説明

配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法

【課題】
高速信号の伝送特性が良好な配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層と交互に積層される導電層と、前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の第1導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第1メッキレジスト部と、前記第1メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配線基板の内層配線に接続するビアを形成する方法の一つとして、貫通孔の内壁に金属膜を形成してから配線基板の裏面側から削り取ることで、伝送線路から分岐して並列に接続され信号の反射および/またはノイズを発生させるスタブを除去する方法が提案されている。
【0003】
また、配線基板の内層の導電層の一部を除去して形成した間隙内にメッキレジストを形成し、このメッキレジストを挟んで上下の2つのセクションに分割されたビアを形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,663,442号明細書
【特許文献2】特開2008−532326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配線基板の形成後、スタブを配線基板の裏面側から削り取る方法(所謂、バックドリル法)では、例えば、工作精度等の理由により、スタブを完全に取り除くことはできない。従って、完全に取り除けずに残存した部分は、依然として信号の反射又はノイズの発生等の原因になるという問題が生じる。
【0006】
また、バックドリル法では、ビアとして残る導体を傷つける問題が生じ得る。削り取りに伴って生じる削り屑が貫通孔内に残存する。また、ドリル等の機械的な処理のため、配線基板の裏面側の貫通孔の孔径が大きくなり、配線層等への影響が残る。
【0007】
その一方、メッキレジストを挟んで上下の2つのセクションに分割されたビアを形成する方法では、一層の導電層を除去した部分、又は、絶縁層の両面に形成された二層の導電層とその間の絶縁層とを除去した部分にメッキレジストを形成するので、メッキレジストの上下に依然としてスタブが残るという問題がある。スタブが残ることにより、信号の反射又はノイズの発生等の原因になるという問題が生じる。
【0008】
また、一層の導電層を除去した部分に形成したメッキレジストだけでは、メッキレジストの厚さが足りない場合があり、メッキレジストを乗り越えて上下のビアが接続される場合がある。
【0009】
以上のような問題が生じると、配線基板における信号の伝送特性が低下し、特に、高速信号の伝送特性が大きく低下するという問題が生じる。
【0010】
そこで、高速信号の伝送特性が良好な配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態の配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層と交互に積層される導電層と、前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の第1導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第1メッキレジスト部と、前記第1メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
高速信号の伝送特性が良好な配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1の配線基板を含むサーバ1を示す図である。
【図2】実施の形態1の配線基板100にCPU等を実装した配線基板ユニット2を示す図である。
【図3】実施の形態1の配線基板100の断面構造を示す図である。
【図4】実施の形態1の配線基板100の製造方法を示す断面図である。
【図5】実施の形態1の配線基板100の製造方法を示す断面図である。
【図6】実施の形態2の配線基板200の断面構造を示す図である。
【図7】実施の形態2の配線基板200(201)の製造工程を示す図である。
【図8】実施の形態2の変形例の配線基板202の断面構造を示す図である。
【図9】実施の形態2の変形例の配線基板202(203)の製造工程を示す図である。
【図10】実施の形態3の配線基板300の断面構造を示す図である。
【図11】実施の形態3の配線基板300の製造方法を示す断面図である。
【図12】実施の形態3の配線基板300の製造方法を示す断面図である。
【図13】実施の形態4の配線基板400の断面構造を示す図である。
【図14】実施の形態4の配線基板400(401)の製造方法を示す断面図である。
【図15】実施の形態4の配線基板400(401)の製造方法を示す断面図である。
【図16】実施の形態5の配線基板500の断面構造を示す図である。
【図17】実施の形態5の配線基板500(501)の製造方法を示す断面図である。
【図18】実施の形態5の配線基板500(501)の製造方法を示す断面図である。
【図19】実施の形態5の配線基板500(501)の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法を適用した実施の形態について説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1の配線基板を含むサーバ1を示す図である。
【0016】
図1に示すサーバ1は、実施の形態1の配線基板を含む電子装置の一例である。サーバ1は、例えば、実施の形態1の配線基板に実装されたCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)及びメモリモジュール等を含む。なお、図1には、電子装置の一例としてサーバ1を示すが、電子装置は、パソコン(Personal Computer)であってもよい。
【0017】
図2は、実施の形態1の配線基板100にCPU等を実装した配線基板ユニット2を示す図である。
【0018】
配線基板ユニット2は、配線基板100、BGA(Ball Grid Array)3A、3B、CPU4A、4B、メモリモジュール5A〜5F、及び電源モジュール6A、6Bを含む。BGA3A、3B、CPU4A、4B、メモリモジュール5A〜5F、及び電源モジュール6A、6Bは、それぞれ、電子部品の一例である。
【0019】
配線基板100の上にはBGA3A、3B、メモリモジュール5A〜5F、及び電源モジュール6A、6Bが実装され、BGA3A、3Bには、CPU4A、4Bが実装されている。
【0020】
このような配線基板ユニット2は、図1に示すサーバ1に含まれている。
【0021】
図3は、実施の形態1の配線基板100の断面構造を示す図である。
