説明

配信装置及び配信方法

【課題】楽曲等のリズムに合わせて、アクセントを有する英単語等の語と、当該語に対応する日本語訳等の語とを、学習者が確実に効率よく記憶することができる音声情報を配信する。
【解決手段】拍子の拍のタイミングで発音されるリズム音の情報と、ペア語の情報と、に基づいて、同一又は互いに異なる複数のペア語とリズム音とが発音され、且つ、第1の語のアクセントの発音タイミングが拍のタイミングに合わせて第1の語と第2の語とが交互に発音されるように構成された記憶用音声情報を生成し、生成された記憶用音声情報を記憶し、記憶された記憶用音声情報を端末装置に送信し、第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される第1の語の発音開始までの間隔が所定時間以上になるように、間隔が所定時間未満となる第1の語のアクセントが拍のタイミングからずれて発音される記憶用音声情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセントを有する語と当該語に対応する語とでペアとなる語の発声音が再生されるように生成された音声情報を端末装置に配信する配信装置及び配信方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外国語等の記憶学習用の音声教材が知られている。この音声教材は、例えば、学習対象たる外国語の音声情報という形態で、インターネット上のウエブサイトからダウンロードすることが可能となっている。学習者は、音声情報をダウンロードした後、この音声情報を、例えば、携帯型の楽曲再生プレーヤ等の再生装置により再生処理させる。これにより、外国語の音声が再生出力され、学習者は聴覚を使って外国語の記憶学習を行うことができる。
【0003】
また、このような音声情報として、楽曲のリズムやメロディに合わせて学習対象たる外国語が発音されるように作成された音声情報が知られている。これにより、学習者は、リズム良く又楽しく学習を行うことができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、学習させたい文字列を歌詞とした音楽を用いて所定の言語を学習するための言語学習材料を提供する方法が開示されている。この方法では、所定の楽曲を構成する音のうち、拍子の強拍にあたる音に対して、学習させたい文字列としての歌詞を構成する単語のアクセントが合致するように楽曲及び歌詞を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−172858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、強勢アクセントを有する外国語の単語、例えば英単語を記憶学習する場合、学習する英単語と当該英単語の日本語訳とをペアで暗記することが一般的に行われている。そこで、英単語と日本語訳とを聴覚を使って学習者に覚えさせる場合、例えば、英単語と日本語訳とが交互に発音されるように音声情報を作成する。
【0007】
また、楽曲に合わせて英単語と日本語訳とが発音されるようにする場合、例えば、次のように音声情報を作成することが考えられる。例えば、「book 本 book 本 entertainment 娯楽 entertainment 娯楽」といったように、楽曲のリズムに合わせて英単語と日本語訳とが発音されるように音声情報が作成される。具体的には、英単語のアクセントの発音のタイミングが拍のタイミングに合わせられる。例えば、「book」の発音をカナで表記すると、「ブック」となる。この場合、アクセントのある「ブッ」の発音のタイミングが拍のタイミングに合わせられる。また、「entertainment」の発音をカナで表記すると、「エンターテインメント」となる。この場合、アクセントのある「テ」の発音のタイミングが拍のタイミングに合わせられる。このように、アクセントの発音のタイミングと拍のタイミングとが合うことにより、学習者は、リズム良く英単語を日本語訳とともに記憶することができる。
【0008】
しかしながら、例えば、「entertainment」のように、アクセントが語頭に無い単語の場合、アクセント部分よりも前にある部分(例えば、「entertainment」の場合の「エンター」等)は、拍のタイミングよりも前に発音されることとなる。そうすると、英単語と当該英単語の直前に発音される日本語訳との間隔、つまり、日本語訳の発音終了から英単語の発音開始までの、日本語訳及び英単語の何れも発声されない空白時間が短くなる。この日本語訳と英単語との間隔があまりにも短いと、日本語訳と英単語とを学習者が聞き分けることが難しくなり、学習者が英単語と日本語訳とを記憶することが困難になるおそれがある。
【0009】
このような問題を防止するため、例えば、問題が生じる単語の発音タイミングを1拍分遅らせて、間隔を確保するということも考えられないことではない。しかしながら、この場合は、リズムが不自然となり、逆に単語が記憶しにくくなる場合がある。また、問題が生じる単語毎に1拍分余計に再生時間が長くなるため、単位時間当たりに再生される単語数が減り、学習効率が低下するという問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、楽曲等のリズムに合わせて、アクセントを有する英単語等の語と、当該語に対応する日本語訳等の語とを、学習者が確実に効率よく記憶することができる音声情報を配信する配信装置及び配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、アクセントを有する第1の語と当該第1の語に対応する第2の語とで構成されるペア語の発声音が再生されるように生成された音声情報である記憶用音声情報を配信する配信装置であって、拍子の拍のタイミングで発音されるリズム音の情報と、前記ペア語の情報と、に基づいて、同一又は互いに異なる複数の前記ペア語と前記リズム音とが発音され、且つ、前記第1の語のアクセントの発音タイミングが前記拍のタイミングに合わせて前記第1の語と前記第2の語とが交互に発音されるように構成された前記記憶用音声情報を生成する生成手段と、前記生成された記憶用音声情報を記憶する記憶手段と、前記記憶された記憶用音声情報を端末装置に送信する送信手段と、を備え、前記生成手段は、前記第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される前記第1の語の発音開始までの間隔が所定時間以上になるように、前記間隔が前記所定時間未満となる前記第1の語のアクセントが前記拍のタイミングからずれて発音される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配信装置において、前記生成手段は、前記間隔が前記所定時間未満であるという条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、前記条件を満たすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の配信装置において、前記第1の語の発音開始タイミングからアクセントの発音タイミングまでの発音時間が所定の発音時間以上であること、又は、前記第1の語においてアクセントのある文字よりも前にある文字の数が所定の文字数以上であること、の何れか一方を条件とし、前記生成手段は、前記第1の語が前記条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、前記条件を満たすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の配信装置において、前記生成手段は、前記条件を満たすと判定された前記第1の語の発音開始タイミングを前記拍のタイミングに合わせて前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の配信装置において、前記ペア語を構成する前記第1の語及び前記第2の語に対して夫々連続する複数の前記拍が1小節中に割り当てられており、前記生成手段は、前記条件を満たすと判定された前記第1の語が、最も強く発音される第1のアクセントと、前記第1のアクセントの次に強く発音される第2のアクセントとを有し、且つ、前記第1のアクセントが前記第2のアクセントよりも後に発音される語である場合、前記第1の語の発音開始タイミングを、前記第1の語に割り当てられた複数の拍のうち先頭の拍のタイミングに合わせ、且つ、前記第1のアクセントの発音タイミングを、前記第1の語に割り当てられた複数の拍のうち先頭以外の拍のタイミングに合わせて、前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至5の何れか1項に記載の配信装置において、前記生成手段は、前記リズム音の情報と、前記第2の語の発声音の音声情報である第2語音声情報と、に基づいて、前記第2の語の発音タイミングを所定のタイミングに合わせ、前記リズム音の情報と、前記第1の語の発声音の音声情報である前記第1語音声情報と、に基づいて、前記条件を満たさない前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングに合わせ、前記条件を満たす前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の配信装置において、前記第1の語を示す第1語情報と、当該第1の語のアクセントの位置を示すアクセント情報と、を対応付けて記憶する第1語情報記憶手段と、ユーザから指定された前記第1の語を示す第1語指定情報を前記端末装置から受信する第1語指定情報受信手段と、前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語の前記第1語音声情報を取得する第1語音声情報取得手段と、前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語に対応する前記第2の語の前記第2語音声情報を取得する第2語音声情報取得手段と、を更に備え、前記判定手段は、前記ユーザから指定された第1の語に対応する前記アクセント情報に少なくとも基づいて、当該第1の語が前記条件を満たすか否かを判定し、前記生成手段は、前記リズム音の情報と、前記取得された第1語音声情報と、前記取得された第2語音声情報と、に基づいて、前記指定された第1の語の発声音と当該第1の語に対応する前記第2の語の発声音とが再生される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、アクセントを有する第1の語と当該第1の語に対応する第2の語とで構成されるペア語の発声音が再生されるように生成された音声情報である記憶用音声情報を配信する配信方法であって、拍子の拍のタイミングで発音されるリズム音の情報と、前記ペア語の情報と、に基づいて、同一又は互いに異なる複数の前記ペア語と前記リズム音とが発音され、且つ、前記第1の語のアクセントの発音タイミングが前記拍のタイミングに合わせて前記第1の語と前記第2の語とが交互に発音されるように構成された前記記憶用音声情報を生成する生成工程と、前記生成された記憶用音声情報を記憶する記憶工程と、前記記憶された記憶用音声情報を端末装置に送信する送信工程と、を有し、前記生成工程においては、前記第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される前記第1の語の発音開始までの間隔が所定時間以上になるように、前記間隔が前記所定時間未満となる前記第1の語のアクセントが前記拍のタイミングからずれて発音される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の配信方法において、ユーザから指定された前記第1の語を示す第1語指定情報を前記端末装置から受信する第1語指定情報受信工程と、前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語のの発声音の音声情報である前記第1語音声情報を取得する第1語音声情報取得工程と、前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語に対応する前記第2の語の発声音の音声情報である第2語音声情報を取得する第2語音声情報取得工程と、前記第1の語を示す第1語情報と、当該第1の語のアクセントの位置を示すアクセント情報と、を対応付けて記憶する第1語情報記憶手段から、前記ユーザから指定された第1の語に対応する前記アクセント情報を取得するアクセント情報取得工程と、前記取得されたアクセント情報に少なくとも基づいて、前記ユーザから指定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングをずらすか否かを判定する判定工程と、を更に有し、前記生成工程においては、前記リズム音の情報と、前記取得された第1語音声情報と、前記取得された第2語音声情報と、に基づいて、前記指定された第1の語の発声音と当該第1の語に対応する前記第2の語の発声音とが再生される前記記憶用音声情報を生成し、且つ、前記第2の語の発音タイミングを所定のタイミングに合わせ、アクセントの発音タイミングをずらさないと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングに合わせ、アクセントの発音タイミングをずらすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1又は請求項8に記載の発明によれば、第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される第1の語の発音開始までの間隔が所定時間未満となる当該第1の語については、アクセントの発音タイミングが拍のタイミングからずれていることによって、前記の間隔が所定時間以上となる記憶用音声情報が生成される。よって、生成された記憶用音声情報が再生処理されることによって、第1の語と第2の語とを聞き分けることが容易な間隔で第1の語と第2の語とを再生することが可能となるので、ペアとなる語をユーザが確実に記憶することができる。また、単位時間当たりに再生される語数が減ることを防止することができるので、ペアとなる語をユーザが効率的に記憶することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、第2の語と第1の語との間隔が所定時間未満となってしまうことを確実に防止することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、条件が第2の語に関する事項を含まないので、第2の語に関する情報を用いなくても、第1の語の発音タイミングをずらすか否かを判定することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、第1の語の再生が拍のタイミングで開始されるので、第1の語の発声音がリズム良く再生され、ペアとなる語をより記憶させやすくすることができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、最も強く発音されるアクセントがその次に強く発音されるアクセントよりも後に発音される第1の語については、割り当てられている拍のうち先頭の拍のタイミングで発音が開始され、先頭の拍よりも後の拍のタイミングで最も強く発音するアクセントが発音される。よって、アクセントを複数有する語の発声音がリズム良く再生され、ペアとなる語をより記憶させやすくすることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、第1の語の音声情報と第2の語の音声情報とが別個に存在するので、第1の語の発音タイミングをずらした記憶用音声情報の生成を容易に行うことができる。
【0026】
請求項7又は請求項9に記載の発明によれば、第1の語をユーザが指定することによって、ユーザが記憶したい第1の語を記憶学習することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る楽曲配信サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
【図3】パーツWAVデータデータベースに登録されるデータ、及び、楽曲配信サーバ1におけるソフトウェアの概要構成の一例を示す図である。
【図4】トレーニングコースを選択するためのメニュー構成の一例を示す図である。
【図5】あるトレーニングコースにおける、各ステップのジョギング用楽曲データの仕様の一例を示す図である。
【図6】各ステップにおけるジョギング用楽曲データの概要構成の一例を示す図であり、(a)は、ステップ1のジョギング用楽曲データであり、(b)は、ステップ2のジョギング用楽曲データであり、(c)は、ステップ3のジョギング用楽曲データであり、(d)は、ステップ4のジョギング用楽曲データであり、(e)は、ステップ5のジョギング用楽曲データであり、(f)は、ステップ6のジョギング用楽曲データである。
【図7】各ジョギング時間におけるジョギング用楽曲データの概要構成の一例を示す図であり、(a)は、15分の場合であり、(b)は、30分の場合であり、(c)は、45分の場合であり、(d)は、60分の場合であり、(e)は、90分の場合であり、(f)は、120分の場合である。
【図8】ジョギング用楽曲データの1ファイルのデータ構造の概要例を示す図である。
【図9】記憶対象語音声データのデータ構造の概要例を示す図である。
【図10】記憶対象語音声データの作成例を示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整例を示す図である。
【図12】(a)及び(b)は、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整例を示す図である。
【図13】(a)及び(b)は、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整例を示す図である。
【図14】(a)乃至(d)は、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整例を示す図である。
【図15】第1実施形態に係る各種設定値等を示す図であり、(a)は、ジョギング本編部分の1ファイル中に含めることができる楽曲本体の曲数の最小値と最大値とを示す表であり、(b)は、各走行テンポにおけるジョギング本編部分の1ファイルに含まれる小節数を示す表であり、(c)は、前奏、曲間部及び後奏に用いられる曲間つなぎデータの小節数を示す表であり、(d)は、ファイル時間が15分の場合における各テンポの許容最長楽曲小節数を示す表である。
【図16】ジョギング用楽曲データのジョギング本編部分の作成方法の一例を示す図である。
【図17】第1実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【図18】第1実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11のメイン処理における処理例を示すフローチャートである。
【図19】第1実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の使用楽曲決定処理における処理例を示すフローチャートである。
【図20】第1実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11のジョギング用楽曲データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【図21】辞書データベースに登録される情報の内容の一例を示す図である。
【図22】記憶対象語音声データの作成例を示す図である。
【図23】第2実施形態の実施例1に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【図24】第2実施形態の実施例2に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、通信システムに本発明を適用した場合の実施形態である。
