説明

部分探索搬送波位相整数アンビギュイティ決定

全地球航法衛星システムにおいて整数アンビギュイティ決定を実施する方法を開示する。衛星の特定されたセット内の衛星から受信される信号のうちの少なくとも幾つかの搬送波位相測定に関連付けられるアンビギュイティのセットを特定する(図4Aのブロック420)。整数アンビギュイティを推定し、整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求める(ブロック430)。整数アンビギュイティ値の最良セットが識別試験を満たさないと判断する(ブロック440)と、最良候補セット及び次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が所定の基準を満たさない各アンビギュイティをアンビギュイティのセットから除去し、アンビギュイティの低減されたセットを生成する(図4Bのブロック450)。その後、アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定し(図4Cのブロック468)、決定された整数アンビギュイティに従って出力を生成する(図4Cのブロック470)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施の形態は、包括的には、全地球測位システム(GPS)又は欧州ガリレオシステムのような測位システムに関し、より詳細には、このような測位システムにおける移動受信機によって行われる搬送波位相測定における整数アンビギュイティを決定する方法に関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、2007年5月31日に出願された米国仮特許出願第60/941,271号「Partial Search Carrier-Phase Integer Ambiguity Resolution」に対する優先権を主張する。該米国仮特許出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0003】
本願は、2008年5月12日に出願された米国特許出願第12/119,451号「Distance Dependent Error Mitigation in Real-Time Kinematic (RTK) Positioning」(代理人整理番号第60877−5019−US)に関する。該出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0004】
全地球測位システム(GPS)のような広域測位システムは、衛星群を使用して地球上の物体を測位又はナビゲートする。GPSシステムにおける各衛星は現在、それぞれ1.5754GHz及び1.2276GHzの周波数と0.1903m及び0.2442mの波長とを有する2つの搬送波信号L1及びL2を送信する。現代的なGPSシステム及びガリレオシステムのような次世代全地球航法衛星システム(GNSS)は第3の搬送波信号L5を提供する。GPSシステムにおいて、L5は、1.1765GHzの周波数と0.2548mの波長とを有する。
【0005】
2つのタイプのGPS測定、すなわち擬似距離測定及び搬送波位相測定がGPS受信機によって通例行われる。
【0006】
擬似距離測定値(又はコード測定値)は、全てのタイプのGPS受信機がもたらすことができる基本的なGPS可観測量である。擬似距離測定は、搬送波信号上に変調されるC/Aコード又はPコードを利用する。GPS測定が利用可能である場合、GPS受信機と複数の衛星のそれぞれとの間の距離又は隔たりが、(衛星から受信機までの)信号の移動時間と光速とを乗算することによって計算される。これらの距離は通例、擬似距離と呼ばれる。これは、GPS測定は、衛星クロックタイミング誤差、天体暦誤差、電離層屈折効果及び対流圏屈折効果、受信機追跡ノイズ、並びにマルチパス誤差等のような様々な誤差要因に起因して誤差を含む場合があるためである。これらの誤差を除去又は低減するために、多くのGPS用途において差動動作が用いられる。差動GPS(DGPS)動作は通常、基本基準GPS受信機、ユーザGPS受信機、及びユーザと基準受信機との間の通信メカニズムを伴う。基準受信機は、既知の場所に配置され、上記誤差要因のうちの幾つか又は全てに関連付けられる補正値を生成するために使用される。基準局において生成される補正値、基準局において測定されるローデータ、又は、基準局(及びさらに、場合によっては他の基準局)から受信される情報に基づいて第3者(たとえばコンピュータ又はサーバ)によって生成される補正値はユーザ受信機に供給される。該ユーザ受信機はその後、補正値又はローデータを使用して、その計算された位置を適切に補正する。
【0007】
搬送波位相測定値は、信号が受信機に到達したときに該信号の再構築された搬送波を積分することによって得られる。受信機が信号の搬送波位相の追跡を開始するとき、衛星と受信機との間の伝送における全サイクル数が未知であるため、搬送波位相測定においては全サイクルアンビギュイティが存在する。この全サイクルアンビギュイティは、搬送波位相測定において高精度を達成するために決定しなければならない。全サイクルアンビギュイティはまた、決定された後の「整数アンビギュイティ」として、また決定される前の「浮動アンビギュイティ」又は「実数値アンビギュイティ」としても知られている。用語「アンビギュイティ(ambiguity)」及び「複数のアンビギュイティ(ambiguities)」は、その値が決定される変数(すなわち、全サイクルアンビギュイティを表す変数)を指し、一方、用語「アンビギュイティ値」、「整数アンビギュイティ値」、及び「浮動アンビギュイティ値」は、それぞれのアンビギュイティに関して計算又は確定された値を指す。搬送波位相測定を使用する差動動作は多くの場合、リアルタイムキネマティック(RTK)測位/航法動作と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
GPS信号が絶えず追跡されてロック損失が生じない場合、測量開始時に決定される整数アンビギュイティは、GPSキネマティック測位期間全体にわたって保持することができる。GPS衛星信号は、しかしながら、(たとえば、「都市の谷間」環境における建物に起因して)時折遮蔽されるか、又は(たとえば、受信機が橋の下又はトンネルを通過するときに)一時的に遮断される場合がある。概してこのような場合では、整数アンビギュイティ値は、「失われ」、再び求めなくてはならない。このプロセスは、数秒から数分を要する可能性がある。実際に、擬似距離又は搬送波位相のいずれかの1つ又は複数の測定における重大なマルチパス誤差又はモデル化されていない組織的バイアスの存在は、現在の市販のGPS RTKシステムを用いてアンビギュイティを決定することを不可能にする場合がある。受信機離隔(すなわち、基準受信機と、その位置が求められている移動受信機との間の隔たり)が増加するにつれて、隔たりに依存したバイアス(たとえば軌道誤差並びに電離層効果及び対流圏効果)が増大し、その結果、信頼可能なアンビギュイティ決定(又は再初期化)はさらに大きな課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
全地球航法衛星システムにおいて整数アンビギュイティ決定を実施する方法は部分探索プロセスを使用し、この部分探索プロセスは、浮動アンビギュイティに関する情報を利用して、探索の成功をもたらす可能性が最も高い部分アンビギュイティ組み合わせを選択する。
【0010】
一実施の形態では、初期浮動アンビギュイティを推定し、その後、整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求める。整数アンビギュイティ値の最良セットが識別試験を満たさないと判断すると、最良候補セット及び次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が所定の基準を満たさない各アンビギュイティをアンビギュイティのセットから除去し、アンビギュイティの低減されたセットを生成する。その後、アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティを決定し、決定された整数アンビギュイティに従って出力を生成する。
【0011】
別の実施の形態では、最良候補セット及び次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が所定の基準を満たさない各アンビギュイティをアンビギュイティの低減されたセットから除去することによって、アンビギュイティの第2の低減されたセットを生成する。その後、アンビギュイティの第2の低減されたセット内のアンビギュイティを決定し、決定された整数アンビギュイティに従って出力を生成する。
【0012】
