説明

部品取付構造

【課題】 1つのプリント基板に複数の電気部品が取り付けられる場合であっても、複数の電気部品のシャフトの中心軸をブラケットの対応する貫通孔の中心軸に一致させることができる部品取付構造を提供すること。
【解決手段】 部品取付構造は、本体部5と、本体部5から延設されたシャフト6とを有する電気部品2と、電気部品2が貫通する貫通孔11が形成されたブラケット3と、開口部12が形成され、ブラケット3に対する電気部品2の位置を規定する位置規定部材4とを備える。位置規定部材4は、電気部品2に接触することにより、位置規定部材4に対する電気部品2の位置を規定する第1の位置規定部(3つの突起13)と、ブラケット3に接触することにより、ブラケット3に対する位置規定部材4の位置を規定する第2の位置規定部(突出部14)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを有する電気部品を電気機器へ取り付ける部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器(例えば、アンプ装置などのオーディオ機器)は、回転式ボリューム装置やロータリエンコーダ等のようなシャフトを有する電気部品(以下、ボリューム装置とする)を備えている。図6は、ボリューム装置2の電気機器への取付構造を示す図であり、(a)はブラケット3を前面から見た場合の部分平面図であり、(b)は取付構造の断面図である。ボリューム装置2は、筐体内に配置されたプリント基板8に取り付けられており、そのシャフト6(回動部6aおよび固定部6b)の先端にはつまみ7が嵌合されている。シャフト6およびつまみ7は、筐体の前面に取り付けられたブラケット3および前面パネル16に形成された開口部や貫通孔を介して前面側に突出しており、操作者がつまみ7を回動させることにより、スピーカーから再生される音声の音量を調整することができる(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような電気機器において、外観上の理由およびシャフト6およびつまみ7を滑らかに回動させるために、ボリューム装置2(シャフト6)の中心軸と、ブラケット3および前面パネル16の開口部の中心軸とを一致させることが求められている。従来の部品取付構造では、図6(a)に示すとおり、ブラケット3の貫通孔を形成する内周面に3つの突起20が形成されており、シャフト6をブラケット3の貫通孔に挿入する際に、突起20とシャフト6の固定部6bとを接触させることによって、シャフト6の中心軸とブラケット3の貫通孔の中心軸とを一致させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−312901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の取付構造では、ブラケット3の貫通孔に突起20が形成されており、この貫通孔に背面側からシャフト6を挿入する必要がある。そのため、プリント基板8に電気部品2が固定された後、シャフト6を貫通孔に挿入する作業は、シャフト6が突起20に衝突することがあり、非常に煩雑である。また、シャフト6を貫通孔に挿入させる際にシャフト6(固定部6b)によって突起20が削られると、シャフト6の中心軸とブラケット3の貫通孔の中心軸とを正確に一致できなくなる。
【0006】
さらに、1つのプリント基板8に複数の電気部品2が設けられる場合、複数の電気部品2のシャフト6の中心軸をそれぞれ対応する貫通孔の中心軸に一致させることが困難である。これは、次の理由による。電気部品2のプリント基板8への取付位置の誤差、または、ブラケット3の貫通孔の位置または寸法の誤差がある場合、1つの電気部品2のシャフト6の中心軸を対応する貫通孔の中心軸に一致させたとき、他の電気部品2のシャフト6の中心軸が対応する貫通孔の中心軸に一致しなくなる。このような場合、無理にシャフト6を貫通孔に挿入させようとすると、突起20がシャフト6によって削られ、シャフト6の中心軸とブラケット3の貫通孔の中心軸とを一致させることができなくなる。
【0007】