【0029】
[1.第1実施形態]
[1.1 通信システムの構成等]
始めに、本実施形態に係る通信システムSの概要構成等について、図1を用いて説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る通信システムSの概要構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図1に示すように、通信システムSは、配信装置の一例としての楽曲配信サーバ1と、複数のユーザPC(Personal Computer)2と、各ユーザPC2に夫々接続可能な複数の携帯音楽プレーヤ3と、を含んで構成されている。
【0032】
楽曲配信サーバ1とユーザPC2とは、ネットワークNWを介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等を用いて相互にデータの送受信が可能である。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0033】
また、ユーザPC2と携帯音楽プレーヤ3とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)1394等のバス規格に対応したケーブル等を介して、又は、Bluetooth(IEEE 802.15.1)等の無線通信により、相互にデータの送受信が可能である。なお、ユーザPC2と携帯音楽プレーヤ3との間におけるデータの授受は、メモリカード等の記録媒体を介して行われるようにしても良い。
【0034】
このような構成の通信システムSにおいて、楽曲配信サーバ1は、ユーザPC2からの要求等に応じ、ユーザがジョギングしている最中等に聴く楽曲のデータであるジョギング用楽曲データを作成し、このジョギング用楽曲データをユーザPC2に送信する。
【0035】
ユーザPC2にダウンロードされたジョギング用楽曲データは、ユーザ操作等により、有線、無線又は記録媒体を介して携帯音楽プレーヤ3に転送される。そして、ユーザは、携帯音楽プレーヤ3にそのジョギング用楽曲データを再生させることにより、ジョギング用の楽曲を聴きながらジョギング等を行う。
【0036】
ところで、ジョギング等の運動を継続していると、いわゆるランニングハイ(又はランナーズハイとも称される)と言われる、気分が高揚した状態になることが知られている。このランニングハイは、脳内物質であるエンドルフィンが分泌されることが原因と言われているが、この状態になると、本来苦しいと感じるべき身体状態となっても精神的にはそれほど苦痛を感じなくなる。そして、このランニングハイの状態で物事を記憶すると、その記憶した内容は、運動中でないときに記憶した場合よりも忘却し難い状態を維持し易い場合が多いと言われている。
【0037】
そこで、本実施形態においては、ジョギング用の楽曲に、芸術音楽としての楽曲のほか、記憶対象の英単語(第1の語の一例)及び当該英単語の日本語訳(第2の語の一例)の発声音が所定のリズムに合わせて再生されるものも含ませることができる。ユーザは、ジョギング用の楽曲を聴きながらジョギング等を行うと共に、当該楽曲聴取後にランニングハイとなった状態において記憶対象の英単語及びその日本語訳の音声を聞いてその暗記を行う。
【0038】
ここで、英単語及びその日本語訳を、「記憶対象語」(ペア語の一例)と称する。また、楽曲の1曲分に相当する記憶対象語の音声を、「記憶対象語音声」と称し、1曲に対応する記憶対象語音声の単位を、「1章」と称する。1章の記憶対象語音声には、所定数の記憶対象語(所定単語数分の英単語及び日本語訳)の音声が含まれている。この1章に相当する所定数の記憶対象語を、「記憶対象語群」と称する。
【0039】
記憶対象語音声には、英単語及び日本語訳の音声とともに、伴奏としての役割を有するドラムベース等によるリズム音も含まれているので、本実施形態においては、この記憶対象語音声も楽曲の一種類として扱う。なお、以降の説明において、芸術音楽と記憶対象語音声とを特に区別する必要がない場合、芸術音楽及び記憶対象語音声を纏めて、楽曲と称する。ただし、音声データとしての芸術音楽及び記憶対象語音声は、後述するように、楽曲本体データ及び記憶対象音声データというように区別する。
【0040】
詳細は後述するが、このジョギング用楽曲データは、複数の楽曲のデータにより構成されており、ユーザの目標等に合うトレーニングコースに対応した演奏時間及びテンポで各楽曲が再生されるように作成されている。また、本実施形態において、このジョギング用楽曲データについては、芸術音楽としての各楽曲の主要部(前奏、後奏等を除いた部分)が連続するメドレーとして再生されるとともに、記憶対象語音声としての楽曲が再生得されるように構成されている。
【0041】
更に、ジョギング用楽曲データがダウンロードされると、そのジョギング用楽曲データの購入代金(ジョギング用楽曲データ等を構成する楽曲の曲数等に応じた著作権料等を含む)がシステム側からユーザに対して請求される。
【0042】
なお、ユーザPC2は、例えば、一般的な構成のパーソナルコンピュータを用いることが可能であり、また、携帯音楽プレーヤ3も、例えば、一般的な構成の携帯用のデジタルオーディオプレーヤを用いることができる。
【0043】
[1.2 楽曲配信サーバの構成及び機能等]
[1.2.1 楽曲配信サーバの構成]
次に、楽曲配信サーバ1の構成及び機能等について説明するが、始めに、楽曲配信サーバ1の構成について、図2を用いて説明する。
【0044】
図2は、本実施形態に係る楽曲配信サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
図2に示すように、楽曲配信サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える制御部11と、各種データ及びプログラムを記憶する記憶手段の一例としての記憶部12(例えば、ハードディスクドライブ等)と、ネットワークNWに接続して、ユーザPC2等との通信状態を制御する受信手段及び送信手段夫々の一例としての通信部13と、WAVフォーマット(RIFF(Resource Interchange File Format) Waveform Audio Format)の楽曲データ及び記憶対象語音声データをMP3(MPEG Audio Layer-3)フォーマットの楽曲データ及び記憶対象語音声データにエンコードするエンコーダ部14と、を含んで構成されており、制御部11と各部とはシステムバス15を介して接続されている。
【0046】
制御部11は、本発明において、生成手段及び送信手段の一例を構成する。そして、制御部11は、CPUが、ROMや記憶部12に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより楽曲配信サーバ1の各部を統括制御すると共に、後述するパーツWAVデータデータベースプログラム201、サーバシステムプログラム202、WEBサイトプログラム203、楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204及び記憶対象語WAVデータ書き出しプログラム205等を読み出し実行することにより、上記生成手段及び送信手段として機能する。
【0047】
[1.2.2 データ及びプログラム等]
次に、記憶部12に記憶されるデータ及びプログラムのソフトウェア構成等について、図3乃至図8を用いて説明する。
【0048】
図3は、パーツWAVデータデータベースに登録されるデータ、及び、楽曲配信サーバ1におけるソフトウェアの概要構成の一例を示す図である。また、図4は、トレーニングコースを選択するためのメニュー構成の一例を示す図である。また、図5は、あるトレーニングコースにおける、各ステップのジョギング用楽曲データの仕様の一例を示す図である。また、図6は、各ステップにおけるジョギング用楽曲データの概要構成の一例を示す図である。また、図7は、各ジョギング時間におけるジョギング用楽曲データの概要構成の一例を示す図である。また、図8は、ジョギング用楽曲データの1ファイルのデータ構造の概要例を示す図である。
【0049】
記憶部12には、ユーザの個人情報(例えば、氏名、年齢、メールアドレス、ユーザID、パスワード等)、ユーザのトレーニング情報(例えば、選択されたトレーニングコース、当該トレーニングコースのジョギング用楽曲データを最初にダウンロードした日時、現在のステップ、ジョギング用楽曲データを構成する楽曲の内容及び演奏順等を示す演奏リスト)、作成されたジョギング用楽曲データ、ユーザの選曲の履歴を示す履歴情報(例えば、選択された楽曲、アルバム、アーティスト、ジャンル又は記憶対象語群等を時系列で示す情報)等が、ユーザ毎に対応付けて記憶されている。
【0050】
また、記憶部12には、ジョギング用楽曲データを構成するパーツとなるパーツデータが登録されるパーツWAVデータデータベースが構築されている。更にまた、記憶部12には、図3に示すパーツWAVデータデータベースプログラム201、サーバシステムプログラム202、WEBサイトプログラム203、楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204及び記憶対象語WAVデータ書き出しプログラム205等が記憶されている。
【0051】
上記パーツWAVデータデータベースには、図3に示す楽曲本体WAVパーツデータ101、ジョギングアレンジ曲間つなぎWAVパーツデータ102、ジョギングアレンジ音声ガイダンスWAVパーツデータ103、DJ音声WAVパーツデータ104、記憶対象語WAVパーツデータ301等が、WAVフォーマットで登録されている。
【0052】
楽曲本体WAVパーツデータ101は、ジョギング用の楽曲を構成する主要的な位置を占める芸術音楽としての楽曲本体のWAVデータであり、全てのデータが同一のテンポ(本実施形態においては、140BPM(Beats Per Minute))で記録されている。そして、楽曲本体WAVパーツデータ101は、図3に示す楽曲本体MIDIデータ105とジョギングアレンジドラムベースWAVデータ106とに基づき、楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204を用いて作成される。
【0053】
楽曲本体MIDIデータ105は、楽曲本体WAVパーツデータ101の原曲が記録されたMIDI(Musical Instrument Digital Interface)フォーマットのデータである。また、上記ジョギングアレンジドラムベースWAVデータ106は、ドラムやシンバル等によるリズム音等が記録されたWAVデータであり、楽曲本体MIDIデータ105の原曲をジョギング用にアレンジするために用いられるデータである。
【0054】
楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204においては、楽曲本体MIDIデータ105から、前奏部分、後奏部分、間奏部分等が小節単位で削除され、残った主要部分に対して140BPMでテンポが調整される。このとき、調整前と調整後とでは、音程が変わらないように調整が行われる。そして、当該主要部分の楽曲本体MIDIデータ105のフォーマットがWAVフォーマットに変換され、ジョギングアレンジドラムベースWAVデータ106と合成されて、ジョギング用のアレンジ(例えば、ハウスミュージック調)が施される。こうして作成された楽曲データが楽曲本体WAVパーツデータ101である。
【0055】
なお、楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204は、楽曲配信サーバ1にインストールされて、制御部11により実行されるようにしても良いし、他の情報処理装置にインストールされて、当該装置上で実行されるようにしても良い。
【0056】
一方、記憶対象語WAVパーツデータ301は、上記記憶対象語音声としてのWAVデータであり、全てのデータが同一のテンポ(本実施形態においては、楽曲本体WAVパーツデータ101と同一の140BPM)で記録されている。そして、記憶対象語WAVパーツデータ301は、図3に示す英単語群WAVデータ302(第1語音声情報の一例)、日本語訳群WAVデータ303(第2語音声情報の一例)及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304(リズム音の情報の一例)に基づき、記憶対象語WAVパーツデータ書き出しプログラム205を用いて作成される。ここで、英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303は、本発明のペア語の情報の一例である。
【0057】
英単語群WAVデータ302は、1章に相当する記憶対象語群の英単語の原音声が記録されたWAVデータである。また、日本語訳群WAV303データは、1章に相当する記憶対象語群の日本語訳の原音声が記録されたWAVデータである。また、上記記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304は、ドラムやシンバル等によるリズム音等が記録されたWAVデータであり、英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303の原音声にリズムを付与し、また、当該原音声をジョギング用にアレンジするために用いられるデータである。
【0058】
なお、記憶対象語WAVパーツデータ301、英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303、及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304の詳細、並びに、記憶対象語WAVパーツデータ書き出しプログラム205を用いた記憶対象語WAVパーツデータ301の作成方法については、1.2.2.2項で説明する。
【0059】
ジョギングアレンジ曲間つなぎWAVパーツデータ102は、ジョギング用の楽曲を構成する複数の楽曲本体の曲間、又は記憶対象語音声と楽曲本体との間に演奏される楽曲(以下、「曲間部」と称する)のWAVデータ、最初の楽曲本体の前に演奏される前奏のWAVデータ、及び、最後の楽曲本体の演奏又は記憶対象語音声の発声の後に演奏される後奏のWAVデータの総称である。
【0060】
ジョギングアレンジ音声ガイダンスWAVパーツデータ103は、専門のアドバイザーによる運動指導やアドバイス等の音声が記録されたWAVデータである。
【0061】
DJ音声WAVパーツデータ104は、曲間に流されるDJ(Disc Jockey)の音声が記録されたWAVデータである。
【0062】
なお、以下の説明においては、楽曲本体WAVパーツデータ101を、単に「楽曲本体データ」と称し、記憶対象語WAVパーツデータ301を、単に「記憶対象語音声データ」(記憶用音声情報の一例)と称する。更に、ジョギングアレンジ曲間つなぎWAVパーツデータ102を、単に「曲間つなぎデータ」と称する。また、ジョギングアレンジ音声ガイダンスWAVパーツデータ103及びDJ音声WAVパーツデータ104を、纏めて、単に「音声データ」と称する。
【0063】
パーツWAVデータデータベースプログラム201は、楽曲配信サーバ1の制御部11がパーツWAVデータデータベースを管理するためのプログラムであり、各パーツデータの登録要求に応じて、パーツデータを当該データベースに登録したり、サーバシステムプログラム202から要求されたパーツデータを当該データベースから取得して、サーバシステムプログラム202に渡すためのプログラムである。
【0064】
サーバシステムプログラム202は、楽曲配信サーバ1の制御部11が、パーツWAVデータデータベースから取得されたパーツデータを用いて、ジョギング用楽曲データを作成するためのプログラムである。
【0065】
WEBサイトプログラム203は、楽曲配信サーバ1の制御部11が、作成されたジョギング用楽曲データを配信するWEBサイトとして、ユーザPC2からの要求に応じて、WEBページやジョギング用楽曲データを送信するためのプログラムである。
【0066】
なお、パーツWAVデータデータベースプログラム201、サーバシステムプログラム202、WEBサイトプログラム203、楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム204及び記憶対象語WAVデータ書き出しプログラム205等は、例えば、図示せぬネットワークを介して他のサーバ装置等から取得されるようにしても良いし、CD(Compact Disc)−ROM等の記録媒体に記録されてドライブ装置等から読み込まれるようにしても良い。
【0067】
次に、ジョギング用楽曲データの内容を説明する前に、このジョギング用楽曲データの仕様を決定付けるトレーニングコースを選択するためのメニューの構成について説明する。
【0068】
このトレーニングコースの選択は、楽曲配信サーバ1からユーザPC2に送信されたコース選択用WEBページに基づいて、ユーザがユーザPC2を操作することにより行われる。
【0069】
また、当該トレーニングコースの選択は、基本的には本実施形態に係る記憶対象語音声の再生内容とは無関係に、ユーザの運動能力やそれまでの経験に基づいて実行される。そして、記憶対象語の暗記(すなわち、記憶対象語音声の再生)は、その選ばれたトレーニングコースに相当するジョギング用楽曲データの再生中において、上記ランニングハイ状態となると予測される予め設定されたタイミング以降の期間において実行される。なお、記憶対象語音声の内容やその再生タイミングを含めたトレーニングコースを予め用意しておき、それをトレーニングコースの選択の一貫として選択可能に構成することもできる。
【0070】
図4に示すように、トレーニングコースを選択するためのメニューの構成は、例えば、最上位の第1階層から最下位の第4階層までの階層構造をなしている。そして、各階層においては、ユーザの目標別等に応じたメニュー項目が定義されており、上位の階層では、大まかな目標に応じたメニュー項目が定義され、下位の階層になっていくに従って、具体的な目標に応じたメニュー項目が定義されている。
【0071】
先ず、「コース選択」が選択されると、第1階層のメニュー項目として、例えば、「健康維持」、「ダイエット」、「マラソンレース出場」、「タイムアップ」等のユーザの目標に応じるコースメニューがユーザPC2の画面に表示される。そして、例えば、「マラソンレース出場」が選択されると、第2階層のメニュー項目として、「ホノルルマラソン」、「東京マラソン」、「ハーフマラソン」、「10Kmマラソン」等のコースメニューがユーザPC2の画面に表示される。
【0072】
またここで、例えば、「ホノルルマラソン」が選択されると、第3階層のメニュー項目として、「タイムを狙う」、「完走する」等のコースメニューがユーザPC2の画面に表示される。更に、例えば、「タイムを狙う」が選択されると、第4階層のメニュー項目として、「初心者」、「中級者」、「上級者」等のコースメニューがユーザPC2の画面に表示される。
【0073】
そして、第4階層のメニュー項目の中から一のメニュー項目が選択されると、これに一意に対応したトレーニングコースが、楽曲配信サーバ1の制御部1により決定される。例えば、「マラソンレース出場」〜「ホノルルマラソン」〜「タイムを狙う」〜「初心者」と選択されると、これに対して、「トレーニングコースA」が決定される。また、同様にして「中級者」が選択されると、「トレーニングコースB」が決定される。また、同様にして「上級者」が選択されると、「トレーニングコースC」が決定される。
【0074】
