説明

都市型廃棄物の資源化処理システム

【課題】一般廃棄物に加えて有機汚泥を含む都市型廃棄物を一括して処理することができ、しかも、廃棄物から有価物を作成できて、廃棄物を有効にリサイクル資源として活用できる資源化処理システムを提供すること。
【解決手段】都市型廃棄物の資源化処理システム1は、混合廃棄物から可燃廃棄物及び廃プラスチックを抽出する混合廃棄物処理ライン2と、高水分の有機廃棄物を乾燥及び脱臭して乾燥有機物を生成する高水分廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物から木屑を形成する木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料製造ライン5と、熱源装置6を備える。混合廃棄物処理ライン2で抽出した可燃廃棄物及び廃プラスチックと、高水分廃棄物処理ライン3で生成した乾燥有機物とを用いて、固形燃料製造ライン5で、有価物であるRPFを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市型廃棄物を処理して資源を作成する資源化処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭等から排出される一般廃棄物の多くは、焼却炉で焼却された後、残留した灰や不燃物が最終処分場に埋め立て処理されている。このような処理方法では、一般廃棄物に含まれる塩化ビニル等の塩素を含む物質に起因して、ダイオキシンが発生する問題がある。
【0003】
そこで、一般廃棄物を焼却するため、20〜40気圧の高圧下で150〜350℃の温度に加熱することにより、ダイオキシンの発生を防止して焼却する焼却装置が提案されている(特許文献1参照)。この焼却装置には、収集された一般廃棄物が、手作業によりガラスや陶器等の不燃物が除去され、続いて磁石により金属が除去され、風力により重量物が除去された後に、投入される。この焼却装置は、廃棄物を高圧高温下で焼却して炭素化することにより、ダイオキシンの発生を防止している。
【0004】
ところで、最近、一般廃棄物をリサイクル資源として活用するため、可燃物や不燃物やプラスチック類等に分別して排出する分別排出が奨励されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−028340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の焼却装置は、一般廃棄物から手作業により不燃物を除去するので、手間がかかるという問題がある。また、高温高圧に耐える焼却炉が必要であり、廃棄物を焼却するための燃料費がかかるので、設備と運営にかかる費用が大きいという問題がある。また、廃棄物を焼却により処分するので、ダイオキシン以外の有害物質の発生や、温室効果の原因と考えられる二酸化炭素の発生により、環境への負荷が大きいという問題がある。
【0007】
また、一般廃棄物の分別排出が奨励されているにもかかわらず、実際に市中で回収されて処理施設に収集された廃棄物には、分別が徹底されずに排出された廃棄物が混入し、可燃物に不燃物やプラスチックが混入している場合が多い。この場合、リサイクル資源として活用するためには、可燃物から不燃物やプラスチックを除去する必要があり、処理にかかる手間と費用が大きいという問題がある。
【0008】
さらに、分別収集されたプラスチックには、ダイオキシンの発生源である塩化ビニルが含まれるので、燃料への再利用は困難であるという問題がある。
【0009】
さらに、可燃物やプラスチックに生ごみが混入する場合、生ごみは水分の含有割合が90%程度と高いため、他の可燃物やプラスチックとの分別が困難であるという問題がある。また、分別後のプラスチックに生ごみの有機成分が付着して再利用が困難であるという問題がある。
【0010】
これらの問題により、一般廃棄物の分別収集が行われても、分別や再利用が困難であることから、多くは焼却処分に付されるのが現状である。したがって、焼却設備と燃料にかかる費用の問題や、環境への負荷の問題は解決が進んでいない。また、一般廃棄物から有効なリサイクル資源を作成する有効なシステムの実現には至っていない。
【0011】
一方、一般廃棄物の処理のほか、下水汚泥やし尿等の有機汚泥の処理が問題となっている。従来、有機汚泥は、一般廃棄物とは別個に焼却処分や埋め立て処理に付されており、焼却処分のための設備や燃料の費用が嵩み、また、埋め立てによる環境汚染の問題がある。
【0012】
そこで、一般廃棄物に加えて有機汚泥を含む都市型廃棄物を一括して処理することができ、しかも、廃棄物から有価物を作成できて、廃棄物を有効にリサイクル資源として活用できる資源化処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の都市型廃棄物の資源化処理システムは、
可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックが混在する混合廃棄物を処理して可燃廃棄物と廃プラスチックを抽出する混合廃棄物処理ラインと、
高水分の有機廃棄物を乾燥処理して低水分の乾燥有機物を抽出する高水分廃棄物処理ラインと、
上記混合廃棄物処理ラインで抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、上記高水分廃棄物処理ラインで抽出された乾燥有機物とを用いて固形燃料を製造する固形燃料製造ラインを備え、
