説明

部品実装構造およびこれを備えた電子機器

【課題】 電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできるとともに、回路基板に対して捻り等の外力が加えられても電子部品が回路基板から脱落し難い部品実装構造および電子機器を提供する。
【解決手段】 部品実装構造25は、回路基板31を厚み方向に貫通する貫通孔35と、貫通孔35に設けられたランド36と、貫通孔35に挿入可能なリード端子45を備えた電子部品32と、リード端子45を貫通孔35の内部39に固定する固定材33とを備えている。貫通孔35は、第1開口部35aおよび第2開口部35bを有し、第1開口部35aの第1面積S1が第2開口部35bの第2面積S2よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の貫通孔に電子部品のリード端子を挿入させた後、貫通孔の内部に固定材を充填することにより電子部品を実装する部品実装構造およびこれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器として、下筐体(筐体)および上筐体が連結部で折畳み自在に連結され、下筐体に操作部が設けられ、上筐体に表示部が設けられた折り畳み式携帯端末が実用化されている。
この折り畳み式携帯端末等の電子機器に備えられる回路基板に電子部品を実装する部品実装構造として次のものが知られている。
【0003】
すなわち、部品実装構造は、回路基板に貫通孔としてスルーホール(以下、「貫通孔」という)が形成され、貫通孔の内面に金属層および回路基板の両面に金属層に連続するランドが設けられ、貫通孔内に電子部品のリード端子が挿入された状態に取り付けられている。
ここで、貫通孔は、回路基板の両面に対して直交する方向に連続するように円筒状に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図10に示すように、この部品実装構造100は、回路基板101の厚み寸法よりリード端子103の長さ寸法が大きく形成されている。
具体的には、部品実装構造100は、貫通孔104に挿入されたリード端子103の先端103aが回路基板101の実装面101aとは反対側の面101bから突出され、この状態で、貫通孔104に固定材(はんだ)105が充填され、充填された固定材105が回路基板101の両面のランド106に密着するとともに貫通孔104の内面に密着して貫通孔104内にリード端子103が取り付けられ、電子部品102が回路基板101に固定される。
この状態で、リード端子103の先端103aが回路基板101から突出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−050745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、電子機器の小型化、薄型化が求められている。このため、図11に示すように、回路基板111の実装面111aとは反対側の面111bからリード端子113の先端113aが突出しない部品実装構造110が提案されている。
この部品実装構造110は、リード端子113の長さ寸法が回路基板111の厚み寸法より小さく、かつ、固定材115が回路基板111の実装面111aのランド116に密着するとともに貫通孔114の内面の一部に密着するように貫通孔114に充填されるため、回路基板111の実装面111aとは反対側の面111bからリード端子113の先端113aが突出しない構造となっている。
【0007】
しかしながら、この部品実装構造110は、円筒状の貫通孔114を通じて回路基板111の実装面111aとは反対側のランド116に固定材115が達していないため、電子部品112が回路基板111から離れる方向に対するアンカー効果がない。
従って、この部品実装構造110は、例えば回路基板111に対して捻り等の外力が加わった場合、回路基板111から電子部品112が脱落する可能性があり、改善が求められていた。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来に比較して電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできるとともに、回路基板に対して捻り等の外力が加えられても電子部品が回路基板から脱落し難い部品実装構造および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回路基板と、前記回路基板を厚み方向に貫通し、前記回路基板の実装面側の第1開口部と、前記回路基板の前記実装面側とは反対側の第2開口部とを有する貫通孔と、前記貫通孔の内面および前記第1開口部の縁部に設けられたランドと、前記貫通孔に対して前記実装面側から挿入されるリード端子を備える電子部品と、前記リード端子を覆うとともに前記貫通孔の内部に粘体状態で充填され、硬化することにより前記貫通孔の内部に前記リード端子を固定させる固定材と、を備え、前記貫通孔における第1開口部の第1面積が、前記第2開口部の第2面積よりも小さい。