楽曲配信サーバ1の記憶部12には、上記メニュー構成を定義するメニューデータが記憶されている。また、記憶部12には、最終的なトレーニングコース毎に、そのコース情報が記憶されている。このコース情報には、そのトレーニングコースの全ステップが定義されていると共に、ステップ毎にそのトレーニングの仕様が定義されている。具体的には、ステップ毎に、対応するトレーニング期間、運動時間の一例としてのジョギング時間(ユーザが走る時間)、ジョギング距離(ユーザが走る距離)、楽曲本体の曲数、初期テンポ(ジョギング用楽曲データの最初の曲のテンポ)、終了テンポ(ジョギング用楽曲データの最後の曲のテンポ)等が定義されている。ここで、ジョギング時間は、ジョギング用楽曲データの、後述するウォームアップ曲及びクールダウン曲の演奏時間を除いた演奏時間を示す時間となる。また、当該トレーニングの仕様自体は、あくまでトレーニングとしての仕様であり、当該仕様には本実施形態に係る記憶対象語音声の数等は含まれていない。
【0075】
[1.2.2.1 ジョギング用楽曲データの詳細]
次に、図5乃至図8を用いて、本実施形態に係るジョギング用楽曲データについて詳細に説明する。
【0076】
図5は、あるトレーニングコースの各ステップにおけるジョギング用楽曲データの仕様の一例を示しており、このトレーニングコースは、ステップ1から開始され、基本的には1ヶ月毎にステップが上昇していく。
【0077】
ステップ1のトレーニング期間は1ヶ月目に設定されている。すなわち、ステップ1は、本トレーニングコースを開始してから1ヶ月経過するまでのジョギングを対象としている。そして、そのジョギング時間は30分に設定され、ジョギング距離は約5Kmに設定されている。また、初期テンポと最終テンポとは、何れも160BPMに設定されている。
【0078】
これらの情報は、ステップ1では、ウォームアップ曲及びクールダウン曲を除いたジョギング用楽曲データの演奏時間が30分であり、そのテンポは、160BPMで一定であることを示している。そして、このテンポに対応したペースでユーザが30分間走ることにより、約5Kmの距離を走ることが想定されている。
【0079】
ここで、演奏される楽曲本体の曲数は8曲に設定されているが、これはあくまでも目安であって、選択された楽曲本体の演奏時間によって曲数は変化するものである。
【0080】
また、図5において、ステップ1のメドレー楽曲内容、すなわち、演奏される楽曲本体の内容として「○○○メドレー」(「○○○」は、例えば、アルバムの名称やアーティストの名称等)が示され、他のステップにおいても示されているが、これは選択されたアルバムやアーティスト、或いはジャンル等を例示的に示したものであり、例えば、ステップ1に対して必ずしも「○○○メドレー」が選択されるわけではない。
【0081】
また、図5の例において、ステップ1のメドレーを構成する8曲の楽曲は、夫々芸術音楽であるが、例えば、8曲の一部を芸術音楽のメドレーとし、残りを記憶対象語音声で構成しても良い。
【0082】
次に、ステップ2のトレーニング期間は2ヶ月目に設定されている。すなわち、ステップ1は、本トレーニングコースを開始して1ヶ月が経過してから更に1ヶ月を経過するまでのジョギングを対象としている。そして、そのジョギング時間は30分に設定され、ジョギング距離は約5.5Kmに設定され、曲数は8曲に設定されている。また、初期テンポは、160BPMに設定され、最終テンポは、165BPMに設定されている。
【0083】
これらの情報は、ステップ2では、ウォームアップ曲及びクールダウン曲を除いたジョギング用楽曲データの演奏時間が30分であり、そのテンポは、160BPMから165BPMに徐々に上昇することを示している。そして、このテンポに対応したペースでユーザが30分間走ることにより、約5.5Kmの距離を走ることが想定されている。
【0084】
ステップ2は、ジョギング距離についてはステップ1と同様であるが、テンポが上昇していくことによって、ステップ1よりも約0.5Km長い距離をユーザが走ることが想定されている。
【0085】
以下同様に、ステップ3のトレーニング期間は3ヶ月目に設定されており、ジョギング時間は45分に設定され、ジョギング距離は約8Kmに設定され、曲数は12曲に設定されている。そして、初期テンポと最終テンポとは、何れも165BPMに設定されている。
【0086】
また、ステップ4のトレーニング期間は4ヶ月目に設定されており、ジョギング時間は45分に設定され、ジョギング距離は約8.5Kmに設定され、曲数は12曲に設定されている。そして、初期テンポは165BPMに設定され、最終テンポは170BPMに設定されている。
【0087】
また、ステップ5のトレーニング期間は5ヶ月目に設定されており、ジョギング時間は60分に設定され、ジョギング距離は約11Kmに設定され、曲数は16曲に設定されている。そして、初期テンポと最終テンポとは、何れも170BPMに設定されている。
【0088】
また、ステップ6のトレーニング期間は6ヶ月目に設定されており、ジョギング時間は60分に設定され、ジョギング距離は約12Kmに設定され、曲数は16曲に設定されている。そして、初期テンポは170BPMに設定され、最終テンポは175BPMに設定されている。
【0089】
図6に示すように、各ステップにおけるジョギング用の楽曲は、楽曲本体と前奏、後奏、曲間部、ガイド音声、DJ音声によって構成されるジョギング本編と、ジョギング本編の前に再生されるウォームアップ曲と、ジョギング本編の後に再生されるクールダウン曲と、により構成されている。
【0090】
なお、図6中、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、図5において例示したステップ1、ステップ2、ステップ3、ステップ4、ステップ5、ステップ6に夫々対応している。
【0091】
ウォームアップ曲は、ユーザがジョギングを開始する前に、その準備運動等のウォーミングアップを行う際に再生されることを想定した楽曲であり、例えば、テンポが徐々に上昇して、ユーザの気分を次第に盛り上げるような楽曲が選定される。
【0092】
また、クールダウン曲は、ユーザがジョギングを終えた後に、心身を平静に戻すクーリングダウンを行う際に再生されることを想定した楽曲であり、例えば、テンポが徐々に下降して、次第に落ち着いていくような雰囲気の楽曲が選定される。
【0093】
ウォームアップ曲及びクールダウン曲の楽曲データは、MP3フォーマットで記憶部12に記憶されている。
【0094】
このウォームアップ曲及びクールダウン曲としては、全ステップを通じで同一の楽曲を用いることが可能であり、例えば、ユーザPC2が楽曲配信サーバ1から最初にジョギング用楽曲データをダウンロードするときには、ジョギング本編とウォームアップ曲及びクールダウン曲の全ての楽曲データを含むジョギング用楽曲データがダウンロードされるが、2度目以降のダウンロードの際には、ジョギング本編の楽曲データのみのジョギング用楽曲データがダウンロードされる。
【0095】
なお、2度目以降のダウンロードの際においても、ユーザの選択により、最初にダウンロードされたウォームアップ曲及びクールダウン曲とは異なるウォームアップ曲及びクールダウン曲がダウンロードされようにしても良い。
【0096】
また、図6に示すように、ジョギング時間、すなわち、ジョギング本編の演奏時間は、2ステップ毎に上昇する。その一方で、ジョギング本編のテンポは、奇数ステップにおいては演奏開始から終了まで一定であり、偶数ステップにおいては、徐々に上昇する。また、各ステップにおける最終テンポと、その次のステップにおけるテンポとは一致している。
【0097】
ステップが上がっていくに従って(トレーニング期間が時間的に未来にあるほど)、ユーザのジョギング能力は向上していくものと考えられることから、それに合わせて、ジョギング時間及びテンポが上昇していく。また、目安ではあるが、ステップが上がっていくに従って曲数も増えていく。そして、このジョギング時間及びテンポは、トレーニングコース毎に決定され、更には、トレーニングコース内のステップ毎に決定されるようになっており、具体的には、例えば、マラソン等の専門家により策定された運動理論や方針等に基づいて、予めトレーニングコース毎に設定されている。
【0098】
図7は、各ジョギング時間におけるジョギング用楽曲データの概要構成の一例を示す図である。
【0099】
本実施形態においては、ジョギング時間に応じて、ジョギング用楽曲データのジョギング本編部分が、1又は複数作成される。これは、次に述べる理由による。
【0100】
すなわち、ジョギング時間が長いほど一般にジョギング本編部分のデータサイズも大きくなり、また、そのデータのダウンロードに要する時間も長くなる。そして、ダウンロード時間が長いほど、何らかの理由(例えば、コネクションの切断等)でダウンロードが途中で失敗する可能性が高くなる。ダウンロードが失敗してしまったら、また最初からダウンロードを行わなければならず、ダウンロード時間が更に長くなってしまう。そこで、ジョギング時間が長い場合には、ジョギング本編部分のデータを複数に分けて作成することで、ダウンロードも複数回に分けて行われることとなる。よって、ダウンロードが途中で失敗しても、既にダウンロードした部分については再度ダウンロードする必要がなくなる。
【0101】
具体的には、図7に示すように、ジョギング時間が15分である場合には、15分のファイル1個でジョギング本編部分が構成される(図7(a))。また、ジョギング時間が30分である場合には、30分のファイル1個でジョギング本編部分が構成される(図7(b))。また、ジョギング時間が45分である場合には、30分のファイル1個と15分のファイル1個の合計2個のファイルでジョギング本編部分が構成される(図7(c))。
【0102】
また、ジョギング時間が60分である場合には、30分のファイル2個でジョギング本編部分が構成される(図7(d))。また、ジョギング時間が90分である場合には、30分のファイル3個でジョギング本編部分が構成される(図7(e))。また、ジョギング時間が120分である場合には、30分のファイル4個でジョギング本編部分が構成される(図7(f))。
【0103】
ここで、ジョギング本編部分が複数のファイルで構成される場合であって、初期テンポと最終テンポとが異なるときには、再生順において最初のファイルの最初の曲が初期テンポで再生され、複数のファイルにまたがって徐々にテンポが上昇し、最後のファイルの最後の曲が最終テンポで再生されるように、各ファイルが構成される。
【0104】
図8は、ジョギング用楽曲データのジョギング本編部分の1ファイルの概要構成を示す図である。
【0105】
図8に示すように、ジョギング用楽曲データのジョギング本編は、最初に前奏が再生された後、1曲目の楽曲本体が再生される。そして、曲間部が再生された後、2曲目の楽曲本体が再生される。以下同様にして、全ての楽曲本体が再生された後、後奏が再生される。つまり、ジョギング本編は、前奏の曲間つなぎデータ、1曲目の楽曲本体データ、曲間部の曲間つなぎデータ、2曲目の楽曲本体データ、曲間部の曲間つなぎデータ…N曲目の曲本体データ、後奏の曲間つなぎデータの順に再生されるように、楽曲配信サーバ1の制御部11により構成される。
【0106】
このとき、ジョギング本編は、例えば、図5に示すトレーニングコースのステップ1の場合には、160BPM一定のテンポで各楽曲データが再生されるように構成され、例えば、ステップ2の場合には、160BPMから165BPMまでテンポが徐々に上昇するように楽曲データが再生されるように構成される。
【0107】
そして、ガイダンス音声の音声データが、楽曲数等に応じて予め定められた順番の曲間部の曲間つなぎデータが再生されている間に再生されるようにジョギング本編は構成される。また、ジョギング本編の演奏が開始されてから、規定の時間が経過する都度(例えば、5分、10分、20分、…)、その時点での経過時間とこれまでの消費カロリーをユーザに対して告知する音声データが再生されるようにジョギング本編は構成される。
【0108】
また、トレーニングコースの選択の際に英単語の記憶学習を行うことが選択された場合や、楽曲本体の選択の際に記憶対象語音声が選択された場合等には、ジョギング本編において、記憶対象語音声が再生される。この場合、例えば、ジョギング本編の再生開始から、ランニングハイ状態となると予測される予め設定されたタイミング以降では、楽曲本体データではなく、選択された記憶対象語音声データが再生される。
【0109】
なお、第3階層のメニュー項目が選択された時点で最終的なトレーニングコースを決定し、第4階層のメニュー項目が選択された時点でトレーニングを開始させるステップを決定しても良い。例えば、「初心者」が選択された場合には、トレーニングコースAのステップ1が開始ステップとして決定され、「中級者」が選択された場合には、トレーニングコースAのステップ3が開始ステップとして決定され、「上級者」が選択された場合には、トレーニングコースAのステップ5が開始ステップとして決定されるようにしても良い。
【0110】
[1.2.2.2 記憶対象語音声データの詳細及び作成方法]
次に、本実施形態に係る記憶対象語音声データ(記憶対象語WAVパーツデータ301)とその作成方法について、図9乃至図14を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明においては、英単語及び日本語訳の発音を、カナで表記する。また、英単語のアクセント部分を示す場合、アクセントのある母音を含むカナ文字をアクセント部分として示す。
【0111】
図9は、1章の記憶対象語音声データのデータ構造の概要例を示す図である。つまり、
図9は、1曲分の楽曲に相当する記憶対象語音声データのデータ構造の概要例を示す。
【0112】
図9に示すように、記憶対象語音声データは、リズム音のパートと、英単語の発声音のパートと、日本語訳の発声音のパートとにより構成されている。
【0113】
リズム音のパートでは、140BPMのテンポに合わせてリズム音が発音される。また、このリズム音の拍子は、4/4拍子である。つまり、1小節には4拍が含まれており、1拍に対して4分音符が割り当てられる。この1小節の最初の拍から最後の拍までを、順に「第1拍」、「第2拍」、「第3拍」及び「第4拍」と称する。第1拍は強拍であり、第2拍、第3拍及び第4拍は夫々弱拍である。そして、各拍のタイミングに合わせてリズム音が発音される。なお、第1〜第4の全ての拍のタイミングでリズム音が発音されなくても良い。例えば、第1拍のタイミングでのみリズム音が発音されるようにしても良い。
【0114】
英単語及び日本語訳の発声音のパートでは、25単語分の英単語とその日本語訳の発声音が発音される。つまり、本実施形態では、25個の記憶対象語が、1章の記憶対象語群に相当する。また、25単語における1単語毎に、英単語とその日本語訳の発声音が4回繰り返し発音される。例えば、英単語が「book」であり、その日本語訳が「本」である場合には、「book 本 book 本 book 本 book 本」と発音される。続いて、例えば、「reserve 予約する reserve 予約する reserve 予約する reserve 予約する」と発音される。このように、英単語と日本語訳とが交互に発音される。
【0115】
上記の4回の繰り返しにおける記憶対象語の1回分の発音に対して、1小節が割り当てられる。つまり、1個の記憶対象語に対して4小節が割り当てられる。そして、記憶対象語は25個あるので、全体として100小節が割り当てられる。従って、1章の記憶対象語音声を楽曲としてみた場合、記憶対象語音声は、1曲が100小節の楽曲ということになる。
【0116】
また、英単語の発声音のために1小節中の第1拍目と第2拍目とが割り当てられる。また、日本語訳の発声音のために1小節中の第3拍目と第4拍目とが割り当てられる。実際の割り当ては、英単語や日本語訳の発音時間等によって変化する。英単語の場合、第1拍目は必ず割り当てられるが、第2拍目は、割り当てられる場合と割り当てられない場合とがある。また同様に、日本語語の場合、第3拍目は必ず割り当てられるが、第4拍目は、割り当てられる場合と割り当てられない場合とがある。
【0117】
そして、本実施形態における記憶対象語音声データは、第1拍のタイミングで英単語のアクセントの部分が発音されるように構成される。具体的に、拍のタイミングとは、その拍でリズム音が発音される場合においては、リズム音の発音開始のタイミング、例えば、打楽器等であればその打点のタイミングをいう。別の表現を用いると、1小節を4等分した各期間を拍の期間とすれば、拍のタイミングとは、その拍の期間の開始時である。この場合、拍の期間の開始時にリズム音の発音が開始される。
【0118】
具体例を次に示す。例えば、「book」の発音を「ブック」とすると、アクセントのある「ブ」が第1拍のタイミングで発音される。また、「reserve」の発音を「リザーブ」とすると、アクセントのある「ザ」が第1拍のタイミングで発音される。英語は強勢アクセントのある言語である。従って、このような言語の場合、拍のタイミングで英単語のアクセント部分が発音されるようにすることで、英単語がリズム良く発音される。
【0119】
その一方で、本実施形態における記憶対象語音声データは、第3拍のタイミングで日本語訳の語頭の部分が発音されるように構成される。
【0120】
例えば、「本」の発音は「ホン」であるので、語頭の「ホ」が第3拍のタイミングで発音される。また、「予約する」の発音は「ヨヤクスル」であるので、語頭の「ヨ」が第3拍のタイミングで発音される。なおこの場合、「ス」が第4拍のタイミングで発音される。日本語は、高低アクセントはあるが、強勢アクセントは一般的には無いとされている。このような言語の場合、拍のタイミングで語頭部分が発音されるようにすることで、リズム良く発音される。なお、日本語訳の発音に対して意図的に強勢アクセントを付けても良く、この場合、拍のタイミングでアクセント部分が発音されるようにしても良い。
【0121】
図10は、記憶対象語音声データの作成例を示す図である。前述したように、記憶対象語音声データは、英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304に基づいて作成される。
【0122】
図10に示すように、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304は、記憶対象語音声のリズム音のパートに相当するWAVデータである。ただし、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304は、リズム音とともに、ハーモニーやメロディを伴ったWAVデータであっても良い。また、英単語群WAVデータ302は、記憶対象語音声の英単語の発声音のパートに相当するWAVデータである。この英単語群WAVデータ302は、各英単語のアクセントの発音タイミングが各小節の第1拍のタイミングに合うように構成されている。また、日本語訳群WAVデータ303は、記憶対象語音声の日本語訳の発声音のパートに相当するWAVデータである。この日本語訳群WAVデータ303は、各日本語訳の発音開始タイミングが各小節の第3拍のタイミングに合うように構成されている。
【0123】
生成手段としての制御部11は、上記3個のWAVデータを混合(ミキシング)して記憶対象語音声データを作成する。このとき、制御部11は、英単語群WAVデータ302における各英単語のアクセントの発音タイミングが記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304におけるリズム音の各小節の第1拍に合うように調整する。また、制御部11は、日本語訳群WAVデータ303における各日本語訳の発音開始タイミングが記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304におけるリズム音の各小節の第3拍に合うように調整する。英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304が、140BPMの100小節で予め作成されていれば、制御部11の行う調整としては、混合時の各WAVデータの再生開始位置を互いに一致せれば良い。
【0124】
