説明

部品の連結構造

【課題】一方の部品を他方の部品に対して簡単に連結でき、それらの連結が解除されることを防止し、更に製造コストも低減できる、部品の連結構造を提供する。
【解決手段】第1部品1と、第2部品と、それらのフランジ部4,8どうしを互いに突き合わせて離れないように保持するクリップ10とを備え、クリップ10は、第1周端部20及びそれに重なる第2周端部30が形成されたばね本体11を有しており、ばね本体11には、スリット15が周方向に沿って形成され、第1周端部20には、幅方向の側辺から側方に仮止め突部25が突設され、第2周端部30には、幅方向の側辺から第1周端部20に向かって、半径方向外方へ折り曲げられ、ばね本体11を拡径させたときに仮止め突部25に係合してその拡径状態を保持する仮止め片35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の内燃機関に用いられるプレッシャレギュレータやパルセーションダンパ等の部品を、フューエルパイプ等の他の部品に取付けるための、部品の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関の各シリンダに、燃料を供給するためのインテークマニホールドには、フューエルパイプが取付けられているが、このフューエルパイプには、更に燃料の圧力を一定に保持するプレッシャレギュレータや、燃料噴射時の騒音を低減するパルセーションダンパ等が取付けられている。従来、フューエルパイプのような部品に、プレッシャレギュレータ等の他の部品を取付けるために、様々な方法が提案されている。
【0003】
下記特許文献1には、フューエルパイプの燃料入口側端部に位置するフューエルインジェクタの近傍に、プレッシャレギュレータを取付けるようにした、プレッシャレギュレータの取付構造が開示されている。前記レギュレータのケース外周には取付けフランジが設けられており、この取付けフランジを介してボルトによって、レギュレータがフューエルパイプにネジ止め固定されている。
【0004】
下記特許文献2には、フューエルパイプのパイプ空間に、プレッシャレギュレータの本体を同一軸上で挿入するようにした、プレッシャレギュレータ取付構造が開示されている。フューエルパイプは、その端部周縁からフランジ部が広がり、このフランジ部から円筒状のフランジ延長部が立設し、更にこのフランジ延長部の対向した周壁には、一対の係合孔が所定幅で形成されている。そして、レギュレータ本体の下方部分をフューエルパイプ内に挿入して、レギュレータ外周の鍔部をパイプのフランジ部に当接させ、その状態で一対の係合孔の一方から、略U字状のクランプを差し込んで、レギュレータ本体の上方部分を挟み込むことにより、フューエルパイプにレギュレータが固定される。
【0005】
下記特許文献3には、フューエルパイプにレギュレータを取付けるものではないが、一対の配管を接続するものとして、各配管に形成されたフランジ部を互いに突き合わせて、それらをクリップにより連結した構造が開示されている。クリップは、ばね板を略三角形状に折曲させると共に、各片にスリットを形成し、更に両端部に円弧状のカール部がそれぞれ設けられている。配管連結時には、クリップを押し広げて、互いに突き合わされた両フランジ部を各スリットに挿入すると共に、一方のカール部の内側に、他方のカール部を嵌合させることにより、クリップ両端が連結されて一対の配管が連結される。また、同特許文献3には、ばね板を波形に曲げて、略星形状とされて、その両端を互いに離れるように外方に屈曲させたクリップが記載されており、このクリップも前記クリップと同様、スリット内に両配管の各フランジ部を挿入することにより一対の配管が連結される。
【特許文献1】特開平7−119589号公報
【特許文献2】特開平10−288134号公報
【特許文献3】実開昭58−9587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の場合、ボルトを介してフューエルパイプにレギュレータをネジ止め固定しているので、取付け作業が煩雑で作業性に問題があった。また、上記特許文献2の場合は、パイプ端部のフランジ部から立設したフランジ延長部に、更に一対の係合孔を加工する必要があるので、構造が複雑で製造コストが増加するという不都合が生じる。
【0007】
更に、特許文献3の場合において、略三角形状のクリップを用いて配管同士を連結する際には、クリップ両端のカール部を互いに嵌合させる必要があるので、取付作業が面倒で、また、略星形のクリップによる両配管の連結の際には、両端同士の嵌合は不要であるものの、両端の間が開口しているので、クリップに対し半径方向に大きな外力が作用したとき等に、開口した部分からクリップが外れてしまうことがあり問題となる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、一方の部品を他方の部品に対して、簡単に連結することができると共に、両部品を連結した後にそれらの連結が解除されることを防止し、更に製造コストも低減できる、部品の連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、フランジ部を有する第1部品と、同じくフランジ部を有する第2部品と、両部品の各フランジ部どうしを互いに突き合わせた状態で、両フランジ部が離れないように保持するクリップとを備え、前記クリップは、板ばねを複数の折曲線で折り曲げて、周方向に沿ってほぼ多角形状に形成され、縮径した自由状態において、その一端の第1周端部に、他端の第2周端部が周方向に所定長さ重なるように形成されたばね本体を有しており、前記ばね本体には、縮径した自由状態のときに、前記両部品の各フランジ部どうしが互いに突き合わせた状態で挿入されるスリットが、周方向に沿って形成されており、前記第1周端部には、幅方向の側辺から側方に仮止め突部が突設され、前記第2周端部には、幅方向の側辺から前記第1周端部に向かって、半径方向外方又は半径方向内方へ折り曲げられ、前記ばね本体を拡径させたときに前記仮止め突部に係合してその拡径状態を保持する仮止め片が設けられていることを特徴とする部品の連結構造を提供するものである。
【0010】
上記発明によれば、クリップのばね本体をその付勢力に抗して拡径させて、第1周端部の仮止め突部に、第2周端部の仮止め片を係合させることにより、クリップを拡径させた状態に維持することができる。この状態で、第1、第2部品の各フランジ部を互いに突き合わせ、更に、両フランジ部にスリットを整合させて、両部品の外周にクリップを配置した後、仮止め突部と仮止め片との係合を解除することにより、ばね本体がその付勢力により縮径し、スリットに両部品のフランジ部が挿入されて、クリップを介して両部品を固定することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、クリップを拡径して仮保持しておくことにより、突き合わされたフランジ部外周にクリップを配置し、フランジ部がスリットに整合するように位置合わせして、仮止め突部と仮止め片との係合を解除するだけの簡単な操作で、両部品を連結することができる。
【0012】
また、ばね本体が縮径した状態では、両周端部が重なり合っているので、クリップに対して半径方向に外力が作用した場合でも、両部品から外れにくくすることができる。更に、第1、第2部品は、それぞれフランジ部を設けるだけの簡単な構造でよいので、製造コストを低減することができる。
【0013】
本発明の第2は、前記第1の発明において、前記第1周端部及び前記第2周端部の一方には係止孔が形成されており、前記第1周端部及び前記第2周端部の他方には、前記一方の周端部に向かう方向であって、かつ、前記他方の周端部の先端部から遠ざかる方向に向かって突出し、前記ばね本体が縮径したときに、前記係止孔に挿入される係止片が設けられている部品の連結構造を提供するものである。
【0014】
上記発明によれば、ばね本体が縮径したときに、一方の周端部に形成された係止孔に、他方の周端部に形成された係止片が挿入されるので、ばね本体を拡径させるような外力が、ばね本体の周方向に作用したときに、係止孔周縁に係止片が係止して、ばね本体を縮径した状態に保持することができる。
【0015】
