説明

遺伝的変異の検出および列挙のための方法ならびに組成物

生物医学研究の多くの領域は、個々の遺伝子または転写産物におけるまれな変異の分析に依存している。ここで、本発明者らは、これまで達成できなかった規模および容易さでそのような変異を定量することができる方法を記載する。そのような分子のコレクションにおける各DNA分子は、配列においてオリジナルと同一であるDNAの何千個というコピーが結合している単一粒子へ変換される。そしてこのビーズの集団は、出発DNA分子の1対1の表示に対応する。DNA分子のオリジナルの集団内の変異はその後、フローサイトメトリーにより蛍光標識された粒子を数えることにより簡単に評価されうる。何百万個という個々のDNA分子が標準的実験装置でこの様式で評価されうる。さらに、特定の変異体がフローソーティングにより単離され、さらなる実験のために用いられうる。このアプローチは、まれな突然変異の同定および定量のために、加えて特定の集団または組織における遺伝子配列または転写産物における変異を研究するために用いられうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は遺伝分析の分野に関する。特に、個々の遺伝子または転写産物における変異を分析すること、および変異体を分離することのための方法ならびに組成物に関する。
【0002】
本明細書に開示の発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)助成金番号CA 43460、CA 57345、およびCA 62924からの資金を用いてなされた。それゆえ、米国政府は本発明において一定の権利を保持する。
【0003】
本出願は、2003年7月5日に出願された米国特許出願第60/485,301号および2003年12月1日に出願された米国特許出願第60/525,859号の利益を主張し、それらの両方の内容は本明細書に明白に組み入れられる。
【0004】
本特許文書の開示の一部は著作権保護を適用される材料を含む。著作権所有者は、本特許文書または特許開示について、それが米国特許商標局(Patent and Trademark Office)の資料または記録に出ている場合、何人による複製にも異存はないが、そうでなければ、何にせよすべての著作権を保有する。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
DNA配列変異の研究は多くの研究領域にとって不可欠である。生殖系列変異の研究は、正常および異常な生理的状態における遺伝の役割を評価するために不可欠である(1)。体細胞性に発生した他の変異は腫瘍症の原因である(2)。それゆえに、尿、痰および大便におけるそのような突然変異の同定は、前駆症状性癌の検出のために用いられうる(3-5)。同様に、リンパ節、血液または骨髄における体細胞性突然変異の検出は、病期、予後、および様々な治療の適合性についてのデータを提供することができる(5)。非腫瘍性細胞における体細胞性突然変異もまた生じ、人間が加齢するまたは環境危険に曝されるために、蓄積するようにみえる(6)。そのような突然変異は、組織における細胞のほんの小部分にのみ生じ、それによりそれらの分析を困難にしている。
【0006】
これらの問題の多くの研究の中心となるのは、DNA分子の集団内における配列変異体の検出および定量である。そのような収集物のそれぞれにおける分子の数は、有限であり、それゆえに数えられる。例えば、赤色および緑色のボールを考えてください。これらのボールを数えることは、原理的には簡単であるが、基本的確率論に支配される。500個の緑色ボールごとにたった1個の赤色ボールがある場合には、赤色ボールの割合の正確な見積もりを得るために数千個のボールを数えることが必要である。信頼性のある見積もりを出すのに十分なボールを数えることが困難である場合には、すべてのボールからその塗料を溶出し、結果として生じた塗料混合物の色を測定することができる。
【0007】
類似した様式において、わずかな変化(一塩基対置換または小さい欠失もしくは挿入)によって異なる少数のDNA分子は、個々のDNA分子を増幅すること(単一分子PCR)により直接的に数えられる(7-12)。そのようなデジタル技術は、遺伝子またはそれらの転写産物における変異を測定するために極めて有用であることが示された。しかし、テジタルテクノロジーは、マイクロタイタープレートのウェルにおいて、顕微鏡スライド上において、または個々のPCR産物の電気泳動後においてのいずれかで、何十個〜何千個という分子を数えることに、これまでは限定されていた。上で記載されたボールからの塗料の溶出と類似している、アナログ技術は、一般的に、より簡単に使えて、同時に何百万個という分子を評価することができる(13)。しかしながら、それらの精度および感度は、器械的および実験的ノイズにより制限される。遺伝子またはそれらの転写産物における変異を測定するための正確かつ感度がよい方法についての当技術分野における継続的必要性がある。
【発明の開示】
【0008】
発明の簡単な概要
本発明の第一態様において、組成物が提供される。組成物は、複数のビーズを含む。複数のビーズのそれぞれは、複数の結合したポリヌクレオチドを含む。組成物におけるポリヌクレオチドは不均一である;しかしながら、そのビーズの少なくとも1%において、複数の結合したポリヌクレオチドは均一である。
【0009】
本発明の第二態様において、液体組成物が提供される。液体組成物は、水性コンパートメントを形成する複数のマイクロエマルジョンを含む。その水性コンパートメントの少なくとも一部は、ビーズ、ポリヌクレオチド鋳型、および鋳型を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。オリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも一部は、ビーズに結合している。
【0010】
本発明の第三態様は、ヌクレオチド配列変異を分析するための方法を提供する。1つまたは複数の種の分析物DNA分子を含むマイクロエマルジョンが形成される。マイクロエマルジョンにおける分析物DNA分子は、分析物DNA分子を増幅するためのプライマーの複数の分子に結合している試薬ビーズの存在下において増幅される。分析物DNA分子の単一種の複数のコピーに結合している生成物ビーズが、形成される。生成物ビーズは、生成物ビーズに結合していない分析物DNA分子から分離される。生成物ビーズに結合している分析物DNA分子の単一種の配列特徴が決定される。
【0011】
本発明の第四特徴は、固体支持体に結合しているポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションにおける使用のためのプローブである。プローブは、ステム-ループ構造をもつオリゴヌクレオチドを含む。5'または3'末端の1つに、ホトルミネセンス色素がある。オリゴヌクレオチドは、反対側の5'または3'末端に消光剤を含まない。
【0012】
本発明の第五態様は、1対の分子プローブである。第一および第二プローブのそれぞれは、5'または3'末端の1つに第一ホトルミネセンス色素を有し、かつ反対側の5'または3'末端に消光剤を含まないステム-ループ構造をもつオリゴヌクレオチドを含む。第一オリグヌクレオチドは、突然変異体選択遺伝子配列へよりも野生型選択遺伝子配列へよくハイブリダイズし、第二オリゴヌクレオチドは、野生型選択遺伝子配列へよりも突然変異体選択遺伝子配列へよくハイブリダイズする。第一および第二のホトルミネセンス色素は異なる。
【0013】
本発明の第六態様において、ヌクレオチド配列変異体を単離するための方法が提供される。1つまたは複数の種の分析物DNA分子を含むマイクロエマルジョンが形成される。マイクロエマルジョンにおける分析物DNA分子は、試薬ビーズの存在下において増幅される。試薬ビーズは、分析物DNA分子を増幅するためのプライマーの複数の分子に結合している。単一種の分析物DNA分子の複数のコピーに結合している生成物ビーズが形成される。生成物ビーズは、生成物ビーズに結合していない分析物DNA分子から分離される。第一種の分析物DNA分子の複数のコピーに結合している生成物ビーズは、第二種の分析物DNA分子の複数のコピーに結合している生成物ビーズから単離される。
【0014】
本発明のこれらを始めとする態様は、本発明の説明全体から明らかであると思われるが、これまで達成できなかった規模および容易さで遺伝的変異を定量する能力をもつ技術を提供する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明者らは、何百万個という分子を評価する能力をもち、一般的に、遺伝的変異の研究に適用されうる、BEAMingと呼ばれるデジタルテクノロジーを本明細書に記載する。テクノロジーは、単一DNA分子の、最初のDNA分子の配列の何千個というコピーをそれぞれに含む単一ビーズへの変換を含む。集団における変異体DNA分子の数は、その後、例えば、ビーズを蛍光ビーズで染色し、フローサイトメトリーを用いてそれらを数えることにより評価されうる。特定の変異体を表すビーズは、任意で、フローソーティングを通して回収され、その後の確認および実験に用いられうる。
