説明

遺伝子治療用のエステル結合したジェミニ界面活性剤化合物

本発明は、新規同定された、式(I)[ここで、YはHまたは(Aa)であり、(Aa)が塩基性アミノ酸であり、xが1〜6である]のエステル結合したジェミニ界面活性剤化合物、かかる化合物の使用およびそれらの調製方法に関する。本発明は、ポリヌクレオチドの細胞への移入を容易にするためのエステル結合したジェミニ界面活性剤化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規同定されたエステル結合した界面活性剤化合物、かかる化合物の使用、およびそれらの調製に関する。本発明は、薬剤送達のために細胞中への化合物の移入を容易にするための、エステル結合した界面活性剤化合物の使用にも関する。多くの場合、本発明の化合物の特性に関連する特性を有する化合物はジェミニ界面活性剤と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、低濃度でさえも、液体の界面特性に著しい影響を与える物質である。例えば、界面活性剤は、水または水溶液に溶解された場合に、表面張力を有意に低下させ得、2種の液体または液体および固体間の界面張力を低下させ得る。界面活性剤分子のこの特性は、工業的に、特に、洗剤および油脂産業において広く利用されている。1970年代に、新たなクラスの界面活性剤分子が報告され、疎水性ブリッジにより結合された極性頭部を有する2個の疎水性鎖により特徴付けられた(Deinega, Y et al., Kolloidn. Zh. 36,649,1974)。これらの分子は「ジェミニ」と呼ばれ(Menger, FM and Littau,CA,J. Am. Chem. Soc. 113,1451,1991)、それらのモノマー等価物に勝る非常に好ましい特性を有する。例えば、それらは油および水に基づく液体間の界面張力の低下に非常に有効であり、非常に低い臨界ミセル濃度を有する(Menger, FM and Keiper,JS,Angewandte. Chem. Int. Ed. Engl.,2000,39,1906)。
【0003】
カチオン性界面活性剤は、とりわけ、培養細胞中へのポリヌクレオチドのトランスフェクションに使用されており、遺伝子工学の科学者に市販されているかかる物質の例としては、Promega Corp.WI,USAから市販されている真核細胞のトランスフェクション用のTfx(登録商標)−50試薬が挙げられる。
【0004】
遺伝子治療またはアンチセンス療法のためのインビボにおけるDNAの細胞への有効な送達は、ここ数年間の主要な目標である。多くの注目は、送達用ビヒクルとしてのウイルスの使用に集中し、例えば、嚢胞性線維症(CF)の修正的遺伝子治療を目的とする呼吸管上皮細胞へのアデノウイルスの適用が挙げられる。しかし、CF患者における遺伝子移入成功の証拠が幾つかあるにも関わらず、アデノウイルス経由には、炎症性副作用および移入された遺伝子の一時的発現に起因する問題が依然存在する。カチオン性界面活性剤を用いる研究を含む、インビボ遺伝子送達のための幾つかの代替的方法が研究されている。Gao, X et al. Gene Ther. 2,710-722,1995は、アミン担持カチオン性脂質を用いてCF膜コンダクタンス制御因子(CFTR)に関する正常ヒト遺伝子をCFマウスの呼吸器上皮に導入する、このアプローチの実行可能性を示した。このグループは、その後、リポソームCF遺伝子治療を試みたところ、部分的に成功し、ヒトにおけるこのアプローチの可能性が示された(Caplen, NJ. et al., Nature Medicine,1,39-46,1995)。より最近になって、他のグループは、遺伝子送達のための他のカチオン性脂質(Miller,A,Angew. Int. Ed. Engl.,37,1768-1785,1998)、例えば、コレステロール誘導体(Oudrhiri, N et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 94,1651-1656,1997)の可能性を研究した。この限定的な研究は、インビトロおよびインビボの両方における上皮細胞への遺伝子移入を容易にするというこれらのコレステロールに基づく化合物の能力を示し、それ故に、この一般的アプローチの正当性が支持された。
【0005】
最近、遺伝子トランスフェクションのための非ウイルス性(カチオン性脂質)ベクターの使用が報告された。D. Niculescu-Duvaz, J. Heyes and C. J. Springer,Curr. Med. Chem.,2003,10,1233を参照のこと。
【0006】
これらの研究および他の研究は、細胞に基づく実験におけるトランスフェクションのためにインビトロにおいて、ならびに遺伝子治療およびアンチセンス療法のためにインビボにおいて、ポリヌクレオチドの細胞中への効果的な移入を容易にするために低毒性の界面活性剤分子を開発することがこの新規研究分野において引き続き必要とされていることを示す。システイン(WO 99/29712)またはスペルミン(WO 00/77032)またはジアミン(WO 00/76954)に基づくジェミニ界面活性剤が既に作製されている。ジェミニ界面活性剤の他の例は、WO 00/27795、WO 02/30957、WO 02/50100、WO 03/82809、GB0425555.0およびGB0425556.8において見出される。ポリヌクレオチドベクターとしてのジェミニ界面活性剤の使用は最近報告された(A. J. Kirby,P. Camilleri,J. B. F. N. Engberts, M. C. Feiters, R. J. M. Nolte, O. Soederman, M. Bergsma, P. C. Bell, M. L. Fielden, C. L. Garciea Rodrieguez, Philippe Guedat, A. Kremer, C. McGregor, C. Perrin, G. Ronsin and M. C. P. van Eijk, Angew. Chem. Int. Ed., 2003, 42, 1448, R. Zana and J. Xia, Gemini Surfactants, Marcel Dekker, NY, 2004も参照のこと)。
【0007】
最近開発された技法は、遺伝子機能を一時的に抑制するための合成低分子干渉(si)2本鎖RNA分子の使用を含む。RNA干渉(RNAi)のこの技法は、元々、C.elegansらの研究から生み出され(A. Fire, rends Genet.,1999,15(9),358)、後に、哺乳類細胞へ適用可能なように開発された(S. M. Elbashir, J. Harborth, W. Lendeckel, A. Yalcin, K.Weber, T. Tuschl, Nature, 2001,411,494)。これらのsiRNAエフェクター分子を送達して細胞集団の大部分の位置を修正する能力は、この技法の効果的な利用において重要な段階である。一旦、正確に局在すると、2本鎖RNAのアンチセンス鎖は、標的化メッセンジャー(m)RNA(目的の標的をコードする)の相補的領域に結合し、mRNAの加水分解、次いで、その分解をもたらす。mRNAのこの一時的な減少は、標的遺伝子発現の一時的な減少をもたらす。非常に効果的な送達および正確な局在化は、標的の機能が解明可能なレベルまで標的の遺伝子発現を軽減するのに必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は既存の化合物の特性の改良に努める。
【0009】
本発明は、一般構造式(I):
【化1】