本発明の第3は、前記第2の発明において、前記一方の周端部は、前記他方の周端部の外周側に重なるように配置され、前記係止片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を前記仮止め片に係合させた状態で、前記一方の周端部の端部から斜め外方に突出するように形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0016】
上記発明によれば、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を前記仮止め片に係合させた状態で、前記係止片が一方の周端部の端部から斜め外方に突出するので、一方の周端部側から上記係止片を指で押えることによって、仮止め突部と仮止め片との係合を容易に解除することができ、作業性を向上させることができる。
【0017】
また、ばね本体が縮径するときに、一方の周端部に他方の周端部の斜め外方に伸びる係止片が摺接しながら縮径するので、他方の周端部が一方の周端部の内側に深く潜り込むように摺動し、作業者の指先に他方の周端部が当たることを防止して、安全性を向上させることができる。
【0018】
本発明の第4は、前記第1又は第2の発明において、前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向両側辺にそれぞれ設けられており、前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分は、前記両側の仮止め片の間に入り込む板幅で形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0019】
上記発明によれば、前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分が、前記両側の仮止め片の間に入り込むので、両周端部が軸方向に位置ずれすることを防止でき、それによって両部品のフランジ部をしっかりと保持することができる。
【0020】
また、ばね本体を拡径して仮保持させた状態から、仮止め突部と仮止め片との係合を解除して縮径させるときに、第2周端部の仮止め片の間に、第1周端部の対応する部分が入り込んで、仮止め片がガイドとなるので、ばね本体の両周端部が軸方向に位置ずれすることなく、スムーズに縮径させることができる。
【0021】
本発明の第5は、前記第1〜4のいずれか1つの発明において、前記スリットの一側縁から半径方向内方に向けて折曲された突出片が形成されており、この突出片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を前記仮止め片に係合させた状態で、前記フランジ部が係合して通過できない突出高さとされると共に、前記ばね本体を縮径させた状態で、前記両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされている部品の連結構造を提供するものである。
【0022】
上記発明によれば、ばね本体を拡径して仮止め突部を仮止め片に係合させた状態で、クリップを部品の外周に装着させるとき、突出片がフランジ部に係合するので、フランジ部がスリットに整合した状態に容易にセットできる。
【0023】
また、仮止め突部と仮止め片との係合を解除してばね本体を縮径させるとき、前記突出片は、ばね本体が縮径した状態で両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされているので、突出片が部品の本体部に強く当たって本体部を損傷することを防止できる。
【0024】
本発明の第6は、前記第1〜4のいずれか1つの発明において、前記スリットの少なくとも一側縁から半径方向外方に向けて折曲された突出片が形成されており、この突出片と前記スリットの他側縁との幅は、前記スリットの両側縁の幅よりも幅狭となるように形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0025】
上記発明によれば、仮止め突部と仮止め片との係合を解除してばね本体を縮径させるとき、スリットの一側縁と突出片との間に形成される曲げアールの部分が、フランジ部をスリットに導入するガイドとして作用し、フランジ部への組付けをスムーズに行うことができる。また、ばね本体を縮径させるときに、フランジ部が上記突出片の曲げアールの部分に当接するので、傷つきにくくなり、傷による腐食の発生を防止できる。
【0026】
本発明の第7は、フランジ部を有する第1部品と、同じくフランジ部を有する第2部品と、両部品の各フランジ部どうしを互いに突き合わせた状態で、両フランジ部が離れないように保持するクリップとを備え、前記クリップは、板ばねを複数の折曲線で折り曲げて、周方向に沿ってほぼ多角形状に形成され、縮径した自由状態において、その一端の第1周端部に、他端の第2周端部が周方向に所定長さ重なるように形成されたばね本体を有しており、前記ばね本体には、縮径した自由状態のときに、前記両部品の各フランジ部どうしが互いに突き合わせた状態で挿入されるスリットが、周方向に沿って形成され、前記第1周端部には、幅方向の側辺から仮止め突部が突設され、前記第2周端部には、幅方向の側辺から仮止め片が突設されており、更に前記ばね本体を拡径させた状態で、前記仮止め突部と前記仮止め片との間に挟み込まれると共に、前記ばね本体に対して取外し可能に装着される拡径保持片を有していることを特徴とする部品の連結構造を提供するものである。
【0027】
上記発明によれば、クリップのばね本体をその付勢力に抗して拡径させ、その状態で拡径保持片を、第1周端部の仮止め突部と第2周端部の仮止め片との間に位置するように、ばね本体に装着させることにより、この拡径保持片を介して仮止め片が仮止め突部に係合し、クリップを拡径させた状態に維持することができる。この状態で、第1、第2部品の各フランジ部を互いに突き合わせ、更に、両フランジ部にスリットを整合させて、両部品の外周にクリップを配置する。そして、仮止め片と仮止め突起との間に挟み込まれた拡径保持片を、ばね本体から取外すことにより、仮止め突部と仮止め片との係合が解除されて、ばね本体がその付勢力により縮径し、スリットに両部品のフランジ部が挿入されて、クリップを介して両部品を固定することができる。
【0028】
このように、本発明によれば、クリップを拡径して仮保持しておくことにより、突き合わされたフランジ部外周にクリップを配置し、フランジ部がスリットに整合するように位置合わせした後、拡径保持片をばね本体から取外すだけの簡単な操作で、仮止め突部と仮止め片との係合を容易に解除することができ、両部品を連結することができる。
【0029】
また、仮止め片と仮止め突部との間に拡径保持片が挟み込まれた状態で、前記ばね本体に装着されることにより、ばね本体の拡径状態が保持されているので、ばね本体の付勢力によって、拡径保持片の両側に仮止め片及び仮止め突部が圧接され、ばね本体の拡径状態を確実に保持することができる。そのため、クリップの搬送途中における振動や外力等が作用しても、拡径保持片が不用意に外れることはなく、ばね本体を拡径した状態に確実に保持することができる。これによって、工場等にてクリップを拡径させた状態にセットして搬送することができ、ユーザーが現場で拡径させる手間を省くことができる。
【0030】
また、ばね本体が縮径した状態では、両周端部が重なり合っているので、クリップに対して半径方向に外力が作用した場合でも、両部品から外れにくくすることができる。更に、第1、第2部品は、それぞれフランジ部を設けるだけの簡単な構造でよいので、製造コストを低減することができる。
【0031】
本発明の第8は、前記第7の発明において、前記第1周端部及び前記第2周端部の一方には係止孔が形成されており、前記第1周端部及び前記第2周端部の他方には、前記一方の周端部に向かう方向であって、かつ、前記他方の周端部の先端部から遠ざかる方向に向かって突出し、前記ばね本体が縮径したときに、前記係止孔に挿入される係止片が設けられている部品の連結構造を提供するものである。
【0032】
上記発明によれば、ばね本体が縮径したときに、一方の周端部に形成された係止孔に、他方の周端部に形成された係止片が挿入されるので、ばね本体を拡径させるような外力が、ばね本体の周方向に作用したときに、係止孔周縁に係止片が係止して、ばね本体を縮径した状態に保持することができる。
【0033】
