説明

部分芳香性で部分結晶性のコポリアミド

A)a1)ヘキサメチレンジアミンおよび8〜16個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸に由来する単位35〜69質量%、a2)3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびテレフタル酸に由来する単位31〜65質量%、a3)a1)およびa2)とは異なる、部分結晶性のポリアミドの単位0〜30質量%
からなるコポリアミド35〜100質量%B)他の添加剤0〜65質量%を含有し、この場合A)とB)の質量%の総和は、100%である、部分芳香性で部分結晶性のコポリアミド成形材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
A)
1)ヘキサメチレンジアミンおよび8〜16個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸に由来する単位35〜69質量%、
2)3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびテレフタル酸に由来する単位31〜65質量%、
3)a1)およびa2)とは異なる、部分結晶性のコポリアミドの単位0〜30質量%
からなるコポリアミド35〜100質量%
B)他の添加剤0〜65質量%を含有し、
この場合A)とB)の質量%の総和は、100%である、部分芳香性で部分結晶性のコポリアミド成形材料に関する。
【0002】
更に、本発明は、全ての種類の繊維、フォイルおよび成形品を製造するための本発明によるコポリアミドの使用ならびにその際に得られる成形品に関する。
【0003】
耐熱性ポリアミド(HTPA)は、多くの場合に6T単位(ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)を基礎とする。しかし、純粋な6Tは、極めて高い溶融温度を有し、分解なしに加工することはできない。相応して、前記事実を回避すべきコポリマー系が開発された:例えば、欧州特許出願公開第299444号明細書(PA6/6T、PA66/6T)、欧州特許出願公開第1994075号明細書(PA6T/6I/MXD6)、欧州特許出願公開第667367号明細書(6T/6I/脂環式ジアミン)。
【0004】
配合されたコポリアミドの量で溶融温度を減少させることは、体系的に系PA 6T/6、6T/6I、6T/66および4T/46について試験された[G.Ajroldi,G.Stea,A.Mattiussi,F.Fumagalli,J.Appl.Poly.Sei.1973,17,3187−3197,H.Ludewig,Faserforschung und Textilchemie 1955,6.277,Gaymans et.al.,J.Polym.Sei.A.Chem.1989,27,423−430]。
【0005】
できるだけ高いガラス転移温度および高い溶融温度(分解なし)を有するHTPAsは、殊に数多くの用途に対して問題のない加工のために望ましい。
【0006】
従って、本発明は、高いTGおよび高いTm(分解なし)を有する、部分芳香性で部分結晶性のコポリアミドを提供するという課題に基づくものであった。
【0007】
従って、冒頭に定義されたコポリアミド成形材料が見出された。有利な実施態様は、引用形式請求項の記載から確認することができる。
【0008】
本発明によるコポリアミド成形材料は、成分A)として、
1)ヘキサメチレンジアミンおよび8〜16個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸に由来する単位35〜69質量%、特に40〜55質量%、殊に40〜52質量%からなるコポリアミド35〜100質量%、特に35〜95質量%を含有する。
【0009】
適当な芳香族ジカルボン酸は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、置換テレフタル酸および置換イソフタル酸、例えば3−t−ブチルイソフタル酸、多核ジカルボン酸、例えば4,4’−および3,3’−ジフェニルジカルボン酸、フタル酸、4,4’−および3,3’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−および3,3’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,4−または2,6−ナフタリンジカルボン酸、フェノキシテレフタル酸であり、この場合には、テレフタル酸が特に好ましい。
【0010】
単位a2)は、31〜65質量%、特に45〜60質量%、殊に48〜60質量%の量でコポリアミドA)中に存在する。この単位は、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンおよびテレフタル酸に由来する。
【0011】
ジアミンは、トランス−トランス異性体の50〜80質量%の立体異性体組成物中に使用され、一方で、残分は、シス−トランス異性体およびシス−シス異性体から構成され、シス−シス異性体の割合は、有利に10質量%未満である。
【0012】
本発明によるコポリアミドは、単位a3)として、a1)およびa2)とは異なる部分結晶性のポリアミドの単位0〜30質量%を含有することができる。
【0013】
単位a3)が存在する場合には、特に次の組成がもたらされる:
1)35〜55質量%、殊に40〜50質量%、
2)35〜60質量%、殊に35〜45質量%、
3)5〜25質量%、殊に10〜22質量%。
【0014】
上記の芳香族カルボン酸と共に、単位a3)には、脂肪族ジカルボン酸が使用されてもよい。
【0015】
好ましい脂肪族ジカルボン酸は、2〜20個のC原子、特に4〜16個のC原子、殊に有利に6〜14個のC原子を有する、直鎖状または分枝鎖状アルキル基を有する脂肪族ジカルボン酸である。
【0016】