英単語において、語頭にアクセントがある場合、発音タイミングが上述したとおりで問題はない。ここで、「語頭にアクセントがある」とは、先頭の母音にアクセントがある場合(例えば、「item」の「i」等)、及び、先頭の子音とアクセントのある母音とが一体的に発音される場合(例えば、「book」の「boo」等)を含む。その一方で、語頭にアクセントがない英単語については、アクセント部分よりも前の発音部分が直前の小節の第4拍の期間に入ることとなる。第4拍には日本語訳が割り当てられるので、日本語訳の発声音と英単語の発声音との間隔が非常に短くなったり、又は、日本語訳の発声音と英単語の発声音とが一部重ならざるを得なくなる場合がある。
【0125】
そこで、本実施形態においては、日本語訳の発音終了から当該日本語訳の次に発音される英単語の発音開始までの間隔(以下、「日本語訳と英単語との時間間隔」と称する)が所定時間以上となるように、日本語訳と英単語との時間間隔が所定時間未満となる英単語の発音タイミングが第1拍のタイミングからずれて、第1拍のタイミングで英単語の発音が開始されるように、英単語群WAVデータ302が構成される。
【0126】
所定時間として、日本語訳と英単語との時間間隔の最低限の時間を、最低間隔時間Aとして予め決定する。この最低間隔時間Aは、例えば、テンポ、日本語訳の発音時間、日本語訳と英単語との聞き分けやすさ等によって決定される。
【0127】
例えば、日本語訳は、最大で第3拍と第4拍との2拍に割り当てられる。第3拍のタイミングで日本語訳の発音が開始されるので、下記の式1を満たすような範囲で最低間隔時間Aを決定すると良い。
【0128】
A+K≦60/140×2 ・・・(式1)
式1において、Kは、記憶対象語群に含まれる25個の日本語訳夫々の発音時間のうち最長の発音時間である。また、60は、1分あたりの秒数であり、140はテンポであり、2は拍数である。
【0129】
逆に、日本語訳と英単語との聞き分けやすさから最低間隔時間Aを先に決定したとすると、記憶対象語群に含まれる25個の日本語訳夫々の発音時間が、式1を満たすようにする。つまり、各日本語訳の発音時間は、最長でも、2拍分の時間から最低間隔時間Aを差し引いた残りの時間以下とする。
【0130】
上記最低間隔時間Aは、ジョギング用楽曲データが作成される前の記憶対象語音声データとしてのテンポを基準にした場合の時間である。最終的に、ジョギング用楽曲データが作成される場合、記憶対象語音声を含む各楽曲のテンポは、選択されたコース及びステップに対応したテンポに調整される。その結果、日本語訳と英単語との間隔は最低間隔時間Aよりも短くなる場合もある。ただし、楽曲を聴くユーザは、そのテンポに自然に慣れていくものと考えられる。従って、テンポが速くなれば、ユーザの聴覚がそのテンポに慣れるので、その分日本語訳と英単語との時間間隔を短くしても差し支えない。また、テンポが遅くなれば、その分日本語訳と英単語との時間間隔を長くしても良い。
【0131】
以下、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整の具体例を説明する。図11乃至14は、英単語群WAVデータ302における英単語の発音タイミングの調整例を示す図である。以下に説明する例においては、1章の記憶対象語群の1番目の英単語が「book」、2番目の英単語が「reserve」、3番目の英単語が「proposal」、4番目の英単語が「entertainment」であるものとする。
【0132】
先ず、「book」の発声音である「ブック」のアクセントは、「ブ」にある。そこで、図11(a)に示すように、「ブ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、日本語訳の発声音である「ホン」における「ホ」の発音タイミングを第3拍のタイミングに合わせた場合を考える。「book」の場合、アクセントは語頭にあるので、例えば式1を満たすように最低時間間隔Aが適切に決定されていれば、「ホン」の発音終了から直後の「ブック」の発音開始までの時間間隔t1は、最低時間間隔Aよりも短くなることはない。従って、「ブック」における「ブ」の発音タイミングは、第1拍のタイミングに合わせられる。
【0133】
次に、「reserve」の発声音である「リザーブ」のアクセントは、「ザ」にある。そこで、図11(b)に示すように、「ザ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、日本語訳の発声音である「ヨヤクスル」における「ヨ」の発音タイミングを第3拍のタイミングに合わせ、「ス」の発音タイミングを第4拍のタイミングに合わせた場合を考える。2番目以降の英単語については、その英単語の直前に、当該英単語の日本語訳が発音される場合と、当該英単語の前の順番の英単語の日本語訳が発音される場合とがあるので、夫々について時間間隔を考える必要がある。ここで、「ホン」の発音終了から直後の「リザーブ」の発音開始までの時間間隔t2、及び、「ヨヤクスル」の発音終了から直後の「リザーブ」の発音開始までの時間間隔t3が、何れも最低時間間隔A以上であれば、「リザーブ」の発音タイミングをずらす必要はない。図11(b)は、この場合の例である。
【0134】
次に、「proposal」の発声音である「プロポーザル」のアクセントは、「ポ」にある。そこで、図12(a)に示すように、「ポ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、日本語訳の発声音である「アン」における「ア」の発音タイミングを第3拍のタイミングに合わせた場合を考える。ここで、「ヨヤクスル」の発音終了から直後の「プロポーザル」の発音開始までの時間間隔t4が、最低時間間隔Aより短くなっている。従って、「アン」の発音終了から直後の「プロポーザル」の発音開始までの時間間隔t5が最低時間間隔A以上であっても、「プロポーザル」の発音タイミングがずらされることとなる。
【0135】
具体的に、図12(b)に示すように、「プロポーザル」の発音開始の「プ」の発音タイミングが第1拍に合わせられる。英単語の発音開始タイミングが第1拍に合わせられれば、直前の日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔Aより短くなることはない。
【0136】
次に、「entertainment」の発声音である「エンタテイメント」のアクセントは、「テ」にある。そこで、図13(a)に示すように、「テ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、日本語訳の発声音である「ゴラク」における「ゴ」の発音タイミングを第3拍のタイミングに合わせ、「ク」の発音タイミングを第4拍のタイミングに合わせた場合を考える。ここで、「ゴラク」の発音終了から直後の「エンタテイメント」の発音開始までの時間間隔t7が、最低時間間隔Aより短くなっている。従って、「アン」の発音終了から直後の「エンタテイメント」の発音開始までの時間間隔t6が最低時間間隔A以上であっても、「エンタテイメント」の発音タイミングがずらされることとなる。
【0137】
ここで、「entertainment」は、アクセントが複数ある。つまり、「entertainment」は、最も強く発音される第1アクセント(第1強勢)と、第1アクセントの次に強く発音される第2アクセント(第2強勢)とを有する。「エンタテイメント」においては、第1アクセントは「テ」にあり、第2アクセントは「エ」にある。このように、第1アクセントが第2のアクセントよりも後に発音される場合、英単語の発音開始タイミングが第1拍のタイミングに合わせられ、且つ、第1アクセントの発音タイミングが第2拍のタイミングに合わせられる。具体的に、図13(b)に示すように、「エンタテイメント」の発音開始部分の「エ」の発音タイミングが第1拍に合わせられ、「テ」の発音タイミングが第2拍に合わせられる。またこのとき、「テ」の発音タイミングが第2拍に合わせられるように、例えば、「エンターテイメント」というような発音の仕方によって、発音時間が調整される。これにより、アクセントが複数ある英単語がリズム良く発音される。
【0138】
なお、アクセントが複数あるか否かにかかわらず、発音時間が長い英単語の発音を、第1拍と第2拍との両方に割り当てることは差し支えない。例えば、「proposal」において、「プロポーザル」の「プ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、「ザ」の発音タイミングを第2拍のタイミングに合わせても良い。
【0139】
このように、英単語の発音タイミングをずらして、発音開始のタイミングを第1拍のタイミングに合わせた場合に、英単語の発音が第3拍の期間にまで継続しないようにする必要がある。更に、英単語と日本語訳とをユーザが容易に聞き分けることができるように、英単語の発音終了からその次の日本語訳の発音開始まで間隔を置く必要がある。従って、各英単語の発音時間は、最長でも、2拍分の時間から所定の時間間隔を差し引いた残りの時間以下とする。このときの時間間隔は、例えば、最低間隔時間Aと同一の時間とすると良い。
【0140】
以上のように、英単語のアクセントの発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、日本語訳の発音開始タイミングを第3拍のタイミングに合わせた場合に、日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔A以上の英単語については、そのまま第1拍のタイミングでアクセントが発音されるように、また、日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔A未満の英単語については、第1拍のタイミングで発音が開始されるように、予め英単語群WAVデータ302が作成される。例えば、人間が、140BPMのリズムに合わせ且つ発音タイミングを調整しつつ、英単語の音声のパート部分を発声し、この音声を録音して英単語群WAVデータ302を作成しても良い。
【0141】
そして、英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304とが混合されて記憶対象語音声データが作成され、作成された記憶対象語音声データがパーツWAVデータデータベースに登録される。パーツWAVデータデータベースに登録された記憶対象語音声データにおいては、日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔A以上となっている。
【0142】
ところで、これまでの説明では、日本語訳と英単語との時間間隔に基づいて、英単語の発音タイミングをずらすか否かの切り分けが行われていたが、これとは別の条件で切りかけを行っても良い。
【0143】
第1の例は、英単語の発音開始タイミングからアクセントの発音開始タイミングまでに要する発音時間(以下、「発音開始からアクセントまでの発音時間」と称する)に基づいて切り分けを行う。この場合、発音開始からアクセントまでの発音時間が、所定の発音時間未満である場合は発音タイミングをずらさず、所定の発音時間以上である場合は発音タイミングをずらす。
【0144】
例えば、「international」の発声音である「インタナショナル」のアクセントは、「ナ」にある。そこで、図14(a)に示すように、「ナ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせた場合を考える。ここで、「インタナショナル」の「イ」の発音タイミングから「ナ」の発音タイミングまでの発音時間t8が、所定の発音時間以上である場合、発音タイミングがずらされることとなる。具体的に、図14(b)に示すように、「インタナショナル」の発音開始の「イ」の発音タイミングが第1拍に合わせられる。
【0145】
このときの所定の発音時間を、許容発音時間Bとして予め決定しておく。例えば、許容発音時間Bは、日本語訳と英単語との間隔が最低間隔時間A以上となるように、下記の式2を満たす範囲で予め決定しておくと良い。
【0146】
A+B+K≦60/140×2 ・・・(式2)
第2の例は、英単語のスペルにおいて、アクセントのある文字よりも前にある文字の数に基づいて切り分けを行う。この場合、アクセントのある文字よりも前にある文字の数が、所定の文字数未満である場合は発音タイミングをずらさず、所定の文字数以上である場合は発音タイミングをずらす。
【0147】
例えば、「minority」の発声音である「マイノァリティ」のアクセントは、「ノ」にある。そこで、図14(c)に示すように、「ノ」の発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせた場合を考える。ここで、「minority」のアクセントは「o」にある。この[o]よりも前にある文字は、「min」であり、その文字数は3である。そして、所定の文字数が3文字であると仮定した場合、「min」の文字数は所定の文字数以上となるので、発音タイミングがずらされることとなる。具体的に、図14(d)に示すように、「マイノァリティ」の発音開始の「マ」の発音タイミングが第1拍に合わせられる。
【0148】
このときの所定の文字数を、許容文字数Cとして予め決定しておく。例えば、許容文字数Cについては、文字数をその発音に要する最長の発音時間に換算し、この発音時間を許容発音時間Bに当てはめて、日本語訳と英単語との間隔が最低間隔時間A以上となるように、式2を満たす範囲で予め決定しておくと良い。
【0149】
以上の第1及び第2の例では、英単語のアクセントの発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせ、且つ、日本語訳の発音開始タイミングを第3拍のタイミングに合わせた場合の日本語訳と英単語との時間間隔を算出する必要がない。つまり、第1及び第2の例では、英単語に関する情報のみで、切り分けを行うことが可能である。これは、英単語の直前に発音される日本語訳の発音時間を考慮する必要がないことを意味し、記憶対象語群における英単語の順番が如何様に変わっても、各英単語の発音タイミングをずらすか否かを変更する必要がない。
【0150】
なお、英単語の発音タイミングをずらすか否かの切り分け方法として、日本語訳と英単語との時間間隔に基づく方法、発音開始からアクセントまでの発音時間に基づく方法、及び、アクセントのある文字よりも前にある文字の数に基づく方法のうち、何れか2つの方法を組み合わせて、又は、全ての方法を組み合わせても良い。例えば、発音開始からアクセントまでの発音時間が許容発音時間B以上の英単語や、アクセントのある文字よりも前にある文字の数が許容文字数C以上の英単語については、発音タイミングをずらすものとして予め切り分けておき、これらの条件を満たさない残りの英単語について、日本語訳と英単語との時間間隔に基づいて切り分けを行っても良い。
【0151】
[1.2.3 ジョギング用楽曲データのジョギング本編部分の作成方法]
次に、楽曲配信サーバ1の制御部11によるジョギング用楽曲データのジョギング本編部分の作成方法について、図15及び図16を用いて説明する。
【0152】
図15は、本実施形態に係る各種設定値等を示す図である。また、図16は、ジョギング用楽曲データのジョギング本編部分の作成方法の一例を示す図である。
【0153】
先ず、ジョギング本編部分を作成するための各種設定値等について説明する。
【0154】
図15(a)は、ジョギング本編部分の1ファイル中に含めることができる楽曲本体(芸術音楽及び記憶対象語音声を含む)の曲数の最小値と最大値とを示す表である。図15(a)に示すように、1ファイル中には、3曲以上10曲以下の楽曲本体が含まれる。この最小値と最大値とは、例えば、ジョギング本編部分の長さの調整のし易さや著作権料等に応じて決定される。
【0155】
図15(b)は、各走行テンポにおけるジョギング本編部分の1ファイルに含まれる小節数を示す表である。
【0156】
走行テンポとは、ジョギング本編部分の1ファイルに含まれる小節数を算出するための基準となるテンポである。具体的に、初期テンポと最終テンポとが同値である場合には、
走行テンポ=初期テンポ=最終テンポ
であり、初期テンポと最終テンポとが異なる値である場合には、
走行テンポ=(初期テンポ+最終テンポ)/2
である。本実施形態においては、走行テンポの最小値を100BPMとし、最大値を220BPMとした。
【0157】
また、図15(b)中、ファイル時間とは、ジョギング本編部分の1ファイルの再生時間であり、各テンポ共に、15分及び30分のファイル時間がある。
【0158】
また、ファイル総小節数とは、ジョギング本編部分の1ファイルに含まれる小節数である。この小節数は、1小節を4拍として算出されている。従って、
ファイル総小節数=走行テンポ×ファイル時間/4
である。また、ジョギング本編が複数のファイルで構成される場合には、
各ファイルのファイル総小節数の合計=ジョギング本編の全小節数
である。
【0159】
本実施形態においては、ジョギング本編部分の1ファイルに含まれる楽曲本体、前奏、後奏及び曲間部の再生時間の合計をファイル時間に合わせるために、ジョギング本編部分の長さを小節単位で調整する。これは、走行テンポがどのように変化しても、夫々の曲の小節数は変化しないからで、これによって、ジョギング本編の長さをジョギング時間に合わせることが容易となる。
【0160】
図15(c)は、前奏、曲間部及び後奏に用いられる曲間つなぎデータの小節数を示す表である。
【0161】
本実施形態においては、曲間部の曲間つなぎデータとして、小節数が互いに異なる複数の曲間つなぎデータを用意する。曲間に適切な小節数の曲間部が挿入されることで、ジョギング本編部分の1ファイルの再生時間をファイル時間に合わせ易くする。具体的には、図15(c)に示すように、最少が12小節であり、最大が144小節である。そして、12小節から144小節まで12小節間隔で12種類の長さの異なる曲間つなぎデータを用意する。なお、曲間の12小節は、走行テンポが最大の220BPMであってもガイダンス音声が時間的に曲間に収まる小節数である。
【0162】
更に、本実施形態においては、前奏及び後奏の曲間つなぎデータとして、小節数が互いに異なる複数の曲間つなぎデータを用意する。これは、ジョギング本編部分を構成するファイルの個数、及び、ジョギング本編部分を複数のファイルで構成する場合におけるファイルの再生順に応じて、予め定められた長さの前奏及び後奏を夫々のファイルに入れるためである。
【0163】
図15(d)は、ファイル時間が15分の場合における各テンポの許容最長楽曲小節数を示す表である。
【0164】
許容最長楽曲小節数とは、ジョギング本編部分に含めることができる楽曲本体1曲の最長の小節数である。本実施形態においては、1曲の小節数に上限を設けている。このようにすることの一つの理由は、作成されるジョギング本編部分の長さをファイル時間に合わせることを容易にするためである。
【0165】
具体的に、ファイル時間を最短の15分として、楽曲本体が長いために1ファイルに3曲の楽曲本体しか入らなかった場合でも、曲間に曲間部を挿入することができるようにしなければならない。従って、
許容最長楽曲小節数≦(ファイル総小節数−前奏と後奏の小節数の合計の最大値−曲間部の小節数の最小値×2)/3+1
を満たす必要がある。ここで、前奏と後奏の小節数の合計が最大値となる組み合わせは、前奏が8、後奏が20である。また、曲間部の小節数の最小値は12である。また、最後の「+1」は、楽曲本体の最初の1小節と、その楽曲本体の前に再生される曲間部又は前奏の最後の1小節を重ねて再生させるために、その1小節分を許容最長楽曲小節数に加算している。
【0166】
このように、許容最長楽曲小節数を設定することにより、ジョギング本編部分を構成する楽曲の曲数が下限(3曲)を下回らないようにしている。これは、ユーザの立場から曲数は少なくない方が良いからである。
【0167】
例えば、走行テンポが100BPMの場合における許容最長楽曲小節数は108である(3.09分)。同様に、110BPMの場合は121小節(3.46分)、120BPMの場合は133小節(3.80分)、130BPMの場合は146小節(4.17分)、155BPMの場合は177小節(5.06分)、170BPMの場合は196小節(5.60分)、190BPM及び220BPMの場合は210小節である(6.00分)。なお、図15(c)中の再生時間は140BPMにおける再生時間である。ここで、140BPMにおける1曲の再生時間の許容最大値を6分としたため、許容最長楽曲小節数は、最大でも210小節である。