本発明の第9は、前記第8の発明において、前記一方の周端部は、前記他方の周端部の外周側に重なるように配置され、前記係止片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を、前記拡径保持片を介して前記仮止め片に係合させた状態で、前記一方の周端部の端部から斜め外方に突出するように形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0034】
上記発明によれば、前記ばね本体が拡径した状態で、ばね本体から拡径保持片を取外して、ばね本体が縮径するときに、一方の周端部に他方の周端部の斜め外方に伸びる係止片が摺接しながら縮径するので、他方の周端部が一方の周端部の内側に深く潜り込むように摺動し、作業者の指先に他方の周端部が当たることを防止して、安全性を向上させることができる。
【0035】
本発明の第10は、前記第7又は第8の発明において、前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向両側辺にそれぞれ設けられており、前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分は、前記両側の仮止め片の間に入り込む板幅で形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0036】
上記発明によれば、前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分が、前記両側の仮止め片の間に入り込むので、両周端部が軸方向に位置ずれすることを防止でき、それによって両部品のフランジ部をしっかりと保持することができる。
【0037】
また、ばね本体を拡径して仮保持させた状態で、ばね本体から拡径保持片を取外して、仮止め突部と仮止め片との係合を解除して縮径させるときに、第2周端部の仮止め片の間に、第1周端部の対応する部分が入り込んで、仮止め片がガイドとなるので、ばね本体の両周端部が軸方向に位置ずれすることなく、スムーズに縮径させることができる。
【0038】
本発明の第11は、前記第7〜10のいずれか1つの発明において、前記スリットの一側縁から半径方向内方に向けて折曲された突出片が形成されており、この突出片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を、前記拡径保持片を介して前記仮止め片に係合させた状態で、前記フランジ部が係合して通過できない突出高さとされると共に、前記ばね本体を縮径させた状態で、前記両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされている部品の連結構造を提供するものである。
【0039】
上記発明によれば、ばね本体を拡径して仮止め突部を、拡径保持片を介して仮止め片に係合させた状態で、クリップを部品の外周に装着させるとき、突出片がフランジ部に係合するので、フランジ部がスリットに整合した状態に容易にセットできる。
【0040】
また、ばね本体から拡径保持片を取外して、仮止め突部と仮止め片との係合を解除してばね本体を縮径させるとき、前記突出片は、ばね本体が縮径した状態で両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされているので、突出片が部品の本体部に強く当たって本体部を損傷することを防止できる。
【0041】
本発明の第12は、前記第7〜10のいずれか1つの発明において、前記スリットの少なくとも一側縁から半径方向外方に向けて折曲された突出片が形成されており、この突出片と前記スリットの他側縁との幅は、前記スリットの両側縁の幅よりも幅狭となるように形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0042】
上記発明によれば、ばね本体から拡径保持片を取外して、仮止め突部と仮止め片との係合を解除してばね本体を縮径させるとき、スリットの一側縁と突出片との間に形成される曲げアールの部分が、フランジ部をスリットに導入するガイドとして作用し、フランジ部への組付けをスムーズに行うことができる。また、ばね本体を縮径させるときに、フランジ部が上記突出片の曲げアールの部分に当接するので、傷つきにくくなり、傷による腐食の発生を防止できる。
【0043】
本発明の第13は、前記第7〜12のいずれか1つの発明において、前記仮止め突部は、前記第1周端部の幅方向の側辺から外方に向かって突設されており、前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向の側辺から、前記第1周端部に向かって半径方向外方又は半径方向内方へ折り曲げられて形成されている部品の連結構造を提供するものである。
【0044】
上記発明によれば、仮止め突部が、第1周端部の幅方向の側辺から外方に突設されているのに対し、仮止め片が、第2周端部の幅方向の側辺から、第1周端部に向かって半径方向外方又は半径方向内方へ折り曲げられて形成されているので、拡径保持片をばね本体に装着させると、拡径保持片の両側部に、仮止め突部及び仮止め片がそれぞれ対向した位置で当接する。その結果、拡径保持片にねじれ方向の回転モーメントが作用しにくくなり、拡径保持片がねじれて外れ、第1周端部と第2周端部と係合が解除されてしまうことを防止できる。
【0045】
本発明の第14は、前記第7〜13のいずれか1つの発明において、前記拡径保持片は、前記ばね本体の幅方向に沿って伸びる帯状部と、該帯状部の両端部から前記ばね本体の半径方向内方へ向かって屈曲されて、前記仮止め突部及び前記仮止め片にそれぞれ係合する係合部とを有している部品の連結構造を提供するものである。
【0046】
上記発明によれば、拡径保持片に、ばね本体の半径方向内方へ向かって屈曲された係合部を設けたので、仮止め突部及び仮止め片が係合する係り代を大きくとることができ、仮止め突部又は仮止め片が半径方向に多少ずれたとしても、仮止め突部又は仮止め片が外れにくくなり、ばね本体の拡径状態を安定して保持することができる。
【0047】
本発明の第15は、前記第14の発明において、前記拡径保持片の一方の係合部からは、前記ばね本体の軸方向に沿って取外し部が伸びており、更に取外し部の先端部は、前記ばね本体の半径方向内方へ折り曲げられ、更に同ばね本体の半径方向外方へ折り返されている部品の連結構造を提供するものである。
【0048】
上記発明によれば、拡径保持片の一方の係合部からは、ばね本体の軸方向に沿って取外し部が伸びているので、これを把持して拡径保持片を半径方向外方へ引っ張ることにより、拡径保持片をばね本体から容易に取外すことができる。また、取外し部の先端部は、ばね本体の半径方向内方へ折り曲げられると共に、ばね本体の半径方向外方へ折り返されているので、クリップにより固定される第1部品若しくは第2部品に対して、取外し部の先端のエッジ部分が当接することが防止されて、各部品の損傷を抑制することができる。
【0049】
本発明の第16は、前記第14又は第15の発明において、前記拡径保持片の他方の係合部には、前記ばね本体の軸方向に沿って伸びると共に、同ばね本体の半径方向外方へ折り曲げられてなる屈曲部が連結されている部品の連結構造を提供するものである。
【0050】
上記発明によれば、拡径保持片の他方の係合部には、ばね本体の軸方向に沿って伸びると共に、同ばね本体の半径方向外方へ折り曲げられてなる屈曲部が連結されているので、クリップにより固定される第1部品若しくは第2部品に、係合部先端のエッジ部分が直接当接することを防止されて、その結果、各部品の損傷を抑制することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明の部品の連結構造によれば、仮止め突部に仮止め片を係合させて、クリップを拡径状態で仮保持し、該クリップを両部品の突き合わされたフランジ部外周に配置し、フランジ部がスリットに整合するように位置合わせして、仮止め突部と仮止め片との係合を解除するだけの簡単な操作で、両部品を連結することができる。
【0052】
また、クリップのばね本体が縮径した状態では、両周端部が重なり合っているので、クリップに対して半径方向に外力が作用した場合でも、両部品から外れにくくすることができる。更に、第1、第2部品は、それぞれフランジ部を設けるだけの簡単な構造でよいので、製造コストを低減することができる。
