説明

選択透過性膜およびその製造のための方法

本発明は、例えば血液透析に好適な膜に関する。この膜は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の親水性ポリマーを含む。本発明によれば、中空繊維の外側表面は、0.5〜3μmの範囲の気孔を有し、外側表面中の前記気孔の数は、mm2 当たり10,000から150,000までの範囲にあり、好ましくはmm2 当たり18,000から100,000の範囲にあり、最も好ましくはmm2 当たり20,000から100,000の範囲にある。本発明はさらに、前記膜の製造方法、および前記膜の血液透析、血液透析ろ過、および血液濾過における使用、および例えば水の精製または脱水のような透析およびろ過一般における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、例えば血液透析に好適な選択透過性非対称形中空繊維膜、そのような膜を製造するための方法およびその使用に関する。本発明による膜は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の親水性ポリマーを含む。
【0002】
上記種類の膜は、それらが血液透析、血液濾過、および血液透析ろ過のような異なる種類の医療処置と組み合わせて用いられるとき特別な効果を提供する。しかしながら、それらはまた、例えば水の精製または脱水におけるような透析とろ過一般においても用いられ得る。
【0003】
発明の背景
上記種類の膜は、例えば、EP−A−0568045、EP−A−0168783、EP−B−0082433およびWO86/00028に詳細に記載されている。それら膜は、ポリマー合成材料から製造され、それらは、高い拡散透過性(クリアランス)を有する非対称構造を有し、少ないフラックスから大きなフラックスの範囲で限外ろ過に関して水のろ過能力を有する。EP−A−0305787において、3層構造膜および対応する性能を有するフィルターが開示されている。
【0004】
先行技術による膜は、性能に優れているが、しかし、いまだ改善と最適化のための余地を有している。改善可能な特性の領域は、繊維が取り扱い困難であること,それらが互いに粘着すること及び互いに接着することであり、このことは、透析装置の製造の間、特にポリウレタン(PUR)中に繊維を注封するとき問題を引き起こす。さらに、繊維の透過性はさらに改善可能である。すなわち、尿素の範囲で異なる分子量の物質についての拡散透過性(クリアランス)は改善されうるものであり、ならびに、かなりの程度まで,低いアルブミン透過性を有するが、β2 −M、D因子などのような中位の分子量範囲を有する物質について透過性が改善可能である。
【0005】
一方で低い分子量および中位の分子量を有する物質について高い透過性を達成することおよび他方でアルブミンについて低い透過性を有することは、透析膜に求められる要求事項の1つである。この特性は「選択性」と呼ばれる。先行技術の膜の選択性はなお改善の必要がある。
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、例えば血液透析に好適な、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の親水性ポリマーで構成される中空繊維膜を改善することである。この目的は、0.5から3μmまでの範囲のサイズの気孔(pore)を有し、mm2 当たり10,000から150,000までの範囲の、好ましくはmm2 当たり18,000から100,000までの範囲の、最も好ましくはmm2 当たり20,000から100,000までの範囲の数の前記気孔を有する外側表面を有する中空膜により達成される。
【0007】
本発明の更なる目的は、本発明による膜の製造のための方法を提供することである。
【0008】
この目的は、
a)前記少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび前記少なくとも1種の親水性ポリマーを、ポリマー溶液を作るために少なくとも1種の溶媒に溶解し、
b)前記作られたポリマー溶液を、2つの同心の開口を有するノズルの外側リングスリットを通して押し出し、
c)中心流体(center fluid)をノズルの内側開口を通して押し出し、その後
d)前記膜を洗浄し、好ましくは乾燥する
工程を含む溶媒相反転紡糸(solvent phase inversion spinning)プロセスにより達成される。本発明によると、外側スリット開口を通って出てくるポリマー溶液を、凝結する(precipitating)繊維の外側において、水分含量に対して0.5〜10重量%の含有量で溶媒を含む水蒸気/空気混合物に曝す。
【0009】
本発明のさらにもう1つの目的は、血液透析、血液透析ろ過、血液濾過における、および例えば水の精製または脱水のための透析とろ過一般における本発明による膜の使用を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的、特徴、利点および好ましい態様は、個々に添付する走査電子顕微鏡写真および特許請求の範囲とともに考慮されるとき、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0011】
本発明の好ましい態様がこれからより詳細に記載され、添付の図面に対して参照がなされる。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、中空繊維膜の独特の外側表面を有する膜により先行技術の膜の欠点を改善するものである。
