部品管理システムおよび部品管理方法
【課題】部品管理システムと部品管理方法において、保管スペースの増大を抑制すると共に製品の生産順序を反映して部品を保管し、効率良く迅速に生産ラインに供給できるように部品を管理することを可能とする。
【解決手段】部品管理システム1は、生産ライン2への直接の部品供給源となる部品管理棚3と、生産計画のデータや部品のカテゴリを定めたデータ等を記憶する記憶部4と、各データに基づいて部品管理棚3に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管する保管領域αを生産計画順に設定し、その結果を出力する制御部5と、前記結果を表示する表示装置7とを備えている。制御部5は、生産計画から要求される部品数が保管領域αに保管される所定量を超える場合に隣り合う複数の保管領域αを割り当てる。部品管理棚3がバッファとして機能し、作業者M2は部品管理棚3から生産ライン2へと配列順番に部品を搬送して生産ラインに効率良く供給できる。
【解決手段】部品管理システム1は、生産ライン2への直接の部品供給源となる部品管理棚3と、生産計画のデータや部品のカテゴリを定めたデータ等を記憶する記憶部4と、各データに基づいて部品管理棚3に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管する保管領域αを生産計画順に設定し、その結果を出力する制御部5と、前記結果を表示する表示装置7とを備えている。制御部5は、生産計画から要求される部品数が保管領域αに保管される所定量を超える場合に隣り合う複数の保管領域αを割り当てる。部品管理棚3がバッファとして機能し、作業者M2は部品管理棚3から生産ライン2へと配列順番に部品を搬送して生産ラインに効率良く供給できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品管理システムおよび部品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者のニーズの多様化と変化に伴い、多種多様の部品を効率良く迅速に準備して生産ラインに供給することが求められている。供給するための部品を準備する方法として、部品毎に保管場所を固定化して部品を定番地に収納し、部品を探す時間を短縮する方法がある。しかしながら、多種多様な部品全てを完全に固定化するには、使用頻度の少ない部品に対しても収納スペースを確保しておかなければならず、個々の部品について予想される最大の保管量分の保管スペースが必要となり、保管スペースの無駄が発生する。そこで、部品を入れる部品箱毎にRFIDタグを取り付け、部品倉庫における部品箱を保管する保管スペースの各所にRFIDリーダを固定配置し、RFIDリーダをコンピュータの画面上から検索することにより、部品箱の位置を探す手間を省き、保管スペースを抑制するようにした部品管理システムおよび部品管理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような部品管理システムおよび部品管理方法においては、保管スペースは抑制されるとしても複数種類の製品の生産順序について考慮されていないので部品準備作業の一貫性が望めず、また、部品箱の位置を確実に検索できるとしても検索された現実の場所を探す手間の改善がなされておらず、依然として効率面に問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、保管スペースの増大を抑制すると共に製品の生産順序を反映して部品を保管し、効率良く迅速に生産ラインに供給できるように部品を管理する部品管理システムおよび部品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の部品管理システムは、複数品番の製品を品番毎に各所定個数ずつ生産する生産ラインに生産用の部品を供給するための部品管理システムにおいて、部品を一時保管して生産ラインへの直接の部品供給源となる部品管理棚と、品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、前記部品管理棚における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域を設定する処理を行う制御部と、前記記憶部へのデータ入力および前記制御部による処理結果の表示を行うための入出力部と、を備え、前記制御部は、前記保管領域を生産計画順に設定すると共に、その結果を前記入出力部に出力することにより前記部品管理棚への部品の供給を作業者に指示し、前記生産計画から要求される部品数が前記保管領域に保管される所定量を超える場合に、その部品について隣接する複数の保管領域を割り当てることを特徴とする。
【0007】
この部品管理システムにおいて、制御部は、カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、カテゴリを複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、細分化カテゴリ毎に保管領域を設定し、制御部は、細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、同一の細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定、または、互いに異なる細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定のいずれかを行うことが好ましい。
【0008】
この部品管理システムにおいて、部品管理棚は、部品管理棚に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数設けられていることが好ましい。
【0009】
この部品管理システムにおいて、部品管理棚は、保管領域の情報を表示する表示装置を備え、制御部は、保管領域を設定した結果を表示装置に出力することが好ましい。
【0010】
本発明の部品管理方法は、上記の部品管理システムを用いて部品管理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品管理システムおよび部品管理方法によれば、生産順番を定めた生産計画に基づく保管領域を設定して確保した部品管理棚を経由して生産ラインに部品を供給するようにしたので、保管スペースの増大を抑制でき、製品の生産順序を反映して部品を保管でき、効率良く迅速に生産ラインに供給できるように、部品を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品管理システムについてのブロック構成図。
【図2】同システムが適用される生産ラインの例を示す平面図。
【図3】同システムにおける部品の類別の概念を説明する図。
【図4】同システムにおける部品管理棚の例を示す斜視図。
【図5】同システムにおける部品管理棚から部品を搬出する例を示す斜視図。
【図6】同システムにおける品番と部品の時間的配列について説明する図。
【図7】同システムにおける保管領域、部品の搬出単位、および生産単位の関係説明図。
【図8】同システムにおける部品管理棚の使用例を示す図。
【図9】同システムにおける部品管理棚の他の使用例を示す図。
【図10】同システムにおける細分化カテゴリの説明図。
【図11】(a)(b)は同システムにおいて細分化カテゴリを適用した場合の保管領域と部品の搬出単位の関係説明図。
【図12】同システムを生産ラインに適用する例を示す概念図。
【図13】本発明の一実施形態に係る部品管理方法についてのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る部品管理システムおよび部品管理方法について、図面を参照して説明する。なお、下記説明において既出の図面は、その後の説明において適宜参照される。本発明の部品管理システム1は、図1に示すように、複数品番の製品を品番毎に所定個数ずつ生産する生産ライン2に生産用の部品を供給するための管理システムであって、部品を一時保管して生産ライン2への直接の部品供給源となる部品管理棚3と、品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、部品管理棚3における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部4と、記憶部4に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚3に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域αを生産計画順に設定する処理を行うと共に、その結果を出力して部品管理棚3への部品の供給を作業者に指示する制御部5と、記憶部4への各データの入力および制御部5による処理結果の表示を行う入出力部6と、制御部5からの出力を表示するために部品管理棚3に設けられた表示装置7と、を備えている。