【0016】
本発明によるビーズはまた、ミクロスフェアまたは微小粒子としても知られている。粒子サイズは、直径が約0.1ミクロンと10ミクロンの間を変動しうる。典型的には、ビーズは、ポリスチレンのような重合体材料でできているが、シリカのような非重合体材料もまた用いられうる。用いられうる他の材料は、スチレン共重合体、メタクリル酸メチル、官能性を持たせたポリスチレン、ガラス、シリコン、およびカルボキシレートを含む。任意で、粒子は、超常磁性であり、反応に用いられた後それらの精製を容易にする。
【0017】
ビーズは、疎水性もしくは親水性のような全体の表面性質を変えるためか、または結合特異性を与える分子を付着させるためかのいずれかで、他の物質との共有結合性または非共有結合性相互作用により改変されうる。そのような分子は、非限定的に、抗体、リガンド、特異的結合タンパク質ペアのメンバー、受容体、核酸を含む。特異的結合タンパク質ペアは、アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、および第VII因子-組織因子を含む。
【0018】
ビーズ、生成物ビーズとして本発明により調製された後のビーズであるが、それらに結合した同じ核酸分子の1個より多いコピーを有する。好ましくは、各ビーズは、同じ核酸配列の少なくとも10個、50個、100個、500個または1000個の分子に結合している。状況によっては、生成物ビーズの一部は、1つより多い型の核酸分子に結合している。これらの生成物ビーズは、一般的に、遺伝子配列の集団における遺伝子配列の比率の分析にはあまり有用ではない。そのような生成物ビーズは、容易に区別されうり、それゆえに、分析をゆがめることはないと思われる。
【0019】
生成物ビーズの集団は、しばしば、2つまたはそれ以上の型の核酸を含む。そのような集団は、核酸に関して不均一である。望ましくは、生成物ビーズの実質的割合は、ビーズあたりたった1つの型の核酸を含む。実質的割合は、例えば、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも50%でありうる。ビーズあたりたった1つの型の核酸を有する均一なビーズは、ポリメラーゼ連鎖反応におけるエラーによるエラーを含む核酸を有するものを含む。ビーズあたり2つの型の核酸を有する生成物ビーズは、不均一と呼ばれる。いかなる特定の理論にも結びつけられることを望まないが、不均一な生成物ビーズは、非同一配列の鋳型の2個より多い分子を有する水性コンパートメントから生じると考えられる。生成物ビーズの集団は、集団として不均一であるが、均一である個々の生成物ビーズを含みうる。
【0020】
個々の生成物ビーズは、好ましくは、鋳型分析物分子の1個より多いコピーを含む。各ビーズは、鋳型分析物の少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも500個、または少なくとも1000個のコピーを含みうる。ビーズが均一である場合には、それらコピーのそれぞれは同一である。
【0021】
生成物ビーズの集団は、液体懸濁液に維持されうる。または、それらは、沈殿および乾燥または凍結されうる。後者の選択肢は、保存安定性のために有益でありうる。
【0022】
生成物ビーズの集団の分析は、遺伝的変異の多くの種類の間を識別するために有用でありうる。一塩基多型(SNP)ほどにより、突然変異の存在または非存在により、挿入もしくは欠失の存在または非存在により、非一塩基多型の存在または非存在により異なるポリヌクレオチドが、識別されうる。従って、生成物ビーズの集団は、これらの遺伝的変異に関して不均一でありうる。
【0023】
遺伝的変異体を識別する、すなわち、分析物の配列特徴を決定する、ための一つの非常に便利な方法は、変異体を蛍光色素で区別をつけて標識することによる。そのような標識は、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブの、1つの種のポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションにより達成されうる。または、蛍光標識された抗体が、特定の遺伝的変異体にハイブリダイズする1つのオリゴヌクレオチドプローブに特異的に付着するように用いられうる。そのような抗体結合は、例えば、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブに付着しているタンパク質またはポリペプチドにより仲介されうる。もちろん、当技術分野において知られているようなポリヌクレオチドを標識する他の手段が非限定的に用いられうる。異なるポリヌクレオチド種を標識するもう一つの手段は、プライマー伸長による。プライマーは、蛍光標識されたデオキシリボヌクレオチドのような標識されたデオキシリボヌクレオチドを用いて伸長されうる。
【0024】
生成物ビーズの集団は、鋳型として用いられうる。生成物ビーズ上の鋳型分析物分子は、ハイブリダイゼーション、プライマー伸長方法、質量分析法、および当技術分野において一般に用いられる他の方法によりDNA配列変異を評価するように分析されうる。生成物ビーズ上の鋳型分析物分子は、固相シーケンシングのために用いられうる。一つの固相シーケンシング技術において、生成物ビーズは、相補的オリゴヌクレオチドでスポットされたスライドにそれらを配置することにより配列される。もう一つの固相シーケンシング技術において、生成物ビーズは、個々のウェルへ配置される。さらにもう一つの固相シーケンシング技術において、生成物ビーズは、アクリルアミドマトリックスへ組み入れられる(その後のポロニー形成の有無にかかわらず)。シーケンシング反応は、非標識ヌクレオチド前駆体(例えば、Ronaghi et al., Anal. Biochem. 267:65-71, 1999に記載されているようなパイロシーケンシング)または標識ヌクレオチド(例えば、Mitra et al., Anal. Biochem. 320:55-65, 2003により記載された光開裂性試薬)を用いるもののような任意の固相シーケンシング方法で行われうる。生成物ビーズは、従って、複数の並行シーケンシングのために用いられ、かつ容易にすることができる生成物ビーズはまた、IIS型制限エンドヌクレアーゼを使用するシーケンシングに用いられうる。生成物ビーズはまた、通常のジデオキシヌクレオチドシーケンシングのための鋳型を供給するために用いられうる。配列分析において有用なデータを得るために、均一な鋳型集団が望ましい。均一な鋳型集団を供給するために、生成物ビーズは、各シーケンシング反応が単一生成物ビーズを含むように、希釈、分離、または単離されうる。または、生成物ビーズは、単一種の鋳型を有するビーズの集団を供給するように分別されうる。
【0025】
オリゴヌクレオチドプライマーは、当技術分野において公知の任意の手段によりビーズに結合されうる。それらは、共有結合性にまたは非共有結合性に結合しうる。それらは、抗体-抗原相互作用のようなタンパク質-タンパク質相互作用、またはビオチン-アビジン相互作用によるような媒介物を通して結合しうる。当技術分野において知られているような他の特異的結合ペアも同様に用いられうる。最適な増幅に達するために、ビーズに結合したプライマーは、均一な液相反応において必要であるよりも長くありうる。オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも12ヌクレオチド長、少なくとも15ヌクレオチド長、少なくとも18ヌクレオチド長、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチド長、または少なくとも45ヌクレオチド長でありうる。ビーズに結合しているオリゴヌクレオチドプライマーの長さは、液相にあるプライマーのそれと同一である必要はない。プライマーは、非限定的に、ポリメラーゼ連鎖反応、等温増幅、ローリングサークル増幅、自律的配列複製(self-sustaining sequence replication)(3SR)、核酸配列に基づいた増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)、転写媒介性増幅(transcription-mediated amplification)(TMA)、鎖置換増幅(strand-displacement amplification)(SDA)、およびリガーゼ連鎖反応(ligase chain reaction)(LCR)を含む、当技術分野において公知の任意の型の増幅反応に用いられうる。