ジカルボン酸としては、2個のカルボン酸基(カルボキシ基)またはその誘導体を有するジカルボン酸が使用されてよい。誘導体として、殊に前記ジカルボン酸のC1〜C10アルキル−、有利にメチル−、エチル−、n−プロピル−またはイソプロピル−モノ−またはジエステル、相応するジカルボン酸ハロゲン化物、殊にジカルボン酸ジクロリドならびに相応するジカルボン酸無水物が使用される。この種の化合物の例は、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(コルク酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸(ブラシル酸)。C32二量体脂肪酸(Cognis Corp.社,USAの市販製品)、そのメチルエステル、例えばエタン二酸ジメチルエステル、プロパン二酸ジメチルエステル、ブタン二酸ジメチルエステル、ペンタン二酸ジメチルエステル、ヘキサン二酸ジメチルエステル、ヘプタン二酸ジメチルエステル、オクタン二酸ジメチルエステル、ノナン二酸ジメチルエステル、デカン二酸ジメチルエステル、ウンデカン酸二酸ジメチルエステル、ドデカン二酸ジメチルエステル、トリデカン二酸ジメチルエステル、C32二量体脂肪酸ジメチルエステル、そのジクロリド、例えばエタン二酸ジクロリド、プロパン二酸ジクロリド、ブタン二酸ジクロリド、ペンタン二酸ジクロリド、ヘキサン二酸ジクロリド、ヘプタン二酸ジクロリド、オクタン二酸ジクロリド、ノナン二酸ジクロリド、デカン二酸ジクロリド、ウンデカン二酸ジクロリド、ドデカン二酸ジクロリド、トリデカン二酸ジクロリド、C32二量体脂肪酸ジクロリドならびにその無水物、例えばブタンジカルボン酸、ペンタンジカルボン酸であり、この場合テトラデカン二酸(C14)、ペンタンデカン二酸(C15)、ヘキサデカン二酸(C16)、ヘプタデカン二酸(C17)、オクタデカン二酸(C18)、1,4−シクロヘキサン二酸が特に好ましい。
【0017】
勿論、前記ジカルボン酸の混合物が使用されてもよい。
【0018】
他のポリアミドを形成するモノマーは、4〜16個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式ジアミンならびにアミノカルボン酸に由来することができる。この場合、この型の適当なモノマーとして、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、ピペラジン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,3−(4,4’−ジアミノジシクロヘキシル)−プロパンまたは3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミンの代表例としてのメチルペンタメチレンジアミン、およびアミノカルボン酸の代表例としてのω−アミノウンデカン酸が挙げられる。
【0019】
最終的なものではないが、次のリストには、本発明の範囲内で挙げられた、可能な単位a3)および含有されたモノマーを含む。
【0020】
AA/BBポリマー
PA 46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸、
PA 66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸(特に好ましい)
PA 69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸、
PA 610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸、
PA 612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸、
PA 613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸、
PA 1212 1,12−デカンジアミン、デカンジカルボン酸、
PA 1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸、
PA 6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、
PA MXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸、
AA/BBポリマー
PA 6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸、
PA 6−3−T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸、
PA 6/6T (PA 6およびPA 6T参照)、
PA 6/66 (PA 6およびPA 66参照)
PA 6/12 (PA 6およびPA 12参照)、
PA 66/6/610 (PA 66、PA 6およびPA 610参照)、
PA 6I/6T (PA 6IおよびPA 6T参照)、
PA PACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウリンラクタム、
PA 6I/6T/PACM 例えば、PA 6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタン、
PA 12/MACMI ラウリンラクタム、ジメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、
PA 12/MACMT ラウリンラクタム、ジメチル−ジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸、
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸。
【0021】