【0053】
一方、もう一つの本発明の部品の連結構造によれば、拡径保持片を介して仮止め片が仮止め突部に係合させて、クリップを拡径状態に仮保持し、該クリップを両部品の突き合わされたフランジ部外周に配置し、フランジ部がスリットに整合するように位置合わせし、拡径保持片をばね本体から取外すだけの簡単な操作で、仮止め突部と仮止め片との係合が解除されて、両部品を固定することができる。
【0054】
また、仮止め片と仮止め突部との間に拡径保持片が挟持されるため、拡径保持片の両側に仮止め片及び仮止め突部が圧接されて、ばね本体の拡径状態を確実に保持することができる。その結果、クリップの搬送途中に振動等が作用しても、ばね本体の拡径状態が保持されるので、工場等にてクリップを拡径させた状態にセットして搬送することができ、ユーザーが現場で拡径させる手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、図1〜10を参照して本発明の部品の連結構造の、第1実施形態について説明する。
【0056】
図1に示すように、この部品の連結構造は、フランジ部4を有する第1部品1と、同じくフランジ部8を有する第2部品5と、両部品1,5の各フランジ部4,8どうしを互いに突き合わせた状態で、両フランジ部4,8が離れないように保持するクリップ10とから構成されている。
【0057】
この実施形態における第1部品1は、自動車の内燃機関の各シリンダに燃料を供給するための、インテークマニホールドに取付けられたフューエルパイプであり、図1に示すように、パイプ本体2と、上方が開口した筒枠形状をなすと共に、前記パイプ本体2に連通して、その外周の所定箇所に固着されたソケット3とを有している。このソケット3は、後述する第2部品5の本体6の下方部分を受け入れて保持する部分である。また、このソケット3の周壁3aは、その内周が上方開口部に向かって段階的に拡径した円筒壁から構成され、その上端部周縁から半径方向外方に広がって形成された環状のフランジ部4を有している。また、周壁3a内周の上方に設けられた段部3bには、図示しないシールリングが支持されるようになっており、これによりソケット3内周と、その内部に挿入される第2部品5の本体6外周とのシール性が高められている。更に、周壁3aの下方寄りの外周一箇所には、後述するクリップ10の回転防止片18の凹部18aに入り込んで、同クリップ10を第1部品1に対して回り止めするための、回転防止爪3cが突設されている。
【0058】
一方、第1部品1にクリップ10を介して連結される第2部品5は、この実施形態では、噴射弁からの燃料の噴射に伴って生じる燃料圧力の脈動(小刻みな燃料圧変化)を減衰させて騒音の低減を図るための、パルセーションダンパとされている。この第2部品5は、円筒状の本体6と、その軸方向途中の外周から環状に広がったフランジ部8とを有している。この第2部品5のフランジ部8は、その本体6の下方部分が、第1部品1のソケット3内周に挿入されたときに、その上端に形成されたフランジ部4に突き当たる部分となっている。また、本体6の下端部には図示しない流入口が形成され、前記第1部品1から燃料蒸気が流入するようになっていると共に、同じく本体6内には図示しないダイヤフラムが内蔵されており、これが燃料圧に応じて適宜変形して、上記の脈動圧力を吸収可能となっている。なお、第1部品1がフューエルパイプである場合には、パルセーションダンパのみならず、燃料の圧力を一定に保持するためのプレッシャレギュレータ等も、第2部品5として取付けることができる。
【0059】
なお、上記のように本実施形態では、第1部品1としてフューエルダンパを採用し、第2部品5としてパルセーションダンパを採用したが、両部品としては互いに突き当たるフランジ部がそれぞれ形成されたものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、一端部にフランジ部をそれぞれ設けた一対の配管等であってもよい。
【0060】
次に、第1部品1と第2部品5とを連結するクリップ10について、図1〜10を参照して説明すると、このクリップ10は、一方向に長く伸びる長板状の板ばねを、複数の折曲線で折り曲げて、周方向に沿って多角形状に形成されると共に、縮径した自由状態において、その一端の第1周端部20に、他端の第2周端部30が周方向に所定長さ重なって、全体として環状をなすばね本体11を有している。また、第1周端部20に仮止め突部25が設けられ、第2周端部30に仮止め片35が設けられている。そして、ばね本体11は、その自由状態では、第2周端部30に第1周端部20が周方向に長く重なって、縮径した状態をとり(図3,4参照)、ばね本体11の付勢力に抗して、第1周端部20と第2周端部30との重なりが短くなるように互いを引離すと、拡径した状態となると共に(図1,2,7参照)、その状態で仮止め突部25に仮止め片35を係合させることにより、クリップ10を拡径した状態に維持できる構成となっている。
【0061】
ばね本体11の各部について詳述すると、この実施形態のばね本体11は、長板状の板ばねのほぼ中央部において直線状に伸びる基板部12と、この基板部12の両端部から斜めに屈曲された斜辺部12a、12aと、この斜辺部12a、12aを介して、更に内側に屈曲されて伸びる左右一対の側板部13、13と、側板部13,13の更に先端側から円弧状に屈曲されて伸び、自由状態で周方向に所定長さで重なる第1周端部20及び第2周端部30とで構成されている。また、上記側板部13,13は、斜辺部12a、12aから、前記基板部12に対して略直角に伸びる基端部13aと、この基端部13aから更に内側に折曲されて伸びる中間部13b、13bと、この中間部13b、13bの先端からやや外側に折曲されて基板部12に対して再び直角に伸びる先端部13c、13cとで構成されている。また、円弧状をなす第1周端部20、第2周端部30は、上記先端部13c、13cから内側に折曲されて、自由状態で互いに重なり合うように伸びており、この実施形態では、第1周端部20が第2周端部30の外側に重なっている。
【0062】
上記ばね本体11には、縮径した自由状態のときに、図3に示すように、両部品1,5の各フランジ部4,8どうしが互いに付き合わされた状態で挿入されるスリット15が、周方向に沿って形成されている。図1,2を併せて参照すると、ばね本体11の基板部12には、その幅方向中央でかつ両斜辺部12a,12aを除く周方向にスリット15が形成され、一対の左右両側板部13,13にも、幅方向中央でかつ周方向に沿ってスリット15,15がそれぞれ形成されている。
【0063】
ばね本体11の上記各スリット15には、突出片16が折曲形成されている。具体的には、基板部12中央のスリット15の一側縁から一つの突出片16が半径方向内方に向かって折曲形成されており、左右両側板部13,13の各中間部13bの各スリット15の一側縁からも、半径方向内方に向かって突出片16,16がそれぞれ折曲形成されている。また、これらの各突出片16は、ばね本体11を拡径して仮止め突部25を仮止め片35に係合させた状態で、第2部品5のフランジ部8が係合して通過できない突出高さとされると共に(図7参照)、ばね本体11を縮径させた状態で、第2部品5の本体6外周に圧接されない突出高さとされている(図3,10参照)。各突出片16を、前者の突出高さとすることにより、ばね本体11が拡径した状態で、第1部品5のフランジ部8に係合可能にすると共に、後者の突出高さとすることにより、ばね本体11が縮径した状態で、第2部品5の本体6外周に強く当たって本体部を損傷することを防止できる。
【0064】
また、図1に示すように、ばね本体11の基板部12の幅方向一側辺からは、軸方向に向かって所定高さで回転防止片18が突設している。その先端部には、前記第1部品1の回転防止爪3cが入り込む凹部18aが所定深さで形成され、それにより第1部品1に対するクリップ10の回り止めが図られるようになっている。
【0065】
次に、ばね本体11の両端に設けた第1周端部20及び第2周端部30について説明する。前述したように、第2周端部30及びその外周側に重なるように配置された第1周端部は共に円弧状をなしている。具体的には図6に示すように、クリップ10の軸中心Cに対して第2周端部30が半径R2の円弧で形成され、一方、第1周端部20は第2周端部30の半径R2に対して、板厚分だけ大きな径とされた半径R1で形成され、第1周端部20の内周に第2周端部30の外周がほぼ密接した状態となっている。それにより、クリップ10が拡径した状態から、仮止め突部25仮止め片35との係合を解除すると、第2周端部30外周上を第1周端部20がスムーズに滑って弾性復帰させることができると共に、両周端部を隙間なく重ね合わせることができる。