この部分探索プロセスによって、GPS RTKシステムが、より速い速度で、より距離が長い用途の場合に、また困難な環境においてアンビギュイティを決定することが可能になる。このプロセスは、大きな計算力を必要とせず、したがって、マイクロプロセッサの能力が限られているGPS受信機に適している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】幾つかの実施形態による全地球航法衛星システムにおいて部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を実行するのに使用することができるコンピュータシステムのブロック図である。
【図2】幾つかの実施形態によるリアルタイムキネマティック測位動作を示すフロー図である。
【図3A】幾つかの実施形態による二重周波数全地球航法衛星システムの部分探索プロセスを示すフロー図である。
【図3B】幾つかの実施形態による3周波数全地球航法衛星システムの部分探索プロセスを示すフロー図である。
【図4A】幾つかの実施形態による部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を示すフロー図である。
【図4B】幾つかの実施形態による部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を示すフロー図である。
【図4C】幾つかの実施形態による部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を示すフロー図である。
【図5】幾つかの実施形態による全地球航法衛星システムにおける構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面全体を通じて、同様の参照符号は対応する部分を指す。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を実行するのに使用することができるコンピュータシステム100を示す。コンピュータシステム100は、複数の衛星110−1、110−2、…、110−nからの信号に基づいてGPSコード及び搬送波位相測定値をコンピュータシステム100に供給するユーザGPS受信機120に結合される。ここで、nはユーザGPS受信機120を考慮した場合の衛星の数である。複数の衛星110−n、又はこれらの衛星のうちの任意の1つ若しくは複数は、本明細書において以下では衛星(複数可)110と呼ばれる場合もある。ユーザGPS受信機120は、基準GPS受信機130と通信することができる。基準GPS受信機130はまた、複数の衛星110からの信号に基づいて測定を行っている。基準GPS受信機130によってもたらされる測定値を使用して、ユーザGPS受信機120において行われるGPS測定に対する補正値が生成される。ユーザGPS受信機120、又はユーザGPS受信機120及びコンピュータシステム100の組み合わせは、(必ずではないが)通常固定の位置又は場所に存在する基準GPS受信機と対照をなして、移動受信機と呼ばれる場合もある。
【0016】
幾つかの実施形態では、ユーザGPS受信機120及びコンピュータシステム100は、携帯装置、ハンドヘルド装置、若しくはさらにはウェアラブル位置追跡装置、又は車両搭載型若しくは他の様態の移動測位及び/若しくは航法システムのような単一の装置に単一のハウジング内で一体化される。他の実施形態では、ユーザGPS受信機120及びコンピュータシステム100は単一の装置に一体化されない。
【0017】
図1に示すように、コンピュータシステム100は、1つ又は複数の通信バス148によって互いに結合される、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)140(たとえば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はマイクロプロセッサコア)、メモリ150、入力ポート142及び出力ポート144、並びに(任意選択的に)ユーザインタフェース146を備える。メモリ150は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、また、1つ若しくは複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、又は他の不揮発性固体記憶装置のような不揮発性大容量記憶装置を含むことができる。メモリ150は好ましくは、オペレーティングシステム152、データベース156、及びGPSアプリケーションプロシージャ154を記憶する。GPSアプリケーションプロシージャは、以下でより詳細に説明するように、本発明の一実施形態による部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法を実施するためのプロシージャ155を含むことができる。メモリ150に記憶されるオペレーティングシステム152及びアプリケーションプログラム154及びプロシージャ155は、コンピュータシステム100の1つ又は複数のCPU140による実行のためのものである。メモリ150は好ましくは、GPSアプリケーションプロシージャ154及び155の実行中に使用される、GPS擬似距離及び/又は搬送波位相測定値157を含むデータ構造、並びに本明細書において論じられる他のデータ構造も記憶する。
【0018】
入力ポート142は、ユーザGPS受信機120からデータを受信するためのものである。出力ポート144は、データ及び/又は計算結果を出力するのに使用される。データ及び計算結果は、ユーザインタフェース146の表示装置上に示すこともできる。本明細書における説明では、用語「GPS」及び「GPS信号」等が頻繁に使用されるが、本発明は、他のGNSSシステム及びこれらのシステムにおけるGNSS衛星からの信号に等しく適用可能である。
【0019】
図2は、リアルタイムキネマティック(RTK)測位/航法動作の計算フローを示す。RTK動作が、カルマンフィルタ状態のセットがクリアされるように初期化される(210)。信号は衛星から受信され(220)、補正データは基準受信機から受信される(230)。
【0020】
カルマンフィルタの説明は本明細書の範囲外であるが、コンピュータシステム100は通常、ユーザGPS受信機120の位置及び状態の他の面を更新するためのカルマンフィルタを備える。該状態はカルマンフィルタ状態とも呼ばれる。カルマンフィルタ状態は実際に多くの状態を含み、これらの状態のそれぞれは、GPS受信機の位置の一面(たとえば、位置のX成分、Y成分、及びZ成分、又は緯度成分、経度成分、及び天頂成分)、又は動き(たとえば、速度及び/又は加速度)、又はカルマンフィルタにおいて使用されている計算プロセスの状態を表す。
【0021】
カルマンフィルタは通常、プロセッサによって実行されるプロシージャ、又はプロシージャのセットである。カルマンフィルタは繰り返し実行され(たとえば、1秒に1回)、
毎回新しいコード測定値(擬似距離測定値とも呼ばれる)及び搬送波位相測定値が使用され、カルマンフィルタ状態が更新される。カルマンフィルタによって使用される式は複雑であるが、カルマンフィルタは航法の分野において広範に使用されているため、カルマンフィルタの、本発明に関連する面のみを詳細に論じる必要がある。カルマンフィルタはGPS受信機及び他の航法システムにおいて広範に使用されているが、これらのカルマンフィルタの多くの面は実装によって異なることが強調されるべきである。たとえば、幾つかのGPS受信機において使用されるカルマンフィルタは、他のカルマンフィルタにおいては含まれない状態を含む場合があるか、又は他のカルマンフィルタにおいて使用される式とは幾らか異なる式を使用する場合がある。
【0022】
本論考に関連するカルマンフィルタの一面は、カルマンフィルタ状態にアンビギュイティ値が含まれるということ、及びこれらの値のステータスが含まれるということである。GPS(又はGNSS)衛星のセットからの信号をロックしようと試みるプロセスの間、各衛星からの搬送波位相測定値のアンビギュイティ値は「浮動アンビギュイティ値」と呼ばれる。ロックが達成され、アンビギュイティ値が決定された後、該アンビギュイティ値は整数アンビギュイティ値、又は固定アンビギュイティ値と呼ばれる。これは、決定されたアンビギュイティ値がその値に関して固定であり、整数であるためである。別の観点からでは、カルマンフィルタプロシージャ、又はコンピュータシステム100における他のプロシージャは、浮動アンビギュイティ値が安定化したときを検出する。この時点において、安定化したアンビギュイティ値は整数アンビギュイティ値となる。
【0023】
その後、衛星からの信号220及び基準受信機からの補正データ230に基づいて、二重差コード測定値及び二重差搬送波位相測定値が生成される(240)。精密GPS測位アプリケーションでは、二重差搬送波位相測定値は通例、GPS測定値に存在する組織的誤差(systematic error)のうちの多くを消去(cancel)するために形成される。メートル単位での二重差コード可観測量(code observables)及び二重差(double differenced)搬送波位相可観測量は以下のように形成することができる:
【0024】
【数1】