ポリアミドA)は、自体公知の方法により製造されてよい(例えば、欧州特許第129195号明細書、米国特許第3948862号明細書)。同様に、WO 2007/23108に記載された、二酸の相応するジニトリルを酸当量として使用する方法、または例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第10313681号明細書、欧州特許出願公開第1198491号明細書および欧州特許第922065号明細書に記載されているような、水の存在下でのいわゆる直接重合による方法が使用される。
【0022】
本発明によるポリアミドは、有利に相応するジアミンと遊離ジカルボン酸との非連続的または連続的な加水分解による重縮合反応で水溶液または水溶性次亜リン酸塩(0.05〜0.5質量%)の水溶液から製造される。こうして形成された、40〜120ml/gの粘度数(VZ)を有するプレポリマー(濃硫酸中、0.5質量%、ISO 307)は、少なくとも80ml/g、特に100〜300ml/gのVZが達成されるまで、押出機中で固体相中、または溶融された状態で、後縮合に掛けられる。
【0023】
それとは別に、本発明によるコポリアミドは、単位a1)を有するポリアミドと単位a2)を有するポリアミドから、溶融およびアミド交換によって溶融液中で、殊に押出機中で製造されることができる。この場合、それぞれのポリアミドは、別々に供給され、場合によっては触媒的に作用する添加剤および/または促進剤(例えば、次亜リン酸化合物、有機亜燐酸エステル、有機ホスホン酸エステル)が添加される。この場合、こうして製造されたコポリアミドは、アミド交換およびコポリアミド形成の後に単一のガラス温度だけを有する。
【0024】
コポリアミドA)は、有利に135℃を上廻る、特に145℃を上廻る、殊に150〜190℃のガラス転移温度TGを有する。
【0025】
溶融温度Tmは、特に330℃未満、殊に295〜325℃である。このパラメーターは、通常、ISO 11357−2,3,および7によるDSC(示差走査熱分析Differential Scanning Calorimetrie)により測定される(20K/分、第2の加熱曲線)。
【0026】
商TG[ケルビン]/Tm[K]は、特に少なくとも0.71、殊に少なくとも0.72、特に有利に0.73である。
【0027】
成分B)として、本発明による成形材料は、他の添加剤70質量%まで、特に50質量%までを含有することができる。
【0028】
繊維状または粒子状の充填剤として、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、アモルファスシリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、白亜、粉末状石英、雲母、硫酸バリウムおよび長石が挙げられ、これらは、1〜50質量%、殊に5〜40質量%、特に有利に10〜40質量%の量で使用される。
【0029】
有利な繊維状充填剤としては、炭素繊維、アラミド繊維およびチタン酸カリウム繊維が挙げられ、この場合E−ガラスであるガラス繊維は、特に有利である。このガラス繊維は、ロービングまたは切断ガラス(Schnittglas)として市販の形で使用されてよい。
【0030】
繊維状充填剤は、熱可塑性樹脂とのより良好な相容性のためのシラン化合物で表面前処理されていてよい。
【0031】
適当なシラン化合物は、次の一般式
(X−(CH2nk−Si−(O−Cm2m+14-k
〔式中、置換基は、次の意味を有する:
【化1】

nは、2〜10、有利に3〜4の整数であり、
mは、1〜5、有利に1〜2の整数であり、
kは、1〜3、有利に1の整数である〕で示されるかかるシラン化合物である。
【0032】
有利なシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシランならびに置換基Xとしてグリシジル基を含有する相応するシランである。
【0033】
シラン化合物は、一般に0.01〜2質量%(B)に対して)、特に0.025〜1.0質量%、殊に0.05〜0.5質量%の量で表面被覆のために使用される。
【0034】
針状の鉱物質の充填剤も適当である。
【0035】
針状の鉱物質の充填剤は、本発明の範囲内で著しく顕著な針状特性を有する鉱物質の充填剤である。例として、針状の珪灰石が挙げられる。特に、この鉱物は、8:1〜35:1、特に8:1〜11:1のL/D(長さ直径)比を有する。鉱物質の充填剤は、場合によっては前記のシラン化合物で前処理されていてよいが;しかし前処理は、必ずしも必要ではない。
【0036】
他の充填剤として、カオリン、焼成カオリン、珪灰石、タルクおよび白亜が挙げられ、ならびに付加的に小板状または針状のナノ充填剤は、有利に0.1〜10%の量で使用される。このために、好ましくは、ベーム石、ベントナイト、モンモリロン石、バーミキュライト、ヘクトライトおよびラポナイトが使用される。有機結合剤との小板状のナノ充填剤の良好な相容性を得るために、小板状のナノ充填剤は、公知技術水準により有機的に変性される。本発明によるナノ複合材への小板状または針状のナノ充填剤の添加は、機械的強度のさらなる上昇を生じる。
【0037】
本発明による成形材料は、成分B)として滑剤を0.05〜3質量%、特に0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%含有することができる。
【0038】
好ましいのは、10〜44個のC原子%、特に12〜44個のC原子を有する脂肪酸のAl塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはエステルまたはアミドである。
【0039】
金属イオンは、特にアルカリ土類金属およびAlであり、この場合CaまたはMgは、特に有利である。
【0040】
好ましい金属塩は、Caステアリン酸塩およびCaモンタン酸塩ならびにAlステアリン酸塩である。
【0041】
種々の塩の混合物が使用されてもよく、この場合、混合比は、任意である。
【0042】
カルボン酸は、1価または2価であってもよい。例として、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸および特に有利にステアリン酸、カプリン酸ならびにモンタン酸(30〜40個のC原子を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
