説明

部分的ドーパミン−D2作用薬の投与用の経皮治療吸収システム

【課題】本発明は、有効成分に不浸透性の後部層、有効成分の貯蔵所、及び取り外し式の保護層を含む、少なくとも一つの部分的ドーパミン−D2作用薬の投与用の経皮治療吸収システム(TTS)に関する。
【解決手段】有効成分の貯蔵所は、接着剤であるか、又はTTSは、少なくとも一つの接着剤の層を含み、有効成分の貯蔵所は、マトリックスシステム又は膜システムとして実施される。本発明は、有効成分の貯蔵所が、部分的ドーパミン−D2作用薬の群よりの少なくとも一つの有効成分を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的ドーパミンD2作用薬の群からの活性化剤を患者の皮膚へ投与するための経皮治療吸収システム(TTS)に関する。それは、さらに、分裂病性の精神病を患う患者の薬物処置用のこのようなTTSの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日妥当な理論的なモデルに従って、分裂病性の精神病は、脳の様々な領域における神経伝達物質の複雑なネットワークに存在する不均衡の臨床上の発現であると考えられる。神経伝達物質のドーパミンは、この相互作用におけるモジュレーターとしての中心的役割を果たす。古典的な神経弛緩剤は、ドーパミンD2受容体のほとんど完全な非特異的阻害を引き起こす。増殖性の陽性の症状におけるそれらの良好な効率は、証明されてきており、それは、真実であるが、これらの活性物質は、許容できない錐体外路運動の副作用を同時に生じる。従って、好適な目的は、神経単位の刺激伝導の、阻害の代わりに、正常化を成し遂げることである。ドーパミンの活性を、それが強過ぎるが、それが正常ではない、脳のそれらの領域で、減少させなければならない。この要求は、部分的D2作用薬の活性物質群によって、大体において満たされる。
【0003】
例えば、フェニルピペラジニルキノリノンの一般的な物質の部類に属する活性物質のアリピプラゾールを含む、部分的ドーパミンD2作用薬は、それらが、シナプス後部のドーパミンD2受容体を阻害すると共に同時にシナプス前部の自動受容体を刺激するという事実によって特徴付けられる。このような方法で、過剰なドーパミンの活性は、抑制され、錐体外路運動の副作用の危険度を、同時に減少させる。
【0004】
アリピプラゾールの治療の効率及び許容範囲は、ハロペリドール及び偽薬と比較してランダム化された多中心の二重盲検試験で米国において検査され、確認された。
【0005】
しかしながら、部分的ドーパミンD2作用薬のアリピプラゾールは、特に、薬物速度論から結果として生じるいくつかの欠点を有する。経口で投与されると、アリピプラゾールは、初期の腸管−肝臓の通過(初期通過効果)の間に、激しい代謝を受け、短い血漿半減期を有する。従って、治療に有効な血漿レベルを維持するために、アリピプラゾールが経口で投与されるとすれば、相対的に高い頻度の貼用が、必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、発明の根底にある課題は、前述の欠点を回避することができると共に分裂病性の精神病の治療的処置に都合良く適する投与形態で、活性物資のアリピプラゾール(7−(4−(4−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1−ピペラジニル)ブトキシ)−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン)又は部分的D2作用薬の群からの別の活性物質を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1乃至14に従う硬膏剤の形態における経皮治療吸収システム(TTS)によって解決される。これらのシステムは、治療の目的に十分な生体内における活性物質の流れを可能とし、それらを、通常の製造工程を利用することによって、生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
投与後における本発明に従う部分的D2作用薬を含有するTTSは、それに含有される活性物質を患者の皮膚へ放出すし、活性物質は、全身で利用可能になる。循環系への活性物質の直接的な配送により、経口投与で起こるような初期通過効果によって引き起こされた急速な代謝は、回避される。加えて、本発明に従うTTSは、投与の期間の間に、それに含有される部分的D2作用薬の一定の配送を保証する。この様式において、低い投与の頻度で、相対的に一定の血漿レベルを維持することを達成することが可能である。部分的ドーパミンD2作用薬(例えば、アリピプラゾール)の迅速な脱離は、TTSの活性物質の貯蔵所からの活性物質の連続の配送によって補償される。加えて、経皮投与により、例えば胃腸の不耐性、低い腸内の吸収、又は低い経口の利用可能性のような問題が抜き取られる。
