説明

部品整列供給装置

【課題】部品整列供給装置において、リフターのストロークを増大することなく、及び装置の全高を高くすることなく、貯留部の深さを深くして貯留部容積を増大する。
【解決手段】部品を貯留する貯留部(30)の底部(32)に積載された部品(20)が重力によってリフタ部(50)へ移動できるように貯留部(30)とリフタ部(50)が配置構成された部品整列供給装置において、底部(32)が、底部支持手段(120)によって昇降可能に支持され、底部支持手段(120)が、底部(32)に接続された少なくとも3本のワイヤ(121)と、各ワイヤ(121)を支持する滑車(122)と、ワイヤ(121)に接続されたスプリング(123:128)とを具備し、スプリングのたわみによって生じるスプリング力が、底部(32)及びそこに積載された部品(20)の重量を支える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランダムに供給された部品を一定方向に整列して移送する部品整列供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術による部品整列供給装置1は、一般的に図1に示すように、部品を一列に並べて移送する整列部2と、整列部2を振動させる整列駆動部3と、部品を多数貯留することができる貯留部4と、貯留部4と整列部2との間に介在し、貯留部4から部品を受けて整列部に部品を供給するリフタ部5と、貯留部4の底部を振動させて貯留部からリフタ部5へ部品を移送するための搬送駆動部6とを備えている。
【0003】
従来の部品整列供給装置1の貯留部3の容積は、リフターの移動ストロークの制約等のために貯留部3の深さを深くすることが困難であることから一般的に小さく、このため図1には図示していないが、貯留部4の上方にホッパーを付属させて、貯留部内の部品が少なくなるとホッパーから貯留部3に部品を供給するという方式が取られている。このため、ホッパーを設けたことにより装置の全高が増大するという問題があった。一方、貯留部3の深さを深くすると、リフター5の移動ストロークが大きくなり、駆動力も大きくなるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献1には、貯留部内の部品(この場合は鉄筋)の量に応じて貯留部の底部を昇降させることのできる装置が示されている。このように底部を昇降させることにより部品の量が減少した場合でも部品を貯留部から排出することができるが、底部の昇降は、貯留部の真下に配置された油圧シリンダによって行われるので、貯留部の深さを深くするためには装置の全高を高くする必要がある。
【0005】
【特許文献1】実開平4−94332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて、部品整列供給装置において、リフターのストロークを増大することなく、及び装置の全高を高くすることなく、貯留部の深さを深くして貯留部容積を増大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の部品整列供給装置は、部品(20)を多数貯留することができる貯留部(30)と、
部品(20)を整列して移送する整列部(40)と、
貯留部(30)と整列部(40)との間に介在し、貯留部(30)から部品(20)を受けて整列部(40)に部品(20)を供給することができるリフタ部(50)と、
整列部(40)上の部品(20)を整列して移送するために整列部(40)を振動させる振動発生機(60)とを具備し、
貯留部(30)に積載された部品(20)が重力によってリフタ部(50)へ排出されて移動する部品整列供給装置(10)において、
貯留部(30)が、部品(20)を積載する部品積載面(33)を有する昇降可能な底部(32)と、該底部(32)を昇降可能に支持するための底部支持手段(120)とを具備し、