【0168】
また、ファイル時間が30分である場合の許容最長楽曲小節数は、どのテンポであっても210小節である。
【0169】
以下においては、ジョギング本編部分(本実施形態に係る記憶対象語音声を含む)の具体的な作成方法を、テンポが一定の場合とテンポが上昇する場合とで分節して説明する。なお、本実施形態においては、いずれのテンポ又はトレーニングコースの場合でも、経験的にジョギング開始後約15分経過後から徐々にランニングハイ状態が始まることを前提としており、ジョギング本編部分の最初からランニングハイ状態が始まる以前は楽曲本体データの再生を行い、ランニングハイ状態が始まった以降はジョギング本編部分の最後まで記憶対象語音声データの再生を行うものとしている。
【0170】
[1.2.3.1 テンポが一定の場合]
図16に示す例では、テンポ140BPMの楽曲データ及び記憶対象語音声データを全て160BPMの楽曲データに変換して、ファイル時間30分(ファイル総小節数1200)のジョギング本編を作成する場合の例であり、楽曲本体データとしては、曲A〜曲Eの5個の楽曲本体データが、この選曲順で選択されたものとする。また、記憶対象語音声データとしては、音声F〜音声Jの5個の記憶対象語音声データが、この選曲順で選択されたものとする。更に、曲間つなぎデータとしては、前奏及び後奏の曲間つなぎデータの他に、12小節の曲間部aから144小節の曲間部lまでの12個の曲間つなぎデータが用意されている。
【0171】
制御部11は、楽曲本体データ、記憶対象語音声データ及び曲間つなぎデータを、夫々テンポ160BPMの楽曲本体データ、記憶対象語音声データ及び曲間つなぎーデータに変換する。ここで、各楽曲の演奏時間及び記憶対象語音声の再生時間は、元の7/8(140BPM/160BPM)となる。
【0172】
そして、制御部11は、前奏の曲間つなぎデータをジョギング本編の先頭に挿入し、後奏の曲間つなぎデータをジョギング本編の最後に挿入する。また、制御部11は、曲A〜曲Eの楽曲本体データ及び音声F〜音声Jの記憶対象語音声データを、この曲順で、前奏の曲間つなぎデータと後奏の曲間つなぎデータとの間に挿入する。
【0173】
この時点におけるジョギング本編の小節数、すなわち、前奏と曲A〜曲Eと音声F〜音声Jの記憶対象語音声と後奏との小節数の合計は、160BPMにおけるファイル時間30分に対応する小節数である1200小節未満となる。そして、制御部11が、各楽曲本体データ及び各記憶対象語音声データの間に、曲間部a〜曲間部lのうち適切な長さの曲間つなぎデータを夫々挿入することにより、ジョギング本編の最終的な小節数が、ファイル総小節数である1200小節となるように調整する。曲間部の曲間つなぎデータは12小節間隔で用意されているので、ファイル時間に相応する小節数と実際に作成されるジョギング本編部分の小節数の差は最大でも±6小節分で済ませることができる。このように、必ずしも丁度1200小節になるようにジョギング本編を作成する必要はなく、多少のズレがあっても良い。
【0174】
また、制御部11は、およそ中心に位置する曲間部の小節数が可能な限り多くなるよう、各曲間部の小節数を調整する。これは、長い曲間を1箇所に集中させることで他の曲間を短くし、曲間が間延びした印象をユーザに与えないためである。また、中心に位置する曲間に長い曲間部を挿入することで、メリハリが生まれる。その他の位置には、極力小節数の少なく且つ長さが均等になるような曲間部が挿入される。図16に示す例では、全部で5曲の楽曲と5章の記憶対象語音声が選択されているので、5曲目である曲Eと最初の記憶対象語音声との曲間に144小節の曲間部が挿入され、その他の曲間には12小節又は24小節の曲間部が挿入されている。
【0175】
なお、小節数が多い曲間部を必ずしも中心に位置する曲間に挿入する必要はなく、また、1箇所のみに挿入する必要もない。例えば、全体の3分の1の楽曲が終わった後に小節数が多い曲間部を挿入し、更に3分の1の楽曲が終わった後に小節数が多い曲間部を挿入しても良い。ただし、間延びした印象を与えないためにも、小節数が多い曲間部を挿入する箇所を、極力少なめ(例えば、多くても全曲間の半分以下)にすることが望ましい。
【0176】
曲間部の曲間つなぎデータは、各楽曲本体の曲間を曲間部でつなぐことにより、音楽的(聴覚的)に自然な形で各楽曲本体を接続して演奏するために用いられる楽曲データである。
【0177】
ここで、楽曲本体データは、図3において説明したように、楽曲本体MIDIデータ105から変換された楽曲本体のWAVデータにジョギングアレンジドラムベースWAVデータ106が合成されて作成される。このとき、楽曲本体の曲調に合ったリズムパターンのジョギングアレンジドラムベースWAVデータ106が選択される。
【0178】
また、記憶対象語音声データは、図11において説明したように、英単語群WAVデータ302と日本語訳群WAVデータ303に、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304が合成されて作成される。
【0179】
ジョギング用楽曲データを構成する複数の楽曲本体(芸術音楽及び記憶対象語音声を含む)夫々のリズムパターンが全て同一であれば、曲間部の曲間つなぎデータとしては、これと同一のリズムパターンのデータのみを用意すれば、各楽曲の接続前後でリズムパターンが変化しないため、自然な形で演奏及び再生を継続することができる。しかしながら、楽曲本体のリズムパターンが曲毎に異なるような場合においては、一つのパターンでは、各楽曲の接続前後でリズムパターンが急激に変化し、音楽的に不自然となる。
【0180】
そこで、本実施形態においては、ジョギング用楽曲データを構成する複数の楽曲本体のリズムパターンが2パターン以上存在する場合には、これに応じて、複数のリズムパターンの曲間部の曲間つなぎデータを用意する。
【0181】
例えば、ある楽曲本体とその次の楽曲本体のリズムパターンとが異なる場合には、前の楽曲本体に接続する部分においては、その楽曲本体のリズムパターンと同じ(又は近い)リズムパターンで演奏が開始され、次の楽曲本体に接続する部分においては、その楽曲本体のリズムパターンと同じ(又は近い)リズムパターンで演奏が終了し、演奏が進行するに従ってリズムパターンが次第に変化していくような曲間部を用意する。
【0182】
そして、例えば、ジョギング用楽曲データを構成する複数の楽曲本体のリズムパターンとして、XとYとの2つのパターンが混在している場合には、リズムパターンがX一定の曲間部、Y一定の曲間部、XからYに変化する曲間部、YからXに変化する曲間部の4つを、曲間部a〜曲間部fの夫々について用意する(例えば、曲間部aの場合には、リズムパターンがX一定の曲間部a1、Y一定の曲間部a2、XからYに変化する曲間部a3、YからXに変化する曲間部a4)。
【0183】
制御部11は、曲間部を挿入する曲間前後の楽曲本体データの楽曲情報又は記憶対象語音声データの内容情報等を参照して、楽曲本体のリズムパターンを認識し、これに対応したリズムパターンとなる曲間部の曲間つなぎデータを挿入する。
【0184】
ここで、制御部11は、楽曲本体データと曲間部の曲間つなぎデータとを接続する場合に、楽曲本体の最初の1小節と曲間部(楽曲本体がそのファイルの1曲目である場合には前奏)の最後の1小節とを重複させて接続する。これは、シンコペーションで始まる楽曲の本体開始部分と曲間部の終了部分とを自然に繋げるためである。
【0185】
つまり、小節を跨いだシンコペーションでは、1小節目の最後で実際の演奏が開始される場合がある。例えば、1小節目の4拍子目で演奏が開始されるとする。そうすると、1小節目の最初の3拍子分は何のメロディーも演奏されないこととなるので、曲間部の最後の部分と楽曲本体との最初の部分との接続部分で、音楽的に不自然な部分ができてしまう。そこで、楽曲本体の最初の1小節と曲間部の最後の1小節とを重複させるのである。なお、シンコペーションで始まらない楽曲本体では、最初の1小節は無音で作成されている。そして、制御部11は、楽曲本体と曲間部とを一律に1小節分重複させる。
【0186】
こうしたことから、小節数を計算する場合においては、各楽曲本体の小節数から夫々1小節減算する必要がある。
【0187】
なお、ジョギング本編の最初の楽曲本体の前に挿入される前奏の曲間つなぎデータは、その楽曲本体のリズムパターンと同じ(又は近い)リズムパターンのデータを用い、ジョギング本編の最後の楽曲本体の後に挿入される後奏の曲間つなぎデータは、その楽曲本体のリズムパターンと同じ(又は近い)リズムパターンのデータを用いることが望ましい。
【0188】
[1.2.3.2 テンポが上昇する場合]
テンポが上昇する場合、つまり、
初期テンポ<最終テンポ
である場合も、テンポの調整以外は、テンポが一定の場合と基本的に同様である。つまり、再生途中でテンポが変わろうと変わるまいと、各曲の小節数は変わらないから、ファイル総小節数さえ確定していれば、実際に作成するジョギング本編部分の小節数の調整は容易に行うことができる。
【0189】
これを、例えば、小節数ではなく演奏時間の再生時間で調整しようとすると、途端に複雑となる。なぜなら、各曲の演奏時間等を求めるためには、先ず、夫々のテンポを求めなければならない。しかし、各曲の再生位置(ジョギング本編先頭の再生が開始されてからの経過時間)が判らなければ、各曲に対して適切なテンポを求めることもできない。そこで、演奏時間又は再生時間やテンポを仮に設定等した上で、全体の演奏時間を調整することとなるが、小節数で調整する場合と比較して、明らかに処理が複雑になる。また、テンポが一定の場合とテンポが上昇する場合とで処理を変えなければならない。更には、仮に設定したテンポと実際のテンポとがずれることがあるため、このことに起因して、計算した全体の演奏時間とファイル時間との誤差が大きくなる場合がある。小節数で調整するようにすれば、こうした不都合は生じない。
【0190】
次に、テンポについても、小節単位で調整を行う。具体的に、ジョギング本編の最初の小節のテンポを初期テンポとし、最後の小節のテンポを最終テンポとして、その間の小節については、初期テンポから最終テンポまでなだらかにテンポが変化するように調整する。例えば、初期テンポが160BPM、最終テンポが170BPM、ファイル総小節数が1200小節である場合は、最初の小節を160BPMとし、1小節経過する毎に1/120BPMずつテンポが上昇するように各小節のテンポを調整する。
【0191】
[1.3 楽曲配信サーバの動作]
[1.3.1 記憶対象語音声データ作成処理]
次に、楽曲配信サーバ1の動作について説明するが、始めに、記憶対象語音声データ作成処理について、図17を用いて説明する。
【0192】
図17は、本実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【0193】
図17の処理は、例えば、オペレータからの指示操作によって、記憶対象語WAVパーツデータ書き出しプログラム205が起動したときに開始される。先ず、制御部11は、パーツWAVデータデータベースから、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304を取得し、取得したWAVデータをRAMに記憶する(ステップS401)。
【0194】
次いで、制御部11は、パーツWAVデータデータベースから、英単語群WAVデータ302と、当該英単語群WAVデータ302に対応する日本語訳群WAVデータ303とを取得し、取得したWAVデータをRAMに記憶する(ステップS402)。取得される英単語群WAVデータ302と日本語訳群WAVデータ303とは、再生される英単語群と日本語訳群とが対応している。つまり、取得された英単語群WAVデータ302に基づいて再生される英単語の日本語訳が、取得された日本語訳群WAVデータ303に基づいて再生される。取得すべき英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303は、例えば、オペレータからの指示に基づいて選択されても良いし、取得するWAVデータが予め記載された設定ファイルに基づいて選択されても良い。
【0195】
次いで、制御部11は、取得した記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304、英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303を混合することにより、記憶対象語音声データを作成する(ステップS403)。このとき、制御部11は、日本語訳の発音開始タイミングがリズム音の第3拍のタイミングに合うように、日本語訳群WAVデータ303の再生位置及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304の再生位置を調節する。また、制御部11は、日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔A以上となる英単語のアクセントの発音タイミングがリズム音の第1拍のタイミングに合うように、且つ、日本語訳と英単語との時間間隔が最低時間間隔A未満となる英単語の発音開始タイミングがリズム音の第1拍のタイミングに合うように、英単語群WAVデータ302の再生位置及び記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304の再生位置を調節する。
【0196】
もっとも、英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303が、前記1.2.2.2項で説明したような適切な構成となっていれば、再生位置の調整としては、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304、英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303夫々の先頭の再生位置を互いに一致させれば良い。
【0197】
次いで、制御部11は、作成した記憶対象語音声データをパーツWAVデータデータベースに登録する(ステップS404)。制御部11は、この処理を終えると、記憶対象語音声データ作成処理を終了させる。
【0198】
[1.3.2 メイン処理]
次に、メイン処理について、図18を用いて説明する。
【0199】
図18は、本実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11のメイン処理における処理例を示すフローチャートである。
【0200】
先ず、ユーザ操作により、ユーザPC2が楽曲配信サーバ1にアクセスすると、図18に示すように、楽曲配信サーバ1の制御部11は、ログイン処理を実行する(ステップS1)。具体的に、制御部11は、ユーザPC2からユーザID、パスワード等を受信し、認証処理を行って、ユーザを特定する。
【0201】
次いで、制御部11は、コース選択処理を実行する(ステップS2)。具体的に、制御部11は、所定のコース選択用WEBページをユーザPC2に送信して、図4において説明したように、ユーザにトレーニングコースを選択させ、選択されたトレーニングコースの情報をユーザPC2から受信する。
【0202】
次いで、制御部11は、所定のWEBページをユーザPC2に送信して、ユーザに自分の体重及び性別並びに所望する記憶対象語群名を入力させ、これらの情報をユーザPC2から受信する(ステップS3)。このユーザの体重は、ジョギング中におけるユーザのカロリー消費の計算に用いられ、性別は、最終的なトレーニングコースの決定に用いられる。性別によって運動能力に差があるため、同じトレーニングコースでも性別によってその内容(具体的には、ジョギング時間及びテンポ)を若干変えるのである。また、入力された記憶対象語群名を示すデータは、上述してきたように各楽曲に続けてランニングハイ状態に移行したタイミング以降に再生する記憶対象語音声の設定に用いられる。
【0203】
次いで、制御部11は、ユーザPC2から受信されたトレーニングコースの情報と性別の情報とに基づいて、最終的なトレーニングコースを決定する(ステップS4)。
【0204】
なお、ステップS2において、特定されたユーザが前回までに選択したトレーニングコースを変更しない場合には、ステップS3の処理を省略し、ユーザのトレーニング情報から、トレーニングコースの情報を取得しても良い。
【0205】
次いで、制御部11は、ステップを決定する(ステップS5)。具体的に、制御部11は、先ず、システム側で推奨するステップを提示するWEBページをユーザPC2に送信する。例えば、今回新たなトレーニングコースが選択された場合には、ステップ1が推奨され、前回までのトレーニングコースが変更されない場合には、現在のステップ、当該トレーニングコースのジョギング用楽曲データを最初にダウンロードした日からの経過日数等に応じて相応しいステップが推奨される。ここで、ユーザPC2を操作することによって、提示されたステップをユーザが承諾した場合には、その旨のリクエストがユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信される一方、ユーザがステップを変更する場合には、その旨のリクエストがユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信される。そして、制御部11は、このリクエストに基づいて、ステップを決定する。
【0206】
次いで、制御部11は、決定されたトレーニングコース及びステップに対応するジョギング時間(記憶対象語音声データの再生時間を含む)、初期テンポ及び終了テンポを、コース情報から取得し、RAM上の所定領域に設定する(ステップS6)。
【0207】
次いで、制御部11は、ジョギング時間に基づいて、図7で説明したように、ファイル時間FT(1)〜FT(N)を設定する。例えば、制御部11は、ジョギング時間が15分である場合には、N=1、FT(1)=15を設定し、ジョギング時間が45分である場合には、N=2、FT(1)=30、FT(2)=15を設定する。
【0208】
次いで、制御部11は、ウォーミングアップ曲のファイル名を設定する(ステップS8)。具体的に、制御部11は、コース番号及び今日の日付を含むと共に、通し番号として「1」を含むファイル名を設定する(例えば、「001−20080701−1.MP3」等。ここで、「001」はコース番号、「20080701」は日付、「1」は通し番号である)。
【0209】
後述するが、制御部11は、上記の命名規則で、ジョギング本編とクールダウン曲についても通し番号を増加させながらファイル名を設定する。これは、携帯音楽プレーヤ3でジョギング用楽曲データを再生する際に、規定された順番(ウォーミングアップ曲、ジョギング本編の1番目のファイル、ジョギング本編の2番目のファイル…クールダウン曲)でファイルを再生させるためである。MP3フォーマットのデータでは、IDタグを設定することができるが、このIDタグにはトラック番号も含めることができる。携帯音楽プレーヤ3がIDタグを参照してファイルの再生順を決定するのであれば問題はないが、IDタグに対応していない機種も存在する。このような機種では、ファイル名の順(例えば、ASCII(American Standard Code for Information Interchange)コード(文字コードの一例)で昇順となるように)で再生を行うものが多い。そこで、制御部11は、上述したようにファイル名を設定する。
【0210】
次いで、制御部11は、ファイル番号iに1を設定する(ステップS9)。
【0211】
次いで、制御部11は、後述する使用楽曲決定処理を実行することにより、i番目のジョギング本編1ファイルに相当するジョギング用楽曲データの作成に用いられる楽曲データ、記憶対象語音声データ、曲間つなぎデータと、その演奏(再生)順序を決定する(ステップS10)。
【0212】