【0014】
生産ライン2への部品の供給は、作業者M1と作業者M2による2段階の搬送作業によって行われる。作業者M1は、部品倉庫などの部品供給源8から部品管理棚3へと部品を搬入する。作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2へと部品を搬送する。従って、部品管理棚3はバッファの役割を果たし、生産ライン2から見ると部品管理棚3が直接の部品供給源となる。部品管理システム1は、部品管理棚3がバッファとして有効に機能するように、部品管理棚3への部品の収納作業を調整し管理する。制御部5は、生産計画から要求される部品数が保管領域αに保管される所定量を超える場合に、その部品について互いに隣り合う複数の保管領域αを割り当てる(詳細後述、図4参照)。作業者M1は、入出力部6の表示内容または表示装置7の表示内容に従って部品管理棚3における保管領域αに対応する位置に、所定の部品を次々と搬入する。部品管理棚3に搬入されて一時保管された部品は、生産計画順に所定量ずつ配列されており、作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2へと、配列順番に沿って片端から部品を搬送する作業を繰り返す。記憶部4、制御部5、入力部6は、標準的な計算機とその上のソフトウエアを用いて構成することができる。以下、生産ライン2の具体例、および部品管理棚3の具体例を説明し、部品管理システム1の動作を説明する。
【0015】
図2に示すように、生産ライン2は、セル生産方式のものであり、環状の所定の動線の外周に沿って配列された複数の部品供給台21と複数の処理装置22とを備えている。作業者M3は、部品供給台21と処理装置22とを順次、動線に沿って移動しつつ、部品供給台21から部品を取り上げ、処理装置22において部品に処理を行って製品を生産し、この作業を繰り返す。部品供給台21は、外側の部品仮置台21aと内側の部品台21bとからなる。作業者M2(不図示)は、生産ライン2の外周側から、部品仮置台21aに所定量の部品を搬入して載置する。作業者M3は、部品仮置台21a上の所定量の部品を部品台21bに移動させ、部品台21b上から部品を取り上げる。また、作業者M3は、完成した製品を、製品搬出台23に載置し、その後、製品は、例えば、作業者M2によって搬出回収される。
【0016】
ここで、製品が、例えばリモコン装置であるとして、生産ライン2の動作を説明する。リモコン装置は、樹脂製のケースa1に回路基板a2を収納し、その回路の動作を操作するスイッチや入出力部の集合体であるスイッチ板a3を電気接続し、上蓋a4を取り付けて完成される。作業者M3は、最初の部品供給台21からケースa1を取り上げ、前処理用の処理装置22において、ケースa1のバリ取りや折り曲げ処理などを行い、そのケースa1を持って移動する。作業者M3は、次の部品供給台21から回路基板a2を取り上げてケースa1に収納し、組み付け用の処理装置22においてケースa1に回路基板a2をネジ止めした後、電気テスト用の処理装置22において簡単な動作テストを行う。次に、作業者M3は、次の部品供給台21からスイッチ板a3を取り上げ、組付用の処理装置22において、ケースa1内の回路基板a2上にスイッチ板a3を組み付け、さらに、次の部品供給台21から上蓋を取り上げてケースa1に組み付けた後、動作試験用の処理装置22において製品の動作試験を行う。この動作試験は他の処理装置22における作業の約2倍の時間を要するので2台設けられている。不良品として排出されることなく動作試験の合格終了に至った部品の集合体によってリモコン装置が製品として完成され、製品搬出台23に載置され回収される。不良部品は各々別途回収される。作業者M3は、生産計画に応じて、1人だったり、複数人だったりする。
【0017】
生産ライン2は、生産計画に従って、所定品番の製品を所定量生産するために必要な部品が供給される。生産ライン2は、品番の異なる複数種類の製品を生産することができる。生産ライン2が生産対象とする製品の種類として、例えば、ケースa1や上蓋a4の色違いのもの、外形のマイナーチェンジしたものがある。また、一部の処理装置22の仕様を変更したり、処理装置22を他のものに置き換えたりすることにより、短時間で品番変更に対応できる品番の製品も生産ライン2による生産対象とすることができる。生産ライン2は、このような多種類の製品品番に対して、それらの生産計画、すなわち生産量や製品納期の要求に応じて、数時間から数日、さらにはもっと長期間の任意の時間単位で順次製品を切り替えながら生産を行う。部品管理システム1は、このような生産ライン2に対して、遅滞なく部品を供給するように部品管理を行う。
【0018】
次に、図3乃至図6を参照して、部品管理システム1における保管領域α、部品のカテゴリ、部品管理棚3等について説明する。上記同様に、製品例としてリモコン装置を想定する。図3に示すように、リモコン装置の3つの品番A,B,Cがあり、ある所定期間にこれらの製品が、それぞれ所定の生産計画(生産量)に従って、品番A,B,Cの順番で生産されるものとする。品番Aの製品はケースa1、回路基板a2、スイッチ板a3、上蓋a4の各部品を組み付けて成り、品番Bの製品はケースb1、回路基板b2、スイッチ板b3、上蓋b4の各部品を組み付けて成る。品番A,Bの製品は、例えば、互いに色違いのものである。品番Cの製品はケースc1、回路基板c2、スイッチ板c3の各部品を組み付けて成る。品番Cにおけるスイッチ板c3は、品番A,Bにおける上蓋a4,b4を兼ねているものとする。このような品番A,B,Cにおける部品のケースa1,b1,c1について、これらを総称する名称としてケースカテゴリC1が定義される。同様に、回路基板カテゴリC2、スイッチ板カテゴリC3、上蓋カテゴリC4が定義される。
【0019】
図4に示すように、部品管理棚3は、例えば、上段から各カテゴリC1,C2,C3,C4に対して各棚30を割り当てた構成とされる。各部品は、それぞれ所定個数ずつトレイに入れられて多段積みされている。製品の生産量は、品番Cが最も多く、次に品番A,Bの順であり、これに従って、各部品のカテゴリ毎のトレイ数も大略、品番C,A,Bの順になっている。各トレイのサイズは規格化されており、部品管理棚3の各棚30に4つずつ並べられている。保管領域αは、このようなトレイを配置する棚30上の領域(占有領域)として定義される。各保管領域αの位置には、表示装置7が備えられている。表示装置7は、該当する保管領域αに載置される部品の属する製品品番、カテゴリ、部品名、部品総数などの、部品を特定するために必要なデータを表示する。なお、保管領域αのサイズや位置は、部品の保管形態によって、例えば、トレイのサイズによって変化するので、表示装置7そのものの位置を移動可能としておくことにより、保管領域αと表示装置7を、柔軟に対応付けることができる。表示装置7の位置の調整は、作業者M1が行えばよい。各棚30の棚における部品のトレイの配置は、生産順番に対応する品番A,B,Cの順番に載置されている。
【0020】
保管領域α、すなわち部品管理棚3における各部品a1〜a4,b1〜b4,c1〜c3を保管する領域は、部品管理システム1の制御部5によって設定確保され、その設定結果が各表示装置7に表示される。品番Cの製品の部品c1,c2,c3については、それぞれ2つの保管領域αが設定されている。これは、品番Cに関する生産計画から要求されるカテゴリ毎の部品数が、1つの保管領域αに保管される所定量を超えているからであり、互いに隣り合う複数(本例では2つ)の保管領域αが割り当てられている。ここで、1つの保管領域αに保管される所定量は、例えば、部品管理棚3における上下の棚間の空間に安全かつ容易に出し入れして保管できるトレイの最大数量とすればよい。
【0021】
図4に示す部品管理棚3の状態は、作業者M1が、表示装置7の表示に従って、部品倉庫などの部品供給源8から各部品を集め、それらを一時保管するため各保管領域αに載置した結果である。作業者M1は、表示装置7の表示の他に、制御部5に接続された入出力部6の表示や制御部5によって出力される印刷物などを参照することができ、また、表示装置7などの表示内容を参照できる携帯端末を用いることもできる。部品管理棚3は、生産ライン2が品番A,B,Cの生産を始める前に、図4に示した状態とされる。部品管理棚3が生産ライン2に対する部品供給用バッファとして機能するので、作業者M1は、部品を収集して部品管理棚3に部品を納める作業を時間に追われることなく行うことができる。
【0022】