【0013】
外側の層は、規定された表面粗さを有する均質な開口気孔構造により特徴付けられる。気孔の開口は、0.5〜3μmの範囲のサイズであり、さらに、外側表面上の前記気孔の数は、mm2 当たり10,000から150,000までの範囲にあり、好ましくはmm2 当たり18,000から100,000までの範囲にあり、最も好ましくはmm2 当たり20,000から100,000までの範囲にある。添付する走査電子顕微鏡写真において、本発明による中空繊維の外側表面の電子顕微鏡写真を見ることができ(図1および図2)、そこでは、外側表面の気孔を明らかに見ることができる。図3においても、中空繊維の外側表面を見ることができるが、それは、本発明によるものではない。
【0014】
本発明によるもののような外側表面は多くの利点を提供する。
【0015】
1つの利点は、本発明が粘着性がなく、容易に取り扱える中空繊維膜を提供するということである。このことは、製造プロセスの間の繊維のクラックと穴の発生を少なくし、それにより製造プロセスでのスクラップを少なくする。
【0016】
もう1つの利点は、中空繊維は、束中で近接する中空繊維に接着する傾向が少ないことであり、このことは、表面上の多数の前記気孔によるものである。したがって、中空繊維が互いに接着する傾向が少ないとき、使用の間中空繊維を取り囲む透析液は中空繊維へのアクセスが向上し、中空繊維の注封中には、注封材料、通常PURは、また、個々の中空繊維へのアクセスが高まり、各中空繊維のまわりに適切でより信頼性のある注封を提供する。
【0017】
さらにもう1つの利点は、多数の前記気孔は、注封中に、膜の外側部分を通して膜構造中に浸透するようにポリウレタン(PUR)対し高められたアクセスを与えるということである。PURの構造中への浸透は、膜の安定な固定とこれによる繊維の漏れのない注封を提供する。
【0018】
中空繊維の外側のこの特定の表面は、最初の1〜15μmのポリマー溶液層中に、内側からの凝結がこの層に到達する直前に、きわめて特異的な水蒸気/空気/溶媒雰囲気から水を浸透させることにより、中空繊維膜壁の外側部分においてのみ紡糸用ポリマー溶液組成物を修飾することにより達成される。浸透は、0.5秒未満で起こる。
【0019】
繊維がノズルを出たあと構築されるとき、繊維の周囲には、湿度、温度、水蒸気フラックスの体積、ポリマー溶液の規定された選択された組成、粘度、温度および中心流体のある組成及び条件のような決定された条件が必要である。この繊維の2つの側(内側および外側)から行われる繊維の凝結は、上記のような構造を達成することを可能とする。本発明の好ましい態様において、膜は、37℃で測定して15〜17×10-4cm/秒の尿素拡散透過性を有する独特のきわめて特異的な4層構造を有する。拡散透過性は、E.クライン、F.ホランド、A.ルブーフ、A.ドノー、J.K.スミス、「血液透析用中空繊維の輸送特性及び機械的特性」、Journal of Membrane Science 1(1976)371〜396、特に375〜379ページに従ってより測定された。図4において、走査電子顕微鏡写真は、この好ましい4層構造を示す。4層構造の内側層、すなわち、血液接触層および中空繊維膜の内側表面は、好ましい態様において1μm未満の厚さおよびナノスケール範囲の気孔サイズを有する緻密でやや薄い層の形態の分離層である。高い選択性を達成するために、実効気孔直径(responsible pore diameter)を有する気孔チャンネルは短い(<0.1μm)。気孔チャンネル直径は、サイズ変動が極めて低い。
【0020】
気孔サイズは、異なる範囲で作ることができ、例えば、低フラックス膜については5〜10nmの範囲であり、そして高フラックス膜については5ないし20nmの、好ましくは7から12の範囲である。この異なる気孔サイズは、例えば、全血の存在下で低フラックスについては約5,000ダルトンの、高フラックスについては約40,000ダルトンのカットオフを有する膜を作り出す。カットオフは、膜により拒絶される分子量として定義される。この規定された気孔構造は、ポリマーの組成、中心流体中の凝結媒体の組成と条件の選択により、および紡糸ノズルから出てくる繊維の周囲環境の条件と組成により達成される。
【0021】
中空繊維膜中の次の層は、スポンジ構造の形態を有し、本発明の好ましい態様において約1〜15μmの厚さを有し、前記第1層のための支持層として機能する第2層である。ついで、指構造(finger structure)の形態を有する第3層が存在する。それは、一方で枠のように機械的安定性を提供し、他方でそれは、大きなボイド体積のために、膜を通る分子の輸送について極めて小さな抵抗しか持たない。プロセスの間、ボイドは水で満たされ、その水は、より小さなボイド体積を有するスポンジが満たされた構造を有するマトリックスよりも拡散と対流についてより少ない抵抗をもたらす。したがって、第3の層は、膜に機械的安定性を与え、また本発明の好ましい態様において、20から60μmまでの厚さを有する。
【0022】
本発明のこの好ましい態様における第4の層は、上記による外側表面を有する外側層である。この第4の層は、好ましい態様において、約1から10μmまでの厚さを有する。
【0023】
繊維のクラックおよび漏れを回避することも具現するこの第4層設計は、β2 −ミクログロブリンおよびD因子からアルブミンを分離するためのように、サイズに関して近似する分子を分離するための高い潜在能力を意味する高い選択性をもたらす。
【0024】