【0066】
周方向に円弧状に延設された第1周端部20には、図5に示すように、その幅方向の一側辺が周方向に沿って所定長さでカットされて、側板部13の板幅よりも幅狭の板幅D1とされた、幅狭部21が形成されている。この幅狭部21の板幅D1は、後述する第2周端部30の両側辺に折曲形成された仮止め片35,35の間隔D2にほぼ適合するか、或いは、若干幅狭に形成されており、図5に示すごとく、ばね本体11が縮径した状態で、第1周端部20の幅狭部21が、第2周端部30の両側の仮止め片35,35の間に入り込むようになっている。また、幅狭部21の中間部には、ほぼ角形状をなし、ばね本体11縮径時に、後述する第2周端部20の係止片37が挿入される部分となる、係止孔23が設けられている。
【0067】
また、図5に示すように、前記幅狭部21の先端部の幅方向一側縁には、ばね本体11の幅方向に沿って、所定深さで切欠き27が形成されている。この切欠き27を介して、第1周端部20の幅狭部21よりも先端部寄りの部分であって、その幅方向両側辺からは、一対の仮止め突部25,25が幅方向両側に所定高さで突設している。この一対の仮止め突部25,25が、ばね本体11を拡径させたときに、第2周端部30の仮止め片35,35にそれそれ係合して、ばね本体11の拡径状態を保持するようになっている。
【0068】
また、第1周端部20の先端部26は、仮止め突部25,25に対して、段部をなして再び幅狭となり、前記幅狭部21と同じ板幅D1で形成されている。また、先端部26の最先端は半径方向外方に向かって所定角度で屈曲されて、屈曲片26aとなっている。この先端部26は、図2に示すように、仮止め突部25と仮止め片35とを係合させて、ばね本体11を拡径させたときに、一対の仮止め片35,35の間に入り込んで、仮止め片35が仮止め突部25から外れないように保持する部分となる。また、その端部の斜め外方に屈曲した屈曲片26aは、拡径状態から縮径させるときに、第2周端部30の外側をスムーズに摺動させるようにすると共に、後述する斜め外方に突出する係止片37(後述する)を、第1周端部20の外周側に突き出させる部分となっている。
【0069】
次に、第2周端部30について説明する。図1,2に示すように、第2周端部30の一側辺には、その幅方向一側辺に凹部31が形成されて、その部分が幅狭となっている。凹部31は、比較的浅い部分31aと深い部分31bとからなっているが、浅い部分31aの幅は、前記幅狭部21の板幅D1とほぼ同じ幅とされている。この浅い部分31aが位置する両側辺には、前記第1周端部20に向かって半径方向外方へ折り曲げられた一対の仮止め片35,35が形成されている。この一対の仮止め片35,35は、ばね本体11を拡径させたときに、第1周端部30の仮止め突部25,25にそれそれ係合して、ばね本体11の拡径状態を保持する部分となる。
【0070】
また、第2周端部30には、周方向に沿ってコ字状スリット36が形成されており、このコ字状スリット36を介して、前記第1周端部20に向かう方向であって、かつ、第2周端部30の先端部から遠ざかる方向に向かって、係止片37が設けられている。この実施形態の係止片37は、コ字状スリット36を介して、半径方向外方に向かって斜め方向に屈曲形成されている。この係止片37は、ばね本体11が縮径したときに、第1周端部20の係止孔23内に入り込んで(図3,5参照)、ばね本体11の開き止めをなす部分となる。
【0071】
次に、上記構成からなる本発明の部品の連結構造によって、第1部品1と第2部品5とを連結する手順及びその作用について説明する。
【0072】
図3〜5には、第1周端部20の係止孔23内に第2周端部30の係止片37が挿入されて、第2周端部30の外周側に、第1周端部20の基端部を除くほぼ全周が重なり、ばね本体11が縮径した自由状態が示されている。
【0073】
この状態から、一対の両側板部13,13を互いに近づけるように若干押し込んで、係止孔23の一側縁に係止している係止片37の先端部(図5参照)を、係止孔23の該側縁から外すと共に、第1周端部20を第2周端部30に対して持ち上げて、係止孔23から係止片37を抜き出す。その状態から両周端部20,30の先端部どうしを近接させるようにして、ばね本体11をその付勢力に抗して拡径させ、仮止め突部25の先端部26側の端面に、仮止め片35の先端側の端面を係合させることにより、図1及び図2に示すように、ばね本体11を拡径した状態に仮保持させることができる。また、このとき、第1周端部20の屈曲片26aの下方内周側から、第2周端部30の係止片37が斜め外方に突き出て、第1周端部20の外周側に所定長さ飛び出た状態となっている(図2,7参照)。
【0074】
この状態で、図1に示すように、ソケット3内に本体6を挿入して、第1部品1及び第2部品5の各フランジ部4,8を互いに突き合わせ、その上方から拡径状態に仮保持されたクリップ10をセットして、両フランジ4,8にクリップ10の各スリット15を整合させた状態で、両部品1,5の外周にクリップ10を装着させる。この状態が図7に示されている。このとき、各突出片16は、ばね本体11を拡径して仮保持させた状態で、フランジ部が係合して通過できない突出高さとされているため、各突出片16が第2部品5のフランジ部8に係合することとなり、両フランジ部4,8が各スリット15に整合した状態に容易にセットできる。このとき、クリップ10の回転防止片18の凹部18aに、第1部品1の回転防止爪3cを挿入する。
【0075】
上記状態から、仮止め突部25と仮止め片35との係合を解除するのであるが、このとき、図2,7に示すように、第1周端部20の屈曲片26aから第2周端部30の係止片37が斜め外方に突出して、第1周端部20外周に所定長さ飛び出た状態となっているので、第1周端部20側から係止片37を指で押し込むことによって、仮止め突部25と仮止め片35との係合を容易に解除することができ、作業性を向上させることができる。
【0076】
そして、仮止め突部25と仮止め片35との係合が解除された、ばね本体11は、そのばね力によって縮径するようになっている。この縮径途中での両周端部20,30の動作について説明すると、図7に示すばね本体11の拡径状態から、仮止め突部25と仮止め片35との係合が解除されると、図8に示すように、第1周端部20の内周に第2周端部30の係止片37が摺接しながら縮径して、第2周端部30が第1周端部20の内側に深く潜り込むように摺動する。更に、第2周端部30は第1周端部20の基端部側に向かって摺動し、図9に示すように、第1周端部20側の側板部13の外径側に立ち上がる先端部13cに、第2周端部30の先端部が衝突し、それによって跳ね返って係止片37が係止孔23内に入り込む。それと共に、ばね本体11の各スリット15内に、両部品1,5のフランジ部4,8が挿入されて(図3,10参照)、クリップ10を介して両部品1,5を固定することができる。
【0077】
このように、ばね本体11が縮径するときに、第2周端部30が第1周端部20の内側に深く潜り込むように摺動するので、作業者の指先に第2周端部30が当たることを防止して、安全性を向上させることができる。また、図9に示すように、ばね本体11の縮径時に、第2周端部30の先端が、第1周端部20側の側板部13の先端部13cに衝突するようになっているので、第2周端部30が縮径しすぎて、第2部品5に強く衝突することを抑制でき、第2部品5の損傷を防止することができる。
【0078】
また、第1周端部20の幅狭部21は、ばね本体11の縮径時に、第2周端部30両側の仮止め片35,35の間に入り込む板幅D1で形成されているので、ばね本体11を拡径して仮保持させた状態から、仮止め突部25と仮止め片35との係合を解除して縮径させるときに、両側の仮止め片35,35がガイドとなり、ばね本体11の両周端部が軸方向に位置ずれすることなく、スムーズに縮径させることができる。また、ばね本体11が縮径した状態で、第1周端部20の幅狭部21が、第2周端部30両側の仮止め片35,35の間に入り込むので、両周端部が軸方向に位置ずれすることを防止でき、それによって両部品1,5のフランジ部4,8をしっかりと保持することができる。