【0009】
このように、本発明の主題は、請求項1の前提部に述べた特徴を有するパッチの形態における経皮治療吸収システム(TTS)であり、その活性物質の貯蔵所は、部分的ドーパミンD2作用薬の群からの少なくとも一つの活性物質を含有する。本発明のさらに好適な実施形態を従属請求項に記載する。
【0010】
本発明に従うTTSの構造は、活性物質に不浸透性の後部層、活性物質の貯蔵所、及び取り外し式の保護層を含む。活性物質を含有する貯蔵所は、それ自体、感圧性接着剤の特性を有してもよく、又は、皮膚におけるTTSの定着を可能とする感圧性接着剤の層を提供してもよい。活性物質の貯蔵所と接続された後部層は、皮膚から避けられた側でTTSを覆う。貯蔵の間に、取り外し式で活性物質に不溶性の保護層は、皮膚に面する感圧性接着剤のTTSの表面を覆い、貼用の前に取り外される。
【0011】
本発明は、マトリックスシステムとして構成されたTTS及び膜システムとして構成されたTTSの両方を含む。
【0012】
本発明に従うTTSを、パッチ又は膜システムの形態と同様にマトリックスシステムの形態の両方で使用することができる。マトリックスシステムの場合には、活性物質のマトリックスは、例えば、活性物質の貯蔵所としての役割を果たすと共に溶解した又は分散した形態で活性物質を含有するプラスチック又は合成樹脂のマトリックスであり得る。それは、好ましくは、感圧性接着剤であり、単層及び二又は多層のものであるように実施され得る。“マトリックスシステム”の用語は、活性物質の貯蔵所が、活性物質、例えばアリピプラゾールが吸着される、繊維材料、例えば綿で織られた織物又は綿の不織布である、このような実施形態もまた含む。この繊維材料を、プラスチックのマトリックス又は合成樹脂のマトリックスで埋め込んでもよい。
【0013】
原則として、当業者に知られた複数の重合体、樹脂、及び添加剤を、活性物質を含有する添加剤の生産について考慮に入れることができる。しかしながら、これらの物質が、皮膚と接触する限りにおいて、皮膚に許容されること、調合物が、活性物質のアリピプラゾール又は別のドーパミンD2作用薬を皮膚へ配送することに適切であることに注意しなければならない。
【0014】
本発明に従うTTSの活性物質のマトリックス又は感圧性接着剤の層を生産するための適切な主材料の重合体は、シリコーンを主材料とした感圧性接着剤又は“ホットメルト接着剤”と同様に、アクリル酸及びそのエステル、イソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、スチレン−ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエンブロック共重合体、イソプレンブロック重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、又はネオプレンゴムのような合成ゴムを主材料とした重合体である。“ホットメルト接着剤”の用語は、溶剤で溶かされないが、上昇した温度で、好ましくは60から200℃の範囲で溶融する任意の接着剤を含む。ホットメルト接着剤として適切なのは、特に、セルロース誘導体との水素化されたコロホニーのエステルの混合物である。上述した主材料の重合体もまた、適切なマトリックスの形態で使用してもよい。
【0015】
上述した重合体を除けば、当業者に知られた他の重合体もまた、それらが、利用される活性物質のアリピプラゾール又はそれぞれの部分的ドーパミンD2作用薬と適合性であることを条件として、マトリックス又は感圧性接着剤の層を生産するための主材料の重合体として使用してもよい。
【0016】
活性物質のアリピプラゾール、又は別の部分的ドーパミンD2作用薬は、最も単純な場合に、主材料の重合体の溶液又は溶融物において、粗く、コロイド状に、又は分子状に分散される。TTSのさらなる製造は、この活性物質を含有するマトリックスが、適切な支持物上へ、例えば、シリコーン層が提供された熱可塑性フィルムに被覆され、もしかすると溶剤の成分の蒸発後に、TTSの後部層を後で構成することになる、さらなるフィルムで覆われるような様式で起こり得る。所望の幾何学的形状の平坦な形状の物体を打ち抜くことによって、TTSは、このような積層物から作られる。可塑剤、粘着性付与剤、可溶化剤、安定剤、充填剤、担体物質、及び浸透エンハンサーのような助剤として適切な薬学的に許容可能な物質は、原則として、当業者に知られている。