[式中、
YはHまたは(Aa)xのいずれかであり、ここで、(Aa)は塩基性アミノ酸であり、xは1〜6であり;
1およびR2は、同一または異なっていてもよく、24個までの炭素原子からなる飽和または不飽和の直鎖または分岐した炭化水素鎖であり;
nは1〜10であり;および
pは1〜6である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0010】
一の好ましい実施態様において、R1またはR2は、24個までの炭素原子からなる飽和または不飽和の直鎖または分岐した炭化水素鎖であり、10個以上の炭素原子、例えば12個以上の、例えば14個以上の、例えば16個以上の炭素原子を有する。さらなる好ましい一の実施態様において、R1またはR2は、24個までの炭素原子からなる飽和または不飽和の直鎖または分岐した炭化水素鎖であり:
−(CH210CH3
−(CH212CH3
−(CH214CH3
−(CH216CH3
−(CH218CH3
−(CH220CH3
−(CH27CH=CH(CH27CH3 天然混合物
−(CH27CH=CH(CH25CH3 天然混合物
−(CH27CH=CH(CH25CH3 シス
−(CH27CH=CH(CH27CH3 シス
−(CH27CH=CH(CH25CH3 トランス
−(CH27CH=CH(CH27CH3 トランス
−(CH27CH=CHCH2CH=CH(CH24CH3
−(CH27(CH=CHCH23CH3
−(CH23CH=CH(CH2CH=CH)3(CH24CH3
−(CH27CHCH(CH27CH3
−CH2CH(CH3)[CH2CH2CH2CH(CH3)]3CH3
または−(CH222CH3
から選択される。
【0011】
最も好ましくは、炭化水素鎖は、(CH27CH=CH(CH27CH3天然混合物、(CH27CH=CH(CH27CH3シスおよび(CH27CH=CH(CH27CH3トランスから選択される。
【0012】
好ましくは、nは3〜6である。最も好ましくは、nは4である。
【0013】
好ましくは、pは1〜4である。最も好ましくは、pは2である。
【0014】
好ましくは、Yは(Aa)である。
【0015】
各場合において、(Aa)xは、同一または異なっていてもよく、直鎖または分岐した様式で連結したx個の天然または非天然アミノ酸であり;(Aa)は塩基性アミノ酸、好ましくは、セリン(ser)、リジン(lys)、オルニチン(orn)、ジアミノ酪酸(dab)またはジアミノプロピオン酸(dap)のLまたはDエナンチオマーである。xは1〜6であり;好ましくは、1〜3である。最も好ましくは、xは1である。
【0016】
(Aa)基は、Nとアミノ酸残基上のカルボキシ基との間のペプチド(アミド)結合により、式(I)中のNに結合する。
【0017】
一の実施態様において、本発明の化合物は、所謂「ジェミニ」界面活性剤化合物である。すなわち、本化合物は、各Yが同一であり、R1およびR2が同一という点で、対称である。本発明の文脈において、かかる化合物を「エステルジェミニ」と称する。
【0018】
最も好ましい一の実施態様において、エステルジェミニは:
【化2】