また、作業者M2は、図5、図6に示すように、部品管理棚3から、生産順番に従って、順序良く部品を搬出して生産ライン2に供給することができる。これは、図4、図5に示す部品の配置が、部品カテゴリと品番とによって部品(または部品トレイ)を2次元配置した状態となっているからである。すなわち、各部品が、上下方向にカテゴリによって類別され、左右方向に品番すなわち生産順番によって順序付けられて、2次元配置されている。従って、部品管理棚3における2次元的な部品配置の一角から、単純作業によって順番に部品を取り出すことにより、図6に示すように、自動的に時間的に1次元配列された所定の順番で部品を取り出すことができる。本実施形態の部品管理システム1によると、製品の生産順序を反映して各部品が保管されているので、作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2に部品を搬出する際に、各部品を配置した部品管理棚3から搬出すべき部品を容易に選択でき、生産ライン2への部品供給作業を効率良く迅速に行うことができる。また、部品管理棚3における保管領域αをどのように設定するかについては、各カテゴリ毎に予め設定しておき、保管領域αに納める部品数や保管領域αそのものの領域数を確保する設定および配置位置の設定は、生産計画に基づいて、動的に行うことができるので、部品毎に保管場所を固定化して部品を定番地に収納する場合のような余分な保管スペースの無駄を排除することができ、保管スペースの増大を抑制できる。
【0023】
次に、図7を参照して、保管領域α、搬出単位β、生産単位γなどの概念と部品管理棚3との関連について説明する。図7に示す例では、生産ライン2によって順番に生産される製品群(品番A,B,C)のカテゴリCnにおいて、部品anには5つの保管領域α、部品bnには1つの保管領域α、部品cnには2つの保管領域αが割り当てられている。保管領域αの割り当て数は、製品の生産量と各部品の保管形態情報に基づいている。ここで、保管形態情報とは、各部品の外形形状や取り扱い方法の違いによってどのような形態で保管し管理するか、例えば部品をどのようなトレイに何個ずつ収納するかなどの情報である。言い換えると、保管形態情報とは、部品を保管する際に、部品の個数に応じて必要な空間の大きさを示す情報である。例えば、1つのトレイを棚に置く場合、トレイの平面視の面積(フットプリント)が占有されると共に、その面積の上方の空間が占有され、その空間にはトレイを所定段数まで多段に重ねることができる。トレイ数が段数上限を越える場合には、棚上に別の占有空間が必要になる。保管形態情報は、段数上限の情報を含む。保管形態情報として、例えば、各部品毎に、部品数と占有面積や占有空間との対応関係表を参照テーブルとして記憶部4に入力しておけばよい。
【0024】
部品毎に保管領域αが1つまたは複数集まって、各部品に対する搬出単位βが設定され、各部品における搬出単位βの総数が各部品の生産単位γとなる。図7の部品bn,cnの例では、搬出単位βと生産単位γとが一致している。搬出単位βは、例えば、作業者M2が部品管理棚3から生産ライン2に部品を搬送する1回の搬出作業によって搬出する部品量(部品数またはトレイ数)の上限として設定される。作業者M2は、1つの品番に属する部品を、各カテゴリについて搬出単位β毎に、部品管理棚3から部品を取り出して搬送台車に混載し、生産ライン2へと搬送する。作業者M2は、全カテゴリの部品を1回で搬送できない場合には、複数回に分けて搬送する。いずれの場合も、作業者M2は、ひとつの品番の全カテゴリに属する部品を搬出単位β毎に搬送する作業を行うことにより、その品番の生産単位γの量の部品の搬送を完了し、その後、次の品番について同様の搬送を行う。なお、搬出単位βは、1回の搬出作業によって搬出可能な部品量の上限よりも少なく設定することができる。このような搬出単位βの設定によって、例えば、予め設定した時間間隔で部品を搬出することにより生産ライン2の生産能力に見合った部品供給を行うことができる。
【0025】
上記のような作業において、作業者M2が単純作業によって部品搬送を行うことができるように、搬出単位βの区切り毎に、部品管理棚3に目印を設ける。その目印は、制御部5からの情報に基づいて、表示装置7による表示を用いることができる。また、例えば、部品管理棚3の各棚板の前面に沿って、少なくとも保管領域αの個数程度のLEDなどの表示灯を設け、その表示灯による表示を用いることができる。表示装置7や表示灯を用いることにより、品番の違いや生産計画に応じて、動的に搬出単位βの区切りを明示することができる。なお、位置を動かすことができる表示装置7を用いることにより、保管領域αのサイズが変化する場合にも柔軟に対応して上記区切りを明示することができる。さらにより簡易な区切り表示として、作業者M1が、制御部5による指示に基づいて、各部品を部品管理棚3に配置した際に仕切り板や仕切り表示などを配置するようにしてもよい。
【0026】
次に、図8、図9を参照して、部品管理棚3におけるカテゴリの役割について説明する。図8に示す例では、品番Aの3つのカテゴリC1,C2,C3に属する部品a1,a2,a3がそれぞれ1つずつの保管領域を占有し、品番B,Cの2つのカテゴリC2,C3に属する部品b2,b3,c2,c3がそれぞれ3つ、1つ、2つ、1つずつの保管領域を占有している。このような各品番A,B,Cの状況において、各カテゴリC1,C2,C3ごとに部品管理棚3における1段ずつの棚が割り当てられている。また、図9に示す部品管理棚3は、棚の幅(向かって左右の幅)が図8のものよりも狭く、その代わり、図8のものよりも1段増えて4段構成となっている。そして、保管領域の数の多いカテゴリC2に対して2段の棚が割り当てられている。部品管理棚3における各段の棚単位に基づいてカテゴリの割り付けを行うには、各品番における部品種類の構成内容や生産単位にもよるが、図8に示すものよりも、図9に示す部品管理棚3の方が、より少ない棚スペースで無駄なく部品管理棚3を運用することができる。ただし、図9におけるカテゴリC2に属する部品が、生産順序に対して折り返した配置となっているので、作業者M2が迷うことなく生産順序に従って部品を搬出できるように、カテゴリごとの棚の区切りを明示することが重要である。このような区切りの明示は、制御部5からの指示によって、表示装置7の表示をカテゴリ毎に区別することによって容易に実現することができる。
【0027】
上記のように、カテゴリ別に1段または複数段の棚を割り当てて、カテゴリ別に部品を配置して一時保管することにより、作業者M2(部品ピッカー)が部品管理棚3から部品を取り出すとき、部品を探し出す時間を短縮することができ効率良く迅速に生産ラインに部品を供給できる。また、カテゴリ別に1段または複数段の棚スペースを確保することにより、保管スペースの増大を抑制でき、より少ない棚スペースで無駄なく部品管理棚3を運用することができる。これは、各部品を定番地で配置する場合に品番毎にまとまった数量分の棚スペースを確保しなければならならないところ、カテゴリ別に棚スペースを確保する場合には、棚スペース毎に同じカテゴリの部品を集積させることができるからである。つまり、複数品番に属する部品を横断的にまとめてなるカテゴリの概念を導入した場合、カテゴリ種別単位を管理対象とすることができるので、各部品を定番地で配置する場合に品番毎にまとまった数量分を確保しなければならない棚スペースを、カテゴリ内で互いに融通しあうことができ、棚スペースの有効利用が図られることになる。
【0028】
次に、図10、図11を参照して、カテゴリの細分化について説明する。上記の説明では1つのカテゴリに1品番について1種類の部品が対応する前提で説明したが、図10に示すように、1カテゴリ、1品番に複数種類の部品を対応させると都合のよいことがある。図10に示す例では、カテゴリC1の属する品番Aの部品として部品a1x,a1yの2種類(部品数は同じ)があり、各部品に対して、カテゴリC1を細分化した細分化カテゴリC1x,C1yが設定されている。すなわち、一般的に述べると、部品管理システム1の制御部5は、カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、そのカテゴリをその複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、細分化カテゴリ毎に保管領域を確保する。ここで、各細分化カテゴリは、もとのカテゴリに対して割り当てられている部品管理棚3の棚に保管領域を確保する。ところで、細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、保管領域の設定確保の方法について、図11に示すように2種類の方法が考えられる。
【0029】