底部支持手段(120)が、底部(32)に接続された一方の端を有する少なくとも3本のワイヤ(121)と、各ワイヤ(121)を支持する滑車(122)と、前記各ワイヤの他方の端に直接に又は間接に接続されたスプリング(123:128)とを具備し、スプリング(123:128)のたわみによって生じるスプリング力が、底部(32)及びそこに積載された部品(20)の重量による荷重を支え、貯留部内の部品(20)の増減により前記荷重が増減するとき、前記荷重の増減に対応してスプリング(123:128)のたわみが増減することにより、前記スプリング力が変化して前記増減した荷重と釣り合うように、少なくとも3本のワイヤ(121)と、滑車(122)と、スプリング(123:128)が配置及び/又は接続されることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明において、貯留部(30)の底部を昇降させることにより、及びワイヤと滑車を利用してスプリングを貯留部の底部の昇降経路から外れた側方へ配設することが可能になることにより、リフタ部のストロークを増大することなく、また装置の全高を高くすることなく、貯留部の深さを深くすることができる。また底部支持手段の主要な構成要素がスプリングであるので、底部の昇降機構は単純であると共に昇降のための動力を必要としない。
【0009】
請求項2に記載の部品整列供給装置では、底部支持手段(120)が、錘(124)を更に具備し、錘(124)による荷重が底部(32)に対して上向きに作用すると共にスプリング(123:128)のたわみを解放する方向に作用するように、ワイヤ(121)と滑車(122)とスプリング(123:128)と錘(124)とが配置及び/又は接続されることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明により、スプリングが負担すべき荷重が軽くなるので、スプリングのばね定数を小さくすることができ、その結果、一般的には小型で安価なスプリングを使用することができる。
【0011】
請求項3に記載の部品整列供給装置では、前記スプリングが引張コイルスプリング(123)から成ることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の部品整列供給装置では、前記スプリングが圧縮コイルスプリング(128)から成り、錘(124)が上昇したとき錘(124)が圧縮コイルスプリング(128)を圧縮することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の部品整列供給装置では、部品積載面(33)は、その最大傾斜線がリフタ部(50)の方へ向かって延びる傾斜面であることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明により、特に底部がその上限位置にあるとき貯留部からリフタ部への部品の移動が促進される。
【0015】
請求項6に記載の部品整列供給装置では、前記部品積載面(33)が、多角形の複数の斜面で構成され、前記複数の斜面に積載された部品(20)が前記斜面を流れ落ちて、前記部品積載面(33)の、前記リフタ部(50)に隣接する側の一部の限定された範囲に集まるように、前記複数の斜面の複数の最大傾斜線が、少なくとも二つの方向を有することを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の発明により、貯留部からリフタ部への部品排出開口の位置に合わせて、部品積載面上の部品を集中させることができる。
【0017】
請求項7に記載の部品整列供給装置では、整列部(40)から落下した部品(20)を受け止めて重力により貯留部(30)へ戻すことができる戻しスロープ(110)が設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の発明により、整列部から落下した部品の回収が動力なしで可能にされる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明による部品整列供給装置の実施例を図面を参照しながら説明する。本発明の部品整列供給装置10の第1の実施例が、正面図である図2及び平面図である図3及び右側面図である図4に示されている。図2では、後述するリフタ部50と貯留部30の内部を明瞭に示すために、リフタ部50と貯留部30が断面で示されている。
【0021】
部品整列供給装置10は、ドーナツ状の概ねトーラスである部品20を多数貯留することができる貯留部30と、部品20を整列して移送する整列部40と、貯留部30と整列部40との間に介在して、貯留部から部品20を受けて高位置の整列部40に部品20を供給するリフタ部50と、整列部40を振動させる振動発生機60とから主に構成されている。装置10はその底部に基盤70を有し、該基盤70上に貯留部30と、リフタ部50と、二つの振動発生機60を支持している振動発生機支持プレート80と、振動発生機60とリフタ部50の運転を制御する制御盤100とが固定されており、また基盤70の下側には床面又は基礎面に接するフット90が設けられている。