【化3】


【化4】

;および
【化5】

からなる群より選択される。
【0019】
本発明の化合物は、当業者によく知られている合成化学を用いて、容易に入手可能な出発物質から調製されてもよい。図1は、本発明の好ましい化合物[ここで、p=2である]の合成のための一般的スキームを示す。p=1または3〜6である化合物については、当該分野においてよく知られている技法、例えば、p=1では、Jaine, N et al. ;Journal of Inorganic Biochemistry 1994,53(2),79-94;p=3では、Reppe et al. ;JLACBF ;Justus Liebigs Ann. Chem.;596;1955;1,215;およびp=4では、Gautier;Renault;Recl. Trav. Chim. Pays-Bas;69;1950;421,426の技法を用いて、他のジカルボン酸(図1の中間体3)を出発物質として用いてもよい。
【0020】
様々な代替的戦略が当業者には知られており、適切な戦略は、所望する特定の最終的な置換パターンについて考案されてもよい。非対称置換パターンについては、生成物または中間体の物理的分離が必要とされてもよい。クロマトグラフィー法のごとき適切な分離方法は当業者によく知られている。
【0021】
本発明に基づく分子の塩は、標準的な技法により調製されてもよい。
【0022】
本発明の別の態様は、エステル結合した界面活性剤化合物を用いる方法に関する。かかる使用は、生物全体におけるアンチセンス、遺伝子治療および(抗体産生のための)遺伝子免疫のために、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの細胞中への移入を容易にすることを含む。他の使用は、かかる移入が例えば特に遺伝子発現研究およびアンチセンス制御実験において必要とされる場合に、培養細胞中へのポリヌクレオチドのトランスフェクションを容易にするための本発明の化合物の使用を含む。かかるポリヌクレオチドおよびアンチセンス分子の調製のためのプロトコルは当該分野においてよく知られている(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1989), Cohen, JS ed. Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL(1989))。ポリヌクレオチドを化合物と混合し、細胞に添加し、インキュベートし、ポリヌクレオチドを摂取させることができる。さらなるインキュベーションの後、トランスフェクトされたDNAにより得られた表現型形質について細胞をアッセイでき、或いは該DNAから発現されるmRNAのレベルは、ノーザンブロッティングによってか、またはTaqman(登録商標)方法(Perkin Elmer, Connecticut, USA)のごときPCRに基づく定量法により測定され得る。本発明の化合物は、従前の技術における化合物と比較して、培養細胞中のDNAの細胞取り込み効率において有意な改善、典型的には3〜6倍の改善をもたらす。トランスフェクションプロトコルにおいて、スペルミジン界面活性剤化合物を1個または複数の添加物質と併用して、トランスフェクション効率を増大させてもよい。かかる添加物質は、例えば:
(i)中性担体、例えば、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(Farhood, H., et al(1985)Biochim. Biophys. Acta,1235-1289);
(ii)複合体形成試薬、例えば、市販のPLUS試薬(Life Technologies Inc. Maryland, USA)またはペプチド、例えば、ポリリジンまたはポリオルニチンペプチド、或いはリジン、オルニチンおよび/またはアルギニンのごとき塩基性アミノ酸を主に含むがこれらに限定されないペプチド:
から選択されてもよい。上記リストは全てを網羅するものではなく、トランスフェクション効率を増大する他の添加物質も本発明の範囲内となる。
【0023】
さらなる別の態様において、本発明は、遺伝子治療における本発明の化合物を用いる遺伝物質の移入に関する。例えば、当業者は、当該分野においてよく知られているプロトコルを用いて、本発明のスペルミジン界面活性剤化合物の使用を含む遺伝子治療における使用のための遺伝子送達方法を開発できよう。例えば、遺伝子移入ベクターの肺への送達のための界面活性剤の使用は、Weiss, DJ(2002)Molecular Therapy 6(2) pp148-152において概説されている。
【0024】
本発明のさらなる別の態様は、本発明の化合物を用いるインビトロおよびインビボにおける細胞中への非ヌクレオチドに基づく薬剤化合物の送達を実施するための方法に関する。
【0025】
以下の定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されるものである。
【0026】
「アミノ酸」は、NCH(R)CO2形態の双極イオン(双性イオン)を言う。それらはR基の性質により分類され、Rが水素とは異なる場合、それらは非対称であり得、DおよびL体を形成する。20種の天然アミノ酸が存在し、例えば、R基は無極性(例えば、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン)または極性(例えば、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニンおよびリジン)であり得る。非天然アミノ酸の場合、Rは天然に見出されるアミノ酸中に見出されない任意の他の基であり得る。
【0027】
一般的に、「ポリヌクレオチド」は、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを言い、それらは非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオチド」は、1本鎖および2本鎖DNA、1本鎖および2本鎖領域の混合物であるDNA、1本鎖および2本鎖RNA、ならびに1本鎖および2本鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖もしくはより典型的には2本鎖または1本鎖および2本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を含むが、これらに限定されない。加えて、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域を言う。ポリヌクレオチドなる用語は、1個または複数の修飾塩基を含むDNAまたはRNAのもの、ならびに安定性または他の理由で骨格が修飾されたDNAまたはRNAのものも包含する。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基および独特な塩基、例えば、イノシンを包含する。種々の修飾がDNAおよびRNAになされてもよく;故に、「ポリヌクレオチド」は、典型的に天然において見出されるポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に修飾された形態、ならびにウイルスおよび細胞のDNAおよびRNA特徴を有する化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は、比較的短いポリヌクレオチドも包含し、それらは多くの場合オリゴヌクレオチドと言われる。
【0028】
「トランスフェクション」は、化学的または物理的手段のいずれかによる細胞膜の修飾を含む方法を用いる、ポリヌクレオチドの培養細胞中への導入を言う。かかる方法は、例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1989)において記載されている。ポリヌクレオチドは、直鎖状または環状、1本鎖または2本鎖であってもよく、ポリヌクレオチドの複製或いはポリヌクレオチドの一部を含み得る同種または異種遺伝子の発現を調節するエレメントを含んでもよい。
【0029】
医薬上許容される酸付加塩は、所望により、有機溶媒のごとき適切な溶媒中、式(I)の化合物を適切な無機または有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、洒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、例えば、2−ナフタレンスルホン酸またはヘキサン酸)と反応させることにより形成され得、得られた塩は、通常、例えば、結晶化および濾過により単離される。式(I)の化合物の医薬上許容される酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、洒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2−ナフタレンスルホン酸塩)またはヘキサン酸塩を含み得る。
【0030】
本発明は、その範囲内に、水和物および溶媒和物を含む式(I)の化合物の塩の全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態を包含する。
【0031】
式(I)の特定化合物は、化学量論的形態にて存在し得る。本発明がこれらの化合物の全ての幾何異性体および光学異性体ならびにラセミ体を含むそれらの混合物を包含することが理解されよう。互変体も本発明の態様を構成する。
【0032】
ここで、本発明は以下の実施例により説明され得る。実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
実施例
記載例1:N,N’−ビス−(2−シアノエチル)−1,4−ジアミノブタン(2)
【化6】