【0025】
【数2】

【0026】
ここで、添え字iは周波数、すなわち、L1、L2、又はL5を表す。P及びφはそれぞれ、コード可観測量及び搬送波位相可観測量である。∇Δは二重差演算子である。ρは衛星から受信機までの幾何学的隔たりである。∇ΔTは残差差動対流圏バイアスであり、該残差差動対流圏バイアスは従来から、受信機から衛星までの仰角に対する対流圏遅延の依存を記述するマッピング関数と共に残差天頂対流圏遅延の関数として表される。∇ΔIは二重差動電離層バイアスである。∇ΔOは二重差動軌道誤差補正値であり、該二重差動軌道誤差補正値は、Navcom Technology社のStarFire(登録商標)ネットワークのような、ネットワークRTKシステム又は広域補強システム(WAAS)から得ることができる。λ及びfはそれぞれ、i番目の搬送波周波数の波長及び周波数である。∇ΔNiはi番目の搬送波周波数の二重差整数アンビギュイティである。項
【0027】
【数3】

【0028】
及び
【0029】
【数4】

【0030】
はそれぞれ、受信機のランダムノイズと、マルチパス誤差、残差軌道誤差等のような任意のモデル化されていない組織的誤差とを含むコード残差誤差及び位相残差誤差を表す。
【0031】
二重差搬送波位相観測値の線形化は、以下の式のセットによって表すことができる
【0032】
【数5】

【0033】
ここで、Vはエポックkにおけるフィット後(post-fit)残差ベクトルであり、Zはフィット前(prefit)残差であり、Hは計画行列であり、Xは、3つの位置成分、残差電離層バイアス及び残差対流圏バイアス、並びに二重周波数アンビギュイティ又は三重周波数アンビギュイティを含む推定状態ベクトルである。推定状態ベクトルXはさらに、任意選択的に、速度成分及び加速度成分を含むことができる。Xの値はカルマンフィルタ状態に記憶される。
【0034】
図2に示すように、RTK測位/航法動作は、カルマンフィルタ予測及び状態更新250で続行する。k−1エポック後のカルマンフィルタ推定値が、分散Qk−1と共に
【0035】
【数6】

【0036】
によって表される場合、エポックkにおける予想状態ベクトルは以下によって与えられる。
【0037】
【数7】

【0038】
【数8】

【0039】
ここで、
【0040】
【数9】

【0041】
は、エポックk−1からのカルマンフィルタ状態に基づく、エポックkにおける予想カルマンフィルタ状態ベクトルである。Φk,k−1は遷移行列であり、これはXk−1〜Xに関連する。Wは、その要素がホワイトノイズシーケンスである動的行列である。Qは、エポックkにおけるカルマンフィルタの予想状態の分散−共分散行列である。Qk−1は、エポックk−1におけるカルマンフィルタの推定分散−共分散行列である。
【0042】
簡単にするために、以下の式では、エポックkを表す添え字kは、
【0043】
【数10】

【0044】
及び
【0045】
【数11】

【0046】
に関しては省略する。エポックkの更新状態ベクトル
【0047】
【数12】

【0048】
は、観測式
【0049】
【数13】

【0050】
を適用することによって、測定ベクトルZを使用して生成される。ここで、Kは以下で論じる利得行列である。
【0051】
【数14】

【0052】
は以下の形で表すことができる(式(7)は、二重周波数受信機を使用するシステムに関するものであり、式(8)は3周波数受信機に関するものである)。
【0053】
【数15】

【0054】
【数16】

【0055】
利得行列は
【0056】
【数17】

【0057】
である。ここで、Rは、可観測量(測定値)の分散−共分散行列であり、
【0058】
【数18】

【0059】
及び
【0060】
【数19】

【0061】
はそれぞれ、現在のエポックにおけるカルマンフィルタ予想状態ベクトル及び推定状態ベクトルである。
【0062】
状態ベクトル
【0063】
【数20】

【0064】
の分散−共分散Q
【0065】
【数21】

【0066】
によって与えられる。ここで、Iは恒等行列である。Qは以下の形で表すことができる(式(11)は、二重周波数受信機に関するものであり、式(12)は3周波数受信機に関するものである)。
【0067】
【数22】

【0068】
【数23】

【0069】
アンビギュイティ値の「固定アンビギュイティ解」と呼ばれることもある「最適解」を求めるために、制約が状態ベクトルに加えられる。
【0070】
【数24】

【0071】
ここで、Xは、受信衛星信号のアンビギュイティ値を表すカルマンフィルタ状態の位置を表し、Nは整数ベクトルである。その後、以下の式を使用して固定結果を得ることができる。
【0072】
【数25】

【0073】
【数26】

【0074】
式(14)は、浮動アンビギュイティ値が関連付けられる整数アンビギュイティ値に変更された後の、調節された最終位置座標を表す。式(15)は、浮動アンビギュイティが関連付けられる整数値に固定された後の位置座標の最終分散−共分散を表す。式(14)及び(15)における添え字「c」は、位置座標、対流圏状態及び電離層状態、並びに、適用可能である場合には速度状態及び加速度状態に関連付けられるカルマン状態ベクトルの一部を表す。
【0075】
固定アンビギュイティ解を得るか又は発見するプロセスは、整数最小二乗式を解くことを含む。
【0076】
【数27】