本発明の目的は、電気部品のシャフトの中心軸とブラケットの貫通孔の中心軸とをきわめて容易に、かつ、確実に一致させることができる部品取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の好ましい実施形態による部品取付構造は、部品取付構造本体部と、該本体部から延設されたシャフトとを有する電気部品と、該電気部品が貫通する貫通孔が形成されたブラケットと、開口部が形成され、該ブラケットに対する該電気部品の位置を規定する位置規定部材とを備える。該位置規定部材は、該電気部品に接触することにより該位置規定部材に対する該電気部品の位置を規定する第1の位置規定部と、該ブラケットに接触することにより該ブラケットに対する該位置規定部材の位置を規定する第2の位置規定部とを有する。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記ブラケットには、上記貫通孔に連通し該貫通孔の中心軸と同一の中心軸を有する開口部がさらに形成され、上記第1の位置規定部は、上記位置規定部材の開口部の中心軸と該シャフトの中心軸とを一致させ、上記第2の位置規定部が、該位置規定部材の開口部の中心軸と該ブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させる。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記第1の位置規定部は、上記位置規定部材の開口部を形成する内周面に形成された3つ以上の突起を有し、該突起が前記シャフトに接触することにより、該位置規定部材の開口部の中心軸と該シャフトの中心軸とを一致させる。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記位置規定部材の開口部の中心軸は、上記3つ以上の突起の各頂点を結ぶ円の中心を通る。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記第2の位置規定部は、上記位置規定部材の背面から突出して形成された突出部を有し、該突出部が上記ブラケットに形成された貫通孔に圧入されることにより、該位置規定部材の開口部の中心軸と、該ブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させる。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記突出部は傾斜面を有し、上記ブラケットの貫通孔を形成する内周面には、該突出部の傾斜面に密接するように該突出部の傾斜面に対応した形状の傾斜面が形成されている。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記突出部は上記位置規定部材の開口部を包囲するように形成された多角形のリング形状を有する。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記突出部は長方形のリング形状を有する。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記部品取付構造は、上記位置規定部材を上記貫通孔に圧入して上記ブラケットに固定する固定部材をさらに備える。
【0017】
本発明の好ましい実施形態による電気機器は、上記いずれかに記載の部品取付構造と、上記ブラケットの前面に取り付けられ、中心軸が該ブラケットの貫通孔の中心軸と一致する開口部が形成された前面パネルとを備える。
【発明の効果】
【0018】
第1の位置規定部によって位置規定部材と電気部品との位置が規定され、第2の位置規定部によって位置規定部材とブラケットとの位置が規定される結果、電気部品とブラケットとの位置を規定することができる。すなわち、電気部品のシャフトの中心軸とブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させることができる。ブラケットの貫通孔の中心軸はブラケット前面の開口部の中心軸と一致しているので、電気部品のシャフトの中心軸とブラケットの開口部の中心軸とを一致させることができる。本発明の部品取付構造では、従来のようにブラケット自体に電気部品を位置決めする突起が形成されていないので、突起がシャフトによって削り取られて電気部品を位置決めできなくなるという問題を解決でき、きわめて容易に、かつ、正確に、電気部品のシャフトの中心軸とブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させることができる。さらに、1枚のプリント基板に複数の電気部品が設けられる場合でも、全ての電気部品のシャフトの中心軸を、ブラケットの対応する貫通孔の中心軸に確実に一致させることができる。各々の電気部品毎に位置規定部材を用いて独立してシャフトの中心軸とブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させるからである。
【0019】