上記固形燃料製造ラインで製造された固形燃料の一部を、上記高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、混合廃棄物処理ラインで、混合廃棄物が処理されて可燃廃棄物と廃プラスチックが抽出される。一方、高水分廃棄物処理ラインで、高水分の有機廃棄物が乾燥処理されて低水分の乾燥有機物が抽出される。上記混合廃棄物処理ラインで抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、上記高水分廃棄物処理ラインで抽出された乾燥有機物とを用いて、固形燃料製造ラインで固形燃料が製造される。このように、混合廃棄物から抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、高水分の有機廃棄物から生成された低水分の乾燥有機物とを用いて、有価物である固形燃料を製造するので、廃棄物を有効に資源化することができる。また、固形燃料を販売することにより、設備費用やランニング費用を補うことができるので、運営主体の負担を軽減して実効性のある資源化処理システムを提供することができる。
【0015】
また、混合廃棄物処理ラインで、混合廃棄物が処理されて可燃廃棄物と廃プラスチックが抽出されるので、混合廃棄物処理ラインに投入される廃棄物は、可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックとに分別されていなくてもよい。したがって、廃棄物の分別にかかる手間と費用を削減することができる。
【0016】
また、上記固形燃料製造ラインで製造された固形燃料の一部が、上記高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いられるので、高水分の有機廃棄物を乾燥処理する際に必要な燃料費を削減することができる。さらに、資源化処理システムに投入された廃棄物から、資源化処理システムで消費する燃料を製造するので、全体として、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0017】
ここで、高水分の有機廃棄物とは、水分量が重量比で概ね80%以上であって有機質を主体とする廃棄物をいい、例えば、下水処理により生成された下水汚泥やし尿等の有機汚泥や、生ごみが該当する。また、低水分とは、水分量が重量比で概ね20%以下であることをいう。
【0018】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記高水分廃棄物処理ラインは、低水分の乾燥有機物を抽出して肥料を生成する。
【0019】
上記実施形態によれば、高水分の有機廃棄物から生成された低水分の乾燥有機物を用いて、有価物である肥料を製造するので、廃棄物を有効に資源化することができる。
【0020】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記高水分廃棄物処理ラインは、有機汚泥を処理する。
【0021】
上記実施形態によれば、高水分廃棄物処理ラインで有機汚泥を処理することにより、一般廃棄物を処理する混合廃棄物処理ラインと共に、地域で排出される廃棄物を一括して処理することができる。
【0022】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いる。
【0023】
上記実施形態によれば、木質廃棄物処理ラインで木質廃棄物を処理して木質屑を生成することにより、例えば廃木材や間伐材等を一般廃棄物とあわせて処理することができる。また、木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いることにより、資源化処理システムの全体として、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0024】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記固形燃料製造ラインで製造する固形燃料の材料に用いる。
【0025】
上記実施形態によれば、木質廃棄物処理ラインで木質廃棄物を処理して木質屑を生成することにより、例えば廃木材や間伐材等を一般廃棄物とあわせて処理することができる。また、木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、固形燃料製造ラインで製造する固形燃料の材料に用いることにより、二酸化炭素排出量の少ない固形燃料を製造できる。
【0026】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記高水分廃棄物処理ラインで処理する被処理物に添加する。
【0027】
上記実施形態によれば、木質廃棄物処理ラインで木質廃棄物を処理して木質屑を生成することにより、例えば廃木材や間伐材等の産業廃棄物を一般廃棄物とあわせて処理することができる。また、木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、高水分廃棄物処理ラインで処理する被処理物に添加することにより、被処理物の乾燥効率を高めることができる。
【0028】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記混合廃棄物処理ラインは、比重型分別機と、遠心型洗浄乾燥選別機と、塩化ビニル分別機を有する。
【0029】
上記実施形態によれば、可燃廃棄物に不燃廃棄物と廃プラスチックが混合した混合廃棄物を、比重型分別機によって精度良く、かつ、効率的に、可燃廃棄物及び廃プラスチックと、不燃廃棄物に分別できる。さらに、比重型分別機で分別した可燃廃棄物及び廃プラスチックを、遠心型選別乾燥機により、効果的に洗浄及び乾燥することができ、しかも、金属や土砂等の小粒子を効果的に除去できる。さらに、塩化ビニル分別機により、遠心型選別乾燥機で洗浄及び乾燥して小粒子を除去した可燃廃棄物及び廃プラスチックから、塩化ビニルを除去することができる。したがって、生ごみや土砂等が付着した混合廃棄物から、清浄な可燃廃棄物と廃プラスチックを高精度に抽出することができ、しかも、ダイオキシンの発生原因である塩化ビニルを除去できるので、発熱量が高くて有害物質の発生が少ない良質な固形燃料を製造することができる。