本発明による膜の好ましい態様は、65〜95重量%の前記少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび5〜35重量%の前記少なくとも1種の親水性ポリマーからなる。
【0025】
前記少なくとも1種の疎水性ポリマーは、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリアラミド(PAA)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールスルホン(PASU)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテル、ポリウレタン(PUR)、ポリエーテルイミドおよび前記ポリマーのコポリマーからなる群より選択され、好ましくはポリエーテルスルホンまたはポリアリールエーテルスルホンおよびポリアミドの混合物である。
【0026】
前記少なくとも1種の親水性ポリマーは、好ましくは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコールモノエステル、水溶性セルロース誘導体、ポリソルベートおよびポリエチレン−ポリプロピレンオキシドコポリマーからなる群より選択され、好ましくはポリビニルピロリドンである。
【0027】
本発明による方法の好ましい態様において、湿潤水蒸気/空気混合物の温度は、少なくとも15℃、好ましくは少なくとも30℃、そして高くとも75℃、好ましくは高くとも60℃である。
【0028】
さらに、水蒸気/空気混合物の相対湿度は、60ないし100%である。
【0029】
本発明の好ましい態様において、水蒸気/空気混合物は、水分含有量に対して0.5ないし5重量%の含有量で溶媒を含む。
【0030】
本発明のさらにより好ましい態様において、水蒸気/空気混合物は、水分含有量に対して2ないし3重量%の含有量で溶媒を含む。
【0031】
温度の制御された水蒸気雰囲気における溶媒の効果は、繊維の凝結速度を制御することである。もし少ない溶媒が用いられるならば、外側表面はより緻密な表面となるであろうし、もし多くの溶媒が用いられるならば、外側表面はより開放した構造のものとなるであろう。凝結する膜を取り囲む温度制御された水蒸気雰囲気中の溶媒の量を制御することにより、膜の外側表面上の気孔の量とサイズが制御される、すなわち、気孔の開口のサイズは、0.5〜3μmの範囲にあり、前記気孔の数は、mm2 当たり10,000から150,000まで、好ましくはmm2 当たり18,000から100,000まで、および最も好ましくはmm2 当たり20,000から100,000までの範囲にある。
【0032】
本発明の方法において用いられるポリマー溶液は、好ましくは、10〜20重量%の少なくとも1種の疎水性ポリマー、3〜11重量%の少なくとも1種の親水性ポリマー、66〜86重量%の溶媒および1〜5重量%の適切な添加剤からなる。適切な添加剤には、例えば、1つの好ましい態様において、水、グリセロールおよび/または他のアルコールからなる群より選択される凝固流体が含まれる。
【0033】
本発明の方法において用いられる溶媒は、好ましくは、n−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチロラクロンおよび前記溶媒の混合物からなる群より選択される。
【0034】
1つの好ましい態様において、前記中心流体は、前記少なくとも1種の親水性ポリマーの一部を含む。さらに、中心流体は、水、グリセロールおよび他のアルコールからなる群より選択される上記溶媒および凝結媒体の少なくとも1つを含み得るであろう。もっとも好ましくは、中心流体は、45〜70重量%の凝結媒体、30〜55重量%の溶媒および0〜5重量%の前記少なくとも1種の親水性ポリマーからなる。
【0035】
さて、本発明を以下の例でさらに詳細に記載する。例は、単に例示としてのみ与えられ、本発明の保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0036】
例1
13.5%のポリアリールエーテルスルホン、0.5%のポリアミド、7.5%のPVP K30および78.5%のNMPを混合することによりポリマー溶液を調製する。59%の水と41%のNMPの混合物は、中心流体として機能する。22℃の温度で測定したポリマー溶液の粘度は、4,230mPasである。
【0037】
中心流体を55℃に加熱し、2成分中空繊維スピナレットに向けてポンプ輸送する。ポリマー溶液は、0.5mmの外径と0.35mmの内径を有する環状スリットを通してスピナレットを出て行く。中心流体は、内側からのポリマー溶液の凝結を開始させるために、また、中空繊維の内径を決定するために環状ポリマー溶液管の中心でスピナレットを出て行く。
【0038】
同時に、2つの成分(ポリマー溶液および中心流体)を、屋内雰囲気から隔てられた空間に入れる。その空間は紡糸シャフトと呼ばれる。水蒸気(100℃)と空気(22℃)の混合物を紡糸シャフトに注入する。紡糸シャフト内の温度は、水蒸気と空気の比により49℃に調節され、相対湿度は99.5%であり、そこでの溶媒含有量を水分含有量に対して3.9重量%に調節した。溶媒は、NMPであった。紡糸シャフトの長さは、890mmである。重力とモーター駆動ローラーの助けにより、中空繊維は、垂直方向に、スピナレットから紡糸シャフトを通って水浴中に、頂部から底部に延伸される。紡糸速度は、50m/分である。続いて、中空繊維を水浴のカスケードに通じ、温度を20から90℃に上げてゆく。水のリンス浴から出てくる濡れた中空繊維膜を連続したオンライン乾燥工程で乾燥する。テクスチャー化(texturizing)工程の後、中空繊維を、束の形態で紡糸ホイール上に集める。束を透析装置のハウジングに導入した後、これをポリウレタンで注封し、両端を切断し、透析装置の両側でヘッダーをハウジングに固定し、透析装置を温水ですすぎ、空気で乾燥する。この最後の乾燥工程の間、有効膜面積m2当たり17gの量の残留水が透析装置に残される。ラベル貼りと包装の後、透析装置をパッケージ中で121℃で25分間オートクレーブ内で水蒸気滅菌する。