【0034】
0℃で、1,4−ジアミノブタン1(n=4;25.0g,0.28mol)のメタノール(50mL)中溶液へ、アクリロニトリル(31.6g,0.60mmol)のメタノール(25mL)中溶液を滴下して加えた。添加後、混合物を室温に到達させておき、次いで、18時間攪拌した。最後に、溶媒を真空除去し、ジアミン2を淡黄色液体(57.0g,定量)として得た。
Rfシリカ:0.60(MeOH−0.88NH3 95:5)
1H−NMR(CDCl3):δH2.88(m,4H),2.60(m,4H),2.46(m,4H),1.45(m,4H)
【0035】
記載例2:N,N’−ビス−(2−カルボエトキシエチル)−1,4−ジアミノブタン二塩酸塩(3)
【化7】

【0036】
2(n=4;10.0g,51.5mmol)の6NのHCl(80mL)中溶液を18時間加熱還流し、次いで、室温に冷却させておき、溶媒を部分的に真空蒸発させておいた。残りの溶液へEtOH(40mL)を加え、沈殿した固体を濾過で取り出し、EtOH(10mL)で洗浄し、ジ−カルボン酸3を白色固体(17.4g,定量)として得た。
1H−NMR(d6 DMSO):δH 12.70(brs,2H),3.05(t,J=7.5,4H),2.88(m,4H),2.72(t,4H),1.65(m,4H)
【0037】
記載例3:N,N’−ビス−(2−カルボエトキシエチル)−N,N’−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)−1,4−ジアミノブタン(4)
【化8】