次いで、制御部11は、ジョギング用楽曲データ作成処理を実行することにより、i番目のジョギング本編1ファイルに相当するジョギング用楽曲データを作成する(ステップS11)。
【0213】
次いで、制御部11は、ファイル番号iに1を加算して(ステップS12)、ファイル番号iがファイル数Nより大きいか否かを判定する(ステップS13)。このとき、制御部11は、ファイル番号iがファイル数Nよりも大きくない場合には(ステップS13:NO)、ステップS10に移行する。
【0214】
一方、制御部11は、ファイル番号iがファイル数Nより大きい場合には(ステップS13:YES)、クールダウン曲のファイル名を設定する(ステップS14)。具体的に、制御部11は、コース番号及び今日の日付を含むと共に、通し番号としてN+1を含むファイル名を設定する。
【0215】
次いで、制御部11は、作成したジョギング用楽曲データをユーザPC2に送信する(ステップS15)。具体的に、制御部11は、ウォーミングアップ曲のファイル、ジョギング本編(一又は複数の記憶対象語音声を含む)のファイル及びクールダウン曲のファイル夫々へのリンクを含むダウンロード用のWEBページをユーザPC2に送信して、ダウンロードするファイルをユーザに選択させる。そして、制御部11は、ユーザに選択されたリンクに設定されているURL(Uniform Resource Locator)の情報をPC2から受信して、このURLに対応するファイルをユーザPC2に送信する。
【0216】
そして、制御部11は、ユーザが必要なだけのファイルの送信を行うと、メイン処理を終了させる。
【0217】
[1.3.3 使用楽曲決定処理]
次に、使用楽曲決定処理について、図19を用いて説明する。
【0218】
図19は、本実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の使用楽曲決定処理における処理例を示すフローチャートである。
【0219】
使用楽曲決定処理が開始されると、図19に示すように、制御部11は、演奏リストを初期化する(ステップS101)。
【0220】
次いで、制御部11は、走行テンポTMPの設定を行う(ステップS102)。走行テンポTMPは、初期テンポ、終了テンポ、ファイル番号i及びファイル時間FT(1)〜FT(N)に基づいて設定される。具体的に、制御部11は、初期テンポと終了テンポとが一致する場合には、走行テンポTMPに初期テンポを設定する。また、制御部11は、初期テンポと終了テンポとが一致しない場合には、
(ファイル初期テンポ+ファイル終了テンポ)/2
を計算し、この計算結果を走行テンポTMPに設定する。ここで、ファイル初期テンポとは、ジョギング本編のi番目のファイルにおける最初の曲のテンポであり、ファイル終了テンポとは、ジョギング本編のi番目のファイルにおける最後の曲のテンポである。ファイル初期テンポ及びファイル終了テンポは、以下の式により求めることができる。
【0221】
ファイル初期テンポ=(初期テンポ−終了テンポ)×(FT(1)〜FT(i−1)の合計)/ジョギング時間
ファイル終了テンポ=(初期テンポ−終了テンポ)×(FT(1)〜FT(i)の合計)/ジョギング時間
制御部11は、走行テンポTMPを設定すると、
TMP×FT(i)/4
を計算し、この計算結果をファイル総小節数FMに設定する(ステップS103)。
【0222】
次いで、制御部11は、前奏の小節数と後奏の小節数とを設定する(ステップS104)。具体的に、制御部11は、ファイル番号i及びファイル数Nの組み合わせに対応する前奏の小節数と後奏の小節数とを設定する。また、制御部11は、設定された小節数の前奏を演奏リストの先頭セットするとともに、設定された小節数の後奏を演奏リストの最後にセットする。
【0223】
次いで、制御部11は、許容最長楽曲小節数MPMを設定する(ステップS105)。具体的に、制御部11は、ファイル時間FT(i)が30分である場合には、210を許容最長楽曲小節数MPMとして設定する。一方、制御部11は、ファイル時間FT(i)が15分である場合には、図15(d)に示すように、走行テンポTMPに対応するテンポを許容最長楽曲小節数MPMとして設定する。
【0224】
次いで、制御部11は、ジョギング本編を構成する複数の楽曲を選定する(ステップS106)。具体的に、制御部11は、複数の楽曲を選定すべく、楽曲選択処理を複数回実行する。
【0225】
楽曲選択処理において、制御部11は、先ず、特定されたユーザの履歴情報を参照して、前回までにユーザが選択したアルバム、アーティスト又はジャンル(以下、単に「アルバム等」と称する)と、そのアルバム等に含まれる楽曲(記憶対象語音声を含む)のリストと、を提示するWEBページをユーザPC2に送信する。この時制御部11は、上記ステップS3の処理においていずれかの記憶対象語音声の名称が入力されている場合、当該入力されている名称に対応する記憶対象語音声を含む上記リストを提示する上記WEBページをユーザPC2に送信する。
【0226】
ここで、ユーザPC2を操作することによって、ユーザが、提示されたアルバム等(記憶対象語音声を含む。以下同様)を別のアルバム等に変更せずに楽曲又は記憶対象語群を選択した場合には、その楽曲の楽曲選択リクエストがユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信される。
【0227】
一方、ユーザが、提示されたアルバム等を別のアルバム等に変更した場合には、選択されたアルバム等のアルバム等選択リクエストがユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信され、制御部11は、これに応じて、アルバム等のリストやアルバム等の検索メニューを提示するWEBページデータをユーザPC2に送信する。そして、ユーザがアルバム等を選択し、そのアルバム等に含まれる複数の楽曲又は記憶対象語音声の中から所望する楽曲又は記憶対象語音声を選択すると、その楽曲又は記憶対象語音声の楽曲選択リクエストがユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信される。
【0228】
制御部11は、この選択リクエストを受信することによって、1曲の楽曲データを特定し選定する。そして、制御部11は、選定した楽曲を、選定した順番に相当する曲順目の楽曲として演奏リストにセットする。
【0229】
ここで、制御部11は、ユーザに楽曲を選択させる際に、選択可能な楽曲の小節数を許容最長楽曲小節数MPM以下に制限する。例えば、制御部11は、楽曲のリストを提示するWEBページをユーザPC2に送信する際、小節数が許容最長楽曲小節数MPMよりも多い楽曲をリストから除外する。
【0230】
制御部11は、上記楽曲選択処理の繰り返し実行により、少なくとも3曲の楽曲が選定されるように制御するとともに、1ファイルに含めることが可能な曲数まで楽曲が選定されるように制御する。具体的に、制御部11は、ファイル総小節数FMから、前奏、後奏、これまでに選択された曲数分の楽曲及び当該曲数分の曲間部の最短の小節数の合計を差し引いた残り小節数が、許容最長楽曲小節数MPM未満となるまで、楽曲選択処理を繰り返して楽曲を選定する。
【0231】
なお、演奏時間が演奏開始から15分を経過した以降は、制御部11は、芸術音楽としての楽曲ではなく記憶対象語音声を選定していくこととなる。
【0232】
制御部11は、楽曲の選定を終えると、およそ中心に位置する曲間に、12小節から144小節まで12種類の曲間部の中から可能な限り小節数が多い曲間部をセットする(ステップS107)。具体的に、制御部11は、許容最長楽曲小節数MPMと、前奏、後奏及び選択された楽曲の各小節数に基づいて、およそ中心に位置する曲間を除く各曲間に最小の小節数である12小節の曲間部をセットした場合に、およそ中心に位置する曲間にセットすることができる小節数が最多となる曲間部をセットする。ここで、およそ中心に位置する曲間とは、選定された楽曲の曲数が偶数である場合、曲数/2曲目の後に位置する曲間であり、選定された楽曲の曲数が偶数である場合、例えば、(曲数+1)/2曲目の後に位置する曲間である。
【0233】
次いで、制御部11は、およそ中心に位置する曲間を除く残りの全ての曲間にも曲間部をセットする(ステップS108)。具体的に、制御部11は、各曲間部の小節数が極力均等になるように、且つ、前奏、後奏、選択された楽曲及び各曲間部の小節数の合計が、ファイル総小節数FMに最大限近づくように、12小節から144小節まで12種類の曲間部の中から各曲間部をセットする。制御部11は、この処理を終えると、使用楽曲決定処理を終了させる。
【0234】
[1.3.4 ジョギング用楽曲データ作成処理]
次に、ジョギング用楽曲データ作成処理について、図20を用いて説明する。
【0235】
図20は、本実施形態に係る楽曲配信サーバ1の制御部11のジョギング用楽曲データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【0236】
ジョギング用楽曲データ作成処理が開始されると、図20に示すように、制御部11は、演奏リストにセットされている楽曲の楽曲本体データ又は記憶対象語群の記憶対象語音声データをパーツWAVデータデータベースから取得すると共に、演奏リストにセットされている前奏、後奏及び曲間部の曲間つなぎデータをパーツWAVデータデータベースから取得する(ステップS301)。このとき、各曲間つなぎデータは、その前に接続される楽曲本体データ又は記憶対象語音声データのリズムパターンとその後に接続される楽曲本体データのリズムパターンとに合わせたものが取得される。
【0237】
次いで、制御部11は、取得した楽曲本体データ又は記憶対象語音声データと、曲間つなぎデータとを、演奏リストにセットされている順序で接続して、ジョギング本編部分のWAVデータを作成する(ステップS302)。このとき、制御部11は、各楽曲又は記憶対象語音声の最初の1小節とその前の曲間部の最後の1小節とを重複させて接続する。
【0238】
次いで、制御部11は、ファイルの初期テンポから最終テンポまで滑らかにテンポが変化するように小節単位でテンポの調整を行いながら、ジョギング本編部分のWAVデータを変換する(ステップS303)。この結果、初期テンポ=最終テンポである場合には、全小節が同一のテンポとなり、初期テンポ<最終テンポである場合には、1小節毎にテンポが少しずつ上昇する。
【0239】
次いで、制御部11は、ガイダンス音声の音声データを、対応する位置の曲間にセットされる曲間部の曲間つなぎデータに合成する(ステップS304)。
【0240】
次いで、制御部11は、エンコーダ部14によりジョギング本編部分のフォーマットをMP3フォーマットに変換することによってi番目のジョギング用楽曲データのファイルを作成し、これを記憶部12に記憶させる。(ステップS305)。
【0241】
次いで、制御部11は、i番目のジョギング用楽曲データのファイル名を設定する(ステップS306)。具体的に、制御部11は、コース番号及び今日の日付を含むと共に、通し番号としてi+1を含むファイル名を設定する。
【0242】
このようにして、制御部11は、ジョギング用楽曲データをユーザPC2によってダウンロード可能なように記憶させる。つまり、制御部11は、ダウンロード用のWEBページからユーザの選択に基づいてユーザPC2から送信されてきたURLに対応するジョギング用楽曲データを記憶部12から取得し送信することができるように、ジョギング用楽曲データを、記憶位置を示すパス及びファイル名を設定して記憶させるのである。
【0243】
制御部11は、この処理を終えると、ジョギング用楽曲データ作成処理を終了させる。
【0244】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部11が、英単語群WAVデータ302、日本語訳群WAVデータ303及びドラムベースWAVデータ304に基づいて、互いに異なる複数の記憶対象語夫々について複数回その発声音が発音されるとともに、リズム音が発音され、且つ、英単語のアクセントの発音タイミングが拍のタイミングに合わせて英単語と日本語訳とが交互に発音されるように構成された記憶対象語音声データを作成する。ここで、制御部11が、日本語訳の発音終了からその次に発音される英単語の発音開始までの時間間隔が最低間隔時間A以上になるように、英単語のアクセントの発音タイミングを拍のタイミングに合わせたときの前記時間間隔が最低間隔時間A未満となる英単語のアクセントが拍のタイミングからずれて発音される記憶対象語音声データを作成する。そして、制御部11が、作成された記憶対象語音声データをパーツWAVデータデータベースに登録し、登録された記憶対象語音声データを含むジョギング用楽曲データをユーザPC2に送信する。
【0245】
従って、原則、英単語のアクセントの発音タイミングは拍のタイミングに合わせられているが、日本語訳の発音終了から当該日本語訳の次に発音される英単語の発音開始までの時間間隔が最低間隔時間Aとなる当該英単語については、アクセントの発音タイミングが拍のタイミングからずれていることによって、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる記憶対象語音声データが作成される。よって、作成された記憶対象語音声データが携帯音楽プレーヤ3により再生処理されることによって、英単語と日本語訳とを聞き分けることが容易な間隔で英単語と日本語訳とを再生することが可能となるので、英単語とその日本語訳とをユーザが確実に記憶することができる。
【0246】
また、英単語のアクセントの発音タイミングは、あくまでも拍からずらされ、例えば、第1拍のタイミングから第2拍のタイミングにずらされる(英単語のアクセントの発音タイミングは結局拍のタイミングに合わされる)わけではないので、単位時間当たりに再生される単語数が減ることを防止することができ、英単語とその日本語訳とをユーザが効率的に記憶することができる。
【0247】
また、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる英単語の発音開始タイミングが拍のタイミングに合わせられた記憶対象語音声データが作成される。
【0248】
従って、英単語の発声音がリズム良く再生され、英単語とその日本語訳とをより記憶させやすくすることができる。
【0249】
また、リズム音における1小節中の第1拍と第2拍とが英単語に割り当てられ、且つ、当該1小節中の第3拍と第4拍とが日本語訳とに割り当てられており、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる英単語が第1アクセントと第2アクセントとを有し、且つ、第1アクセントが第2アクセントよりも後に発音される単語である場合、当該英単語の発音開始タイミングが第1拍に合わせられ、且つ、第1アクセントの発音タイミングが第2拍に合わせられた記憶対象語音声データが作成される。
【0250】
従って、第1アクセントと第2アクセントとを有する英単語の発声音がリズム良く再生され、英単語とその日本語訳とをより記憶させやすくすることができる。
[2.第2実施形態]
上記説明した第1実施形態においては、発音タイミングが予め調整された英単語群WAVデータ302と日本語訳群WAVデータ303とを用いて記憶対象語音声データが作成されるようになっていた。これに対し、以下に説明する第2実施形態においては、ユーザにより指定された英単語の音声データ及び指定された英単語に対応する日本語訳の音声データを用いて、発音タイミングを調整しつつ記憶対象語音声データが作成される。
【0251】
本実施形態において、通信システムSの構成及び楽曲配信サーバ1のハードウエア構成は、第1実施形態の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0252】
なお、本実施形態における制御部11は、本発明において、生成手段、送信手段、判定手段、第1語指定情報受信手段、第1語音声情報取得手段及び第2語音声情報取得手段の一例を構成する。また、記憶部12は、記憶手段及び第1語情報記憶手段の一例を構成する。
【0253】
[2.1 辞書データベースの構成]
次に、本実施形態に係る辞書データベースの構成について、図21を用いて説明する。
【0254】
図21は、辞書データベースに登録される情報の内容の一例を示す図である。本実施形態において、記憶部12には、パーツWAVデータデータベースに加えて、辞書データベースが構築されている。
【0255】
図21に示すように、辞書データベースには、各英単語に関する情報が登録されている。具体的に、辞書データベースには、英単語毎に、英単語のスペル(第1語情報の一例)、英単語WAVデータ305(第1語音声情報の一例)、アクセント位置情報(アクセント情報の一例)、日本語訳、及び日本語訳WAVデータ306(第2語音声情報の一例)、日本語訳発音時間が対応付けて登録されている。ここで、英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306は、本発明のペア語の情報の一例である。
【0256】
英単語のスペルは、英語のスペルの文字データであり、例えば、ユーザから指定された英単語を特定するための識別情報としての役割を有している。
【0257】
英単語WAVデータ305は、対応する英単語の発声が開始されてから終了するまでの当該発声音が記録されたWAVデータである。この英単語WAVデータ305における英単語の発声のテンポは140BPMに調整されている。また、英単語WAVデータ305としては、発音パターン1と発音パターン2の2種類のWAVデータが、辞書データベースに登録されている。発音パターン1の英単語WAVデータ305は、英単語のアクセントの発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせた場合における発声音のWAVデータである。また、発音パターン2の英単語WAVデータ305は、英単語の発音開始タイミングを第1拍のタイミングに合わせた場合における発声音のWAVデータである。発音のタイミングによって、リズム音に合う発音の仕方が変わる場合がある。そのため、2種類の英単語WAVデータ305が用意されている。
【0258】
また、アクセントを複数有し、且つ、第1アクセントが第2アクセントよりも後に発音される英単語については、拍のタイミングで発音が開始され、且つ、当該拍の次の拍のタイミングで第1アクセントが発音されるように、発音パターン2の英単語WAVデータ305が調整されている。従って、発音パターン2の英単語WAVデータ305を用いて英単語の発音開始タイミングを第1拍に合わせることによって、当該英単語の第1アクセントの発音タイミングは、第2拍に自動的に合わせられることとなる。なお、例えば「book」等の、語頭にアクセントがある英単語については、発音タイミングがずらされることがないので、発音パターンとしては発音パターン1のみで良い。従って、このような英単語については、発音パターン1の英単語WAVデータ305を登録しておき、発音パターン2の英単語WAVデータ305は登録しなくても良い。
【0259】
アクセント位置情報は、対応する英単語の発音パターン1における発音開始からアクセントまでの発音時間である。つまり、アクセント位置情報は、対応する発音パターン1の英単語WAVデータ305を最初からアクセントの再生位置まで再生するのに要する時間である。
【0260】
日本語訳は、対応する英単語の日本語訳の文字データである。
【0261】
日本語訳WAVデータ306は、対応する日本語訳の発声が開始されてから終了するまでの当該発声音が記録されたWAVデータである。この日本語訳WAVデータ306における日本語訳の発声のテンポは140BPMに調整されている。
【0262】
日本語訳発音時間は、対応する日本語訳の発音に要する時間である。つまり、日本語訳発音時間は、日本語訳WAVデータ306を最初から最後まで再生するのに要する時間である。
【0263】
[2.2 記憶対象語音声データの作成方法]
次に、本実施形態における記憶対象語音声データの作成方法について、図22を用いて説明する。