図11(a)に示す方法は、同一の細分化カテゴリC1xまたはC1yに属する保管領域αxまたはαyを互いに隣り合わせる設定であり、図11(b)に示す方法は、互いに異なる細分化カテゴリC1xとC1yに属する保管領域αxとαyを互いに隣り合わせる設定である。図11(a)において、各部品a1x,a1y毎の搬出単位βx,βyがそれぞれ示されている。この図の設定では、例えば、部品a1xを搬出単位βx分だけ搬出し、次の搬出では、部品a1yを搬出単位βy分だけ搬出し、その後、このような搬出をもう1回繰り返す。部品a1x,a1y毎の搬出を繰り返すのは、いずれの部品も品番Aの生産に、略同時に必要だからである。逆に言えば、2回目の部品a1yの搬送が生産ライン2による生産開始に間に合えばよいが、間に合わなければ生産が遅滞することになる。また、部品管理棚3の1つの棚に図11(a)に示すように部品(保管領域αx,αy)が配置されていると、生産順番に部品を搬出する搬出方法に反することになる。しかしながら、このような保管領域αx,αyの設定によると、同一部品を固めて一時保管することができ、この点において、作業者M1の作業等に有利である。
【0030】
また、図11(b)に示す方法は、2種類の部品a1x,a1yを同数合わせた数量に対して搬出単位βが設定されている。言い換えると、各部品a1x,a1yは、作業者M2が部品a1x,a1yを同時に搬出できるように、部品管理棚3に生産順番に沿って一時保管されている。従って、2種類の部品a1x,a1yの一方の部品の供給遅滞が発生するということはない。また、図11(b)に示すような部品保管は、作業者M1によって、生産ライン2への悪影響を発生させることなく、事前に実行することができる。
【0031】
次に、図12を参照して、部品管理システム1を生産ライン2に適用する、より一般的な例を説明する。本例において、1号〜4号の生産ライン2に対して、ライン番号表示11によって識別された各ライン専用の4組の部品管理棚3から部品が供給される。各部品管理棚3は、互いに同等の一対の部品管理棚3a,3bから成り、各部品管理棚3a,3bは、上述した表示装置7を必要位置に必要数だけ備えている。部品管理システム1と生産ライン2とからなる生産システムの稼動中において、一対の部品管理棚3a,3bのうち、一方からは作業者M2によって部品が搬出され、他方には作業者M1によって部品が搬入される。
【0032】
つまり、部品管理棚3は、部品管理棚3に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数(本例の場合2つ)設けられている。このような部品管理棚3に対して、制御部5が生産計画などのデータに基づいて、各表示装置7に部品搬入、部品搬出のための指示を表示する。すると、作業者Mlが、例えば部品管理棚3aに翌日分の部品を搬入する。一方、作業者M2は、部品管理棚3bから、本日、生産に使用する部品を搬出し、生産ライン2へ供給する。翌日は、制御部5からの指示に基づいて、部品管理棚3aと部品管理棚3bの役目が入れ換えられ、部品管理棚3bは部品搬入の棚(前日に全ての部品が搬出されて空の状態)、部品管理棚3aは部品搬出の棚(前日に本日分の部品の搬入が完了している状態)となる。このような部品管理棚3a,3bの運用により、作業者Mlと作業者M2の動線は、少なくとも、各部品管理棚3a,3bの前面において、一切交錯することはない。なお、各部品管理棚3a,3bの役目の入れ換えは、日毎に限らず、生産計画に応じて、4時間毎、2時間毎などの時間単位で切り替えてもよい。
【0033】
また、部品管理棚3の配置は、作業者M1が部品管理棚3内と棚方向の一方(図の左方)側とにおいて活動し、作業者M2が部品管理棚3内と棚方向の他方(図の右方)側とにおいて活動するようにされている。これにより、作業者M1,M2や搬送用台車の動線(搬送経路)が各部品管理棚3a,3bの前面から離れた位置においても交錯することなく、部品の搬出と搬入とを効率よく行うことができる。また、部品管理棚3を、対構成にしているので、ライン供給用と部品収納(部品搬入)用とを分けて作業することができる結果、部品管理棚3への部品収納時に、部品の順序(消費順序、搬出順序、または生産順番)を考慮せずに、収納可能な部品から先に、効率よく収納することができる。また、各部品管理棚3a,3bにおいて、制御部5からの指示に基づいて、部品搬出方向と生産順番とを合致させて部品を保管(収納)しておく。これにより、例えば、部品管理棚3aの右側から部品を搬出している間に、一時的に同じ部品管理棚3aに対して、作業者M1が、作業者M2と干渉することなく同時に作業して、部品管理棚3aの左側に部品を搬入することができる。
【0034】
次に、図13のフローチャートを参照して、図1に示した部品管理システム1を用いて行う部品管理方法を説明する。生産管理を行う作業者は、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、部品管理棚3における保管位置αを特定するためのデータなどの各種データを入力部6を介して、記憶部4に入力する(ステップS1)。これらのデータの多くは、生産ライン2を用いて生産する各種製品群に共通のデータである。次に、生産ライン2における生産計画に沿って、品番間の生産順番と各品番の生産量とを定めた生産計画のデータを入力部6を介して、記憶部4に入力する(ステップS2)。この生産計画のデータには、生産単位γ(生産量)などの一般的なデータの他に、1つの保管領域αに保管する部品数の上限値、搬出単位βなどのデータが含まれる。次に、制御部5が、記憶部4に記憶されたデータに基づいて、生産計画順に1つの品番について、部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域αを部品管理棚3に設定し(ステップS3)、その結果を入出力部6および部品管理棚3に設けられた表示装置7に出力する(ステップS4)。その後、制御部5は、次に処理すべき品番の有無を判断し(ステップS5)、品番があれば(S5でYes)、上記のステップ(S3)からの処理を繰り返し、なければ(S5でNo)、次の生産計画があるか否か判断する(ステップS6)。他に生産計画があれば(S6でYes)、上記のステップ(S2)からの処理を繰り返し、なければ処理は終了する(S6でNo)。これらの処理のより具体的な内容や、制御部5によって出力された保管領域αの設定内容に基づく、作業者M1,M2による作業や部品管理システム1と生産ライン2の全体の動作は、図1乃至図12を参照して上述した内容と同じである。
【0035】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。本発明は、図2に示したセル生産方式の生産ライン2に限定されることなく、複数品番の製品を品番毎に所定個数ずつ生産する任意の生産ラインに適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 部品管理システム
2 生産ライン
3,3a,3b 部品管理棚
4 記憶部
6 入出力部
7 表示装置
a1〜c3 部品
A,B,C 品番
C1〜C4,Cn, カテゴリ
C1x,C1y 細分化カテゴリ
M1 作業者
α 保管領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品管理システムおよび部品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者のニーズの多様化と変化に伴い、多種多様の部品を効率良く迅速に準備して生産ラインに供給することが求められている。供給するための部品を準備する方法として、部品毎に保管場所を固定化して部品を定番地に収納し、部品を探す時間を短縮する方法がある。しかしながら、多種多様な部品全てを完全に固定化するには、使用頻度の少ない部品に対しても収納スペースを確保しておかなければならず、個々の部品について予想される最大の保管量分の保管スペースが必要となり、保管スペースの無駄が発生する。そこで、部品を入れる部品箱毎にRFIDタグを取り付け、部品倉庫における部品箱を保管する保管スペースの各所にRFIDリーダを固定配置し、RFIDリーダをコンピュータの画面上から検索することにより、部品箱の位置を探す手間を省き、保管スペースを抑制するようにした部品管理システムおよび部品管理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような部品管理システムおよび部品管理方法においては、保管スペースは抑制されるとしても複数種類の製品の生産順序について考慮されていないので部品準備作業の一貫性が望めず、また、部品箱の位置を確実に検索できるとしても検索された現実の場所を探す手間の改善がなされておらず、依然として効率面に問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、保管スペースの増大を抑制すると共に製品の生産順序を反映して部品を保管し、効率良く迅速に生産ラインに供給できるように部品を管理する部品管理システムおよび部品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の部品管理システムは、複数品番の製品を品番毎に各所定個数ずつ生産する生産ラインに生産用の部品を供給するための部品管理システムにおいて、部品を一時保管して生産ラインへの直接の部品供給源となる部品管理棚と、品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、前記部品管理棚における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域を設定する処理を行う制御部と、前記記憶部へのデータ入力および前記制御部による処理結果の表示を行うための入出力部と、を備え、前記制御部は、前記保管領域を生産計画順に設定すると共に、その結果を前記入出力部に出力することにより前記部品管理棚への部品の供給を作業者に指示し、前記生産計画から要求される部品数が前記保管領域に保管される所定量を超える場合に、その部品について隣接する複数の保管領域を割り当てることを特徴とする。