【0038】
3(n=4;19.9g,65.3mmol)の1NのNaOH(350mL)中溶液へ、二炭酸ジ−tert−ブチル(57.0g,261mmol)のジオキサン(350mL)中溶液を加えた。混合物を室温で18時間攪拌し、次いで、容量が半分になるまで濃縮した。残りをpH3〜4に調整し、次いで、ジクロロメタン(250mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(150mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮し、カルバマート4を白色粉末(24.4g,87%)として得た。
Rfシリカ:0.31(EtOAc−MeOH 2:1).
LC−MS(ESI):tR=4.04分(m/z=433.1[M+H])
【0039】
記載例4:3−(tert−ブトキシカルボニル−{4−[tert−ブトキシカルボニル−(2−オクタデカ−8−エニルオキシカルボニル−エチル)−アミノ]−ブチル}−アミノ)−プロピオン酸オクタデカ−8−エニルエステル(5)
【化9】

【0040】
0℃で、N−保護アミノ酸4(n=4;15.2g,35.1mmol)、ジメチルアミノピリジン(1.70g,14.0mmol)およびオレイルアルコール(18.4g,68.4mmol)のジクロロメタン(200mL)中溶液へ、EDCI(13.1g,68.4mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液を加えた。得られた混合物を室温に温めておき、次いで、N2下で18時間攪拌した。ジクロロメタン(250mL)を加え、混合物をブライン(4×200mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮し、油状物を得、これを、ヘキサン中のCH2Cl2(50〜90%)の溶媒勾配で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製し、エステル5を無色油状物(13.0g,40%)として得た。
【0041】
Rfシリカ:0.61(Hex−EtOAc 7:3).
1H−NMR(CDCl3):δH 5.32(m,4H),4.05(t,J=7.0,4H),3.42(brs,4H),3.18(brs,4H),2.53(brs,4H),1.98(m,8H),1.60(m,6H),1.42(m,22H),1.40−1.20(m,40H),0.86(t,J=7.0,6H)
【0042】
記載例5:3−[4−(2−オクタデカ−9−エニルオキシカルボニル−エチルアミノ)−ブチルアミノ]−プロピオン酸オクタデカ−9−エニルエステルビス塩酸塩(6)
【化10】

【0043】
エステル5(n=4,R=オレイル;13.0g,13.9mmol)をCH2Cl2(70mL)中に溶解し、EtOAc(140mL)中4MのHClで処理した。得られた混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、溶媒を真空除去し、残りを無水ジエチルエーテル(150mL)でトリチュレートし、固体を得、これを真空乾燥し、ビス塩酸塩6を白色粉末(10.23g,91%)として得た。
Rfシリカ:0.46(MeOH−0.88NH3 97:3).
LC−MS(ESI):tR=8.07分(m/z=733.6[M+H])
【0044】
記載例6:界面活性剤(8a〜d)調製のための一般的手順
N−末端−保護アミノ酸(0.41mmol,2.6当量)、HCTU(168mg,0.41mmol,2.6当量)およびジイソプロピルエチルアミン(0.19mL,1.10mmol,7.0当量)を、アミン塩酸塩6(n=4,R=オレイル;150mg,0.156mmol)のDMF−CH2Cl2[1:1](4.0mL)中溶液へ加えた。N2下、混合物を室温で18時間攪拌し、次いで、混合物を低容量に濃縮し、EtOAc(30mL)を加えた。有機溶液を5%水性KHSO4溶液(3×8mL)、5%水性K2CO3溶液(3×8mL)およびブライン(3×10mL)で連続して洗浄し、次いで、乾燥し(Na2SO4)、真空濃縮した。残りを、水中のMeOH(50〜100%)の溶媒勾配で溶離する逆相カラムクロマトグラフィーにより、次いで、ヘキサン中のEtOAc(20〜40%)の溶媒勾配で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。残りをEtOAc(2.0mL)中に溶解し、EtOAc(3.0mL)中の5.0NのHClを加えた。得られた混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、真空濃縮し、固体残渣をジエチルエーテル(5.0mL)でトリチュレートし、界面活性剤8a〜dを白色粉末(75〜93%)として得た。
【実施例】
【0045】
実施例1(8a)
【化11】

【0046】
LC−MS(ESI):tR=12.18分(m/z=933.8[M+H](100%));HRMS(ESI)m/z 計算値(C5410566)933.8096,測定値 933.8096[M+H]
【0047】
実施例2(8b)
【化12】

【0048】
LC−MS(ESI):tR=12.15分(m/z=961.8[M+H](100%));HRMS(ESI)m/z 計算値(C5610966)961.8409,測定値 933.8400[M+H]
【0049】
実施例3(8c)
【化13】

【0050】
LC−MS(ESI):tR=12.18分(m/z=989.9[M+H](100%));HRMS(ESI)m/z 計算値(C5811366)989.8722,測定値 989.8718[M+H]
【0051】
実施例4(8d)
【化14】

