説明

部品供給装置

【課題】部品供給装置で供給する部品の種類を変える際に、その段取り作業を効率よく行えるようにすることである。
【解決手段】部品供給装置の整列供給用トラフ3の本体に、外周面に搬送路8の一部を形成する搬送溝14を設けたシャフト13を着脱可能に取り付け、その搬送溝14を、所定の姿勢の部品Pの一部が嵌まり込む断面形状を有し、かつシャフト13の両端部で上方に開口し、両端部の間ではシャフト13の中心軸のまわりにねじれるように形成して、部品整列機能を有するものとすることにより、シャフト13で部品整列部12を形成し、供給する部品の種類を変える際には、シャフト13だけを部品の寸法や形状に応じた搬送溝を有するものに取り換えればよいようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を搬送しながらその姿勢を揃えて次工程に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば図5に示すような形状の部品Pを搬送しながらその姿勢を揃えて次工程に供給する部品供給装置としては、振動式のボウルフィーダと直進フィーダとを組み合わせたものや、回転ドラムと振動式直進フィーダとを組み合わせたドラム式フィーダ(例えば、特許文献1参照。)がよく用いられる。また、2台の振動式直進フィーダを、その一方が整列供給用、他方がリターン用として部品を互いに反対方向に搬送するように配置したリターン式フィーダ(例えば、特許文献2参照。)も、前記の2つのタイプよりコンパクトで設置スペースが少なくてすむため、数多く使用されている。
【特許文献1】特開2003−275929号公報
【特許文献2】特開昭58−63610号公報
【0003】
上記のような部品供給装置では、通常、直進フィーダ(リターン式フィーダでは整列供給用のもの)の搬送部材で部品を搬送しながら、その搬送路の途中に設けた部品整列部で部品の姿勢を揃えるようにしている。ところが、寸法や形状が互いに異なる多種の部品を供給対象とする場合は、部品の種類によって部品整列部の寸法や形状も異なるため、供給する部品の種類が変わるごとに搬送部材全体を取り換える必要があり、段取り時間が長くなるという問題があった。
【0004】
これに対して、搬送部材の部品整列部として、2本の長尺材を所定姿勢の部品が嵌まり込む隙間をおいて平行に配置し、その隙間にガイドされない姿勢の部品を排除するようにした装置では、供給する部品の種類が変わった場合にも、長尺材の隙間調整で対応でき、搬送部材全体の取換えが不要な場合が多い。しかし、部品の寸法や形状に応じた細かな隙間調整には手間がかかり、段取り時間は搬送部材全体を取り換える場合と大きく変わらない。また、部品点数が多いため、組立時の工数が多く作業が面倒である。
【0005】
一方、搬送路の途中に設けたセンサで部品の姿勢を判別して、所定の姿勢でない部品を圧縮空気等で強制的に搬送路から排除することにより部品の整列を行う方法もあるが、この方法では、整列精度の確保が難しく、所定の姿勢でない部品を次工程に供給してしまうことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、部品供給装置で供給する部品の種類を変える際に、その段取り作業を効率よく行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、搬送部材の部品整列部を、搬送部材本体に着脱可能に取り付けられるシャフトの外周面に、前記搬送路の一部を形成し、部品整列機能を有する搬送溝を設けたものとした。
【0008】
すなわち、搬送部材の部品整列部を、搬送部材本体に着脱可能に取り付けられる別体の部材で形成し、供給する部品の種類を変える際には、部品整列部を形成する部材だけを、種類変更後の部品の寸法や形状に適応したものに取り換えればよいようにしたのである。
【0009】
ここで、前記シャフトを丸棒形状とすれば、搬送溝の加工が容易になる。
【0010】
前記搬送溝は、所定の姿勢の部品の少なくとも一部が嵌まり込む断面形状を有し、かつシャフトの両端部で上方に開口し、両端部の間ではシャフトの中心軸のまわりにねじれるように形成されていることにより、部品整列機能を有するものとすることができる。
【0011】
上記の構成において、前記部品が、搬送溝に所定の姿勢で嵌まり込んだときに搬送溝の側壁と対向する面に凹凸を有するものである場合は、搬送溝の側壁に部品の凹凸と係合する抜け止め部を形成すれば、搬送溝のねじれ角度を大きくすることにより、搬送溝に嵌まり込まない姿勢の部品をより確実に落下させて排除することができ、部品整列精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の部品供給装置は、上述したように、搬送部材の部品整列部を、搬送部材本体に着脱可能に取り付けられるシャフトで形成したものであるから、シャフトの交換によって寸法や形状が互いに異なる多種の部品を供給することができ、しかも供給する部品の種類を変える際には段取りにかかる時間が短く、効率よく作業できる。
【0013】
また、部品をガイドする2本の長尺材で部品整列部を形成したタイプの装置に比べて、部品点数が少ないため、組立時の工数が少なく作業が簡単である。一方、センサ等を用いて搬送路のごく一部で部品の整列を行う方法に比べると、長い距離で部品を整列させるので、整列精度を確保しやすく、部品の安定供給が可能である。さらに、搬送面がシャフト表面に形成されるので、搬送面の清掃が容易で、安定した部品搬送が行えるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この部品供給装置は、図1および図2に示すように、2台の振動式直進フィーダ1、2が部品を互いに反対方向に搬送するように並べて配置されたリターン式フィーダで、一方の直進フィーダ1が整列供給用のトラフ(搬送部材)3を、他方の直進フィーダ2がリターン用のトラフ(搬送部材)4を有している。また、対象とする部品Pは、図5に示した形状の防水コネクタ用ゴム栓で、円筒の一端側に断面外形が波形のシール部Sが形成されたものである。
【0015】