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、クリップ10を拡径して仮保持して、連結すべき両部品1,5の突き合わされた各フランジ部4,8の外周に、クリップ10を配置し、各フランジ部4,8がスリット15に整合するように位置合わせして、仮止め突部25と仮止め片35との係合を解除するだけの簡単な操作で、両部品1,5を連結することができる。
【0080】
また、ばね本体11が縮径した状態では、両周端部20,30が重なり合っているので、クリップ10に対して半径方向に外力が作用した場合でも、両部品1,5から外れにくくすることができる。更に、第1部品1及び第2部品5は、それぞれフランジ部4,8を設けるだけの簡単な構造でよいので、製造コストを低減することができる。
【0081】
更に、この実施形態では、図3,5に示すように、ばね本体11が縮径したときに、第1周端部20に形成された係止孔23に、第2周端部30に形成された係止片37が挿入されるので、ばね本体11を拡径させるような外力が、ばね本体11の周方向に作用したときに、係止孔23周縁に係止片37が係止して、ばね本体11の開き止めがなされて、ばね本体11を縮径した状態に確実に保持することができる。
【0082】
図11には、本発明による部品の連結構造の第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0083】
この実施形態では、クリップ10の各スリット15に設けた突出片が異なる。すなわち、前記実施形態の突出片16は、各スリット15の一側縁から半径方向内方に向けて折曲されているのに対し、この実施形態の突出片16aは、各スリット15の一側縁から半径方向外方に向けて折曲されており、更に、この突出片16aとスリット15の他側縁との幅W1は、スリット15の両側縁の幅W2よりも幅狭となるように形成されている。
【0084】
この実施形態によれば、仮止め突部25と仮止め片35との係合を解除してばね本体11を縮径させるとき、スリット15の一側縁と突出片16aとの間に形成される曲げアールの部分が、第2部品5のフランジ部8をスリット15に導入するガイドとして作用し、両フランジ部4,8への組付けをスムーズに行うことができる。また、ばね本体11を縮径させるときに、フランジ部8が突出片16aの曲げアールの部分に当接するので、傷つきにくくなり、傷による腐食の発生を防止できる。なお、突出片16aは、スリット15の上下両側縁に形成されていてもよい。
【0085】
図12は、本発明による部品の連結構造の第3実施形態を示す、要部拡大断面図である。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0086】
すなわち、この実施形態では、第2周端部30が第1周端部20の外周側に重なって配置されており、それに伴って、第2周端部30に形成された係止片37が、第1周端部20に向かって斜め内方に突出している。更に、第2周端部30の仮止め片35,35は、半径方向内方に向かって折曲形成されていて(図示せず)、第1周端部20の仮止め突部25,25に係合させることにより、ばね本体11を拡径した状態に保持できるようになっている。
【0087】
なお、本発明においては、第1周端部20に仮止め片35,35を形成し、第2周端部30に仮止め突部25,25を形成してもよい。
【0088】
次に図13〜16を参照して、本発明による部品の連結構造の第4実施形態について説明する。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図13に示すように、この実施形態においては、クリップを拡径させた状態に保持するための構造が、図1〜12に示す実施形態と異なっている。すなわち、図1〜12に示すクリップ10においては、仮止め突部25に仮止め片35を係合させることにより、クリップ10を拡径させた状態に保持するが(図1,2参照)、この実施形態に係るクリップ10aにおいては、クリップ10aとは別部材の拡径保持片40を介して、仮止め片35を仮止め突部25aに係合させて、クリップ10aを拡径された状態に保持するように構成されている(図13参照)。
【0090】
より具体的に説明すると、図13の要部拡大斜視図及び図16に示すように、第1周端部20の先端部26の幅方向両側には、周方向に沿って所定幅で伸びる切欠き部26b,26bが設けられおり、それにより一対の仮止め突部25a,25aは、前述した図1〜12に示す仮止め突部25,25よりも周方向に幅狭となっている。各切欠き部26b,26bには、後述する拡径保持片40の係合部43,43の内面がそれぞれ係合するようになっている。また、このクリップ10aでは、第1周端部20の仮止め突部25a,25aは、第1周端部20の幅方向両側辺から側方へ所定高さでそれぞれ突設されており、一方、第2周端部30に設けた仮止め片35,35は、第2周端部30の幅方向両側辺から、第1周端部20に向かって半径方向外方へ折り曲げられて形成されている。
【0091】
次に、ばね本体11を拡径させた状態で、同ばね本体11に取外し可能に装着される拡径保持片40について説明すると、この拡径保持片40は、一枚の細長い金属板を所定形状に折曲されて形成されている。図14を併せて参照すると、拡径保持片40は、前記第1周端部20の先端部26の板幅にほぼ適合する長さで、ばね本体11の幅方向に沿って伸びる帯状部41と、該帯状部41の両端部から、ばね本体11の半径方向内方へ向かって、前記帯状部41に対してほぼ直角に屈曲されてなる、係合部43,43とを有している。
【0092】
そして、拡径保持片40が第1周端部20の先端部26に装着された状態で、帯状部41が第1周端部20の外面側に配設されると共に、係合部43,43が先端部26両側の切欠き部26b,26bにそれぞれ係合し、各係合部43の一側面に仮止め突部25aが係合し、他側面に第2周端部30の仮止め片35が係合して、拡径保持片40を介して仮止め突部25aと仮止め片35とが係合するようになっている(図13参照)。
【0093】
図14に示すように、拡径保持片40の一方の係合部43には、ばね本体11の軸方向に沿って延設された取外し部45が連結されている。具体的には、この取外し部45は、一方の係合部43の先端から、前記帯状部41に対してほぼ平行となるように所定長さで伸びる基部46と、該基部46の先端に連結された略U字状をなす先端部47とからなっている。前記先端部47は、前記基部46先端から、ばね本体11の半径方向内方へ向かって基部46に対してほぼ直角に折り曲げられて所定長さで伸びる内側片47aと、該内側片47aの先端から円弧状に屈曲された屈曲部47bと、更に屈曲部47b先端からばね本体11の半径方向外方へ向かって折り返されて、前記内側片47aに対してほぼ平行に、かつ、内側片47aよりも若干短く延出された外側片47cとを有している。
【0094】
この取外し部45は、拡径保持片40をばね本体11から取外す際に把持されて、拡径保持片40を容易に取外すためのものである。すなわち、図15に示すように第1、第2部品1,5にクリップ10aをセットして拡径保持片40を取外す際に、クリップ10aから、基部46が所定高さで伸びていることにより、前記基部46の内側に作業者の指等を引き掛けやすくなっていると共に、更に、先端部47の内側片47aによって、基部46に引き掛けた指等が外れにくくなっていて、拡径保持片40の取外し作業性が高められている。また、屈曲部47bを介して先端部47を折り返したことにより、先端部47の最先端のエッジ部分(すなわち、外側片47cの先端面)が、第1部品1若しくは第2部品5が当接せず、屈曲部47bが当接するので、各部品1,5に対する損傷が防止されるようになっている。更に、外側片47cを内側片47aよりも短く形成したことにより、先端部47のエッジ部分が出っ張ることを防ぎ、作業者の安全性を確保できるようになっている。
【0095】