【0022】
整列部40は、部品20の外形寸法に対応した幅を有する直線溝状の部品通路41を備えている。整列部40は、振動発生機60から振動を受けると整列部上の部品20が前記部品通路41内で所定の方向で整列されて図1の左方へ移送され、整列しなかった部品20が部品通路41からこぼれ落ちるように構成されている。このため、こぼれ落ちた部品20を受止めて貯留部30へ戻すための戻しスロープ110が整列部40に隣接して設けられている。前記戻しスロープ110は、貯留部へ向けて低くなった斜面を有して貯留部30へ通じているので、戻しスロープ110上の部品20は重力によって貯留部30へ向けて流れ落ちて回収される。
【0023】
リフタ部50は、油圧により上下に移動するリフタロッド51と本体部52とを有する油圧シリンダ53、リフタ部品搬送部54、及びリフタ部品搬送部54を案内するリフタ通路55を具備している。リフタ部品搬送部54は、前記リフタロッド51の先端部に結合されてリフタロッド51と共に、リフタ下限位置LL50と整列部40よりも上に位置するリフタ上限位置UL50との間をストロークS50で上下に移動しかつ部品20を載せることができる。また、リフタ部品搬送部54は、整列部40より上に上昇したとき整列部40に部品20が降りかかるように整列部40に近い側に向けて低く傾斜が付けられている。リフタ通路55は、四つの壁面55a,55b,55c,55dによって形成される横断面が矩形の通路である。前記四つの壁面のうちの貯留部30との境界をなす壁面55aは、その概ね上半分で、正確にはリフタ部品搬送部54のリフタ下限位置LL50より上方が、部品20が貯留部30からリフタ部品搬送部54に崩れ落ちることができるように、貯留部30の部品排出開口34によって開口している。部品排出開口34の下端の位置は、リフタ下限位置UL50とほぼ同一の高さにある。また、前記4つの壁面のうちの整列部40に隣接する側の壁面55bは、リフタ部品搬送部54がリフタ上限位置UL50に達したとき整列部側に部品20が流れ落ちるように、前記リフタ上限位置UL50に対応する部分より上には形成されていない。油圧シリンダ53の本体部52は、貯留部30との境界をなす前記壁面55aと対向した壁面55cにボルト(不図示)で固定されている。
【0024】
概ね矩形のリフタ部品搬送部54の前記部品排出開口34に近接する辺から下方にシャッター板56が延びている。シャッター板56は、リフタ部品搬送部54に結合されているのでリフタ部品搬送部54と共に上下に移動し、リフタ部品搬送部54がリフタ上限位置UL50にあるときでも部品排出開口34を塞ぐことによって部品20が貯留部30からリフタ通路55内に侵入することを防ぐためのものである。従って、リフタ部品搬送部54がリフタ上限位置UL50にあるときでも部品排出開口34がシャッター板56で塞がれているように、シャッター板56の長さが設定されている。また、シャッター板56の幅は、部品排出開口34を塞ぐことができるように部品排出開口34の幅より広く設定されている。
【0025】
貯留部30は、リフタ部50に隣接して、装置10の基盤70上に配設されている。貯留部30は、四つの直立した側面部31a,31b,31c,31dと底面31eと該底面31eの上に配置された底部32とを具備している。貯留部の形状は、内部に部品20を収容するための空間を有する概ね直方体であり、その上面は部品20を貯留部30に投入するために開放している。また、リフタ部50との境界を成す側面部31aの外面の一部が前記リフタ壁面55aを形成している。従って、側面部31aは前記部品排出開口34によって開口している。貯留部の底部32は前記空間内を上下に移動可能であり、図2は、底部32がその上限位置にある状態を図示しており、底部32の下限位置は図2では二点鎖線で示されている。
【0026】
底部32は、本実施例では、鋼板により形成されていて、部品20を載置する部品積載面33と前記部品積載面33の4辺から下方に延びる4つの側面とを有している。底部32の前記4つの側面と側面部31a,31b,31c,31dの内面との間には、底部の昇降運動を円滑にするために微小な隙間が設けられている。部品積載面33は、水平な平面であるよりも、図2で示されるように、角度θを有してリフタ部50側に向かって低く傾斜した斜面であることが好ましい。また、底部32は、四本のワイヤ121と四個の滑車122と三本の引張コイルスプリング123と一つの錘124とから構成される底部支持手段120によって昇降可能に支持されている。前記スプリング123と錘124は、リフタ部50とは反対側の側面部31bの外側に配置されている。
