選択されたブロメライン断片の組換え調製物
本発明は、一般的にブロメラインに関し、そして具体的には、このタンパク質混合物中に含まれる、異なる活性化合物に関する。本発明は、ブロメライン中において見られる、組み換え発現システインプロテアーゼを提供する。組み換え発現タンパク質の発現方法は、ブロメライン自体からの精製よりも優れていることが見出された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にブロメラインに関し、そして具体的には、このタンパク質混合物中に含まれる、異なる活性化合物に関する。本発明は、ブロメライン中において見られる、組み換え発現システインプロテアーゼを提供する。組み換え発現タンパク質は、疾患の処置及び条件に関して、植物抽出物からのブロメライン又はそのタンパク質断片よりも優れた効果を有することが見出された。
【背景技術】
【0002】
ブロメラインは、生化学的にパイナップルの幹からの粗製抽出物として定義され、そして薬理学的に、システインプロテアーゼの混合物として定義される。その多くの好ましい効果は、少なくとも一部において、そのタンパク質分解特性、及び特に線維素溶解特性から生じる。ブロメラインの抗腫瘍効果はまた、タンパク質分解活性とは異なる効果に依存していることが知られており、そしてそれは、いまだ未知の機構による。ブロメラインは、ブロメリアセアエ(Bromeliaceae)科の植物の組織、特に幹及び果実中において見られるタンパク質分解酵素の集合名である。ブロメラインの最も一般的な形態は、パイナップル植物(Ananas comosus)の幹由来の様々な成分の混合物である。幹ブロメライン(今後、ブロメラインと呼ぶ)は、少なくとも5つのタンパク質分解酵素のみならず、酸性ホスファターゼ及びペルオキシダーゼを含む、非タンパク質分解酵素を含むことが知られており;それはまた、アミラーゼ及びセルラーゼ活性を含む。さらに、様々な他の成分が存在する。
【0003】
ブロメラインからの幾つかの好ましい効果は、現在までのところ、浮腫の減少特性、溶血特性、線維素溶解特性、抗炎症特性、抗転移特性、及び腫瘍阻害特性を含むと説明されている。さらに、免疫系における刺激効果、創傷治癒の加速化がまた、前記天然プロテアーゼ混合物の有益な効果と一致する。ブロメラインが、TCR経由で刺激されたTh0細胞におけるERK−2の活性化を阻害することが、Mynott TL他(J.Immunol.,163:5(1999)2568−75)によって示された。ブロメラインはまた、PMA誘導IL−2、IFN−ガンマ、及びIL−4mRNAの蓄積を阻害したが、TCR誘導サイトカインmRNA産生に対して効果を有さなかった。これは、プロテアーゼの前記混合物が、T細胞シグナル伝達の阻害剤であることを示唆している。
【0004】
経口投与後におけるブロメラインの有効性、その安全性及び所望ではない副作用の欠如によって、ブロメラインは、植物療法剤(phytotherapeutical drug)として患者の間において許容及び適応されつつある。広範囲の治療的有用性、例えば、血小板凝集、狭心症、気管支炎、静脈洞、炎外科手術による外傷、静脈血栓症、腎盂腎炎の可逆的阻害、及び薬剤、特に抗生物質の吸収の向上が、ブロメラインにおいて主張されている(Orsini RA,Plast.Reconstr.Surg.,118(7)(2006)1640−4;Brien S,Evid Based Complement Alternat.Med.,1(3)(2004)251−7を参照)。生化学的実験は、これらの薬理学的特性が、タンパク質分解活性に部分的にのみ依存していることを示し、このことは、ブロメラインにおける非タンパク質性因子の存在を示唆している。前臨床試験及び薬理学試験からの結果は、ブロメラインを補完的腫瘍治療のための薬剤として推奨する。ブロメラインは、患者の腫瘍細胞に対する単球の低下した免疫細胞障害性の増大により、そして特徴的なサイトカイン、例えば腫瘍壊死因子及びインターロイキンの産生を誘導することにより、免疫調整剤として作用すると考えられる(Maurer HR,Cell.Mol.Life Sci,58(9)(2001),1234−45を参照)。抗転移効果及び転移関連性血小板凝集の阻害、並びに腫瘍細胞の増殖及び侵襲性の阻害が記載されている、動物実験における報告がまた存在する。明らかに、抗浸潤活性は、タンパク質分解活性に依存しない。これはまた、免疫機能の調節におけるブロメラインの効果、及び火傷による創傷を除去し、創傷治癒を加速させるその潜在能力に関して真実である。
【0005】
ブロメラインの物理的抽出工程は、例えば、CN1186118において開示されている。当該工程は特に、凍結し、破砕し、ジュースを得るために絞ることによって、パイナップルを前処理すること、透明な液体を得るために濾過すること、限外濾過膜フィルム及び逆浸透(reverse osmosizing)フィルムによって濃縮すること、及びスポンジ形状の産物を得るために真空凍結乾燥をすることを含む。温度、時間、及びpH値の制御により、酵素活性及び収率を増加させることが報告されている。
【0006】
米国特許第3658651号は、酵素の沈降に先立って、パイナップルの幹から抽出されたブロメライン含有ジュースを、重炭酸形態である陰イオン交換体を用いたイオン交換中に通し、弱酸性官能基を有する陽イオン交換体を用いたイオン交換中に通し、重炭酸形態である第二の陰イオン交換体を用いたイオン交換中に通すことによって精製することに関する。
【0007】
米国特許第4,286,064号明細書は、ブロメラインの未加工抽出物の調製を特に開示している。パイナップルの幹からのジュースを、最初にリン酸を用いてpH約3又は4に調節し、そしてナトリウムスルフヒドリド(sodium sulfhydride)を加えてスルフヒドリル酸化から保護した。不活性物質を、例えばアセトン中で沈澱させ、そして濾過する。浄化液体をアセトンを用いて沈澱させ、そして当該沈殿物を遠心分離により回収し、そして、リン酸を用いて酸性化されたナトリウムスルフヒドリドを含有する水中で再度溶解し、そして再沈澱させるか、又は真空乾燥機中で直接乾燥させる。未加工抽出物のさらなる精製は、小分子及びタンパク質の除去のために、濾過、透析、又はダイアフィルトレーションを行い、その後、凍結乾燥前に、得られた溶液を濃縮することによって行われ得る。
【0008】
分解及び/又は他の所望ではない化学反応、例えば酸化反応を防ぐために、特定の処理条件、例えば温度、pH、溶媒及びバッファー、並びに/又は添加剤、例えば安定剤及び抗酸化剤の選択が不可避である。
【0009】
上記欠点から離れて、未加工抽出物のさらなる精製が必要とされ得る。かかる精製は、例えば米国特許出願公開第2002/188107号明細書に記載されている、HPLCを用いて行われ得る。
【0010】
したがって、医薬組成物、皮膚適用組成物及び栄養組成物中に含まれ得、そして先行技術であるブロメライン含有製剤の上記欠点を示さない、化学的に安定かつ純粋なブロメラインタンパク質を提供することが非常に好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題は、異種宿主中において可溶性活性体で相当量発現されている、異種発現されたブロメラインタンパク質又はそれらの断片を提供することによって解決された。
【0012】
本発明の発明者は、驚くべきことに、単一のブロメラインタンパク質又はその断片の異種発現によって、タンパク質/断片及び組成物の安定性の問題も回避され得ることを発見した。任意の理論によって制約されることを望むことなく、ブロメラインに含まれる多数のプロテアーゼが各々における分解活性を発揮し、そして当該活性はそれらに含まれるプロテアーゼ阻害剤によってのみ部分的に阻害され、その結果自己分解されることが今回仮定されている。さらに、単一の、異種発現されたタンパク質及び/又はその断片は、ブロメラインの少なくとも幾つかの有利な特性を発揮することが示され得る。これにより、本発明のタンパク質又はその断片は、医薬の活性成分として好適なものとなる。別の好ましい効果は、ブロメライン又はブロメライン断片の混合物が適用されるときに生じ得る副作用を回避する、より特異的な作用機序にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、Clustal Wアルゴリズム(Thompson et al.,1994)を使用するベクターNTIプログラム(Invitrogen)を用いて実行された、A.コモスス(comosus)由来の既知のシステインプロテアーゼ、並びにHarrach及びMaurer(1996)に従って行われたペプチド断片F4、F5、及びF9(下線部)のシーケンシングによって見い出されたもののアラインメントを示す。アナナイン(Ananain)は、断片F9において見られ、一方でF4及びF5は、幹ブロメラインを含み、そして新規配列を示す。
【図2】図2は、幹ブロメライン及びアナナインの発現を示す。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の発現培養からの約100μlの上清を用いたSDS−PAGEを行った。Aは、陽性システインプロテアーゼpPIC9/stb3(幹ブロメライン)クローン27及び30であり、Bは、陰性対照(挿入されていないプラスミド)及び陽性pPIC9/an1クローン(アナナニン)4及び5、並びに陽性pPIC9/stb3クローン30である。矢印は、異種発現されたプレプロタンパク質を示す。右の線は、タンパク質スタンダード(PageRuler(商標)、Fermentas、10kDa〜170kDa)である。
【図3】図3は、プロ−アナナイン(pPICZ/アルファ因子::an1Δctpp,)コンストラクトの発現の15%SDS−Pageを示す。C末端プロペプチドのDNA配列が除去された。上の矢印は、35kDaのバンド(プロ酵素)を示し;下の矢印は25kDaのバンド(活性体)を示し;右端は野生型対照を示す。
【図4】図4は、0.5%カゼイン入りの発現培養の15%SDS−Pageを示す。図4は、異なるプロモーター活性を用いたクローンの選択を示す。a)KM71H野生型、b)pPICZ−Δ7/アルファ因子::an1Δctpp、b)pPICZ−mini/アルファ因子::an1Δctpp。図4aとは対照的に、しかし最小プロモーターに関して、矢印で示されたカゼインのシグナルは、幾つかの試料における例外はあるが、あまり検出できなかった。
【図5a】図5aは、幹ブロメラインSTB4のタンパク質配列を示す。
【図5b】図5bは、幹ブロメラインSTB3のタンパク質配列を示す。
【図5c】図5cは、アナナインAN1のタンパク質配列を示す。
【図5d】図5dは、果実ブロメラインFB1のタンパク質配列を示す。
【図6a】図6aは、幹ブロメラインstb4の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6b】図6bは、幹ブロメラインstb3の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6c】図6cは、アナナインan1の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6d】図6dは、果実ブロメラインfb1の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図7】図7は、an1を含む、ベクターpPICZアルファを示す。
【図8】図8は、発現コントラクトの比較を示す。上部の図は、pICZAベクター内にC末端拡張を有さないプロアナナイン遺伝子を示す。下部の図は、プレプロアナナイン遺伝子、及びN末端のHisタグを有するpPIC9コンストラクトを示す。C末端の拡張が示される。
【図9】図9は、システインプロテアーゼのC末端プロペプチドを示す。Clustal W(www.ebi.ac.uk)を使用してアラインメントを行い、そして幾つかの本発明のシステインプロテアーゼ、並びにコメ由来のシステインプロテアーゼ(AAM34401)、ヒトのプロカテプシンL(1CJL GI:2392232) 1CJL)、プロパパイン(P00784)、マウスのプロパテプシンL(P06797)、果実ブロメライン(BAA21848)、及びヴィグナ・ムンゴ(Vigna mungo)由来の、明確な液胞局在化シグナルを示すシステインプロテアーゼ(1910332A)の各々におけるC末端が示される。太字の全てのアミノ酸残基は、所定の位置において同一であり、筆記体で記載された大部分のアミノ酸は、所定の位置において同一であるか、又は保存されており、下線の引かれたものは所定の位置において同一なアミノ酸群を示す。
【図10】図10は、ピキア・パストリスにおいて発現された組み換えアナナインを示す。発現されたプロタンパク質(35kDaの矢印)からの、活性化されたアナナイン(25kDaの矢印)と一緒になった、12.5mg/lの収量であるピキア・パストリスKM71Hの発現培養上清(45kDaの矢印は分泌された酵母タンパク質を示す)。
【図11】図11は、cDNAからの、システインプロテアーゼの増幅に関するスキームを示す:期待されるPCR産物と共に、全部で9つのプライマー変異体を含む、縮重(degenerated)プライマーを用いたPCR(bp中);「ネステッド(nested)」PCR及び内部断片を用いた、下線を引いた配列の同一DNA部分と相補的である、特定のプライマーによる、3’から5’末端への増幅;完全遺伝子の増幅、及びEcoRIにより切断される鋳型としてcDNAを使用する、配列stb4の増幅。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の実施形態に従って、溶解性タンパク質として、相当量が異種産生された、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供される。
【0015】
本明細書において使用される用語、異種発現された、は、一般的に由来生物とは異なる宿主生物中におけるタンパク質発現のことであり、そして本件においては、宿主としてアナナス(Ananas)属以外のもの、すなわちパイナップル以外のものを使用する発現のことである。かかる宿主の例は、ピキア・パストリスを特に含む。
【0016】
本発明において使用されるブロメラインタンパク質は、ブロメライン中に含まれる他のプロテアーゼとはそのアミノ酸配列によって区別される、ブロメライン粗製抽出物の任意の画分に含まれる単一のプロテアーゼのことである。断片は、プロテアーゼ自身と基本的に同一の機能(単数又は複数)を示すために十分な長さのポリペプチドである。これを保証するために、断片は、プロテアーゼタンパク質の活性部位を含む、十分な長さを有する。一般的に、タンパク質の活性は、活性部位、及び反応性のために必要とされる特定の三次元構造に影響を与えるそのより狭い環境に予備的に依存しており、一方でより長い一続きのアミノ酸、例えばループ及びシートは、タンパク質の基質親和性、及びタンパク質表面上における基質の接近、及びタンパク質の水溶性に影響を与える。したがって、活性部位を含むブロメラインのタンパク質断片は、異なる基質及び/又は異なる基質選択に対してプロテアーゼ活性を示し得る。ブロメラインタンパク質の断片は、ブロメラインタンパク質の自己分解に由来する「天然」のもの、又は例えば任意の他のプロテアーゼを用いたブロメラインタンパク質の切断による人工的なもののいずれかであり得る。自己分解による断片の大きさは、環境パラメータ、例えば(溶媒として水を用いた時の)濃度、バッファー、温度、及び他のパラメータを用いて容易に調節され得ることが理解されるだろう。本発明において使用される、異種発現されたブロメラインタンパク質又はそれらの断片は、活性ブロメラインタンパク質、及び例えば、pH4へと変化させる酸性バッファー系の適用による活性化を必要とするブロメラインプロ酵素の両方を含む。同じ問題が、ブロメラインタンパク質の断片に適用される。
【0017】
本明細書において使用される用語「相当量」は、1mg/l以上、好ましくは2mg/l以上、4mg/l以上、6mg/l以上、8mg/l以上、又は10mg/l以上であり、そしてより好ましくは12mg/l以上の量で異種発現された、活性ブロメラインタンパク質又はその断片のことである。
【0018】
本明細書において使用される用語「溶解性」は、対応する天然の野生型プロテアーゼと同一の三次元構造を基本的に示すタンパク質又はその断片のことである。これは、タンパク質及びその断片が所望のプロテアーゼ活性を示すことを保証し、そして、例えば再生の目的のために、他の物質を添加することが回避され得ることを保証し、そしてそれは、一方で分解に対する改善された耐性を保証し、そして他方でポリペプチドの所望ではない修飾を回避することを保証する。折りたたみタンパク質(folder protein)又はその断片は、その周囲に十分な親水性アミノ酸をさらに示し、すなわち、水分子と水素結合し、その中において、当該タンパク質又はその断片は、それを医薬用途における使用に好適なものとするバイオアベイラビリティを有する。用語、バイオアベイラビリティは、活性成分又は活性部分が薬剤から吸収され、そして活性部位において利用可能となる率及び程度を示す。経口摂取薬のバイオアベイラビリティは、分子の性質、その安定性、及び投与される製剤を含む要素によって、及び、例えば結腸の疾患又は腸切除の結果としての、腸の表面面積の減少のような患者における要素、及び薬剤が食事と共に摂取されるか否かという要素によって決定される。バイオアベイラビリティに影響する要素は、限定されないが、消化管からの低い吸収、肝臓における初回通過効果、及び体循環に達することに先立つ、薬剤の部分的分解を含み得る。本発明の発現系は、予想外に高い収率及び予想外に高いタンパク質又はその断片の溶解性を可能とするのみならず、他のプロテアーゼによる分解が回避されるために、より多量の活性ブロメラインタンパク質又はその断片をもたらす。
【0019】
本発明におけるブロメラインタンパク質は、第一ステップにおける、例えばトリゾールプラスRNAピューリフィケーションシステム(TRIzol plus RNA Purification System)(Invitrogen)を適用することによる、植物材料からのRNA単離によって得られる。DNA及びタンパク質はトリゾール(Invitrogen)を用いて単離され得る。デンプンが勾配を破壊するため、タンパク質からのRNA分離のためにさらなるものが必要とされる。幹としてのデンプンに富んだ器官からのより多くの量のRNAは、RNeasyプラント・ミニ・キット(RNeasy Plant Mini Kit)(Qiagen)を使用してその後に単離され得る。次のステップにおいて、cDNAライブラリーが生成され得る。これは、当業者に周知の任意の方法により、例えば、SMART(商標)cDNAライブラリー・コンストラクション・キット(cDNA Library Construction Kit)(Clontech)を使用することにより行われ得る。cDNAは、好適なプラスミド又はベクター中にライゲーションされ得、その後に、例えばE.coli中にトランスフェクションされ得る。これは、当業者に周知の任意の方法によって行われ得ることが理解されるだろう。当該挿入断片は、標準的なDNAシーケンシング技術を用いてシーケンシングされ得る。発現のため、DNA配列は、構成性(constitutive)プロモーター又は誘導性(inducible)プロモーターの制御下にある、好適な発現ベクター中にライゲーションされ得る。好適な発現系は、例えばpPICZアルファ(Invitrogen)であり、そしてそれは、好適な宿主中、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ ・アルビカンス(Candida albicans)又は好ましくは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中への、任意の好適な技術、例えばエレクトロポレーションによって、形質転換され得る。異種発現のための宿主としてのピキア・パストリスは、α−1,3−マンノシル−トランスフェラーゼが前記生物中に存在しないが、グリコシル化パターンが、基本的に高等真核生物のものに相当するという特定の利益を示す。