【0010】
このような本発明においては、貫通孔における第1開口部の第1面積を第2開口部の第2面積よりも小さくしたため、貫通孔の内部で硬化した固定材の最大断面積が第1面積より大きくなり、固定材が貫通孔から実装面側に引き抜かれないようなアンカー効果が得られる。
これにより、本発明においては、回路基板に対して捻り等の外力が加えられた場合であっても、リード端子を固定材により貫通孔に保持して電子部品が回路基板から脱落することを防止できる。
【0011】
加えて、本発明においては、貫通孔に対するアンカー効果が得られるため、従来のように回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がなく、これにより従来に比較して電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできる。
また、本発明においては、回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がないため、例えば電子機器の筐体の内部おいて、回路基板から突出するリード端子の先端と他の部材との干渉を避ける等の配慮が必要なく、設計を容易に行える。
【0012】
また、本発明は、貫通孔が、前記回路基板の厚み方向に母線が沿う円錐形状である。
【0013】
本発明においては、貫通孔を回路基板の厚み方向に母線が沿う円錐形状とすることで、回路基板に貫通孔を容易に作成できる。
【0014】
さらに、本発明は、回路基板と、前記回路基板を厚み方向に貫通し、前記回路基板の実装面側の第1開口部と、前記回路基板の前記実装面側とは反対側の第2開口部とを有する貫通孔と、前記貫通孔の内面および前記第1開口部の縁部に設けられたランドと、前記貫通孔に対して前記実装面側から挿入されるリード端子を備える電子部品と、前記リード端子を覆うとともに前記貫通孔の内部に粘体状態で充填され、硬化することにより前記貫通孔の内部に前記リード端子を固定させる固定材と、を備え、前記貫通孔の内部において前記第2開口部の第2面積よりも小さな第3面積となる狭小部が設けられ、かつ、前記固定材が前記狭小部よりも前記第2開口部側に達している。
【0015】
本発明においては、貫通孔に設けられた狭小部よりも第2開口部側に固定材が達するため、第2開口部と狭小部との間における固定材の最大断面積が第3面積より大きくなり、固定材が貫通孔から実装面側に引き抜かれないようなアンカー効果が得られる。
これにより、本発明においては、回路基板に対して捻り等の外力が加えられた場合であっても、リード端子を固定材により貫通孔に保持して電子部品が回路基板から脱落することを防止できる。
【0016】
加えて、本発明においては、貫通孔に対するアンカー効果が得られるため、従来のように回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がなく、これにより従来に比較して電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできる。
また、本発明においては、回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がないため、例えば電子機器の筐体の内部おいて、回路基板から突出するリード端子の先端と他の部材との干渉を避ける等の配慮が必要なく、設計を容易に行える。
【0017】
また、本発明は、前記第1開口部の第1面積は、前記狭小部の第3面積よりも大きい。
【0018】
本発明においては、リード端子が挿入される第1開口部の第1面積が、狭小部の第3面積よりも大きいため、リード端子を貫通孔に挿入する工程を確実、かつ、円滑に行え、これにより電子部品の実装工程を簡略化できる。
【0019】
また、本発明は、前記狭小部が前記貫通孔の内面に設けられた突起である。
【0020】
本発明においては、貫通孔の内面に突起を設けることにより第1開口部の第1面積を狭小部の第3面積よりも大きくしているため、リード端子を貫通孔に挿入する工程を確実、かつ、円滑に行えるとともに、固定材が貫通孔に充填されるまでの間および固定材が貫通孔の内部において硬化するまでの間に貫通孔の内部においてリード端子が必要以上に移動しないように狭小部によりリード端子の位置決めを行え、これにより電子部品の実装工程を簡略化できる。