【0027】
四本のワイヤのそれぞれの一方の端にはJ字形のフックがワイヤクリップ(不図示)で固定され、部品積載面33の四隅にはアイボルトが固定されている。底部32は、前記アイボルトにワイヤの前記フックが引掛けられて上から吊下げられる。前記アイボルトの上方には前記四個の滑車が設けられている。四本のワイヤのうちのリフタ部50に近い側の2本のワイヤを第1ワイヤ1211及び第2ワイヤ1212、並びにスプリングに近い側の2本のワイヤを第3ワイヤ1213及び第4ワイヤ1214、同様にリフタ部50に近い側の2個の滑車を第1滑車1221及び第2滑車1222、並びにスプリングに近い側の滑車を第3滑車1223及び第4滑車1224と呼称すると、第1ワイヤ1211及び第2ワイヤ1212は、各アイボルトから上方に延びて第1滑車1221及び第2滑車1222まで達するとこれら滑車によって図2の水平右方に方向転換されて第3滑車1223及び第4滑車1224まで延びてそこで下方に方向転換される。第3ワイヤ1213及び第4ワイヤ1214は、各アイボルトから上方に延びて第3滑車1223及び第4滑車1224まで延びてそこで下方に方向転換される。滑車は、貯留部の側面部に固定された不動の心棒と、ワイヤを支持する溝を有して回転可能な溝車とから構成されている。第1滑車1221及び第2滑車1222は、側面部31c、31dにそれぞれ固定された心棒122a1及び122a2と、溝車122b1及び122b2とをそれぞれ具備し、第3滑車1223及び第4滑車1224は、側面部31c及び31dの間をまたいで延びて前記側面部に固定された共用の1本の心棒122a34と、溝車122b3及び122b4とを具備している。第3滑車及び第4滑車の溝車122b3及び122b4は、それぞれ2本のワイヤの第1ワイヤ1211及び第3ワイヤ1213並びに第2ワイヤ1212及び第4ワイヤ1214を支持するので、それぞれ2つの溝を有している。
【0028】
錘124は、本実施例では、鉄製のものであり、その重量は貯留部の底部32の重量に、底部32がその上限位置にあるときに貯留部内に残留することが見込まれる部品20の重量とを足し合わせた重量にほぼ等しい。また、錘124の形状は水平方向に横長の略直方体であり、その水平方向の両端部にワイヤを引掛けるためのロッド125が設けられ、またその直方体の下側の面には、スプリングの上方の端部を引掛けるための3つの穴を有するスプリング取付部126が形成されている。錘124の、水平方向の一方の、図3の左方の端部のロッド125に第1及び第3ワイヤの他方の端が接続され、水平方向の他方の、図3の右方の端部のロッド125に第2及び第4ワイヤが接続される。なお、前記各ワイヤの他方の端はロッド125を通すためのロッド125の径より大きなループが、ワイヤクリップ(不図示)を使って形成されている。各引張コイルスプリング123の両端部はフック状に形成されていて、前述のとおりその上方の端部が錘124の前記3つの穴にそれぞれ引掛けられる。引張コイルスプリング123の下方の端部は、装置10の基盤70に結合されたスプリング取付板71に設けられた3つの取付穴にそれぞれ引掛けられる。
【0029】
底部支持手段120は、以上のように構成されて配置されているので、貯留部の底部32を以下のように昇降可能に支持する。
【0030】
貯留部30の部品20が最も少ない状態では、貯留部の底部32はその上限位置にあり、そのとき前記引張コイルスプリング123はそのたわみ量が最も少ない状態にある。次いで、貯留部30に部品20が投入されて底部32に加わる荷重が増大すると、底部32は次第に下方へ移動すると共に、4本のワイヤによって錘124と錘124に接続された3本の引張コイルスプリング123の上方の端部とが引き上げられて前記スプリングが伸張される。滑車における摩擦、底部32と側面部31a,31b,31c,31dとの間の摩擦、及びワイヤの自重等を考慮しないとすると、底部の重量に部品の重量を足し合わせた第1の荷重と、錘124の重量に前記3本の引張コイルスプリング123の伸張により錘124に下向きに作用する力を足し合わせた第2の荷重とが等しくなるまで底部32は下方へ移動する。