【0052】
LC−MS(ESI):tR=12.20分(m/z=989.9[M+H](100%));HRMS(ESI)m/z 計算値(C5811366)989.8722,測定値 989.8729[M+H]
【0053】
実施例5:エステル結合した界面活性剤化合物を用いる、GFP発現組換えプラスミドの細胞へのトランスフェクション
接着細胞株CHO−K1、CV1、HepG2、1321N1およびNIH3T3細胞を用いてトランスフェクション研究を実施した。完全培地は、10%v/vのウシ胎仔血清および1×L−グルタミンを補足したF12(CHO−K1について)およびDMEM(CV1,HepG2,1321N1およびNIH3T3について)培地から構成された。全培地および添加物質はLife Technologiesから入手した。
【0054】
インビトロ遺伝子トランスフェクション
トランスフェクションの16〜18時間前に、約2×104細胞/ウェルの密度で細胞を組織培養処理された96−ウェルプレート(Costar)に播種した。0.025μg/μlのプラスミド溶液をOptimem中で調製した。用いたプラスミドはClontechから得たpCMV−eGFPだった。エステル結合した界面活性剤化合物を10×濃度としてOptimem中に溶解し、最終反応混合物中20、10、5および2.5μg/mlの最終濃度とした。各ウェルにつき、10μlのエステル結合した界面活性剤化合物を10ulのプラスミドと混合した。複合体を室温で10分間インキュベートした。培地をプレート中の細胞から除去し、細胞を100μlのPBSで1回洗浄した。複合体(20μl)を各ウェルへ加え、次いで、80μlのOptimem(血清不含)または成長培地(血清)を加えて、最終容量を100μlとした。血清不含プロトコルでは、次いで、プレートを6時間37℃でインキュベートし、次いで、培地を除去し、新鮮な完全培地を各ウェルへ加え、さらに18時間インキュベーションを続けた。血清プロトコルでは、プレートを24時間37℃でインキュベートした。
【0055】
製造元(Roche Diagnostics)のガイドラインに従ってレポーター遺伝子アッセイを行った。培地をプレートから除去し、細胞を100μlのPBSで1回洗浄した。次いで、100μlのレポーター溶解バッファー(50mMのHEPES,pH7.5,2mMのEDTA,0.05%のトリトン ×100,2mMのDTT)を各ウェルに加えた。次いで、プレートを−80℃で15分間放置し、次いで、室温で溶解させておいた。次いで、標準的なプレートリーダー(Tecan Ultra,Tecan)を用いて、励起波長485nmおよび放射波長520nmでの蛍光を測定した。
【0056】
結果を図3(CHO−K1)、4(HepG2)、5(CV−1)、6(1321N1)および7(NIH−3T3)に示す。結果は、試験した3つのエステルジェミニ化合物全てが、リポフェクタミン2000よりは効率は低かったが、GFPプラスミドのCHO−K1細胞中へのトランスフェクションにおいて有効であったことを示す。しかし、HepG2細胞では、3つの試験ジェミニ化合物は全て、最適濃度においては、5ug/mlのリポフェクタミン2000よりも有効だった。
【0057】
CV−1細胞では、実施例1のジェミニ化合物は、全濃度のリポフェクタミン2000と比較すると、10および20ug/mlにおいて優れていた。実施例3および4のジェミニ化合物は、実施例1のものより低い効率であるがリポフェクタミン2000と同程度の効率で、CV−1細胞にトランスフェクトするようだった。
【0058】
1321N1細胞については、実施例1および2のジェミニ化合物は各々ほぼ5および6倍だけリポフェクタミン2000より有効だった。これらの両場合において、ジェミニ化合物の最も有効な濃度は試験した最低濃度の2.5ug/mlであることが見出された。実施例4のジェミニ化合物は1321N1細胞へのトランスフェクションにおいて有効ではなかった。
【0059】
NIH−3T3細胞を用いて試験した全てのジェミニ化合物は、試験したほとんどの濃度においてリポフェクタミン2000より有効だった。実施例4は最良の効果を示した。
【0060】
これらの結果、特に1321N1およびNIH−3T3細胞についての結果は、高効率なトランスフェクションのために、各細胞型について最適なジェミニ化合物が存在することを示す。故に、1321N1細胞については、実施例1の化合物および実施例2の化合物の両方が非常に有効なトランスフェクション物質であり、一方、実施例4の化合物は全く有効ではなかった。対照的に、実施例4の化合物はNIH−3T3細胞へのトランスフェクションについては非常に有効であることが見出され、一方、実施例1および2の化合物は有意に効果が低かった。
【0061】
故に、当業者は、本実施例において詳述したプロトコルを用いて、簡単な実験により、本明細書中例示した化合物であろうと、或いは例示されていないが上記した合成プロトコルに従って製造され得る化合物であろうとも、どのエステルジェミニ化合物が特定の細胞株のトランスフェクションに最も適するかを容易に決定することができる。
【0062】
実施例6:エステル結合した界面活性剤化合物を用いる、細胞中へのsiRNAのトランスフェクション
接着細胞株A549、CV1およびCaco2を用いて、ノックダウン研究を行った。完全培地は、10%v/vのウシ胎仔血清および1×L−グルタミンを補足したDMEM(A549およびCV1tについて)およびEMEM(Caco2について)培地から構成された。全培地および添加物質はLife Technologiesから入手した。
【0063】
インビトロsiRNAトランスフェクション
トランスフェクションの16〜18時間前に、約2×104細胞/ウェルの密度で細胞を組織培養処理された96−ウェルプレート(Costar)に播種した。Dharmaconから購入したsiRNA(標的JNK1または非標的対照)の1μM溶液をOptimem中で調製した。エステル結合した界面活性剤を10×濃度としてOptimem中に溶解し、最終反応混合物中、5μg/mlの最終濃度とした。市販のリポフェクタミン2000試薬を2.5μg/mlの最終濃度で用い、siLentFectは1μg/mlおよびX−tremeGeneは0.5μl/ウェルで用いた。各ウェルにつき、エステル結合した界面活性剤(市販)脂質の10μl試料を10μlのsiRNAと混合した。複合体を室温で10分間インキュベートした。培地をプレート中の細胞から除去し、細胞を100μlのPBSで1回洗浄した。複合体(20μl)を各ウェルに加え、次いで、80μlの成長培地を加え、100μlの最終容量とし、プレートを24時間37℃でインキュベートした。この時点で、100μlのPBSを用いて細胞を1回洗浄し、次いで、100μlのRNA溶解バッファー(Promega)中に溶解した。標準的な定量的RT−PCR(Taqman)を実施して、JNK1 siRNA標的化および非標的化細胞双方におけるハウスキーピング遺伝子GAPDHと比較したJNK1の相対存在量を測定した。ノックダウンの程度は、Jnnk1の対照(非標的化)コピーに対するJNK1の処置(JNK1)コピーの比として示した。
【0064】
結果を図2に示す。試験した3つの細胞型全てにおいて、本発明のジェミニ化合物を用いてsiRNA2本鎖を細胞中へトランスフェクトした場合に、Jnk1のレベルが非標的化対照細胞と比較して有意に減少したことが示され得る。Jnk1の発現レベルは、未処理細胞において観察されるものよりも70〜85%だけ低かった。同様のノックダウン効果は、リポフェクタミン2000を用いてsiRNA2本鎖をトランスフェクトした細胞において示されたが、全細胞型において、その効果はエステルジェミニ化合物を用いて観察されたものよりも著しく低かった(未処理対照よりも65〜79%低い)。
【0065】
特許、特許出願を含め、本明細書中に引用した全ての文献は、出典明示によりその全てが本明細書の一部となる。
【0066】
図面の説明
図1は、エステル結合した界面活性剤の合成のための一般的スキームを示す。
【0067】
図2は、siRNA2本鎖を用いるJnk1発現のノックダウンを示す。細胞型をX軸に示し、JNK1の対照(非標的化)コピーに対するJnk1の処置(JNK1)コピーの比をY軸に示す。斜線を引いた棒は実施例1のエステルジェミニで処理した細胞に関し、破線で横線を引いた棒はリポフェクタミン2000で処理した場合の細胞(実施例6)に関する。
【0068】
図3および4は、エステルジェミニを用いてCHO−K1細胞(図3)およびHepG2細胞(図4)中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。データを4つの棒からなる3つのブロックにて示す。各ブロックは特定のエステルジェミニに関する。4つの棒の第一のブロックは実施例1のエステルジェミニを用いるトランスフェクション効率を示す;第2のブロックは実施例3に対応し、第3のブロックは実施例4に対応する。ジェミニを4濃度:20ug/ml(左上から右下への斜線);10ug/ml(右上から左下への斜線)、5ug/ml(破線の横線)および2.5ug/ml(実線の横線)にて用いた。5ug/mlのリポフェクタミンは単一の棒(LP2K)として示す。
【0069】
図5、6および7は、エステルジェミニを用いてCV−1細胞(図5)、1321N1細胞(図6)およびNIH−3T3細胞(図7)中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。データを4つの棒からなる4つのブロックにて示す。各ブロックは特定のエステルジェミニに関する。4つの棒の第一のブロックは実施例1のエステルジェミニを用いるトランスフェクション効率を示す;第2のブロックは実施例3に対応し、第3のブロックは実施例4に対応し、第4のブロックはリポフェクタミン2000(L2K)に対応する。エステルジェミニおよびリポフェクタミン2000を4濃度:20ug/ml(左上から右下への斜線);10ug/ml(右上から左下への斜線)、5ug/ml(破線の横線)および2.5ug/ml(実線の横線)にて用いた。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】エステル結合した界面活性剤の合成のための一般的スキームを示す。
【図2】siRNA2本鎖を用いるJnk1発現のノックダウンを示す。細胞型をX軸に示し、JNK1の対照(非標的化)コピーに対するJnk1の処置(JNK1)コピーの比をY軸に示す。斜線を引いた棒は実施例1のエステルジェミニで処理した細胞に関し、破線で横線を引いた棒はリポフェクタミン2000(実施例6)で処理した場合の細胞に関する。
【図3】エステルジェミニを用いてCHO−K1細胞中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。
【図4】エステルジェミニを用いてHepG2細胞中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。
【図5】エステルジェミニを用いてCV−1細胞中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。
【図6】エステルジェミニを用いて1321N1細胞中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。
【図7】エステルジェミニを用いてNIH−3T3細胞中へpCMV−eGFP、GFP−発現プラスミドをトランスフェクションした後の細胞における緑色蛍光蛋白質(GFP)発現を示す。細胞中のGFP発現レベルは、リポフェクタミン2000を用いて成し遂げられた発現レベルの%として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造式(I):
【化1】