【0026】
マイクロエマルジョンは、油、水相および界面活性剤を撹拌またはかき混ぜて作製される。マイクロエマルジョンは、0.5〜50ミクロンの平均直径をもつ小さな水性コンパートメントを形成する。コンパートメントは、平均して、1ミクロン以上10ミクロン以下、11ミクロン以上100ミクロン以下、または約5ミクロンでありうる。すべてのそのようなコンパートメントは、ビーズを含む必要はない。望ましくは、10,000個のその水性コンパートメントにおいて少なくとも1個がビーズを含む。典型的には、その水性コンパートメントの1/100から1/1まで、または1/50から1/1までがビーズを含む。オリゴヌクレオチドに関して均一であるビーズの割合を最大限にするために、平均して、各水性コンパートメントが1個未満の鋳型分子を含む。水性コンパートメントはまた、望ましくは、増幅を行うために必要であるどんな試薬および酵素も含む。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)について、コンパートメントは、望ましくは、DNAポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオチドを含む。ローリングサークル増幅については、DNAポリメラーゼおよび汎用DNAサークルが存在しうる。
【0027】
エマルジョンは、当技術分野において公知の任意の手段により「破壊され」うるまたは崩壊されうる。エマルジョンを破壊するための一つの特に簡単な方法は、より多くの界面活性剤を加えることである。用いられうる界面活性剤は、限定されるわけではないが、トリトンX100(Triton X100)、ラウレス4(Laureth 4)、ノニデット(Nonidet)を含む。
【0028】
本発明による増幅および分析のための試料DNAは、例えば、ゲノムDNA、cDNA、ゲノムDNAのPCR産物、またはcDNAのPCR産物でありうる。試料は、単一の個体由来で、例えば、尿、血液、痰、大便、組織または唾液のような身体試料から、得られうる。試料はまた、個体の集団由来でありうる。個体は、ヒトでありうるが、任意の生物体、植物または動物、真核生物または原核生物、ウイルスまたは非ウイルスでありうる。
【0029】
任意の型のプローブが、ビーズに結合している増幅されたポリヌクレオチドへの特異的ハイブリダイゼーションのために用いられうる。蛍光標識されたプローブは、それらの分析が自動化されうり、かつ高処理量を達成することができるため、有用である。蛍光活性化セルソーティング(FACS)は、ビーズの異なる集団の分析および単離の両方を可能にする。用いられうる蛍光標識プローブの一つの型は、改変型分子ビーコンプローブである。これらのプローブは、ステム-ループ構造、およびプローブ上に、典型的にはプローブの1つの末端上に、付着した、時々リンカーを通じて付着した、蛍光部分を有する。標準的分子ビーコンプローブとは違って、改変型分子ビーコンプローブは、プローブのいずれか一方の末端、5'または3'、上に付着した蛍光部分を有しうる。一つのそのようなプローブは、突然変異体へよりも野生型配列へよくハイブリダイズする。もう一つのそのようなプローブは、野生型へよりも突然変異体配列へよくハイブリダイズする。さらに他のプローブは、好ましくは、別のものに優先して一つの多型変異体にハイブリダイズする。
【0030】
本発明の方法は、遺伝子および転写産物における変異を測定するための、信頼性の高いかつ感度がよいアッセイ法を提供する。それは、広い範囲で入手できる機械より他に器械類を必要としない。このアプローチのいくつか他の利点がある。第一に、感度は、より多くのビーズを分析することにより簡単にアッセイの特定の仕様を満たすように増加されうる。そのような感度は、増幅のために用いられたポリメラーゼのエラー率によってのみ制限される。第二に、得られたデータは、変異体がDNA分子の特定の集団に存在することを実証するためだけでなく、その集団における変異体DNA分子の画分を定量するためにも用いられうる(図5A)。そのような定量は、PCR中に対立遺伝子特異的プライミングまたはエンドヌクレアーゼ消化を用いるもののような、アッセイの一部として野生型分子を破壊または無視する技術では不可能である。第三に、変異体対立遺伝子を含むビーズは、フローソーティングを通して容易に精製されうる。そのような回収は、顕微鏡スライド上に沈着された分子を数えるデジタル技術では困難である。そして最後に、方法は自動化可能である。
【0031】
本明細書に記載された基本的原理のいくつかの改変は、さらに、テクノロジーを簡単にする、またはそれの適用を広げることを構想されうる。例えば、マイクロエマルジョンは、水/油/界面活性剤の混合物を撹拌することにより作製された。その結果生じた水性コンパートメントのサイズは、図2に示されているように、いくぶん不均一であった。両方の対立遺伝子のPCR産物を含む相対的に多数のビーズは、大きなコンパートメントから得られるが、なぜなら、それらは、より小さなコンパートメントより>1個の鋳型分子を含む可能性がより高いからである。これは、まれな変異体の分析についての問題ではないが、分析されるべき変異体がDNA分子の実質的画分に存在している場合、それは問題を引き起こす。例えば、2%の対立遺伝子Aおよび98%の対立遺伝子Bを含む集団を、0%の対立遺伝子Aを含む集団から識別することは容易である(図5A)。しかし、48%の対立遺伝子Aおよび52%の対立遺伝子Bを含む集団を、50%の対立遺伝子Aを含む集団から識別することはより困難である;後者の分析において形成されたヘテロ接合体ビーズの多数は、純粋な赤色および緑色チャネルの境界に広がる。この精度への限界は、より一様なサイズの水性コンパートメントの調製を通して克服されうる。超音波処理または圧力駆動型乳化機は、より一様なコンパートメントを作製できる。
【0032】
フローサイトメトリーは、試料あたりたった何秒から何分までを必要とするが、複数の並行分析は処理量を促進することができる。新規な粒子計数設計は、この目的のために有用であることがわかりうる。処理量を増加させるもう一つの方法は、フローサイトメトリーの前にPCR産物を含んだビーズを物理的に分離することでありうる。これは、増幅中にPCR産物へ取り込まれた修飾ヌクレオチドに結合する抗体またはストレプトアビジンのようなタンパク質で達成されうる。
【0033】
本発明の方法は、任意の生物体もしくは生物体の集団の遺伝子または転写産物に適用されうる。これらは非限定的に以下のものを含む:ヒト、齧歯類、有蹄動物、哺乳動物、霊長類、ウシ、ヤギ、ブタ、ラット、マウス、酵母、家禽、魚、貝、イヌ、ネコ、ゼブラフィッシュ、蠕虫、藻類。DNAが最初に、ジスルフィドで処理されて、メチル化シトシン残基をチミジンへ変換する場合には、それは、メチル化のような後成的変化を定量するためにも用いられうる。上記のような個々の遺伝子からよりむしろ、全ゲノムのランダムな断片から作製されたビーズ(24)が、特異的DNA結合タンパク質に結合する遺伝子セグメントを同定するために用いられうる(25)。生成物ビーズが、コンパートメント化されたインビトロ転写-翻訳反応に用いられる場合には、変異体タンパク質は、対応する変異体DNA配列を含むビーズに結合しうる(23)。これは、野生型と突然変異体の遺伝子産物の間を識別する抗体を用いてまれな突然変異の容易なフローサイトメトリーの評価を可能にすることができる(26)。
【0034】
本発明は、本発明を行う現在において好ましい様式を含む特定の実施例に関して記載されているが、当業者は、添付された特許請求の範囲に示された本発明の真意および範囲内にある上記の系および技術の多数の変化ならびに置換があることを認識しているものと思われる。
【0035】
実施例
実施例1--材料および方法
段階1 - オリゴヌクレオチドのビーズへの結合。直径1.05+/-0.1 umのストレプトアビジンに共有結合性に結合した超常磁性ビーズをDynal Biotech, Inc. (650.01, Lake Success, NY)から購入した。ビーズを1x PCR緩衝液(53286, Invitrogen, Carlsbad, CA)で1回、洗浄し、その後、Bind and Wash Buffer(BWB)(5 mM トリス-HCl、0.5 mM EDTA、1.0 M NaCl、pH 7.5)に懸濁した。ビーズは、10 uM オリゴヌクレオチドの存在下、室温で30 min、BWBにおいてインキュベートした(図8)。これらのオリゴヌクレオチドは、6炭素リンカーにより分離されたビオチン基をもつ5'末端における2重のビオチン基(IDT, Coralville, IA)で修飾された。結合後、ビーズを1x PCR緩衝液で3回、洗浄し、結合していないオリゴヌクレオチドを完全に除去した。