【0017】
さらなる実施形態に従って、活性物質が本発明に従うTTSのバッグ又はポーチの形状の貯蔵所に存在することが、提供される。貯蔵所は、活性物質を含有する、流動可能な、例えば、粘性若しくは高粘性若しくは半固体のプラスチックのマトリックスで、又はその溶液で充填される。それは、活性物質の貯蔵所が、ゲル形成剤を含有するとすれば、特に有利である。ポーチの皮膚に面する側が、活性物質に浸透性であなければならないのに対して、皮膚から避けられる、ポーチの後ろ側は、この場合には、活性物質に不浸透性でなければならない。活性物質の配送を制御するために、活性物質に浸透性の膜を、皮膚に面する側に配置してもよい(“膜システム”)。このようなポーチを生産するための適切な材料、及び膜用の適切な材料は、適切なゲル形成体と同様に、当業者に知られている。
【0018】
本発明の好適な実施形態は、活性物質のアリピプラゾール、又は部分的ドーパミンD2作用薬の群からの別の活性物質が、溶解した条件で、TTSの貯蔵所に存在することに帰着する。この場合に、調合物は、可能であれば、可溶化剤を含有するべきである。可溶化剤に関する好適な例は、多価アルコール、特に1,2−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール400、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールのモノエーテル、ジエチルトルアミド、及びモノイソプロピリデングリセリンである。1,2−プロパンジオールが、特に好適に使用される。溶剤の部分が、活性物質の貯蔵所の全体の重量に対して、1から50重量%、特に好ましくは、5から35重量%であることが、有利であることが証明されてきた。上述の可溶化剤のいくつか、例えば1,2−プロパンジオールが、浸透を高める物質として同時に作用し得ることを考慮に入れなければならない。
【0019】
皮膚を通じた高い活性物質の流れを得るために、特にマトリックスシステムにおいて、活性物質を含有するマトリックスが、各々の場合に活性物質のマトリックスの合計の重量に対して、0.1から25重量%、好ましくは1から10重量%の量で、浸透を高める物質を含有することが、特に有利なことが証明されてきた。皮膚の浸透を高める添加剤に関する好適な例は、オレイン酸のジエタノールアミンと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪酸のエステル、ソルビタン=モノラウラートの脂肪酸のエステル、長鎖の脂肪酸のメチル、エチル、又はイソプロピルアルコールとのエステル、脂肪族アルコールの酢酸又は乳酸とのエステルと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪族アルコールのエーテル、好ましくはポリオキシラウリルエーテル(例えば、Brij(R))と同様に、オレイン酸又はミリスチン酸のような脂肪酸と同様に、デカノール及びドデカノールのような脂肪族アルコールである。上述の浸透を高める物質を、単独でか、混合物としてか、いずれかで添加してもよい。
【0020】
高い活性物質の放出率を達成するために、活性物質のマトリックス又は活性物質を含有する層における活性物質の濃度は、好ましくは、できるだけ高い。しかしながら、この濃度において、活性物質の物理的安定性に、濃度が高過ぎるとすれば、悪影響を及ぼす場合もあることを、心に留めておかなければならない。従って、本発明のTTSにおいて、各々の場合に活性物質の貯蔵所の合計の質量に対して、0.1から50重量%、特に1から10重量%の範囲にある、活性物質の濃度が用いられる。本発明に従って、活性物質のアリピプラゾール、又は別の部分的ドーパミンD2作用薬が、少なくとも一つのさらなる活性物質との組み合せで存在することがさらに提供される。好ましくは、この活性物質又はこれらの活性物質は、フェノチアジン及び/又はそれらの類似体の物質の部類から、及び/又はブチロフェノンの部類から、及び/又はジフェニルブチルピペリジンの分類からのものである。
【0021】
さらに、活性物質のマトリックス又はマトリックスの個々の層は、原則として、当業者に知られた可塑剤を含有してもよい。これらの可塑剤の濃度は、各々の場合に活性物質のマトリックスに対して、総計30重量%までに達してもよく、好ましくは5及び20重量%の間にある。可塑剤を、例えば、炭化水素、アルコール、カルボン酸、及びそれらの誘導体、エーテル、エステル、又はアミンの群から選択してもよい。
【0022】
活性物質の放出の制御を可能とするために、他の機構によって成し遂げられない限り、活性物質の貯蔵所にもまた、皮膚の近くにあると共に活性物質を放出する側に、皮膚への活性物質の放出を制御する制御膜(“膜システム”)を提供してもよい。
