(PVP)類、デキストランポリマー類、ポリエチレンオキシドポリマー類、熱可逆性ポリマー類、イオン応答性ポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項7】
前記粘膜付着性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルセルロース類、メチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースポリマー類、カルボキシメチルセルロースの塩類、及びこれらの混合物から成る群から選択されるセルロース誘導体である、請求項6に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項8】
前記粘膜付着性ポリマーが、ポロキサマー類、エチルヒドロキシエチルセルロース類、及びこれらの混合物から成る群から選択される熱可逆性ポリマーである、請求項6に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項9】
前記組成物が約0.02Pa・s(20cps)〜約0.5Pa・s(500cps)の粘度を有する、請求項7に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項10】
前記組成物が約0.01Pa・s(10cps)〜約0.6Pa・s(600cps)の粘度を有する、請求項8に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項11】
前記組成物が約3.0〜約5.5の範囲のpHを有する、請求項5に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項12】
前記組成物が、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるpH調整剤を更に含む、請求項11に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項13】
前記組成物が約0.01重量%〜約20重量%のピログルタミン酸を更に含む、請求項12に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項14】
前記組成物が鼻用組成物である、請求項1に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項15】
前記鼻用組成物が、鼻用液剤、鼻用スプレー剤、鼻用吸入剤、鼻用粉剤、鼻用滴剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項14に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項16】
前記鼻用組成物が鼻用スプレー剤である、請求項15に記載の呼吸器官用組成物。
【請求項17】
感冒又はインフルエンザの症状を治療する方法であって:
(a)約0.001Pa・s(1cps)〜約2Pa・s(2000cps)の粘度を有し:
(i)約0.001重量%〜約20重量%の金属化合物;
(ii)約0.01重量%〜約10重量%の有機酸;及び
(iii)約0.01重量%〜約30重量%の粘膜付着性ポリマー
を含む、呼吸器官用組成物を調製する工程;
並びに
(b)(a)の呼吸器官用組成物が粘膜組織及び粘膜液と接触するように該組成物を呼吸器領域に投与する工程
を含む、方法。
【請求項18】
前記金属化合物が、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドール酸亜鉛(zinc pidolate)、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機酸が、アスコルビン酸、サリチル酸、フマル酸、安息香酸、グルタル酸、乳酸、クエン酸、マロン酸、酢酸、グリコール酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、アスパラギン酸、フタル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルコン酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記粘膜付着性ポリマーが、カルボキシポリメチレン類、カルボキシビニルポリマー類、ペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、スクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のホモポリマー類、天然ポリマー類、高分子セルロース誘導体類、ポリビニルピロリドン(PVP)類、デキストランポリマー類、ポリエチレンオキシドポリマー類、熱可逆性ポリマー類、イオン応答性ポリマー類、ポリメチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記呼吸器官用組成物が鼻用スプレーを用いて投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記鼻用スプレーが、水エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トランスクトール(transcutol)、グリセロール、液体エアゾール噴射剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される医薬上許容できるビヒクルを、約40重量%〜約99.98重量%含む、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2006−514077(P2006−514077A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566948(P2004−566948)
【出願日】平成15年12月23日(2003.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/041106
【国際公開番号】WO2004/064867
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】