一方、拡径保持片40の他方の係合部43には、略L字状をなす屈曲部48が連結されている。この屈曲部48は、他方の係合部43の先端から、前記帯状部41に対してほぼ平行となるように所定長さで伸びる共に、更にばね本体11の半径方向外方へ向かって、帯状部41に対してほぼ直角に折り曲げられた形状をなしている。この屈曲部48は、他方の係合部43の最先端のエッジ部分の、第1部品1若しくは第2部品5への当接を防いで、各部品1,5の損傷を抑制する役割をなしている。
【0096】
次に、この部品の連結構造に係るクリップ10aの使用方法について説明する。すなわち、図16に示すように、クリップ10aが縮径し、第2周端部30の外周側に第1周端部20が重なった状態から、係止片37を係止孔23から抜き出し、両周端部20,30の先端部どうしを互いに近接させることにより、ばね本体11を付勢力に抗して拡径させ、仮止め突部25aと仮止め片35との間を、拡径保持片40の板幅以上に広げた状態に拡径させる。この状態を維持しつつ、図13に示すように、拡径保持片40の係合部43,43を、第1周端部20の先端部26の切欠き部26b,26bに整合させて、拡径保持片40をばね本体11に装着する。
【0097】
この状態でばね本体11の付勢力に抗して拡径させる動作を止めると、ばね本体11がその付勢力によって再び縮径して、各係合部43の一側面に仮止め突部25aの端面が係合すると共に、各係合部43の他側面に仮止め片35の端面が係合して、仮止め突部25aと仮止め片35との間に各係合部43が挟み込まれた状態で、第1周端部20の先端部26に拡径保持片40が装着される。その結果、図13に示すように、拡径保持片40を介して仮止め突部25aと仮止め片35とが係合して、クリップ10aを拡径させた状態に仮保持させることができる。
【0098】
このとき、この実施形態では、仮止め突部25aが、第1周端部20の幅方向の側辺から側方へ突設されているのに対し、仮止め片35が、第2周端部30の幅方向の側辺から、第1周端部20に向かって半径方向外方へ折り曲げられて形成されている。そのため、上記のように、拡径保持片40をばね本体11に装着させると、図13の要部拡大斜視図に示すように、拡径保持片40の各係合部43の両側に、仮止め突部25a及び仮止め片35の対向する部分P1,P2が正対して当接することとなる。その結果、仮止め突部25aと仮止め片35との押圧力により、拡径保持片40に対して回転モーメントが作用することがなく、拡径保持片40が回転して第1周端部20と第2周端部30とが外れてしまうことを防止できる。
【0099】
また、拡径保持片40に半径方向内方へ屈曲された係合部43を設けて、これを仮止め突部25a及び仮止め片35に係合させたことにより、仮止め突部25a及び仮止め片35が係合する係り代を大きくとることができ、仮止め突部25a又は仮止め片35がばね本体11の半径方向に多少ずれたとしても、係合部43から仮止め突部25a又は仮止め片35が外れにくくなり、ばね本体11の拡径状態を安定して保持することができる。
【0100】
上記状態で、図15に示すように、第1部品1及び第2部品5の各フランジ部4,8を互いに突き合わせて、両フランジ部4,8に、拡径状態に仮保持されたクリップ10aの各スリット15を整合させて、両部品1,5の外周にクリップ10aを配置する。その後、図16に示すように、拡径保持片40の取外し部45に指等を引き掛けて、ばね本体11の半径方向外方側に引っ張ることにより、第1周端部20の切欠き部26b,26bから係合部43,43が外れると共に、同係合部43,43が仮止め突部25aと仮止め片35との間から抜け出て、ばね本体11から拡径保持片40が取外される。その結果、仮止め突部25aと仮止め片35との係合が解除されるので、ばね本体11がその付勢力により縮径して、各スリット15内に両フランジ部4,8が入り込んで、クリップ10aを介して両部品1,5を固定することができる。
【0101】
そして、この実施形態によれば、仮止め突部25aと仮止め片35との拡径保持片40の係合部43が挟み込まれた状態で、ばね本体11の拡径状態が保持されているので、ばね本体11の付勢力によって、係合部43の両側に、仮止め突部25a及び仮止め片35が圧接される。そのため、拡径保持片40がばね本体11にしっかりと装着されて抜け外れにくくなり、ばね本体11の拡径状態を確実に保持することができる。その結果、クリップ10aの搬送途中における振動や外力等が作用しても、ばね本体11を拡径した状態に確実に保持することができる。したがって、工場等において、予めクリップ10aを拡径させた状態にセットして搬送することができ、ユーザーが組立現場等において逐次拡径させる必要がなく、その手間を省くことができるので、クリップ10aによる部品1,5の連結作業を容易に行うことができる。
【0102】
また、この実施形態では、拡径保持片40の一方の係合部43に取外し部45を設けたので、上記拡径保持片40の取外し作業の際、これに指等を引き掛けて半径方向外方へ引っ張ることができ、拡径保持片40の取外し作業性を向上させることができる。更に、取外し部45の先端部47は略U字状をなしていて、ばね本体11の半径方向内方側には屈曲部47bが設けられているので、拡径保持片40をばね本体11から取外す際には、この屈曲部47bが第1部品1若しくは第2部品5に当接し、先端部47のエッジ部分が各部品1,5に当接することが防止されて、その結果、各部品1,5の損傷を抑制することができる。
【0103】
更に、この実施形態においては、拡径保持片40の他方の係合部43に、略L字状をなす屈曲部48を設けたので、上記のU字状をなす取外し部45の先端部47と同様、拡径保持片40をばね本体11から取外す際に、この屈曲部48の帯状部41に平行な部分が第1部品1若しくは第2部品5に当接し、最先端のエッジ部分が各部品1,5に当接することが防止されて、その結果、各部品1,5の損傷を抑制することができる。
【0104】
図17には、本発明の部品の連結構造の、第5実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0105】
すなわち、上述した図13〜16に示す第4実施形態における、第2周端部30の仮止め片35,35が第1周端部20に向かって半径方向外方へ折り曲げられているのに対し、この実施形態における仮止め片35,35は、第2周端部30の幅方向両側辺から、所定高さで側方へ向かってそれぞれ突設されている。
【0106】
そして、この実施形態においても、図17に示すように、係合部43,43を切欠き部26b,26bにそれぞれ係合させ、各係合部43の一側面に仮止め突部25aの端面を係合させると共に、各係合部43の他側面に仮止め片35の端面を係合させることにより、拡径保持片40を介して仮止め突部25aと仮止め片35とを係合させて、クリップ10aを拡径させた状態に仮保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の部品の連結構造の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同部品の連結構造を構成するクリップが拡径した状態での斜視図である。
【図3】同部品の連結構造により、部品を連結した状態を示す斜視図である。
【図4】同部品の連結構造を構成するクリップの縮径状態での正面図である。
【図5】同部品の連結構造を構成するクリップの縮径状態での平面図である。
【図6】図5のA−A矢視線における断面図である。
【図7】同部品の連結構造を構成するクリップの拡径状態での平面図である。
【図8】同クリップが縮径し始めた状態における平面図である。
【図9】同クリップが更に縮径された状態における平面図である。
【図10】同クリップが完全に縮径して、両部品を連結した状態での平面図である。
【図11】本発明の部品の連結構造の第2実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の部品の連結構造の第3実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図13】本発明の部品の連結構造の第4実施形態を示す斜視図である。
【図14】同部品の連結構造の構成部品である拡径保持片を示す斜視図である。
【図15】同部品の連結構造により、部品どうしを連結する前の状態を示す斜視図である。
【図16】同部品の連結構造により、部品どうしを連結した状態を示す斜視図である。
【図17】本発明の部品の連結構造の第5実施形態を示す要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