前記一方の直進フィーダ1は、床Fに固定される基台5に防振ゴム6を介して振動体7を取り付け、この振動体7を整列供給用トラフ3に連結したもので、振動体7によりトラフ3を往復振動させて、部品Pを搬送路8に沿って図面右方向へ搬送し、その排出端から次工程に供給するようになっている。また、他方の直進フィーダ2は、そのリターン用トラフ4を板ばね9で振動体7の連結部材7aに連結されており、振動体7によりリターン用トラフ4を往復振動させて、整列供給用トラフ3から受け取った部品Pを戻し搬送路10に沿って図面左方向へ搬送し、再び整列供給用トラフ3に供給するようになっている。
【0016】
前記整列供給用トラフ3は、その搬送路8途中の段差部に、部品Pを立たせるようにガイドする側板11が設けられ、その下流側に部品Pの整列搬送を行う部品整列部12が設けられている。この部品整列部12は、トラフ3の本体に着脱可能に取り付けられる丸棒形状のシャフト13の外周面に、搬送路8の一部を形成する搬送溝14を設けたものである。そのシャフト13は、図3に供給端側の例を示すように、トラフ3本体の取付板3aにボルト止めされた固定部材15、16の凹部に嵌め込まれ、簡単に取り替えられるようになっている。また、搬送路8の側方には、搬送路8から排除された部品Pを受けて、リターン用トラフ4に送る受板17が取り付けられている。
【0017】
そして、前記シャフト13の搬送溝14は、図4(a)〜(f)に示すように、一端をシャフト13中心軸に向けた部品Pのシール部Sが嵌まり込む断面形状を有し、かつシャフト13の両端部で上方に開口し、両端部の間ではシャフト13の中心軸のまわりにねじれるように形成されている。そのねじれ角度は最大で約70度であり、ねじれ角度が最大となる位置より下流側は、緩やかな上り勾配として搬送力を維持するようにしている。また、図3にも示したように、搬送溝14側壁の開口縁部には、部品Pのシール部Sの凹凸と係合する抜け止め部としての突条14aが形成されている。
【0018】
一方、前記リターン用トラフ4は、図1および図2に示したように、整列供給用トラフ3の受板17から送られてくる部品Pを戻し搬送して再び搬送路8供給端に戻し供給するために、鋸歯状断面の戻し搬送路10が受板17排出端の側方から搬送路8供給端の側方まで傾斜した状態で形成されている。
【0019】
次に、図4に基づいて、部品Pの流れを説明する。まず、整列供給用トラフ3の搬送路8供給端に供給された部品Pは、搬送路8途中の段差部で側板11にガイドされ、その多くが立った姿勢(シール部Sを下向きにした姿勢)となる(図4(a)、(b))。その下流で、立った姿勢の部品Pは、シール部Sをシャフト13の供給端部の搬送溝14に嵌め込むようにして部品整列部12に搬送される(図4(c))。一方、シール部Sを上向きにした部品Pは搬送路8から受板17へ落下し、長手方向を搬送方向に向けた部品Pは、搬送溝14の開口縁部に載るようにして搬送されていく。部品整列部12では、搬送溝14のねじれ角度が最大となる位置の付近で、長手方向を搬送方向に向けた部品Pが自重により受板17へ落下する(図4(d))。これに対して、シール部Sを搬送溝14に嵌め込んだ部品Pは、搬送溝14のねじれとともに傾いていくが、搬送溝14の突条14aに抜け止めされて落下することなく搬送され(図4(e))、シャフト13の排出端付近で再び立った姿勢となって次工程に供給される(図4(f))。また、受板17に落下した部品Pは、前述したように、リターン用トラフ4に送られて戻し搬送路10で搬送され、再び整列供給用トラフ3に戻される(図4(b))。
【0020】
この部品供給装置は、上記の構成であり、供給する部品の種類を変える際には、部品整列部を形成するシャフトだけを、部品の寸法や形状に応じた搬送溝を有するものに取り換えればよいので、段取りにかかる時間が短く、効率よく作業できる。
【0021】
なお、本発明は、実施形態のようなリターン式フィーダに限らず、直進フィーダでの搬送の途中で部品整列を行うタイプの部品供給装置に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態の部品供給装置の正面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1のシャフトの取付状態を示す断面図
【図4】aは図1の部品供給装置のシャフト構造および部品の流れの説明図、bはaの要部の平面図、cはaのC−C線に沿った断面図、d、eはaのD−D線に沿った断面での部品姿勢による挙動の違いの説明図、fはaのF−F線に沿った断面図
【図5】aは部品の一例の正面図、bはaの平面図
【符号の説明】
【0023】
1、2 直進フィーダ
3、4 トラフ(搬送部材)
8 、10 搬送路
11 側板
12 部品整列部
13 シャフト
14 搬送溝
14a 突条(抜け止め部)
15、16 固定部材
17 受板
P 部品
S シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を搬送部材で搬送しながら、その搬送路の途中に設けた部品整列部で姿勢を揃えて次工程に供給する部品供給装置において、前記搬送部材の部品整列部を、搬送部材本体に着脱可能に取り付けられるシャフトの外周面に、前記搬送路の一部を形成し、部品整列機能を有する搬送溝を設けたものとしたことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記シャフトを丸棒形状としたことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記搬送溝が、所定の姿勢の部品の少なくとも一部が嵌まり込む断面形状を有し、かつ前記シャフトの両端部で上方に開口し、両端部の間ではシャフトの中心軸のまわりにねじれるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品が、前記搬送溝に所定の姿勢で嵌まり込んだときに搬送溝の側壁と対向する面に凹凸を有するものであり、前記搬送溝の側壁に、前記部品の凹凸と係合する抜け止め部を形成したことを特徴とする請求項3に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−39200(P2007−39200A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225214(P2005−225214)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】