【0023】
本発明は、活性物質のマトリックスが、二又は多層の構造を有するような実施形態もまた包含する。例えば、様々なマトリックスの層は、置換されたセルロース、好ましくはメチル及びエチルセルロースの群からの重合体の構成成分を含有してもよい。この場合に、マトリックスの層を、それらが、それらの重合体又は感圧性接着剤の組成、それらの活性物質の濃度、浸透を高める添加剤又は可溶化剤のそれらの濃度の点で、互いに異なるように構成してもよい。意図した出願の目的と一致して、上述の濃度を、濃度が、特別な長期の作用を目的とするか初期の効果を目的とするかに依存して、皮膚に近接してあるマトリックス層に向かう方向において皮膚から離れる側から、より小さく又はより大きくなるように、異なるようにすることができる。
【0024】
本発明に従うTTSの定着を、様々な方法で達成してもよい。例えば、活性物質のマトリックスが、それ自体、感圧性接着剤又は感圧性接着剤の重合体の混合物で作られる可能性がある。追加の活性物質が無い感圧性の接着剤の層による皮膚におけるTTSの定着もまた可能である。さらに、制御膜が提供されるようなこのような本発明のTTSにおいて、皮膚における定着は、接着剤のへりのものによって達成されることもまた想像できる。接着剤のこのへりは、活性物質を放出する面に接触せず、このように、制御膜と接続されない。
【0025】
本発明に従うTTSは、それらの活性物質の貯蔵所を除けば、同様に、活性物質に不浸透性の保護層又は剥離フィルムだけでなく、活性物質に不浸透性の後部層を有する。後部層用の材料として適切なのは、とりわけ、特定の強さによって特徴付けられるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート及びポリブチレンテレフタラートであるが、これらを除けば、ポリビニルクロリド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース誘導体、及びはるかに多くのもののような、任意の他の皮膚に許容されるプラスチックもある。個々の場合において、後部層には、例えば、金属、特にアルミニウムの蒸着によって、追加の層を提供してもよい。
【0026】
取り外し式の保護層用には、基本的に、それらが、適切な表面処理、例えばシリコン化によって取り外し式にされることを条件として、後部層用と同じ材料を使用してもよい。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンで処理された紙、又はセロハン(R)(セルロース水和物)のような他の取り外し式の保護層もまた利用してもよい。
【0027】
本発明に従うTTSは、都合良くは、分裂病性の精神病の急性の長期の治療に適する。ここで、活性物質のアリピプラゾール又は別の部分的にドーパミンD2作用薬を含有するTTSは、このような患者の皮膚に貼用され、少なくとも8時間の期間の間そこに残される。貼用の期間は、三日まで持続する場合もある。
【0028】
本発明に従うTTSを、例えば、以下のように調製することができる。
【0029】

50gの活性物質のアリピプラゾール及び20gの適切な浸透を高める物質(例えば、Brij(R)30)を、200gの1,2−プロパンジオールに溶解させる。この溶液は、適切な攪拌装置によって、シリコーン接着剤(No.4301、米国のDow Corning社による)に主材料の重合体として導入され、できるだけ均質である液体−液体の分散物が、結果として生じる。この分散物は、適当なデバイスを使用して(例えばポリエチレンテレフタラートの)担体のフィルムに均一に被覆される。その後、プロパンジオールの可能な部分と同様に、シリコーン接着剤の溶剤を、制御された乾燥によって取り除かれる。このようにして得られた積層物は、その後、ポリエチレンテレフタラートのさらなるフィルムと積層される。最後に、所定の面積のTTSが、打ち出され、適切な包装材に包装される。
【0030】
[付記]
付記(1):
少なくとも一つの部分的ドーパミンD2作用薬を投与する経皮治療吸収システム(TTS)であって、
活性物質に不浸透性の後部層、活性物質の貯蔵所、及び取り外し式の後部層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、感圧性接着剤であるか、又は前記TTSは、少なくとも一つの感圧性接着剤の層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、マトリックスシステムとして、又は膜システムとして構成されるTTSにおいて、