【0030】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記高水分廃棄物処理ラインは、減圧乾燥機を備える。
【0031】
上記実施形態によれば、減圧乾燥機により、水の沸点を降下させた状態で高水分廃棄物を乾燥するので、少ない熱量により効果的に高水分廃棄物を乾燥させることができる。
【0032】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記減圧乾燥機は、熱媒体が内部に流通して回転駆動されるコイル型の攪拌部材を有する。
【0033】
上記実施形態によれば、コイル型の攪拌部材が、内部に熱媒体が流通した状態で回転して高水分廃棄物を攪拌することにより、高水分廃棄物を良好な効率で乾燥させることができる。
【0034】
一実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムは、上記減圧乾燥機は、被処理物からの蒸気を冷熱媒体によって凝縮する凝縮部と、この凝縮部で凝縮された凝縮水を減圧乾燥機内の空気と共に吸引し、吸引した凝縮水及び空気を上記冷熱媒体と混合して冷却と脱臭を行う冷却脱臭装置とを有する。
【0035】
上記実施形態によれば、減圧乾燥機内で乾燥する際に生じた高水分廃棄物からの蒸気を凝縮し、この凝縮水を減圧乾燥機内の空気と共に吸引して、冷却脱臭装置で冷熱媒体と混合して冷却と脱臭を行うことにより、減圧乾燥機内で高水分廃棄物から生じた臭気を効率的に低減でき、また、減圧乾燥機内の高水分廃棄物の乾燥を促進することができる。なお、冷熱媒体に臭気分解酵素を添加することにより、効果的に臭気を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】混合廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図3】揺動分別機の主要部を示す模式図である。
【図4】風力選別機の主要部を示す模式図である。
【図5】洗浄脱水分別機を示す模式図である。
【図6A】汚泥処理ラインの構成を示す模式図である。
【図6B】生ごみ処理ラインの構成を示す模式図である。
【図7】減圧乾燥機を示す図である。
【図8】練砕機を示す図である。
【図9】木質廃棄物処理ラインの構成を示す模式図である。
【図10】固形燃料製造ラインの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の都市型廃棄物の資源化処理システムを図示の実施形態により詳細に説明する。
【0038】
図1は、本実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、都市型廃棄物の資源化処理システム1は、可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックを処理する混合廃棄物処理ライン2と、高水分の有機廃棄物を処理する高水分廃棄物処理ライン3と、木質廃棄物を処理する木質廃棄物処理ライン4と、固形燃料を製造する固形燃料製造ライン5と、高水分廃棄物処理ライン3の熱源として機能する熱源装置6を備える。
【0039】
混合廃棄物処理ライン2は、主に家庭から排出された一般廃棄物を処理するものであり、例えば古紙や布等の可燃廃棄物と、例えば金属製品や陶器やガラス瓶等の不燃廃棄物と、例えば食品トレーやビニル袋や玩具等の廃プラスチックとが混在した状態で投入される。なお、可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックは、分別収集された状態で投入されてもよく、或いは、混合した状態で投入されてもよい。この混合廃棄物処理ライン2は、投入された可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックを分別し、可燃廃棄物と廃プラスチックを清浄及び乾燥して抽出する。混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃廃棄物と廃プラスチックは、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられる。
【0040】
高水分廃棄物処理ライン3は、水分量が重量比で概ね80%以上の高水分の有機廃棄物を処理するものであり、下水処理場で生成された下水汚泥やし尿等の有機汚泥と、生ごみが投入される。この高水分廃棄物処理ライン3は、有機汚泥や生ごみを減圧環境下で乾燥させて、水分量が重量比で概ね20%以下の乾燥有機物を抽出する。高水分廃棄物処理ライン3で抽出された乾燥有機物は、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられると共に、肥料として用いられる。
【0041】
木質廃棄物処理ライン4は、木質廃棄物を処理するものであり、建築物の解体によって生じた廃木材や、間伐材や、材木端材等が投入される。この木質廃棄物処理ライン4は、廃木材及び間伐材等を破砕して、木質屑としての木質チップと木屑を形成する。木質廃棄物処理ライン4で形成された木屑は、高水分廃棄物処理ライン3で処理される有機汚泥に、乾燥を促進するために混合される。また木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップは、固形燃料製造ライン5で製造する固形燃料の材料に用いられると共に、熱源装置6の燃料に用いられる。
【0042】