【0020】
形質転換、及び引き続き起こるタンパク質発現は、当技術分野において利用可能な手順に従って行われ得る。発現されたタンパク質の活性は、基質として、カゼイン加水分解物へと分解されるカゼインを使用することによって容易に試験され得る。この変換は、例えば、600nmの可視範囲における波長において作動する分光光度計を用いることによって定量的に決定され得る。代わりに、カゼインは、発現のために使用される寒天培地中に含まれ得る。カゼインの分解は、コロニー周辺において、透明な輪の形成の出現をもたらす。組み換えDNA技術に関して必要とされる知識は、Maniatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)から得られる。
【0021】
機能がなお解明されていない構成成分である、C末端プロペプチドを除去することによって、本明細書におけるブロメラインの収量が、C末端プロペプチドをなお生じるブロメラインタンパク質の異種発現と比較して、2倍、好ましくは、3、4、5、又は6倍、より好ましくは10倍以上増大されることが、驚くべきことに発見された。特に、C末端プロペプチドの除去によって、12.5mg/lのアナナイン、及びパパインの場合においては1〜2mg/lの収量が得られることが示された。
【0022】
したがって、本発明の第一の態様において、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供され、ここで対応するブロメラインタンパク質又はその断片のC末端プロペプチドをコードするDNAが除去されている。C末端プロペプチドをコードするDNAの例が、図9中に列挙されている。他のブロメラインタンパク質由来のC末端プロペプチドのDNA配列の決定が、当業者の知識に従って、容易に決定され得ることが理解されるだろう。
【0023】
N末端プロペプチドは、システインプロテアーゼの自己分解を防ぐときに作用する。したがって、N末端プロペプチド配列の修飾のみならず、省略も意図される。当業者が、容易に個々の配列を決定し得、そしてそれらを適宜変更し得ることが理解されるだろう。
【0024】
本発明の別の態様に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供される。当該タンパク質又はその断片は、使用される発現系に応じて、アナナス(Ananas)属によってもたらされるものとは異なる翻訳後修飾を受ける。
【0025】
アナナス属とは異なる生物を使用することによって、独特な翻訳後修飾(PTM)が、一般的に転写後におけるタンパク質の化学修飾に関して保証され得、ここでメッセンジャーRNAは、特定のポリペプチド又はタンパク質を生成するために解読される。PTMは、翻訳されたタンパク質におけるそれらの作用に従って分類され得る。それらは、官能基の付加、又は他のタンパク質/ペプチドをもたらし、その結果、タンパク質を形成するアミノ酸の化学的性質の変化をもたらし、そしてその結果、構造的変化をもたらす。翻訳後修飾の例は、糖類がタンパク質に付加されるグリコシル化である。特に、異なるグリコシル化により、異なる水溶性がもたらされ、そしてそれは同様に、タンパク質又はペプチドのバイオアベイラビリティに確実に影響を与え得る。
【0026】
ブロメラインタンパク質又はその断片の機能が、種々の異なるアミノ酸配列によって達成され得ることがまた、当業者によって理解され、そして別の実施形態において、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片は、ブロメラインタンパク質と少なくとも99%の配列相同性を示す。好ましくは、配列相同性は少なくとも99.5%であり、そしてより好ましくは少なくとも99.8%である。言い換えれば、タンパク質又はその断片の配列は、それらの個々の野生型相当物と、100個のアミノ酸あたり1個のアミノ酸、そして好ましくは100個のアミノ酸あたり2個のアミノ酸で区別される。
【0027】
かかるタンパク質又はその断片は、活性において必須ではないアミノ酸残基における変化を含むポリペプチドであり、すなわちアミノ酸配列において元のブロメラインタンパク質又はその断片とは異なるが、生物学的機能又は活性を保持している。例えば、アミノ酸は、「必須ではない」アミノ酸残基で置換され得る。「必須ではない」アミノ酸残基は、特定のブロメラインプロテアーゼの野生型配列において、生物学的機能又は構造的折り畳みを変更することなく、変更され得る残基であり、一方で「必須である」アミノ酸残基は、生物学的機能のために必要とされ得る。同様の機能は、通常、類似の構造的又は化学的特性を有するアミノ酸によって、例えば、イソロイシンによるロイシンの交換において適合され得る。より稀に、変異体は、例えばトリプトファンを用いたグリシンとの交換のような「非保存的」変化を有し得る。同様の事は、単一のアミノ酸残基に関してのみならず、タンパク質の生物学的機能を変更することなしに追加又は省略され得るアミノ酸の全体配列に関しても真実である。したがって、類似の小規模の変異体がまた、アミノ酸欠損若しくは挿入、又はその両方を含み得る。非常に多くの場合、ずっと大きなポリペプチド内における短いアミノ酸配列が、主にタンパク質の生物学的活性又は機能の原因となっている。
【0028】
したがって、本発明はまた、ブロメラインタンパク質又はその断片の相同体を含む。タンパク質配列における相同性、又は配列類似性、又は配列同一性は、当技術分野において周知の技術に従って、例えば確立されたソフトウェア又はコンピュータブログラムを使用することによって、例えば、クエリーがタンパク質か又はDNAかに関係なしに、利用可能な配列データベースの全てを探索するために設計された一連の相同性調査プログラムを提供する、Altschul,S.F.他(J.Mol.Biol.;215(1990)403−410及びNucleic Acids Res.;25(1997)3389−3402)の研究に基づく、BLAST(Basic Local Alignment and Search Tool)プログラムを使用することによって、容易に決定され得る。BLASTプログラムは、距離の離れた配列における関係性への感度の犠牲を最小限にしつつ、迅速性のために設計された。BLASTサーチにおいて与えられたスコアは、リアル・マッチをより容易にし、その結果、ランダムなバックグラウンド・ヒットと区別する、充分に規定された統計的解釈を有する。BLASTは、全体アラインメントとは反対に、局所的アラインメントを追求し、したがって、孤立した領域の類似性のみを共有する配列間における関係性を検出することができる、発見的アルゴリズムを使用する。前記プログラムは、2つの配列間における同一性又は類似性の最良の断片を発見するための、Smith及びWaterman(J.Mol.Biol.;147(1981)195−197)並びにSellers(Bull.Math.Biol.;46(1984)501−514)の修正されたアルゴリズムに基づく。配列相同性の程度を決定するために、配列アラインメントプログラム、例えばBLASTを使用するとき、初期設定が使用され得、或いは好適なスコアリング(scoring)・マトリックス、例えばBLOUSUM又はPAMが、同一性、類似性又は相同性スコアを最適化するために選択され得る。
【0029】
本発明における組み換えにより産生されたブロメラインタンパク質は、植物中におけるその生物学的活性及び役割を解明する為に使用され得る。
【0030】
種々の利用により導入され得るアミノ酸配列の人工的修飾を説明するために、本発明はまた、相同体ではないが、少なくとも上で規定された配列相同性、又は本発明のブロメラインタンパク質の三次元構造若しくは機能を共有する配列を含む。特に、単一のアミノ酸の交換によって、又はグリコシル化パターンの交換によって、ブロメラインタンパク質又はその断片の異なる特性が得られることが理解されるだろう。かかる交換の一つの効果は、例えばタンパク質又はその断片と比較してより高い溶解性を獲得することによる、例えば改善されたバイオアベイラビリティにある。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態において、異種発現されたブロメラインタンパク質は、配列番号1〜4のいずれかを示す。同様の事が、前記タンパク質の特定の領域を含む本発明の断片に関して適用される。配列番号1及び2は、本明細書において2つの幹ブロメラインタンパク質配列を示し;配列番号3はアナナイン由来であり;そして配列番号4は果実ブロメラインのアミノ酸配列である(図5a〜dを参照)。他の好ましい異種発現されたブロメラインタンパク質は、表1に列挙されたものである。配列番号1〜4を示す活性タンパク質、及び表1に列挙されたものの収量は、好ましくはC末端プロペプチドの省略によって、上で示された程度まで増大される。配列番号1〜4のタンパク質に対応するDNA配列が、配列番号5〜8に示される(図6a〜dを参照)。
【0032】
(最も高いブロメライン量を有するタンパク質を示す、配列番号3のタンパク質に相当する)配列番号7のアナナインDNA配列は、不適当である、最新技術の配列とは異なる。
【0033】
本発明の別の実施形態に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質の断片は、少なくもと50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも60個、70個、90個、100個、110個、120個、及びより好ましくは、少なくとも130個のアミノ酸を含む。上で設定されたように、当該断片は、問題となっているブロメラインタンパク質の活性部位が局在化されているタンパク質の領域を含むだろう。かかる断片の活性は、プロテアーゼ活性を生じる断片を選択するために、当業者に既知の技術を用いてアッセイされ得る。
【0034】
ブロメラインタンパク質断片は、各々のヌクレオチド配列をクローニング及び発現させることによって作製され得る。配列番号1〜4のいずれかをコードするヌクレオチド配列、すなわち配列番号5〜8のいずれか、又は表1に記載されたタンパク質のいずれかをコードするヌクレオチド配列は、例えば、所望の長さのヌクレオチド断片を得るための好適な条件下で、DNAseを用いた分解を受けてもよい。各々のヌクレオチド断片はその後、好適な宿主、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)中、発現プラスミド中でクローニングされる。獲得された組み換え微生物は、酵母に対する増殖培地、及び寒天プレートに乳白色の外観を与える脂質トリオレインを含む寒天プレート上に蒔かれ得る。構成性プロモーター又は誘導性プロモーターの制御下で影響され得る発現時において、活性部位を生じるヌクレオチド断片は、活性ブロメラインタンパク質断片の形態で発現され得る。活性部位が完全長ブロメラインタンパク質と同一の活性を含むため、トリオレインの分解が起こり、その結果、コロニー周辺において透明な輪が出現し得る。核酸配列は、DNA配列及び各々のペプチド配列を決定するために、前記コロニーから単離され得る。他の好適なアッセイは、乳白色カゼイン基質の透明な加水分解産物への変換、又はニトロアニリドと結合したペプチドの切断を含み、ここで好適なプロテアーゼの存在する場合において、ニトロアニリド基は切断され、そして405nmで分光学的に検出され得る。ニトロアニリドと結合した、かかるペプチドは、例えば幹ブロメラインにおいてはArg−Arg−ニトロアニリドを、アナナインにおいてはPhe−Val−Arg−ニトロアニリドを含む。
【0035】
一般的である、システインプロテアーゼ又は加水分解酵素の活性の検出のためのこれらのアッセイ、及び他の好適なアッセイは、Bornscheuer U.T.,Kazlauskas,R.J.,Hydrolases in Organic Synthesis,Wiley−VCH,Weinheim(Germany),1999において見られる。組み換えDNA技術において必要とされる知識は、例えばManiatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)から得られる。異種株が高いプロテアーゼ活性を示す場合、特定のシステインプロテアーゼ阻害剤、例えばE64(Merck)が使用され得ることは明らかであろう。
【0036】
本発明の実施形態に従って、異種発現されたタンパク質又はその断片を、野生型タンパク質と区別する前記翻訳後修飾により、異なるグリコシル化パターンがもたらされる。ポリペプチドの異種発現のために使用される異なる生物が、とりわけポリペプチドのバイオアベイラビリティに影響を与える異なるグリコシル化パターンを与え得ることは、当業者に周知である。
【0037】
さらに別の実施形態に従って、異種発現されたブロメライン又はその断片の翻訳後修飾は、酵母、昆虫細胞及び植物細胞からなる群の下で選択される宿主生物により与えられる。かかる発現宿主の選択は、当業者の知識の範囲内であり、そして高発現を確保するために、ブロメラインタンパク質又はその断片をコードするヌクレオチド配列のコドン使用頻度(codon usage)の予備的な適用を含む。コドン使用頻度は、幾つかのコドン、すなわち同一の所定のアミノ酸をコードする、ポリペプチド中におけるアミノ酸残基を特定するヌクレオチドのトリプレットの一つに関する、異なる生物の選択の現象のことである。かかる選択を回避するために、例えばブロメライン鎖又はその断片をコードするDNAを化学的に合成することが必要となり得、そしてここで、コドン使用頻度が、選択された発現宿主において適用される。これは、当業者の知識の範囲内のことである。異種タンパク質又はその断片の発現は、例えば、Bromme D他(Methods 32(2004)199−206)に従って行われ得る。とりわけ温度、培地、容器の種類、給気などを含む、発現のための条件は、当業者の知識の範囲内であることが理解されるだろう。
【0038】
特定の好適な発現宿主として、ピキア・パストリスが承認された。前記株は、少量のプロテアーゼを産生し、そしてそれは、ブロメラインタンパク質及びその断片の発現、並びにプロテアーゼ活性における各々のアッセイを阻害しないことが判明している。好ましいP.パストリス株は、KM71又はKM71Hであり、そしてそれらは、AOX2遺伝子座における組込みを許容し、そしてメタノール代謝を遅らせる。メタノール消費の遅れ、及び対応するタンパク質又は断片の産生速度の遅れにより、正確な折り畳み及びその分泌が可能とされると推測される。好適なプラスミド、例えばpPIC9又はpPICAアルファ(いずれもInbitrogenから得られる)を使用するピキア・パストリスにおける発現は、高い転写率及び翻訳率を確保した。さらに、ブロメラインタンパク質又はその断片は、溶解性を維持し、そしてさらに活性ペプチドの分解が減少されたか、又は回避された。本発明のブロメラインタンパク質又はその断片は、宿主生物に対して著しい毒性を示さなかった。発現宿主として、酵母、例えばピキア・パストリスを使用することの別の利点は、増殖実験のダウンスケーリングを行える可能性にあり、すなわち、フラスコの代わりに例えば96穴のマイクロタイタープレートを使用することによって行える可能性にある。これは、カゼインを分解する能力のような特性における試験に関してハイスループットを保証する。システインプロテアーゼ活性を発揮することによってカゼインを分解する能力はまた、少なくとも一部においてブロメラインにおける医薬活性に相当するものを内在することを示す。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片は、ブロメラインタンパク質又はその断片の精製を可能とする手段を有する。かかる技術は、当業者に周知であり、そして例えば、可逆的にカラム物質のマトリックスと結合し得るブロメラインタンパク質、又は特定のアミノ酸配列を有するその断片の融合タンパク質を産生かつ発現することによって行われ得る。アミノ酸配列は、例えば、精製されるべきペプチドのN末端又はC末端と結合されたポリヒスチジンタグ配列であり得る。タンパク質発現の後、タグが親和性物質と結合し、そしてイミダゾール勾配を用いることにより放出され、それにより他のタンパク質及び断片から、融合タンパク質又は融合ペプチドを分離する。必要ならば、タグは除去され得る。かかる技術は当業者に周知である。任意の種類のタグが、本発明において使用され得ることが理解されるだろう。
【0040】
ブロメラインタンパク質又はその断片のN末端部位におけるタグの結合は、当該場合において、プロペプチドのみならずタグ配列も酸性化後により除去されるため、特に利点を有することが、本発明の発明者によって見出された。これは、任意の他の手段による、例えばエンドプロテアーゼによるタグの除去を回避する可能性を提供する。
【0041】
好ましい実施形態に従って、医薬組成物、皮膚適用組成物、又は栄養組成物中における、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片の含有が想定される。
【0042】
別の実施形態に従って、本発明の組成物は、経口に好適な任意の方法で製剤化される。栄養組成物は、経口前に直接調製され得るか、又は代わりに製造工程中において調製され得る。しかし、直接使用可能な形態である栄養組成物が好ましい。活性成分は、経口による消費のために許容可能な賦形剤及び/又は担体中に含有される。表現「栄養学的に又は医薬として許容される担体」は、活性成分をその作用部位へと送達し、そしてヒト又は動物受容者に対して著しく害を引き起こさないであろう、栄養学的又は薬学的使用のいずれかのためのビヒクルのことである。しかし、担体の実際の形態は重要ではない。
【0043】
担体の全体量は、好ましくは当該製剤に対して、約10〜約99.9重量%の範囲であり、より好ましくは約50〜約90重量%、そしてさらにより好ましくは約70〜約85重量%の範囲である。
【0044】
医薬として許容される担体、又は医薬は、液体、ゲル、ゲルキャップ、カプセル、粉末、固体錠剤(被覆又は非被覆)、乾燥経口サプリメント(dried oral supplement)、湿性経口サプリメント(wet oral supplement)、乾燥経管栄養製剤(dry tube−feeding)、又は湿性経管栄養製剤(wet tube−feeding)などであり得る。担体は、好ましくは錠剤又はカプセルの形態であり、そして最も好ましくは硬ゼラチンカプセルの形態である。好適な賦形剤及び/又は担体は、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、ショ糖、植物ゴム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチなど(それらの混合物を含む)を含む。
【0045】
好ましい担体は、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキスオリン、及びそれらの混合物を含む。種々の成分並びに賦形剤及び/又は担体は混合され、そして従来技術を使用して所望の形態へと形成される。本発明の錠剤又はカプセルは、pH約6.0〜8.0で、好ましくはpH約6.0〜7.0で溶解する腸溶性コーティングを用いて被覆され得る。胃ではなく小腸中で溶解する腸溶性コーティングは酢酸フタル酸セルロースである。製剤及び投与のための技術における詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,Pa.)の最新版において見られる。
【0046】
本発明における使用のための他の好適な医薬として許容される担体は、限定されないが、水、鉱油、エチレングリコール、プロピレングリコール、ラノリン、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アセトン、グリセロール、ホスファチジルコリン、コール酸ナトリウム、又はエタノールを含む。
【0047】