前記活性物質の貯蔵所は、前記部分的ドーパミンD2作用薬の群からの少なくとも一つの活性物質を含有することを特徴とするTTS。
【0031】
付記(2):
前記活性物質の貯蔵所は、単一層の、二層の、又は多層の活性物質のマトリックスとして構成されることを特徴とする、付記(1)に記載のTTS。
【0032】
付記(3):
前記活性物質のマトリックスは、プラスチック又は合成樹脂のマトリックス、好ましくは、感圧性接着剤のマトリックスであり、
このマトリックスの単数又は複数の主材料の重合体は、好ましくは、ホットメルト接着剤、好ましくはセルロース誘導体との水素化されたコロホニーのエステルの混合物と同様に、シリコーンを主材料とした感圧性接着剤と同様に、アクリル酸及びそのエステル、イソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、スチレン−ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエンブロック共重合体、イソプレンブロック重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、又はネオプレンゴムのような合成ゴムを主材料とした重合体を含む群から選択されることを特徴とする、付記(2)に記載のTTS。
【0033】
付記(4):
前記活性物質の貯蔵所は、前記活性物質が吸着される、繊維材料、織布、又は不織布を含有することを特徴とする、付記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のTTS。
【0034】
付記(5):
前記活性物質の貯蔵所は、流動可能な、粘性の、半固体の、ゲル様の、又は液体の、調製物又は溶液に前記活性物質を含有するポーチ形状の貯蔵所として構成され、活性物質に浸透性の層によって前記皮膚に面する側に、及び活性物質に不浸透性の層によって前記皮膚から避けられた側に制限されることを特徴とする、付記(1)に記載のTTS。
【0035】
付記(6):
それは、活性物質の放出の率を変更する又は制御する活性物質に浸透性の膜を追加で有することを特徴とする、付記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載のTTS。
【0036】
付記(7):
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の質量に対して、0.1から50重量%、好ましくは1から10重量%の範囲における濃度で含有されることを特徴とする、付記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載のTTS。
【0037】
付記(8):
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、溶解した状態で前記活性物質の貯蔵所に存在することを特徴とする、付記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のTTS。
【0038】
付記(9):
前記活性物質の貯蔵所は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の重量に対して、好ましくは1から50重量%、特に好ましくは5から35重量%の量で、少なくとも一つの可溶化剤を含有することを特徴とする、付記(1)乃至(8)のいずれか一つに記載のTTS。
【0039】
付記(10):
前記単数又は複数の可溶化剤は、多価アルコール、特に1,2−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール400、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールのモノエーテル、ジエチルトルアミド、及びモノイソプロピリデングリセリンを含む群から選択されることを特徴とする、付記(9)に記載のTTS。
【0040】
付記(11):
前記活性物質の貯蔵所は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の重量に対して、好ましくは0.1から25重量%、特に好ましくは1から10重量%の量で、少なくとも一つの浸透を高める物質を含有することを特徴とする、付記(1)乃至(10)のいずれか一つに記載のTTS。
【0041】
付記(12):