【0031】
貯留部30に所定の最大数量の部品20が貯留されている状態では、底部32は、図2の二点鎖線で示されるその下限位置にあり、そのとき前記引張コイルスプリング123はそのたわみ量が最も多い状態にある。また、貯留部内で積載された部品の一部は部品排出開口34からリフタ搬送部54上へ崩落して移動するので、このような移動によって貯留部内の部品20が減少した場合は、増加した場合と同様に、底部32は、前記第1の荷重と前記第2の荷重とが等しくなるまで今度は上方へ移動を続ける。
【0032】
このように移動する貯留部の底部32を有する部品整列供給装置10がどのように作動するかを次に説明する。
【0033】
図2は貯留部の底部32がその上限位置付近にあり、リフタ部品搬送部54がリフタ下限位置LL50にあり、リフタ部品搬送部54上に部品20が載った状態を示している。貯留部内には部品20が積載されており、それら部品20は貯留部30の4つの側面部31a,31b,31c,31dに対して部品20の自重に基づく圧力を及ぼしている。但し、前記4つの側面部のうちリフタ部50との境界を成す側面部31aには前述のとおり部品排出開口34が設けられているので、部品20の一部が前記開口部を通ってリフタ部品搬送部54に崩れ落ち、その結果図2で示される状態になる。なお、貯留部30に投入する部品20の量は、底部32を下限位置に位置づけるのに必要な量より少ない量であることが好ましく、実際には底部32が下限位置に達する前に部品20の投入を止めることが好ましい。
【0034】
整列部40には、整列部40に整列された部品量を検知するセンサー(不図示)が設けられていて、整列部40の部品量が所定の量より少なくなると、前記センサーからの信号に基づいてリフタ部品搬送部54が上昇するように制御シーケンスが構築されている。従って、貯留部30から崩れ落ちた部品20を載せたリフタ部品搬送部54は、整列部40の部品量が少なくなると上方へ移動してリフタ上限位置UL50で停止する。リフタ部品搬送部54には前述したとおり整列部40に向かって低くなるように傾斜が付けられているので、リフタ部品搬送部54がリフタ上限位置UL50に達して、リフタ通路55の整列部側の壁面が存在しなくなると、リフタ部品搬送部54上の部品20は整列部40に流れ落ちる。また、このとき部品排出開口34は、リフタ部品搬送部54と一体のシャッター板56によって閉じられているので、貯留部内の部品20がリフタ通路55内に侵入することはない。
【0035】
整列部40に向けて流れ落ちた部品20の一部は整列部40に受止められずに落下して整列部40の周囲に設けられた戻しスロープ110で受止められ、また整列部40に受止められた部品20の中の正しく整列しなかった部品20も振動を受けた段階で整列部40から落下して戻しスロープ110で受止められる。戻しスロープ110で受止められた部品20はそのスロープ110を滑って貯留部30に戻って回収される。
【0036】
整列部40で整列された部品20は、振動発生機60から受ける振動によって、整列部40の先端の方へ向けて移動して、例えば組立てラインの作業者の傍らに供給される。
【0037】
一方、リフタ上限位置まで移動したリフタ部品搬送部54は、部品20が整列部40に降りかかるのに必要な時間が経過した後、下方に移動してリフタ下限位置LL50で停止する。その際、リフタ部品搬送部54が下方に移動するにつれて部品排出開口34も上から開放してゆく。従ってリフタ部品搬送部54がリフタ下限位置LL50に近づくと、あるいはリフタ下限位置LL50に達すると貯留部30から部品20の山が崩れ落ちて再びリフタ部品搬送部54に部品20が載り始める。貯留部30からリフタ部品搬送部54への部品20の移動に伴って、底部32は、それが載せる部品20の重量が減少するので上へ移動し始め、部品20の移動が継続するが、リフタ通路55の壁面でも部品20の自重による側方への圧力を受け止めるので、部品20の山はある状態で安定して部品20の移動が止み、それに伴って底部32の上昇も停止する。
【0038】
リフタ部品搬送部54は部品20を載せた状態で、リフタ下限位置LL50で待機し、制御盤100から上昇の指令があると再び上昇する。このようにして前述の動作が繰り返されて貯留部30からリフタ部50を介して整列部40に部品20が移動する。また、底部32は最終的には上限位置に到達して貯留部30に投入された部品20の大部分がリフタ部品搬送部54に移動される。なお、貯留部容積の有効利用という観点からは底部32が上限位置にあるとき全ての部品20がリフタ部へ移動されて貯留部内に部品20は残っていないことが好ましいが、部品整列供給装置10の作動に対しては、底部32が上限位置にあるとき一部の部品20が貯留部30に残っていても問題はなく、また貯留部30への部品20の補給も底部32が上限位置に達する前に行ってよい。