本発明の組成物はまた、限定されないが、オキシエチレン化モノステアリン酸ソルビタン(oxyethylenated sorbitan monostearate)、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール若しくはセチルアルコール、又は脂肪アルコール及びポリオールのエステル、例えばステアリン酸グリセリルを含む、少なくとも一つの共乳化剤を含み得る。
【0048】
好ましくは、本発明の医薬組成物は安定化される。一般的に、本発明に従って使用され得る安定化の方法論及び技術は、例えば化学剤の添加、方法論に基づく温度調節;方法論に基づく放射、又はその組み合わせを含む、当技術分野において既知の化学材料又は生物材料の安定化のための任意の及び全ての方法を含む。本発明に従って使用され得る化学剤は、特に保存剤;酸;塩基;塩;抗酸化剤;粘度改質剤;乳化剤;ゲル化剤;及びそれらの混合物を含む。
【0049】
多くの種類の乳化剤が使用され得、その結果、本発明の組成物に有利な効果を提供し、そして各々のタイプ又はクラスの乳化剤と関連する特定のレベルの使用が速やかに決定され得る。一般的に、選択された乳化剤又は乳化剤系は、塩基が水性培地中に分散されるとき、安定分散における栄養組成物の異なる成分を維持することができるはずである。塩基が水中において分散される大部分の場合において、乳化剤は安定な水中油型エマルションを形成できるはずである。特に乳化剤は、好ましくは:nが1〜5の範囲であるステアリル−n−乳酸(stearyl−n−lactylic acid)、並びにそれらのナトリウム、カリウム、及びカルシウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のコハク酸化モノ−及びジグリセリド、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のモノ−及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、3個〜10個のグリセロール単位の範囲内であり、かつ一分子あたり1個〜10個の脂肪酸の範囲にある食用C12〜C24脂肪酸のポリグリセロールエステル、食用C12〜C24脂肪酸のポリオキシエチレンン(20)ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリエスエル、食用C12〜C24脂肪酸のエトキシ化モノ−及びジグリセリド、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のモノ−及びジグリセリドのクエン酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸のグリセロールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸の乳酸化プロピレングリコール及びグリセロールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸のアセチル化プロピレングリコール及びグリセロールモノ−及びジエステル、モノステアリン酸ソルビタン、レシチン、食用C12〜C24脂肪酸のスクロースエステル、食用C12〜C24脂肪酸のリン酸化モノ−及びジグリセリド、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、乳化剤は陰イオン性であり、そしてナトリウムステアリル−2−ラクチレート、食用C12〜C24脂肪酸のコハク酸化モノ−及びジグリセリド、酸又は塩基形態の、C12〜C24脂肪酸エステルのモノ−及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
他の実施形態において、サプリメントは、食品又は飲料へ、消費者によって添加されるために好適な粉末又は液体として提供される。例えば、幾つかの実施形態において、食事におけるサプリメントは、例えば、飲料中へと混合することによって、又は使用されるために、半固形食、例えばプディング、トッピング、ピューレ、調理済みシリアル、又はサラダドレッシングへと攪拌することによって、又は代わりに食物へ添加することによって、粉末形態で個人へと投与され得る。
【0051】
本発明は、活性成分として5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含む、栄養組成物又はサプリメント(例えば、エネルギーバー、食事代替バー、または飲料)を提供する。栄養サプリメントは、食事又はスナック代替物として提供され得、そして一般的に栄養カロリーを提供する。好ましくは、栄養サプリメントは、炭水化物、タンパク質、及び脂質をバランスの取れた量で提供する。栄養サプリメントは、炭水化物、単糖、中程度の鎖長の糖、若しくは好適な多糖、又はそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0052】
糖類が添加され得る。分解、又は化学的/酵素的変換のいずれかによってフルクトースを形成する糖類は、限定された適用のみを有し、そして特定の指示の場合においてのみ組み合され得ることは明らかなはずである。しかし、単糖が所望の感覚刺激性特性のために選択され得る。未調理のコーンスターチは、複合糖質の一例である。加熱は、複合糖質を単糖又は二糖である単純炭水化物へと分解するため、その高い分子量構造を維持することが所望であるならば、それは調理されていない又は加熱処理されていない食料製剤又はその一部のみにおいて含まれるべきである。栄養サプリメントは、鎖長における3つのレベルの炭水化物源(単一、中程度、及び複合体;例えば、ショ糖、マルトデキストリン、及び未調理のコーンスターチ)の組み合わせを含み得る。
【0053】
本発明の栄養サプリメントへと組み込まれるべきタンパク質源は、栄養製剤において利用される任意の好適なタンパク質であり得、そしてホエータンパク質、ホエータンパク質濃縮物、ホエー粉末、卵、大豆粉、豆乳、大豆タンパク、大豆タンパク単離物、カゼイン塩(例えば、カゼイン塩ナトリウム、カゼイン塩ナトリウムカルシウム、カゼイン塩カルシウム、カゼイン塩カリウム)、動物性及び植物性タンパク質、並びにそれらの混合物を含み得る。タンパク質源を選択するとき、カゼイン塩、ホエー、ラクトアルブミン、卵アルブミン及び全卵タンパク質において見出される最も高い生物価を有するように、タンパク質の生物価が第一に考慮されるべきである。好ましい実施形態において、タンパク質は、ホエータンパク質濃縮物及びカゼイン塩カルシウムの組み合わせである。これらのタンパク質は高い生物価を有し;すなわち、それらは高比率の必須アミノ酸を有する。Modern Nutrition in Health and Disease,第8版,Lea&Febiger,publishers,1986、特にVolume 1、30〜32ページを参照。ホエータンパク質の例は、ホエーの濃縮及び乾燥により得られるホエー粉末、限外ろ過(UF)の後、乾燥することにより、ホエーを濃縮することにより得られるホエータンパク質濃縮物(WPC)、脂肪をホエーから除去し、その後UF濃縮することにより得られる、(低脂肪かつ高タンパク質含量である)脱脂WPC、ホエーからタンパク質のみを選択的に単離することにより得られるWPI、ナノろ過濃縮により得られる、脱塩されたホエー、及びホエー由来のミネラル成分が濃縮された、ミネラル濃縮ホエーを含む。
【0054】
栄養サプリメントはまた、他の成分、例えば一つの他のビタミン、若しくは他の複数のビタミンの組み合わせ、ミネラル、抗酸化剤、食物繊維、及び他の食物サプリメント(例えばタンパク質、アミノ酸、コリン、レシチン、オメガ−3脂肪酸)を含み得る。一つ又は幾つかのこれらの成分の選択は、製剤化、デザイン、消費者の嗜好及び最終消費者の問題である。本発明の食物サプリメントへ添加されるこれらの成分量は、当業者に周知である。添加され得るさらなるビタミン及びミネラルは、限定されないが、三塩基性のリン酸カルシウム又は酢酸カルシウム;二塩基性のリン酸カリウム;硫酸マグネシウム又は酸化マグネシウム;塩(塩化ナトリウム);塩化カリウム又は酢酸カリウム;アスコルビン酸;リン酸鉄(III);ナイアシンアミド;硫酸亜鉛又は酸化亜鉛;パントテン酸カルシウム;グルコン酸銅;リボフラビン;ベータ−カロテン;ピリドキシン塩酸塩;チアミン硝酸塩;葉酸;ビオチン;塩化クロム又はピコリン酸クロム;ヨウ化カリウム;セレン酸ナトリウム;モリブデン酸ナトリウム;フィロキノン;ビタミンD3;シアノコバラミン;亜セレン酸ナトリウム;硫酸銅;ビタミンA;ビタミンC;イノシトール;ヨウ化カリウムを含む。
【0055】
香味剤、着色剤、香辛料、ナッツなどは、製造物中に組み込まれ得る。香味剤は、風味付けされた抽出物、揮発性油、チョコレート風味付け剤、ピーナッツバター風味付け剤、クッキーのかけら、カリカリした米、バニラ又は任意の市販の香味剤の形態で存在し得る。有用な香味剤の例は、限定されないが、純粋なアニス抽出物、模倣バナナ抽出物、模倣チェリー抽出物、チョコレート抽出物、純粋レモン抽出物、純粋オレンジ抽出物、純粋ペパーミント抽出物、模倣パイナップル抽出物、模倣ラム抽出物、模倣イチゴ抽出物、若しくは純粋バニラ抽出物;又は揮発性油、例えば香油、ベイ油、ベルガモット油、セダー油、クルミ油、チェリー油、桂皮油、丁子油又はペパーミント油;ピーナッツバター、チョコレート風味付け剤バニラクッキーのかけら、バタースコッチ又はタフィーを含む。一つの実施形態において、食物サプリメントは、ココア又はチョコレートを含む。
【0056】
乳化剤は、最終製造物の安定性のために添加され得る。好適な乳化剤の例は、限定されないが、レシチン(例えば、卵若しくは大豆由来)、及び/又はモノ−及びジ−グリセリドを含む。他の乳化剤は、当業者にとって明らかであり、そして好適な乳化剤(単数又は複数)の選択は、一部において、製剤設計及び最終製造物に依存するだろう。保存剤はまた、製造物の貯蔵期限を延長するために栄養サプリメントへと添加され得る。好ましくは、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、又はEDTAカルシウム二ナトリウムが使用される。
【0057】
栄養サプリメントは、当業者及び個々の適用に依存して、天然又は人工の(好ましくは低カロリーの)甘味料、例えば、特定のサッカリド、チクロ、アスパルタミン(aspartamine)、アスパルテーム、アセサルフェームK、及び/又はソルビトールを含み得る。かかる人工甘味料は、栄養サプリメントが過体重若しくは肥満の個体により、又は高血糖傾向にあるII型糖尿病の個体により消費されることが意図されている場合において所望であり得る。
【0058】
栄養組成物は、食物サプリメントにより食物へと添加されるカロリー数を制限することが所望である場合に特に、一つ以上の不活性成分を含み得る。例えば、本発明の食物サプリメントはまた、例えばハーブ、ビタミン、ミネラル、賦活薬、着色剤、甘味剤、香味剤、不活性成分などを含む、任意の成分を含み得る。例えば、本発明の栄養組成物は、一つ以上の、以下のものを含み得る:アスコルベート(asorbate)(アスコルビン酸、アスコルビン酸無機塩、ローズヒップ、アセロラなど)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、Fo−Ti又はHo Shu Wu (伝統的なアジアの治療法において一般的なハーブ)、キャッツクロー(古くからのハーブ成分)、緑茶(ポリフェノール)、イノシトール、ケルプ、ダルス、ビオフラビノイド(bioflavinoid)、マルトデキストリン、イラクサ、ナイアシン、ナイアシンアミド、ローズマリー、セレン、シリカ(二酸化ケイ素、シリカゲル、ツクシ(horsetail)、トクサなど)、スピルリナ、亜鉛など。かかる任意成分は、天然由来形態か又は濃縮形態のいずれかであり得る。
【0059】
栄養サプリメントは、種々の形態で、及び種々の製造方法によって提供され得る。好ましい実施形態において、食物バーを製造するために、液体成分が調理され;乾燥成分をミキサー中に液体成分と共に添加し、そして生地の段階に達するまで混合し;生地を押出機中に置き、そして押出しを行い;押出された生地を好適な長さに切断し;そして当該製造物を冷却する。当該バーは、味を向上させるために、本明細書において特に言及された成分に加えて、他の栄養物及び充填剤を含有し得る。本発明は、5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含むさらなる食品生産物、調理済み食品生産物、又は食材を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含む飲料及び固体又は半固体食物が提供される。これらの形態は、限定されないが、飲料(例えば、ソフトドリンク、牛乳及び他の乳製品飲料、及びダイエット飲料)、焼き菓子、プディング、乳製品、砂糖菓子、スナックフード、又は冷凍菓子、又はノベルティ(例えばアイスクリーム、ミルクセーキ)、調理済み冷凍食品、キャンディ、スナック産品(例えばチップス)、スープ、スプレッド、ソース、サラダドレッシング、調理済み肉製品、チーズ、ヨーグルト、チョコレート、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を基とした発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を基とした製品、牛乳を基とした粉末、特殊調製粉乳、又はペットフード、及び任意の他の脂肪又は油含有食品、及び食品成分(例えば小麦粉)を含み得る。
【0060】
本発明の多くの形態において、製造物へ所望の感覚刺激特性又は栄養特性を付与するための任意の成分を添加することが必要であり、又は所望である。かかる薬剤は、当業者に周知であり、そしてビタミン、ミネラル、香味剤、甘味剤(例えばショ糖又は他の糖類)、着色剤、塩、pH調節剤、バッファー、安定化剤、必須アミノ酸、凝固防止剤、消泡剤、及びその混合物からなる群から選択されるものを含み得る。再度、これらの任意成分は、最終産物に所望の特性を形成するために必要とされるような少量で使用され得る。
【0061】
本発明の栄養組成物は、さらに食物繊維を含み得る。食物繊維は、水溶性食物繊維又は非水溶性食物繊維のいずれかであり得る。水溶性食物繊維の例は、難消化性デキストリン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸の加水分解物、グアーガム、酵素性分解により得られるグアーガム産物、及びガラクトマンナンを含む。難消化性デキストリンは、食物へ容易に添加され得、そして食品加工を妨げないため、所望である。非水溶性食物繊維は、結晶セルロース、大豆食物繊維、ふすまの繊維、トウモロコシ繊維、及びビート繊維を含む。
【0062】
個々の担体の製造における5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼと組み合される使用において好適な他の化合物は、限定されないが、ビタミンA、及びレチノイン酸、レチニルアルデヒド、レチンA、レチニル・パルミテート、アダパレン、及びベータ−カロテンを含む誘導体;ビタミンB(パンテノール、プロビタミンB5、パンテニック酸(panthenic acid)、ビタミンB複合体因子);ビタミンC(アスコルビン酸及びその塩)及びその誘導体、例えばアスコルビン酸パルミチン酸エステル;カルシポトリエン(ビタミンD3類縁体)を含むビタミンD、その個々の構成成分であるアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−トコフェロール、及びトコトリエノール、並びにそれらの混合物を含むビタミンE、及びビタミンEパルミテート(palmitat)、ビタミンEリノレート(linolate)、及びビタミンEアセテートを含む、ビタミンE誘導体;ビタミンK及び誘導体;ビタミンQ(ユビキノン)及びその誘導体を含む、一つ以上のビタミン活性剤(actives)を含む。好ましくは、本発明の組成物は安定化される。一般的に、本発明に従って使用され得る安定化法及び技術は、当技術分野で既知の化学材料又は生物学的材料の安定化のための、任意かつ全ての方法を含み、例えば化学剤の添加、方法論に基づく温度調節;方法論に基づく放射、又はそれらの組み合わせを含む。本発明に従って使用され得る化学剤は特に、保存剤;酸;塩基;塩;抗酸化剤;粘度改質剤;乳化剤;ゲル化剤;及びそれらの混合物を含む。
【0063】
本発明の組成物はまた、粘度調整剤を、好ましくは組成物に対して約0.01重量%〜約10重量%の量で含み得る。粘度調整剤、例えばセチルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG−ステアレート(stearate)又はケルトロール(Keltrol)はまた、製剤の安定性を向上させるために使用され得る。安定性を向上させ得る増粘剤は、ゲル化剤、例えばセルロース及び誘導体、カルボポール(Carbopol)及び誘導体、イナゴマメ、カラギーナン(carregeenan)及び誘導体、キサンタンガム、スクレラン(sclerane)ガム、長鎖アルカノールアミド、ベントン(bentone)及び誘導体、カオリン(Kaolin)USP、ビーガム・ウルトラ(Veegum Ultra)、グリーンクレイ(Green Clay)、ベントナイト(Bentonite)NFBC、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(Veegum@),グアーガム(例えばJaguarHP−120@)、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロース、架橋されたアクリル酸、並びにそれらの混合物を含む。当業者に既知であるが、増粘剤の正確な量は、所望である組成物の堅さ及び濃度に依存して変化し得る。
【0064】
栄養組成物及び医薬組成物は、意図された適用のために効果的である量で、及び処置されるべき対象へと投与される。この目的を達成するために、組成物及び他の成分の用量は、年齢、体重、及び対象の状態に依存して変化し得る。一般的に、活性成分は、害を及ぼす又は有害な副作用を何ら引き起こすことなく有効な結果を生じる濃度で好ましくは投与され、そして単一の単位用量又は所望であれば一日を通じて好適な回数で投与される好都合なサブユニットのいずれかで投与される。
【0065】
本発明の栄養組成物又は医薬組成物は、一日に複数回、例えば一日の必要量のために集計で2〜5回、一日一回、又は必要な期間において連続的に投与され得る。
【0066】
医薬組成物は、例えば、粉末形態における活性化合物が好適な造粒機中で提供され、その後溶融物質を用いて湿らされ又は噴霧される湿式造粒法工程により調製され得る。適用されるせん断力により、粉末の激しい混合がもたらされ、そして結合剤液の添加と共に、高密度顆粒の速やかな形成をもたらす。造粒は、粉末混合物の流動性(flow)、及び錠剤の機械的特性を改善するために必要とされる。顆粒は通常、液体(結合剤溶液又は溶媒溶液)を添加することによって得られる。より多量の造粒液は、より狭い粒子サイズ範囲、そしてより粗くかつより堅い顆粒を産生し、すなわち微細な顆粒粒子の割合が減少する。所望の粒子サイズを得るために必要とされる液体の最適量は、バッチごとの変動を最少に維持するために知られるべきである。湿式造粒法は、固体剤形の流動性、圧縮率、バイオアベイラビリティ、均質性、静電特性、及び安定性を改善する。
【0067】
別の実施形態に従って、本発明の医薬組成物は固体剤形である。本発明の例示的な固体剤形は、錠剤、カプセル、サシェ、ロゼンジ、粉末、丸剤又は顆粒を含む。固体剤形は、例えば、即時放出剤形、早期溶解剤形、制御放出剤形、凍結乾燥された剤形、遅延放出剤形、持続放出剤形、脈動放出剤形、即時放出剤形と制御放出剤形との混合、又はそれらの組み合わせであり得る。固体用量錠剤製剤が好ましい。固体剤形は、好ましくは、活性化合物のバイオアベイラビリティの点において利点を提供する即時放出剤形である。
【0068】
即時放出剤形が選択される場合、外側部分を形成するときに使用されるべき放出制御剤(単数又は複数)の量は、種々のパラメータ、例えば送達されるべき活性成分又は基質の量、活性成分又は基質の所望の放出速度、及び微小マトリックス粒子サイズを含む、所望の送達特性に基づいて決定されるだろうことは、当業者に明らかであろう。