【0007】
この部品管理システムにおいて、制御部は、カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、カテゴリを複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、細分化カテゴリ毎に保管領域を設定し、制御部は、細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、同一の細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定、または、互いに異なる細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定のいずれかを行うことが好ましい。
【0008】
この部品管理システムにおいて、部品管理棚は、部品管理棚に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数設けられていることが好ましい。
【0009】
この部品管理システムにおいて、部品管理棚は、保管領域の情報を表示する表示装置を備え、制御部は、保管領域を設定した結果を表示装置に出力することが好ましい。
【0010】
本発明の部品管理方法は、上記の部品管理システムを用いて部品管理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品管理システムおよび部品管理方法によれば、生産順番を定めた生産計画に基づく保管領域を設定して確保した部品管理棚を経由して生産ラインに部品を供給するようにしたので、保管スペースの増大を抑制でき、製品の生産順序を反映して部品を保管でき、効率良く迅速に生産ラインに供給できるように、部品を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品管理システムについてのブロック構成図。
【図2】同システムが適用される生産ラインの例を示す平面図。
【図3】同システムにおける部品の類別の概念を説明する図。
【図4】同システムにおける部品管理棚の例を示す斜視図。
【図5】同システムにおける部品管理棚から部品を搬出する例を示す斜視図。
【図6】同システムにおける品番と部品の時間的配列について説明する図。
【図7】同システムにおける保管領域、部品の搬出単位、および生産単位の関係説明図。
【図8】同システムにおける部品管理棚の使用例を示す図。
【図9】同システムにおける部品管理棚の他の使用例を示す図。
【図10】同システムにおける細分化カテゴリの説明図。
【図11】(a)(b)は同システムにおいて細分化カテゴリを適用した場合の保管領域と部品の搬出単位の関係説明図。
【図12】同システムを生産ラインに適用する例を示す概念図。
【図13】本発明の一実施形態に係る部品管理方法についてのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る部品管理システムおよび部品管理方法について、図面を参照して説明する。なお、下記説明において既出の図面は、その後の説明において適宜参照される。本発明の部品管理システム1は、図1に示すように、複数品番の製品を品番毎に所定個数ずつ生産する生産ライン2に生産用の部品を供給するための管理システムであって、部品を一時保管して生産ライン2への直接の部品供給源となる部品管理棚3と、品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、部品管理棚3における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部4と、記憶部4に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚3に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域αを生産計画順に設定する処理を行うと共に、その結果を出力して部品管理棚3への部品の供給を作業者に指示する制御部5と、記憶部4への各データの入力および制御部5による処理結果の表示を行う入出力部6と、制御部5からの出力を表示するために部品管理棚3に設けられた表示装置7と、を備えている。
【0014】
生産ライン2への部品の供給は、作業者M1と作業者M2による2段階の搬送作業によって行われる。作業者M1は、部品倉庫などの部品供給源8から部品管理棚3へと部品を搬入する。作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2へと部品を搬送する。従って、部品管理棚3はバッファの役割を果たし、生産ライン2から見ると部品管理棚3が直接の部品供給源となる。部品管理システム1は、部品管理棚3がバッファとして有効に機能するように、部品管理棚3への部品の収納作業を調整し管理する。制御部5は、生産計画から要求される部品数が保管領域αに保管される所定量を超える場合に、その部品について互いに隣り合う複数の保管領域αを割り当てる(詳細後述、図4参照)。作業者M1は、入出力部6の表示内容または表示装置7の表示内容に従って部品管理棚3における保管領域αに対応する位置に、所定の部品を次々と搬入する。部品管理棚3に搬入されて一時保管された部品は、生産計画順に所定量ずつ配列されており、作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2へと、配列順番に沿って片端から部品を搬送する作業を繰り返す。記憶部4、制御部5、入力部6は、標準的な計算機とその上のソフトウエアを用いて構成することができる。以下、生産ライン2の具体例、および部品管理棚3の具体例を説明し、部品管理システム1の動作を説明する。
【0015】
図2に示すように、生産ライン2は、セル生産方式のものであり、環状の所定の動線の外周に沿って配列された複数の部品供給台21と複数の処理装置22とを備えている。作業者M3は、部品供給台21と処理装置22とを順次、動線に沿って移動しつつ、部品供給台21から部品を取り上げ、処理装置22において部品に処理を行って製品を生産し、この作業を繰り返す。部品供給台21は、外側の部品仮置台21aと内側の部品台21bとからなる。作業者M2(不図示)は、生産ライン2の外周側から、部品仮置台21aに所定量の部品を搬入して載置する。作業者M3は、部品仮置台21a上の所定量の部品を部品台21bに移動させ、部品台21b上から部品を取り上げる。また、作業者M3は、完成した製品を、製品搬出台23に載置し、その後、製品は、例えば、作業者M2によって搬出回収される。
【0016】
ここで、製品が、例えばリモコン装置であるとして、生産ライン2の動作を説明する。リモコン装置は、樹脂製のケースa1に回路基板a2を収納し、その回路の動作を操作するスイッチや入出力部の集合体であるスイッチ板a3を電気接続し、上蓋a4を取り付けて完成される。作業者M3は、最初の部品供給台21からケースa1を取り上げ、前処理用の処理装置22において、ケースa1のバリ取りや折り曲げ処理などを行い、そのケースa1を持って移動する。作業者M3は、次の部品供給台21から回路基板a2を取り上げてケースa1に収納し、組み付け用の処理装置22においてケースa1に回路基板a2をネジ止めした後、電気テスト用の処理装置22において簡単な動作テストを行う。次に、作業者M3は、次の部品供給台21からスイッチ板a3を取り上げ、組付用の処理装置22において、ケースa1内の回路基板a2上にスイッチ板a3を組み付け、さらに、次の部品供給台21から上蓋を取り上げてケースa1に組み付けた後、動作試験用の処理装置22において製品の動作試験を行う。この動作試験は他の処理装置22における作業の約2倍の時間を要するので2台設けられている。不良品として排出されることなく動作試験の合格終了に至った部品の集合体によってリモコン装置が製品として完成され、製品搬出台23に載置され回収される。不良部品は各々別途回収される。作業者M3は、生産計画に応じて、1人だったり、複数人だったりする。