【0039】
次に、部品支持手段が錘を有さない第2の実施例を図5を用いて説明する。この実施例は、錘に代えて一本のスプリング引掛けロッド127が設けられていることが前記第1の実施例と異なる。このスプリング引掛けロッド127の一方の端に第1ワイヤ1211及び第3ワイヤ1213が接続され、前記ロッド127の他方の端に第2ワイヤ1212及び第4ワイヤ1214が接続され、中間部分に三本の引張コイルスプリング123のフックが引っ掛けられている。
【0040】
この第2の実施例における3本の引張コイルスプリング123が発生しなければならない力は、第1の実施例の錘の重量分の力を補う必要があるため、第1の実施例で用いた引張コイルスプリングより大きなばね定数を有するものであり、さらにスプリングのたわみ量も大きく設定されている。
【0041】
前記第2の実施例の変更例として、スプリング引掛けロッドなしで、2本の引張コイルスプリングの上側のフックを直接第1ワイヤ1211及び第3ワイヤ1213並びに第2ワイヤ1212及び第4ワイヤ1214の他方の端にそれぞれ接続し、下側のフックをスプリング取付板の取付穴に引掛けて底部支持手段を構成することも可能である。
【0042】
次に、底部支持手段が、引張コイルスプリングに代えて圧縮コイルスプリング128を具備する第3の実施例を図6及び7に示す。この実施例では、底部支持手段120は錘124を具備している。この錘124はほぼ直方体でその水平方向の両端部にアイボルト129が取り付けられて、前記両端部のアイボルト129に第1ワイヤ1211及び第3ワイヤ1213、並びに第2ワイヤ1212及び第4ワイヤ1214がそれぞれ接続されて錘124がワイヤによって吊るされている。なお、前記各ワイヤの端にはJ字形のフック(不図示)が固定されていて、前記アイボルトにこのフックを引掛けることにより前記各ワイヤが錘に接続される。また錘124の直方体の上面には、圧縮コイルスプリング128の下方の端部を収容するために、圧縮コイルスプリング128の外径よりわずかに大きな径と、前記径の約3倍の深さとを有するスプリング下端部支持穴が3つ設けられている。さらに、錘124の両側端部にはガイドロッド130がそれぞれ設けられていて、このガイドロッド130をガイドする細長いガイド穴35aを有するガイド板35が貯留部の側面部31c及び31dに固定されている。
【0043】
貯留部の側面部31bの外面の上部にはスプリング保持ブロック36がボルト(不図示)によって固定されている。スプリング保持ブロック36には、錘124に形成された下端部支持穴と対向する位置に同様の形状の3つのスプリング上端部支持穴が形成されている。圧縮コイルスプリング128はその下端部が錘124の下端部支持穴に挿入されて支持され、その上端部がスプリング保持ブロック36の上端部支持穴に挿入されて支持される。従って、圧縮コイルスプリング128の上端部は不動であるが、下端部は錘124の上下の移動と共に移動する。貯留部の底部32が下方に移動して錘124が上方に移動するとき圧縮コイルスプリング128は錘124によって圧縮され、錘124が下に移動するときスプリングは伸張する。
【0044】
スプリングが引張コイルスプリングであった第1の実施例の場合と同様に、ワイヤの自重、様々な部分の摩擦、及びスプリングの自重を考慮しないとすると、貯留部の底部32の静止の条件は、貯留部の底部の重量に部品の重量を足し合わせた第1の荷重と、錘124の重量に前記3本の圧縮コイルスプリング128の圧縮により錘124に対して下向きに作用する力を足し合わせた第2の荷重とが等しいことである。第3の実施例における底部支持手段はこのように構成されているので、底部32に積載された部品の重量の増減に対して前述の第1の実施例における底部支持手段と同様に応答して底部32を支持する。
【0045】
次に、貯留部の底部32の部品積載面33が複数の斜面で構成される変更例を底部32の平面図である図8,及び図8のXX断面図である図9,及び図8のYY断面図である図10を参照して説明する。なお、これらの図では、部品積載面の形状を明瞭にするために、ワイヤを取付けるためのアイボルトは作図していない。