【0069】
即時放出剤形はまた、放出制御剤の加工を改善する材料を含み得る。かかる材料は、一般的に可塑剤と呼ばれる。好適な可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコレー、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、トリプロピノイン、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、キャスターオイル、クエン酸トリエチル、多価アルコール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(epoxidized tallate)、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、モノカプリル酸グリセリル、グリセロールジステアレート、及びモノカプリル酸グリセリルを含む。
【0070】
剤形は、以下の手順に従って製造され得る:コア粒子は、通常の技術に従って製造され得る。活性成分又は基質、及び一つ以上の放出制御剤が混合され、そしてロウ又はハイシアーミキサー(low or high shear mixer)中に溶媒を添加することによって、又は流動層造粒機(fluidized bed granulator)によって造粒される。顆粒は、例えば流動層乾燥機(fluidized bed dryer)中で乾燥される。乾燥された顆粒を仕分けする。微小マトリックス粒子の仕分けは、振動造粒機(oscillating granulator)、粉砕機(comminuting mill)、又は任意の他の従来法を使用することにより行われる。仕分けのために使用されるふるいは、0.25mm〜5mmの穴を有し得る。代わりに、コア粒子は、成形、球形化、溶融造粒、又はローラー圧縮により製造され得る。コア粒子は、一つ以上の放出制御剤によって、噴霧適用を含む任意の方法により被覆され得る。噴霧は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工(Wurster coating))を使用して、又はパン・コーティング・システム(pan coating system)において行われ得る。代わりに、一つ以上の速度調節剤を用いたコア粒子の被覆は、造粒機又は流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用する高温溶融工程によって、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。微小錠剤の圧縮は、通常の圧縮機(例えば、Manesty、Cadmach、又はKilian製の機械)で行われる。微小錠剤は、種々の大きさ及び形、例えば丸型、長円形、長方形、カプセル形、三角形、四角形などで製造され得る。微小錠剤の好ましい形は、丸形、両凸形であり、そして微小錠剤の好ましい直径は、1.5mm〜9.5mmである。
【0071】
微小錠剤は、噴霧適用を含む任意の既知の方法によって、一つ以上の放出制御剤の溶液により被覆され得る。噴霧は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用して、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。
【0072】
代わりに、一つ以上の速度調節剤を用いた微小錠剤の被覆は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用して、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。微小錠剤は、手動操作型の、半自動式の、又は自動式のカプセル封入機を使用してケース中に封入され得る。
【0073】
本発明の組成物はまた、本発明のタンパク質又はその断片のバイオアベリラビリティを改善するために、特定の剤形で存在し得る。用語、バイオアベイラビリティは、活性成分又は活性部分が薬剤から吸収されて、活性部位において利用可能となる率及び程度のことである。経口摂取される薬剤のバイオアベイラビリティは、当該分子の性質、その安定性、及び例えば結腸疾患又は腸切除の結果として腸の表面領域が減少している患者へ投与される製剤、並びに薬剤が食事と共に摂取されるか否か、を含む要因によって決定される。バイオアベイラビリティに影響を与える因子は、限定されないが、消化管からの乏しい吸収、肝臓の初回通過効果及び循環系に達する前における薬剤の分解を含み得る。
【0074】
本発明のタンパク質又はその断片の異なる粒子サイズ画分が使用され得る。好ましい粒子サイズのd90は、100μm未満、より好ましくは50μm未満、最も好ましくは10μm未満である。
【0075】
別の実施形態に従って、本発明の医薬組成物は、所望の剤形に依存して、ブロメラインタンパク質又はその断片に加えて、一つ以上の希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、流動促進剤、香味剤、着色剤、及び他の賦形剤を含み得る。
【0076】
好適な希釈剤は、医薬として許容される充填剤、例えばラクトース、微結晶セルロース、第二りん酸カルシウム、サッカリド及び/又はそれらの混合物を含む。希釈剤の例は、微結晶セルロース、例えばアビセル(Avicel)PH101(登録商標)及びアビセル(登録商標)PH102;ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、及びファルマトース(Pharmatose)(登録商標)DCL21;第二リン酸カルシウム、例えばエンコンプレス(Emcompress)(登録商標);マンニトール、デンプン、ソルビトール、ショ糖及びグルコースを含む。微結晶セルロース及びラクトースが最も好ましい。
【0077】
結合剤は、好ましくは、ポリビニルピリドン、デンプングレード(starch grade)(ゼラチン化前の又は単純なもの)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、並びにそれらの塩及びゼラチンから選択され、そしてHPMCが最も好ましい。好適な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、メイズスターチ、及び修飾されたスターチカルシウムシリケート(starche calcium silicate)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどを含む。クロスカルメロースナトリウムが最も好ましい。
【0078】
滑剤は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖エステル又は脂肪酸、ポリエチレングリコール、ステアリン酸などからなる群から選択される。
【0079】
甘味剤は、好ましくは、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、タウマチンなどからなる群から選択される。
【0080】
流動促進剤は、好ましくは、二酸化ケイ素、タルク、及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択される。
【0081】
香味剤、着色剤、又は乳白剤及び顔料として、当業者に既知の任意の好適な化合物が使用され得る。
【0082】
本発明者は、ブロメラインにおける好ましい効果がまた、特定のタンパク質又はその断片に付与され得ることを見出した。組み換え技術の特有の利点のために、本発明のタンパク質及び断片は、より高純度で得られ、特に他のタンパク質又はタンパク質断片の存在を回避することができ、副作用の減少をもたらし得る。本発明のブロメラインタンパク質又はその断片が、水溶液中でさえ長期間に渡るより高い貯蔵安定性を有することも見出された。ブロメラインタンパク質又はその断片からの好ましい効果は、浮腫の減少、溶血性、線維素溶解性、抗炎症性、抗転移性、及び腫瘍阻害性特性を含む。さらに、免疫系における刺激効果、例えば創傷治癒の加速化が期待され得る。
【0083】
したがって、本発明の別の好ましい実施形態は、癌、アテローム性動脈硬化、細菌感染、炎症、血栓症及び浮腫の予防及び/又は処置のための医薬の製造のための、ブロメラインタンパク質又はその断片の使用に関する。特にアナナインは、Harrach及びMaurer(1996)によって単離された、フラクションF9中で発見され、そしてそれがERK−2の活性化の阻害において有効であることが既に証明されているため、アナナインは、癌の予防及び/又は処置のために、並びに転移形成の阻害のために使用され得る。
【0084】
本発明は、以下の実施例によって、それに限定されることなく説明される。
【実施例】
【0085】
他で言及されない限り、組み換えDNA技術は、Maniatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)に従って行われた。精製水は、PURELAB ultra(ELGA)を使用することにより得られた。
【0086】
RNAの単離
RNAのみならず、DNA及びタンパク質を、Qiazolキット(Invitrogen)を使用して、製造業者の使用説明書に従って単離した:最大で1mlのQiazolを、50〜100mgの生重量である植物材料と共に混合した。多糖を除去するために、当該混合物を10分間、12.000xg、室温で遠心分離した。上清を5分間30℃にてインキュベートした。Qiazolの1mlあたり、0.2mlの量でクロロホルムを添加した。当該溶液を15秒間かけて十分に混合した。当該混合物を30℃でインキュベートした。その後、当該混合物を15分間、4℃にて、2.000xgで遠心分離した。RNAを含有する上層を除去し、そしてQiazolの1mlあたり、0.5mlのイソプロパノールと混合した。当該混合物を10分間、4℃にて、12.000xgで遠心分離し、そして上清を除去した。RNAのペレットを、Qiazolの1mlあたり、1mlの75%エタノール(DEPC−水を用いて作製されたもの)を用いて洗浄し、十分に混合し、そして7500xg、5分間、4℃にて遠心分離した。上清の除去後、当該ペレットをRNaseフリーの水中で再度懸濁した。
【0087】
パイナップル幹からの、DNA及びタンパク質の存在しない、より多量のRNAを、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)をその後にさらに使用することで得た。
【0088】
ゲノムcDNAライブラリーの製造
ゲノムcDNAライブラリーの製造のために、SMART IV(商標)cDNA Library Construction Kit(Clontech)を使用した。第一及び第二の鎖の合成、プロテイナーゼKを用いた消化、SfiIを用いた消化、cDNAのサイズ排除による分別、SfiIにより切断された脱リン酸化されたpDNR−LIBベクター中における、SfiIにより切断されたcDNAのライゲーション、及び得られた挿入物含有ベクターの形質転換を、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0089】
縮重プライマーを用いたPCR産物の製造
縮重プライマー配列は、プログラム「Codehop」(http://bioinformatics.weizmann.ac.il/blocks/codehop.html)、及びA.comosusと類似のGC含量を有し、かつイネ目と同一目に属する、コメであるオリザ・サティバ(Oryza sativa)からのコドン使用頻度を使用して発生させた。下線を引いた配列は、幹ブロメラインstb1(Acnr1:P14518)、アナナインan1(Acnr1:CAA05487)、果実ブロメラインfb1(Acnr1:D14059)、stb2(Acnr1:AC09829)及びstb3(Acnr1:AC09830)であった。表2は、PCR(濃度100pmol/μl)において使用されるプライマーを示す。
【0090】
コロニーPCRのためのPCR反応は、94℃で5分間の単一ステップ、及び各々94℃で1分間+54℃で1分間+72℃で1分間の30回サイクル、その後72℃で7分間の反応、並びに4℃にての貯蔵を含んだ。
【0091】
クローニング目的のための、配列増幅のためのPCR反応は、98℃で5分間の単一ステップ、及び各々98℃で8秒間+59℃で20秒間+72℃で25秒間の25回サイクル、その後72℃で5分間の反応、並びに4℃にての貯蔵を含んだ。
【0092】
PCR反応を、フュージョン(Phusion)(商標)ポリメラーゼを用いて、高い忠実度のためにHFバッファー中で、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0093】
【表1】
【0094】
鋳型として、cDNA断片を含有するpDNR−LIBを使用した。増幅された配列を、TOPO TA Cloning(登録商標)キット(Invitrogen)によって、製造業者によって指示されたとおりにpCRIIにサブクローニングした。
【0095】
コロニーPCRを、taq−ポリメラーゼ(Fermentas)を使用して行った。したがって、全成分をピペットで取り、そして細胞材料を反応液へ添加した。
【0096】
【表2】
【0097】
マスターサイクラー・グラジエント(Mastercycler Gradient)(Eppendorf,Germany)中、滅菌性PCR反応容器(Eppendorf,Hamburg,Germany)を用いて全て行われたPCR反応液を、従来のSDSアガロースゲルを用いて分離し、切り取り、そしてシーケンシングのために、NucleoSpin(登録商標)Plasmid−DNAキット(Macherey&Nagel,Duren,Germany)又はMicrospinカラム(Amersham Pharmacia)を用いて精製した。当該産物を、pTOPO−PCRII(Invitrogen)中でクローニングした。ゲル電気泳動を、SUB−CELL(登録商標)GT又はMINI−SUB−CELL(登録商標)GT(いずれもBiorad)を使用するMighty Small SE250/SE260(Hoefer)を用いて行った。遠心分離機として、Avanti JE cooling centrifuge(Beckmann Coulter)、Biofuge pico、又はBiofuge fresco(いずれもHeraeus)を使用した。
【0098】
シーケンシング
ブロメラインタンパク質は、一般的に相互間で95%以上の高い相同性を示すため、既に知られているブロメラインタンパク質(図1を参照)に関して、この基準を満たす配列は、さらなる評価のために使用された。DNAシーケンシングを、キャピラリー・シーケンサー(MWG)を用いて、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0099】
クローニング/増殖条件
2つの幹ブロメライン配列(図6a及び6b)、アナナイン(図6b)、及び果実ブロメライン(図6c)を、図7においてstb3(Acnr1:AC09830)に関して示されるWcoRI及びNotI制限部位を使用して、pPIC9又はpPICZA(両方ともInvitrogen)中に、インフレームでクローニングした。クローニングを、Gene pulser/Pulse Controller(いずれもBiorad)を用いて、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0100】
この観点において、EasySelect(商標) PichiaExpressionキットに従って行われたタンパク質発現は、幾つかの修飾が適用されたいかなるクローンも生じないことが明らかとなった。BglIIによる直線化は、多量のDNAの場合においてより好適である高濃度の塩バッファーを許容するため、EcoRI及びNotIの適用前に、SacIの代わりにBglIIを用いてベクターを直線化した。当該細胞が、250μlの増殖培地、及び選択のための抗生物質を使用して、標準的な96穴マイクロタイタープレート中で増殖され得、そしてそれにより活性クローンの高密度スクリーニングが可能となることがさらに見出された。誘導は約4(4±0.2)のOD600で行われ、そしてそれは全てのウェルに関して60時間後に得られた。この目的のために、グリセリンは完全に消費され、そして全ウェルは、本質的に同一の光学密度4を示した。第一の誘導のために、2×メタノール濃度で、250μlの最少培地を使用したが、一方でその後の誘導を全12時間で、10×メタノール濃度で、50μlの最少培地を用いて行った。
【0101】
対照として、Glieder,TU Grazにより快く得られたpPICZ/gfpを使用した。前記プラスミドは、gfp(Shimomura O.et al.,J.Cell.Comp.Physiol.,59(1962),223−239;Shimomura O.,J.Microsc,217(2005),1−15)を含み、そしてそれは同一の制限部位、並びに増殖及び誘導のための同一の条件を使用する。
【0102】
STB3と同一の方法で得られる、ピキア・パストリスの発現培養であるAn1(Acnr1:CAA05487)からの100μlの上清を、標準的条件を使用してSDS−PAGEに供した(図2を参照)。
【0103】
プロテアーゼ活性のアッセイ
BMM最少培地又はBMMY完全培地におけるピキア・パストリス発現培養の100μl上清を、プロ酵素を切断するために、バッファー(pH4)を用いて希釈した。溶液をその後30分間、55℃でインキュベートし、そしてカゼインを添加し、最終濃度1%とした。標準的なマイクロタイタープレートリーダーを使用して、OD600を、室温で1時間後に決定した(図4を参照)。
【0104】
アルファ因子、プロペプチド、及びアナナイン(An1)を有するが、C末端にシステインプロテアーゼ配列を有さない、pPICZAを含むP.パストリスは、最も優れた結果を示した。Unitron HT振盪インキュベーター(Infors)を使用して、3つ又は4つのバッフルで装着された振盪フラスコ中において、230rpm及び28℃で、48時間までかけて増殖された1リットルのBMM培地(pH6)中で、12mg/lの活性AN1を得た(基質としてカゼイン)。プロアナナインは、4℃で7日の貯蔵後において、基質としてのカゼインに対して90%の初期活性を示した。
【0105】
ブロメラインタンパク質のMaldi−Tof分析
上清からの試料を、培養から3日後に採取し、そして4800 TOF/TOFマス・アナライザー(Applied Biosystems)を使用するMaldi−Tof分析に供する前にZip−Tips(Millipore)を用いて精製した。
【0106】
分泌シグナルの正確な方法による切断が生じた。P.パストリス中で発現したタンパク質は、Glykomodツールで実証されたように、グリコシル化を示した(www.ExPASy.ch;結果は示されていない)。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
参考文献
1.Cregg,J.M.,J.L.Cereghino,J.Shi,and D.R.Higgins.2000.Recombinant protein expression in Pichia pastoris.Mol.Biotechnol.16:23−52.
2.Cregg,J.M.,T.S.Vedvick,and W.C.Raschke.1993.Recent advances in the expression of foreign genes in Pichia pastoris.Biotechnology(N.Y.)11:905−910.
3.Thompson,J.D.,D.G.Higgins,and T.J.Gibson.1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position−specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673−4680.