【0017】
生産ライン2は、生産計画に従って、所定品番の製品を所定量生産するために必要な部品が供給される。生産ライン2は、品番の異なる複数種類の製品を生産することができる。生産ライン2が生産対象とする製品の種類として、例えば、ケースa1や上蓋a4の色違いのもの、外形のマイナーチェンジしたものがある。また、一部の処理装置22の仕様を変更したり、処理装置22を他のものに置き換えたりすることにより、短時間で品番変更に対応できる品番の製品も生産ライン2による生産対象とすることができる。生産ライン2は、このような多種類の製品品番に対して、それらの生産計画、すなわち生産量や製品納期の要求に応じて、数時間から数日、さらにはもっと長期間の任意の時間単位で順次製品を切り替えながら生産を行う。部品管理システム1は、このような生産ライン2に対して、遅滞なく部品を供給するように部品管理を行う。
【0018】
次に、図3乃至図6を参照して、部品管理システム1における保管領域α、部品のカテゴリ、部品管理棚3等について説明する。上記同様に、製品例としてリモコン装置を想定する。図3に示すように、リモコン装置の3つの品番A,B,Cがあり、ある所定期間にこれらの製品が、それぞれ所定の生産計画(生産量)に従って、品番A,B,Cの順番で生産されるものとする。品番Aの製品はケースa1、回路基板a2、スイッチ板a3、上蓋a4の各部品を組み付けて成り、品番Bの製品はケースb1、回路基板b2、スイッチ板b3、上蓋b4の各部品を組み付けて成る。品番A,Bの製品は、例えば、互いに色違いのものである。品番Cの製品はケースc1、回路基板c2、スイッチ板c3の各部品を組み付けて成る。品番Cにおけるスイッチ板c3は、品番A,Bにおける上蓋a4,b4を兼ねているものとする。このような品番A,B,Cにおける部品のケースa1,b1,c1について、これらを総称する名称としてケースカテゴリC1が定義される。同様に、回路基板カテゴリC2、スイッチ板カテゴリC3、上蓋カテゴリC4が定義される。
【0019】
図4に示すように、部品管理棚3は、例えば、上段から各カテゴリC1,C2,C3,C4に対して各棚30を割り当てた構成とされる。各部品は、それぞれ所定個数ずつトレイに入れられて多段積みされている。製品の生産量は、品番Cが最も多く、次に品番A,Bの順であり、これに従って、各部品のカテゴリ毎のトレイ数も大略、品番C,A,Bの順になっている。各トレイのサイズは規格化されており、部品管理棚3の各棚30に4つずつ並べられている。保管領域αは、このようなトレイを配置する棚30上の領域(占有領域)として定義される。各保管領域αの位置には、表示装置7が備えられている。表示装置7は、該当する保管領域αに載置される部品の属する製品品番、カテゴリ、部品名、部品総数などの、部品を特定するために必要なデータを表示する。なお、保管領域αのサイズや位置は、部品の保管形態によって、例えば、トレイのサイズによって変化するので、表示装置7そのものの位置を移動可能としておくことにより、保管領域αと表示装置7を、柔軟に対応付けることができる。表示装置7の位置の調整は、作業者M1が行えばよい。各棚30の棚における部品のトレイの配置は、生産順番に対応する品番A,B,Cの順番に載置されている。
【0020】
保管領域α、すなわち部品管理棚3における各部品a1〜a4,b1〜b4,c1〜c3を保管する領域は、部品管理システム1の制御部5によって設定確保され、その設定結果が各表示装置7に表示される。品番Cの製品の部品c1,c2,c3については、それぞれ2つの保管領域αが設定されている。これは、品番Cに関する生産計画から要求されるカテゴリ毎の部品数が、1つの保管領域αに保管される所定量を超えているからであり、互いに隣り合う複数(本例では2つ)の保管領域αが割り当てられている。ここで、1つの保管領域αに保管される所定量は、例えば、部品管理棚3における上下の棚間の空間に安全かつ容易に出し入れして保管できるトレイの最大数量とすればよい。
【0021】
図4に示す部品管理棚3の状態は、作業者M1が、表示装置7の表示に従って、部品倉庫などの部品供給源8から各部品を集め、それらを一時保管するため各保管領域αに載置した結果である。作業者M1は、表示装置7の表示の他に、制御部5に接続された入出力部6の表示や制御部5によって出力される印刷物などを参照することができ、また、表示装置7などの表示内容を参照できる携帯端末を用いることもできる。部品管理棚3は、生産ライン2が品番A,B,Cの生産を始める前に、図4に示した状態とされる。部品管理棚3が生産ライン2に対する部品供給用バッファとして機能するので、作業者M1は、部品を収集して部品管理棚3に部品を納める作業を時間に追われることなく行うことができる。
【0022】
また、作業者M2は、図5、図6に示すように、部品管理棚3から、生産順番に従って、順序良く部品を搬出して生産ライン2に供給することができる。これは、図4、図5に示す部品の配置が、部品カテゴリと品番とによって部品(または部品トレイ)を2次元配置した状態となっているからである。すなわち、各部品が、上下方向にカテゴリによって類別され、左右方向に品番すなわち生産順番によって順序付けられて、2次元配置されている。従って、部品管理棚3における2次元的な部品配置の一角から、単純作業によって順番に部品を取り出すことにより、図6に示すように、自動的に時間的に1次元配列された所定の順番で部品を取り出すことができる。本実施形態の部品管理システム1によると、製品の生産順序を反映して各部品が保管されているので、作業者M2は、部品管理棚3から生産ライン2に部品を搬出する際に、各部品を配置した部品管理棚3から搬出すべき部品を容易に選択でき、生産ライン2への部品供給作業を効率良く迅速に行うことができる。また、部品管理棚3における保管領域αをどのように設定するかについては、各カテゴリ毎に予め設定しておき、保管領域αに納める部品数や保管領域αそのものの領域数を確保する設定および配置位置の設定は、生産計画に基づいて、動的に行うことができるので、部品毎に保管場所を固定化して部品を定番地に収納する場合のような余分な保管スペースの無駄を排除することができ、保管スペースの増大を抑制できる。
【0023】
次に、図7を参照して、保管領域α、搬出単位β、生産単位γなどの概念と部品管理棚3との関連について説明する。図7に示す例では、生産ライン2によって順番に生産される製品群(品番A,B,C)のカテゴリCnにおいて、部品anには5つの保管領域α、部品bnには1つの保管領域α、部品cnには2つの保管領域αが割り当てられている。保管領域αの割り当て数は、製品の生産量と各部品の保管形態情報に基づいている。ここで、保管形態情報とは、各部品の外形形状や取り扱い方法の違いによってどのような形態で保管し管理するか、例えば部品をどのようなトレイに何個ずつ収納するかなどの情報である。言い換えると、保管形態情報とは、部品を保管する際に、部品の個数に応じて必要な空間の大きさを示す情報である。例えば、1つのトレイを棚に置く場合、トレイの平面視の面積(フットプリント)が占有されると共に、その面積の上方の空間が占有され、その空間にはトレイを所定段数まで多段に重ねることができる。トレイ数が段数上限を越える場合には、棚上に別の占有空間が必要になる。保管形態情報は、段数上限の情報を含む。保管形態情報として、例えば、各部品毎に、部品数と占有面積や占有空間との対応関係表を参照テーブルとして記憶部4に入力しておけばよい。
【0024】
部品毎に保管領域αが1つまたは複数集まって、各部品に対する搬出単位βが設定され、各部品における搬出単位βの総数が各部品の生産単位γとなる。図7の部品bn,cnの例では、搬出単位βと生産単位γとが一致している。搬出単位βは、例えば、作業者M2が部品管理棚3から生産ライン2に部品を搬送する1回の搬出作業によって搬出する部品量(部品数またはトレイ数)の上限として設定される。作業者M2は、1つの品番に属する部品を、各カテゴリについて搬出単位β毎に、部品管理棚3から部品を取り出して搬送台車に混載し、生産ライン2へと搬送する。作業者M2は、全カテゴリの部品を1回で搬送できない場合には、複数回に分けて搬送する。いずれの場合も、作業者M2は、ひとつの品番の全カテゴリに属する部品を搬出単位β毎に搬送する作業を行うことにより、その品番の生産単位γの量の部品の搬送を完了し、その後、次の品番について同様の搬送を行う。なお、搬出単位βは、1回の搬出作業によって搬出可能な部品量の上限よりも少なく設定することができる。このような搬出単位βの設定によって、例えば、予め設定した時間間隔で部品を搬出することにより生産ライン2の生産能力に見合った部品供給を行うことができる。
【0025】
