説明

配向ペロブスカイト酸化物薄膜

【課題】無配向基板上の(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜及びその上部に(001)配向し高特性が期待できる種々のペロブスカイト型酸化物薄膜を形成する製造方法及びそれによって得られるペロブスカイト型(001)配向多層膜を提供する。
【解決手段】無配向基板上に形成された特定の組成式Aで表されるDion−Jacobsonペロブスカイト型金属酸化物を形成することができる有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜又は非晶質薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の薄膜に紫外レーザ等の紫外光を照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上に(001)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を形成することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無配向基板上に(001)配向酸化物薄膜を形成する技術に関する。より具体的には、(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜やその上部に(001)配向し高特性が期待できる種々のペロブスカイト型酸化物薄膜を形成する製造方法及びそのような製造方法によって得られる高度に配向し高特性が期待できる各種ペロブスカイト型(001)配向多層膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子デバイスの高密度化、さらにはインターネットを中心とした情報化社会の発展に伴い、ディスプレイやエレクトロニクス材料中に用いられる電子材料の高性能化は喫緊の課題となっている。
【0003】
現在、電子材料に用いられている酸化物の中でもペロブスカイト型と呼ばれる結晶格子を持つ材料は極めて多い。ペロブスカイト型酸化物ABOは図1に示すように酸素が八面体配位したBイオン(Bは主に遷移金属元素)が頂点共有して形成する格子の空隙をAイオン(Aは主にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素)が占有する結晶構造を持つ。Aイオンの価数と大きさによって、Bイオンのd電子数が制御され、結晶構造の歪みが変化する。この多彩な制御パラメータにより、伝導性、誘電性、発光特性、磁性などの物性が発現し応用に利用されている。そのためペロブスカイト型酸化物はこれまで非常に多くの研究が行われてきた。
【0004】
実際の応用ではこれら酸化物材料は、薄膜の形態で利用されることが多い。通常、様々な物理特性の多くは結晶性がより高い方が高特性を現す。それはペロブスカイト型酸化物の場合でも同様であり、単結晶基板を用いて作製されるエピタキシャル薄膜(特許文献1)において最も良い特性が発現する場合が多い。しかしながら酸化物材料の応用上、単結晶基板の利用は稀であり通常は無配向な多結晶セラミクスやガラス、多結晶金属基板等が用いられる。そのため、酸化物薄膜材料の高特性化を目指して、結晶性の向上、特に結晶粒の配向技術が開発されてきた。(特許文献2、3)しかしながら、従来の配向技術の多くはスパッタリングやイオンビームアシスト法などの気相法を主としており、製膜雰囲気の精密制御等の製膜環境の制限があり薄膜材料の大面積化やスループットなどに問題があった。これまでにある種の金属酸化物膜を作製する方法として、金属有機酸塩ないし有機金属化合物M(ただしM=Si、Ge、Sn、Pbの4b族元素、Cr、Mo、Wの6a族元素、Mn、Tc、Reの7a族元素:R=CH、C、C、Cなどのアルキル基、あるいはCHCOO、CCOO、CCOO、CCOOなどのカルボキシル基、あるいはCOのカルボニル基:m、nは整数)を可溶性溶媒に溶かし、あるいは液体のものはそのまま、該溶液を基板上に分散塗布した後、酸素雰囲気下でエキシマレーザを照射することを特徴とし、オンデマンド性の高い製膜手法であるエキシマレーザによる金属酸化物および金属酸化物薄膜の製造方法(塗布光照射法)が知られている(特許文献4)。
【0005】
ここでは、金属有機化合物を溶媒に溶解させて溶液状とし、これを基板に塗布した後に、乾燥させ、波長400nm以下のレーザ光、例えば、ArF、KrF、XeCl、XeF、Fから選ばれるエキシマレーザを用いて照射することにより基板上に金属酸化物を形成することを特徴とする金属酸化物の製造方法が記載され、波長400nm以下のレーザ光の照射を、複数段階で行い、最初の段階の照射は金属有機化合物を完全に分解させるに至らない程度の弱い照射で行い、次に酸化物にまで変化させることができる強い照射を行うことも記載されている。また、金属有機化合物が異なる金属からなる2種以上の化合物であり、得られる金属酸化物が異なる金属からなる複合金属酸化物であって、金属有機酸塩の金属が、鉄、インジウム、錫、ジルコニウム、コバルト、鉄、ニッケル、鉛から成る群から選ばれるものであることも知られている。
【0006】
ペロブスカイト型酸化物については、La、MnおよびCa、SrもしくはBaの各酸化物の原料成分を含む前駆体塗布液を被塗布物の表面に塗布して成膜した後、被塗布物表面に形成された薄膜を結晶化させて、組成式(La1−x)MnO3−δ(M:Ca、Sr、Ba、0.09≦x≦0.50)で表わされる複合酸化物膜(超電導を示さない)を形成する複合酸化物膜の製造方法において、前記前駆体塗布液を被塗布物の表面に塗布して成膜した後、被塗布物表面に形成された薄膜に対し波長が360nm以下である光を照射して薄膜を結晶化させることを特徴とする複合酸化物膜の製造方法が知られている。(特許文献5)ここでは、被塗布物の表面に形成された薄膜に対して光を照射する光源が、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレーザ、YAGレーザの3倍波光またはYAGレーザの4倍波光が用いられ、被塗布物の表面に塗布される前駆体塗布液が、Laのアルカノールアミン配位化合物と、Mnのカルボン酸塩と、Mの金属またはアルコキシドとを、炭素数が1〜4である一級アルコール中で混合させ反応させて調整することが記載されている。また、蛍光体であるペロブスカイト型酸化物薄膜ではABO型の単純ペロブスカイト構造の他に組成式A(Bn−13n+1)(nは2以上の自然数でAがアルカリ金属イオンであり、Bは3価の希土類イオンもしくはBi、2価のアルカリ土類金属イオン、1価のアルカリ金属イオンで構成され、MはNb、Taで構成されTiが固溶している場合もある)で表されるDion−Jacobson相、あるいは組成式A(Bn−13n+1)で表されるRuddlesden−Popper相と呼ばれるペロブスカイト関連構造物質についての薄膜製造法も示されている。(特許文献6)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−70926号公報