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にブロメラインに関し、そして具体的には、このタンパク質混合物中に含まれる、異なる活性化合物に関する。本発明は、ブロメライン中において見られる、組み換え発現システインプロテアーゼを提供する。組み換え発現タンパク質は、疾患の処置及び条件に関して、植物抽出物からのブロメライン又はそのタンパク質断片よりも優れた効果を有することが見出された。
【背景技術】
【0002】
ブロメラインは、生化学的にパイナップルの幹からの粗製抽出物として定義され、そして薬理学的に、システインプロテアーゼの混合物として定義される。その多くの好ましい効果は、少なくとも一部において、そのタンパク質分解特性、及び特に線維素溶解特性から生じる。ブロメラインの抗腫瘍効果はまた、タンパク質分解活性とは異なる効果に依存していることが知られており、そしてそれは、いまだ未知の機構による。ブロメラインは、ブロメリアセアエ(Bromeliaceae)科の植物の組織、特に幹及び果実中において見られるタンパク質分解酵素の集合名である。ブロメラインの最も一般的な形態は、パイナップル植物(Ananas comosus)の幹由来の様々な成分の混合物である。幹ブロメライン(今後、ブロメラインと呼ぶ)は、少なくとも5つのタンパク質分解酵素のみならず、酸性ホスファターゼ及びペルオキシダーゼを含む、非タンパク質分解酵素を含むことが知られており;それはまた、アミラーゼ及びセルラーゼ活性を含む。さらに、様々な他の成分が存在する。
【0003】
ブロメラインからの幾つかの好ましい効果は、現在までのところ、浮腫の減少特性、溶血特性、線維素溶解特性、抗炎症特性、抗転移特性、及び腫瘍阻害特性を含むと説明されている。さらに、免疫系における刺激効果、創傷治癒の加速化がまた、前記天然プロテアーゼ混合物の有益な効果と一致する。ブロメラインが、TCR経由で刺激されたTh0細胞におけるERK−2の活性化を阻害することが、Mynott TL他(J.Immunol.,163:5(1999)2568−75)によって示された。ブロメラインはまた、PMA誘導IL−2、IFN−ガンマ、及びIL−4mRNAの蓄積を阻害したが、TCR誘導サイトカインmRNA産生に対して効果を有さなかった。これは、プロテアーゼの前記混合物が、T細胞シグナル伝達の阻害剤であることを示唆している。
【0004】
経口投与後におけるブロメラインの有効性、その安全性及び所望ではない副作用の欠如によって、ブロメラインは、植物療法剤(phytotherapeutical drug)として患者の間において許容及び適応されつつある。広範囲の治療的有用性、例えば、血小板凝集、狭心症、気管支炎、静脈洞、炎外科手術による外傷、静脈血栓症、腎盂腎炎の可逆的阻害、及び薬剤、特に抗生物質の吸収の向上が、ブロメラインにおいて主張されている(Orsini RA,Plast.Reconstr.Surg.,118(7)(2006)1640−4;Brien S,Evid Based Complement Alternat.Med.,1(3)(2004)251−7を参照)。生化学的実験は、これらの薬理学的特性が、タンパク質分解活性に部分的にのみ依存していることを示し、このことは、ブロメラインにおける非タンパク質性因子の存在を示唆している。前臨床試験及び薬理学試験からの結果は、ブロメラインを補完的腫瘍治療のための薬剤として推奨する。ブロメラインは、患者の腫瘍細胞に対する単球の低下した免疫細胞障害性の増大により、そして特徴的なサイトカイン、例えば腫瘍壊死因子及びインターロイキンの産生を誘導することにより、免疫調整剤として作用すると考えられる(Maurer HR,Cell.Mol.Life Sci,58(9)(2001),1234−45を参照)。抗転移効果及び転移関連性血小板凝集の阻害、並びに腫瘍細胞の増殖及び侵襲性の阻害が記載されている、動物実験における報告がまた存在する。明らかに、抗浸潤活性は、タンパク質分解活性に依存しない。これはまた、免疫機能の調節におけるブロメラインの効果、及び火傷による創傷を除去し、創傷治癒を加速させるその潜在能力に関して真実である。
【0005】
ブロメラインの物理的抽出工程は、例えば、CN1186118において開示されている。当該工程は特に、凍結し、破砕し、ジュースを得るために絞ることによって、パイナップルを前処理すること、透明な液体を得るために濾過すること、限外濾過膜フィルム及び逆浸透(reverse osmosizing)フィルムによって濃縮すること、及びスポンジ形状の産物を得るために真空凍結乾燥をすることを含む。温度、時間、及びpH値の制御により、酵素活性及び収率を増加させることが報告されている。
【0006】
米国特許第3658651号は、酵素の沈降に先立って、パイナップルの幹から抽出されたブロメライン含有ジュースを、重炭酸形態である陰イオン交換体を用いたイオン交換中に通し、弱酸性官能基を有する陽イオン交換体を用いたイオン交換中に通し、重炭酸形態である第二の陰イオン交換体を用いたイオン交換中に通すことによって精製することに関する。
【0007】
米国特許第4,286,064号明細書は、ブロメラインの未加工抽出物の調製を特に開示している。パイナップルの幹からのジュースを、最初にリン酸を用いてpH約3又は4に調節し、そしてナトリウムスルフヒドリド(sodium sulfhydride)を加えてスルフヒドリル酸化から保護した。不活性物質を、例えばアセトン中で沈澱させ、そして濾過する。浄化液体をアセトンを用いて沈澱させ、そして当該沈殿物を遠心分離により回収し、そして、リン酸を用いて酸性化されたナトリウムスルフヒドリドを含有する水中で再度溶解し、そして再沈澱させるか、又は真空乾燥機中で直接乾燥させる。未加工抽出物のさらなる精製は、小分子及びタンパク質の除去のために、濾過、透析、又はダイアフィルトレーションを行い、その後、凍結乾燥前に、得られた溶液を濃縮することによって行われ得る。
【0008】
分解及び/又は他の所望ではない化学反応、例えば酸化反応を防ぐために、特定の処理条件、例えば温度、pH、溶媒及びバッファー、並びに/又は添加剤、例えば安定剤及び抗酸化剤の選択が不可避である。
【0009】
上記欠点から離れて、未加工抽出物のさらなる精製が必要とされ得る。かかる精製は、例えば米国特許出願公開第2002/188107号明細書に記載されている、HPLCを用いて行われ得る。
【0010】
したがって、医薬組成物、皮膚適用組成物及び栄養組成物中に含まれ得、そして先行技術であるブロメライン含有製剤の上記欠点を示さない、化学的に安定かつ純粋なブロメラインタンパク質を提供することが非常に好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題は、異種宿主中において可溶性活性体で相当量発現されている、異種発現されたブロメラインタンパク質又はそれらの断片を提供することによって解決された。
【0012】
本発明の発明者は、驚くべきことに、単一のブロメラインタンパク質又はその断片の異種発現によって、タンパク質/断片及び組成物の安定性の問題も回避され得ることを発見した。任意の理論によって制約されることを望むことなく、ブロメラインに含まれる多数のプロテアーゼが各々における分解活性を発揮し、そして当該活性はそれらに含まれるプロテアーゼ阻害剤によってのみ部分的に阻害され、その結果自己分解されることが今回仮定されている。さらに、単一の、異種発現されたタンパク質及び/又はその断片は、ブロメラインの少なくとも幾つかの有利な特性を発揮することが示され得る。これにより、本発明のタンパク質又はその断片は、医薬の活性成分として好適なものとなる。別の好ましい効果は、ブロメライン又はブロメライン断片の混合物が適用されるときに生じ得る副作用を回避する、より特異的な作用機序にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、Clustal Wアルゴリズム(Thompson et al.,1994)を使用するベクターNTIプログラム(Invitrogen)を用いて実行された、A.コモスス(comosus)由来の既知のシステインプロテアーゼ、並びにHarrach及びMaurer(1996)に従って行われたペプチド断片F4、F5、及びF9(下線部)のシーケンシングによって見い出されたもののアラインメントを示す。アナナイン(Ananain)は、断片F9において見られ、一方でF4及びF5は、幹ブロメラインを含み、そして新規配列を示す。
【図2】図2は、幹ブロメライン及びアナナインの発現を示す。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)の発現培養からの約100μlの上清を用いたSDS−PAGEを行った。Aは、陽性システインプロテアーゼpPIC9/stb3(幹ブロメライン)クローン27及び30であり、Bは、陰性対照(挿入されていないプラスミド)及び陽性pPIC9/an1クローン(アナナニン)4及び5、並びに陽性pPIC9/stb3クローン30である。矢印は、異種発現されたプレプロタンパク質を示す。右の線は、タンパク質スタンダード(PageRuler(商標)、Fermentas、10kDa〜170kDa)である。
【図3】図3は、プロ−アナナイン(pPICZ/アルファ因子::an1Δctpp,)コンストラクトの発現の15%SDS−Pageを示す。C末端プロペプチドのDNA配列が除去された。上の矢印は、35kDaのバンド(プロ酵素)を示し;下の矢印は25kDaのバンド(活性体)を示し;右端は野生型対照を示す。
【図4】図4は、0.5%カゼイン入りの発現培養の15%SDS−Pageを示す。図4は、異なるプロモーター活性を用いたクローンの選択を示す。a)KM71H野生型、b)pPICZ−Δ7/アルファ因子::an1Δctpp、b)pPICZ−mini/アルファ因子::an1Δctpp。図4aとは対照的に、しかし最小プロモーターに関して、矢印で示されたカゼインのシグナルは、幾つかの試料における例外はあるが、あまり検出できなかった。
【図5a】図5aは、幹ブロメラインSTB4のタンパク質配列を示す。
【図5b】図5bは、幹ブロメラインSTB3のタンパク質配列を示す。
【図5c】図5cは、アナナインAN1のタンパク質配列を示す。
【図5d】図5dは、果実ブロメラインFB1のタンパク質配列を示す。
【図6a】図6aは、幹ブロメラインstb4の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6b】図6bは、幹ブロメラインstb3の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6c】図6cは、アナナインan1の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図6d】図6dは、果実ブロメラインfb1の対応するヌクレオチド配列を示す。
【図7】図7は、an1を含む、ベクターpPICZアルファを示す。
【図8】図8は、発現コントラクトの比較を示す。上部の図は、pICZAベクター内にC末端拡張を有さないプロアナナイン遺伝子を示す。下部の図は、プレプロアナナイン遺伝子、及びN末端のHisタグを有するpPIC9コンストラクトを示す。C末端の拡張が示される。
【図9】図9は、システインプロテアーゼのC末端プロペプチドを示す。Clustal W(www.ebi.ac.uk)を使用してアラインメントを行い、そして幾つかの本発明のシステインプロテアーゼ、並びにコメ由来のシステインプロテアーゼ(AAM34401)、ヒトのプロカテプシンL(1CJL GI:2392232) 1CJL)、プロパパイン(P00784)、マウスのプロパテプシンL(P06797)、果実ブロメライン(BAA21848)、及びヴィグナ・ムンゴ(Vigna mungo)由来の、明確な液胞局在化シグナルを示すシステインプロテアーゼ(1910332A)の各々におけるC末端が示される。太字の全てのアミノ酸残基は、所定の位置において同一であり、筆記体で記載された大部分のアミノ酸は、所定の位置において同一であるか、又は保存されており、下線の引かれたものは所定の位置において同一なアミノ酸群を示す。
【図10】図10は、ピキア・パストリスにおいて発現された組み換えアナナインを示す。発現されたプロタンパク質(35kDaの矢印)からの、活性化されたアナナイン(25kDaの矢印)と一緒になった、12.5mg/lの収量であるピキア・パストリスKM71Hの発現培養上清(45kDaの矢印は分泌された酵母タンパク質を示す)。
【図11】図11は、cDNAからの、システインプロテアーゼの増幅に関するスキームを示す:期待されるPCR産物と共に、全部で9つのプライマー変異体を含む、縮重(degenerated)プライマーを用いたPCR(bp中);「ネステッド(nested)」PCR及び内部断片を用いた、下線を引いた配列の同一DNA部分と相補的である、特定のプライマーによる、3’から5’末端への増幅;完全遺伝子の増幅、及びEcoRIにより切断される鋳型としてcDNAを使用する、配列stb4の増幅。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の実施形態に従って、溶解性タンパク質として、相当量が異種産生された、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供される。
【0015】
本明細書において使用される用語、異種発現された、は、一般的に由来生物とは異なる宿主生物中におけるタンパク質発現のことであり、そして本件においては、宿主としてアナナス(Ananas)属以外のもの、すなわちパイナップル以外のものを使用する発現のことである。かかる宿主の例は、ピキア・パストリスを特に含む。
【0016】
本発明において使用されるブロメラインタンパク質は、ブロメライン中に含まれる他のプロテアーゼとはそのアミノ酸配列によって区別される、ブロメライン粗製抽出物の任意の画分に含まれる単一のプロテアーゼのことである。断片は、プロテアーゼ自身と基本的に同一の機能(単数又は複数)を示すために十分な長さのポリペプチドである。これを保証するために、断片は、プロテアーゼタンパク質の活性部位を含む、十分な長さを有する。一般的に、タンパク質の活性は、活性部位、及び反応性のために必要とされる特定の三次元構造に影響を与えるそのより狭い環境に予備的に依存しており、一方でより長い一続きのアミノ酸、例えばループ及びシートは、タンパク質の基質親和性、及びタンパク質表面上における基質の接近、及びタンパク質の水溶性に影響を与える。したがって、活性部位を含むブロメラインのタンパク質断片は、異なる基質及び/又は異なる基質選択に対してプロテアーゼ活性を示し得る。ブロメラインタンパク質の断片は、ブロメラインタンパク質の自己分解に由来する「天然」のもの、又は例えば任意の他のプロテアーゼを用いたブロメラインタンパク質の切断による人工的なもののいずれかであり得る。自己分解による断片の大きさは、環境パラメータ、例えば(溶媒として水を用いた時の)濃度、バッファー、温度、及び他のパラメータを用いて容易に調節され得ることが理解されるだろう。本発明において使用される、異種発現されたブロメラインタンパク質又はそれらの断片は、活性ブロメラインタンパク質、及び例えば、pH4へと変化させる酸性バッファー系の適用による活性化を必要とするブロメラインプロ酵素の両方を含む。同じ問題が、ブロメラインタンパク質の断片に適用される。
【0017】
本明細書において使用される用語「相当量」は、1mg/l以上、好ましくは2mg/l以上、4mg/l以上、6mg/l以上、8mg/l以上、又は10mg/l以上であり、そしてより好ましくは12mg/l以上の量で異種発現された、活性ブロメラインタンパク質又はその断片のことである。
【0018】
本明細書において使用される用語「溶解性」は、対応する天然の野生型プロテアーゼと同一の三次元構造を基本的に示すタンパク質又はその断片のことである。これは、タンパク質及びその断片が所望のプロテアーゼ活性を示すことを保証し、そして、例えば再生の目的のために、他の物質を添加することが回避され得ることを保証し、そしてそれは、一方で分解に対する改善された耐性を保証し、そして他方でポリペプチドの所望ではない修飾を回避することを保証する。折りたたみタンパク質(folder protein)又はその断片は、その周囲に十分な親水性アミノ酸をさらに示し、すなわち、水分子と水素結合し、その中において、当該タンパク質又はその断片は、それを医薬用途における使用に好適なものとするバイオアベイラビリティを有する。用語、バイオアベイラビリティは、活性成分又は活性部分が薬剤から吸収され、そして活性部位において利用可能となる率及び程度を示す。経口摂取薬のバイオアベイラビリティは、分子の性質、その安定性、及び投与される製剤を含む要素によって、及び、例えば結腸の疾患又は腸切除の結果としての、腸の表面面積の減少のような患者における要素、及び薬剤が食事と共に摂取されるか否かという要素によって決定される。バイオアベイラビリティに影響する要素は、限定されないが、消化管からの低い吸収、肝臓における初回通過効果、及び体循環に達することに先立つ、薬剤の部分的分解を含み得る。本発明の発現系は、予想外に高い収率及び予想外に高いタンパク質又はその断片の溶解性を可能とするのみならず、他のプロテアーゼによる分解が回避されるために、より多量の活性ブロメラインタンパク質又はその断片をもたらす。
【0019】
本発明におけるブロメラインタンパク質は、第一ステップにおける、例えばトリゾールプラスRNAピューリフィケーションシステム(TRIzol plus RNA Purification System)(Invitrogen)を適用することによる、植物材料からのRNA単離によって得られる。DNA及びタンパク質はトリゾール(Invitrogen)を用いて単離され得る。デンプンが勾配を破壊するため、タンパク質からのRNA分離のためにさらなるものが必要とされる。幹としてのデンプンに富んだ器官からのより多くの量のRNAは、RNeasyプラント・ミニ・キット(RNeasy Plant Mini Kit)(Qiagen)を使用してその後に単離され得る。次のステップにおいて、cDNAライブラリーが生成され得る。これは、当業者に周知の任意の方法により、例えば、SMART(商標)cDNAライブラリー・コンストラクション・キット(cDNA Library Construction Kit)(Clontech)を使用することにより行われ得る。cDNAは、好適なプラスミド又はベクター中にライゲーションされ得、その後に、例えばE.coli中にトランスフェクションされ得る。これは、当業者に周知の任意の方法によって行われ得ることが理解されるだろう。当該挿入断片は、標準的なDNAシーケンシング技術を用いてシーケンシングされ得る。発現のため、DNA配列は、構成性(constitutive)プロモーター又は誘導性(inducible)プロモーターの制御下にある、好適な発現ベクター中にライゲーションされ得る。好適な発現系は、例えばpPICZアルファ(Invitrogen)であり、そしてそれは、好適な宿主中、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ ・アルビカンス(Candida albicans)又は好ましくは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)中への、任意の好適な技術、例えばエレクトロポレーションによって、形質転換され得る。異種発現のための宿主としてのピキア・パストリスは、α−1,3−マンノシル−トランスフェラーゼが前記生物中に存在しないが、グリコシル化パターンが、基本的に高等真核生物のものに相当するという特定の利益を示す。
【0020】
形質転換、及び引き続き起こるタンパク質発現は、当技術分野において利用可能な手順に従って行われ得る。発現されたタンパク質の活性は、基質として、カゼイン加水分解物へと分解されるカゼインを使用することによって容易に試験され得る。この変換は、例えば、600nmの可視範囲における波長において作動する分光光度計を用いることによって定量的に決定され得る。代わりに、カゼインは、発現のために使用される寒天培地中に含まれ得る。カゼインの分解は、コロニー周辺において、透明な輪の形成の出現をもたらす。組み換えDNA技術に関して必要とされる知識は、Maniatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)から得られる。
【0021】
機能がなお解明されていない構成成分である、C末端プロペプチドを除去することによって、本明細書におけるブロメラインの収量が、C末端プロペプチドをなお生じるブロメラインタンパク質の異種発現と比較して、2倍、好ましくは、3、4、5、又は6倍、より好ましくは10倍以上増大されることが、驚くべきことに発見された。特に、C末端プロペプチドの除去によって、12.5mg/lのアナナイン、及びパパインの場合においては1〜2mg/lの収量が得られることが示された。
【0022】
したがって、本発明の第一の態様において、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供され、ここで対応するブロメラインタンパク質又はその断片のC末端プロペプチドをコードするDNAが除去されている。C末端プロペプチドをコードするDNAの例が、図9中に列挙されている。他のブロメラインタンパク質由来のC末端プロペプチドのDNA配列の決定が、当業者の知識に従って、容易に決定され得ることが理解されるだろう。
【0023】
N末端プロペプチドは、システインプロテアーゼの自己分解を防ぐときに作用する。したがって、N末端プロペプチド配列の修飾のみならず、省略も意図される。当業者が、容易に個々の配列を決定し得、そしてそれらを適宜変更し得ることが理解されるだろう。
【0024】
本発明の別の態様に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が提供される。当該タンパク質又はその断片は、使用される発現系に応じて、アナナス(Ananas)属によってもたらされるものとは異なる翻訳後修飾を受ける。
【0025】