【0046】
貯留部30からリフタ部品搬送部54への部品20の移動をさらに促進するために、貯留部の底部の部品積載面33を、単一の斜面ではなく複数の斜面、例えば三つの斜面で構成してもよい。図8に示される部品積載面33は、三つの斜面33a,33b,33cから構成され、前記三つの斜面33a,33b,33cは、四辺形又は台形をしていて、それぞれの傾斜角θa,θb、θcと、最大傾斜線La,Lb,Lcとを有している。斜面33aは、台形であり、その台形の上底に相当し幅Wを有する辺33asが、部品排出開口34(不図示)に隣接して対向し且つ部品積載面33における最低位に位置している。また斜面33aは、部品排出開口34の開口面にほぼ直交する方向でその最大傾斜線Laが延びるように傾斜角θaで傾斜している。斜面33bは四辺形であって、斜面33aの、図8で見て上方に位置し、その最大傾斜線Lbが斜面33aの最大傾斜線Laにほぼ直交する方向を有し、斜面33aの傾斜角θaより大きい傾斜角θbで傾斜している。斜面33cは、台形であって、その台形の上底に相当する辺が斜面33aの台形の下底に相当する辺に接し、斜辺が斜面33bの一辺と接している。斜面33cは、その最大傾斜線Lcが斜面33aの最大傾斜線Laと平行に延び斜面33aの傾斜角θaより大きい傾斜角θcで傾斜している。
【0047】
部品積載面33が以上のように形成されているので、斜面33a及び33c上に載った部品20はもとより、斜面33b上に載った部品20も部品排出開口34に対向した斜面33aの辺33asに集まってくる。
【0048】
この変更例では、三つ斜面から構成される部品積載面33を示したが、例えば、前記斜面33aと33cをそれらの傾斜角θaとθcを等しくすることによって一つの斜面に統合することにより、部品積載面33を二つの斜面から構成することができることは明らかである。また二つの斜面から構成することによっても、前述した、どの部位に積載された部品も全て、部品排出開口34に対向した斜面33aの辺33asに集まるという効果が得られる。なお、図8に示される変更例の部品積載面33の斜面33a,33b,33cは鋼板を溶接することにより形成されている。
【0049】
前述の実施例における底部支持手段のワイヤの本数は4本であったが、本発明の底部支持手段は、3本のワイヤによって構成することも可能である。3本のワイヤの場合には、底部の部品積載面に作用する部品重量による分布荷重の中心が、部品積載面の3ヶ所のワイヤ取付部を結ぶ3角形の中に含まれていれば底部を安定に昇降させることが可能である。また錘の数についても前述の実施例で示された1つに限定されるものではなく、例えば錘を主要な重い錘と荷重調節用の相対的に軽い複数の錘とから構成して、前記軽い錘を主要な錘に付加できる構造とすることが可能である。
【0050】
また、前述の実施例では、貯留部の底部の部品積載面は傾斜面であったが、部品が、積載時に崩れやすい形状を有している場合又は底部の上限位置において比較的多数の部品の貯留部内での残留を許容する場合等には、部品積載面は水平な平面でもよい。
【0051】
さらに、前述の実施例では、スプリングは貯留部の側面部31bの外側に鉛直に配置されているが、スプリングを側面部31c及び/又は31dの外側で水平に配置することも滑車を増やすことにより可能である等、本発明のスプリングの配置場所と配置方向は前述の実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の部品整列供給装置の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の部品整列供給装置の正面図である。
【図3】図2で示される部品整列供給装置の平面図である。
【図4】図2で示される部品整列供給装置の右側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例の部品整列供給装置の右側面図である。
【図6】本発明の第3の実施例の部品整列供給装置の右側面図である。
【図7】図6で示される部品整列供給装置の圧縮コイルスプリングが配置される側の一部を示す正面図である。
【図8】部品積載面が3つの斜面から構成される底部の平面図である。
【図9】図8のXX断面図である。
【図10】図8のYY断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 部品整列供給装置