1 第1部品
4 フランジ部
5 第2部品
8 フランジ部
10,10a クリップ
11 ばね本体
15 スリット
16,16a 突出片
20 第1周端部
23 係止孔
25,25a 仮止め突部
30 第2周端部
35 仮止め片
37 係止片
40 拡径保持片
41 帯状部
43 係合部
45 取外し部
48 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有する第1部品と、同じくフランジ部を有する第2部品と、両部品の各フランジ部どうしを互いに突き合わせた状態で、両フランジ部が離れないように保持するクリップとを備え、
前記クリップは、板ばねを複数の折曲線で折り曲げて、周方向に沿ってほぼ多角形状に形成され、縮径した自由状態において、その一端の第1周端部に、他端の第2周端部が周方向に所定長さ重なるように形成されたばね本体を有しており、
前記ばね本体には、縮径した自由状態のときに、前記両部品の各フランジ部どうしが互いに突き合わせた状態で挿入されるスリットが、周方向に沿って形成されており、
前記第1周端部には、幅方向の側辺から側方に仮止め突部が突設され、
前記第2周端部には、幅方向の側辺から前記第1周端部に向かって、半径方向外方又は半径方向内方へ折り曲げられ、前記ばね本体を拡径させたときに前記仮止め突部に係合してその拡径状態を保持する仮止め片が設けられていることを特徴とする部品の連結構造。
【請求項2】
前記第1周端部及び前記第2周端部の一方には係止孔が形成されており、
前記第1周端部及び前記第2周端部の他方には、前記一方の周端部に向かう方向であって、かつ、前記他方の周端部の先端部から遠ざかる方向に向かって突出し、前記ばね本体が縮径したときに、前記係止孔に挿入される係止片が設けられている請求項1記載の部品の連結構造。
【請求項3】
前記一方の周端部は、前記他方の周端部の外周側に重なるように配置され、
前記係止片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を前記仮止め片に係合させた状態で、前記一方の周端部の端部から斜め外方に突出するように形成されている請求項2記載の部品の連結構造。
【請求項4】
前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向両側辺にそれぞれ設けられており、
前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分は、前記両側の仮止め片の間に入り込む板幅で形成されている請求項1又は2記載の部品の連結構造。
【請求項5】
前記スリットの一側縁から半径方向内方に向けて折曲された突出片が形成されており、
この突出片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を前記仮止め片に係合させた状態で、前記フランジ部が係合して通過できない突出高さとされると共に、前記ばね本体を縮径させた状態で、前記両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされている請求項1〜4のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項6】
前記スリットの少なくとも一側縁から半径方向外方に向けて折曲された突出片が形成されており、
この突出片と前記スリットの他側縁との幅は、前記スリットの両側縁の幅よりも幅狭となるように形成されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項7】
フランジ部を有する第1部品と、同じくフランジ部を有する第2部品と、両部品の各フランジ部どうしを互いに突き合わせた状態で、両フランジ部が離れないように保持するクリップとを備え、
前記クリップは、板ばねを複数の折曲線で折り曲げて、周方向に沿ってほぼ多角形状に形成され、縮径した自由状態において、その一端の第1周端部に、他端の第2周端部が周方向に所定長さ重なるように形成されたばね本体を有しており、
前記ばね本体には、縮径した自由状態のときに、前記両部品の各フランジ部どうしが互いに突き合わせた状態で挿入されるスリットが、周方向に沿って形成され、
前記第1周端部には、幅方向の側辺から仮止め突部が突設され、前記第2周端部には、幅方向の側辺から仮止め片が突設されており、
更に前記ばね本体を拡径させた状態で、前記仮止め突部と前記仮止め片との間に挟み込まれると共に、前記ばね本体に対して取外し可能に装着される拡径保持片を有していることを特徴とする部品の連結構造。
【請求項8】
前記第1周端部及び前記第2周端部の一方には係止孔が形成されており、
前記第1周端部及び前記第2周端部の他方には、前記一方の周端部に向かう方向であって、かつ、前記他方の周端部の先端部から遠ざかる方向に向かって突出し、前記ばね本体が縮径したときに、前記係止孔に挿入される係止片が設けられている請求項7記載の部品の連結構造。
【請求項9】
前記一方の周端部は、前記他方の周端部の外周側に重なるように配置され、
前記係止片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を、前記拡径保持片を介して前記仮止め片に係合させた状態で、前記一方の周端部の端部から斜め外方に突出するように形成されている請求項8記載の部品の連結構造。
【請求項10】
前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向両側辺にそれぞれ設けられており、
前記ばね本体が縮径した状態で、前記第1周端部の、前記仮止め片に整合する部分は、前記両側の仮止め片の間に入り込む板幅で形成されている請求項7又は8記載の部品の連結構造。
【請求項11】
前記スリットの一側縁から半径方向内方に向けて折曲された突出片が形成されており、
この突出片は、前記ばね本体を拡径して前記仮止め突部を、前記拡径保持片を介して前記仮止め片に係合させた状態で、前記フランジ部が係合して通過できない突出高さとされると共に、前記ばね本体を縮径させた状態で、前記両部品の本体部外周に圧接されない突出高さとされている請求項7〜10のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項12】
前記スリットの少なくとも一側縁から半径方向外方に向けて折曲された突出片が形成されており、
この突出片と前記スリットの他側縁との幅は、前記スリットの両側縁の幅よりも幅狭となるように形成されている請求項7〜10のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項13】
前記仮止め突部は、前記第1周端部の幅方向の側辺から外方に向かって突設されており、前記仮止め片は、前記第2周端部の幅方向の側辺から、前記第1周端部に向かって半径方向外方又は半径方向内方へ折り曲げられて形成されている請求項7〜12のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項14】
前記拡径保持片は、前記ばね本体の幅方向に沿って伸びる帯状部と、該帯状部の両端部から前記ばね本体の半径方向内方へ向かって屈曲されて、前記仮止め突部及び前記仮止め片にそれぞれ係合する係合部とを有している請求項7〜13のいずれか1つに記載の部品の連結構造。
【請求項15】
前記拡径保持片の一方の係合部からは、前記ばね本体の軸方向に沿って取外し部が伸びており、更に取外し部の先端は、前記ばね本体の半径方向内方へ折り曲げられ、更に同ばね本体の半径方向外方へ折り返されている請求項14記載の部品の連結構造。
【請求項16】
前記拡径保持片の他方の係合部には、前記ばね本体の軸方向に沿って伸びると共に、同ばね本体の半径方向外方へ折り曲げられてなる屈曲部が連結されている請求項14又は15記載の部品の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−286382(P2008−286382A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200967(P2007−200967)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】