【0021】
さらに、本発明は、前記第1開口部の第1面積は、前記狭小部の第3面積よりも小さく、かつ、前記貫通孔の軸線と、前記第1開口部の縁と前記狭小部の縁とを結ぶ第1母線との挟み角度である第1交差角度と、前記貫通孔の軸線と、前記第2開口部の縁と前記狭小部の縁とを結ぶ第2母線との挟み角度である第2交差角度とが異なる。
【0022】
ここで、貫通孔の内部形状としては、軸線に対して近付く方向に狭小部の縁が突出する段付円錐形状や、あるいは軸線に対して離れる方向に狭小部の縁が突出する段付円錐形状を例示できる。
【0023】
本発明においては、第1交差角度および第2交差角度が異なるため、リード端子を貫通孔から実装面側に引く抜く方向に力が加えられた場合、第1開口部と狭小部との間と、第2開口部と狭小部との間との2箇所でそれぞれアンカー効果が発生する。
この際、本発明においては、第1開口部と狭小部との間に生ずる応力の方向と、第2開口部と狭小部との間に生ずる応力の方向とが異なるため、リード端子を引く抜く方向に対する応力が複数方向に分散され、これによりリード端子の引き抜きに対する耐性が高まるという効果が得られる。
【0024】
さらに、本発明は、前記部品実装構造を備えた電子機器である。
【0025】
本発明においては、貫通孔における第1開口部の第1面積を第2開口部の第2面積よりも小さくし、あるいは貫通孔に狭小部を設けて狭小部よりも第2開口部側に固定材が達する部品実装構造を備えたため、回路基板に対して捻り等の外力が加えられた場合、リード端子を固定材により貫通孔に保持して電子部品が回路基板から脱落することを防止できる電子機器を得ることができる。
【0026】
加えて、本発明においては、貫通孔から挿入されたリード端子の先端を回路基板から突出させないようにでき、従来に比較して電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできる電子機器を得ることができる。
また、本発明においては、回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がないため、筐体の内部おいて、回路基板から突出するリード端子の先端と他の部材との干渉を避ける等の配慮が必要なく、設計を容易に行える。
【発明の効果】
【0027】
本発明の部品実装構造およびこれを備えた電子機器によれば、貫通孔における第1開口部の第1面積を第2開口部の第2面積よりも小さくし、あるいは貫通孔に狭小部を設けて狭小部よりも第2開口部側に固定材が達するようにしたため、回路基板に対して捻り等の外力が加えられた場合、リード端子を固定材により貫通孔に保持して電子部品が回路基板から脱落することを防止できるという効果を有する。
加えて、貫通孔から挿入されたリード端子の先端を回路基板から突出させないようにでき、従来に比較して電子部品を実装した回路基板全体の厚み寸法を薄くできるという効果を有する。
また、本発明によれば、回路基板における実装面とは反対側の面からリード端子の先端を突出させる必要がないため、例えば電子機器の筐体の内部おいて、回路基板から突出するリード端子の先端と他の部材との干渉を避ける等の配慮が必要なく、設計を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る第1実施形態の部品実装構造を備えた電子機器を閉状態で示す斜視図
【図2】図1の電子機器を開状態で示す分解斜視図
【図3】図1の部品実装構造を示す分解斜視図
【図4】第1実施形態の部品実装構造を示す断面図
【図5】第1実施形態の変形例1を示す断面図
【図6】第1実施形態の変形例2を示す断面図
【図7】本発明に係る第2実施形態の部品実装構造を示す断面図
【図8】本発明に係る第3実施形態の部品実装構造を示す断面図
【図9】本発明に係る第4実施形態の部品実装構造を示す断面図
【図10】従来の部品実装構造を示す断面図
【図11】従来のもう一つの部品実装構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の複数の実施形態に係る部品実装構造およびこれを備えた電子機器について図面を参照して説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1、図2に示すように、本発明の第1実施形態である電子機器10は、操作部が設けられた下筐体11と、表示部が設けられた上筐体12と、下筐体11および上筐体12を折畳み自在(開閉自在)に連結する連結部13とを備えた折り畳み式携帯端末である。