【特許文献2】特表2004−530046号公報
【特許文献3】特開昭63−236793号公報
【特許文献4】特開2001−31417号公報
【特許文献5】特開2000−256862号公報
【特許文献6】特開2008−75073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、エキシマレーザを用いる塗布光照射法において薄膜の配向制御に関する技術については確立されたものはなかった。また、特に無配向基板上において良好な特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜やその積層薄膜材料を簡便な手順により700度以下のプロセス温度で製造できる製造技術についても確立されたものはなかった。
そこで本発明では、塗布光照射法等を用いてガラスや多結晶基板などの無配向基板であっても、基板上に高度に配向し高特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜を製造できるようにする新たな製造方法、及び、その配向積層薄膜材料を提供する。
また、本発明では、塗布光照射法等を用いてガラスや多結晶基板などの無配向基板であっても、基板上に良好な特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜やその積層薄膜材料を700度以下のプロセス温度で製造できるようにする新たな製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は塗布光照射法等を用いてペロブスカイト型酸化物薄膜を配向させるものである。特に本発明はペロブスカイト型酸化物の(001)方向への配向技術を提供する。ペロブスカイト型酸化物の(001)方向とは図1で示される結晶構造においてc軸方向、すなわちペロブスカイト型構造をCubeと考えた場合にCubeの面方向を表し、立方晶の場合には(100)、(010)、(001)方向は等価であり、また正方晶、斜方晶、単斜晶、三斜晶、菱面体晶であってもCubeの一辺にあたる格子定数が単純ペロブスカイト構造で一般的な3.60〜4.20Å程度の範囲にあり、それぞれの軸が直交に近い角度をもっていれば、(100)、(010)方向であっても上述した(001)方向とほぼ等価と考えてよい。(実際に配向する方向が(001)、(100)、(010)のうちどれが選ばれるかは材料の結晶成長特性に依存する。)
【0010】
本発明者らは、各種の試験研究を行い、Dion−Jacobsonペロブスカイト物質を特定の製膜法で成膜すると、基板がガラスや多結晶基板などの無配向のものであっても(001)方向に高配向した薄膜が得られること、及び、この薄膜は、各種ペロブスカイト物質の高配向膜を得る際の種結晶層として非常に有効であることを知見した。本発明は、このような知見に基づくものである。
まず本発明では、ペロブスカイト型酸化物の(001)配向膜を提供するために安定的に(001)配向させることの出来る種結晶層の作製法を提供する。無配向基板上に上述したDion−Jacobsonペロブスカイト物質の製膜を行う。組成式A(Bn−13n+1)(nは2以上の自然数で、AはNa、K、Rb、Csより選ばれる1種以上の1価カチオンであり、Bは3価の希土類イオン及びBi、2価のアルカリ土類金属イオン、1価のアルカリ金属イオンより選ばれる1種以上で構成され、MはNb、Taの1種以上で構成され、Ti、Zrが固溶していてもよい)で表されるDion−Jacobsonペロブスカイト型金属酸化物を形成することができる非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外レーザ等の紫外光を照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上に(001)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法である。Dion−Jacobson相の(001)面とは便宜上、図2に示すようにAサイトカチオンが層状に規則配列する層状方向とする。組成に関しては上記組成に加え、数パーセント程度の不純物イオンを導入しても、その結晶成長に影響するものではない。
【0011】
さらに、本発明においては、金属酸化物又は有機金属塩の薄膜を、MBE、真空蒸着、CVD、塗布熱分解法のいずれかにより作製することができる。又、本発明においては、有機金属塩中の有機化合物を、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩から選ぶことができる。また、本発明では、紫外光として400nm以下のパルスレーザを用いることができる。さらに、本発明では、金属酸化物又は有機金属塩の薄膜に紫外ランプを照射した後、室温から600℃の温度で紫外レーザを照射することができる。また、本発明では、金属酸化物又は有機金属塩の薄膜を300〜600℃で加熱後、室温から600℃の温度で紫外レーザを照射することができる。さらにまた、本発明では、金属酸化物又は有機金属塩の薄膜を室温でアブレーションが起こらない周波数とフルエンスの組み合わせからなる条件で紫外レーザを照射後、フルエンス40〜100mJ/cm以上のレーザ光を複数のフルエンスで照射することができる。上記の手法によって製造されたDion−Jacobson配向種結晶層の上部に同じく塗布光照射法を用いて単純ペロブスカイト格子において格子定数が3.60〜4.20Åであるペロブスカイト酸化物を(001)配向させたペロブスカイト型酸化物多層膜を得ることができる。
【0012】
以上のような本願発明の特徴をまとめると、次のとおりである。
(1)組成式A(Bn−13n+1)(nは2以上の自然数で、AはNa、K、Rb、Csより選ばれる1種以上の1価カチオンであり、Bは3価の希土類イオン及びBi、2価のアルカリ土類金属イオン、1価のアルカリ金属イオンより選ばれる1種以上で構成され、MはNb、Taの1種以上で構成され、Ti、Zrが固溶していてもよい)で表されるDion−Jacobson相と呼ばれるペロブスカイト型金属酸化物を形成することができる有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜又は非晶質薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外光を照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上にAカチオンが層状に規則配列する層状方向である(001)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(2)前記組成式におけるAの1価カチオンは、配向膜製造後に一般的な溶液法または固相法によるイオン交換手法によって一部または全てがLi、Na、K、Rb、Cs、H、H、Cu、Ag、Tl、(CuX)、(VX)、(CrX)、(MnX)、(FeX)、(CoX)、(NiX)(XはCl、Br、Iより選ばれる1種以上の1価陰イオン)で置換することもできるものであることを特徴とする(1)に記載の配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(3)非晶質薄膜は、MBE、真空蒸着、CVD、塗布熱分解法のいずれかにより作製することを特徴とし、有機金属塩又はアルコキシド塩膜中の有機化合物は、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩から選ばれる1種であることを特徴とする(1)又は(2)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(4)紫外光が400nm以下のパルスレーザであり、一度のレーザ照射につき製膜結晶化後の膜厚が300nm以下の膜厚に対してレーザフルエンスを40〜100mJ/cmの範囲で照射を行うことを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(5)非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外ランプを照射する工程及び300℃〜600℃の温度で加熱する工程の少なくとも一つの工程を行った後、室温から600℃の温度で紫外レーザを照射することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(6)非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を室温でアブレーションが起こらない周波数とフルエンスの組み合わせからなる条件で紫外レーザを照射後、フルエンス40〜100mJ/cmの範囲のレーザ光を複数のフルエンスで照射することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(7)非晶質のガラス基板上に(1)、(5)、(6)のいずれかひとつの方法で作製した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜。
(8)ガラス、多結晶又は単結晶からなる基板上に(1)、(5)、(6)のいずれかひとつの方法で作製した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜。
(9)単純ペロブスカイト格子において格子定数が3.60〜4.20Åであるペロブスカイト酸化物を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に(001)配向させることを特徴とする(001)配向ペロブスカイト型酸化物多層膜。
(10)LaNiOを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜をガラス基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に90mJ/cm以下のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことを特徴とするLaNiO薄膜の製造方法。
(11)LaNiOを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に60mJ/cm以下のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって、(001)配向して成長することを特徴とする(001)配向LaNiO薄膜の製造方法。
(12)(10)又は(11)に記載した600℃以下のプロセス温度で作製されることを特徴とする下部電極用として用いることが可能なLaNiO薄膜。
(13)LiNaNbTa(x+y+z=0.8〜1.5であり、a+b=0.9〜1.1であり、Cu、Zn、Al、Bのうち少なくともひとつがドープされていてもよく、酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に30〜60mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことを特徴とするLiNaNbTa薄膜の製造方法。
(14)(13)に記載したLiNaNbTaを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に30〜60mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする(001)配向LiNaNbTa薄膜の製造方法。
(15)(13)又は(14)に記載した非鉛誘電体LiNaNbTaをPtのような金属基板、又は(12)に記載したLaNiO薄膜上に600℃以下のプロセス温度で作製されることを特徴とする圧電体材料。
(16)BaSrCaTiZr(x+y+z=0.9〜1.1であり、a+b=0.9〜1.1、また酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に50〜100mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする誘電体(001)配向BaSrCaTiZr薄膜。
(17)BaSrCaTiZr(x+y+z=0.9〜1.1であり、a+b=0.9〜1.1、また酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(11)に記載した(001)配向LaNiO薄膜電極上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に50〜100mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする誘電体(001)配向BaSrCaTiZr薄膜を利用した圧電体材料。
(18)AがCa,Sr,Baより選ばれるアルカリ土類金属元素であり、BがTi,Snより選ばれる金属元素であって、ABO、ABO、Aの組成式で表される金属酸化物に、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群れより選ばれる元素を少なくとも一つ添加した金属酸化物、又は金属酸化物を形成することができる有機金属塩の薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、形成した上記金属酸化物、又は有機金属塩の薄膜に紫外レーザを照射しつつ、結晶化を行うことによって得た(001)配向ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜。
(19)(1)又は(2)に記載した組成式A(Bn−13n+1)で表されるDion−Jacobson相のうちn=3としたときのAB10を形成することができる非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外レーザを100mJ/cm以上のフルエンスで照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上にAカチオンが層状に規則配列する層状方向と直交する方向である(100)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