前記単数又は複数の浸透を高める物質は、オレイン酸のジエタノールアミンと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪酸のエステル、ソルビタン=モノラウラートの脂肪酸のエステル、長鎖の脂肪酸のメチル、エチル、又はイソプロピルアルコールとのエステル、脂肪族アルコールの酢酸又は乳酸とのエステルと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪族アルコールのエーテル、好ましくはポリオキシラウリルエーテルと同様に、脂肪酸、好ましくはオレイン酸、ミリスチン酸と同様に、脂肪族アルコール、好ましくはデカノール及びドデカノールを含む群から選択されることを特徴とする、付記(8)に記載のTTS。
【0042】
付記(13):
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする、付記(1)乃至(12)のいずれか一つに記載のTTS。
【0043】
付記(14):
それは、フェノチアジン及びその類似体、ブチロフェノン、及びジフェニルブチルピペリジンを含む群から選択される少なくとも一つの活性物質を追加で含有することを特徴とする、付記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載のTTS。
【0044】
付記(15):
活性物質に不浸透性の後部層、活性物質の貯蔵所、及び取り外し式の保護層を含む経皮治療吸収システムの生産用の部分的ドーパミンD2作用薬の使用であって、
前記活性物質の貯蔵所は、感圧性接着剤であるか、又は前記TTSは、少なくとも一つの感圧性接着剤の層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、少なくとも一つの部分的ドーパミンD2作用薬を含有する、経皮治療吸収システムの生産用の部分的ドーパミンD2作用薬の使用。
【0045】
付記(16):
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする、付記(15)に記載の経皮治療吸収システムを生産する部分的ドーパミンD2作用薬の使用。
【0046】
付記(17):
分裂病性の精神病の急性及び/又は慢性の症状を処置する、付記(1)乃至(14)のいずれか一つに記載の部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSの使用。
【0047】
付記(18):
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする、付記(17)に記載の部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSの使用。
【0048】
付記(19):
部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSは、分裂病性の精神病を患う患者の皮膚に貼用されることを特徴とする分裂病性の精神病の急性及び/又は慢性の症状の薬物処置の方法。
【0049】
付記(20):
前記TTSは、付記(1)乃至(14)のいずれか一つに記載のTTS、特に好ましくは前記活性物質のアリピプラゾールを含有するTTSであることを特徴とする、付記(19)に記載の方法。
【0050】
付記(21):
前記TTSの貼用の期間は、少なくとも8時間及び最大で3日であることを特徴とする、付記(19又は20)に記載の方法。
【0051】
付記(22):
部分的ドーパミンD2作用薬を必要とする人へ皮膚を介して部分的ドーパミンD2作用薬を投与する方法において、
a)活性物質に不浸透性の後部層、部分的ドーパミンD2作用薬を含有する活性物質の貯蔵所、感圧性接着剤の層、できる限り活性物質に浸透性の膜、及び取り外し式の保護層を含む経皮治療吸収システム(TTS)は、前記取り外し式の保護層から外され、
b)前記TTSは、その感圧性接着剤の層と共に、前記患者の無傷の皮膚へ貼用され、
c)前記活性物質の貯蔵所に含有される前記ドーパミンD2作用薬は、前記患者の皮膚へ、少なくとも8時間の期間を超えて、前記活性物質の貯蔵所から前記感圧性接着剤の層及びできる限り前記活性物質に浸透性の膜を通じて放出され、
d)前記TTSは、8時間の期間の後、前記患者の皮膚から、しかしながら最大で3日の期間の後、前記患者の皮膚から取り除かれることを特徴とする方法。
【0052】
付記(23):
前記部分的ドーパミンD2作用薬を必要とする人は、分裂病性の精神病の急性又は慢性の症状を患う患者であることを特徴とする、付記(22)に記載の過程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの部分的ドーパミンD2作用薬を投与する経皮治療吸収システム(TTS)であって、