詳細には、位置規定部材の開口部を形成する内周面に3つ以上の突起が形成されており、作業者は位置規定部材を前面側からシャフトに取り付ける。その後、位置規定部材の背面から突出して形成された突出部をブラケットの貫通孔に圧入する。単に突出部をブラケットの貫通孔に圧入するだけで、ブラケットと位置規定部材との位置を規定することができるので、きわめて容易に、かつ、確実にシャフトの中心軸とブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させることができる。1枚のプリント基板に複数の電気部品が設けられる場合でも、位置規定部材がシャフトに取り付けられ、突起が予めシャフトと接触した状態で、突出部がブラケットの貫通孔に圧入されるので、突起がシャフトによって削り取られることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態による部品取付構造1について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、部品取付構造1を示す図であり、(a)は部分正面図、(b)は断面図である。図2は、ブラケット3を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。図3は、位置規定部材4を示す図であり、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は背面図である。本例において、断面図の左側が正面側を、右側が背面側を表している。
【0021】
部品取付構造1は、電気部品2と、ブラケット3と、位置規定部材4とを備えている。電気部品2は、シャフトを有する電気部品であり、代表例としては、ボリューム装置またはロータリーエンコーダ等が挙げられる。電気部品2は、本体部5と、本体部5から延設されたシャフト6とを有する。シャフト6は、その中心軸(図1(a)の2本の一点鎖線の交点、および、図1(b)の一点鎖線)を中心にして回動可能な回動部6a、および、回動しない固定部6bを含む。回動部6aおよび固定部6bは概略円柱形状であり、回動部6aの中心軸と固定部6bの中心軸とは一致している。従って、固定部6bの中心軸と、ブラケット3の貫通孔11の中心軸とを一致させることにより、回転部6aの中心軸とブラケット3の貫通孔11の中心軸とを一致させることができる。回動部6aは、図1(a)のように平面視した場合にD形になるように一部が切断されている。回動部6aの先端には、図1(b)のように、操作者が電気部品2を回動操作するためのつまみ7が取り付けられている。つまみ7は、その中心軸がシャフト6の中心軸と一致するように、シャフト6の先端に嵌合されている。電気部品2の本体部5は、図示しないシャーシに取り付けられたプリント基板8にはんだ(およびネジ)によって固定されている。
【0022】
ブラケット3は、図示しないシャーシの前面に取り付けられる部材であり、代表的には、ABS等の樹脂によって形成されている。ブラケット3は、詳細を図2に示す通り、シャフト6およびつまみ7が配置される開口部9aおよび中空部9bが形成された椀状部10を有する。椀状部10の底面(図示右側、背面側)には、中空部9bおよび開口部9aに連通し、電気部品2のシャフト6が背面側から貫通する貫通孔11が形成されている。貫通孔11の最も背面側の縦および横の長さは、シャフト6が容易に挿入可能なようにシャフト6の固定部6bの直径よりも大きい。貫通孔11を形成する内周面11aは、ブラケット3に対する位置規定部材4の位置を規定する機能を有している。内周面11aは傾斜面になっており、この傾斜面は貫通孔11の縦および横の長さが背面側に向かって均一な割合で小さくなるように形成されている。貫通孔11(すなわち、内周面11a)の形状は、後述する位置規定部材4の突出部14の形状に対応しており、本例では図2(a)に示すとおり概略長方形である。
【0023】
ブラケット3の前面側には、開口部17が形成された前面パネル16が取り付けられており、開口部17はブラケット3の開口部9aとほぼ同一形状を有している。また、開口部17、中空部9b、開口部9aおよび貫通孔11は、その中心軸が全て一致している(中心軸は、図2(a)における2本の一点鎖線の交点、および図2(b)における一点鎖線である)。その結果、シャフト6の中心軸と貫通孔11の中心軸とを一致させることにより、開口部17、中空部9bおよび開口部9aの中心軸と、シャフト6の中心軸とを一致させることができる。
【0024】