【0036】
段階2 - マイクロエマルジョンの調製。PCRのためのマイクロエマルジョンを、以前に記載された方法のわずかな改変型により調製した(14)(15)。油相は、ミネラルオイル(Sigma M-3516)中、4.5% Span 80(S6760, Sigma, St. Louis, MO)、0.40% Tween 80(Sigma S-8074)、および0.05% Triton X-100(Sigma T-9284)から構成された。油相は、それぞれの日に新鮮に調製された。水相は、300 ulの総量において、67 mM トリス-HCl(pH 8.8)、16.6 mM NH4SO4、6.7 mM MgCl2、10 mM β-メルカプトエタノール、1 mM dATP、1 mM dCTP、1 mM dGTP、1 mM dTTP、0.05 uM フォワードプライマー、25 uM リバースプライマー、45ユニット Platinum Taq(Invitrogen 10966-034)、様々な量の鋳型DNA(結果参照)、および約108個のオリゴヌクレオチド結合ビーズからなる。フォワードプライマーは、配列が、段階1に記載されたものの3'側の20〜22ヌクレオチドと同一であるオリゴヌクレオチドであり、ビオチンで修飾されていなかった。
【0037】
油中水マイクロエマルジョンを、前に2 mlの丸底低温用バイアル(430661, Corning, Corning, NY)に置かれた400マイクロリットルの油相への200マイクロリットルの水相の滴下様式添加により調製した。滴下様式添加は、混合物をVWRモデル565Magnetic Stirrer上で磁気マイクロスターバー(58948-353, VWR, Plainfield, NJ)で1400 RPMにおいて撹拌し続けながら、約1分間に渡って行われた。水相の添加後、混合物は、30分間の総時間、撹拌され続けた。磁気スターラーの中央に置かれたラックに2つのチューブを置くことにより、一度に、2つのエマルジョンが作製された。
【0038】
段階3 - PCRサイクリング。エマルジョンを、それぞれ100 ulを含むように、96ウェルPCRプレートの5つのウェルへ分注した。PCRを以下のサイクリング条件下で行った:94℃で2分間;94℃で15秒間、57℃で30秒間、70℃で30秒間の40サイクル。この研究で分析されるPCR産物は、189 bpから239 bpまでの範囲であった。
【0039】
段階4 - ビーズの磁気的捕獲。PCRサイクリング後、PCRプレートの5つのウェルからのマイクロエマルジョンをプールし、1.5 ml チューブ(Corning 430909)において800マイクロリットルのNX緩衝液(1% Triton X-100、10 mM トリス-HCl、pH 7.5、1 mM EDTAを含む100 mM NaCl)の添加により破壊した。約20秒間のボルテックス後、ビーズを、8000 rpm(5000 g)で90秒間の微量遠心機における遠心分離によりペレットにした。約300マイクロリットルの水相を除く上部油相およびすべてを、チューブから除去し、600マイクロリットルのNX緩衝液を加えた。20秒間のボルテックスおよび90秒間の遠心分離後、約300マイクロリットルの水相を除く上部油相およびすべてを、チューブから除去した。600マイクロリットルのNX緩衝液の添加、ボルテックスおよび遠心分離をもう一度、繰り返し、約300マイクロリットルの水相を除く上部油相およびすべてを、チューブから除去した。チューブを、その後、磁石(Dynal MPC-S)上に置き、残りの上清を注意深く、ピペットで取り除いた。ビーズを、遠心分離よりむしろ磁気的分離を用いて1x PCR緩衝液でさらに3回、洗浄し、最後に、100マイクロリットルの1x PCR緩衝液に再懸濁した。
【0040】
段階5 - 配列区別。2つのオリゴヌクレオチドプローブを各反応について用いた。一つは、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)で5'標識され、一方の対立遺伝子に特異的であり、第二のものは、ビオチンで5'標識され、他方の対立遺伝子に特異的であった。プローブは、IDTにより合成された。30マイクロリットルのハイブリダイゼーション反応物は、1x PCR緩衝液中に10 uMの各プローブおよび5百万〜2千5百万個のビーズを含んだ。反応は、94℃まで30秒間加熱し、その後、1秒あたり0.5℃の速度で75℃まで冷却し、1秒あたり0.2℃で45℃まで冷却し、最後に1秒あたり1℃で30℃まで冷却することによりサーマルサイクラー上のPCRプレートにおいて行われた。すべてのその後の段階は、室温で行われた。反応物を、96ウェルCostarプレート(Corning 3797)へ移し、96ウェル磁石上に置いた。ビーズを、2分間磁石に曝すことにより磁気的に収集した。上清を除去し、ビーズを、ピペットで取って2分間収集することにより、1x PCR緩衝液で3回、洗浄した。それらを、最後に、100マイクロリットルのB-PCR緩衝液(1x PCR緩衝液中に1 mg/mL BSA)に再懸濁した。ビーズをその後、B-PCR緩衝液中に3 ugのAlexa-488ウサギ抗フルオレセイン抗体(Molecular Probes A-11090, Eugene, OR)および3 ugのR-フィコエリトリンで標識されたNutravidin(Molecular Probes A-2660)を含む総量100マイクロリットルのB-PCR緩衝液において10分間、インキュベートした。ビーズを、上記のように、3回洗浄し、B-PCR緩衝液に再懸濁した。それらをその後、6 ugのAlexa-488結合ニワトリ抗ウサギ抗体(Molecular Probes A-21441)および3 ugのビオチン化ヤギ抗アビジン抗体(BA-0300, Vector Laboratories, Burlingame, CA)を含む総量100マイクロリットルのB-PCR緩衝液において10分間、インキュベートした。ビーズを上記のように3回洗浄し、B-PCR緩衝液に再懸濁した。それらをその後、3 ugのAlexa-488結合ヤギ抗ニワトリ抗体(Molecular Probes A-11039)および3マイクログラムのR-フィコエリトリン標識ストレプトアビジン(Molecular Probes S-866)を含む総量100マイクロリットルのB-PCR緩衝液において10分間インキュベートした。この溶液をその後、1x PCR緩衝液でさらに3回洗浄し、20マイクロリットルの1x PCR緩衝液に再懸濁した。
【0041】
段階6 - フローサイトメトリー。ビーズ懸濁液を、10 mM トリス-HCl、1 mM EDTA(351-010-131, Quality Biological, Inc., Gaithersburg, MD)に1 mlあたり約106個から107個までのビーズの濃度まで希釈し、LSR機器(BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ)を用いて分析した。機器は、2つの蛍光色素間を識別するアルゴンレーザーおよび光学フィルターを用いる標準的2色分析について、設定された。主要なビーズ集団がよく分離されているため、スペクトルのデコンボルーションは必要とされなかった。場合によっては、スキャニングは、FACScanまたはFACSCalibur機器(BD Biosciences)で行われ、同等の結果を生じた。ソーティングは、FACS Vantage SE機器(BD Biosciences)で行われた。
【0042】
鋳型調製および配列分析。ヒトゲノムDNAをDNeasy(69504, Qiagen, Valencia, CA)で精製した。RNAをQuickprep(27-9255-01, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)で精製した。RNAの逆転写は、Superscript II逆転写酵素(Invitrogen 18064014)を用いて、製造会社の使用説明書に従って行われた。鋳型としてゲノムDNAまたは逆転写産物を用いるPCRは、記載されているように(7)行われた。BEAMingまたはシーケンシングのために鋳型として用いられうるPCR産物は、QIAquick(Qiagen 28104)で精製された。シーケンシング反応は、Big Dye v3.0試薬(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて行われ、キャピラリー電気泳動(Spectrumedix 9600, State College, PA)により分析された。
【0043】
実施例2--結果