20 部品
30 貯留部
32 底部
40 整列部
50 リフタ部
1212 第2ワイヤ
1214 第4ワイヤ
1222 第2滑車
1224 第4滑車
123 引張コイルスプリング
124 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(20)を多数貯留することができる貯留部(30)と、
前記部品(20)を整列して移送する整列部(40)と、
前記貯留部(30)と前記整列部(40)との間に介在し、前記貯留部(30)から部品(20)を受けて前記整列部(40)に部品(20)を供給することができるリフタ部(50)と、
前記整列部(40)上の部品(20)を整列して移送するために前記整列部(40)を振動させる振動発生機(60)とを具備し、
前記貯留部(30)に積載された部品(20)が重力によって前記リフタ部(50)へ排出されて移動する部品整列供給装置(10)において、
前記貯留部(30)が、前記部品(20)を積載する部品積載面(33)を有する昇降可能な底部(32)と、該底部(32)を昇降可能に支持するための底部支持手段(120)とを具備し、
前記底部支持手段(120)が、前記底部(32)に接続された一方の端を有する少なくとも3本のワイヤ(121)と、前記各ワイヤ(121)を支持する滑車(122)と、前記各ワイヤの他方の端に直接に又は間接に接続されたスプリング(123:128)とを具備し、前記スプリング(123:128)のたわみによって生じるスプリング力が、前記底部(32)及びそこに積載された部品(20)の重量による荷重を支え、貯留部内の部品(20)の増減により前記荷重が増減するとき、前記荷重の増減に対応して前記スプリング(123:128)のたわみが増減することにより、前記スプリング力が変化して前記増減した荷重と釣り合うように、前記少なくとも3本のワイヤ(121)と、前記滑車(122)と、前記スプリング(123:128)が配置及び/又は接続されることを特徴とする、部品整列供給装置(10)。
【請求項2】
前記底部支持手段(120)が、錘(124)を更に具備し、前記錘(124)による荷重が前記底部(32)に対して上向きに作用すると共に前記スプリング(123:128)のたわみを解放する方向に作用するように、前記ワイヤ(121)と滑車(122)とスプリング(123:128)と錘(124)とが配置及び/又は接続されることを特徴とする、請求項1に記載の部品整列供給装置(10)。
【請求項3】
前記スプリングが引張コイルスプリング(123)から成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の部品整列供給装置(10)。
【請求項4】
前記スプリングが圧縮コイルスプリング(128)から成り、前記錘(124)が上昇したとき前記錘(124)が前記圧縮コイルスプリング(128)を圧縮することを特徴とする、請求項2に記載の部品整列供給装置(10)。
【請求項5】
前記部品積載面(33)は、その最大傾斜線がリフタ部(50)の方へ向かって延びる傾斜面であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の部品整列供給装置(10)。
【請求項6】
前記部品積載面(33)が、多角形の複数の斜面で構成され、前記複数の斜面に積載された部品(20)が前記斜面を流れ落ちて、前記部品積載面(33)の、前記リフタ部(50)に隣接する側の一部の限定された範囲に集まるように、前記複数の斜面の複数の最大傾斜線が、少なくとも二つの方向を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の部品整列供給装置(10)。
【請求項7】
前記整列部(40)から落下した部品(20)を受け止めて前記貯留部(30)へ重力により戻すことができる戻しスロープ(110)が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の部品整列供給装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−191291(P2007−191291A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12652(P2006−12652)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】