上記のような作業において、作業者M2が単純作業によって部品搬送を行うことができるように、搬出単位βの区切り毎に、部品管理棚3に目印を設ける。その目印は、制御部5からの情報に基づいて、表示装置7による表示を用いることができる。また、例えば、部品管理棚3の各棚板の前面に沿って、少なくとも保管領域αの個数程度のLEDなどの表示灯を設け、その表示灯による表示を用いることができる。表示装置7や表示灯を用いることにより、品番の違いや生産計画に応じて、動的に搬出単位βの区切りを明示することができる。なお、位置を動かすことができる表示装置7を用いることにより、保管領域αのサイズが変化する場合にも柔軟に対応して上記区切りを明示することができる。さらにより簡易な区切り表示として、作業者M1が、制御部5による指示に基づいて、各部品を部品管理棚3に配置した際に仕切り板や仕切り表示などを配置するようにしてもよい。
【0026】
次に、図8、図9を参照して、部品管理棚3におけるカテゴリの役割について説明する。図8に示す例では、品番Aの3つのカテゴリC1,C2,C3に属する部品a1,a2,a3がそれぞれ1つずつの保管領域を占有し、品番B,Cの2つのカテゴリC2,C3に属する部品b2,b3,c2,c3がそれぞれ3つ、1つ、2つ、1つずつの保管領域を占有している。このような各品番A,B,Cの状況において、各カテゴリC1,C2,C3ごとに部品管理棚3における1段ずつの棚が割り当てられている。また、図9に示す部品管理棚3は、棚の幅(向かって左右の幅)が図8のものよりも狭く、その代わり、図8のものよりも1段増えて4段構成となっている。そして、保管領域の数の多いカテゴリC2に対して2段の棚が割り当てられている。部品管理棚3における各段の棚単位に基づいてカテゴリの割り付けを行うには、各品番における部品種類の構成内容や生産単位にもよるが、図8に示すものよりも、図9に示す部品管理棚3の方が、より少ない棚スペースで無駄なく部品管理棚3を運用することができる。ただし、図9におけるカテゴリC2に属する部品が、生産順序に対して折り返した配置となっているので、作業者M2が迷うことなく生産順序に従って部品を搬出できるように、カテゴリごとの棚の区切りを明示することが重要である。このような区切りの明示は、制御部5からの指示によって、表示装置7の表示をカテゴリ毎に区別することによって容易に実現することができる。
【0027】
上記のように、カテゴリ別に1段または複数段の棚を割り当てて、カテゴリ別に部品を配置して一時保管することにより、作業者M2(部品ピッカー)が部品管理棚3から部品を取り出すとき、部品を探し出す時間を短縮することができ効率良く迅速に生産ラインに部品を供給できる。また、カテゴリ別に1段または複数段の棚スペースを確保することにより、保管スペースの増大を抑制でき、より少ない棚スペースで無駄なく部品管理棚3を運用することができる。これは、各部品を定番地で配置する場合に品番毎にまとまった数量分の棚スペースを確保しなければならならないところ、カテゴリ別に棚スペースを確保する場合には、棚スペース毎に同じカテゴリの部品を集積させることができるからである。つまり、複数品番に属する部品を横断的にまとめてなるカテゴリの概念を導入した場合、カテゴリ種別単位を管理対象とすることができるので、各部品を定番地で配置する場合に品番毎にまとまった数量分を確保しなければならない棚スペースを、カテゴリ内で互いに融通しあうことができ、棚スペースの有効利用が図られることになる。
【0028】
次に、図10、図11を参照して、カテゴリの細分化について説明する。上記の説明では1つのカテゴリに1品番について1種類の部品が対応する前提で説明したが、図10に示すように、1カテゴリ、1品番に複数種類の部品を対応させると都合のよいことがある。図10に示す例では、カテゴリC1の属する品番Aの部品として部品a1x,a1yの2種類(部品数は同じ)があり、各部品に対して、カテゴリC1を細分化した細分化カテゴリC1x,C1yが設定されている。すなわち、一般的に述べると、部品管理システム1の制御部5は、カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、そのカテゴリをその複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、細分化カテゴリ毎に保管領域を確保する。ここで、各細分化カテゴリは、もとのカテゴリに対して割り当てられている部品管理棚3の棚に保管領域を確保する。ところで、細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、保管領域の設定確保の方法について、図11に示すように2種類の方法が考えられる。
【0029】
図11(a)に示す方法は、同一の細分化カテゴリC1xまたはC1yに属する保管領域αxまたはαyを互いに隣り合わせる設定であり、図11(b)に示す方法は、互いに異なる細分化カテゴリC1xとC1yに属する保管領域αxとαyを互いに隣り合わせる設定である。図11(a)において、各部品a1x,a1y毎の搬出単位βx,βyがそれぞれ示されている。この図の設定では、例えば、部品a1xを搬出単位βx分だけ搬出し、次の搬出では、部品a1yを搬出単位βy分だけ搬出し、その後、このような搬出をもう1回繰り返す。部品a1x,a1y毎の搬出を繰り返すのは、いずれの部品も品番Aの生産に、略同時に必要だからである。逆に言えば、2回目の部品a1yの搬送が生産ライン2による生産開始に間に合えばよいが、間に合わなければ生産が遅滞することになる。また、部品管理棚3の1つの棚に図11(a)に示すように部品(保管領域αx,αy)が配置されていると、生産順番に部品を搬出する搬出方法に反することになる。しかしながら、このような保管領域αx,αyの設定によると、同一部品を固めて一時保管することができ、この点において、作業者M1の作業等に有利である。
【0030】
また、図11(b)に示す方法は、2種類の部品a1x,a1yを同数合わせた数量に対して搬出単位βが設定されている。言い換えると、各部品a1x,a1yは、作業者M2が部品a1x,a1yを同時に搬出できるように、部品管理棚3に生産順番に沿って一時保管されている。従って、2種類の部品a1x,a1yの一方の部品の供給遅滞が発生するということはない。また、図11(b)に示すような部品保管は、作業者M1によって、生産ライン2への悪影響を発生させることなく、事前に実行することができる。
【0031】
次に、図12を参照して、部品管理システム1を生産ライン2に適用する、より一般的な例を説明する。本例において、1号〜4号の生産ライン2に対して、ライン番号表示11によって識別された各ライン専用の4組の部品管理棚3から部品が供給される。各部品管理棚3は、互いに同等の一対の部品管理棚3a,3bから成り、各部品管理棚3a,3bは、上述した表示装置7を必要位置に必要数だけ備えている。部品管理システム1と生産ライン2とからなる生産システムの稼動中において、一対の部品管理棚3a,3bのうち、一方からは作業者M2によって部品が搬出され、他方には作業者M1によって部品が搬入される。
【0032】
つまり、部品管理棚3は、部品管理棚3に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数(本例の場合2つ)設けられている。このような部品管理棚3に対して、制御部5が生産計画などのデータに基づいて、各表示装置7に部品搬入、部品搬出のための指示を表示する。すると、作業者Mlが、例えば部品管理棚3aに翌日分の部品を搬入する。一方、作業者M2は、部品管理棚3bから、本日、生産に使用する部品を搬出し、生産ライン2へ供給する。翌日は、制御部5からの指示に基づいて、部品管理棚3aと部品管理棚3bの役目が入れ換えられ、部品管理棚3bは部品搬入の棚(前日に全ての部品が搬出されて空の状態)、部品管理棚3aは部品搬出の棚(前日に本日分の部品の搬入が完了している状態)となる。このような部品管理棚3a,3bの運用により、作業者Mlと作業者M2の動線は、少なくとも、各部品管理棚3a,3bの前面において、一切交錯することはない。なお、各部品管理棚3a,3bの役目の入れ換えは、日毎に限らず、生産計画に応じて、4時間毎、2時間毎などの時間単位で切り替えてもよい。
【0033】
また、部品管理棚3の配置は、作業者M1が部品管理棚3内と棚方向の一方(図の左方)側とにおいて活動し、作業者M2が部品管理棚3内と棚方向の他方(図の右方)側とにおいて活動するようにされている。これにより、作業者M1,M2や搬送用台車の動線(搬送経路)が各部品管理棚3a,3bの前面から離れた位置においても交錯することなく、部品の搬出と搬入とを効率よく行うことができる。また、部品管理棚3を、対構成にしているので、ライン供給用と部品収納(部品搬入)用とを分けて作業することができる結果、部品管理棚3への部品収納時に、部品の順序(消費順序、搬出順序、または生産順番)を考慮せずに、収納可能な部品から先に、効率よく収納することができる。また、各部品管理棚3a,3bにおいて、制御部5からの指示に基づいて、部品搬出方向と生産順番とを合致させて部品を保管(収納)しておく。これにより、例えば、部品管理棚3aの右側から部品を搬出している間に、一時的に同じ部品管理棚3aに対して、作業者M1が、作業者M2と干渉することなく同時に作業して、部品管理棚3aの左側に部品を搬入することができる。