(20)アナターゼ型酸化チタン(TiO:Tiサイトに異種金属がドープされていてもよく、酸素サイトは欠損していてもSやNがドープされていてもよい)を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成してアナターゼ型酸化チタンの正方晶正方格子面をab面とする場合において、これを(001)配向させることを特徴とする(001)配向アナターゼ型酸化チタン薄膜。
(21)(20)に記載の(001)配向アナターゼ型酸化チタン薄膜を用いた光触媒材料。
(22)AgNbO(Agサイトにはアルカリ土類イオン及び/又は希土類イオンが固溶していてもよく、NbサイトにはTi、Zr、Taの1種以上が固溶していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成し、700℃から950℃の温度に保持して結晶化を行うことによって得た(001)配向ペロブスカイト型AgNbO薄膜。
(23)(22)に記載の(001)配向ペロブスカイト型AgNbO薄膜を用いた光触媒材料。
(24)AWO(Aにはアルカリ金属イオン及び/又はプロトンが固溶していてもよく、xは0〜0.4の範囲である)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を(7)又は(8)に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成し、400℃から900℃の温度に保持して結晶化を行うことによって得た(100)配向AWO薄膜。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、従来不可能であったガラスや多結晶基板などの無配向基板上に低温で製造効率が良く、大量生産に適する、(001)配向種結晶薄膜であるDion−Jacobsonペロブスカイト薄膜を製膜し、その上部に(001)配向させた高特性の種々のペロブスカイト酸化物薄膜を得ることを可能とする発明である。
また、本発明によれば、基板上に配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を設けることなく直接に各種のペロブスカイト型酸化物薄膜を形成した場合においても、良好な特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜やその積層薄膜材料を700度以下のプロセス温度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ペロブスカイト型酸化物(ABO)の結晶構造模型図
【図2】Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物(ABM)の結晶構造模型図
【図3】無アルカリガラス基板上に作製された(001)配向RbLaNb薄膜のX線回折図
【図4】無アルカリガラス基板上の(001)配向RbLaNb薄膜上に積層して作製した(001)配向SrTiO薄膜及び種結晶層無しで作製したSrTiO薄膜のX線回折図(添え字のR,SはそれぞれRbLaNb及びSrTiOを示す)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための1つの好ましい形態は、(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト種結晶薄膜及びその上部に積層する(001)配向ペロブスカイト薄膜を形成する金属の有機化合物溶液を支持体上に塗布し、乾燥工程、仮焼成工程、本焼成工程の各工程で、紫外レーザ等の紫外光を照射することを特徴とする(001)配向ペロブスカイト酸化物薄膜の製造方法である。
本発明で用いる紫外光としては、パルスレーザ光であるエキシマレーザを挙げることができる。エキシマレーザとしては、波長400nm以下のArF、KrF、XeCl、XeF、F等から選ぶことができる。紫外光照射は、目的に応じて、所定の工程途中や各工程の前後を選ぶことが出来る。また、金属の有機化合物溶液を基板にスピンコートし、溶媒除去のため恒温槽中130℃で乾燥及び仮焼後、紫外レーザ照射をスキャニングして大面積膜を作製することもできる。
【0016】
本発明においては、基板上のペロブスカイト型酸化物を(001)配向させるために、まず、基板上に(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト種結晶薄膜を作製する。
Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物は、組成式A(Bn−13n+1)(nは2以上の自然数で、AはNa、K、Rb、Csより選ばれる1種以上の1価カチオンであり、Bは3価の希土類イオン及びBi、2価のアルカリ土類金属イオン、1価のアルカリ金属イオンより選ばれる1種以上で構成され、MはNb、Taの1種以上で構成され、Ti、Zrが固溶していてもよい)で表されるが、例えば代表的なものとして図2に示した構造を持つRbLaNbが挙げられる。
前記組成式のBにおける3価の希土類イオンとしては、好ましくは、La、Pr、Y、Sc等が、2価のアルカリ土類金属イオンとしては、好ましくは、Ca、Sr、Ba等が、それぞれ挙げられる。
【0017】
前記組成式のDion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物を基板上に形成するためには、この組成を生成する非晶質薄膜を基板上に形成する。非晶質薄膜を形成する手段としては、MBE、真空蒸着、CVD、塗布熱分解法等が挙げられるが、製膜雰囲気の制限が少なく大面積化が容易なこと等から、塗布熱分解法が望ましい。
塗布熱分解法は、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、インクジェット法を含む化学溶液法を基にした前駆溶液塗布手法を用いるものであり、上記組成を生成する金属有機化合物の溶液をスピンコート、スプレー等の塗布法やインクジョット法等により基板上に塗布、乾燥後、金属有機化合物中の有機成分を分解して非晶質薄膜を形成する。金属有機化合物としては、好ましくは、有機金属塩やアルコキシド塩が挙げられ、その有機化合物としては、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩が挙げられる。そのような有機酸としては、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、カプリル酸、ステアリン酸等が挙げられる。金属有機化合物中の有機成分の分解は、例えば、300〜600℃の温度に加熱保持することによる仮焼成、紫外ランプによる紫外光照射等により行うことができる。