[式中、YはHまたは(Aa)xであり、ここで、(Aa)は塩基性アミノ酸であり、xは1〜6であり;
1およびR2は、同一または異なっていてもよく、24個までの炭素原子からなる飽和または不飽和の直鎖または分岐した炭化水素鎖であり;
nは1〜10であり;および
pは1〜6である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
nが4である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
pが2である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Yが(Aa)である、請求項1〜3いずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
アミノ酸(Aa)がセリン、リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸またはdapから選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
xが1〜3である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
1およびR2が:
−(CH210CH3
−(CH212CH3
−(CH214CH3
−(CH216CH3
−(CH218CH3
−(CH220CH3
−(CH27CH=CH(CH27CH3 天然混合物
−(CH27CH=CH(CH25CH3 天然混合物
−(CH27CH=CH(CH25CH3 シス
−(CH27CH=CH(CH27CH3 シス
−(CH27CH=CH(CH25CH3 トランス
−(CH27CH=CH(CH27CH3 トランス
−(CH27CH=CHCH2CH=CH(CH24CH3
−(CH27(CH=CHCH23CH3
−(CH23CH=CH(CH2CH=CH)3(CH24CH3
−(CH27CHCH(CH27CH3
−CH2CH(CH3)[CH2CH2CH2CH(CH3)]3CH3
または−(CH222CH3
から選択される、請求項1〜6いずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
1およびR2が:
(CH27CH=CH(CH27CH3 天然混合物、
(CH27CH=CH(CH27CH3 シスおよび
(CH27CH=CH(CH27CH3 トランス
から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
式:
【化2】