【0031】
なお、第1実施形態では電子機器10として折り畳み式携帯端末を例示するが、電子機器10は折り畳み式携帯端末に限定するものではなく、他の電子機器に適用することも可能である。
【0032】
上筐体12は、上筐体12の下部を構成する下カバー21と、下カバー21の上部に設けられた上カバー22とで筐体状に形成されている。
下カバー21に部品実装構造25が設けられ、部品実装構造25の電子部品(充電コネクタ)32を覆う着脱可能な蓋部26が設けられている。
【0033】
図3、図4に示すように、部品実装構造25は、下カバー21(図2参照)に設けられた回路基板31と、回路基板31に実装された電子部品32と、電子部品32を回路基板31に実装する固定材33とを備えている。
【0034】
回路基板31は、回路基板31の厚み方向に貫通する貫通孔35と、貫通孔35に設けられたランド36とを備えている。
貫通孔35は、回路基板31の厚み方向に母線38が沿う円錐形状に形成され、回路基板31の実装面31a側の第1開口部35aと、回路基板31の実装面31a側とは反対側の第2開口部35bとを有する。
第1開口部35aの第1面積S1は、第2開口部35bの第2面積S2よりも小さく設定されている。
貫通孔35を回路基板31の厚み方向に母線38が沿う円錐形状とすることで、回路基板31に貫通孔35を容易に作成できる。
【0035】
ランド36は、貫通孔35の内面35c、第1開口部35aの縁部35dおよび第2開口部35bの縁部35eに設けられた円錐形状である。
このランド36は、第1開口部35aの縁部35dに相当する第1ランド開口部36aと、第2開口部35bの縁部35eに相当する第2ランド開口部36bとを有している。
第1ランド開口部36aの第1ランド面積S3は、第2ランド開口部36bの第2ランド面積S4よりも小さく設定されている。
すなわち、ランド36の内面36cは、貫通孔35と同様に円錐形状に形成されている。
【0036】
電子部品32は、電子素子42を内蔵した矩形体状のケーシング41と、ケーシング41の両側部から下方に突出された一対のリード端子45とを備えた充電コネクタである。
図2に示す蓋部26を外すことで電子部品32(充電コネクタ)を充電可能な状態に外部に露出させることができる。
【0037】
リード端子45は、貫通孔35に対して実装面31a側から挿入された状態で、先端45aが貫通孔35から突出しないように(すなわち、先端45aが貫通孔35の内部39に位置するように)端子長さが形成されている。
【0038】
固定材33は、リード端子45を覆うとともに貫通孔35の内部39に粘体状態で充填され、硬化することにより貫通孔35の内部39にリード端子45をリフローはんだ付けで固定させる「はんだ」である。
【0039】
ここで、貫通孔35における第1開口部35aの第1面積S1を第2開口部35bの第2面積S2よりも小さくすることで、ランド36における第1ランド開口部36aの第1ランド面積S3は、第2ランド開口部36bの第2ランド面積S4よりも小さく設定されている。
よって、貫通孔35(ランド36)の内部39で硬化した固定材33が第1ランド面積S3より大きくなり、固定材33が貫通孔35(ランド36)から引き抜かれないようにできる。
【0040】
これにより、第1実施形態によれば、貫通孔35(ランド36)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させなくても、回路基板31に対して捻り等の外力が加えられた場合、リード端子45を固定材33で貫通孔35に保持して電子部品32が回路基板31から脱落することを防止できる。
【0041】
加えて、第1実施形態によれば、貫通孔35(ランド36)の内部39で硬化した固定材33を第1ランド面積S3より大きくして固定材33が貫通孔35から引き抜かれないようにすることで、貫通孔35(ランド36)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにできる。
このように、第1実施形態によれば、リード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにすることで、従来に比較して電子部品32を実装した回路基板31を含む全体の厚み寸法を薄くできる。
ここでいう全体の厚み寸法とは、回路基板31の実装面31aとは反対側の面から、電子部品32のケーシング41の頂部までの寸法を指す。
【0042】