【0077】
異なる整数セットNごとに、Rの異なる値が得られる。整数アンビギュイティの候補セットNごとに単一の値が得られる。Rの最小値を生成することによって式(16)を満たすと共に、識別試験も満たす最適整数セットNが、正確な整数アンビギュイティセットとして受け入れられ、最終固定アンビギュイティ解を生成するのに使用される。識別試験は図3Aに関連して以下で論じる。
【0078】
図2に示すように、カルマンフィルタ更新プロセス250の各繰り返し又はエポックの最後において試験が行われる。搬送波位相測定値内に浮動アンビギュイティが存在する(255)場合、部分探索手順がアンビギュイティ決定260のために実施される。一実施形態では、最小二乗法又はカルマンフィルタ推定を使用する推定アンビギュイティ領域における探索技法を使用して、全サイクル搬送波位相アンビギュイティを決定することができる。一実施形態では、推定アンビギュイティ領域における探索技法は、元のアンビギュイティパラメータに関して実施することができる。別の実施形態では、探索技法は、元のパラメータの組み合わせを使用して実施することができる。
【0079】
一実施形態では、最小二乗アンビギュイティ相関除去調節(LAMBDA)法を、変換された浮動アンビギュイティを使用して探索を実施するために使用することができる(Teunissen, 1994)。変換された整数アンビギュイティは元のアンビギュイティから構築され、変換された整数アンビギュイティの解が求められると、元の整数アンビギュイティを回復するように使用することができる。この手順の利点は、変換された浮動アンビギュイティがより小さい標準偏差を有し、また整数候補セットの数がより小さく、したがって計算時間が大幅に短縮されるということである。LAMBDA法は、整数アンビギュイティを固定する離散的探索方式を含む。この離散的探索方式は、整数アンビギュイティ推定のための2つの特有の手順を特徴とする。これらの手順は、アンビギュイティ相関除去(又はZ変換)と、それに続く整数アンビギュイティの離散的探索(すなわち、実際の整数アンビギュイティ推定)とを含む。LAMBDA法の鍵は、多衛星アンビギュイティ組み合わせを構築するための変換行列の計算である。
【0080】
幾つかの実施形態では、整数最小二乗推定のための変更されたLAMBDA(MLAMBDA)法が使用される。MLAMBDAは、変更されたZ行列縮小プロセス及び変更された探索プロセスを含む(X.W Zhang, 2005)。アンビギュイティ変換行列Zは、元のアンビギュイティベクトルを変換されたアンビギュイティベクトルとして再公式化する。その分散−共分散行列は、はるかに小さい対角要素を有する。
【0081】
【数28】

【0082】
【数29】

【0083】
したがって、式(16)は以下のように書き直すことができる。
【0084】
【数30】

【0085】
異なる整数セットNに関して、Rの異なる値が得られる。元のアンビギュイティ推定問題はしたがって変更されている。新しい問題は、妥当性確認及び拒絶基準試験の両方を行うと共にそれらに合格する整数セットを探索することである。
【0086】
変換されたアンビギュイティ値が整数特性を有することを確実にするために、変換行列Zは整数エントリのみを有する。元のアンビギュイティ値を変換されたアンビギュイティ値から求めることができることを確実にするために、変換行列の逆行列も整数エントリのみを有する。したがって、行列Zは、行列Zが整数エントリを有し且つその行列式が1に等しい場合に且つその場合に限り、許容可能なアンビギュイティ変換である。元のアンビギュイティは
【0087】
【数31】

【0088】
を介して回復される。
【0089】
LAMBDA法又はMLAMBDA法は以下では単にLAMBDA法と呼ばれる場合がある。
【0090】
LAMBDA法又は他の計算方法によって生成された整数アンビギュイティ値が識別試験を満たさない場合、部分探索手順が実施されて、探索されるアンビギュイティのセットから1つ又は複数のアンビギュイティが除去されて、整数アンビギュイティ決定に必要な計算時間を短縮することができる。概念的には、部分探索プロセスは、アンビギュイティのセットから1つ又は複数の外れ値を除去する。外れ値は、ノイズを有するか若しくは破損した信号、又は地平線に近い衛星からの信号に関連付けられる場合がある。これらの外れ値の除去は多くの場合に、LAMBDAプロセス(又は他の整数アンビギュイティ確定プロセス)が残りのアンビギュイティに関して、識別試験を満たす整数アンビギュイティ値を首尾よく求めることを可能にする。一実施形態では、部分探索手順は、1つ又は複数のアンビギュイティを整数セットNから排除する。別の実施形態では、1つ又は複数の衛星から受信された信号に基づく測定値を探索プロセスから排除する。部分探索手順は以下において詳細に説明する。
【0091】
アンビギュイティ決定プロセスが失敗した場合、手順は、決定が成功するまで繰り返すことができる。5つ以上の衛星に関してアンビギュイティ値の全ての可能なセットが試験されており、且つアンビギュイティ試験に依然として失敗し、現在のエポックにおけるアンビギュイティ決定手順に失敗した場合、RTK解はリセットされ(290)、衛星からの信号が次のエポックのために受信される(220)。
【0092】
しかしながら、決定に成功した場合、RTK測位/航法動作は、残差バイアスが所定の閾値を超えるか否かを判断するためにカルマンフィルタを監視すること(270)で続行する。大きな残差バイアスは、カルマンフィルタ予測が不正確であり、搬送波位相測定値に悪影響を与えていることを示す可能性がある。残差バイアスが大き過ぎる(すなわち、所定の閾値を超えるか又は所定の基準を満たさない)と判断される場合、RTK解がリセットされる(290)。しかしながら、残差バイアスが十分に正確であると判断される場合、コード測定値及び搬送波位相測定値が更新され(280)、衛星からの信号が次のエポックのために受信される(220)。
【0093】
図3Aは、二重周波数全地球航法衛星システムの部分探索計算フローを示す。両方の周波数からの二重差測定値が処理された(240)(図2)後、浮動アンビギュイティ値ベクトル及び関連付けられる分散行列を、カルマンフィルタ推定250(図2)から式(5)及び(7)から得ることができる(302)。L1及びL2の浮動アンビギュイティは推定されるパラメータだが、LAMBDA法において探索されるアンビギュイティ対は異なり得る。一実施形態では、
【0094】
【数32】

【0095】
及び
ワイドレーン
【0096】
【数33】

【0097】
のアンビギュイティが探索プロセスのために選択され、以下の式を使用して、式(5)の元のL1及びL2の浮動アンビギュイティベクトルから形成される(304)。
【0098】
【数34】

【0099】
式(10)及び(11)に基づいて、アンビギュイティ値
【0100】
【数35】

【0101】
及び
【0102】
【数36】

【0103】
の分散−共分散行列は以下のように得られる。
【0104】
【数37】

【0105】
【数38】

【0106】
及び
【0107】
【数39】

【0108】
のRの2つの最小値に対応する最良候補セット及び次善候補セットを、上述したようなLAMBDA探索プロセス306を用いて発見することができる。
【0109】
識別試験308は、最良候補セット及び次善候補セットの比判定法を含む。特に、3に等しい経験的な比の値を識別試験に使用することができる。比判定法は、比が大きければ大きいほど、最良候補セットが正確である見込みが大きいため、使用される。一実施形態では、追加の適合性試験が識別試験に含まれる。適合性試験は、固定アンビギュイティ値と浮動アンビギュイティ値との間の差が、浮動解の標準偏差の3倍〜5倍未満である場合に合格する。識別試験308に合格した場合、最良候補セットが、整数アンビギュイティ値の正確なセットとして受け入れられ、それによってアンビギュイティのセット(アンビギュイティ値のセットと呼ぶこともできる)が決定され(340)、(後述するように)元のL1/L2又はL1/L2/L5の信号が回復され(342)、結果的に得られる固定解が式(14)及び(15)を使用して出力される(344)。
【0110】
部分探索手順は、
【0111】
【数40】