【0039】
例1による中空繊維の外側表面の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。この例による中空繊維は、mm2 当たり0.5〜3μmの範囲の気孔を62,500個有していた。
【0040】
例2
紡糸シャフトにおいてより少ない水蒸気を用いたことを除いて例1に従って中空繊維を製造した。紡糸シャフト内の温度は、水蒸気および空気の比により37℃に調節し、相対湿度は84%であった。溶媒(NMP)の含有量は、水分含有量に対して2.4重量%に調節した。
【0041】
例2による中空繊維の外側表面の走査電子顕微鏡写真を図2に示し。この例による中空繊維は、mm2 当たり0.5〜3μmの範囲の気孔を18,700個有していた。
【0042】
例3(比較例)
紡糸シャフト内で水蒸気を用いないことを除いて、例1にしたがって中空繊維を製造した。紡糸シャフト内の温度は26℃であり、相対湿度は55%であった。
【0043】
例3による中空繊維の外側表面の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0044】
この例による中空繊維は、mm2 当たり0.5〜3μmの範囲の気孔を3,650個有していた。
【0045】
次に、例1から3に従って製造した中空繊維を、スクラップ繊維束、尿素のクリアランスおよびミオグロブリン/アルブミンの選択性に関して評価した。結果を以下の表に示す。
【0046】
尿素のクリアランスおよびミオグロブリン/アルブミンの選択性(ふるいわけ係数を測定することによる)を定量するための方法は、EN1283であった。
【0047】
例1および2は本発明によるものであり、一方、例3は本発明によるものではなく、単に比較として与えられたに過ぎない。
【表1】

【0048】
先行技術に対する本発明による膜の利点は、膜構造には高い非対称性と大きな重量性が存在するが、本膜は、より高い選択性、より高い拡散透過性、改善された取り扱い特性、改善された注封特性、異なるタイプの膜(低フラックス、中フラックス、高フラックスなど)に対する高い多様性を有し、欠陥のない繊維の比率がより高いということである。
【0049】
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、さまざまの置換及び修正が本明細書に開示される本発明に対してなされ得ることが当業者には容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい態様による膜の外側表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図2】本発明の好ましい態様による膜の外側表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図3】比較例の膜の外側表面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【図4】本発明の好ましい態様による膜構造の断面の走査電子顕微鏡写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の親水性ポリマーで構成される、例えば血液透析に好適な選択透過性の非対称中空繊維膜であって、前記中空繊維膜の外側表面が0.5〜3μmの範囲の気孔を有し、前記外側表面上の前記気孔の数がmm2 当たり10,000から150,000までの範囲にあり、好ましくは、mm2 当たり18,000から100,000の範囲、最も好ましくはmm2 当たり20,000から100,000の範囲にあることを特徴とする膜。
【請求項2】
前記膜が、緻密で薄い層の形態の第1の内側分離層、スポンジ構造の形態の第2層、指構造の形態の第3層、および請求項1記載の外側表面を有するスポンジ層の形態の第4の外側層を備える4層構造を有する請求項1記載の膜。
【請求項3】
前記膜が、37℃で測定して15〜17×10-4cm/秒の尿素拡散透過性を有する請求項2記載の膜。
【請求項4】
前記第1の分離層が1μm未満の厚さを有し、前記第2の層が約1から15μmまでの厚さを有し、前記第3の層が約20から60μmまでの厚さを有し、前記第4の層が約1から10μmまでの厚さを有する請求項2または3記載の膜。
【請求項5】
65〜95重量%の前記少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび5〜35重量%の前記少なくとも1種の親水性ポリマーからなる請求項1ないし4のいずれか1項記載の膜。
【請求項6】
前記少なくとも1種の疎水性ポリマーが、ポリアミド(PA)、ポリアラミド(PAA)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリールスルホン(PASU)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテル、ポリウレタン(PUR)、ポリエーテルイミド、および前記ポリマーのコポリマーからなる群より選択され、好ましくはポリエーテルスルホンまたはポリアリールエーテルスルホンとポリアミドとの混合物である請求項1ないし5のいずれか1項記載の膜。