段階1 - オリゴヌクレオチドのビーズへの結合。本発明者らは、ストレプトアビジン-ビーズを、ビオチン化オリゴヌクレオチドをそれらに結合することの簡単さという理由で用いた。ただ単一の5'ビオチン基をもつオリゴヌクレオチドは、温度サイクリング中にビーズから解離することが見出されたが、それらの5'末端に二重ビオチン基(6炭素リンカーにより分離された)で標識されたオリゴヌクレオチドはサイクリングに対して安定していた。6-FAMおよびビオチンで二重に標識されたオリゴヌクレオチドの蛍光透視測定により測定される場合、約105個のオリゴヌクレオチド分子が各ビーズに結合していた。本発明者らは、短いオリゴヌクレオチド(20塩基)がより長いもの(41 bp)ほどプライミングについて十分に働かないことを見出したが、おそらく、ビーズ表面における立体障害のためと思われる。対応する反応基で修飾されたビーズへ共有結合性に結合したアミノ-、スルフヒドリル-、またはカルボキシ-修飾されたオリゴヌクレオチドもまた、BEAMingのためのビーズ結合プライマーとして機能することができる可能性が高い。
【0044】
段階2 - マイクロエマルジョンの調製。個々の水性コンパートメントのサイズは、直径が1ミクロン未満から>10ミクロンまでの範囲であった(図2)。本発明者らは、200マイクロリットルの水溶液および400マイクロリットルの油を含む乳濁液は、5ミクロンの平均直径をもつ約3 x 109個のコンパートメントを含むと推定した。約30個のコンパートメントに1個のみがビーズを含むように、各乳濁液において約108個のビーズが含まれた。鋳型の最適量は、約6個のコンパートメントに1個が鋳型分子を含むように、約5x108個の分子であると経験的に決定された。
【0045】
段階3 - PCRサイクリング。ビーズに結合したオリゴヌクレオチドによるPCRプライミングは、溶液中に遊離している場合の同じオリゴヌクレオチドによるプライミングと比較して非常に非効率的であることが見出された。こういう訳で、ビーズに結合したビオチン化オリゴヌクレオチドと配列において同一である、少量の非ビオチン化フォワードプライマーを反応物に含めた。これは、各水性コンパートメント内での単一鋳型の増幅の最初の数回のラウンドを促進した。追加のプライマーの非存在下において、ビーズ上での検出可能な増幅は、生じなかった。逆に、多すぎる追加のプライマーが含まれる場合には、溶液におけるプライマーとの競合のために、ビーズ上の増幅は生じなかった。過剰なリバースプライマーを、ポリメラーゼにより伸長されるビーズ結合オリゴヌクレオチドがさらなる増幅サイクルのための鋳型として働く可能性を最大限にするように、水性コンパートメントに含めた。
【0046】
段階4 - ビーズの磁気的捕獲。有機物での抽出(14)を含む、油中水エマルジョンを破壊するいくつかの方法がある。本発明者らは、単に非イオン性界面活性剤を加えることが、ビーズまたはそれらに結合したDNA分子の任意の検出可能な修飾なしに、相分離を生じることを見出した。制限エンドヌクレアーゼ消化後にビーズから遊離されうるDNAの量を測定することにより、本発明者らは、>10,000個の伸長されたPCR産物がビーズあたり平均して存在したと推定した。
【0047】
段階5 - 配列区別。均一なまたは2相アッセイ法において対立遺伝子を識別するためのたいていの蛍光に基づいた方法は、ビーズに捕獲された対立遺伝子変異を評価するために用いられうる。これらの方法は、単一のヌクレオチド伸長、対立遺伝子特異的プライミングまたはハイブリダイゼーションを含む。本発明者らは、一般的に、識別のためにフルオレセイン結合またはビオチン結合オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを用いた。図1および図8に示されているように、これらのオリゴヌクレオチドは、ステム-ループ構造をもち、ループの中央は変異体ヌクレオチドを含んだ。この設計は、分子ビーコン(Molecular Beacons)の研究に基づいており、ステム-ループ構造が対立遺伝子識別を著しく向上させることが示された(16)。本発明者らが用いたオリゴヌクレオチドは、消光群の必要性がない点において分子ビーコンとは異なった。そのような消光は、ハイブリダイズされていないオリゴヌクレオチドがアッセイの前に反応物から除去されることができない場合、均一なアッセイ法に必要とされるが、ビーズと共に用いられるもののような固相アッセイ法については必要ではない。
【0048】
段階6 - フローサイトメトリー。フローサイトメトリーにおける最適な結果は、ビーズにおける高蛍光性シグナルに依存する。本発明者らは、一般的に、二次試薬でハイブリダイゼーションプローブから放射する蛍光を増強した。例えば、Alexa 488 − 標識された抗体は、フルオレセイン結合オリゴヌクレオチドプローブから放射するシグナルを増強するために用いられた。同様に、R-フィコエリトリン標識ストレプトアビジンは、ビオチン標識オリゴヌクレオチドプローブからのシグナルを発生させるために用いられた。2つまたは3つのレーザーおよび適切なフィルターを備えたフローサイトメトリーは、複対立遺伝子座位を識別する、および同時に数個の遺伝子の多重分析を行う能力をもつ。フローサイトメトリーの最も新しい世代はまた、1秒あたり>70,000事象を分析することができる。フローサイトメトリーの分析力に加えて、FACS機器は、さらなる分析のためにビーズの特定の集団を分離することができる。
【0049】
実施例3--マイクロエマルジョンの特徴
パイロット実験は、材料および方法に記載された水-油混合物を単に撹拌することが、ビーズのサイズと適合するサイズの非常に安定したマイクロエマルジョンを生成することを実証した。図2に示された実験において、水性コンパートメントは、青色色素、および5'末端でビオチン化され、かつ3'末端でフルオレセインで標識されたオリゴヌクレオチドに結合することにより標識された1ミクロンの磁気ビーズを含んだ。それらの形成直後のエマルジョンの外観は図2に示されている。予想どおり、この外観は、PCR中の温度サイクリング後、変化しなかった(15)。前のセクションで提供された図から予想されるとおり、たいていの水性コンパートメントはビーズを含まなかった。ビーズを含むそれらのコンパートメントは、一般的に、1個のみを含んだが、ポアソン分布および一様ではない水性コンパートメントサイズから予想されるとおり、画分はより多くを含んだ。両方の対立遺伝子を示すPCR産物を含む「ヘテロ接合性」ビーズは、2個またはそれ以上のDNA鋳型分子が単一の水性コンパートメント内に含まれる場合に生じる。そのようなヘテロ接合体は、場合によっては分析の精度を損なうことがある(考察参照)。
【0050】
実施例4--ホモ接合体およびヘテロ接合体の検出
図3は、ヒトDNA試料で得られた典型的結果を示す。この実験で用いられたMID42マーカーは、Weberおよび同僚により構築された二対立遺伝子の短い挿入/欠失多型のコレクションから選択された(17)。これらの対立遺伝子は、各座位における2つの対立遺伝子が約4塩基だけ異なるため、ハイブリダイゼーションプローブで識別することは特に簡単である。長い方(L)の対立遺伝子についてのプローブは、フルオレセイン(緑色)で標識され、短い方(S)の対立遺伝子についてのプローブは、R-フィコエリトリン(赤色)で標識された。
【0051】
図3Aは、BEAMing後のビーズの側方散乱光対前方散乱光のプロットを示す。一般的に、ビーズの>75%は、単一粒子として分散し、残りは2つまたはそれ以上の群に凝集した。その後のフローサイトメトリー分析は、図3Aに概略が示されているようにゲーティングされたシングレットビーズに限定された。
【0052】
図3B〜Dは、様々な鋳型で作製されたゲーティングされたビーズの密度プロットを示す。図3Bにおいて、L対立遺伝子についてホモ接合性の個体由来の鋳型がエマルジョンに含まれた。ビーズの2つの集団は、明らかであった。ビーズの98%は、PCR産物を含まず(黒色)、残りの2%は、FL1チャネルにおいて蛍光を発した(図3において緑色に色づけされた)。図3Cは、S対立遺伝子についてホモ接合性の個体の分析を示す。ビーズの2つの集団は、この場合もやはり、明らかであったが、今回は、標識された集団がFL2チャネルにおいて蛍光を発した(図3において赤色に色づけされた)。図3Dは、MID42座位においてヘテロ接合性の個体の分析からの密度プロットを示す。ビーズの4つの集団は明らかである:黒色領域は少しのPCR産物も含まないビーズを表し、赤色領域はL対立遺伝子からのPCR産物を含むビーズを表し、緑色はS対立遺伝子からのPCR産物を含むビーズを表し、青色領域は両方の対立遺伝子からのPCR産物を含むビーズを表す。両方の対立遺伝子からのPCR産物を含むビーズは、1個より多い鋳型分子を含む水性コンパートメント由来であった。より多くの鋳型分子が加えられるにつれて、青色ビーズの数は、非線形様式で増加した。極端な場合、すべての水性コンパートメントが飽和した場合、事実上、すべてのビーズが青色として表れるであろう。操作上、本発明者らは、いくらかのPCR産物を含むビーズの数が分析される総ビーズの<10%である場合、ビーズ集団は最も明瞭であることを見出した。