アナナス属とは異なる生物を使用することによって、独特な翻訳後修飾(PTM)が、一般的に転写後におけるタンパク質の化学修飾に関して保証され得、ここでメッセンジャーRNAは、特定のポリペプチド又はタンパク質を生成するために解読される。PTMは、翻訳されたタンパク質におけるそれらの作用に従って分類され得る。それらは、官能基の付加、又は他のタンパク質/ペプチドをもたらし、その結果、タンパク質を形成するアミノ酸の化学的性質の変化をもたらし、そしてその結果、構造的変化をもたらす。翻訳後修飾の例は、糖類がタンパク質に付加されるグリコシル化である。特に、異なるグリコシル化により、異なる水溶性がもたらされ、そしてそれは同様に、タンパク質又はペプチドのバイオアベイラビリティに確実に影響を与え得る。
【0026】
ブロメラインタンパク質又はその断片の機能が、種々の異なるアミノ酸配列によって達成され得ることがまた、当業者によって理解され、そして別の実施形態において、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片は、ブロメラインタンパク質と少なくとも99%の配列相同性を示す。好ましくは、配列相同性は少なくとも99.5%であり、そしてより好ましくは少なくとも99.8%である。言い換えれば、タンパク質又はその断片の配列は、それらの個々の野生型相当物と、100個のアミノ酸あたり1個のアミノ酸、そして好ましくは100個のアミノ酸あたり2個のアミノ酸で区別される。
【0027】
かかるタンパク質又はその断片は、活性において必須ではないアミノ酸残基における変化を含むポリペプチドであり、すなわちアミノ酸配列において元のブロメラインタンパク質又はその断片とは異なるが、生物学的機能又は活性を保持している。例えば、アミノ酸は、「必須ではない」アミノ酸残基で置換され得る。「必須ではない」アミノ酸残基は、特定のブロメラインプロテアーゼの野生型配列において、生物学的機能又は構造的折り畳みを変更することなく、変更され得る残基であり、一方で「必須である」アミノ酸残基は、生物学的機能のために必要とされ得る。同様の機能は、通常、類似の構造的又は化学的特性を有するアミノ酸によって、例えば、イソロイシンによるロイシンの交換において適合され得る。より稀に、変異体は、例えばトリプトファンを用いたグリシンとの交換のような「非保存的」変化を有し得る。同様の事は、単一のアミノ酸残基に関してのみならず、タンパク質の生物学的機能を変更することなしに追加又は省略され得るアミノ酸の全体配列に関しても真実である。したがって、類似の小規模の変異体がまた、アミノ酸欠損若しくは挿入、又はその両方を含み得る。非常に多くの場合、ずっと大きなポリペプチド内における短いアミノ酸配列が、主にタンパク質の生物学的活性又は機能の原因となっている。
【0028】
したがって、本発明はまた、ブロメラインタンパク質又はその断片の相同体を含む。タンパク質配列における相同性、又は配列類似性、又は配列同一性は、当技術分野において周知の技術に従って、例えば確立されたソフトウェア又はコンピュータブログラムを使用することによって、例えば、クエリーがタンパク質か又はDNAかに関係なしに、利用可能な配列データベースの全てを探索するために設計された一連の相同性調査プログラムを提供する、Altschul,S.F.他(J.Mol.Biol.;215(1990)403−410及びNucleic Acids Res.;25(1997)3389−3402)の研究に基づく、BLAST(Basic Local Alignment and Search Tool)プログラムを使用することによって、容易に決定され得る。BLASTプログラムは、距離の離れた配列における関係性への感度の犠牲を最小限にしつつ、迅速性のために設計された。BLASTサーチにおいて与えられたスコアは、リアル・マッチをより容易にし、その結果、ランダムなバックグラウンド・ヒットと区別する、充分に規定された統計的解釈を有する。BLASTは、全体アラインメントとは反対に、局所的アラインメントを追求し、したがって、孤立した領域の類似性のみを共有する配列間における関係性を検出することができる、発見的アルゴリズムを使用する。前記プログラムは、2つの配列間における同一性又は類似性の最良の断片を発見するための、Smith及びWaterman(J.Mol.Biol.;147(1981)195−197)並びにSellers(Bull.Math.Biol.;46(1984)501−514)の修正されたアルゴリズムに基づく。配列相同性の程度を決定するために、配列アラインメントプログラム、例えばBLASTを使用するとき、初期設定が使用され得、或いは好適なスコアリング(scoring)・マトリックス、例えばBLOUSUM又はPAMが、同一性、類似性又は相同性スコアを最適化するために選択され得る。
【0029】
本発明における組み換えにより産生されたブロメラインタンパク質は、植物中におけるその生物学的活性及び役割を解明する為に使用され得る。
【0030】
種々の利用により導入され得るアミノ酸配列の人工的修飾を説明するために、本発明はまた、相同体ではないが、少なくとも上で規定された配列相同性、又は本発明のブロメラインタンパク質の三次元構造若しくは機能を共有する配列を含む。特に、単一のアミノ酸の交換によって、又はグリコシル化パターンの交換によって、ブロメラインタンパク質又はその断片の異なる特性が得られることが理解されるだろう。かかる交換の一つの効果は、例えばタンパク質又はその断片と比較してより高い溶解性を獲得することによる、例えば改善されたバイオアベイラビリティにある。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態において、異種発現されたブロメラインタンパク質は、配列番号1〜4のいずれかを示す。同様の事が、前記タンパク質の特定の領域を含む本発明の断片に関して適用される。配列番号1及び2は、本明細書において2つの幹ブロメラインタンパク質配列を示し;配列番号3はアナナイン由来であり;そして配列番号4は果実ブロメラインのアミノ酸配列である(図5a〜dを参照)。他の好ましい異種発現されたブロメラインタンパク質は、表1に列挙されたものである。配列番号1〜4を示す活性タンパク質、及び表1に列挙されたものの収量は、好ましくはC末端プロペプチドの省略によって、上で示された程度まで増大される。配列番号1〜4のタンパク質に対応するDNA配列が、配列番号5〜8に示される(図6a〜dを参照)。
【0032】
(最も高いブロメライン量を有するタンパク質を示す、配列番号3のタンパク質に相当する)配列番号7のアナナインDNA配列は、不適当である、最新技術の配列とは異なる。
【0033】
本発明の別の実施形態に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質の断片は、少なくもと50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも60個、70個、90個、100個、110個、120個、及びより好ましくは、少なくとも130個のアミノ酸を含む。上で設定されたように、当該断片は、問題となっているブロメラインタンパク質の活性部位が局在化されているタンパク質の領域を含むだろう。かかる断片の活性は、プロテアーゼ活性を生じる断片を選択するために、当業者に既知の技術を用いてアッセイされ得る。
【0034】
ブロメラインタンパク質断片は、各々のヌクレオチド配列をクローニング及び発現させることによって作製され得る。配列番号1〜4のいずれかをコードするヌクレオチド配列、すなわち配列番号5〜8のいずれか、又は表1に記載されたタンパク質のいずれかをコードするヌクレオチド配列は、例えば、所望の長さのヌクレオチド断片を得るための好適な条件下で、DNAseを用いた分解を受けてもよい。各々のヌクレオチド断片はその後、好適な宿主、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)中、発現プラスミド中でクローニングされる。獲得された組み換え微生物は、酵母に対する増殖培地、及び寒天プレートに乳白色の外観を与える脂質トリオレインを含む寒天プレート上に蒔かれ得る。構成性プロモーター又は誘導性プロモーターの制御下で影響され得る発現時において、活性部位を生じるヌクレオチド断片は、活性ブロメラインタンパク質断片の形態で発現され得る。活性部位が完全長ブロメラインタンパク質と同一の活性を含むため、トリオレインの分解が起こり、その結果、コロニー周辺において透明な輪が出現し得る。核酸配列は、DNA配列及び各々のペプチド配列を決定するために、前記コロニーから単離され得る。他の好適なアッセイは、乳白色カゼイン基質の透明な加水分解産物への変換、又はニトロアニリドと結合したペプチドの切断を含み、ここで好適なプロテアーゼの存在する場合において、ニトロアニリド基は切断され、そして405nmで分光学的に検出され得る。ニトロアニリドと結合した、かかるペプチドは、例えば幹ブロメラインにおいてはArg−Arg−ニトロアニリドを、アナナインにおいてはPhe−Val−Arg−ニトロアニリドを含む。
【0035】
一般的である、システインプロテアーゼ又は加水分解酵素の活性の検出のためのこれらのアッセイ、及び他の好適なアッセイは、Bornscheuer U.T.,Kazlauskas,R.J.,Hydrolases in Organic Synthesis,Wiley−VCH,Weinheim(Germany),1999において見られる。組み換えDNA技術において必要とされる知識は、例えばManiatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)から得られる。異種株が高いプロテアーゼ活性を示す場合、特定のシステインプロテアーゼ阻害剤、例えばE64(Merck)が使用され得ることは明らかであろう。
【0036】
本発明の実施形態に従って、異種発現されたタンパク質又はその断片を、野生型タンパク質と区別する前記翻訳後修飾により、異なるグリコシル化パターンがもたらされる。ポリペプチドの異種発現のために使用される異なる生物が、とりわけポリペプチドのバイオアベイラビリティに影響を与える異なるグリコシル化パターンを与え得ることは、当業者に周知である。
【0037】
さらに別の実施形態に従って、異種発現されたブロメライン又はその断片の翻訳後修飾は、酵母、昆虫細胞及び植物細胞からなる群の下で選択される宿主生物により与えられる。かかる発現宿主の選択は、当業者の知識の範囲内であり、そして高発現を確保するために、ブロメラインタンパク質又はその断片をコードするヌクレオチド配列のコドン使用頻度(codon usage)の予備的な適用を含む。コドン使用頻度は、幾つかのコドン、すなわち同一の所定のアミノ酸をコードする、ポリペプチド中におけるアミノ酸残基を特定するヌクレオチドのトリプレットの一つに関する、異なる生物の選択の現象のことである。かかる選択を回避するために、例えばブロメライン鎖又はその断片をコードするDNAを化学的に合成することが必要となり得、そしてここで、コドン使用頻度が、選択された発現宿主において適用される。これは、当業者の知識の範囲内のことである。異種タンパク質又はその断片の発現は、例えば、Bromme D他(Methods 32(2004)199−206)に従って行われ得る。とりわけ温度、培地、容器の種類、給気などを含む、発現のための条件は、当業者の知識の範囲内であることが理解されるだろう。
【0038】
特定の好適な発現宿主として、ピキア・パストリスが承認された。前記株は、少量のプロテアーゼを産生し、そしてそれは、ブロメラインタンパク質及びその断片の発現、並びにプロテアーゼ活性における各々のアッセイを阻害しないことが判明している。好ましいP.パストリス株は、KM71又はKM71Hであり、そしてそれらは、AOX2遺伝子座における組込みを許容し、そしてメタノール代謝を遅らせる。メタノール消費の遅れ、及び対応するタンパク質又は断片の産生速度の遅れにより、正確な折り畳み及びその分泌が可能とされると推測される。好適なプラスミド、例えばpPIC9又はpPICAアルファ(いずれもInbitrogenから得られる)を使用するピキア・パストリスにおける発現は、高い転写率及び翻訳率を確保した。さらに、ブロメラインタンパク質又はその断片は、溶解性を維持し、そしてさらに活性ペプチドの分解が減少されたか、又は回避された。本発明のブロメラインタンパク質又はその断片は、宿主生物に対して著しい毒性を示さなかった。発現宿主として、酵母、例えばピキア・パストリスを使用することの別の利点は、増殖実験のダウンスケーリングを行える可能性にあり、すなわち、フラスコの代わりに例えば96穴のマイクロタイタープレートを使用することによって行える可能性にある。これは、カゼインを分解する能力のような特性における試験に関してハイスループットを保証する。システインプロテアーゼ活性を発揮することによってカゼインを分解する能力はまた、少なくとも一部においてブロメラインにおける医薬活性に相当するものを内在することを示す。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態に従って、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片は、ブロメラインタンパク質又はその断片の精製を可能とする手段を有する。かかる技術は、当業者に周知であり、そして例えば、可逆的にカラム物質のマトリックスと結合し得るブロメラインタンパク質、又は特定のアミノ酸配列を有するその断片の融合タンパク質を産生かつ発現することによって行われ得る。アミノ酸配列は、例えば、精製されるべきペプチドのN末端又はC末端と結合されたポリヒスチジンタグ配列であり得る。タンパク質発現の後、タグが親和性物質と結合し、そしてイミダゾール勾配を用いることにより放出され、それにより他のタンパク質及び断片から、融合タンパク質又は融合ペプチドを分離する。必要ならば、タグは除去され得る。かかる技術は当業者に周知である。任意の種類のタグが、本発明において使用され得ることが理解されるだろう。
【0040】
ブロメラインタンパク質又はその断片のN末端部位におけるタグの結合は、当該場合において、プロペプチドのみならずタグ配列も酸性化後により除去されるため、特に利点を有することが、本発明の発明者によって見出された。これは、任意の他の手段による、例えばエンドプロテアーゼによるタグの除去を回避する可能性を提供する。
【0041】
好ましい実施形態に従って、医薬組成物、皮膚適用組成物、又は栄養組成物中における、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片の含有が想定される。
【0042】
別の実施形態に従って、本発明の組成物は、経口に好適な任意の方法で製剤化される。栄養組成物は、経口前に直接調製され得るか、又は代わりに製造工程中において調製され得る。しかし、直接使用可能な形態である栄養組成物が好ましい。活性成分は、経口による消費のために許容可能な賦形剤及び/又は担体中に含有される。表現「栄養学的に又は医薬として許容される担体」は、活性成分をその作用部位へと送達し、そしてヒト又は動物受容者に対して著しく害を引き起こさないであろう、栄養学的又は薬学的使用のいずれかのためのビヒクルのことである。しかし、担体の実際の形態は重要ではない。
【0043】
担体の全体量は、好ましくは当該製剤に対して、約10〜約99.9重量%の範囲であり、より好ましくは約50〜約90重量%、そしてさらにより好ましくは約70〜約85重量%の範囲である。
【0044】
医薬として許容される担体、又は医薬は、液体、ゲル、ゲルキャップ、カプセル、粉末、固体錠剤(被覆又は非被覆)、乾燥経口サプリメント(dried oral supplement)、湿性経口サプリメント(wet oral supplement)、乾燥経管栄養製剤(dry tube−feeding)、又は湿性経管栄養製剤(wet tube−feeding)などであり得る。担体は、好ましくは錠剤又はカプセルの形態であり、そして最も好ましくは硬ゼラチンカプセルの形態である。好適な賦形剤及び/又は担体は、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、ショ糖、植物ゴム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチなど(それらの混合物を含む)を含む。
【0045】
好ましい担体は、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキスオリン、及びそれらの混合物を含む。種々の成分並びに賦形剤及び/又は担体は混合され、そして従来技術を使用して所望の形態へと形成される。本発明の錠剤又はカプセルは、pH約6.0〜8.0で、好ましくはpH約6.0〜7.0で溶解する腸溶性コーティングを用いて被覆され得る。胃ではなく小腸中で溶解する腸溶性コーティングは酢酸フタル酸セルロースである。製剤及び投与のための技術における詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,Pa.)の最新版において見られる。
【0046】
本発明における使用のための他の好適な医薬として許容される担体は、限定されないが、水、鉱油、エチレングリコール、プロピレングリコール、ラノリン、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アセトン、グリセロール、ホスファチジルコリン、コール酸ナトリウム、又はエタノールを含む。
【0047】
本発明の組成物はまた、限定されないが、オキシエチレン化モノステアリン酸ソルビタン(oxyethylenated sorbitan monostearate)、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール若しくはセチルアルコール、又は脂肪アルコール及びポリオールのエステル、例えばステアリン酸グリセリルを含む、少なくとも一つの共乳化剤を含み得る。
【0048】
好ましくは、本発明の医薬組成物は安定化される。一般的に、本発明に従って使用され得る安定化の方法論及び技術は、例えば化学剤の添加、方法論に基づく温度調節;方法論に基づく放射、又はその組み合わせを含む、当技術分野において既知の化学材料又は生物材料の安定化のための任意の及び全ての方法を含む。本発明に従って使用され得る化学剤は、特に保存剤;酸;塩基;塩;抗酸化剤;粘度改質剤;乳化剤;ゲル化剤;及びそれらの混合物を含む。
【0049】
多くの種類の乳化剤が使用され得、その結果、本発明の組成物に有利な効果を提供し、そして各々のタイプ又はクラスの乳化剤と関連する特定のレベルの使用が速やかに決定され得る。一般的に、選択された乳化剤又は乳化剤系は、塩基が水性培地中に分散されるとき、安定分散における栄養組成物の異なる成分を維持することができるはずである。塩基が水中において分散される大部分の場合において、乳化剤は安定な水中油型エマルションを形成できるはずである。特に乳化剤は、好ましくは:nが1〜5の範囲であるステアリル−n−乳酸(stearyl−n−lactylic acid)、並びにそれらのナトリウム、カリウム、及びカルシウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のコハク酸化モノ−及びジグリセリド、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のモノ−及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、3個〜10個のグリセロール単位の範囲内であり、かつ一分子あたり1個〜10個の脂肪酸の範囲にある食用C12〜C24脂肪酸のポリグリセロールエステル、食用C12〜C24脂肪酸のポリオキシエチレンン(20)ソルビタンモノ−、ジ−、及びトリエスエル、食用C12〜C24脂肪酸のエトキシ化モノ−及びジグリセリド、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のモノ−及びジグリセリドのクエン酸エステル、並びにそれらのナトリウム及びカリウム塩、食用C12〜C24脂肪酸のプロピレングリコールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸のグリセロールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸の乳酸化プロピレングリコール及びグリセロールモノ−及びジエステル、食用C12〜C24脂肪酸のアセチル化プロピレングリコール及びグリセロールモノ−及びジエステル、モノステアリン酸ソルビタン、レシチン、食用C12〜C24脂肪酸のスクロースエステル、食用C12〜C24脂肪酸のリン酸化モノ−及びジグリセリド、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、乳化剤は陰イオン性であり、そしてナトリウムステアリル−2−ラクチレート、食用C12〜C24脂肪酸のコハク酸化モノ−及びジグリセリド、酸又は塩基形態の、C12〜C24脂肪酸エステルのモノ−及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
他の実施形態において、サプリメントは、食品又は飲料へ、消費者によって添加されるために好適な粉末又は液体として提供される。例えば、幾つかの実施形態において、食事におけるサプリメントは、例えば、飲料中へと混合することによって、又は使用されるために、半固形食、例えばプディング、トッピング、ピューレ、調理済みシリアル、又はサラダドレッシングへと攪拌することによって、又は代わりに食物へ添加することによって、粉末形態で個人へと投与され得る。
【0051】
本発明は、活性成分として5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含む、栄養組成物又はサプリメント(例えば、エネルギーバー、食事代替バー、または飲料)を提供する。栄養サプリメントは、食事又はスナック代替物として提供され得、そして一般的に栄養カロリーを提供する。好ましくは、栄養サプリメントは、炭水化物、タンパク質、及び脂質をバランスの取れた量で提供する。栄養サプリメントは、炭水化物、単糖、中程度の鎖長の糖、若しくは好適な多糖、又はそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0052】