【0043】
脂肪族アルコールは、1〜4価であってよい。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリットであり、この場合には、グリセリンおよびペンタエリトリットが有利である。
【0044】
脂肪族アミンは、1〜3価であってよい。このための例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、この場合には、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが特に有利である。好ましいエステルまたはアミドは、相応するグリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリンモノベヘネートおよびペンタエリトリットテトラステアレートである。
【0045】
種々のエステルまたはアミドの混合物またはエステルとアミドを組合せて使用してよく、この場合混合比は、任意である。
【0046】
本発明による成形材料は、成分B)として、Cu安定剤、特にCu(I)ハロゲン化物0.05〜3質量%、特に0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%を、殊にアルカリ金属ハロゲン化物、特にKIとの殊に比1:4での混合物で含有することができるか、または立体障害フェノールまたはその混合物を含有することができる。
【0047】
1価銅の塩として、特に酢酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)およびヨウ化銅(I)がこれに該当する。前記の1価銅の塩は、ポリアミドに対して銅を5〜500ppm、特に10〜250ppm含有している。
【0048】
好ましい性質は、殊に、銅が分子状の分布でポリアミド中に存在する場合に得られる。これは、成形材料に、ポリアミド、1価銅の塩およびアルカリ金属ハロゲン化物を均一な固溶体の形で含有する濃厚物が添加される場合に達成される。典型的な濃厚物は、例えばポリアミド79〜95質量%と、ヨウ化銅または臭化銅とヨウ化カリウムとの混合物21〜5質量%とからなる。均一な固溶体中の銅の濃度は、有利に固溶体の全質量に対して0.3〜3質量%、殊に0.5〜2質量%であり、ヨウ化銅(I)とヨウ化カリウムとのモル比は、1〜11.5、特に1〜5である。
【0049】
前記濃厚物に適したポリアミドは、ホモポリアミドおよびコポリアミド、殊にポリアミド6およびポリアミド6.6である。
【0050】
立体障害フェノールB)として、原理的にフェノール環に少なくとも1個の粗大な基を有する、フェノール構造を有する全ての化合物が適している。
【0051】
特に、例えば式
【化2】

〔式中、
1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基または置換トリアゾールを表わし、この場合基R1およびR2は、同一でも異なっていてもよく、およびR3は、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基または置換アミノ基を表わす〕で示される化合物がこれに該当する。
【0052】
記載された種類の酸化防止剤は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第2702661号明細書(米国特許第4360617号明細書)中に記載されている。
【0053】
好ましい立体障害フェノールのさらなる群は、置換ベンゼンカルボン酸、殊に置換ベンゼンプロピオン酸に由来する。
【0054】
前記種類からの特に好ましい化合物は、式
【化3】

〔式中、R4、R5、R7およびR8は、互いに無関係に、それらの側で置換されていてよいC1〜C8アルキルであり(その中の少なくとも1個は、粗大な基である)、R6は、主鎖中にC−O−基を有していてもよい、1〜10個のC原子を有する2価脂肪族基である〕で示される化合物である。
【0055】
前記式に相当する好ましい化合物は、
【化4】

である。
【0056】
例示的に全体的に立体障害フェノールとして次のものが挙げられる:
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ジステアリル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2.2.2]オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ジメチルアミン。
【0057】
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三ブチルフェニル)、1,6−ヘキサンジオール−ビス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート(Irganox(登録商標)259)、ペンタエリトリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]ならびにN,N’−ヘキサメチレン−ビス−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド(Irganox(登録商標)1098)および特に好適であるBASF SE社の前記Irganox(登録商標)245は、特に有効であることが証明され、従って有利に使用される。
【0058】
単独で、または混合物として使用されてよい酸化防止剤B)は、成形材料A)〜B)の全質量に対して0.05〜3質量%、特に0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%の量で含有されている。
【0059】
多くの場合に、フェノール系ヒドロキシ基に対してオルト位で立体障害基1個以下を有する立体障害フェノールは、殊に長時間に亘っての拡散光中での貯蔵の際に色安定性を評価した場合、特に好ましいことが証明された。