【0264】
図22は、記憶対象語音声データの作成例を示す図である。本実施形態において、記憶対象語音声データの作成には、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304、英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306が用いられる。従って、本実施形態においては、英単語群WAVデータ302及び日本語訳群WAVデータ303は必要ない。
【0265】
記憶学習したい英単語をユーザが複数(例えば、25単語等)指定する。指定された英単語を示す情報は、指定単語情報(第1語指定情報の一例)としてユーザPC2から楽曲配信サーバ1に送信される。
【0266】
図22に示すように、指定単語情報に基づいて、指定された英単語が辞書データベースから検索される。検索された各英単語に対応して、発音パターン1及び2の英単語WAVデータ305と日本語訳WAVデータ306が辞書データベースに登録されている。
【0267】
制御部11は、検索された英単語の英単語WAVデータ305及び対応する日本語訳WAVデータ306を、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304に混合合成して、記憶対象語音声データを作成する。ここで、各英単語及び日本語訳について、英単語が指定された順に4小節ずつ英単語と日本語訳の発声音が発音されるように混合合成される。例えば、1番目に指定された英単語が「entertainment」である場合、「エンターテイメント ゴラク」がリズム音の1小節目から4小節目まで繰り返し発音されるように、発音タイミングが調整される。また、2番目に指定された英単語が「reserve」である場合、「リザーブ ヨヤクスル」がリズム音の5小節目から8小節目まで4回繰り返し発音されるように、発音タイミングが調整される。
【0268】
また、各日本語訳については、夫々第3拍のタイミングで発音が開始されるように、発音タイミングが調整される。
【0269】
一方、各英単語については、夫々第1拍のタイミングでアクセントが発音されるか、又は、第1拍のタイミングで発音が開始されるかが決定される。ここでは、検索された英単語に対応するアクセント位置情報と日本語訳発音時間とに基づいて判定が行われる。日本語訳と英単語との時間間隔は以下の式により求めることができる。
【0270】
時間間隔=60/140×2−日本語訳発音時間−アクセント位置情報が示す発音時間
求められた時間間隔が最低間隔時間A以上である英単語については、第1拍のタイミングでアクセントが発音されるように発音タイミングが調整される。またこの場合、発音パターン1の英単語WAVデータ305を用いて記憶対象語音声データが作成される。
【0271】
一方、求められた時間間隔が最低間隔時間A未満である英単語については、第1拍のタイミングで発音が開始されるように発音タイミングが調整される。またこの場合、発音パターン2の英単語WAVデータ305を用いて記憶対象語音声データが作成される。
【0272】
以上のような方法により、第1実施形態における記憶対象語音声データと同じ構成の記憶対象語音声データを作成することができる。
【0273】
そして、作成された記憶対象語音声データは、パーツWAVデータデータベースに登録される。この場合、記憶対象語音声データは、英単語を指定したユーザのユーザIDに対応付けて登録される。
【0274】
なお、前記1.2.2.2項で説明した場合と同様に、日本語訳と英単語との時間間隔に基づいて英単語の発音タイミングをずらすか否かの判定を行う以外にも、英単語の発音時間や文字数等に基づいて判定を行うことができる。
【0275】
例えば、英単語のアクセント位置情報が示す発音時間と許容発音時間Bとの比較結果に基づいて、発音タイミングをずらすか否かを判定しても良い。この場合、日本語訳発音時間は必要ない。
【0276】
また、例えば、アクセントのある文字よりも前にある文字の数と許容文字数Cとの比較結果に基づいて、発音タイミングをずらすか否かを判定しても良い。この場合、アクセント位置情報として、アクセントのある文字よりも前にある文字の数を辞書データベースに登録しておく。またこの場合も、日本語訳発音時間は必要ない。
【0277】
判定に用いられる最低間隔時間A、許容発音時間B又は許容文字数Cは、予め記憶部12に記憶される。
【0278】
[2.3 楽曲配信サーバの動作]
次に、楽曲配信サーバ1の動作について説明する。なお、メイン処理及びジョギング用楽曲データ作成処理の処理内容は、第1実施形態の場合と同様であるので、これらの処理の説明は省略する。
【0279】
[2.3.1 記憶対象語音声データ作成処理]
記憶対象語音声データ作成処理について、図23及び図24を用いて、実施例毎に説明する。
【実施例1】
【0280】
実施例1は、日本語訳と英単語との時間間隔に基づいて、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定する場合の実施例である。
【0281】
図23は、本実施形態の実施例1に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。
【0282】
先ず、ユーザ操作により、ユーザPC2が楽曲配信サーバ1にアクセスすると、図23に示すように、楽曲配信サーバ1の制御部11は、ログイン処理を実行する(ステップS451)。具体的に、制御部11は、ユーザPC2からユーザID、パスワード等を受信し、認証処理を行って、ユーザを特定する。
【0283】
次いで、第1語指定情報受信手段としての制御部11は、ユーザPC2から指定単語情報を受信する(ステップS452)。具体的に、制御部11は、英単語を選択するためのWEBページをユーザPC2に送信し、ユーザPC2が、受信したWEBページを画面に表示する。WEBページ上に表示された英単語の一覧から、ユーザが英単語を複数指定すると、ユーザPC2は、指定された英単語の文字データを含む指定単語情報を楽曲配信サーバ1に送信する。そして、制御部11は、指定単語情報を受信する。
【0284】
次いで、第1語音声情報取得手段としての制御部11は、ユーザから指定された英単語に対応する発音パターン1の英単語WAVデータ305を辞書データベースから取得する(ステップS453)。具体的に、制御部11は、受信した指定単語情報に含まれている各英単語を辞書データベースから検索し、検索した各英単語に夫々対応する発音パターン1の英単語WAVデータ305を取得する。そして、制御部11は、取得した英単語WAVデータ305を、夫々ユーザから指定された英単語に対応付けてRAMに記憶する。
【0285】
次いで、第2語音声情報取得手段としての制御部11は、ユーザから指定された英単語に対応する日本語訳WAVデータ306を辞書データベースから取得する(ステップS454)。具体的に、制御部11は、検索した各英単語に夫々対応する日本語訳WAVデータ306を取得する。そして、制御部11は、取得した日本語訳WAVデータ306を、夫々ユーザから指定された英単語に対応付けてRAMに記憶する。
【0286】
次いで、制御部11は、ユーザから指定された英単語に対応するアクセント位置情報及び日本語訳発音時間を辞書データベースから取得する(ステップS455)。具体的に、制御部11は、検索した各英単語に夫々対応するアクセント位置情報及び日本語訳発音時間を取得する。そして、制御部11は、取得したアクセント位置情報及び日本語訳発音時間を、夫々ユーザから指定された英単語に対応付けてRAMに記憶する。
【0287】
次いで、制御部11は、パーツWAVデータデータベースから記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304を取得し、RAMに記憶する(ステップS456)。次いで、制御部11は、指定順iに1を設定する(ステップS457)。
【0288】
次いで、制御部11は、i番目に指定された英単語の発音タイミングを設定する(ステップS458)。具体的に、制御部11は、英単語のアクセントの発音タイミングを第1拍のタイミングに設定する。
【0289】
次いで、制御部11は、指定順iが1であるか否かを判定する(ステップS459)。このとき、制御部11は、指定順iが1である場合には(ステップS459:YES)、ステップS462に移行する。
【0290】
一方、制御部11は、指定順iが1ではない場合には(ステップS459:NO)、i−1番目の日本語訳の発音終了からi番目の英単語の発音開始までの時間間隔を算出する(ステップS460)。この時間間隔は、i−1番目に指定された英単語に対応する日本語訳発音時間と、i番目に指定された英単語に対応するアクセント位置情報に基づいて求めることができる。
【0291】
次いで、判定手段としての制御部11は、算出した時間間隔が最低間隔時間A以上であるか否かを判定する(ステップS461)。このとき、制御部11は、算出した時間間隔が最低間隔時間A以上である場合には(ステップS461:YES)、ステップS462に移行し、算出した時間間隔が最低間隔時間A未満である場合には(ステップS461:NO)、ステップS464に移行する。
【0292】
制御部11は、ステップS459において指定順iが1である場合(ステップS459:YES)、又は、ステップS461において時間間隔が最低間隔時間A未満である場合には(ステップS461:NO)、i番目の日本語訳の発音終了からi番目の英単語の発音開始までの時間間隔を算出する(ステップS462)。この時間間隔は、i番目に指定された英単語に対応する日本語訳発音時間及びアクセント位置情報に基づいて求めることができる。
【0293】
次いで、判定手段としての制御部11は、算出した時間間隔が最低間隔時間A以上であるか否かを判定する(ステップS463)。このとき、制御部11は、算出した時間間隔が最低間隔時間A以上である場合には(ステップS463:YES)、ステップS466に移行し、算出した時間間隔が最低間隔時間A未満である場合には(ステップS463:NO)、ステップS464に移行する。
【0294】
制御部11は、ステップS461又はS463において時間間隔が最低間隔時間A未満である場合には(ステップS461:NO、又は、ステップS463:NO)、i番目に指定された英単語の発音タイミングの設定変更を行う。(ステップS464)。具体的に、制御部11は、英単語の発音開始タイミングを第1拍のタイミングに設定する(ステップS464)。
【0295】
次いで、第1語音声情報取得手段としての制御部11は、i番目の英単語に対応する発音パターン2の英単語WAVデータ305を辞書データベースから取得する(ステップS465)。制御部11は、取得した英単語WAVデータ305を、i番目の英単語に対応付けてRAMに記憶する。このとき、制御部11は、ステップS453においてi番目の英単語に対応して取得してあった発音パターン1の英単語WAVデータ305をRAMから削除する。
【0296】
制御部11は、ステップS463において時間間隔が最低間隔時間A以上である場合(ステップS463:YES)、又は、ステップS465の処理を終えた場合には、指定順iに1を加算する(ステップS466)。
【0297】
次いで、制御部11は、指定順iが、ユーザから指定された単語数よりも大きいか否かを判定する(ステップS467)。ユーザから指定された単語数は、指定単語情報に含まれている単語の総数に相当する。ここで、制御部11は、指定順iが、ユーザから指定された単語数以下である場合には(ステップS467:NO)、ステップS458に移行する。
【0298】
一方、生成手段としての制御部11は、指定順iが、ユーザから指定された単語数よりも大きい場合には(ステップS467:YES)、記憶対象語音声データを作成する(ステップS468)。具体的に、制御部11は、RAMに記憶されている記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304と、ユーザに指定された各英単語に対応してRAMに記憶されている英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306とを混合して、記憶対象語音声データを作成する。このとき、制御部11は、ユーザに指定された各英単語について、設定されたタイミングで発音されるように、各英単語の発音タイミングを調整する。また、制御部11は、ユーザに指定された各英単語に対応する日本語訳について、第3拍のタイミングで発音開始されるように、各日本語訳の発音タイミングを調整する。
【0299】
次いで、制御部11は、作成した記憶対象語音声データを、ログイン処理において受信したユーザIDに対応付けてパーツWAVデータデータベースに登録する(ステップS469)。制御部11は、この処理を終えると、記憶対象語音声データ作成処理を終了させる。
【実施例2】
【0300】
実施例2は、英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間に基づいて、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定する場合の実施例である。
【0301】
図24は、本実施形態の実施例2に係る楽曲配信サーバ1の制御部11の記憶対象語音声データ作成処理における処理例を示すフローチャートである。また、図24において、図23と同様の要素については同様の符号を付してある。
【0302】
先ず、制御部11は、実施例1と同様に、ログイン処理、指定単語情報の受信、発音パターン1の英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306の取得を行う(ステップS451〜S454)。
【0303】
次いで、制御部11は、ユーザから指定された英単語に対応するアクセント位置情報を辞書データベースから取得する(ステップS481)。
【0304】
次いで、制御部11は、実施例1と同様に、記憶対象語用ドラムベースWAVデータ304の取得、指定順iの設定、及びi番目に指定された英単語の発音タイミングの設定を行う(ステップS456〜S458)。
【0305】
次いで、判定手段としての制御部11は、i番目の英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間が許容発音時間B以上であるか否かを判定する(ステップS482)。i番目の英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間は、i番目の英単語に対応するアクセント位置情報が示す発音時間である。このとき、制御部11は、i番目の英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間が許容発音時間B以上である場合には(ステップS482:YES)、実施例1と同様に、i番目の英単語の発音タイミングの設定変更及びi番目の英単語に対応する発音パターン2の英単語WAVデータ305の取得を行う(ステップS464、S465)。
【0306】
制御部11は、i番目の英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間が許容発音時間B未満である場合(ステップS482:NO)、又は、ステップS465の処理を終えた場合には、実施例1と同様に、指定順iの加算処理、及び指定順iの判定を行う(ステップS466、S467)。
【0307】
そして、制御部11は、指定順iが、ユーザから指定された単語数以下である場合には(ステップS467:NO)、ステップS458に移行し、指定順iが、ユーザから指定された単語数より大きい場合には(ステップS467:YES)、実施例1と同様に、記憶対象語音声データの作成及び登録を行い(ステップS468、S469)、記憶対象語音声データ作成処理を終了させる。
【0308】
実施例2の変形として、英単語のアクセントのある文字よりも前にある文字の数に基づいて、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定するように処理することも可能である。具体的には、アクセント位置情報として、アクセントのある文字よりも前にある文字の数を辞書データベースに登録しておく。そして、ステップS482において、制御部11は、i番目の英単語のアクセントのある文字よりも前にある文字の数が、許容文字数C以上であるか否かを判定し、許容文字数C以上である場合はステップS464に移行し、許容文字数C未満である場合はステップS466に移行するように処理すれば良い。
【0309】
また、実施例2の更に変形として、アクセント位置情報の代わりに、英単語の発音タイミングをずらすか否かを示すフラグ情報を用いて処理しても良い。具体的には、英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間が、許容発音時間B未満である場合は、フラグ情報の値を例えば0とし、許容発音時間B以上である場合は、フラグ情報の値を例えば1とする。或いは、英単語のアクセントのある文字よりも前にある文字の数が、許容文字数C未満である場合は、フラグ情報の値を例えば0とし、許容文字数C以上である場合は、フラグ情報の値を例えば1とする。そして、各英単語に対応付けて0又は1の値のフラグ情報を辞書データベースに登録しておく。そして、ステップS482において、制御部11は、i番目の英単語のフラグ情報の値を判定し、フラグ情報の値が1である場合はステップS464に移行し、フラグ情報の値が0である場合はステップS466に移行するように処理すれば良い。
【0310】
また、実施例2の場合、英単語の発音のタイミングをずらすか否かは、アクセントの位置から予め分かるので、発音のタイミングをずらさない英単語については、発音パターン1の英単語WAVデータ305のみを辞書データベースに登録し、発音のタイミングをずらす英単語については、発音パターン2の英単語WAVデータ305のみを辞書データベースに登録しても良い。
【0311】
また、実施例1と実施例2とを組み合わせても良い。つまり、制御部11は、アクセントの位置に基づいて英単語の発音のタイミングをずらすか否かを判定し、発音のタイミングをずらさないと判定された英単語については、更に、日本語訳と英単語との時間間隔に基づいて発音のタイミングをずらすか否かを判定するようにしても良い。
【0312】
また、英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306は、辞書データベースから取得するのではなく、記憶対象語音声データ生成処理において、ユーザから指定された英単語に対応する英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306を生成し、生成されたこれらのWAVデータを取得するようにしても良い。この場合、例えば、辞書データベースには、英単語の発音記号の情報、当該発音記号におけるアクセス位置を示す情報等を登録しておく。そして、制御部11は、発音記号及びアクセス位置を示す情報等に基づいて、指定された英単語の英単語WAVデータ305を音声合成により生成する。また同様に、制御部11は、日本語訳の文字データに基づいて、日本語訳WAVデータ306を音声合成により生成する。
【0313】
また、英単語の発音開始からアクセントまでの発音時間としてのアクセント位置情報を用いる場合、これを辞書データベースから取得するのではなく、記憶対象語音声データ作成処理において、ユーザから指定された英単語に対応して生成しても良い。この場合、制御部11は、例えば、指定された英単語の英単語WAVデータ305に対して音声解析処理を行う。そして制御部11は、発声音の音圧レベルに基づいてアクセント位置を特定する。
【0314】
また、制御部11は、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定する前に、全ての英単語のアクセントの発音タイミングを第1拍のタイミングに合わせた記憶対象語音声データを最初に作成し、判定を行った後、記憶対象語音声データを修正して、英単語の発音タイミングをずらしても良い。この場合、制御部11は、最初に作成された記憶対象語音声データを音声解析することによって日本語訳の発音終了からその次に発音される英単語の発音開始までの時間間隔を求めても良い。