位置規定部材4は、例えば樹脂によって形成されており、ブラケット3に対する電気部品2の位置を規定する。すなわち、位置規定部材4は、ブラケット3の貫通孔11(ブラケット3の開口部9aおよび前面パネルの開口部17)の中心軸と、電気部品2のシャフト6の中心軸とを一致させる。さらに言い換えると、位置規定部材4はスペーサーとしての機能を有し、シャフト6を貫通孔11に容易に挿入可能なように貫通孔11を大きく形成する一方で、貫通孔11とシャフト6との間の隙間を埋めて、シャフト6を所定の位置に配置する。図3に示す通り、位置規定部材4は外周形状が略円形のリング状に形成されており、その中心には正面視した際に略円形の開口部12が形成されている。開口部12内に電気部品2のシャフト6が貫通および固定されて、位置規定部材4がブラケット3の貫通孔11に圧入されることにより、ブラケット3に対する電気部品2の位置を規定することができる。
【0025】
位置規定部材4は、第1の位置規定部と第2の位置規定部とを有する。第1の位置規定部は、位置規定部材4に対する電気部品3の位置を規定するものである。つまり、第1の位置規定部は、位置規定部材4の開口部12の中心軸(中心軸は、図3(a)における2本の一点鎖線の交点、および図3(b)における一点鎖線である)と電気部品2のシャフト6の中心軸とを一致させる。第1の位置規定部は、代表的には、開口部12を形成する内周面に形成された3つ以上(本例では3つ)の突起13である。3つの突起13の各頂点を通る円の中心を開口部12の中心軸が通過するように各突起13が形成されている。また、3つの突起13の各頂点を通る円の直径が、シャフト6の固定部6b(後述するネジ部を含む)の直径と略等しい。その結果、開口部12にシャフト6が挿入されると、固定部6bが3つの突起13の各頂点に接触し、シャフト6の中心軸と開口部12の中心軸とを一致させることができる。各突起13は、開口部12を形成する内周面の前端から後端(断面図の左端から右端)まで連続して形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。また、各突起13の幅(図3(a)に示す円周方向の幅)は特に限定されず、全突起の幅が同一でも、異なっていてもよい。
【0026】
第2の位置規定部は、開口部12を形成する内周面と貫通孔11との隙間を埋めて、ブラケット3に対する位置規定部材4の位置を規定するものである。すなわち、第2の位置規定部は、位置規定部材4の開口部12の中心軸とブラケット3の貫通孔11の中心軸とを一致させる。第2の位置規定部は、位置規定部材4の背面(平面部分)から背面側に突出して形成された突出部14を有する。突出部14は、開口部12を包囲するようにリング状(環状のリブ形状)に形成されている。なお、完全なリング状ではなくその一部が切り欠かれていてもよい。突出部14が貫通孔11に圧入され、内周面11aに接触することにより、位置規定部材4の開口部12の中心軸と、ブラケット3の貫通孔11の中心軸とを一致させる。そのため、突出部14は、貫通孔11に圧入されたときに、位置規定部材4の開口部12の中心軸とブラケット3の貫通孔11の中心軸とが一致するような位置および形状に形成されている。その一例として、突出部14の中心軸と開口部12の中心軸とは一致しており、突出部14が貫通孔11に圧入されたときに突出部14の中心軸と貫通孔11の中心軸とが一致している。
【0027】
詳細には、突出部14は、貫通孔11を形成する内周面11aと密接する形状を有する。貫通孔11を形成する内周面11aが傾斜面である場合、突出部14はブラケット3の傾斜面11aに対応する形状の傾斜面が形成される。すなわち、突出部14の傾斜面は、突出部14の幅が背面側に向かって均一な割合で減少するように形成されており、その傾斜角が傾斜面11aの傾斜角と同じである。傾斜面が形成されることにより、突出部14を貫通孔11に圧入する作業が容易である。また、突出部14と傾斜面11aとを完全に密接させることができ、貫通孔11の中心軸と開口部12の中心軸とを完全に一致させることができる。なお、突出部14および内周面11aが傾斜面ではなく水平面であれば、突出部14を貫通孔11に圧入するために貫通孔11の縦横の長さを突出部14の縦横の長さよりも若干大きくする必要があり、この場合、貫通孔11の中心軸と開口部12の中心軸とを完全には一致させることができない。
【0028】
図1に示すとおり、部品取付構造1は固定部材15をさらに備え、固定部材15によって突出部14が貫通孔11に圧入され、位置規定部材4がブラケット3に固定される。固定部材15は、代表的には、その内周面にネジ部が形成されたナットであり、シャフト6の固定部6bの外周面には固定部材5のネジ部と螺合するためのネジ部が形成されている。固定部材15をシャフト6の固定部6bに螺合させ、位置規定部材4を押し込みながら背面側に移動させることにより、突出部14が貫通孔11に圧入され位置規定部材4がブラケット3に固定される。
【0029】