活性物質に不浸透性の後部層、活性物質の貯蔵所、及び取り外し式の後部層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、感圧性接着剤であるか、又は前記TTSは、少なくとも一つの感圧性接着剤の層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、マトリックスシステムとして、又は膜システムとして構成されるTTSにおいて、
前記活性物質の貯蔵所は、前記部分的ドーパミンD2作用薬の群からの少なくとも一つの活性物質を含有することを特徴とするTTS。
【請求項2】
前記活性物質の貯蔵所は、単一層の、二層の、又は多層の活性物質のマトリックスとして構成されることを特徴とする請求項1記載のTTS。
【請求項3】
前記活性物質のマトリックスは、プラスチック又は合成樹脂のマトリックス、好ましくは、感圧性接着剤のマトリックスであり、
このマトリックスの単数又は複数の主材料の重合体は、好ましくは、ホットメルト接着剤、好ましくはセルロース誘導体との水素化されたコロホニーのエステルの混合物と同様に、シリコーンを主材料とした感圧性接着剤と同様に、アクリル酸及びそのエステル、イソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、スチレン−ジエン共重合体、特にスチレン−ブタジエンブロック共重合体、イソプレンブロック重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、又はネオプレンゴムのような合成ゴムを主材料とした重合体を含む群から選択されることを特徴とする請求項2記載のTTS。
【請求項4】
前記活性物質の貯蔵所は、前記活性物質が吸着される、繊維材料、織布、又は不織布を含有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のTTS。
【請求項5】
前記活性物質の貯蔵所は、流動可能な、粘性の、半固体の、ゲル様の、又は液体の、調製物又は溶液に前記活性物質を含有するポーチ形状の貯蔵所として構成され、活性物質に浸透性の層によって前記皮膚に面する側に、及び活性物質に不浸透性の層によって前記皮膚から避けられた側に制限されることを特徴とする請求項1記載のTTS。
【請求項6】
それは、活性物質の放出の率を変更する又は制御する活性物質に浸透性の膜を追加で有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のTTS。
【請求項7】
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の質量に対して、0.1から50重量%、好ましくは1から10重量%の範囲における濃度で含有されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のTTS。
【請求項8】
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、溶解した状態で前記活性物質の貯蔵所に存在することを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のTTS。
【請求項9】
前記活性物質の貯蔵所は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の重量に対して、好ましくは1から50重量%、特に好ましくは5から35重量%の量で、少なくとも一つの可溶化剤を含有することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載のTTS。
【請求項10】
前記単数又は複数の可溶化剤は、多価アルコール、特に1,2−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール400、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールのモノエーテル、ジエチルトルアミド、及びモノイソプロピリデングリセリンを含む群から選択されることを特徴とする請求項9記載のTTS。
【請求項11】
前記活性物質の貯蔵所は、各々の場合に前記活性物質の貯蔵所の合計の重量に対して、好ましくは0.1から25重量%、特に好ましくは1から10重量%の量で、少なくとも一つの浸透を高める物質を含有することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載のTTS。
【請求項12】