【0112】
及び
【0113】
【数41】

【0114】
の最良候補セット及び次善候補セットが識別試験308に合格しなかったときに適用される。一実施形態では、部分探索技法は、その値が求められているアンビギュイティのセットから、最良候補セット及び次善候補セットにおけるその整数アンビギュイティ値が異なるアンビギュイティ値を除外することである。別の実施形態では、部分探索技法は、最良候補セット及び次善候補セットにおけるそのアンビギュイティが同一でない衛星を除外することである。この第2の手法は、実際には、アンビギュイティのセットから、第1の手法において除去された全てのアンビギュイティと、最良候補セット及び次善候補セットにおいて異なるアンビギュイティ値を少なくとも1つ有する衛星のあらゆる兄弟アンビギュイティとを除去する。
【0115】
探索されるアンビギュイティのセットが除去動作310によって低減されると、新たな探索312が実施される。この新たな探索は、動作310によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス316と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験318とを含む。新たな最良候補セットが識別試験318に合格した場合、上記で説明したように手順は動作340に進む。
【0116】
そうではなく、識別試験318に失敗した場合、手順は除去動作320に進む。この除去動作では、全ての
【0117】
【数42】

【0118】
アンビギュイティ値が、探索されるアンビギュイティのセットから除去される一方、全てのワイドレーン
【0119】
【数43】

【0120】
アンビギュイティは、探索されるアンビギュイティのセット(アンビギュイティ値のセットとも呼ばれる)に保持される。探索されるアンビギュイティのセットが除去動作320によって低減されると、新たな探索322が実施される。この新たな探索は、動作320によって生成された整数アンビギュイティ値の低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス326と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験328とを含む。新たな最良候補セットが識別試験328に合格した場合、上記で説明したように手順は動作340に進む。
【0121】
そうではなく、識別試験328に失敗した場合、手順は除去動作330に進む。この除去動作では、(LAMBDA探索プロセス326によって生成された)最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが異なる全てのワイドレーン
【0122】
【数44】

【0123】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットから除去される。上述したように、全ての
【0124】
【数45】

【0125】
アンビギュイティは、探索されるアンビギュイティのセットから除去動作320において既に除去されている。残りのワイドレーン
【0126】
【数46】

【0127】
アンビギュイティを使用して、新たな探索322が実施される。この新たな探索は、動作330によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対するLAMBDA探索プロセス336と、結果的に得られる最良候補セット及び次善候補セットに対して実施される識別試験338とを含む。新たな最良候補セットが識別試験338に合格した場合、上記で説明したように手順は動作340に進む。そうでない場合、現在のエポックに関しては探索プロセスは失敗し、衛星信号の新しい測定値を使用して、次のエポックにおいてプロセスが新たに開始する(334)。
【0128】
【数47】

【0129】
及び
【0130】
【数48】

【0131】
の探索312、322、332は、LAMBDA探索プロセス316、326、336を用いて最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットを発見すること、及び、その後識別試験318、328、338を適用することを含む。一実施形態では、各エポック中に、(A)除去プロセス310、320,330のうちのいずれかが5つ未満の衛星のアンビギュイティ値を有する探索セットをもたらすか、(B)全ての探索に失敗するか、又は(C)最良整数アンビギュイティ候補セットのうちの1つが対応する識別試験318、328、若しくは338に合格することによって示されるように探索に成功するまで、部分探索プロセスが繰り返し適用される。
【0132】
識別試験308、318、328、又は338に合格する場合、識別試験に合格する最良候補セットは正確なアンビギュイティセットとして受け入れられ、整数アンビギュイティが決定され(340)、式(14)及び(15)から固定解が生成される(344)。
【0133】
幾つかの実施形態では、最良候補セット(1つ又は複数の除去動作310、320、330の適用に起因して、整数アンビギュイティ値
【0134】
【数49】

【0135】
及び
【0136】
【数50】

【0137】
の部分セットを含み得る)が識別試験に合格すると、カルマンフィルタにおける元のL1及びL2のアンビギュイティ状態及び分散−共分散を以下の式を用いて回復することができる(342)。
【0138】
【数51】

【0139】
【数52】

【0140】
【数53】

【0141】
は浮動であるが
【0142】
【数54】

【0143】
は固定である場合、
【0144】
【数55】

【0145】
及び
【0146】
【数56】

【0147】
の小数部は全く同じであり、
【0148】
【数57】

【0149】

【0150】
【数58】

【0151】
の分散(variance)、及び共分散(covariance)
【0152】
【数59】

【0153】
も同じであることに留意されたい。
【0154】
【数60】

【0155】
が後に固定である場合、
【0156】
【数61】

【0157】
及び
【0158】
【数62】

【0159】
の固定値は整数値に調節され、分散及び共分散はゼロになる。
【0160】
一実施形態では、全ての可能な整数アンビギュイティセットが探索されて、識別試験に依然として失敗する場合、現在のエポックにおけるアンビギュイティ決定手順は失敗し、衛星信号の新たな測定値を使用して、識別試験に合格するアンビギュイティ値の矛盾のないセットに対する探索のプロセスが次のエポックにおいて再開する(334)。
【0161】
図3Bは、3周波数システムの部分探索計算フローを示す。両方の周波数からの二重差測定値が処理された(240)(図2)後、浮動アンビギュイティベクトル及び関連付けられる分散を、カルマンフィルタ推定250(図2)から式(5)及び(8)から得ることができる(351)。一実施形態では、L1周波数、L2周波数、及びL5周波数の元のアンビギュイティ状態は、代替のアンビギュイティ組み合わせ
【0162】
【数63】

【0163】

【0164】
【数64】

【0165】
、及び
【0166】
【数65】

【0167】
のセットに変換される(352)。
【0168】
【数66】

【0169】
【数67】

【0170】
結果的に得られる新たなアンビギュイティは、元のL1アンビギュイティ、及び2つのワイドレーンアンビギュイティ
【0171】
【数68】

【0172】
及び
【0173】
【数69】

【0174】
であり、一方はL1周波数とL2周波数との間にあり、他方はL2周波数とL5周波数との間にある。他の実施形態では、L1周波数、L2周波数、及びL5周波数のアンビギュイティ状態の他の組み合わせも使用することができる。
【0175】
【数70】