好ましくは、図3に示すとおり、突出部14は少なくとも1つの直線部分(1つの辺)を有しており、代表的には多角形または半円のリング形状である。3つ以上の直線部分(辺)を有する多角形のリング形状が好ましい。直線部分の長さが長い方が特に好ましく、その代表例としては長方形のリング形状である。以下に、その理由を説明する。
【0030】
固定部材15を螺合させる際、ネジの特性上ある方向に偏芯して固定部材15が回転するが、その力が位置規定部材4に伝達する。突出部14が直線部分を有さない円形または楕円形である場合、位置規定部材4も固定部材15の回転に伴って偏芯して回転する。その結果、突出部14が傾斜面11aに乗り上がり、突出部14が貫通孔11内に十分に圧入されない。その結果、シャフト6の中心軸と開口部12の中心軸とを一致させることができなくなる。一方、本例では、突出部14が長方形であるので、固定部材15から伝達された力が位置規定部材4を回転させようとするが、突出部14の直線部分がブラケット3の傾斜面11aに引っ掛かり、位置規定部材4の回転が防止される。その結果、突出部14が傾斜面11aに乗り上がることがなく、より確実にシャフト6の中心軸と貫通孔11の中心軸とを一致させることができる。
【0031】
次に、電気部品2とブラケット3の貫通孔11との位置を規定する方法を図1〜図5を参照して説明する。まず、図4に示すとおり、プリント基板8に取り付けられた電気部品2のシャフト6をブラケット3の貫通孔11に背面側から挿入し、開口部9aおよび17を介して前面パネル16の前面側に突出させる。貫通孔11の縦および横の長さはシャフト6の固定部6bの直径よりも大きいので、シャフト6を貫通孔11に無理なく挿入できる。プリント基板8はシャーシに固定されているが、ブラケット3および前面パネル16は未だシャーシに固定されていないので、上下に多少移動させることができる。この時点では、シャフト6の中心軸と貫通孔11の中心軸とは一致していない。
【0032】
次に、図5に示す通り、位置規定部材4の開口部12にシャフト6を先端側から挿入し、位置規定部材4を背面方向に移動させて、固定部6bの位置まで移動させる。開口部12内に固定部6bが挿入されると、固定部6bが3つの突起13に接触するようになるので、シャフト6の中心軸と開口部12の中心軸とが一致する。この時点では、開口部12の中心軸およびシャフト6の中心軸は、ブラケット3の貫通孔11の中心軸と一致していない。
【0033】
次に、図1に示す通り、固定部材15をシャフト14に前面側から挿入し、固定部6bに螺合させ、背面方向に移動させる。固定部材15が背面方向に移動することにより、位置規定部材4が固定部材15によって背面方向に押し込まれる。突出部14はブラケット3の傾斜面11aに沿って貫通孔11に圧入される。突出部14が貫通孔11に圧入されるにつれて、シャフト6と貫通孔11との間の隙間が全周に亘って均一になり、位置規定部材4の開口部12(およびシャフト6)の中心軸と貫通孔11の中心軸とが徐々に一致するようなる。ブラケット3および前面パネル16はシャーシに固定されていないので、突出部14を貫通孔11に圧入する際にブラケット3を上下方向に多少移動させることで、突出部14をブラケット3の傾斜面11aに衝突することなく滑らかに貫通孔11に圧入することができる。最終的に、突出部14の傾斜面がブラケット3の傾斜面11aに完全に密接することにより、位置規定部材4の開口部12(シャフト6)の中心軸と貫通孔11の中心軸とが完全に一致する。最後にブラケット3および前面パネル16をシャーシにねじ等によって固定し、つまみ7をシャフト6の先端に嵌合させることにより、電気部品2の取付工程が終了する。
【0034】
以上により、位置規定部材4の開口部12の中心軸と、シャフト6の中心軸およびブラケット3の貫通孔11の中心軸とを容易に一致させることができる。その結果、シャフト6の中心軸とブラケット3の貫通孔11(すなわち、ブラケット3の開口部9aおよび前面パネルの開口部17)の中心軸を一致させることができる。
【0035】
なお、複数の電気部品2が1つのプリント基板8に設けられる場合にも、上記と同様に、各電気部品2のシャフト6の中心軸が、それぞれ対応する位置規定部材4によって独立して貫通孔11の中心軸と一致される。位置規定部材4をそれぞれシャフト6の固定部6bに取り付けた後、突出部14をブラケット3の傾斜面11aに沿うように貫通孔11に圧入させる。