【0060】
本発明による成形材料は、成分B)として、ニグロシンを0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%、殊に0.25〜1.5質量%含有することができる。
【0061】
ニグロシンは、一般的にウールの染色およびウールの捺染、シルクの黒色染色、皮革、靴クリーム、ワニス、プラスチック、焼付ラッカー、インキおよび類似物の着色におけるインジュリンに関連した、種々の実施態様(水溶性、油可溶性、スピリット可溶性)の黒色または灰色のフェナジン染料(アジン染料)の群であり、ならびに鏡検法における染料として使用される。
【0062】
ニグロシンは、技術的にニトロベンゼン、アニリンおよび塩酸アニリンを金属鉄およびFeCと一緒に加熱することによって取得される(ラテン語ニゲル=黒の名称)。
【0063】
成分B)は、遊離塩基として使用されてよいし、塩(例えば、塩酸塩)として使用されてもよい。
【0064】
ニグロシンについてのさらなる詳細は、例えば電子工学事典のRoempp Online,Version 2.8,Thieme−Verlag,Stuttgart,2006,見出し語"Nigrosin"から確認することができる。
【0065】
更に、通常の添加剤B)は、例えば25質量%まで、特に20質量%までの量でのゴム弾性ポリマーである(しばしば、耐衝撃変性剤、エラストマーまたはゴムとも呼称される)。
【0066】
この場合には、これは特に一般的に、有利には次のモノマー少なくとも2つから形成されているコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリルニトリルおよびアルコール成分中の1〜18個のC原子を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル。
【0067】
この種のポリマーは、例えばHouben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,第14/1巻(Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961),第392〜406頁およびC.B.Bucknall,"Toughened Plastics"(Applied Science Publisher,London,1977)の専攻論文に記載されている。
【0068】
以下、このようなエラストマーの若干の好ましい種類を記載する。
【0069】
このようなエラストマーの有利な種類は、いわゆるエチレン−プロピレン(EPM)またはエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴムである。
【0070】
EPMゴムは、一般的に、事実上二重結合をもはや有しないのに対して、EPDMゴムは、二重結合1〜20個/炭素原子100個を有していてよい。
【0071】
EPDMゴムのためのジエン−モノマーとして、例えば共役結合されたジエン、例えばイソプレンおよびブタジエン、5〜25個のC原子を有する共役結合されていないジエン、例えばペンタ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエンおよびオクタ−1,4−ジエン、環式ジエン、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエンおよびジシクロペンタジエンならびにアルケニルノルボルネン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネンおよびトリシクロジエン、例えば3−メチル−トリシクロ(5.2.1.0.2.6)−3,8−デカジエンまたはその混合物が挙げられる。ヘキサ−1,5−ジエン、5−エチリデンノルボルネンおよびジシクロペンタジエンが好ましい。EPDMゴムのジエン含量は、ゴムの全質量を基準として、好ましくは0.5〜50質量%、特に1〜8質量%である。
【0072】
EPMゴムもしくはEPDMゴムは好ましくは、反応性カルボン酸またはそれらの誘導体でグラフトされていてもよい。この場合には、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびこの誘導体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ならびに無水マレイン酸が挙げられる。
【0073】
好ましいゴムの別の群は、エチレンと、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはこれらの酸のエステルとのコポリマーである。付加的に、ゴムは、まだなおジカルボン酸、例えばマレイン酸およびフマル酸またはこれらの酸の誘導体、例えばエステルおよび無水物、および/またはエポキシ基含有モノマーを含有していてよい。前記のジカルボン酸誘導体またはエポキシ基含有モノマーは、特に一般式IまたはIIまたはIIIまたはIV
【化5】

〔式中、R1〜R9は、水素または1〜6個のC原子を有するアルキル基を表わし、mは、0〜20の整数であり、gは、0〜10の整数であり、pは、0〜5の整数である〕で示されるジカルボン酸基含有モノマーまたはエポキシ基含有モノマーをモノマー混合物に添加することによってゴム中に組み入れられる。
【0074】
好ましくは、基R1〜R9は水素を表わし、その際にmは0または1を表わし、かつgは1を表わす。相応する化合物は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテルおよびビニルグリシジルエーテルである。
【0075】
式I、IIおよびIVの有利な化合物は、マレイン酸、無水マレイン酸およびアクリル酸および/またはメタクリル酸のエポキシ基含有エステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよび第三級アルコールとのエステル、例えば第三級ブチルアクリレートである。後者の第三級ブチルアクリレートは、確かに遊離カルボキシル基を有しないが、しかしそれらの挙動において遊離酸に近く、故に潜在性カルボキシル基を有するモノマーと呼ばれる。