【0034】
次に、図13のフローチャートを参照して、図1に示した部品管理システム1を用いて行う部品管理方法を説明する。生産管理を行う作業者は、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、部品管理棚3における保管位置αを特定するためのデータなどの各種データを入力部6を介して、記憶部4に入力する(ステップS1)。これらのデータの多くは、生産ライン2を用いて生産する各種製品群に共通のデータである。次に、生産ライン2における生産計画に沿って、品番間の生産順番と各品番の生産量とを定めた生産計画のデータを入力部6を介して、記憶部4に入力する(ステップS2)。この生産計画のデータには、生産単位γ(生産量)などの一般的なデータの他に、1つの保管領域αに保管する部品数の上限値、搬出単位βなどのデータが含まれる。次に、制御部5が、記憶部4に記憶されたデータに基づいて、生産計画順に1つの品番について、部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域αを部品管理棚3に設定し(ステップS3)、その結果を入出力部6および部品管理棚3に設けられた表示装置7に出力する(ステップS4)。その後、制御部5は、次に処理すべき品番の有無を判断し(ステップS5)、品番があれば(S5でYes)、上記のステップ(S3)からの処理を繰り返し、なければ(S5でNo)、次の生産計画があるか否か判断する(ステップS6)。他に生産計画があれば(S6でYes)、上記のステップ(S2)からの処理を繰り返し、なければ処理は終了する(S6でNo)。これらの処理のより具体的な内容や、制御部5によって出力された保管領域αの設定内容に基づく、作業者M1,M2による作業や部品管理システム1と生産ライン2の全体の動作は、図1乃至図12を参照して上述した内容と同じである。
【0035】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。本発明は、図2に示したセル生産方式の生産ライン2に限定されることなく、複数品番の製品を品番毎に所定個数ずつ生産する任意の生産ラインに適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 部品管理システム
2 生産ライン
3,3a,3b 部品管理棚
4 記憶部
6 入出力部
7 表示装置
a1〜c3 部品
A,B,C 品番
C1〜C4,Cn, カテゴリ
C1x,C1y 細分化カテゴリ
M1 作業者
α 保管領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数品番の製品を品番毎に各所定個数ずつ生産する生産ラインに生産用の部品を供給するための部品管理システムにおいて、
部品を一時保管して生産ラインへの直接の部品供給源となる部品管理棚と、
品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、前記部品管理棚における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域を設定する処理を行う制御部と、
前記記憶部へのデータ入力および前記制御部による処理結果の表示を行うための入出力部と、を備え、
前記制御部は、前記保管領域を生産計画順に設定すると共に、その結果を前記入出力部に出力することにより前記部品管理棚への部品の供給を作業者に指示し、前記生産計画から要求される部品数が前記保管領域に保管される所定量を超える場合に、その部品について隣接する複数の保管領域を割り当てることを特徴とする部品管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、当該カテゴリを当該複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、前記細分化カテゴリ毎に前記保管領域を設定し、
前記制御部は、前記細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、同一の細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定、または、互いに異なる細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定のいずれかを行うことを特徴とする請求項1に記載の部品管理システム。
【請求項3】
前記部品管理棚は、当該部品管理棚に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品管理システム。
【請求項4】
前記部品管理棚は、前記保管領域の情報を表示する表示装置を備え、
前記制御部は、前記保管領域を設定した結果を前記表示装置に出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の部品管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の部品管理システムを用いて部品管理を行うことを特徴とする部品管理方法。
【請求項1】
複数品番の製品を品番毎に各所定個数ずつ生産する生産ラインに生産用の部品を供給するための部品管理システムにおいて、
部品を一時保管して生産ラインへの直接の部品供給源となる部品管理棚と、
品番毎の生産順番と生産量とを定めた生産計画のデータ、部品を類別するカテゴリと各部品との対応を定めたデータ、部品の保管形態情報を含む部品データ、および、前記部品管理棚における保管位置を特定するためのデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータに基づいて前記部品管理棚に品番毎および部品のカテゴリ毎に所定量の部品を保管するための保管領域を設定する処理を行う制御部と、
前記記憶部へのデータ入力および前記制御部による処理結果の表示を行うための入出力部と、を備え、
前記制御部は、前記保管領域を生産計画順に設定すると共に、その結果を前記入出力部に出力することにより前記部品管理棚への部品の供給を作業者に指示し、前記生産計画から要求される部品数が前記保管領域に保管される所定量を超える場合に、その部品について隣接する複数の保管領域を割り当てることを特徴とする部品管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記カテゴリの1つに同一品番の複数種類の部品が対応する場合に、当該カテゴリを当該複数種類の部品に対応させて細分化した細分化カテゴリを設定すると共に、前記細分化カテゴリ毎に前記保管領域を設定し、
前記制御部は、前記細分化カテゴリ毎の保管領域が複数となる場合に、同一の細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定、または、互いに異なる細分化カテゴリに属する保管領域を互いに隣り合わせる設定のいずれかを行うことを特徴とする請求項1に記載の部品管理システム。
【請求項3】
前記部品管理棚は、当該部品管理棚に対する部品搬入作業と部品搬出作業とが互いに干渉しないように複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品管理システム。
【請求項4】
前記部品管理棚は、前記保管領域の情報を表示する表示装置を備え、
前記制御部は、前記保管領域を設定した結果を前記表示装置に出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の部品管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の部品管理システムを用いて部品管理を行うことを特徴とする部品管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−215992(P2011−215992A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84940(P2010−84940)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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