固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、高水分廃棄物処理ライン3で抽出された乾燥有機物と、木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップを材料に用いて固形燃料を製造するものであり、固形燃料としてのRPF(廃紙廃プラスチック燃料)を製造する。固形燃料製造ライン5で製造されたRPFは、一部が熱源装置6の燃料として用いられる。
【0043】
熱源装置6は、高水分廃棄物処理ライン3で有機廃棄物を乾燥させるための加熱媒体としての蒸気を生成するものであり、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップを燃料として用いる。
【0044】
以下、各ラインの構成と、各ラインで行われる処理の詳細を、ライン毎に説明する。
【0045】
図2は、混合廃棄物処理ライン2の構成を示す模式図である。可燃廃棄物処理ライン2には、主に家庭から排出された一般廃棄物が、まず、粗砕機21に受け入れられる。粗砕機21は、廃棄物の粗破砕を行うものであり、廃棄物が袋や容器等に包まれている場合、破袋機能を発揮する。粗砕機21は、下方に狭くなった処理空間を形成する傾斜側板付きホッパを有したケーシング内に、回転駆動されるロータを収容している。ロータは、長手方向に複数組配列されたなぎなた状の破袋刃を有し、破袋刃の間に横断方向に配置された上仕切り板の中央部の上部に軸受で軸承されている。上仕切り板の下には、円弧面上に固定刃の縦通材が複数固定されて粗いスクリーンを形成した下仕切り板が設けられている。なお、粗砕機21として、公知のハンマークラッシャーやロータリスクリュークラッシャーを用いてもよい。スクリュークラッシャーは、二軸型と一軸型のいずれでもよい。
【0046】
粗砕機21によって粗破砕された廃棄物は、コンベヤで搬送される途中で、磁選機22によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物が除去された廃棄物は、1軸型の破砕機23に供給され、約150mm程度の大きさに破砕される。破砕機23で破砕された廃棄物は、比重型分別機としての揺動分別機24に供給される。
【0047】
揺動分別機24では、軽量物と、重量物と、小粒物に分別される。軽量物は、主に、可燃の固形物である紙やプラスチックのシート又は板状体や、布や繊維屑等である。重量物は、木片等の可燃固形物と、主に金属物や瓶等の転がり易い物等である。小粒物は、土砂等である。
【0048】
揺動分別機24は、図3に主要部を示すように、長手方向に傾斜して設置され、下から上に向かって廃棄物に送りを掛けるように揺動する複数の短冊状篩板241と、モータ242の回転力がチェーン243を介して入力されて、短冊状篩板241を揺動駆動するクランク機構244を備える。短冊状篩板241上には、送りを掛ける突起245が複数設けられている。揺動分別機24の分別室内に、矢印W1で示すように上方から投入された廃棄物は、短冊状篩板241の揺動によって、軽量物が矢印W2で示すように上方に送られる一方、重量物は自重によって矢印W3で示すように短冊状篩板241の下方端に移動し、小粒物は短冊状篩板241の篩目から矢印W4で示すように下方に落下する。こうして、廃棄物が、軽量物と、重量物と、小粒物に分別される。小粒物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0049】
揺動分別機24で分別された重量物は、1軸型破砕機25で破砕された後、スクリューコンベヤ26で搬送される。スクリューコンベヤ26の終端には、風力選別機27が設けられており、破砕物が、木屑等の軽量物と、陶器片やガラス片や金属片等の重量物とに分別される。風力選別機27は、図4に主要部を示すように、竪形のジグザグ管路271の下部の供給口271aから矢印W5で示すように破砕物が連続的に供給され、ブロワー272によって下から上に流れる空気により、木屑等の軽量の可燃物と、陶器片等の重量の不燃物とに選別する。空気流は、ジグザグ管路271の下端部に供給され、上端部からサイクロンセパレータ273まで軽量可燃物を搬送し、サイクロンセパレータ273で軽量可燃物が分離された後にブロワ272によって吸引される。軽量可燃物は、矢印W6で示すように、ロータリーシール弁を介して、サイクロンセパレータ273の下端から排出され、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。重量不燃物は、矢印W7で示すように、ロータリーシール弁を経てベルトコンベヤ28に送られる。
【0050】
重量不燃物は、ベルトコンベヤ28で搬送される途中で、磁選機29によって鉄等の磁性物が除去される。磁性物は、図示しないホッパに貯留されて再生資源として利用される一方、磁性物が除去された重量不燃物は、トレイに貯留された後、廃棄される。
【0051】