【0076】
有利に、コポリマーは、エチレン50〜98質量%、エポキシ基を有するモノマーおよび/またはメタクリル酸および/または酸無水物基を有するモノマー0.1〜20質量%ならびに(メタ)アクリル酸エステルの残りの量からなる。
【0077】
特に好ましいのは、
エチレン50〜98質量%、殊に55〜95質量%、
グリシジルアクリレートおよび/またはグリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸および/または無水マレイン酸0.1〜40質量%、殊に0.3〜20質量%、および
n−ブチルアクリレートおよび/または2−エチルヘキシルアクリレート1〜45質量%、殊に5〜40質量%からなるコポリマーである。
【0078】
アクリル酸および/またはメタクリル酸の好ましい別のエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびイソブチルエステルもしくはt−ブチルエステルである。
【0079】
この他に、ビニルエステルおよびビニルエーテルもコモノマーとして使用可能である。
【0080】
前記のエチレンコポリマーは、それ自体として知られた方法によって、好ましくは高圧および高められた温度下でのランダム共重合によって、製造されることができる。相応する方法は一般的に公知である。
【0081】
また、好ましいエラストマーは、乳化重合体であり、この乳化重合体の製造は、例えばBlackleyの論文"Emulsion Polymerization"中に記載されている。使用可能な乳化剤および触媒は、自体公知である。
【0082】
原則的に、均質に形成されたエラストマーが使用されてもよいし、シェル構造を有するエラストマーが使用されてもよい。シェル状の構造は、個々のモノマーの添加順序によって定められ、このポリマーの形態もこの添加順序によって影響を及ぼされる。
【0083】
この場合、エラストマーのゴム部分を製造するためのモノマーとしての代替物として、アクリレート、例えばn−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート、相応するメタクリレート、ブタジエンおよびイソプレンならびにこれらの混合物が挙げられる。前記モノマーは、他のモノマー、例えばスチレン、アクリルニトリル、ビニルエーテルおよび他のアクリレートまたはメタクリレート、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびプロピルアクリレートと共重合されてよい。
【0084】
エラストマーの軟質相またはゴム相(0℃未満のガラス転移温度を有する)は、核、外側殻または中間の殻(二殻を上廻る構造を有するエラストマーの場合)であることができ;多殻のエラストマーの場合には、多殻は、ゴム相から形成されていてもよい。
【0085】
ゴム相と共に、なお1つ以上の硬質成分(20℃を上廻るガラス転移温度を有する)がエラストマーの構造に関与する場合には、このエラストマーは、一般に、主要モノマーとしてのスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートを重合させることによって製造される。それと共に、この場合には、より少ない割合の他のコモノマーが使用されてもよい。
【0086】
幾つかの場合に、表面上に反応性基を有するエマルションポリマーを使用することが有利であることが判明している。この種の基は、例えばエポキシ基、カルボキシル基、潜在性カルボキシル基、アミノ基またはアミド基ならびに一般式
【化6】

[式中、置換基は、次の意味を有してよい:
10は、水素またはC1〜C4−アルキル基を表わし、
11は、水素、C1〜C8アルキル基またはアリール基、殊にフェニルを表わし、
12は、水素、C1〜C10アルキル基、C6〜C12にアリール基または−OR13を表わし、
13は、C1〜C8アルキル基またはC6〜C12アリール基を表わし、これらは、場合によりO含有基またはN含有基で置換されていてもよく、
Xは、1つの化学結合、C1〜C10アルキレン基またはC6〜C12にアリーレン基、または
【化7】

Yは、O−ZまたはNH−Zを表わし、
Zは、C1〜C10−アルキレン基またはC6〜C12−アリーレン基を表わす〕で示されるモノマーを共用することによって導入されてよい官能基である。
【0087】
また、欧州特許出願公開第208187号明細書に記載されているグラフトモノマーは、表面上への反応基の導入に適している。
【0088】
他の例として、更にアクリルアミド、メタクリルアミドおよびアクリル酸またはメタクリル酸の置換エステル、例えば(N−t−ブチルアミノ)−エチルメタクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)−メチルアクリレートおよび(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレートが挙げられる。
【0089】
更に、ゴム相の粒子は、架橋されていてもよい。架橋剤として作用するモノマーは、例えばブタ−1,3−ジエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートおよびジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレートならびに欧州特許出願公開第50265号明細書中に記載の化合物である。
【0090】
更に、いわゆるグラフト架橋性モノマー(graft−linking monomers)、即ち重合の際に異なる速度で反応する、2個以上の重合可能な二重結合を有するモノマーが使用されてもよい。有利には、少なくとも1つの反応基が残りのモノマーとほぼ同じ速度で重合し、一方で、他の反応基(または複数の反応基)が例えば明らかによりいっそう緩徐に重合する化合物が使用される。異なる重合速度は、ゴム中に特定割合の不飽和二重結合を必然的に伴なう。引続き、このようなゴム上に他の相がグラフトされる場合には、ゴム中に存在する二重結合は、少なくとも部分的にグラフトモノマーと、化学結合の形成下に反応し、即ちグラフトされた相は、少なくとも部分的に化学結合を介してグラフト主鎖と結合している。