【0053】
実施例5--鋳型としてのPCR産物、ゲノムDNAまたはcDNA
図3に示された結果は、ヒトゲノムDNA試料から作製されたPCR産物を用いて生じた。S対立遺伝子を表すビーズに対するL対立遺伝子を表すビーズの比率はこの実験において1.0であったため、最初のPCRはどちらの対立遺伝子も優先的には増幅しなかったことは明らかであった。ゲノムDNAよりむしろPCR産物の使用は、多数の対立遺伝子が少量の出発DNAでさえからも増幅されるのを可能にする。一般的に、サイズ200 bpのPCR産物の10〜100ピコグラムが、約1%から10%までの標識ビーズにおいて、BEAMing、プライマーのPCR仲介型伸長を生じるために最適であることが見出された。
【0054】
場合によっては、BEAMingのための鋳型としてPCR産物よりむしろゲノムDNAを用いることが有用でありうる。図4Aおよび図4Bにおけるデータは、10 ugまたは1 ugのヒトゲノムDNAがMID42座位におけるBEAMingのための鋳型として用いられている、実験からのフローサイトメトリーのデータを示す。PCR産物が鋳型として用いられた場合より少ないビーズが標識されたが、図3に示されたものと非常に類似したパターンが観察された。
【0055】
BEAMingはまた、ヘテロ接合性個体の2つの対立遺伝子からの発現における変異を分析するために用いられうる。同じ遺伝子の個々の対立遺伝子からの発現における遺伝的変異は、しばしば、ヒト(18)およびマウス(19)に起こることが示され、有意な表現型効果を生じうる(20)。図4Cおよび図4Dに示された結果は、逆転写されるmRNAから作製されたPCR産物がBEAMingのために用いられうることを示す。この場合、一塩基多型(SNP)により異なるカルパイン-10転写産物が分析された。これらのようなSNPについて、多型ヌクレオチドに隣接した余分のミスマッチしたヌクレオチドを取り込んだプローブ(図8参照)は、対立遺伝子間の識別を向上させることができる(21)(22)。同じRT-PCR産物のアリコートで作製された2つの独立したエマルジョンからの結果は、再現性を例証するために示されている。BEAMingにおける鋳型として機能するビーズの数は、同一の鋳型での実験の間で3倍まで変動したが、2つの対立遺伝子を表すビーズの割合は再現可能であった(それぞれ、図4Cにおける775個のA対立遺伝子ビーズ対690個のG対立遺伝子ビーズ、および図4Dにおける1380個のA対立遺伝子ビーズ対1227個のG対立遺伝子ビーズ)。
【0056】
実施例6--DNA集団における少数変異体の分析
まれな変異の分析は、高いシグナル対ノイズ比を保持しながら、独立して分析されうる多数の分子のために、BEAMingによる分析に理想的に適している。図5Aは、MID42のL対立遺伝子の1%、2%、3%および4%を表す鋳型からの代表的データを示す。0.99の相関係数をもつこれらの測定の線形性は、そのような適用のためのこのアプローチの有用性を実証している。本発明者らはまた、この分析をKRASの検出に適用し、野生型分子の集団へスパイクした場合、0.1%突然変異体を容易に観察することができた(データ示さず)。
【0057】
突然変異体対立遺伝子を表すまれなビーズは、定量されうるだけでなく、その後の分析のために精製されうる。実証として、図5Aにおいて数えられたビーズの試料は、ソーティング能力を備えたフローサイトメトリーを用いてさらに評価された。ビーズはソーティングされ、個々のビーズは、BEAMingに用いられる同じプライマーを用いる通常のPCRのための鋳型として用いられた。各ビーズは、何千個という結合した鋳型分子を含むため、単一ビーズは、頑健なPCR産物を生成することが予想され(23)、これは実験的に確認された。これらのPCR産物は、その後、シーケンシングにかけられた。図5Bおよび図5Cに示されているように、緑色および赤色ビーズは、それぞれ、L型およびS型について独占的にPCR産物を生成した。
【0058】
実施例7--ビーズへハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの電気泳動
100 bp産物を実施例1、段階1〜4に記載されているようにビーズ上で増幅した。2つのFAM標識オリゴヌクレオチド(50塩基長および20塩基長)を、ビーズ上の100 bp産物へアニールした。その後、ビーズを、卵形の配置でアクリルアミドゲルに包埋した(通常のトリス-ホウ酸-EDTA電気泳動緩衝液を用いて)。電場(250 V)は、変性条件下で3分間加えられた。標識されたオリゴヌクレオチドは、ビーズから離れて移動し、それらのサイズに関連した距離を移動した。図7を参照。ビーズの卵形の保持により証明されているように、ほとんど拡散はなかった。
【0059】
実施例8--ビーズに固定された鋳型のシーケンシング
サンガー型(ジデオキシヌクレオチド)シーケンシングは、実施例1に記載されているように、ビーズ上で増幅されたオリゴヌクレオチドを鋳型として用いて行われた。個々のビーズを、ジデオキシヌクレオチド阻害剤の存在下でプライマー伸長条件にかける。その後、ビーズを、変性条件下で電気泳動にかけ、ジデオキシヌクレオチド終結したプライマー伸長オリゴヌクレオチドを長さに基づいて分離する。配列は、プライマー伸長オリゴヌクレオチドの長さに基づいて編集される。
【0060】
引用された参照文献:


【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】BEAMing法の概略図である。段階1 - ストレプトアビジンで共有結合性にコーティングされた磁気ビーズを、ビオチン化オリゴヌクレオチド(「オリゴ」)に結合させる。段階2 - PCRのためのすべての必要な成分、加えてプライマー結合ビーズおよび鋳型DNAを含む水性混合物を、マイクロエマルジョンを形成するように油/界面活性剤混合物と共に撹拌する。水性コンパートメント(灰色の油層における白色の円)は、平均<1鋳型分子および<1ビーズを含む。赤色および緑色の鋳型は、配列が1個または多数のヌクレオチドだけ異なる2つの鋳型分子を表す。段階3 - マイクロエマルジョンは、通常のPCRにおいてのように温度サイクリングされる。DNA鋳型およびビーズが単一の水性コンパートメントにおいていっしょに存在する場合には、ビーズに結合したオリゴヌクレオチドは、増幅のためのプライマーとして働く。ビーズに連結した赤色および緑色の直線は、2つの異なる種類の鋳型からの伸長産物を表す。段階4 - エマルジョンを破壊し、ビーズを磁石で精製する。段階5 - 変性後、ビーズを、異なる種類の鋳型の配列間を識別することができるオリゴヌクレオチドとインキュベートする。その後、蛍光標識された抗体が、結合したハイブリダイゼーションプローブを標識するために用いられる。これは、PCR産物を含むビーズを適切なレーザー励起により赤色または緑色として表示する。段階6 - フローサイトメトリーが、赤色および緑色のビーズを数えるために用いられる。
【図2】典型的マイクロエマルジョンの写真である。マイクロエマルジョンは、水性コンパートメントがカスケードブルー(cascade blue)標識dCTPを含み、かつビーズがR-フィコエリトリン(赤色)またはAlexa 488(緑色)であらかじめ標識されていることを除いて、下に記載されているように作製された。1マイクロリットルのマイクロエマルジョンを、写真撮影の前に、顕微鏡スライド上の1マイクロリットルの油に沈殿させた。この写真に見える7つの水性コンパートメントのうち、2つがビーズを含む。水性コンパートメントの不均一なサイズに注目されたい(ビーズは直径が1.05ミクロンである)。
【図3】図3A〜図3Dは、BEAMingから得られたフローサイトメトリーのデータの密度プロットを示す。この実験において問われた座位はMID42であり、ゲノムDNAから生成されたPCR産物がマイクロエマルジョンにおいて鋳型として用いられた。(図3A)すべてのビーズの前方散乱光(FSC)および側方散乱光(SSC)は、総ビーズの約80%がシングレットであり、残りのビーズの大部分はダブレットとして凝集していることを示す。「ノイズ」は機器によるものであり、ビーズを含まない空の試料で観察される。機器出力は、シングレットのみが蛍光分析について分析された。L対立遺伝子についてホモ接合性(図3C)、S対立遺伝子についてホモ接合性(図3B)、ならびにLおよびSについてヘテロ接合性(図3D)の個体から観察されたパターンが示されている。LおよびS対立遺伝子プローブにハイブリダイズするビーズを含む領域は、それぞれ、緑色および赤色に標識される。いずれのプローブにもハイブリダイズしなかったビーズを含む領域は黒色であり、両方のプローブにハイブリダイズしたビーズを含む領域は青色である。青色ビーズは、両方の型の鋳型分子が存在している水性コンパートメントから起こった。プローブの少なくとも1つにハイブリダイズしたシングレットビーズの割合は、図3B〜図3D、それぞれにおいて、2.9%、4.3%および20.3%であった。図3AにおけるFSCおよびSSCプロットは、図3Dにおいて分析された同じビーズを表している。