基板上に形成された非晶質薄膜は、室温から600℃(好ましくは、300〜500℃)の温度(基板ないし雰囲気の温度)で紫外レーザ等の紫外光を照射することにより結晶化され、(001)方向に配向したDion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜が形成される。紫外光を照射する際の雰囲気は、特に限定されないが、大気下で行うこともできる。結晶化の際に用いる紫外レーザ等の紫外光は、金属有機化合物中の有機成分の分解とそれに引き続く結晶化の両方を行うものとすることもできる。Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の膜厚は、その上に形成する酸化物薄膜が十分に配向するのであれば如何なる数値でも良いが、一般的には10〜400nm、良好な配向性を得る観点から好ましくは20〜100nmとすることができる。
【0018】
基板上に配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を形成した後、配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の上に、必要な用途や特性に応じた各種のペロブスカイト型酸化物薄膜を形成する。このペロブスカイト型酸化物としては、どのようなものでも良いが、例えば、誘電体、圧電体、蛍光体等のいずれかとして機能するものが挙げられ、具体的には、LaNiO、LiNaNbTa(x+y+z=0.8〜1.5であり、a+b=0.9〜1.1であり、Cu、Zn、Al、Bのうち少なくともひとつがドープされていてもよく、酸素欠損が存在していてもよい)、BaSrCaTiZr(x+y+z=0.9〜1.1であり、a+b=0.9〜1.1、また酸素欠損が存在していてもよい)、単純ペロブスカイト格子において格子定数が3.60〜4.20Åであるもの等が挙げられる。
このペロブスカイト型酸化物薄膜は、ガラスや多結晶基板などの無配向基板を用いるものであっても、配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を種結晶層とすることにより高度に配向したものとなる。本発明によれば、ペロブスカイト型酸化物薄膜の配向度が、Lotgeringファクターでみて0.9以上、場合によっては0.95以上や1に近いものも得ることができる。
このペロブスカイト型酸化物薄膜は、配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の形成方法と同様の方法により形成することができる。すなわち、このペロブスカイト型酸化物の組成を生成する非晶質薄膜を、MBE、真空蒸着、CVD、塗布熱分解法等により配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成する。塗布熱分解法による場合は、上記組成を生成する金属有機化合物の溶液を基板上に塗布、乾燥後、金属有機化合物中の有機成分を加熱による仮焼成や紫外光照射等により分解して非晶質薄膜を形成する。配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成された非晶質薄膜は、室温から600℃(好ましくは、300〜500℃)の温度で紫外レーザ等の紫外光を照射することにより結晶化され、(001)方向に配向したペロブスカイト型酸化物薄膜が形成され、基板上には配向積層薄膜が形成される。
【0019】
上記のような塗布熱分解法により非晶質薄膜を形成し、室温から600℃(好ましくは、300〜500℃)の温度で紫外レーザ等の紫外光を非晶質薄膜に照射することにより結晶化し、ペロブスカイト型酸化物薄膜を形成する方法(塗布光照射法)によれば、基板上に良好な特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜やその積層薄膜材料を700度以下のプロセス温度で製造できる。そのため、ガラスや多結晶基板などの無配向基板上に配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を設けることなく直接に各種のペロブスカイト型酸化物薄膜を形成した場合においても、高度な配向は得られないものの、良好な特性が期待できるペロブスカイト型酸化物薄膜やその積層薄膜材料を700度以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは500℃以下のプロセス温度で形成することができる。
【0020】
(実験例)
RbLaNbの組成を生成する金属有機化合物の溶液をガラス基板上に塗布、乾燥後、金属の有機化合物中の有機成分を400℃で熱分解させる仮焼成を行った後に、400℃以下の温度でエキシマレーザを60mJ/cmのエネルギーで照射することにより、結晶化が促進され、(001)方向に配向した60nm程度の膜厚を持つ薄膜が得られたことが判明した。(図3)また、得られた(001)配向RbLaNb薄膜の上部に同じく塗布光照射法を用いてSrTiO薄膜を形成したところ、RbLaNb薄膜表面から選択的に結晶成長が進行し、(001)配向したSrTiO薄膜を得ることに成功した。(図4)
【0021】
塗布光照射法によるDion−Jacobson相の成長法(特許文献6)でも照射エネルギーを最終膜厚に対して最適化しなければ(001)方向に配向した薄膜を得ることは出来なかったが、最終膜厚が20〜100nmに対してレーザフルエンスを40〜100mJ/cmの範囲で照射を行うと、ほぼ100%(001)方向に配向したDion−Jacobson・RbLaNb薄膜を得ることができた。塗布光照射法では種結晶がある場合には、そこから選択的に結晶成長が起こるため、得られた種結晶薄膜上部に形成したペロブスカイト薄膜も(001)配向して成長したと考えられる。基板材料は結晶性であってもガラスであっても構わないが、本手法では全ての工程を400℃以下の温度で行うことも可能であるため、基板材料を熱耐性の低い、工業用ガラスやSi基板上でのプロセッシングも可能である。
なお、良好な配向薄膜を得るためのレーザのフルエンスの条件は、照射時の温度(基板ないし雰囲気の温度)条件によっては調整が必要な場合もあるが、良好な配向薄膜を得るための適切なフルエンス条件は、以下の実施例や参考例等の記載から明らかになるであろう。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の具体例を示し、さらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の実施例で使用した基板は、無アルカリガラス基板及び多結晶Pt基板であり、原料溶液は、各導入金属の2エチルヘキサン酸塩トルエン溶液を用いた。紫外光照射は、KrFエキシマレーザを用いた。
【0023】
(実施例1)
2エチルヘキサン酸ルビジウム溶液に2エチルヘキサン酸ランタン溶液、2エチルヘキサン酸ニオブ溶液を金属比1:1:2で混合した溶液(C1)を作製した。C1溶液を無アルカリガラス基板に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:60mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した膜について照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0024】