その結果、電気部品2のプリント基板8への取付位置に多少の誤差があっても、突起13がシャフト6によって削られることがなく、正確にシャフト6の中心軸と貫通孔11の中心軸とを一致させることができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、シャフトを有する電気部品を備えるオーディオ装置などの電気機器に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好ましい実施形態による部品取付構造を説明するための、(a)正面図、(b)断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による部品取付構造を説明するための、(a)正面図、(b)断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による部品取付構造を説明するための、(a)正面図、(b)断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるブラケットを説明するための、(a)正面図、(b)断面図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による位置規定部材を説明するための、(a)平面図、(b)断面図、(c)背面図である。
【図6】従来の部品取付構造を説明するための、(a)正面図、(b)断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 部品取付構造
2 電気部品
3 ブラケット
4 位置規定部材
5 本体部
6 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部から延設されたシャフトとを有する電気部品と、
該電気部品が貫通する貫通孔が形成されたブラケットと、
開口部が形成され、該ブラケットに対する該電気部品の位置を規定する位置規定部材とを備え、
該位置規定部材が、該電気部品に接触することにより該位置規定部材に対する該電気部品の位置を規定する第1の位置規定部と、
該ブラケットに接触することにより該ブラケットに対する該位置規定部材の位置を規定する第2の位置規定部とを有する、部品取付構造。
【請求項2】
前記ブラケットには、前記貫通孔に連通し該貫通孔の中心軸と同一の中心軸を有する開口部がさらに形成され、
前記第1の位置規定部が、前記位置規定部材の開口部の中心軸と該シャフトの中心軸とを一致させ、
前記第2の位置規定部が、該位置規定部材の開口部の中心軸と該ブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させる、請求項1に記載の部品取付構造。
【請求項3】
前記第1の位置規定部が、前記位置規定部材の開口部を形成する内周面に形成された3つ以上の突起を有し、該突起が前記シャフトに接触することにより、該位置規定部材の開口部の中心軸と該シャフトの中心軸とを一致させる、請求項1または2に記載の部品取付構造。
【請求項4】
前記位置規定部材の開口部の中心軸が、前記3つ以上の突起の各頂点を結ぶ円の中心を通る、請求項3に記載の部品取付構造。
【請求項5】
前記第2の位置規定部が、前記位置規定部材の背面から突出して形成された突出部を有し、
該突出部が前記ブラケットに形成された貫通孔に圧入されることにより、該位置規定部材の開口部の中心軸と、該ブラケットの貫通孔の中心軸とを一致させる、請求項1〜4のいずれかに記載の部品取付構造。
【請求項6】
前記突出部が傾斜面を有し、
前記ブラケットの貫通孔を形成する内周面には、該突出部の傾斜面に密接するように該突出部の傾斜面に対応した形状の傾斜面が形成されている、請求項5に記載の部品取付構造。
【請求項7】
前記突出部が前記位置規定部材の開口部を包囲するように形成された多角形のリング形状を有する、請求項5または6に記載の部品取付構造。
【請求項8】
前記突出部が長方形のリング形状を有する、請求項7に記載の部品取付構造。
【請求項9】
前記位置規定部材を前記貫通孔に圧入して前記ブラケットに固定する固定部材をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の部品取付構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の部品取付構造と、
前記ブラケットの前面に取り付けられ、中心軸が該ブラケットの貫通孔の中心軸と一致する開口部が形成された前面パネルとを備える、電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−158206(P2007−158206A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354392(P2005−354392)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】