糖類が添加され得る。分解、又は化学的/酵素的変換のいずれかによってフルクトースを形成する糖類は、限定された適用のみを有し、そして特定の指示の場合においてのみ組み合され得ることは明らかなはずである。しかし、単糖が所望の感覚刺激性特性のために選択され得る。未調理のコーンスターチは、複合糖質の一例である。加熱は、複合糖質を単糖又は二糖である単純炭水化物へと分解するため、その高い分子量構造を維持することが所望であるならば、それは調理されていない又は加熱処理されていない食料製剤又はその一部のみにおいて含まれるべきである。栄養サプリメントは、鎖長における3つのレベルの炭水化物源(単一、中程度、及び複合体;例えば、ショ糖、マルトデキストリン、及び未調理のコーンスターチ)の組み合わせを含み得る。
【0053】
本発明の栄養サプリメントへと組み込まれるべきタンパク質源は、栄養製剤において利用される任意の好適なタンパク質であり得、そしてホエータンパク質、ホエータンパク質濃縮物、ホエー粉末、卵、大豆粉、豆乳、大豆タンパク、大豆タンパク単離物、カゼイン塩(例えば、カゼイン塩ナトリウム、カゼイン塩ナトリウムカルシウム、カゼイン塩カルシウム、カゼイン塩カリウム)、動物性及び植物性タンパク質、並びにそれらの混合物を含み得る。タンパク質源を選択するとき、カゼイン塩、ホエー、ラクトアルブミン、卵アルブミン及び全卵タンパク質において見出される最も高い生物価を有するように、タンパク質の生物価が第一に考慮されるべきである。好ましい実施形態において、タンパク質は、ホエータンパク質濃縮物及びカゼイン塩カルシウムの組み合わせである。これらのタンパク質は高い生物価を有し;すなわち、それらは高比率の必須アミノ酸を有する。Modern Nutrition in Health and Disease,第8版,Lea&Febiger,publishers,1986、特にVolume 1、30〜32ページを参照。ホエータンパク質の例は、ホエーの濃縮及び乾燥により得られるホエー粉末、限外ろ過(UF)の後、乾燥することにより、ホエーを濃縮することにより得られるホエータンパク質濃縮物(WPC)、脂肪をホエーから除去し、その後UF濃縮することにより得られる、(低脂肪かつ高タンパク質含量である)脱脂WPC、ホエーからタンパク質のみを選択的に単離することにより得られるWPI、ナノろ過濃縮により得られる、脱塩されたホエー、及びホエー由来のミネラル成分が濃縮された、ミネラル濃縮ホエーを含む。
【0054】
栄養サプリメントはまた、他の成分、例えば一つの他のビタミン、若しくは他の複数のビタミンの組み合わせ、ミネラル、抗酸化剤、食物繊維、及び他の食物サプリメント(例えばタンパク質、アミノ酸、コリン、レシチン、オメガ−3脂肪酸)を含み得る。一つ又は幾つかのこれらの成分の選択は、製剤化、デザイン、消費者の嗜好及び最終消費者の問題である。本発明の食物サプリメントへ添加されるこれらの成分量は、当業者に周知である。添加され得るさらなるビタミン及びミネラルは、限定されないが、三塩基性のリン酸カルシウム又は酢酸カルシウム;二塩基性のリン酸カリウム;硫酸マグネシウム又は酸化マグネシウム;塩(塩化ナトリウム);塩化カリウム又は酢酸カリウム;アスコルビン酸;リン酸鉄(III);ナイアシンアミド;硫酸亜鉛又は酸化亜鉛;パントテン酸カルシウム;グルコン酸銅;リボフラビン;ベータ−カロテン;ピリドキシン塩酸塩;チアミン硝酸塩;葉酸;ビオチン;塩化クロム又はピコリン酸クロム;ヨウ化カリウム;セレン酸ナトリウム;モリブデン酸ナトリウム;フィロキノン;ビタミンD3;シアノコバラミン;亜セレン酸ナトリウム;硫酸銅;ビタミンA;ビタミンC;イノシトール;ヨウ化カリウムを含む。
【0055】
香味剤、着色剤、香辛料、ナッツなどは、製造物中に組み込まれ得る。香味剤は、風味付けされた抽出物、揮発性油、チョコレート風味付け剤、ピーナッツバター風味付け剤、クッキーのかけら、カリカリした米、バニラ又は任意の市販の香味剤の形態で存在し得る。有用な香味剤の例は、限定されないが、純粋なアニス抽出物、模倣バナナ抽出物、模倣チェリー抽出物、チョコレート抽出物、純粋レモン抽出物、純粋オレンジ抽出物、純粋ペパーミント抽出物、模倣パイナップル抽出物、模倣ラム抽出物、模倣イチゴ抽出物、若しくは純粋バニラ抽出物;又は揮発性油、例えば香油、ベイ油、ベルガモット油、セダー油、クルミ油、チェリー油、桂皮油、丁子油又はペパーミント油;ピーナッツバター、チョコレート風味付け剤バニラクッキーのかけら、バタースコッチ又はタフィーを含む。一つの実施形態において、食物サプリメントは、ココア又はチョコレートを含む。
【0056】
乳化剤は、最終製造物の安定性のために添加され得る。好適な乳化剤の例は、限定されないが、レシチン(例えば、卵若しくは大豆由来)、及び/又はモノ−及びジ−グリセリドを含む。他の乳化剤は、当業者にとって明らかであり、そして好適な乳化剤(単数又は複数)の選択は、一部において、製剤設計及び最終製造物に依存するだろう。保存剤はまた、製造物の貯蔵期限を延長するために栄養サプリメントへと添加され得る。好ましくは、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、又はEDTAカルシウム二ナトリウムが使用される。
【0057】
栄養サプリメントは、当業者及び個々の適用に依存して、天然又は人工の(好ましくは低カロリーの)甘味料、例えば、特定のサッカリド、チクロ、アスパルタミン(aspartamine)、アスパルテーム、アセサルフェームK、及び/又はソルビトールを含み得る。かかる人工甘味料は、栄養サプリメントが過体重若しくは肥満の個体により、又は高血糖傾向にあるII型糖尿病の個体により消費されることが意図されている場合において所望であり得る。
【0058】
栄養組成物は、食物サプリメントにより食物へと添加されるカロリー数を制限することが所望である場合に特に、一つ以上の不活性成分を含み得る。例えば、本発明の食物サプリメントはまた、例えばハーブ、ビタミン、ミネラル、賦活薬、着色剤、甘味剤、香味剤、不活性成分などを含む、任意の成分を含み得る。例えば、本発明の栄養組成物は、一つ以上の、以下のものを含み得る:アスコルベート(asorbate)(アスコルビン酸、アスコルビン酸無機塩、ローズヒップ、アセロラなど)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、Fo−Ti又はHo Shu Wu (伝統的なアジアの治療法において一般的なハーブ)、キャッツクロー(古くからのハーブ成分)、緑茶(ポリフェノール)、イノシトール、ケルプ、ダルス、ビオフラビノイド(bioflavinoid)、マルトデキストリン、イラクサ、ナイアシン、ナイアシンアミド、ローズマリー、セレン、シリカ(二酸化ケイ素、シリカゲル、ツクシ(horsetail)、トクサなど)、スピルリナ、亜鉛など。かかる任意成分は、天然由来形態か又は濃縮形態のいずれかであり得る。
【0059】
栄養サプリメントは、種々の形態で、及び種々の製造方法によって提供され得る。好ましい実施形態において、食物バーを製造するために、液体成分が調理され;乾燥成分をミキサー中に液体成分と共に添加し、そして生地の段階に達するまで混合し;生地を押出機中に置き、そして押出しを行い;押出された生地を好適な長さに切断し;そして当該製造物を冷却する。当該バーは、味を向上させるために、本明細書において特に言及された成分に加えて、他の栄養物及び充填剤を含有し得る。本発明は、5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含むさらなる食品生産物、調理済み食品生産物、又は食材を提供する。例えば、幾つかの実施形態において、5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼを含む飲料及び固体又は半固体食物が提供される。これらの形態は、限定されないが、飲料(例えば、ソフトドリンク、牛乳及び他の乳製品飲料、及びダイエット飲料)、焼き菓子、プディング、乳製品、砂糖菓子、スナックフード、又は冷凍菓子、又はノベルティ(例えばアイスクリーム、ミルクセーキ)、調理済み冷凍食品、キャンディ、スナック産品(例えばチップス)、スープ、スプレッド、ソース、サラダドレッシング、調理済み肉製品、チーズ、ヨーグルト、チョコレート、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を基とした発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を基とした製品、牛乳を基とした粉末、特殊調製粉乳、又はペットフード、及び任意の他の脂肪又は油含有食品、及び食品成分(例えば小麦粉)を含み得る。
【0060】
本発明の多くの形態において、製造物へ所望の感覚刺激特性又は栄養特性を付与するための任意の成分を添加することが必要であり、又は所望である。かかる薬剤は、当業者に周知であり、そしてビタミン、ミネラル、香味剤、甘味剤(例えばショ糖又は他の糖類)、着色剤、塩、pH調節剤、バッファー、安定化剤、必須アミノ酸、凝固防止剤、消泡剤、及びその混合物からなる群から選択されるものを含み得る。再度、これらの任意成分は、最終産物に所望の特性を形成するために必要とされるような少量で使用され得る。
【0061】
本発明の栄養組成物は、さらに食物繊維を含み得る。食物繊維は、水溶性食物繊維又は非水溶性食物繊維のいずれかであり得る。水溶性食物繊維の例は、難消化性デキストリン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸の加水分解物、グアーガム、酵素性分解により得られるグアーガム産物、及びガラクトマンナンを含む。難消化性デキストリンは、食物へ容易に添加され得、そして食品加工を妨げないため、所望である。非水溶性食物繊維は、結晶セルロース、大豆食物繊維、ふすまの繊維、トウモロコシ繊維、及びビート繊維を含む。
【0062】
個々の担体の製造における5−D−フルクトースデヒドロゲナーゼと組み合される使用において好適な他の化合物は、限定されないが、ビタミンA、及びレチノイン酸、レチニルアルデヒド、レチンA、レチニル・パルミテート、アダパレン、及びベータ−カロテンを含む誘導体;ビタミンB(パンテノール、プロビタミンB5、パンテニック酸(panthenic acid)、ビタミンB複合体因子);ビタミンC(アスコルビン酸及びその塩)及びその誘導体、例えばアスコルビン酸パルミチン酸エステル;カルシポトリエン(ビタミンD3類縁体)を含むビタミンD、その個々の構成成分であるアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−トコフェロール、及びトコトリエノール、並びにそれらの混合物を含むビタミンE、及びビタミンEパルミテート(palmitat)、ビタミンEリノレート(linolate)、及びビタミンEアセテートを含む、ビタミンE誘導体;ビタミンK及び誘導体;ビタミンQ(ユビキノン)及びその誘導体を含む、一つ以上のビタミン活性剤(actives)を含む。好ましくは、本発明の組成物は安定化される。一般的に、本発明に従って使用され得る安定化法及び技術は、当技術分野で既知の化学材料又は生物学的材料の安定化のための、任意かつ全ての方法を含み、例えば化学剤の添加、方法論に基づく温度調節;方法論に基づく放射、又はそれらの組み合わせを含む。本発明に従って使用され得る化学剤は特に、保存剤;酸;塩基;塩;抗酸化剤;粘度改質剤;乳化剤;ゲル化剤;及びそれらの混合物を含む。
【0063】
本発明の組成物はまた、粘度調整剤を、好ましくは組成物に対して約0.01重量%〜約10重量%の量で含み得る。粘度調整剤、例えばセチルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG−ステアレート(stearate)又はケルトロール(Keltrol)はまた、製剤の安定性を向上させるために使用され得る。安定性を向上させ得る増粘剤は、ゲル化剤、例えばセルロース及び誘導体、カルボポール(Carbopol)及び誘導体、イナゴマメ、カラギーナン(carregeenan)及び誘導体、キサンタンガム、スクレラン(sclerane)ガム、長鎖アルカノールアミド、ベントン(bentone)及び誘導体、カオリン(Kaolin)USP、ビーガム・ウルトラ(Veegum Ultra)、グリーンクレイ(Green Clay)、ベントナイト(Bentonite)NFBC、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム(Veegum@),グアーガム(例えばJaguarHP−120@)、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロース、架橋されたアクリル酸、並びにそれらの混合物を含む。当業者に既知であるが、増粘剤の正確な量は、所望である組成物の堅さ及び濃度に依存して変化し得る。
【0064】
栄養組成物及び医薬組成物は、意図された適用のために効果的である量で、及び処置されるべき対象へと投与される。この目的を達成するために、組成物及び他の成分の用量は、年齢、体重、及び対象の状態に依存して変化し得る。一般的に、活性成分は、害を及ぼす又は有害な副作用を何ら引き起こすことなく有効な結果を生じる濃度で好ましくは投与され、そして単一の単位用量又は所望であれば一日を通じて好適な回数で投与される好都合なサブユニットのいずれかで投与される。
【0065】
本発明の栄養組成物又は医薬組成物は、一日に複数回、例えば一日の必要量のために集計で2〜5回、一日一回、又は必要な期間において連続的に投与され得る。
【0066】
医薬組成物は、例えば、粉末形態における活性化合物が好適な造粒機中で提供され、その後溶融物質を用いて湿らされ又は噴霧される湿式造粒法工程により調製され得る。適用されるせん断力により、粉末の激しい混合がもたらされ、そして結合剤液の添加と共に、高密度顆粒の速やかな形成をもたらす。造粒は、粉末混合物の流動性(flow)、及び錠剤の機械的特性を改善するために必要とされる。顆粒は通常、液体(結合剤溶液又は溶媒溶液)を添加することによって得られる。より多量の造粒液は、より狭い粒子サイズ範囲、そしてより粗くかつより堅い顆粒を産生し、すなわち微細な顆粒粒子の割合が減少する。所望の粒子サイズを得るために必要とされる液体の最適量は、バッチごとの変動を最少に維持するために知られるべきである。湿式造粒法は、固体剤形の流動性、圧縮率、バイオアベイラビリティ、均質性、静電特性、及び安定性を改善する。
【0067】
別の実施形態に従って、本発明の医薬組成物は固体剤形である。本発明の例示的な固体剤形は、錠剤、カプセル、サシェ、ロゼンジ、粉末、丸剤又は顆粒を含む。固体剤形は、例えば、即時放出剤形、早期溶解剤形、制御放出剤形、凍結乾燥された剤形、遅延放出剤形、持続放出剤形、脈動放出剤形、即時放出剤形と制御放出剤形との混合、又はそれらの組み合わせであり得る。固体用量錠剤製剤が好ましい。固体剤形は、好ましくは、活性化合物のバイオアベイラビリティの点において利点を提供する即時放出剤形である。
【0068】
即時放出剤形が選択される場合、外側部分を形成するときに使用されるべき放出制御剤(単数又は複数)の量は、種々のパラメータ、例えば送達されるべき活性成分又は基質の量、活性成分又は基質の所望の放出速度、及び微小マトリックス粒子サイズを含む、所望の送達特性に基づいて決定されるだろうことは、当業者に明らかであろう。
【0069】
即時放出剤形はまた、放出制御剤の加工を改善する材料を含み得る。かかる材料は、一般的に可塑剤と呼ばれる。好適な可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコレー、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、トリプロピノイン、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、キャスターオイル、クエン酸トリエチル、多価アルコール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(epoxidized tallate)、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、モノカプリル酸グリセリル、グリセロールジステアレート、及びモノカプリル酸グリセリルを含む。
【0070】
剤形は、以下の手順に従って製造され得る:コア粒子は、通常の技術に従って製造され得る。活性成分又は基質、及び一つ以上の放出制御剤が混合され、そしてロウ又はハイシアーミキサー(low or high shear mixer)中に溶媒を添加することによって、又は流動層造粒機(fluidized bed granulator)によって造粒される。顆粒は、例えば流動層乾燥機(fluidized bed dryer)中で乾燥される。乾燥された顆粒を仕分けする。微小マトリックス粒子の仕分けは、振動造粒機(oscillating granulator)、粉砕機(comminuting mill)、又は任意の他の従来法を使用することにより行われる。仕分けのために使用されるふるいは、0.25mm〜5mmの穴を有し得る。代わりに、コア粒子は、成形、球形化、溶融造粒、又はローラー圧縮により製造され得る。コア粒子は、一つ以上の放出制御剤によって、噴霧適用を含む任意の方法により被覆され得る。噴霧は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工(Wurster coating))を使用して、又はパン・コーティング・システム(pan coating system)において行われ得る。代わりに、一つ以上の速度調節剤を用いたコア粒子の被覆は、造粒機又は流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用する高温溶融工程によって、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。微小錠剤の圧縮は、通常の圧縮機(例えば、Manesty、Cadmach、又はKilian製の機械)で行われる。微小錠剤は、種々の大きさ及び形、例えば丸型、長円形、長方形、カプセル形、三角形、四角形などで製造され得る。微小錠剤の好ましい形は、丸形、両凸形であり、そして微小錠剤の好ましい直径は、1.5mm〜9.5mmである。
【0071】
微小錠剤は、噴霧適用を含む任意の既知の方法によって、一つ以上の放出制御剤の溶液により被覆され得る。噴霧は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用して、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。
【0072】
代わりに、一つ以上の速度調節剤を用いた微小錠剤の被覆は、流動層塗工機(好ましくはウースター被覆加工)を使用して、又はパン・コーティング・システムにおいてなされ得る。微小錠剤は、手動操作型の、半自動式の、又は自動式のカプセル封入機を使用してケース中に封入され得る。
【0073】
本発明の組成物はまた、本発明のタンパク質又はその断片のバイオアベリラビリティを改善するために、特定の剤形で存在し得る。用語、バイオアベイラビリティは、活性成分又は活性部分が薬剤から吸収されて、活性部位において利用可能となる率及び程度のことである。経口摂取される薬剤のバイオアベイラビリティは、当該分子の性質、その安定性、及び例えば結腸疾患又は腸切除の結果として腸の表面領域が減少している患者へ投与される製剤、並びに薬剤が食事と共に摂取されるか否か、を含む要因によって決定される。バイオアベイラビリティに影響を与える因子は、限定されないが、消化管からの乏しい吸収、肝臓の初回通過効果及び循環系に達する前における薬剤の分解を含み得る。
【0074】
本発明のタンパク質又はその断片の異なる粒子サイズ画分が使用され得る。好ましい粒子サイズのd90は、100μm未満、より好ましくは50μm未満、最も好ましくは10μm未満である。
【0075】
別の実施形態に従って、本発明の医薬組成物は、所望の剤形に依存して、ブロメラインタンパク質又はその断片に加えて、一つ以上の希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、流動促進剤、香味剤、着色剤、及び他の賦形剤を含み得る。
【0076】
好適な希釈剤は、医薬として許容される充填剤、例えばラクトース、微結晶セルロース、第二りん酸カルシウム、サッカリド及び/又はそれらの混合物を含む。希釈剤の例は、微結晶セルロース、例えばアビセル(Avicel)PH101(登録商標)及びアビセル(登録商標)PH102;ラクトース、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、及びファルマトース(Pharmatose)(登録商標)DCL21;第二リン酸カルシウム、例えばエンコンプレス(Emcompress)(登録商標);マンニトール、デンプン、ソルビトール、ショ糖及びグルコースを含む。微結晶セルロース及びラクトースが最も好ましい。
【0077】
結合剤は、好ましくは、ポリビニルピリドン、デンプングレード(starch grade)(ゼラチン化前の又は単純なもの)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、並びにそれらの塩及びゼラチンから選択され、そしてHPMCが最も好ましい。好適な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、メイズスターチ、及び修飾されたスターチカルシウムシリケート(starche calcium silicate)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどを含む。クロスカルメロースナトリウムが最も好ましい。
【0078】
滑剤は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖エステル又は脂肪酸、ポリエチレングリコール、ステアリン酸などからなる群から選択される。
【0079】
甘味剤は、好ましくは、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、タウマチンなどからなる群から選択される。
【0080】
流動促進剤は、好ましくは、二酸化ケイ素、タルク、及びケイ酸アルミニウムからなる群から選択される。
【0081】
香味剤、着色剤、又は乳白剤及び顔料として、当業者に既知の任意の好適な化合物が使用され得る。
【0082】