【0176】

【0177】
【数71】

【0178】
、及び
【0179】
【数72】

【0180】
の最良候補セット及び次善候補セットは、上記で説明したように、LAMBDA探索プロセス353を用いて発見することができる。識別試験354は最良整数アンビギュイティ候補試験及び次善整数アンビギュイティ候補試験に適用される。上記で説明したように、識別試験354は、最良候補セット及び次善候補セットの比判定法を含む。識別試験354に合格した場合、最良候補セットは正確なアンビギュイティセットとして受け入れられ、整数アンビギュイティが決定され(390)、式(14)及び(15)から固定解が生成される(394)。
【0181】
部分探索手順は、
【0182】
【数73】

【0183】

【0184】
【数74】

【0185】
、及び
【0186】
【数75】

【0187】
の最良候補セット及び次善候補セットが識別試験354に合格しないときに適用される。一実施形態では、部分探索技法は、探索されるアンビギュイティのセットから、最良候補セット及び次善候補セットにおけるその整数アンビギュイティ値が異なるアンビギュイティ値を除外することである。別の実施形態では、部分探索技法は、最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが同一でない衛星を除外することである。さらに別の実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが異なる1つ又は複数の
【0188】
【数76】

【0189】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットから除去される(360)一方、全てのワイドレーンの
【0190】
【数77】

【0191】
及び
【0192】
【数78】

【0193】
のアンビギュイティは残る。部分探索手順のこの説明の目的のために、最後に述べた方法論を使用すると仮定する。
【0194】
探索されるアンビギュイティのセットが除去動作360によって低減されると、新たな探索362が実施される。この新たな探索は、動作360によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス363と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験364とを含む。新たな最良候補セットが識別試験364に合格した場合、上記で説明したように手順は動作390に進む。
【0195】
そうではなく、識別試験364に失敗した場合、手順は除去動作365に進む。この除去動作では、全ての
【0196】
【数79】

【0197】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティ値のセットから除去される一方、全てのワイドレーンの
【0198】
【数80】

【0199】
及び
【0200】
【数81】

【0201】
のアンビギュイティは、探索されるアンビギュイティ値のセットに保持される。探索されるアンビギュイティのセットが除去動作365によって低減されると、新たな探索366が実施される。この新たな探索は、動作365によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス368と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験369とを含む。新たな最良候補セットが識別試験369に合格した場合、上記で説明したように手順は動作390に進む。
【0202】
そうではなく、識別試験369に失敗した場合、手順は除去動作370に進む。この除去動作では、最良候補セット及び次善候補セットにおけるその値が等しくない1つ又は複数のワイドレーン
【0203】
【数82】

【0204】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットから除去される一方、全てのワイドレーン
【0205】
【数83】

【0206】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットに保持される。別の実施形態では、2つのワイドレーン信号の役割を除去動作370において逆転することができ、これによって、最良候補セット及び次善候補セットにおいて等しくない第2のワイドレーン信号のアンビギュイティ
【0207】
【数84】

【0208】
のセットが除去され、第1のワイドレーン信号の全てのワイドレーンアンビギュイティ
【0209】
【数85】

【0210】
が保持される。探索されるアンビギュイティのセットが除去動作370によって低減されると、新たな探索372が実施される。この新たな探索は、動作370によって生成されたアンビギュイティ値の低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス373と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験374とを含む。新たな最良候補セットが識別試験374に合格した場合、上記で説明したように手順は動作390に進む。
【0211】
そうではなく、識別試験374に失敗した場合、手順は除去動作375に進む。この除去動作では、第1のワイドレーン信号の全ての
【0212】
【数86】

【0213】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットから除去される一方、第2のワイドレーン信号の全ての
【0214】
【数87】

【0215】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットに保持される。探索されるアンビギュイティのセットが除去動作375によって低減されると、新たな探索376が実施される。この新たな探索は、動作375によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス378と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験379とを含む。新たな最良候補セットが識別試験379に合格した場合、上記で説明したように手順は動作390に進む。
【0216】
そうではなく、識別試験379に失敗した場合、手順は除去動作380に進む。この除去動作では、最良候補セット及び次善候補セットにおけるその値が等しくない1つ又は複数の
【0217】
【数88】

【0218】
アンビギュイティが、探索されるアンビギュイティのセットから除去される。探索されるアンビギュイティのセットが除去動作380によって低減されると、新たな探索382が実施される。この新たな探索は、除去動作380によって生成されたアンビギュイティの低減されたセットの最良候補セット及び次善候補セットに対するLAMBDA探索プロセス383と、結果的に得られる最良整数アンビギュイティ候補セット及び次善整数アンビギュイティ候補セットに対して実施される識別試験384とを含む。新たな最良候補セットが識別試験384に合格した場合、上記で説明したように手順は動作390に進む。
【0219】
最良候補セットが識別試験384に失敗した場合、現在のエポックに関しては探索プロセスは失敗し、衛星信号の新しい測定値を使用して、次のエポックにおいてプロセスが新たに開始する(334)。
【0220】
一実施形態では、図3Bを参照して上記で説明したように、各エポック中に、(A)除去プロセス360、365、370、375、若しくは380のうちのいずれかが5つ未満の衛星のアンビギュイティ値を有する探索セットをもたらすか、(B)全ての探索に失敗するか、又は(C)最良整数アンビギュイティ候補セットのうちの1つが対応する識別試験364、369、374、379、又は384に合格することによって示されるように探索に成功するまで、部分探索プロセスが繰り返し適用される。識別試験に合格した場合、最良候補セットは正確なアンビギュイティセットとして受け入れられ、整数アンビギュイティが決定され(390)、式(14)及び(15)から固定解が生成される(394)。
【0221】
一実施形態では、
【0222】
【数89】

【0223】

【0224】
【数90】

【0225】
、及び
【0226】
【数91】

【0227】
の全セット又は部分セットが固定となった後、元のL1、L2、及びL5のアンビギュイティ及び関連付けられる分散を以下のように回復することができる。
【0228】
【数92】