一方、揺動分別機24で分別された軽量物は、遠心型洗浄乾燥選別機としての洗浄脱水分別機30に送られる。洗浄脱水分別機30は、図5に模式図を示すように、ケーシング301の一端に形成された投入口301aに、矢印W8で示すように、軽量物が、水及び空気と共に投入される。水には、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。ケーシング301内には、回転軸302に取り付けられて、軽量物に送りをかけるように回転駆動される複数のパドル303が配置されている。また、ケーシング301内には、パドル303を取り囲むように多孔筒304が配置されている。軽量物は、パドル303によって多孔筒304内を他端側に送られるに伴い、汚れが水分と共に除去されて洗浄され、乾燥する。軽量物から汚れと共に分離した水分は、多孔筒304の外側に排出され、ケーシング301の下部に集められて、このケーシング301の下部に配置された排出コンベヤ305により、矢印W9で示すようにケーシング301外に排出される。洗浄されて乾燥した軽量物は、ケーシング301の他端に形成された排出口301bから、この排出口301bに接続された取り出しコンベヤ306によって排出される。取り出しコンベヤ306の終端には、上下に延びる縦管307が取り付けられており、縦管307の取り出しコンベヤ306の接続位置よりも下方から上に向かって、ブロワ308による空気流が形成される。縦管307内を下から上に流れる空気により、取り出しコンベヤ306から排出された軽量物が、紙やプラスチックや布や繊維屑等の可燃物と、軽量物に混入していた金属粒等の不燃物とに選別される。空気流は、矢印W10で示すように、可燃物を縦管307からサイクロンセパレータ31まで搬送し、サイクロンセパレータ31で可燃物が分離された後にブロワ308によって吸引される。一方、不燃物が、矢印W11で示すように、縦管307の下端から自重によって排出される。
【0052】
サイクロンセパレータ31で分離された紙やプラスチック等の可燃物は、定量供給機32に送られて一時貯留される。可燃物は、定量供給機32から振動スクリーン33に供給され、振動スクリーン33からベルトコンベヤ34上に分散されて、塩化ビニル分別機としての塩ビソータ35に送られる。
【0053】
塩ビソータ35は、ベルトコンベヤ34の上部に配置された識別装置351から、ベルトコンベヤ34上の可燃物に近赤外線を照射し、可燃物で反射した光を近赤外線センサで受け、近赤外線センサで受けた光の波長に基づいて可燃物の材質を識別する。識別装置351は、近赤外線センサで受けた光の画像解析によって可燃物の位置を検出し、可燃物のうちの塩化ビニルに、エアガン装置352のノズルから圧縮空気を吹きつける。圧縮空気が吹きつけられた塩化ビニルは、塩ビホッパ353に吹き飛ばされてトレイに収集される。ベルトコンベヤ34に残留した塩化ビニル以外の可燃物は、可燃物ホッパ354に落下してスクリューコンベヤ36に送られる。
【0054】
塩化ビニル以外の可燃物は、スクリューコンベヤ36で搬送され、風力選別機37に送られて、異物が回収される。異物が回収された可燃物は、プッシャ付破砕機38に送られる。
【0055】
プッシャ付き破砕機38は、ケーシング内に、回転刃が周面に固定された1軸の回転軸を有し、油圧シリンダで駆動されるプッシャにより、可燃物が回転軸に向かって押圧される。プッシャで押圧された可燃物は、回転軸の回転刃と、回転軸の下部に回転刃と相対して配置された固定刃とのせん断作用で破砕され、50〜80mmの寸法の破砕片となって排出される。プッシャ付き破砕機38で破砕された破砕片は、スクリューコンベヤ39で搬送され、スクリューコンベヤ39の終端に設置された風力選別機40で異物が除去される。風力選別機40は、竪形のジグザグ管路401内をブロワ402によって下から上に流れる空気により、可燃物と異物に選別し、空気流によって可燃物をサイクロンセパレータ403まで搬送する。サイクロンセパレータ403で分離された可燃物は、ロータリーシール弁を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機50に貯蔵される。
【0056】
図6A及び6Bは、高水分廃棄物処理ライン3の構成を示す模式図である。高水分廃棄物処理ライン3は、下水処理場で生成された下水汚泥やし尿等の有機汚泥を処理する図6Aの汚泥処理ライン3Aと、主に家庭から排出された生ごみを処理する図6Bの生ごみ処理ライン3Bを有する。
【0057】
有機汚泥は、概ね85%程度の水分量を有し、汚泥処理ライン3Aの受入ホッパ41に受け入れられ、受入ホッパ41の下部の切り出し装置で搬送コンベヤ42に排出される。搬送コンベヤ42で搬送される有機汚泥には、搬送コンベヤ42の途中に設置された木屑供給装置43によって木屑が添加される。木屑供給装置43が供給する木屑は、木質廃棄物処理ライン4で生成されたものである。木屑が添加された有機汚泥は、減圧乾燥機44に送られる。
【0058】
減圧乾燥機44は、図7に示すように、有機汚泥が内部に供給され、内部気圧を大気圧以下に保持して減圧乾燥を行う筒状のケーシング441と、ケーシング441の下部に設けられたヒータージャケット442と、ケーシング441の上部に設けられて有機汚泥から蒸発した水蒸気を凝縮させる凝縮部443と、ケーシング441内に配置されたコイル型攪拌部材444を有する。
【0059】
コイル型攪拌部材444は、回転軸444aと、攪拌コイル444bと、攪拌コイル444bの外周側に配置されてケーシング441の内周面の付着物を掻き取る掻き取り板444cを有する。回転軸444a及び攪拌コイル444bの内部には、熱源装置6から供給された加熱媒体としての蒸気が流通するように形成されている。また、ヒータージャケット442に、熱源装置6から蒸気が供給され、有機汚泥をケーシング441の壁面側から加熱するように形成されている。
【0060】
ケーシング441の上部の一端側の投入口441aから投入された有機汚泥を、コイル型攪拌部材444で攪拌しながら他端側に送りをかけると共に、コイル型攪拌部材444とヒータージャケット442に供給される蒸気の熱で加熱して乾燥させる。このとき、ケーシング441内は、真空ポンプVPで室内空気を吸引して大気圧以下とすることにより、水の沸点を降下させて、比較的低温の加熱温度で有機汚泥を乾燥させる。例えば、ケーシング441内の気圧を大気圧よりも0.03MPa減圧すると水の沸点が約90℃に降下し、大気圧よりも0.07MPa減圧すると水の沸点が約68℃に降下する。ヒータージャケット442とコイル型攪拌部材444には、ケーシング441内の気圧に応じた温度の蒸気が供給される。