(実施例2)
実施例1において、レーザのフルエンス:50mJ/cmで照射した場合、照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0025】
(実施例3)
実施例1において、レーザのフルエンス:70mJ/cmで照射した場合、照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0026】
(実施例4)
実施例1において、仮焼温度を300℃とした場合、レーザ照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0027】
(実施例5)
実施例1において、仮焼温度を600℃とした場合、レーザ照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0028】
(実施例6)
実施例1において、レーザ照射時の基板温度を500℃とした場合、レーザ照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0029】
(実施例7)
実施例1において、基板を無アルカリガラス基板に変えて表面に多結晶Ptをスパッタリングしたガラス基板とした場合、レーザ照射部のみ(001)配向したRbLaNb薄膜が成長した。
【0030】
(実施例8)
2エチルヘキサン酸ストロンチウム溶液に2エチルヘキサン酸チタン溶液を金属比1:1で混合した溶液(C2)を作製した。C2溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:75mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ(001)配向したSrTiO薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターは0.98であった。
【0031】
(実施例9)
2エチルヘキサン酸ランタン溶液に2エチルヘキサン酸ニッケル溶液を金属比1:1で混合した溶液(C3)を作製した。C3溶液を無アルカリガラス基板に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:85mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した膜について照射部のみ電気抵抗率が4.42×10−3Ω・cmとなるLaNiO薄膜が成長した。
【0032】
(実施例10)
C3溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:50mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ電気抵抗率が1.02×10−3Ω・cmとなる(001)配向LaNiO薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターは0.97であった。
【0033】
(実施例11)
2エチルヘキサン酸ナトリウム溶液に2エチルヘキサン酸カリウム溶液及び2エチルヘキサン酸ニオブ溶液を金属比1:1:2で混合した溶液(C4)を作製した。C4溶液を実施例9で作製したLaNiO薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:45mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ誘電体Na0.50.5NbO薄膜が成長した。
【0034】
(実施例12)
C4溶液を実施例10で作製した(001)配向したLaNiO薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:45mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ誘電体(001)配向Na0.50.5NbO薄膜が成長した。(001)配向のLotgeringファクターは0.93であった。
【0035】
(実施例13)
2エチルヘキサン酸バリウム溶液に2エチルヘキサン酸ストロンチウム溶液、2エチルヘキサン酸カルシウム溶液及び2エチルヘキサン酸チタン溶液を金属比0.693:0.077:0.23:1で混合した溶液(C5)を作製した。C5溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:75mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ誘電体(001)配向(Ba0.9Sr0.10.77Ca0.23TiO薄膜が成長した。Lotgeringファクターは0.95であった。
【0036】
(実施例14)
2エチルヘキサン酸カルシウム溶液に2エチルヘキサン酸ストロンチウム溶液、2エチルヘキサン酸プラセオジミウム溶液及び2エチルヘキサン酸チタン溶液を金属比0.648:0.349:0.002:1で混合した溶液(C6)を作製した。C6溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:65mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した多層膜について照射部のみ蛍光体(001)配向(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.02TiO薄膜が成長し、赤色蛍光を示した。Lotgeringファクターは0.98であった。
【0037】
(実施例15)
2エチルヘキサン酸ルビジウム溶液に2エチルヘキサン酸カルシウム溶液、2エチルヘキサン酸ニオブ溶液を金属比1:2:3で混合した溶液(C7)を作製した。C7溶液を石英ガラス基板に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を400℃に保ち、大気中でKrFパルスレーザをフルエンス:110mJ/cm(50Hz)で3分照射した。このようにして作製した膜について照射部のみ(100)配向したRbCaNb10薄膜が成長した。(100)配向のLotgeringファクターはほぼ1であった。
【0038】
(実施例16)
2エチルヘキサン酸チタン溶液をトルエンでTi濃度0.2Mに希釈した溶液(C8)を作製した。C8溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、300℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を700℃に保ち、結晶化させた。このようにして作製した酸化チタン薄膜はアナターゼ型となり(001)配向を示した。(アナターゼ型酸化チタンの正方晶正方格子面をab面とする)Lotgeringファクターは0.92であった。また、得られた(001)配向アナターゼ型酸化チタン薄膜は光触媒活性を示し、紫外線照射下においてメチレンブルーの分解が確認された。