また、第1実施形態によれば、回路基板31における実装面31aとは反対側の面からリード端子45の先端45aを突出させる必要がないため、電子機器10の筐体の内部おいて、回路基板31から突出するリード端子45の先端45aと他の部材との干渉を避ける等の配慮が必要なく、設計を容易に行える。
【0043】
次に、第1実施形態の変形例1および変形例2を図5、図6に基づいて説明する。なお、変形例1および変形例2において第1実施形態と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
(変形例1)
図5に示す変形例1の部品実装構造60は、第1実施形態の貫通孔35およびランド36に代えて貫通孔61およびランド62を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の部品実装構造25と同様である。
【0045】
貫通孔61は、円錐形状とされ、その軸線が回路基板31の両面(すなわち、実装面31aおよび実装面31aの反対側の面31b)に対して所定の角度で交差するように形成されている。
この貫通孔61は、回路基板31の実装面31a側の第1開口部61aと、回路基板31の実装面31a側とは反対側の第2開口部61bとを有する。
第1開口部61aの第1面積S1′は、第2開口部61bの第2面積S2′よりも小さく設定されている。
【0046】
ランド62は、貫通孔61の内面61c、第1開口部61aの縁部61dおよび第2開口部61bの縁部61eに設けられた筒部材である。
このランド62は、第1開口部61aの縁部61dに相当する第1ランド開口部62aと、第2開口部61bの縁部61eに相当する第2ランド開口部62bとを有している。
第1ランド開口部62aの第1ランド面積S3′は、第2ランド開口部62bの第2ランド面積S4′よりも小さく設定されている。
【0047】
変形例1の部品実装構造60によれば、貫通孔61(ランド62)の内部64で硬化した固定材33が第1ランド面積S3′より大きくなり、固定材33が貫通孔61(ランド62)から引き抜かれないようにできる。
【0048】
これにより、貫通孔61(ランド62)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させなくても、回路基板31に対してリード端子45に捻り等の外力が加えられた場合に、リード端子45を固定材33で貫通孔61に保持して電子部品32が回路基板31から脱落することを防止できる。
【0049】
加えて、貫通孔61(ランド62)の内部64で硬化した固定材33を第1ランド面積S3′より大きくして固定材33が貫通孔61から引き抜かれないようにすることで、貫通孔61(ランド62)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにできる。
このように、リード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにすることで、従来に比較して電子部品32を実装した回路基板31を含む全体の厚み寸法を薄くできる。
【0050】
すなわち、変形例1の部品実装構造60によれば、第1実施形態の部品実装構造25と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(変形例2)
図6に示す変形例1の部品実装構造70は、第1実施形態の貫通孔35およびランド36に代えて貫通孔71およびランド72を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の部品実装構造25と同様である。
【0052】
貫通孔71は、貫通孔71の内面71cの略中央に段部74を有し、回路基板31の実装面31a側の内面71fが小径に形成され、回路基板31の実装面31a側とは反対側の内面71gが大径に形成されている。
この貫通孔71は、回路基板31の実装面31a側の第1開口部71aと、回路基板31の実装面31a側とは反対側の第2開口部71bとを有する。
第1開口部71aの第1面積S1″は、第2開口部71bの第2面積S2″よりも小さく設定されている。
【0053】
ランド72は、貫通孔71の内面71c(段部74を含む)、および第1開口部71aの縁部71dおよび第2開口部71bの縁部71eに設けられている。
このランド72は、第1開口部71aの縁部71dに相当する第1ランド開口部72aと、第2開口部71bの縁部71eに相当する第2ランド開口部72bとを有している。
第1ランド開口部72aの第1ランド面積S3″は、第2ランド開口部72bの第2ランド面積S4″よりも小さく設定されている。