【0061】
凝縮部443は、冷熱媒体としての冷却水が内部に流通して表面に凝縮水を析出させる冷却管と、冷却管から滴下した凝縮水を受ける受水樋と、受水樋の凝縮水を吸引する吸引口を有する。凝縮部443で生成された凝縮水は、真空ポンプVPにより、吸引口からケーシング441内の空気と共に吸引されて、冷却脱臭装置としてのクーリングタワー445に送られる。クーリングタワー445と凝縮部443との間は、ポンプPによって冷却水の循環流が形成されている。冷却水には脱水酵素が添加されており、クーリングタワー445の下部に設けられた水槽446に冷却水と凝縮水とが合流して流入する一方、水槽446の水がポンプPで凝縮部443に戻される。水槽446の水は、散水ポンプSPで吸引され、クーリングタワー445の上部のノズル447から流下部448に向けて噴射される。流下部448は、樹脂で形成された多孔性の充填材が配置され、脱臭酵素の担体となっている。ノズル447から噴射されて流下部448を流れる水は、脱臭酵素によって臭気が分解されると共に、上部のファン449によって下から上に流れる空気で冷却され、水槽446に流入する。このように、クーリングタワー445は、冷却水の冷却機能と、凝縮水の脱臭機能を有する。
【0062】
また、ケーシング441内に脱臭酵素を添加し、有機汚泥の臭気を低減する。
【0063】
クーリングタワー445の冷却水と、ケーシング441内の有機汚泥に添加する脱臭酵素は、以下のような酵素のうちの少なくとも1つを用いることができる。以下の酵素の少なくとも1つを有する微生物を添加することにより、冷却水及び有機汚泥に存在する臭気に対応する微生物が活性化し、冷却水及び有機汚泥の臭気が減少する。各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらの酵素の作用によって、冷却水及び有機汚泥の臭気を低減するので、し尿等の臭気の強い有機汚泥を乾燥処理しても、周囲に与える影響を少なくできる。
【0064】
減圧乾燥機44は、水分量が重量比で80%の有機汚泥を、大気圧からの減圧値が0.03〜0.07MPa、加熱媒体の温度が60〜80℃の条件で、1〜3時間にわたって攪拌し、酵素の作用を促す脱臭運転を行うのが好ましい。引き続いて、大気圧からの減圧値が0.05〜0.09MPa、加熱媒体の温度が80〜120℃の条件で、30分〜1時間にわたって攪拌し、水蒸気の蒸発を促す乾燥運転を行うのが好ましい。
【0065】
脱臭運転と乾燥運転を行うことにより、水分量が重量比で約20%以下であって臭気が殆ど無い粉状の乾燥有機物が得られる。
【0066】
減圧乾燥機44で乾燥されて脱臭された乾燥有機物は、ケーシング441の下部の他端側の排出口441bから排出され、減圧乾燥機44内の低圧を保持するためのダンパー45を介して、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機46に送られる。乾燥有機物は、定量供給機46により、固形燃料製造ライン5に送られる。
【0067】
生ごみは、汚泥処理ライン3Aの減圧乾燥機44と同様の減圧乾燥機55を有する生ごみ処理ライン3Bに投入される。
【0068】
生ごみは、概ね90%程度の水分量を有し、生ごみ処理ライン3Bの受入ホッパ51に受け入れられ、受入ホッパ51の下部の切り出し装置で搬送コンベヤ52に排出される。搬送コンベヤ52で搬送された生ごみは、練砕機53に投入されて破砕される。
【0069】
練砕機53は、図8に示すように、円筒形状のケーシング531が、傾斜架台532によって傾斜した状態で支持されている。ケーシング531は、中心軸が水平面に対して約30°の角度で傾斜して支持されている。ケーシング531には、上部に被処理物の投入口531aが設けられていると共に、下部に被処理物の排出口531bが設けられている。
【0070】
ケーシング531内には、ケーシング531の中心軸に沿って配置され、ケーシング531の両端面531a,531bに設けられたベアリング534a,534bで回転自在に支持された回転軸533を有する。回転軸533には、投入口531a側に粗破砕羽根535が固定されていると共に、排出口531b側に、複数の揺動ハンマーを有するハンマー破砕部536が設けられている。ケーシング531の内側面には、上記粗破砕羽根535とハンマー破砕部536を取り囲むように、ケーシング531の中心軸と平行に延びる複数の固定ブレード540が固定されている。
【0071】
粗破砕羽根535は、ケーシング531内の固定ブレード540に外縁が近接して形成され、回転軸533に対して傾斜して取り付けられている。回転軸533がモータMに回転駆動されるに伴い、外縁が固定ブレード540に近接した状態で粗破砕羽根535が回転して、固定ブレード540との間のせん断作用によって被処理物の粗破砕を行うと共に、粗破砕をした被処理物にハンマー破砕部536側に向かって送りをかけるようになっている。
【0072】
ハンマー破砕部536は、回転軸533に同軸に固定された複数の支持円盤537,537,・・・と、支持円盤537の縁部に揺動自在に支持された複数の揺動ハンマー538,538,・・・を有する。揺動ハンマー538は、支持円盤537,537,・・・の縁部を貫通して設けられた複数の支持軸539,539,・・・に、端部に形成された挿通孔が挿通されて装着されている。回転軸533がモータMに回転駆動されるに伴い、揺動ハンマー538,538,・・・が揺動しながら公転し、揺動ハンマー538,538,・・・からの衝撃作用と、揺動ハンマー538と固定ブレード540との間のせん断作用により、被処理物を破砕するようになっている。ハンマー破砕部536で破砕された被処理物は、排出口531bからケーシング531の外部に排出される。