【0039】
(実施例17)
2エチルヘキサン酸銀をトルエン、ピリジン、プロピオン酸に溶解し、2エチルヘキサン酸ニオブ溶液、2エチルヘキサン酸ストロンチウム溶液、2エチルヘキサン酸チタン溶液を、金属濃度がAg:Sr:Nb:Ti=0.75:0.25:0.75:0.25となるように混合した溶液(C9)を作製した。C9溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、400℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を900℃に保ち、結晶化させた。このようにして作製したAg0.75Sr0.25Nb0.75Ti0.25薄膜は(001)配向を示した。Lotgeringファクターは0.96であった。
【0040】
(実施例18)
タングステンエトキシドをエタノールに溶解させた溶液(C10)を作製した。C10溶液を実施例1で作製した(001)配向したRbLaNb薄膜上に4000rpm、10秒間でスピンコートし、300℃で10分間仮焼成した。その後、基板温度を500℃に保ち、結晶化させた。このようにして作製したRb0.28WO薄膜は(100)配向を示した。
【0041】
(参考例1)
実施例1において、基板温度が400℃のときにはレーザのフルエンス:40mJ/cmで照射した場合、照射部にRbLaNb薄膜は十分に結晶成長が進行しなかった。
【0042】
(参考例2)
実施例1において、レーザのフルエンス:110mJ/cmで照射した場合、照射部にわずかにRbLaNb薄膜は成長したが結晶性が悪く(001)配向度は低かった。
【0043】
(参考例3)
実施例9において、基板温度が400℃のときにはレーザのフルエンスを60mJ/cmあるいは100mJ/cmで照射した場合、照射部に生成するLaNiO薄膜の電気抵抗率は1.00×10−1Ω・cm程度にしか低減できなかった。
【0044】
(参考例4)
実施例10において、基板温度が400℃のときにはレーザのフルエンスを30mJ/cmあるいは70mJ/cmで照射した場合、照射部に生成するLaNiO薄膜の電気抵抗率は1.00×10−1Ω・cm程度にしか低減できなかった。
【0045】
(参考例5)
実施例11において、基板温度が400℃のときにはレーザのフルエンスを30mJ/cm以下にした場合、照射部に効率的にNa0.50.5NbO薄膜が結晶化しなかった。
【0046】
(参考例6)
実施例12において、レーザのフルエンスを80mJ/cm以上にした場合、照射部で結晶化するNa0.50.5NbO薄膜は(001)配向しなかった。

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により製造されるペロブスカイト型配向積層材料は、高度に配向し、高特性が期待できるものであり、誘電体、圧電体、蛍光体等の各種の電子材料などとして幅広く利用され得る。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式A(Bn−13n+1)(nは2以上の自然数で、AはNa、K、Rb、Csより選ばれる1種以上の1価カチオンであり、Bは3価の希土類イオン及びBi、2価のアルカリ土類金属イオン、1価のアルカリ金属イオンより選ばれる1種以上で構成され、MはNb、Taの1種以上で構成され、Ti、Zrが固溶していてもよい)で表されるDion−Jacobson相と呼ばれるペロブスカイト型金属酸化物を形成することができる有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜又は非晶質薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外光を照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上にAカチオンが層状に規則配列する層状方向である(001)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記組成式におけるAの1価カチオンは、配向膜製造後に一般的な溶液法または固相法によるイオン交換手法によって一部または全てがLi、Na、K、Rb、Cs、H、H、Cu、Ag、Tl、(CuX)、(VX)、(CrX)、(MnX)、(FeX)、(CoX)、(NiX)(XはCl、Br、Iより選ばれる1種以上の1価陰イオン)で置換することもできるものであることを特徴とする請求項1に記載の配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項3】
非晶質薄膜は、MBE、真空蒸着、CVD、塗布熱分解法のいずれかにより作製することを特徴とし、有機金属塩又はアルコキシド塩膜中の有機化合物は、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項4】
紫外光が400nm以下のパルスレーザであり、一度のレーザ照射につき製膜結晶化後の膜厚が300nm以下の膜厚に対してレーザフルエンスを40〜100mJ/cmの範囲で照射を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項5】
非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外ランプを照射する工程及び300℃〜600℃の温度で加熱する工程の少なくとも一つの工程を行った後、室温から600℃の温度で紫外レーザを照射することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項6】
非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を室温でアブレーションが起こらない周波数とフルエンスの組み合わせからなる条件で紫外レーザを照射後、フルエンス40〜100mJ/cmの範囲のレーザ光を複数のフルエンスで照射することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項7】
非晶質のガラス基板上に請求項1、請求項5、請求項6のいずれかひとつの方法で作製した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜。
【請求項8】
ガラス、多結晶又は単結晶からなる基板上に請求項1、請求項5、請求項6のいずれかひとつの方法で作製した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜。
【請求項9】
単純ペロブスカイト格子において格子定数が3.60〜4.20Åであるペロブスカイト酸化物を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に(001)配向させることを特徴とする(001)配向ペロブスカイト型酸化物多層膜。
【請求項10】