【0229】
【数93】

【0230】
一実施形態では、識別試験に合格する整数アンビギュイティ値のセットに対する探索に失敗した場合、現在のエポックにおける整数決定手順は失敗し、衛星信号の新たな測定値を使用して、識別試験に合格するアンビギュイティ値の矛盾のないセットに対する探索のプロセスが次のエポックにおいて再開する(385)。
【0231】
図4A〜図4Cは、部分探索整数アンビギュイティ決定を実施する方法400を示す。図4Aに示されるように、方法400は、そこから信号が受信される衛星のセットを特定すること(410)を含む。衛星のセットは通常、搬送波位相測定に成功する衛星のみを含む。信号のうちの少なくとも幾つかの搬送波位相測定に関連付けられる浮動アンビギュイティのセットを特定する(420)。
【0232】
浮動アンビギュイティのセットの整数アンビギュイティを推定し、アンビギュイティのセット内のアンビギュイティの整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求める(430)。搬送波信号測定が行われた全ての衛星をアンビギュイティのセットにおいて表し、その後、少なくとも1つの最良候補整数アンビギュイティ値及び1つの次善候補整数アンビギュイティ値を、衛星のセット内の衛星ごとに生成する。一実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットはそれぞれ、それぞれの搬送波信号の整数アンビギュイティ値を含む(432)。別の実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットはそれぞれ、それぞれのワイドレーン信号の整数アンビギュイティ値を含む(434)。一実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットはそれぞれ、それぞれのワイドレーン信号の整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号の整数アンビギュイティ値とを含む(436)。さらに別の実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットはそれぞれ、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号の整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号の整数アンビギュイティ値とを含む(438)。
【0233】
図4A及び図4Bの両方を参照すると、整数アンビギュイティ値の最良セットが識別試験を満たさないと判断する(440)と、所定の基準に従って、浮動アンビギュイティのセットから除去を行うことによって、アンビギュイティの低減されたセットを生成する(450)。一実施形態では、所定の基準は、最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが異なる各アンビギュイティを除去すること、とすることができる(452)。別の実施形態では、衛星の最良候補セット及び次善候補セット内の整数アンビギュイティのうちのいずれもが同一でない場合、該衛星の全てのアンビギュイティを除去する(454)。幾つかの実施形態では、アンビギュイティの低減されたセットを、少なくとも所定の最小数の衛星からの信号に関連付ける(456)。たとえば、幾つかの実施形態では、衛星の所定の最小数は5に等しい(458)。図4Cを参照すると、方法400は動作セット460で続行し、アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する。
【0234】
一実施形態では、動作460は、次に説明する2つ以上の動作462〜469を含む。動作462では、浮動アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを推定し、浮動アンビギュイティの低減されたセット内の各アンビギュイティの整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求める。一実施形態では、最良候補セット及び次善候補セットはそれぞれ、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドーレン信号の第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値を含む(463)。動作464では、アンビギュイティの最良セットが識別試験を満たすか否かを判断する。識別試験に失敗した場合、所定の基準に従ってアンビギュイティの低減されたセットから除去を行うことによって、アンビギュイティの第2の低減されたセットを生成する(466)。一実施形態では、所定の基準は、最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが異なる各アンビギュイティを除去することである(467)。別の実施形態では、除去動作466は、最良候補セット及び次善候補セットの整数アンビギュイティが異なる衛星の全てのアンビギュイティを除去することを含む(469)。動作468では、アンビギュイティの第2の低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する動作を実施する。
【0235】
出力を生成する(470)。一実施形態では、これは、識別試験を満たす場合に出力(たとえば、航法に使用される整数アンビギュイティ値のセット)を生成することを含む(472)。
【0236】
図5は、コンピュータシステム100の一実施形態を示す。コンピュータシステム100は、信号プロセッサ520と、少なくとも1つのプロセッサ530と、メモリ150とを備える。高速ランダムアクセスメモリを含むことができると共に、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、EEPROM、及び/又はフラッシュEEPROMのような不揮発性メモリも含むことができるメモリ150は、プロセッサ530によって実行される、オペレーティングシステム152と、搬送波位相測定値及び擬似距離測定値157と、カルマンフィルタ更新プログラム560と、カルマンフィルタ状態570(アンビギュイティ値572を含む)と、少なくとも1つの整数アンビギュイティ決定プログラムモジュール155とを含む。整数アンビギュイティ決定プログラムモジュール155は、少なくとも1つの整数アンビギュイティ探索プログラム552と、少なくとも1つの識別試験プログラム554と、少なくとも1つのアンビギュイティセット低減プログラム556とを含む。幾つかの実施形態では、1つ以上のプロセッサ530が存在することができる。他の実施形態では、コンピュータシステム200は、整数アンビギュイティ決定プログラムモジュール155の機能のうちの幾つか又は全てを実施する特定用途向け集積回路(ASIC)を備えることができる。
【0237】
幾つかの実施形態では、コンピュータシステム100は、ユーザGPS受信機120(図1)のような1つ又は複数の受信機510に結合される。1つ又は複数の受信機510は、1つ又は複数の基準受信機から、又はNavcom Technology社のStarFire(登録商標)ネットワークのような広域補強システム(WAAS)から補正データを受信する受信機も含むこともできる。他の実施形態では、コンピュータシステム100及び受信機510は単一の装置に一体化される。さらに、幾つかの実施形態では、信号プロセッサ520はGPS120に一体化され、該GPSはコンピュータシステム100の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0238】
説明の目的のために、上記説明を特定の実施形態を参照して記載した。しかしながら、上記の例示的な論考は、包括的であること又は本発明を開示された形態に厳密に限定することを意図していない。上記教示に鑑みて多くの変更及び変形が可能である。実施形態は、当業者が本発明と意図される特定の使用に適した様々な変更を有する様々な実施形態とを最も良く利用することができるように、本発明の原理及びその実際の用途を最も良く説明するために、選択及び説明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全地球航法衛星システム(a global navigation satellite system)において整数アンビギュイティ(integer ambiguity)決定(resolution)を実施する方法であって、
衛星のセット(a set of satellites)から信号が受信される、当該衛星のセットを特定(identifying)すること、
前記衛星の特定されたセット内の衛星から受信される前記信号のうちの少なくとも幾つかの搬送波位相測定に関連付けられる(associated with)アンビギュイティのセット(a set of ambiguities)を特定すること、
前記アンビギュイティのセット内の整数アンビギュイティを推定することであって、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティのそれぞれに対する整数アンビギュイティ値の最良(best)候補セット及び次善(second best)候補セットを求めることを含む、推定すること、
前記整数アンビギュイティ値の最良セットが識別試験を満たさないと判断すると、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が所定の基準を満たさない各アンビギュイティを前記アンビギュイティのセットから除去することによって、アンビギュイティの低減された(reduced)セットを生成すること、
前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティを決定する動作を実施すること、並びに
前記アンビギュイティの低減されたセット内の前記アンビギュイティを決定するために実施された前記動作の結果に従って出力を生成すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記所定の基準は、それぞれのアンビギュイティに関して、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の前記整数アンビギュイティ値が等しいという要件を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンビギュイティの低減されたセットは、即座の(instantaneous)アンビギュイティ決定に必要な少なくとも所定の最小数の衛星から受信される信号の搬送波位相測定に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記衛星の所定の最小数は5に等しい、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号(wide-lane signal)に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号に対する整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号に対する第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する第3の整数アンビギュイティ値とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記除去することは、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の前記整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない衛星に対する全てのアンビギュイティを、前記アンビギュイティのセットから除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS)、全地球軌道航法衛星システム(GLONASS)、ガリレオ測位システム、及び欧州静止衛星航法オーバーレイシステム(EGNOS)から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティを決定する動作を実施することは、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを推定することであって、該アンビギュイティの低減されたセット内の該整数アンビギュイティのそれぞれに対する整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求めることを含む、推定すること、
前記アンビギュイティの低減されたセットの前記整数アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験を満たすか否かを判断すると共に、該識別試験が満たされる場合に、結果値のセットを生成すること、
前記アンビギュイティの低減されたセットの前記整数アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験を満たさない場合に、
前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない各アンビギュイティを前記アンビギュイティの低減されたセットから除去することによって、アンビギュイティの第2の低減されたセットを生成すること、