【0073】
この練砕機53は、傾斜架台532によって傾斜した状態で支持されているので、上部の投入口531aから投入されて粗破砕羽根535で粗破砕された被処理物を、容易にハンマー破砕部536に送ると共に、下部の排出口531aから容易に排出することができる。また、この練砕機53は、鉛直向きに支持された場合と比較して、被処理物から分離した液体が回転軸533を伝ってベアリング534aに浸入しにくくできる。被処理物である生ゴミは食品油を含み、分離した液体に含まれる食品油がベアリングに浸入すると、ベアリングのシールが劣化する問題がある。これに対して、本実施形態の練砕機53は、傾斜した状態で支持されてベアリング534aへの食品油の浸入量を削減することにより、シールの劣化を低減してベアリング534aの耐久性を高めることができる。なお、練砕機53の傾斜角度は、ベアリング534aの耐久性を向上するために、水平面に対して20〜45°の間に設定するのが好ましい。
【0074】
練砕機53で破砕された生ごみは、選別機54に送られて、箸や楊子等の固形物が除去される。選別機54で箸等が除去された生ごみは、減圧乾燥機55に供給され、有機汚泥と同様に減圧されて乾燥と脱臭が行われる。生ごみを処理する減圧乾燥機55は、有機汚泥を処理する減圧乾燥機44と同様に、脱臭酵素が添加され、減圧状態で生ごみを攪拌して乾燥と脱臭を行うケーシング551と、凝縮部の冷却水と生ごみの凝縮水とを混合して脱臭と冷却を行うクーリングタワー555を有する。減圧乾燥機55で生ごみが乾燥して脱臭されてなる乾燥有機物は、減圧乾燥機55内の低圧を保持するためのダンパー56を介してトレイに排出される。トレイに排出された乾燥有機物は、肥料として用いられる。なお、乾燥有機物は、ダンパー56を介して、貯蔵機能を有する定量供給機に供給し、定量供給機で固形燃料製造ライン5に送って固形燃料の材料に用いてもよい。
【0075】
図9は、木質廃棄物処理ライン4の構成を示す模式図である。木質廃棄物処理ライン4には、廃木材や、間伐材や、材木端材等の木質廃棄物が投入され、木質屑としての木質チップ及び木屑を形成する。
【0076】
木質廃棄物処理ライン4に投入された木質廃棄物は、1軸破砕機61で破砕され、スクリューコンベヤ62で搬送され、スクリューコンベヤ62の終端に接続された風力選別機63で釘や金具等の重量物が除去される。なお、1軸破砕機61以外に、2軸破砕機を用いて木質廃棄物を破砕してもよい。風力選別機63は、ジグザグ管路631とサイクロンセパレータ632とブロワ633を有し、重量物が除去された木質破砕片は、サイクロンセパレータ632の下端から分級機64に送られる。分級機64で分級された木質破砕片のうち、10mm以下の小粒径の木屑が、スクリューコンベヤ65の終端に連なる風力選別機66で重量物が除去された後、高水分廃棄物処理ライン3の木屑供給装置43に送られる。分級機64で分級された10mmより大きい大粒径の木質チップは、スクリューコンベヤ67の終端に連なる風力選別機68で重量物が除去された後、貯蔵サイロと一体に形成された定量供給機69に貯蔵される。分級機64で分級されたオーバーサイズの木質破砕片は、ベルトコンベヤで1軸破砕機61に戻される。
【0077】
定量供給機69に貯蔵された木質チップは、一部が燃料として熱源装置6に送られ、他の一部が、固形燃料製造ライン5に送られる。
【0078】
図10は、固形燃料製造ライン5の構成を示す模式図である。固形燃料製造ライン5は、混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、高水分廃棄物処理ライン3で抽出された乾燥有機物と、木質廃棄物処理ライン4で形成された木質チップを用いて、固形燃料としてのRPFを製造する。
【0079】
定量供給機50から、混合廃棄物処理ライン2で抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックが巻き出され、スクリューコンベヤ70で搬送される。スクリューコンベヤ70で搬送される可燃廃棄物及び廃プラスチックに、高水分廃棄物処理ライン3の定量供給機46から乾燥有機物が供給されて合流すると共に、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機69から木質チップが供給されて合流する。スクリューコンベヤ70内に、オゾンや脱臭酵素等の脱臭剤が添加される。
【0080】
スクリューコンベヤ70から、可燃廃棄物及び廃プラスチックと、乾燥有機物と、木質チップとの混合材料がRPF成形機71に供給される。RPF成形機71は、材料の混合、混練、加熱及び押し出し工程を行い、廃プラスチックの溶融成分をバインダとして、可燃物である紙、繊維及び木質成分を固形化してなるRPFを製造する。RPF成形機71には、公知のペレットミルや、1軸押し出し成形機や、2軸押し出し成形機を用いることができる。RPF成形機71で製造されたRPFは、冷却機72で冷却されて貯蔵サイロ73に貯蔵される。貯蔵サイロ73のRPFは、ボイラ用や暖房用等の種々の用途の燃料として販売される。また、貯蔵サイロ73のRPFの一部は、燃料として熱源装置6に供給される。
【0081】
熱源装置6は、高水分廃棄物処理ライン3の減圧乾燥機44,55に加熱媒体としての蒸気を供給する。熱源装置6は、バーナと蒸気ボイラを有し、バーナの燃料として、固形燃料製造ライン5の貯蔵サイロ73から供給されたRPFと、木質廃棄物処理ライン4の定量供給機69から供給された木質チップを用いる。バーナでRPFと木質チップが燃焼し、バーナの燃焼熱により蒸気ボイラで生成した蒸気を、高水分廃棄物処理ライン3の減圧乾燥機44,55に供給する。
【0082】