【0315】
[2.3.2 使用楽曲決定処理]
次に、使用楽曲決定処理について説明する。使用楽曲決定処理の処理内容は、基本的には第1実施形態の場合(図19)と同様である。従って、第1実施形態の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0316】
図19に示すステップS106において、制御部11は、ジョギング本編を構成する複数の楽曲を選定する。ここで、制御部11は、ジョギング用の楽曲を構成する記憶対象語音声をユーザに選択させる場合、当該ユーザによる英単語の指定によって作成された記憶対象語音声の中から選択させる。具体的に、制御部11は、パーツWAVデータデータベースに登録されている記憶対象語音声データのうち、図18に示すステップS1のログイン処理において受信したユーザIDに対応する記憶対象語音声データのリストを提示するWEBページをユーザPC2に送信する。そして、ユーザは、ユーザPC2を操作することによって、提示された記憶対象語音声データの中から所望の記憶対象語音声データを選択する。
【0317】
その後、ユーザにより選択された記憶対象語音声データを含むジョギング用楽曲データが作成され、作成されたジョギング用楽曲データがユーザPC2に送信される。
【0318】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部11が、英単語WAVデータ305、日本語訳WAVデータ306及びドラムベースWAVデータ304に基づいて、互いに異なる複数の記憶対象語夫々について複数回その発声音が発音されるとともに、リズム音が発音され、且つ、英単語のアクセントの発音タイミングが拍のタイミングに合わせ、更に、日本語訳の発音開始タイミングが拍のタイミングに合わせて英単語と日本語訳とが交互に発音されるように構成された記憶対象語音声データを作成する。ここで、制御部11が、日本語訳の発音終了からその次に発音される英単語の発音開始までの時間間隔が最低間隔時間A未満であるか否かを判定し、当該時間間隔が最低間隔時間A未満である英単語のアクセントの発音タイミングを拍のタイミングからずらして記憶対象語音声データを作成する。そして、制御部11が、作成された記憶対象語音声データをパーツWAVデータデータベースに登録し、登録された記憶対象語音声データを含むジョギング用楽曲データをユーザPC2に送信する。
【0319】
従って、原則、英単語のアクセントの発音タイミングは拍のタイミングに合わせられているが、日本語訳の発音終了から当該日本語訳の次に発音される英単語の発音開始までの時間間隔が最低間隔時間Aとなる当該英単語については、アクセントの発音タイミングが拍のタイミングからずれていることによって、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる記憶対象語音声データが作成される。よって、作成された記憶対象語音声データが携帯音楽プレーヤ3により再生処理されることによって、英単語と日本語訳とを聞き分けることが容易な間隔で英単語と日本語訳とを再生することが可能となるので、英単語とその日本語訳とをユーザが確実に記憶することができる。
【0320】
また、英単語のアクセントの発音タイミングは、あくまでも拍からずらされ、例えば、第1拍のタイミングから第2拍のタイミングにずらされる(英単語のアクセントの発音タイミングは結局拍のタイミングに合わされる)わけではないので、単位時間当たりに再生される単語数が減ることを防止することができ、英単語とその日本語訳とをユーザが効率的に記憶することができる。
【0321】
また、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A未満となってしまうことを確実に防止することができる。
【0322】
また、英単語WAVデータ305と日本語訳WAVデータ306とが別個に存在するので、英単語の発音タイミングをずらした記憶対象語音声データの作成を容易に行うことができる。
【0323】
また、制御部11が、英単語の発音開始タイミングからアクセントの発音タイミングまでの発音時間が許容発音時間B以上であるか否かを判定し、当該発音時間が許容発音時間B以上である英単語のアクセントの発音タイミングを拍のタイミングからずらして記憶対象語音声データを作成しても良い。
【0324】
また、制御部11が、英単語においてアクセントのある文字よりも前にある文字の数が許容文字数C以上であるか否かを判定し、当該文字の数が許容文字数C以上である英単語のアクセントの発音タイミングを拍のタイミングからずらして記憶対象語音声データを作成しても良い。
【0325】
これらの場合、判定の条件が日本語訳に関する事項を含まないので、日本語訳に関する情報を用いなくても、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定することができる。
【0326】
また、制御部11が、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる英単語の発音開始タイミングを拍のタイミングに合わせて記憶対象語音声データを作成する。
【0327】
従って、英単語の発声音がリズム良く再生され、英単語とその日本語訳とをより記憶させやすくすることができる。
【0328】
また、リズム音における1小節中の第1拍と第2拍とが英単語に割り当てられ、且つ、当該1小節中の第3拍と第4拍とが日本語訳とに割り当てられており、日本語訳と英単語との時間間隔が最低間隔時間A以上となる英単語が第1アクセントと第2アクセントとを有し、且つ、第1アクセントが第2アクセントよりも後に発音される単語である場合、制御部11が、発音パターン2の英単語WAVデータ305を用いて当該英単語の発音開始タイミングを第1拍に合わせ、これにより、第1アクセントの発音タイミングを第2拍に合わせて記憶対象語音声データを作成する。
【0329】
従って、第1アクセントと第2アクセントとを有する英単語の発声音がリズム良く再生され、英単語とその日本語訳とをより記憶させやすくすることができる。
【0330】
また、制御部11が、ユーザPC2から指定単語情報を受信し、指定単語情報に基づいて、ユーザから指定された英単語に対応する英単語WAVデータ305及び日本語訳WAVデータ306をパーツWAVデータデータベースから取得し、ユーザから指定された英単語に対応するアクセント位置情報に少なくとも基づいて、英単語の発音タイミングをずらすか否かを判定し、ユーザから指定された英単語とその日本語訳との発声音が再生される記憶対象語音声データを作成する。
【0331】
従って、英単語をユーザが指定することによって、ユーザが記憶したい英単語を記憶学習することができる。
【0332】
なお、上記各実施形態においては、英単語のアクセントの発音タイミングが拍からずらされる場合、英単語の発音開始タイミングが拍のタイミングに合うようになっていたが、発音タイミングをずらす位置はこれだけに限られるものではない。例えば、英単語の発音終了から第3拍のタイミングまでの時間が、英単語と日本語訳とを聞き分けることができる時間以上となる位置であれば、別の位置にずらされても良い。
【0333】
また、上記各実施形態においては、記憶対象語音声の拍子を4/4拍子としていたが、拍子はこれに限られるものではない。
【0334】
また、上記各実施形態においては、英単語及び日本語訳が夫々1小節中の2拍に割り当てられていたが、1拍のみに割り当てられても良いし、3拍以上割り当てられても良い。また、英単語及び日本語訳に対する拍の割り当て数は同数でなくても良い。
【0335】
また、上記各実施形態においては、1個の記憶対象語が発音される4小節の全ての小節において日本語訳が発音されるようにしていたが、一部の小節においてのみ日本語訳が発音されるように記憶対象語音声データが作成されても良い。例えば、4小節のうち最後の小節のみ日本語訳が発音される要することで、英単語とその日本語訳との記憶が確実に行われたか否かをユーザが自ら復唱して確認することができる。
【0336】
また、上記各実施形態においては、英単語、当該英単語の日本語訳、の順番で発音されるようにしていたが、日本語訳、当該日本語訳に対応する英単語、の順番で発音されるようにしても良い。
【0337】
また、上記各実施形態においては、第1の語として英単語を適用していたが、英語以外の強勢アクセントを有する言語の単語を適用しても良い。また、第1の語として、単語のみに限らず、熟語、句、節又は文等を適用しても良い。
【0338】
また、上記各実施形態においては、第2の語として日本語を適用していたが、日本語以外の言語を適用しても良い。また、また、第2の語として、単語、熟語、句、節又は文等を適用しても良い。
【0339】
また、上記各実施形態においては、ペア語として、或る語と当該語の訳のペアを適用していたが、ペアとして記憶する語であれば、これに限られるものではない。
【0340】
また、上記各実施形態においては、ジョギング用楽曲データに前奏の曲間つなぎデータと後奏の曲間つなぎデータとが挿入されるようにしていたが、何れか一方のみが挿入されるようにしても良いし、何れも挿入されないようにしても良い。
【0341】
また、上記各実施形態における楽曲配信サーバ1は、ジョギングを行っている際に聴取されるジョギング用楽曲データを作成するようにしていたが、例えば、マラソンやウォーキング等を行っている際に聴取される運動用の楽曲データを作成するように構成しても良いし、エアロビクスやヨーガ、ピラティス・メソッド、マーシャルアーツ、ブートキャンプ、ダンス等を行っている際に聴取される運動用の楽曲データを作成するように構成しても良い。
【0342】
また、楽曲配信サーバ1は、記憶対象語音声データを、運動用の楽曲データに含まれる態様でユーザPC2に送信するのではなく、記憶対象語音声データのみをユーザPC2に送信するようにしても良い。つまり、記憶対象語音声データは、運動中に聴取するために再生される場合に限られるのではなく、例えば、純粋に記憶学習のために再生されるものとして送信されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0343】
1 楽曲配信サーバ
2 ユーザPC
3 携帯音楽プレーヤ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 エンコーダ部
15 システムバス
101 楽曲本体WAVパーツデータ
102 ジョギングアレンジ曲間つなぎWAVパーツデータ
103 ジョギングアレンジ音声ガイダンスWAVパーツデータ
104 DJ音声WAVパーツデータ
105 楽曲本体MIDIデータ
106 ジョギングアレンジドラムベースWAVデータ
201 パーツWAVデータデータベースプログラム
202 サーバシステムプログラム
203 WEBサイトプログラム
204 楽曲本体WAVパーツデータ書き出しプログラム
205 記憶対象語WAVパーツデータ書き出しプログラム
301 記憶対象語WAVパーツデータ
302 英単語群WAVデータ
303 日本語訳群WAVデータ
304 記憶対象語用ドラムベースWAVデータ
305 英単語WAVデータ
306 日本語訳WAVデータ
NW ネットワーク
S 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセントを有する第1の語と当該第1の語に対応する第2の語とで構成されるペア語の発声音が再生されるように生成された音声情報である記憶用音声情報を配信する配信装置であって、
拍子の拍のタイミングで発音されるリズム音の情報と、前記ペア語の情報と、に基づいて、同一又は互いに異なる複数の前記ペア語と前記リズム音とが発音され、且つ、前記第1の語のアクセントの発音タイミングが前記拍のタイミングに合わせて前記第1の語と前記第2の語とが交互に発音されるように構成された前記記憶用音声情報を生成する生成手段と、
前記生成された記憶用音声情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶された記憶用音声情報を端末装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記生成手段は、前記第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される前記第1の語の発音開始までの間隔が所定時間以上になるように、前記間隔が前記所定時間未満となる前記第1の語のアクセントが前記拍のタイミングからずれて発音される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配信装置において、
前記生成手段は、前記間隔が前記所定時間未満であるという条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記条件を満たすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の配信装置において、
前記第1の語の発音開始タイミングからアクセントの発音タイミングまでの発音時間が所定の発音時間以上であること、又は、前記第1の語においてアクセントのある文字よりも前にある文字の数が所定の文字数以上であること、の何れか一方を条件とし、
前記生成手段は、前記第1の語が前記条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記条件を満たすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の配信装置において、
前記生成手段は、前記条件を満たすと判定された前記第1の語の発音開始タイミングを前記拍のタイミングに合わせて前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の配信装置において、
前記ペア語を構成する前記第1の語及び前記第2の語に対して夫々連続する複数の前記拍が1小節中に割り当てられており、
前記生成手段は、前記条件を満たすと判定された前記第1の語が、最も強く発音される第1のアクセントと、前記第1のアクセントの次に強く発音される第2のアクセントとを有し、且つ、前記第1のアクセントが前記第2のアクセントよりも後に発音される語である場合、
前記第1の語の発音開始タイミングを、前記第1の語に割り当てられた複数の拍のうち先頭の拍のタイミングに合わせ、且つ、前記第1のアクセントの発音タイミングを、前記第1の語に割り当てられた複数の拍のうち先頭以外の拍のタイミングに合わせて、前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか1項に記載の配信装置において、
前記生成手段は、前記リズム音の情報と、前記第2の語の発声音の音声情報である第2語音声情報と、に基づいて、前記第2の語の発音タイミングを所定のタイミングに合わせ、前記リズム音の情報と、前記第1の語の発声音の音声情報である前記第1語音声情報と、に基づいて、前記条件を満たさない前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングに合わせ、前記条件を満たす前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の配信装置において、
前記第1の語を示す第1語情報と、当該第1の語のアクセントの位置を示すアクセント情報と、を対応付けて記憶する第1語情報記憶手段と、
ユーザから指定された前記第1の語を示す第1語指定情報を前記端末装置から受信する第1語指定情報受信手段と、
前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語の前記第1語音声情報を取得する第1語音声情報取得手段と、
前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語に対応する前記第2の語の前記第2語音声情報を取得する第2語音声情報取得手段と、
を更に備え、
前記判定手段は、前記ユーザから指定された第1の語に対応する前記アクセント情報に少なくとも基づいて、当該第1の語が前記条件を満たすか否かを判定し、
前記生成手段は、前記リズム音の情報と、前記取得された第1語音声情報と、前記取得された第2語音声情報と、に基づいて、前記指定された第1の語の発声音と当該第1の語に対応する前記第2の語の発声音とが再生される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信装置。
【請求項8】
アクセントを有する第1の語と当該第1の語に対応する第2の語とで構成されるペア語の発声音が再生されるように生成された音声情報である記憶用音声情報を配信する配信方法であって、
拍子の拍のタイミングで発音されるリズム音の情報と、前記ペア語の情報と、に基づいて、同一又は互いに異なる複数の前記ペア語と前記リズム音とが発音され、且つ、前記第1の語のアクセントの発音タイミングが前記拍のタイミングに合わせて前記第1の語と前記第2の語とが交互に発音されるように構成された前記記憶用音声情報を生成する生成工程と、
前記生成された記憶用音声情報を記憶する記憶工程と、
前記記憶された記憶用音声情報を端末装置に送信する送信工程と、
を有し、
前記生成工程においては、前記第2の語の発音終了から当該第2の語の次に発音される前記第1の語の発音開始までの間隔が所定時間以上になるように、前記間隔が前記所定時間未満となる前記第1の語のアクセントが前記拍のタイミングからずれて発音される前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信方法。
【請求項9】
請求項8に記載の配信方法において、
ユーザから指定された前記第1の語を示す第1語指定情報を前記端末装置から受信する第1語指定情報受信工程と、
前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語の発声音の音声情報である前記第1語音声情報を取得する第1語音声情報取得工程と、
前記受信された第1語指定情報に基づいて、前記指定された第1の語に対応する前記第2の語の発声音の音声情報である第2語音声情報を取得する第2語音声情報取得工程と、
前記第1の語を示す第1語情報と、当該第1の語のアクセントの位置を示すアクセント情報と、を対応付けて記憶する第1語情報記憶手段から、前記ユーザから指定された第1の語に対応する前記アクセント情報を取得するアクセント情報取得工程と、
前記取得されたアクセント情報に少なくとも基づいて、前記ユーザから指定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングをずらすか否かを判定する判定工程と、
を更に有し、
前記生成工程においては、前記リズム音の情報と、前記取得された第1語音声情報と、前記取得された第2語音声情報と、に基づいて、前記指定された第1の語の発声音と当該第1の語に対応する前記第2の語の発声音とが再生される前記記憶用音声情報を生成し、且つ、
前記第2の語の発音タイミングを所定のタイミングに合わせ、アクセントの発音タイミングをずらさないと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングに合わせ、アクセントの発音タイミングをずらすと判定された前記第1の語のアクセントの発音タイミングを前記拍のタイミングからずらして前記記憶用音声情報を生成することを特徴とする配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−13295(P2011−13295A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155273(P2009−155273)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】