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する動作を実施すること、並びに
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の前記整数アンビギュイティを決定するために実施された前記動作の結果に従って前記出力を生成すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティの低減されたセットにおいて、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号の第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
全地球航法衛星システムにおいてアンビギュイティ決定を実施する装置であって、
衛星信号を受信するように構成される受信機と、
メモリと、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによる実行のために前記メモリに記憶される1つ又は複数のプログラムであって、該1つ又は複数のプログラムは、衛星の特定されたセット内の前記衛星から受信される前記信号のうちの少なくとも幾つかの搬送波位相測定に関連付けられるアンビギュイティを決定するためのプログラムであり、
前記アンビギュイティのセット内の整数アンビギュイティを推定するための命令であって、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティのそれぞれの整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求めることを含む、推定するための命令と、
前記整数アンビギュイティ値の最良セットが所定の試験を満たさないと判断すると共に、該判断をすると、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が等しくない各アンビギュイティを前記アンビギュイティのセットから除去することによって、アンビギュイティの低減されたセットを生成するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する動作を実施するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の前記決定された整数アンビギュイティに従って結果を生成するための命令と、
を含む、1つ又は複数のプログラムと、
を備える、装置。
【請求項14】
前記アンビギュイティの低減されたセットは、即座のアンビギュイティ決定に必要な少なくとも所定の最小数の衛星から受信される信号の搬送波位相測定に関連付けられる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記衛星の所定の最小数は5に等しい、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号に対する整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値とを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号に対する第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する第3の整数アンビギュイティ値とを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記除去するための命令は、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の前記整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない衛星に対する全ての整数アンビギュイティを、前記整数アンビギュイティのセットから除去するための命令を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS)、全地球軌道航法衛星システム(GLONASS)、ガリレオ測位システム、及び欧州静止衛星航法オーバーレイシステム(EGNOS)から成る群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項22】
前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティを決定する動作を実施するための命令は、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを推定するための命令であって、該アンビギュイティの低減されたセット内の該整数アンビギュイティの各々に対する整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求める(determining)ことを含む、推定するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセットに対する前記整数アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験(discrimination test)を満たすか否かを判断すると共に、該識別試験が満たされる場合に、結果値のセットを生成するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセットの前記整数アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験を満たさない場合に実行可能となる、以下の、
前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない各アンビギュイティを前記アンビギュイティの低減されたセットから除去するための命令であって、アンビギュイティの第2の低減されたセットを生成する、除去するための命令と、
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する動作を実施するための命令と、
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の前記整数アンビギュイティを決定するために実施された前記動作の結果に従って前記出力を生成するための命令と、
を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項23】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号に対する第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
衛星信号を受信するように構成される受信機と、
前記受信機に結合されるコンピュータシステムであって、該コンピュータシステムはプロセッサ及び該プロセッサに結合されるメモリを備え、該メモリは衛星の特定されたセット内の前記衛星から受信される前記信号のうちの少なくとも幾つかの搬送波位相測定に関連付けられるアンビギュイティを決定するための1つ又は複数のプログラムを記憶するコンピュータシステムと、
を備える測位システム又は航法システムであって、
前記1つ又は複数のプログラムは、
前記アンビギュイティのセット内の整数アンビギュイティを推定するための命令であって、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティのそれぞれに対する整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求めることを含む、推定するための命令と、
前記アンビギュイティ値の最良セットが所定の試験を満たさないと判断すると共に、該判断をすると、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が等しくない各アンビギュイティを前記アンビギュイティのセットから除去することによってアンビギュイティの低減されたセットを生成するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定(resolve)する動作を実施するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の前記決定された整数アンビギュイティに従って結果を生成するための命令と、
を含む、
測位システム又は航法システム。
【請求項25】
前記アンビギュイティの低減されたセットは、即座の(instantaneous)アンビギュイティ決定に必要な少なくとも所定の最小数の衛星から受信される信号の搬送波位相測定に関連付けられる、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記衛星の所定の最小数は5に等しい、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号に対する整数アンビギュイティ値を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれのワイドレーン信号に対する整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する整数アンビギュイティ値とを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティのセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号に対する第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値と、それぞれの搬送波信号に対する第3の整数アンビギュイティ値とを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記除去するための命令は、前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の前記整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない衛星に対する全てのアンビギュイティを、前記アンビギュイティのセットから除去するための命令を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS)、全地球軌道航法衛星システム(GLONASS)、ガリレオ測位システム、欧州静止衛星航法オーバーレイシステム(EGNOS)から成る群から選択される、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティを決定する動作を実施するための命令は、
前記アンビギュイティの低減されたセット内の整数アンビギュイティを推定するための命令であって、該アンビギュイティの低減されたセット内の該アンビギュイティのそれぞれに対する整数アンビギュイティ値の最良候補セット及び次善候補セットを求めることを含む、推定するための命令と、
前記整数アンビギュイティの低減されたセットの前記アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験を満たすか否かを判断すると共に、該識別試験が満たされる場合に、結果値のセットを生成するための命令と、
前記アンビギュイティの低減されたセットの前記整数アンビギュイティ値の最良セットが前記識別試験(discrimination test)を満たさない場合に実行可能となる、以下の、
前記最良候補セット及び前記次善候補セット内の整数アンビギュイティ値が前記所定の基準を満たさない各アンビギュイティを前記アンビギュイティの低減されたセットから除去するための命令であって、アンビギュイティの第2の低減されたセットを生成する、除去するための命令と、
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の整数アンビギュイティを決定する動作を実施するための命令と、
前記アンビギュイティの第2の低減されたセット内の前記整数アンビギュイティを決定するために実施された前記動作の結果に従って前記出力を生成するための命令と、
を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項34】
前記最良候補セット及び前記次善候補セットはそれぞれ、前記アンビギュイティの低減されたセット内のアンビギュイティごとに、それぞれの第1のワイドレーン信号及び第2のワイドレーン信号に対する第1の整数アンビギュイティ値及び第2の整数アンビギュイティ値を含む、請求項33に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528321(P2010−528321A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510301(P2010−510301)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/006609
【国際公開番号】WO2008/150390
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(504278123)ナヴコム テクノロジー インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】