前記単数又は複数の浸透を高める物質は、オレイン酸のジエタノールアミンと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪酸のエステル、ソルビタン=モノラウラートの脂肪酸のエステル、長鎖の脂肪酸のメチル、エチル、又はイソプロピルアルコールとのエステル、脂肪族アルコールの酢酸又は乳酸とのエステルと同様に、ポリオキシエチレンの脂肪族アルコールのエーテル、好ましくはポリオキシラウリルエーテルと同様に、脂肪酸、好ましくはオレイン酸、ミリスチン酸と同様に、脂肪族アルコール、好ましくはデカノール及びドデカノールを含む群から選択されることを特徴とする請求項8記載のTTS。
【請求項13】
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載のTTS。
【請求項14】
それは、フェノチアジン及びその類似体、ブチロフェノン、及びジフェニルブチルピペリジンを含む群から選択される少なくとも一つの活性物質を追加で含有することを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載のTTS。
【請求項15】
活性物質に不浸透性の後部層、活性物質の貯蔵所、及び取り外し式の保護層を含む経皮治療吸収システムの生産用の部分的ドーパミンD2作用薬の使用であって、
前記活性物質の貯蔵所は、感圧性接着剤であるか、又は前記TTSは、少なくとも一つの感圧性接着剤の層を有し、
前記活性物質の貯蔵所は、少なくとも一つの部分的ドーパミンD2作用薬を含有する、経皮治療吸収システムの生産用の部分的ドーパミンD2作用薬の使用。
【請求項16】
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする請求項15記載の経皮治療吸収システムを生産する部分的ドーパミンD2作用薬の使用。
【請求項17】
分裂病性の精神病の急性及び/又は慢性の症状を処置する請求項1乃至14いずれか1項記載の部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSの使用。
【請求項18】
前記部分的ドーパミンD2作用薬は、前記活性物質のアリピプラゾールであることを特徴とする請求項17記載の部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSの使用。
【請求項19】
部分的ドーパミンD2作用薬を含有するTTSは、分裂病性の精神病を患う患者の皮膚に貼用されることを特徴とする分裂病性の精神病の急性及び/又は慢性の症状の薬物処置の方法。
【請求項20】
前記TTSは、請求項1乃至14いずれか1項記載のTTS、特に好ましくは前記活性物質のアリピプラゾールを含有するTTSであることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記TTSの貼用の期間は、少なくとも8時間及び最大で3日であることを特徴とする請求項19又は20記載の方法。
【請求項22】
部分的ドーパミンD2作用薬を必要とする人へ皮膚を介して部分的ドーパミンD2作用薬を投与する方法において、
a)活性物質に不浸透性の後部層、部分的ドーパミンD2作用薬を含有する活性物質の貯蔵所、感圧性接着剤の層、できる限り活性物質に浸透性の膜、及び取り外し式の保護層を含む経皮治療吸収システム(TTS)は、前記取り外し式の保護層から外され、
b)前記TTSは、その感圧性接着剤の層と共に、前記患者の無傷の皮膚へ貼用され、
c)前記活性物質の貯蔵所に含有される前記ドーパミンD2作用薬は、前記患者の皮膚へ、少なくとも8時間の期間を超えて、前記活性物質の貯蔵所から前記感圧性接着剤の層及びできる限り前記活性物質に浸透性の膜を通じて放出され、
d)前記TTSは、8時間の期間の後、前記患者の皮膚から、しかしながら最大で3日の期間の後、前記患者の皮膚から取り除かれることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記部分的ドーパミンD2作用薬を必要とする人は、分裂病性の精神病の急性又は慢性の症状を患う患者であることを特徴とする請求項22記載の過程。

【公開番号】特開2009−173679(P2009−173679A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111946(P2009−111946)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【分割の表示】特願2002−569119(P2002−569119)の分割
【原出願日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】