【図4】図4A〜図4Dは、鋳型としてゲノムDNAまたはRT-PCR産物を用いるBEAMingの密度プロットを示す。図4Aおよび図4Bにおけるデータは、MID42座位を問う、マイクロエマルジョンに、それぞれ、10 ugおよび1 ugのヒトゲノムDNAを含むことにより作成された。図4Cおよび図4Dにおけるデータは、カルパイン-10座位を問う、リンパ芽球状細胞のcDNAから合成されたPCR産物の約50ピコグラムを含むエマルジョンを用いて作成された。緑色および赤色領域は、MID42についてのLおよびS対立遺伝子、ならびにカルパイン-10についてのAおよびG対立遺伝子に対応する。赤色または緑色ビーズを含む輪郭線で描かれた領域におけるビーズの数は、各場合において示されている。プローブの少なくとも1つとハイブリダイズするシングレットのビーズの割合は、図4A〜図4Dのそれぞれにおいて、1.2%、0.6%、6.8%および4.2%であった。図4Aおよび図4Bにおける計数のために用いられた輪郭線で描かれた領域は同一であり、図4Cおよび図4Dについて用いられたものも同一であった。いずれのプローブにもハイブリダイズしなかったビーズは、ゲーティングされて除かれ、それゆえに、グラフでは明らかではなく、一方、両方のプローブにハイブリダイズしたビーズを含む領域は青色に標識されている。
【図5】図5A〜図5Cは、DNA集団の少数画分に存在する変異体の検出および確証を示す。(図5A)MID42の0%〜4%のL対立遺伝子を含むPCR産物の混合物が、BEAMingのために用いられた。図3に示されたもののようなフローサイトメトリーが、赤色であったシングレットのビーズの画分(y軸)を測定するために用いられた。プローブの少なくとも1つにハイブリダイズしたシングレットのビーズの割合は、3.2%から4.3%まで変動した。(図5Bおよび図5C)ビーズは、FACS Vantage SE機器でソーティングされ、個々の赤色または緑色ビーズは、図8に列挙されたフォワードおよびリバースプライマーを用いる通常のPCRのための鋳型として用いられた。赤色ビーズは、S対立遺伝子配列(図5B;SEQ ID NO:1)のみを生成し、緑色ビーズは、L対立遺伝子配列(図5C;SEQ ID NO:2)のみを生成した。
【図6】図6A〜6Bは、マイクロエマルジョンの水相における寒天の使用を実証している。水性コンパートメントに1.5%アガロースを含むことにより形成されたエマルジョンバブルが示されている。図6Aは、それらの中に蛍光を有するバブルを示す。図6Bは、バブルの暗視野画像を示し、バブルのうちの1つがその中にビーズを含んでいる。エマルジョンを破壊した後、磁気ビーズを含む液滴は、遠心分離により回収され、濾過またはフローソーティングによりサイズ分画されうる。
【図7】ビーズ上で100 bp産物にハイブリダイズした、2つのFAM標識オリゴヌクレオチド、50塩基長および20塩基長、の変性電気泳動を示す。ビーズは、卵形の配置でアクリルアミドゲルに包埋され、電場が加えられた。標識オリゴヌクレオチドはビーズから離れて移動し、それらのサイズに比例した距離を移動した。
【図8】用いられたオリゴヌクレオチドを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビーズを含む組成物であって、該複数のビーズのそれぞれが複数の結合したポリヌクレオチドを含み、組成物におけるポリヌクレオチドが不均一であり、かつ該ビーズの少なくとも1%における複数の結合したポリヌクレオチドが均一である、組成物。
【請求項2】
ビーズの少なくとも5%における複数の結合したポリヌクレオチドが均一である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ビーズの少なくとも10%における複数の結合したポリヌクレオチドが均一である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
ビーズの少なくとも50%における複数の結合したポリヌクレオチドが均一である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
複数の結合したポリヌクレオチドが100個より多い、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
液体である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
アガロースを含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
組成物におけるポリヌクレオチドが一塩基多型(SNP)により異なる、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
組成物におけるポリヌクレオチドが突然変異の存在または非存在の点で異なる、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
組成物におけるポリヌクレオチドが挿入の存在または非存在の点で異なる、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
組成物におけるポリヌクレオチドが多型の存在または非存在により異なる、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
ビーズが磁性である、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
ポリヌクレオチドの少なくとも1種が蛍光色素で標識されている、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
標識されたオリゴヌクレオチドを介して標識化が行われている、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
1つまたは複数の標識された抗体を介して標識化が行われている、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
結合したポリヌクレオチドが試験試料における鋳型の増幅により作製され、複数の結合したポリヌクレオチドが均一であるビーズが、ポリヌクレオチドの少なくとも第一種および第二種を含み、ポリヌクレオチドの第一種を含むビーズおよびポリヌクレオチドの第二種を含むビーズが、ポリヌクレオチドの第一種および第二種が試験試料において存在しているのと同じ比率で組成物に存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
水性コンパートメントを形成する複数のマイクロエマルジョンを含む液体組成物であって、該水性コンパートメントの少なくとも一部は以下のものを含み:
ビーズ;
ポリヌクレオチド鋳型;および
該鋳型を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー;
オリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも一部はビーズに結合している、液体組成物。
【請求項18】
フォワードおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項19】
水性コンパートメントが0.5ミクロン〜50ミクロンの平均直径を有する、請求項17記載の液体組成物。
【請求項20】
水性コンパートメントの10,000個のうち少なくとも1個がビーズを含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項21】
水性コンパートメントの1/100から1までがビーズを含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項22】
水性コンパートメントの1/50から1までがポリヌクレオチド鋳型分子を含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項23】
ビーズが磁性である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項24】