本発明者は、ブロメラインにおける好ましい効果がまた、特定のタンパク質又はその断片に付与され得ることを見出した。組み換え技術の特有の利点のために、本発明のタンパク質及び断片は、より高純度で得られ、特に他のタンパク質又はタンパク質断片の存在を回避することができ、副作用の減少をもたらし得る。本発明のブロメラインタンパク質又はその断片が、水溶液中でさえ長期間に渡るより高い貯蔵安定性を有することも見出された。ブロメラインタンパク質又はその断片からの好ましい効果は、浮腫の減少、溶血性、線維素溶解性、抗炎症性、抗転移性、及び腫瘍阻害性特性を含む。さらに、免疫系における刺激効果、例えば創傷治癒の加速化が期待され得る。
【0083】
したがって、本発明の別の好ましい実施形態は、癌、アテローム性動脈硬化、細菌感染、炎症、血栓症及び浮腫の予防及び/又は処置のための医薬の製造のための、ブロメラインタンパク質又はその断片の使用に関する。特にアナナインは、Harrach及びMaurer(1996)によって単離された、フラクションF9中で発見され、そしてそれがERK−2の活性化の阻害において有効であることが既に証明されているため、アナナインは、癌の予防及び/又は処置のために、並びに転移形成の阻害のために使用され得る。
【0084】
本発明は、以下の実施例によって、それに限定されることなく説明される。
【実施例】
【0085】
他で言及されない限り、組み換えDNA技術は、Maniatis他;Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.,(1989)に従って行われた。精製水は、PURELAB ultra(ELGA)を使用することにより得られた。
【0086】
RNAの単離
RNAのみならず、DNA及びタンパク質を、Qiazolキット(Invitrogen)を使用して、製造業者の使用説明書に従って単離した:最大で1mlのQiazolを、50〜100mgの生重量である植物材料と共に混合した。多糖を除去するために、当該混合物を10分間、12.000xg、室温で遠心分離した。上清を5分間30℃にてインキュベートした。Qiazolの1mlあたり、0.2mlの量でクロロホルムを添加した。当該溶液を15秒間かけて十分に混合した。当該混合物を30℃でインキュベートした。その後、当該混合物を15分間、4℃にて、2.000xgで遠心分離した。RNAを含有する上層を除去し、そしてQiazolの1mlあたり、0.5mlのイソプロパノールと混合した。当該混合物を10分間、4℃にて、12.000xgで遠心分離し、そして上清を除去した。RNAのペレットを、Qiazolの1mlあたり、1mlの75%エタノール(DEPC−水を用いて作製されたもの)を用いて洗浄し、十分に混合し、そして7500xg、5分間、4℃にて遠心分離した。上清の除去後、当該ペレットをRNaseフリーの水中で再度懸濁した。
【0087】
パイナップル幹からの、DNA及びタンパク質の存在しない、より多量のRNAを、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)をその後にさらに使用することで得た。
【0088】
ゲノムcDNAライブラリーの製造
ゲノムcDNAライブラリーの製造のために、SMART IV(商標)cDNA Library Construction Kit(Clontech)を使用した。第一及び第二の鎖の合成、プロテイナーゼKを用いた消化、SfiIを用いた消化、cDNAのサイズ排除による分別、SfiIにより切断された脱リン酸化されたpDNR−LIBベクター中における、SfiIにより切断されたcDNAのライゲーション、及び得られた挿入物含有ベクターの形質転換を、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0089】
縮重プライマーを用いたPCR産物の製造
縮重プライマー配列は、プログラム「Codehop」(http://bioinformatics.weizmann.ac.il/blocks/codehop.html)、及びA.comosusと類似のGC含量を有し、かつイネ目と同一目に属する、コメであるオリザ・サティバ(Oryza sativa)からのコドン使用頻度を使用して発生させた。下線を引いた配列は、幹ブロメラインstb1(Acnr1:P14518)、アナナインan1(Acnr1:CAA05487)、果実ブロメラインfb1(Acnr1:D14059)、stb2(Acnr1:AC09829)及びstb3(Acnr1:AC09830)であった。表2は、PCR(濃度100pmol/μl)において使用されるプライマーを示す。
【0090】
コロニーPCRのためのPCR反応は、94℃で5分間の単一ステップ、及び各々94℃で1分間+54℃で1分間+72℃で1分間の30回サイクル、その後72℃で7分間の反応、並びに4℃にての貯蔵を含んだ。
【0091】
クローニング目的のための、配列増幅のためのPCR反応は、98℃で5分間の単一ステップ、及び各々98℃で8秒間+59℃で20秒間+72℃で25秒間の25回サイクル、その後72℃で5分間の反応、並びに4℃にての貯蔵を含んだ。
【0092】
PCR反応を、フュージョン(Phusion)(商標)ポリメラーゼを用いて、高い忠実度のためにHFバッファー中で、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0093】
【表1】
【0094】
鋳型として、cDNA断片を含有するpDNR−LIBを使用した。増幅された配列を、TOPO TA Cloning(登録商標)キット(Invitrogen)によって、製造業者によって指示されたとおりにpCRIIにサブクローニングした。
【0095】
コロニーPCRを、taq−ポリメラーゼ(Fermentas)を使用して行った。したがって、全成分をピペットで取り、そして細胞材料を反応液へ添加した。
【0096】
【表2】
【0097】
マスターサイクラー・グラジエント(Mastercycler Gradient)(Eppendorf,Germany)中、滅菌性PCR反応容器(Eppendorf,Hamburg,Germany)を用いて全て行われたPCR反応液を、従来のSDSアガロースゲルを用いて分離し、切り取り、そしてシーケンシングのために、NucleoSpin(登録商標)Plasmid−DNAキット(Macherey&Nagel,Duren,Germany)又はMicrospinカラム(Amersham Pharmacia)を用いて精製した。当該産物を、pTOPO−PCRII(Invitrogen)中でクローニングした。ゲル電気泳動を、SUB−CELL(登録商標)GT又はMINI−SUB−CELL(登録商標)GT(いずれもBiorad)を使用するMighty Small SE250/SE260(Hoefer)を用いて行った。遠心分離機として、Avanti JE cooling centrifuge(Beckmann Coulter)、Biofuge pico、又はBiofuge fresco(いずれもHeraeus)を使用した。
【0098】
シーケンシング
ブロメラインタンパク質は、一般的に相互間で95%以上の高い相同性を示すため、既に知られているブロメラインタンパク質(図1を参照)に関して、この基準を満たす配列は、さらなる評価のために使用された。DNAシーケンシングを、キャピラリー・シーケンサー(MWG)を用いて、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0099】
クローニング/増殖条件
2つの幹ブロメライン配列(図6a及び6b)、アナナイン(図6b)、及び果実ブロメライン(図6c)を、図7においてstb3(Acnr1:AC09830)に関して示されるWcoRI及びNotI制限部位を使用して、pPIC9又はpPICZA(両方ともInvitrogen)中に、インフレームでクローニングした。クローニングを、Gene pulser/Pulse Controller(いずれもBiorad)を用いて、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0100】
この観点において、EasySelect(商標) PichiaExpressionキットに従って行われたタンパク質発現は、幾つかの修飾が適用されたいかなるクローンも生じないことが明らかとなった。BglIIによる直線化は、多量のDNAの場合においてより好適である高濃度の塩バッファーを許容するため、EcoRI及びNotIの適用前に、SacIの代わりにBglIIを用いてベクターを直線化した。当該細胞が、250μlの増殖培地、及び選択のための抗生物質を使用して、標準的な96穴マイクロタイタープレート中で増殖され得、そしてそれにより活性クローンの高密度スクリーニングが可能となることがさらに見出された。誘導は約4(4±0.2)のOD600で行われ、そしてそれは全てのウェルに関して60時間後に得られた。この目的のために、グリセリンは完全に消費され、そして全ウェルは、本質的に同一の光学密度4を示した。第一の誘導のために、2×メタノール濃度で、250μlの最少培地を使用したが、一方でその後の誘導を全12時間で、10×メタノール濃度で、50μlの最少培地を用いて行った。
【0101】
対照として、Glieder,TU Grazにより快く得られたpPICZ/gfpを使用した。前記プラスミドは、gfp(Shimomura O.et al.,J.Cell.Comp.Physiol.,59(1962),223−239;Shimomura O.,J.Microsc,217(2005),1−15)を含み、そしてそれは同一の制限部位、並びに増殖及び誘導のための同一の条件を使用する。
【0102】
STB3と同一の方法で得られる、ピキア・パストリスの発現培養であるAn1(Acnr1:CAA05487)からの100μlの上清を、標準的条件を使用してSDS−PAGEに供した(図2を参照)。
【0103】
プロテアーゼ活性のアッセイ
BMM最少培地又はBMMY完全培地におけるピキア・パストリス発現培養の100μl上清を、プロ酵素を切断するために、バッファー(pH4)を用いて希釈した。溶液をその後30分間、55℃でインキュベートし、そしてカゼインを添加し、最終濃度1%とした。標準的なマイクロタイタープレートリーダーを使用して、OD600を、室温で1時間後に決定した(図4を参照)。
【0104】
アルファ因子、プロペプチド、及びアナナイン(An1)を有するが、C末端にシステインプロテアーゼ配列を有さない、pPICZAを含むP.パストリスは、最も優れた結果を示した。Unitron HT振盪インキュベーター(Infors)を使用して、3つ又は4つのバッフルで装着された振盪フラスコ中において、230rpm及び28℃で、48時間までかけて増殖された1リットルのBMM培地(pH6)中で、12mg/lの活性AN1を得た(基質としてカゼイン)。プロアナナインは、4℃で7日の貯蔵後において、基質としてのカゼインに対して90%の初期活性を示した。
【0105】
ブロメラインタンパク質のMaldi−Tof分析
上清からの試料を、培養から3日後に採取し、そして4800 TOF/TOFマス・アナライザー(Applied Biosystems)を使用するMaldi−Tof分析に供する前にZip−Tips(Millipore)を用いて精製した。
【0106】
分泌シグナルの正確な方法による切断が生じた。P.パストリス中で発現したタンパク質は、Glykomodツールで実証されたように、グリコシル化を示した(www.ExPASy.ch;結果は示されていない)。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
参考文献
1.Cregg,J.M.,J.L.Cereghino,J.Shi,and D.R.Higgins.2000.Recombinant protein expression in Pichia pastoris.Mol.Biotechnol.16:23−52.
2.Cregg,J.M.,T.S.Vedvick,and W.C.Raschke.1993.Recent advances in the expression of foreign genes in Pichia pastoris.Biotechnology(N.Y.)11:905−910.
3.Thompson,J.D.,D.G.Higgins,and T.J.Gibson.1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position−specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673−4680.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片であって、可溶形態で、相当量異種発現されている、前記ブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項2】
前記ブロメラインタンパク質又はその断片のC末端プロペプチドをコードするDNA配列が除去されている、請求項1に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項3】
アナナス(Ananas)属によってもたらされるものとは異なる翻訳後修飾を有する、請求項1又は2に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項4】
ブロメラインタンパク質又はその断片と、少なくとも99%の配列相同性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項5】
前記ブロメラインタンパク質が、配列番号1〜4のいずれかの配列を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項6】
前記断片が少なくとも50個のアミノ酸を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項7】
前記翻訳後修飾が、異なるグリコシル化パターンをもたらす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項8】
前記翻訳後修飾が、酵母、昆虫細胞及び植物細胞からなる群の下で選択された宿主生物によってもたらされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項9】
精製を可能とする手段を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片を含む、医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項11】
前記異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が、組成物の全重量に基づいて、0.05〜5重量%の範囲内の量に含まれる、請求項10に記載の医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項12】
前記栄養組成物が、チョコレート、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を基とした発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を基とした製品、牛乳を基とした粉末、特殊調製粉乳、若しくはペットフードからなる群から選択され、並びに/又は前記皮膚適用組成物が、ローション、シャンプー、クリーム、日焼け防止剤、アフター・サン・クリーム、若しくは老化防止クリーム、及び/又は軟膏から選択され;並びに/又は前記医薬組成物が、錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント(dried oral supplement)、湿性経口サプリメント(wet oral supplement)、乾燥経管栄養製剤(dry tube−feeding)、若しくは湿性経管栄養製剤(wet tube−feeding)から選択される、請求項10又は11に記載の医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項13】
希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、流動促進剤、香味剤、及び着色剤からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌、アテローム性動脈硬化、細菌感染、炎症、血栓症及び浮腫の処置及び/又は予防のための医薬組成物の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片の使用。
【請求項1】
異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片であって、可溶形態で、相当量異種発現されている、前記ブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項2】
前記ブロメラインタンパク質又はその断片のC末端プロペプチドをコードするDNA配列が除去されている、請求項1に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項3】
アナナス(Ananas)属によってもたらされるものとは異なる翻訳後修飾を有する、請求項1又は2に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項4】
ブロメラインタンパク質又はその断片と、少なくとも99%の配列相同性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項5】
前記ブロメラインタンパク質が、配列番号1〜4のいずれかの配列を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項6】
前記断片が少なくとも50個のアミノ酸を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項7】
前記翻訳後修飾が、異なるグリコシル化パターンをもたらす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項8】
前記翻訳後修飾が、酵母、昆虫細胞及び植物細胞からなる群の下で選択された宿主生物によってもたらされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項9】
精製を可能とする手段を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の、異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片を含む、医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項11】
前記異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片が、組成物の全重量に基づいて、0.05〜5重量%の範囲内の量に含まれる、請求項10に記載の医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項12】
前記栄養組成物が、チョコレート、牛乳、ヨーグルト、カード、チーズ、発酵乳、牛乳を基とした発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を基とした製品、牛乳を基とした粉末、特殊調製粉乳、若しくはペットフードからなる群から選択され、並びに/又は前記皮膚適用組成物が、ローション、シャンプー、クリーム、日焼け防止剤、アフター・サン・クリーム、若しくは老化防止クリーム、及び/又は軟膏から選択され;並びに/又は前記医薬組成物が、錠剤、液体懸濁液、乾燥経口サプリメント(dried oral supplement)、湿性経口サプリメント(wet oral supplement)、乾燥経管栄養製剤(dry tube−feeding)、若しくは湿性経管栄養製剤(wet tube−feeding)から選択される、請求項10又は11に記載の医薬組成物、皮膚適用組成物又は栄養組成物。
【請求項13】
希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、流動促進剤、香味剤、及び着色剤からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌、アテローム性動脈硬化、細菌感染、炎症、血栓症及び浮腫の処置及び/又は予防のための医薬組成物の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の異種発現されたブロメラインタンパク質又はその断片の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a−4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4a−4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−538622(P2010−538622A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524367(P2010−524367)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006564
【国際公開番号】WO2009/033536
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510069939)ウルサファルム アルツナイミッテル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006564
【国際公開番号】WO2009/033536
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510069939)ウルサファルム アルツナイミッテル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】
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