【0054】
変形例2の部品実装構造70によれば、貫通孔71(ランド72)の内部76で硬化した固定材33が第1ランド面積S3″より大きくなり、固定材33が貫通孔71(ランド72)から引き抜かれないようにできる。
【0055】
これにより、貫通孔71(ランド72)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させなくても、回路基板31に対して捻り等の外力が加えられた場合、リード端子45を固定材33で貫通孔71に保持して電子部品32が回路基板31から脱落することを防止できる。
【0056】
加えて、貫通孔71(ランド72)の内部76で硬化した固定材33を第1ランド面積S3″より大きくして固定材33が貫通孔71から引き抜かれないようにすることで、貫通孔71(ランド72)から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにできる。
このように、リード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにすることで、従来に比較して電子部品32を実装した回路基板31を含む全体の厚み寸法を薄くできる。
【0057】
すなわち、変形例2の部品実装構造70によれば、第1実施形態の部品実装構造25と同様の効果を得ることができる。
【0058】
次に、第2実施形態の部品実装構造80を図7に基づいて説明する。なお、第2実施形態の部品実装構造80において第1実施形態の部品実装構造25と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
(第2実施形態)
図7に示すように、本発明の第2実施形態である部品実装構造80は、第1実施形態の貫通孔35およびランド36に代えて貫通孔81およびランド82を備えたもので、その他の構成は第1実施形態の部品実装構造25と同様である。
【0060】
貫通孔81は、貫通孔81の内部84に狭小部85を備えた孔である。
具体的には、貫通孔81は、回路基板31を厚み方向に貫通し、回路基板31の実装面31a側の第1開口部81aと、回路基板31の実装面31a側とは反対側の第2開口部81bとを有する。
加えて、貫通孔81は、第1開口部81aの第1面積S5と、第2開口部81bの第2面積S6とが同じであるとともに、貫通孔81の内部84において第1面積S5および第2面積S6よりも小さな第3面積S7となる狭小部85が設けられている。
なお、S5の面積とS6の面積とは同じでなくてもよい。S7の面積よりもS5の面積、S6の面積が大きければよい。
【0061】
狭小部85は、貫通孔81の内面81cに設けられた突起である。
貫通孔81の内面81cに狭小部85を設けることで、第1開口部81aの第1面積S5を第2開口部81bの第2面積S6と同じに大きくできる。
このように、第1開口部81aの第1面積S5を大きく確保することで、貫通孔81にリード端子45を容易に挿入することができる。
【0062】
加えて、狭小部85を貫通孔81の内面81cに設けられた突起とすることにより、リード端子45を貫通孔81に挿入する工程を確実、かつ、円滑に行えるとともに、固定材33が貫通孔81に充填されるまでの間および固定材33が貫通孔81の内部において硬化するまでの間に貫通孔81の内部においてリード端子45が必要以上に移動しないように狭小部85によりリード端子45の位置決めを行え、これにより電子部品32の実装工程を簡略化できる。
【0063】
ランド82は、貫通孔81の内面81c、および第1開口部81aの縁部81d、第2開口部81bの縁部81eおよび狭小部85に設けられており、狭小部85に相当する部位にランド狭小部87を有する。
このランド82は、第1開口部81aの縁部81dに相当する第1ランド開口部82aと、第2開口部81bの縁部81eに相当する第2ランド開口部82bとを有している。
ランド82は、第1ランド開口部82aの第1ランド面積S8と、第2ランド開口部82bの第2ランド面積S9とが同じであるとともに、ランド狭小部87の第3ランド面積S10が第1ランド面積S8および第2ランド面積S9よりも小さく設定されている。
【0064】
貫通孔81(すなわち、ランド82)に固定材33を充填させた状態で、固定材33の一部33aが狭小部85よりも第2開口部81b側に達している。
よって、貫通孔81(ランド82)の内部84で硬化した固定材33のうち、狭小部85よりも第2開口部35b側の部位33aがランド狭小部87の第3ランド面積S10より大きくなり、固定材33が貫通孔81から引き抜かれないようにできる。