で示される化合物。
【請求項10】
式:
【化3】

で示される化合物。
【請求項11】
式:
【化4】

で示される化合物。
【請求項12】
式:
【化5】

で示される化合物。
【請求項13】
インビボまたはインビトロにおける真核または原核細胞中へのDNAもしくはRNAまたはそれらのアナログのトランスフェクションを行う際の、請求項1〜12いずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
(i)中性担体;または
(ii)複合体形成試薬
からなる群より選択される1個または複数の添加物質と併用される、請求項13記載の化合物の使用。
【請求項15】
中性担体がジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
複合体形成試薬がPLUS試薬である、請求項14または15記載の使用。
【請求項17】
複合体形成試薬が主に塩基性アミノ酸を含むペプチドである、請求項14または15記載の使用。
【請求項18】
ペプチドが塩基性アミノ酸からなる、請求項17記載の使用。
【請求項19】
塩基性アミノ酸がリジンおよびアルギニンから選択される、請求項18記載の使用。
【請求項20】
ペプチドがポリリジンまたはポリオルニチンである、請求項18記載の使用。
【請求項21】
遺伝子治療のためにインビボにおいてポリヌクレオチドを細胞中へトランスフェクトする方法であって、遺伝子治療ベクターと共にまたは別々に請求項1〜12いずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
抗感染治療用ポリヌクレオチドまたは抗感染化合物の原核または真核生物への移入を容易にするための、請求項1〜12いずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−525259(P2009−525259A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553550(P2007−553550)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000998
【国際公開番号】WO2006/082088
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】