【0091】
このようなグラフト架橋性モノマーの例は、アルキル基含有モノマー、特にエチレン系不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネートまたは前記ジカルボン酸の相応するモノアリル化合物である。この他に、多数の更なる適したグラフト架橋性モノマーが存在し;この場合、詳細については、例えば米国特許第4148846号明細書が指摘されてよい。
【0092】
一般に、耐衝撃性改良性ポリマー中のこれらの架橋性モノマーの割合は、耐衝撃性改良性ポリマーを基準として、5質量%まで、好ましくは3質量%以下である。
【0093】
以下に、好ましい幾つかのエマルションポリマーを挙げることができる。この場合には、最初に1つの核および少なくとも1つの外側殻を有するグラフトポリマーを挙げることができ、このグラフトポリマーは、次の構造を有する:
【表1】

【0094】
多殻状構造を有するグラフトポリマーの代わりに、ブタ−1,3−ジエン、イソプレンおよびn−ブチルアクリレートまたはこれらのコポリマーからなる均質な、即ち1つの殻を有するエラストマーが使用されてもよい。また、前記生成物は、架橋性モノマーまたは反応基を有するモノマーを併用することによって製造されてよい。
【0095】
好ましいエマルションポリマーの例は、n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸−コポリマー、n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレート−コポリマーまたはn−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート−コポリマー、n−ブチルアクリレートからなる内側の核を有するかまたはブタジエンベースでかつ前記のコポリマーからなる外側殻を有するグラフトポリマーおよびエチレンと反応性基を供給するコモノマーとのコポリマーである。
【0096】
記載されたエラストマーは、別の常用の方法により、例えば懸濁重合によって製造されてもよい。
【0097】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3725576号明細書、欧州特許出願公開第235690号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3800603号明細書および欧州特許出願公開第319290号明細書に記載されているようなシリコーンゴムは、同様に有利である。
【0098】
勿論、前記のゴムタイプの混合物も使用されることができる。
【0099】
成分B)として、本発明による熱可塑性成形材料は、常用の加工助剤、例えば安定剤、酸化遅延剤、熱分解に抗する薬剤、紫外線による分解に抗する薬剤、滑剤および離型剤、着色剤、例えば染料および顔料、核形成剤、可塑剤等を含有することができる。
【0100】
酸化遅延剤および熱安定剤のための例として、熱可塑性成形材料の質量に対して1質量%までの濃度での立体障害フェノールおよび/またはホスフィットおよびアミン(例えば、TAD)、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、前記群の種々の置換された代表例およびこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
一般に成形材料に対して2質量%までの量で使用されるUV安定剤として、種々の置換されたレゾルシン、サリチレート、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンが挙げられる。
【0102】
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄およびカーボンブラック、更に有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレンならびに染料、例えばアントラキノンは、着色剤として添加されてよい。
【0103】
核形成剤としては、ナトリウムフェニルホスフィネート、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素ならびに有利にタルクが使用されてよい。
【0104】
本発明による熱可塑性成形材料は、自体公知の方法により製造されてよく、前記方法においては、出発成分は通常の混合装置、例えばスクリュー押出機、ブラベンダーミルまたはバンバリーミル中で混合され、引続き押出される。この押出後、この押出物は冷却され、かつ破砕されてよい。また、個々の成分は、前混合されてもよく、次に残りの出発物質は、個々におよび/または同様に混合して添加されてもよい。混合温度は、一般に230〜320℃である。
【0105】
更に、好ましい作業形式により、成分B)は、プレポリマーと混合されてよく、調製されてよく、および造粒されてよい。得られた顆粒は、引続き、固相で不活性ガス下で連続的または非連続的に成分A)の融点未満の温度で所望の粘度になるまで縮合される。
【0106】
本発明による熱可塑性成形材料は、良好な機械的性質と共に良好な加工可能性を示し、ならびに高いTmと結合された、高いTGを示すが、しかし、加工の際にポリマーが分解することはない。
【0107】
前記材料は、任意の種類の繊維、フォイルおよび成形品の製造に適している。以下、若干の例が記載されている:シリンダヘッドカバー、オートバイ用カバー、吸気マニホールド、チャージエアクーラーキャップ、プラグコネクタ、ギヤーホイール、冷却ファンホイールおよび冷却水用タンク。
【0108】