【0065】
これにより、貫通孔81から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させなくても、回路基板31に対してリード端子45に捻り等の外力が加えられた場合に、リード端子45を固定材33で貫通孔35に保持して電子部品32が回路基板31から脱落することを防止できる。
【0066】
加えて、第2開口部81b側の固定材33を狭小部85の第3面積S7より大きくして固定材33が貫通孔81から引き抜かれないようにすることで、貫通孔81から挿入されたリード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにできる。
このように、リード端子45の先端45aを回路基板31から突出させないようにすることで、従来に比較して電子部品32を実装した回路基板31を含む全体の厚み寸法を薄くできる。
【0067】
すなわち、第2実施形態の部品実装構造80によれば、第1実施形態の部品実装構造25と同様の効果を得ることができる。
【0068】
なお、第2実施形態の部品実装構造80では、第1開口部81aの面積を狭小部85の面積よりも広くしていたが、これに限られるものではない。第1実施形態と同様の効果を得るためであれば、第2開口部81bの面積が狭小部85の面積よりも広ければ充分であり、第1開口部81aの面積の広狭は問わない。
また、第1開口部81aの面積を狭小部85の面積よりも狭くしてもよい。この場合、特に、第1開口部81aの縁と狭小部85の縁とを結ぶ第1母線との挟み角度である第1交差角度と、貫通孔91の軸線と、第2開口部81bの縁と狭小部85の縁とを結ぶ第2母線との挟み角度である第2交差角度とを異なるものにすることで、以下の効果が得られる。
すなわち、この場合、少なくとも狭小部85と第1開口部81aの2箇所でアンカー効果が発生する。これにより、リード端子45を引き抜く方向の力が複数個所に分散され、引き抜きに対する耐性が高まる。
【0069】
その具体例を、図8および図9に示す。図8に示す本発明の第3実施形態の部品実装構造90Aや、図9に示す本発明の第4実施形態の部品実装構造90Bにおいて、第1実施形態の部品実装構造25と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
(第3実施形態)
部品実装構造90Aは、貫通孔91の第1開口部91aの第1面積は、狭小部95の第3面積よりも小さく設定されている。貫通孔91は、軸線Cに対して離れる方向に狭小部95の縁が突出する段付円錐形状となっている。
貫通孔91の軸線Cと、第1開口部91aの縁と狭小部95の縁とを結ぶ第1母線との挟み角度である第1交差角度θ1と、貫通孔91の軸線と、第2開口部91bの縁と狭小部95の縁とを結ぶ第2母線との挟み角度である第2交差角度θ2とが異なる。
【0071】
このような部品実装構造90Aにおいては、第1交差角度θ1および第2交差角度θ2が異なるため、リード端子45を貫通孔91から実装面31a側に引く抜く方向に力が加えられた場合、第1開口部91aと狭小部95との間と、第2開口部91bと狭小部95との間との2箇所でそれぞれアンカー効果が発生する。
この際、部品実装構造90Aにおいては、第1開口部91aと狭小部95との間に生ずる応力N1の方向と、第2開口部91bと狭小部95との間に生ずる応力N2の方向とが異なるため、リード端子45を引く抜く方向に対する応力N1、N2が複数方向に分散され、これによりリード端子45の引き抜きに対する耐性が高まるという効果が得られる。
【0072】
(第4実施形態)
部品実装構造90Bは、貫通孔91の第1開口部91aの第1面積は、狭小部95の第3面積よりも小さく設定されている。貫通孔91は、軸線Cに対して近付く方向に狭小部95の縁が突出する段付円錐形状となっている。
貫通孔91の軸線Cと、第1開口部91aの縁と狭小部95の縁とを結ぶ第1母線との挟み角度である第1交差角度θ1と、貫通孔91の軸線と、第2開口部91bの縁と狭小部95の縁とを結ぶ第2母線との挟み角度である第2交差角度θ2とが異なる。
【0073】
このような部品実装構造90Bにおいては、第1交差角度θ1および第2交差角度θ2が異なるため、リード端子45を貫通孔91から実装面31a側に引く抜く方向に力が加えられた場合、第1開口部91aと狭小部95との間と、第2開口部91bと狭小部95との間との2箇所でそれぞれアンカー効果が発生する。