LaNiOを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜をガラス基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に90mJ/cm以下のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことを特徴とするLaNiO薄膜の製造方法。
【請求項11】
LaNiOを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に60mJ/cm以下のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって、(001)配向して成長することを特徴とする(001)配向LaNiO薄膜の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載した600℃以下のプロセス温度で作製されることを特徴とする下部電極用として用いることが可能なLaNiO薄膜。
【請求項13】
LiNaNbTa(x+y+z=0.8〜1.5であり、a+b=0.9〜1.1であり、Cu、Zn、Al、Bのうち少なくともひとつがドープされていてもよく、酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に30〜60mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことを特徴とするLiNaNbTa薄膜の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載したLiNaNbTaを形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に30〜60mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする(001)配向LiNaNbTa薄膜の製造方法。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載した非鉛誘電体LiNaNbTaをPtのような金属基板、又は請求項12に記載したLaNiO薄膜上に600℃以下のプロセス温度で作製されることを特徴とする圧電体材料。
【請求項16】
BaSrCaTiZr(x+y+z=0.9〜1.1であり、a+b=0.9〜1.1、また酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に50〜100mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする誘電体(001)配向BaSrCaTiZr薄膜。
【請求項17】
BaSrCaTiZr(x+y+z=0.9〜1.1であり、a+b=0.9〜1.1、また酸素欠損が存在していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項11に記載した(001)配向LaNiO薄膜電極上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に50〜100mJ/cmの範囲のフルエンスで紫外レーザを照射しつつ結晶化を行うことによって(001)配向して成長することを特徴とする誘電体(001)配向BaSrCaTiZr薄膜を利用した圧電体材料。
【請求項18】
AがCa,Sr,Baより選ばれるアルカリ土類金属元素であり、BがTi,Snより選ばれる金属元素であって、ABO、ABO、Aの組成式で表される金属酸化物に、Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luからなる群れより選ばれる元素を少なくとも一つ添加した金属酸化物、又は金属酸化物を形成することができる有機金属塩の薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、形成した上記金属酸化物、又は有機金属塩の薄膜に紫外レーザを照射しつつ、結晶化を行うことによって得た(001)配向ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜。
【請求項19】
請求項1又は請求項2に記載した組成式A(Bn−13n+1)で表されるDion−Jacobson相のうちn=3としたときのAB10を形成することができる非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を基板上に形成し、室温から600℃の温度に保持し、基板上の非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜に紫外レーザを100mJ/cm以上のフルエンスで照射しつつ結晶化を行うことによって、基板上にAカチオンが層状に規則配列する層状方向と直交する方向である(100)方向に配向することを特徴とする配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜の製造方法。
【請求項20】
アナターゼ型酸化チタン(TiO:Tiサイトに異種金属がドープされていてもよく、酸素サイトは欠損していてもSやNがドープされていてもよい)を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成してアナターゼ型酸化チタンの正方晶正方格子面をab面とする場合において、これを(001)配向させることを特徴とする(001)配向アナターゼ型酸化チタン薄膜。
【請求項21】
請求項20に記載の(001)配向アナターゼ型酸化チタン薄膜を用いた光触媒材料。
【請求項22】
AgNbO(Agサイトにはアルカリ土類イオン及び/又は希土類イオンが固溶していてもよく、NbサイトにはTi、Zr、Taの1種以上が固溶していてもよい)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成し、700℃から950℃の温度に保持して結晶化を行うことによって得た(001)配向ペロブスカイト型AgNbO薄膜。
【請求項23】
請求項22に記載の(001)配向ペロブスカイト型AgNbO薄膜を用いた光触媒材料。
【請求項24】
WO(Aにはアルカリ金属イオン及び/又はプロトンが固溶していてもよく、xは0〜0.4の範囲である)を形成することが出来る非晶質薄膜又は有機金属塩あるいはアルコキシド塩からなる薄膜を請求項7又は請求項8に記載した(001)配向Dion−Jacobsonペロブスカイト型酸化物薄膜を配向種結晶として、その上部に形成し、400℃から900℃の温度に保持して結晶化を行うことによって得た(100)配向AWO薄膜。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−236112(P2011−236112A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274161(P2010−274161)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】