このように、本実施形態の都市型廃棄物の資源化処理システム1によれば、混合廃棄物処理ライン2で混合廃棄物から抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、高水分廃棄物処理ライン3で高水分の有機廃棄物から生成された低水分の乾燥有機物とを用いて、固形燃料製造ライン5で、有価物であるRPFを製造するので、廃棄物を有効に資源化することができる。また、RPFを販売することにより、資源化処理システム1の設備費用やランニング費用を補うことができるので、運営主体の負担を軽減することができる。
【0083】
また、混合廃棄物処理ライン2で、混合廃棄物が処理されて可燃廃棄物と廃プラスチックが抽出されるので、混合廃棄物処理ラインに投入される廃棄物は、可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックとに分別されていなくてもよい。したがって、廃棄物の分別にかかる手間と費用を削減することができる。
【0084】
また、固形燃料製造ライン5で製造されたRPFの一部を、高水分廃棄物処理ライン3の熱源である熱源装置6の燃料に用いるので、高水分の有機廃棄物を乾燥処理する際に必要な燃料費を削減することができる。さらに、資源化処理システム1に投入された廃棄物から、資源化処理システム1で消費する燃料を製造するので、全体として、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【0085】
また、高水分廃棄物処理ライン3で有機汚泥を処理することにより、一般廃棄物を処理する混合廃棄物処理ライン2と共に、地域で排出される廃棄物を一括して処理することができる。
【0086】
また、木質廃棄物処理ライン4で木質廃棄物を処理して木質屑を生成するので、産業廃棄物である廃木材や間伐材等を、一般廃棄物とあわせて処理することができる。また、木質廃棄物処理ライン4で生成された木質チップの少なくとも一部を、高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いることにより、資源化処理システムの全体として、二酸化炭素排出量の増大を効果的に削減することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 資源化処理システム
2 混合廃棄物処理ライン
3 高水分廃棄物処理ライン
4 木質廃棄物処理ライン
5 固形燃料製造ライン
6 熱源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃廃棄物と不燃廃棄物と廃プラスチックが混在する混合廃棄物を処理して可燃廃棄物と廃プラスチックを抽出する混合廃棄物処理ラインと、
高水分の有機廃棄物を乾燥処理して低水分の乾燥有機物を抽出する高水分廃棄物処理ラインと、
上記混合廃棄物処理ラインで抽出された可燃廃棄物及び廃プラスチックと、上記高水分廃棄物処理ラインで抽出された乾燥有機物とを用いて固形燃料を製造する固形燃料製造ラインを備え、
上記固形燃料製造ラインで製造された固形燃料の一部を、上記高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いることを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記高水分廃棄物処理ラインは、低水分の乾燥有機物を抽出して肥料を生成することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記高水分廃棄物処理ラインは、有機汚泥を処理することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記高水分廃棄物処理ラインの熱源の燃料に用いることを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記固形燃料製造ラインで製造する固形燃料の材料に用いることを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
木質廃棄物を処理して木質屑を生成する木質廃棄物処理ラインを備え、この木質廃棄物処理ラインで生成された木質屑の少なくとも一部を、上記高水分廃棄物処理ラインで処理する被処理物に添加することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記混合廃棄物処理ラインは、比重型分別機と、遠心型洗浄乾燥選別機と、塩化ビニル分別機を有することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記高水分廃棄物処理ラインは、減圧乾燥機を備えることを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記減圧乾燥機は、熱媒体が内部に流通して回転駆動されるコイル型の攪拌部材を有することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の都市型廃棄物の資源化処理システムにおいて、
上記減圧乾燥機は、被処理物からの蒸気を冷熱媒体によって凝縮する凝縮部と、この凝縮部で凝縮された凝縮水を減圧乾燥機内の空気と共に吸引し、吸引した凝縮水及び空気を上記冷熱媒体と混合して冷却と脱臭を行う冷却脱臭装置とを有することを特徴とする都市型廃棄物の資源化処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−227779(P2010−227779A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76655(P2009−76655)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】