この際、部品実装構造90Aにおいては、第1開口部91aと狭小部95との間に生ずる応力N1の方向と、第2開口部91bと狭小部95との間に生ずる応力N2の方向とが異なるため、リード端子45を引く抜く方向に対する応力N1、N2が複数方向に分散され、これによりリード端子45の引き抜きに対する耐性が高まるという効果が得られる。
【0074】
なお、本発明に係る部品実装構造およびこれを備えた電子機器は、前述した第1実施形態および第2実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、第1実施形態および第2実施形態では、電子機器として折り畳み式携帯端末を例示するが、電子機器は折り畳み式携帯端末に限定するものではなく、その他の電子機器に適用することも可能である。
【0075】
また、前記第1実施形態および第2実施形態で使用した電子機器、部品実装構造、回路基板、実装面、電子部品、固定材、貫通孔、第1開口部、第2開口部、貫通孔の内面、第1開口部の縁部、ランド、リード端子および狭小部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 電子機器
25,60,70,80,90A,90B 部品実装構造
31 回路基板
31a 実装面
32 電子部品
33 固定材
35,61,71,81,91 貫通孔
35a,61a,71a,81a,91a 第1開口部
35b,61b,71b,81b,91b 第2開口部
35c,61c,71c,81c 貫通孔の内面
35d,61d,71d,81d 第1開口部の縁部
36,62,72,82 ランド
38 母線
45 リード端子
85,95 狭小部
S1,S1′,S1″,S5 第1面積
S2,S2′,S2″,S6 第2面積
S7 第3面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板を厚み方向に貫通し、前記回路基板の実装面側の第1開口部と、前記回路基板の前記実装面側とは反対側の第2開口部とを有する貫通孔と、
前記貫通孔の内面および前記第1開口部の縁部に設けられたランドと、
前記貫通孔に対して前記実装面側から挿入されるリード端子を備える電子部品と、
前記リード端子を覆うとともに前記貫通孔の内部に粘体状態で充填され、硬化することにより前記貫通孔の内部に前記リード端子を固定させる固定材と、
を備え、
前記貫通孔における第1開口部の第1面積が、前記第2開口部の第2面積よりも小さい部品実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の部品実装構造であって、
貫通孔が、前記回路基板の厚み方向に母線が沿う円錐形状である部品実装構造。
【請求項3】
回路基板と、
前記回路基板を厚み方向に貫通し、前記回路基板の実装面側の第1開口部と、前記回路基板の前記実装面側とは反対側の第2開口部とを有する貫通孔と、
前記貫通孔の内面および前記第1開口部の縁部に設けられたランドと、
前記貫通孔に対して前記実装面側から挿入されるリード端子を備える電子部品と、
前記リード端子を覆うとともに前記貫通孔の内部に粘体状態で充填され、硬化することにより前記貫通孔の内部に前記リード端子を固定させる固定材と、
を備え、
前記貫通孔の内部において前記第2開口部の第2面積よりも小さな第3面積となる狭小部が設けられ、かつ、前記固定材が前記狭小部よりも前記第2開口部側に達している部品実装構造。
【請求項4】
請求項3に記載の部品実装構造であって、
前記第1開口部の第1面積は、前記狭小部の第3面積よりも大きい部品実装構造。
【請求項5】
請求項4に記載の部品実装構造であって、
前記狭小部が前記貫通孔の内面に設けられた突起である部品実装構造。
【請求項6】
請求項3に記載の部品実装構造であって、
前記第1開口部の第1面積は、前記狭小部の第3面積よりも小さく、かつ、
前記貫通孔の軸線と、前記第1開口部の縁と前記狭小部の縁とを結ぶ第1母線との挟み角度である第1交差角度と、
前記貫通孔の軸線と、前記第2開口部の縁と前記狭小部の縁とを結ぶ第2母線との挟み角度である第2交差角度とが異なる部品実装構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれかに記載の部品実装構造を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−187578(P2011−187578A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49739(P2010−49739)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】