電気分野および電子分野において、改善された流動性ポリアミドは、プラグ、プラグ部品、プラグコネクタ、メンブランスイッチ、プリント回路板モジュール、マイクロエレクトロニックコンポーネント、コイル、I/0 プラグコネクタ、プリント回路板(PCBs)用プラグ、フレキシブルプリント回路(FPCs)用プラグ、フレキシブル集積回路(FFCs)用プラグ、高速プラグコネクタ、端子板、コネクタプラグ、デバイスプラグ、ケーブルハーネスコンポーネント、回路マウント、回路マウントコンポーネント、三次元射出成形回路マウント、電気的コネクタおよびメカトロニクスコンポーネントを製造するために使用することができる。
【0109】
自動車用室内では、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シートコンポーネント、ヘッドレスト、センタコンソール、ギヤボックスコンポーネントおよびドアモジュールのために使用することができ、自動車室外では、ドアグリップ、外装ミラーコンポーネント、ウインドシールドワイパーコンポーネント、ウインドシールドワイパー保護ハウジング、グリル、ルーフレール、サンルーフフレーム、エンジンカバー、シリンガヘッドカバー、吸込み管(殊に、吸込みマニホルド)、ウインドシールドワイパーならびにボディ外側部のために使用することができる。
【0110】
台所範囲および家庭範囲のために、前記の流動性が改善されたポリアミドは、台所用品のコンポーネント、例えばフライ揚げ器、アイロン、ボタンの製造のため、ならびに園芸−余暇範囲では、例えば灌漑システムのためのコンポーネントまたは園芸用品およびドアグリップへの用途のために使用することができる。
【実施例】
【0111】

ヘキサメチレンジアミン(6)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(L)、テレフタル酸(T)、ならびに場合によりヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸を、次亜リン酸ナトリウム一水和物の水溶液("NHP"、0.1質量%)と一緒に試薬瓶中に計量供給した。実施例の混合物中で使用された適当な量は、下記の表に記載されている。反応混合物をオートクレーブ反応器中に導入し、3回それぞれ3バールの窒素でフラッシュした。このオートクレーブをAT=200℃に加熱し、このTで1時間維持し、引続き350℃の外側温度に加熱し、16バールの過圧を全部で2時間、連続的な放圧によって維持した。引続き、60分間でオートクレーブを周囲圧力に放圧し、窒素流の下で120分間同じ温度で後縮合を実施した。加圧(P=10バール)下での冷却後、取り出された乾燥生成物を微粉砕した。
【0112】
DSC測定:
DSC測定をWaters GmbH社のQ−2000で実施した。
【0113】
開始質量は、約8.5mgであり、加熱−および冷却速度は、20K/分であった(第2の加熱曲線)。ISO 11357−2,3,および7に準拠して試料を測定した。
【0114】
ΔHを次のように算出した:
溶融曲線の下方の面積の算出(第2の加熱曲線)。
【0115】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)
1)ヘキサメチレンジアミンおよび8〜16個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸に由来する単位35〜69質量%、
2)3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびテレフタル酸に由来する単位31〜65質量%、
3)a1)およびa2)とは異なる、部分結晶性のコポリアミドの単位0〜30質量%
からなるコポリアミド35〜100質量%、
B)他の添加剤0〜65質量%を含有し、
この場合A)とB)の質量%の総和は、100%である、部分芳香性で部分結晶性のコポリアミド成形材料。
【請求項2】
1)35〜55質量%、
2)35〜60質量%、
3)5〜25質量%
からなるコポリアミドAを含有する、請求項1記載の部分芳香性で部分結晶性のコポリアミド成形材料。
【請求項3】
コポリアミドAは、135℃を上廻る、ISO 11357−2,3,および7に記載のDSCにより測定した、TG(ガラス転移温度)を有する、請求項1または2記載のコポリアミド成形材料。
【請求項4】
コポリアミドAは、330℃未満の溶融温度Tmを有する(ISO 11357−2,3,および7に記載のDSCにより測定した)、請求項1から3までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料。
【請求項5】
コポリアミドAは、少なくとも0.71の商TG(K)/Tm(K)を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料。
【請求項6】
単位a1)として、ヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料。
【請求項7】
単位a3)がヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料。
【請求項8】
繊維、フォイルおよび成形品を製造するための、請求項1から7までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料の使用。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項に記載のコポリアミド成形材料から得られた成形品。

【公表番号】特表2013−513681(P2013−513681A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542503(P2012−542503)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069013
【国際公開番号】WO2011/069984
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】