【請求項7】
前記少なくとも1種の親水性ポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリコールモノエステル、水溶性セルロース誘導体、ポリソルベート、およびポリエチレン−ポリプロピレンオキシドコポリマーからなる群より選択され、好ましくはポリビニルピロリドンである請求項1ないし6のいずれか1項記載の膜。
【請求項8】
溶媒相反転紡糸により請求項1ないし7のいずれか1項記載の膜を製造するための製造方法であって、
a)前記少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび前記少なくとも1種の親水性ポリマーを、ポリマー溶液を作るために少なくとも1種の溶媒に溶解させ、
b)前記作られたポリマー溶液を2つの同心開口を有するノズルの外側リングスリットを通して押し出し、
c)中心流体を前記ノズルの内側開口を通して押し出し、その後
d)前記膜を洗浄し、好ましくは乾燥させる
工程を含み、
前記外側スリット開口を通して出てくる前記ポリマー溶液を、凝結する繊維の外側において、水分含有量に対して0.5〜10重量%の含有量の溶媒を含む水蒸気/空気混合物に曝すことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記水蒸気/空気混合物中の溶媒含有量が水分含有量に対して0.5〜5重量%である請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記水蒸気/空気混合物中の溶媒含有量が水分含有量に対して2〜3重量%である請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記水蒸気/空気混合物の温度が少なくとも15℃、好ましくは少なくとも30℃、かつ高くとも75℃、好ましくは高くとも60℃である請求項8ないし10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記水蒸気/空気混合物における相対湿度が60〜100%である請求項8ないし11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ポリマー溶液が10〜20重量%の少なくとも1種の疎水性ポリマー、3〜11重量%の少なくとも1種の親水性ポリマー、66〜86重量%の溶媒および1〜5重量%の適切な添加剤からなる請求項8ないし12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー溶液が、水、グリセロール、または他のアルコールから選択される凝固流体を1〜5重量%含む請求項8〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、n−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチロラクトンおよび前記溶媒の混合物からなる群より選択される請求項8ないし14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記中心流体が、前記少なくとも1種の親水性ポリマーの一部を含む請求項8ないし15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記中心流体が、n−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチロラクトンおよび前記溶媒の混合物からなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含む請求項8ないし16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記中心流体が、水、グリセロール、および他のアルコールからなる群より選択される凝結媒体を含む請求項8ないし17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記中心流体が45〜70重量%の凝結媒体、30〜55重量%の溶媒および0〜5%の前記少なくとも1種の親水性ポリマーからなる請求項8〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
血液透析、血液透析ろ過、および血液濾過における請求項1ないし7のいずれか1項記載の膜の使用。
【請求項21】
透析およびろ過における請求項1ないし7のいずれか1項記載の膜の使用。
【請求項22】
血液透析、血液透析ろ過、および血液濾過における請求項8ないし19のいずれか1項記載の方法により製造された膜の使用。
【請求項23】
透析およびろ過における請求項8ないし19のいずれか1項記載の方法により製造された膜の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−510483(P2006−510483A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562195(P2004−562195)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001985
【国際公開番号】WO2004/056459
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505014351)ガンブロ・ルンディア・エービー (2)
【Fターム(参考)】