水性コンパートメントあたりの鋳型分子の平均数が1未満である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項25】
DNAポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオチドをさらに含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項26】
水性コンパートメントの平均直径が1ミクロン以上10ミクロン以下である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項27】
水性コンパートメントの平均直径が11ミクロン以上100ミクロン以下である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項28】
水性コンパートメントの平均直径が約5ミクロンである、請求項17記載の液体組成物。
【請求項29】
各オリゴヌクレオチドプライマーが少なくとも12ヌクレオチド長である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項30】
各オリゴヌクレオチドプライマーが25ヌクレオチドから55ヌクレオチドである、請求項17記載の液体組成物。
【請求項31】
オリゴヌクレオチドプライマーのビーズへの結合が共有結合性である、請求項17記載の液体組成物。
【請求項32】
ビオチン-ストレプトアビジン結合ペアを介してオリゴヌクレオチドプライマーがビーズへ結合している、請求項17記載の液体組成物。
【請求項33】
ビーズに結合しているフォワードまたはリバースオリゴヌクレオチドプライマーが少なくとも2つのビオチン部分を含む、請求項32記載の液体組成物。
【請求項34】
水性コンパートメントがアガロースを含む、請求項17記載の液体組成物。
【請求項35】
以下の段階を含む、ヌクレオチド配列変異を分析するための方法:
分析物DNA分子の1つまたは複数の種を含むマイクロエマルジョンを形成する段階;
試薬ビーズの存在下においてマイクロエマルジョンにおける分析物DNA分子を増幅する段階であって、試薬ビーズが、分析物DNA分子を増幅するためのプライマーの複数の分子に結合しており、分析物DNA分子の1つの種の複数のコピーに結合している生成物ビーズが形成される、段階;
生成物ビーズを、生成物ビーズに結合していない分析物DNA分子から分離する段階;
生成物ビーズに結合している分析物DNA分子の1つの種の配列特徴を決定する段階。
【請求項36】
分析物DNA分子の第一種の複数のコピーに結合している生成物ビーズを、分析物DNA分子の第二種の複数のコピーに結合している生成物ビーズから単離する段階をさらに含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
単離段階が蛍光活性化セルソーティングを用いて行われる、請求項36記載の方法。
【請求項38】
分析物DNA分子の第一種を生成物ビーズから回収する段階をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
単離された生成物ビーズ由来の分析物DNA分子の第一種を増幅する段階をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項40】
分析物DNA分子の第一種の配列を決定する段階をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項41】
増幅段階が、マイクロエマルジョンに存在する試薬ビーズの10%未満を生成物ビーズへ変換する、請求項35記載の方法。
【請求項42】
分離段階の前に、マイクロエマルジョンが1つまたは複数の界面活性剤の添加により破壊される、請求項35記載の方法。
【請求項43】
決定段階が、異なって標識されているオリゴヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションにより行われる、請求項35記載の方法。
【請求項44】
1つまたは複数の配列特徴を含む生成物ビーズの相対的または絶対的量が測定される、請求項35記載の方法。
【請求項45】
相対的または絶対的量がフローサイトメトリーを用いて測定される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
増幅段階が、試薬ビーズに結合していないプライマーの追加のコピーを用いる、請求項35記載の方法。
【請求項47】
分析物DNA分子がゲノムDNAである、請求項35記載の方法。
【請求項48】
分析物DNA分子がcDNAである、請求項35記載の方法。
【請求項49】
分析物DNA分子がゲノムDNAから作製されたPCR産物である、請求項35記載の方法。
【請求項50】
分析物DNA分子がcDNAから作製されたPCR産物である、請求項35記載の方法。
【請求項51】
分析物DNA分子が単一個体由来である、請求項35記載の方法。
【請求項52】
分析物DNA分子が個体の集団由来である、請求項35記載の方法。
【請求項53】
試薬ビーズが磁性である、請求項35記載の方法。
【請求項54】
配列特徴を決定する段階が、1つまたは複数の標識デオキシリボヌクレオチドでのプライマーの伸長により行われる、請求項35記載の方法。
【請求項55】
以下のものを含む、固体支持体に結合しているポリヌクレオチドへのハイブリダイゼーションにおける使用のためのプローブ:
5'末端または3'末端の1つにホトルミネセンス色素を有するステム-ループ構造をもつオリゴヌクレオチドであって、反対側の5'末端または3'末端に消光剤を含まない、オリゴヌクレオチド。
【請求項56】
突然変異体選択遺伝子配列へよりも良く野生型選択遺伝子配列へハイブリダイズする、請求項55記載のプローブ。
【請求項57】
野生型遺伝子配列へよりも良く突然変異体遺伝子配列へハイブリダイズする、請求項55記載のプローブ。
【請求項58】
以下のものを含む、分子プローブのペア:
5'末端または3'末端の1つに第一ホトルミネセンス色素を有するステム-ループ構造をもつ第一オリゴヌクレオチドであって、反対側の5'末端または3'末端に消光剤を含まず、突然変異体選択遺伝子配列へよりも良く野生型選択遺伝子配列へハイブリダイズする、第一オリゴヌクレオチド;および
5'末端または3'末端の1つに第二ホトルミネセンス色素を有するステム-ループ構造をもつ第二オリゴヌクレオチドであって、反対側の5'末端または3'末端に消光剤を含まず、野生型選択遺伝子配列へよりも良く突然変異体選択遺伝子配列へハイブリダイズする、第二オリゴヌクレオチド;
ここで、第一および第二ホトルミネセンス色素は異なる。
【請求項59】
以下の段階を含む、ヌクレオチド配列変異体を単離するための方法:
分析物DNA分子の1つまたは複数の種を含むマイクロエマルジョンを形成する段階;
試薬ビーズの存在下においてマイクロエマルジョンにおける分析物DNA分子を増幅する段階であって、試薬ビーズが、分析物DNA分子を増幅するためのプライマーの複数の分子に結合しており、分析物DNA分子の1つの種の複数のコピーに結合している生成物ビーズが形成される、段階;
生成物ビーズを、生成物ビーズに結合していない分析物DNA分子から分離する段階;
分析物DNA分子の第一種の複数のコピーに結合している生成物ビーズを、分析物DNA分子の第二種の複数のコピーに結合している生成物ビーズから単離する段階。
【請求項60】
単離段階が蛍光活性化セルソーティングを用いて行われる、請求項59記載の方法。
【請求項61】
分析物DNA分子の第一種を生成物ビーズから回収する段階をさらに含む、請求項59記載の方法。
【請求項62】
単離された生成物ビーズ由来の分析物DNA分子の第一種を増幅する段階をさらに含む、請求項59記載の方法。
【請求項63】
分析物DNA分子の第一種の配列を決定する段階をさらに含む、請求項59記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−527214(P2007−527214A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518618(P2006−518618)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/015587
【国際公開番号】WO2005/010145
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504394146)ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ (4)
【氏名又は名称原語表記】THE JOHNS HOPKINS UNIVERSITY
【Fターム(参考)】