【0022】
配線基板100は、5層の絶縁層11、12、13、14、15と、5層の導電層21、22、23、24、25、メッキ層30A、30B、30C、ビア40、及びメッキレジスト部50を含む。配線基板100には表面100Aから裏面100Bまで貫通する貫通孔60が形成されており、ビア40とメッキレジスト部50は、貫通孔60の内壁に沿って筒状に形成されている。
【0023】
貫通孔60は、ビア40が形成されている孔部61と、メッキレジスト部50が形成されている孔部62とを含む。孔部61と孔部62の内径は異なり、孔部62の内径の方が孔部61の内径よりも大きい。
【0024】
なお、孔部61の内径とは、ビア40の厚さを含まない内径(図5(B)参照)であり、孔部62の内径とはメッキレジスト50の厚さを含まない(図4(B)参照)である。孔部62の内径は、後述する孔部70の内径と等しい。
【0025】
配線基板100は、例えば、FR4(Flame Retardant Type 4)又はFR5(Flame Retardant Type 5)等のガラス布基材とエポキシ樹脂で形成されるプリント基板である。
【0026】
例えば、絶縁層11、13、15は、繊維のものに熱硬化性樹脂を含浸させたもの、例えばガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグ層であり、絶縁層12、14は、コア層である。しかし、プリプレグ層としては、繊維のものを含まないエポキシ樹脂で形成されたものでもよい。
【0027】
導電層21、22、23、24、25は、例えば、銅箔である。導電層21、22、23、24、25は、例えば、配線層、電源層、又はグランド層等として用いられる。
【0028】
ここで、図3に示す部分では、配線基板100に含まれる導電層21、22、23、24、25は、ビア40と接続するか接続しないかにより、平面視における形状(パターン)が決められている。
【0029】
例えば、ビア40に接続されない導電層22、24、25は、貫通孔60を避けるために平面視で貫通孔60よりも大きな円形の開口部を有する。貫通孔60と導電層22、24、25とは、平面視で中心を一致させて同心円状に配置されるように設計されている。図3には、導電層21、22、24、25は、それぞれ2つに分かれているが、実際には層毎に接続されている。
【0030】
絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25は、コア層である絶縁層12と絶縁層14の両面に、それぞれ、導電層22、23と導電層24、25を形成した状態で熱硬化処理が施されることによって固着される。
【0031】
ここで、説明の便宜上、図3には配線基板100の一部分の断面を示す。配線基板100は、図3に示さない部分において、裏面100Bにも導電層が形成されている。また、配線基板100は、貫通孔60を複数含んでもよい。
【0032】
また、図3には、配線基板100の表面100Aとして導電層21の表面を示すが、導電層21が形成されていない部分では、配線基板100の表面100Aは絶縁層11の表面である。
【0033】
同様に、配線基板100の裏面100Bとして絶縁層15の下面を示すが、絶縁層15の下面に導電層が形成されている場合には、配線基板100の裏面100Bは絶縁層15の下面に形成される導電層の表面である。
【0034】
また、配線基板100は、FR4又はFR5に限られるものではなく、内層の導電層を含んでいれば、FR規格の他のグレードのものであってもよく、あるいは、他の規格のものであってもよい。
【0035】
配線基板100には、配線基板100の表面100Aから裏面100Bまで貫通する貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、導電層21と導電層23とを接続するビア40を形成するために形成される。
【0036】
貫通孔60には、まず、配線基板100の裏面100B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50を形成する。その後に、無電解メッキ層を形成し、さらに無電解メッキ層の上に電解メッキ層を形成することにより、貫通孔60の内部のメッキレジスト部50が形成されていない部分に、ビア40が形成される。
【0037】
上述したように、貫通孔60のうち、メッキレジスト部50が形成されている孔部62の内径は、ビア40が形成されている孔部61の内径よりも大きい。貫通孔60の形成方法については後述する。
【0038】
ビア40は、無電解メッキ層と電解メッキ層とによって貫通孔60の内壁に沿って形成される筒状のメッキ部の一例である。ビア40は、貫通孔60内のメッキレジスト部50が形成されていない部分(貫通孔60の上端60Aから導電層23の下面23Aと同一の高さまでの部分)に形成される。
【0039】
これにより、ビア40は、上端が導電層21に接続され、下端が導電層23に接続されることになり、配線基板100の最上層の導電層21と内層の導電層23は、ビア40によって接続される。
【0040】
また、ビア40を形成する際には、同時に、メッキ層30A、30B、30Cが導電層21の上に形成される。メッキ層30A、30B、30Cは、図示しないマスクとレジスト等を用いて、貫通孔60の上端60Aの周囲で導電層21のパターンに合わせてパターニングされる。
【0041】
図3に示すメッキ層30Aと30Bは、ビア40に接続されるとともに、平面視では、貫通孔60の周囲で互いに接続されている。メッキ層30Cは、メッキ層30A、30B、及びビア40とは接続されていない。
【0042】
図3では、説明の便宜上、ビア40とメッキ層30A、30Bとを分けて説明するが、ビア40とメッキ層30A、30Bは、一体的に形成される。なお、メッキ層30A、30B、30Cを特に区別しない場合には、単にメッキ層30と称す。
【0043】
ビア40及びメッキ層30を構築する無電解メッキ層と電解メッキ層は、例えば、銅メッキで形成することができる。ただし、ビア40及びメッキ層30は銅メッキに限定されず、他の材料(例えば、ニッケル、錫、亜鉛等)のメッキであってもよい。
【0044】
メッキレジスト部50は、配線基板100の裏面100B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまで貫通孔60の内壁に形成される筒状のメッキレジスト部の一例である。
【0045】
ここで、配線基板100の裏面100B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50を形成するとは、メッキレジスト部50を貫通孔60の下端60Bから導電層23の下面23Aに当接するまで形成することをいう。
【0046】
メッキレジスト部50としては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂を用いることができる。
【0047】
次に、図4及び図5を用いて、実施の形態1の配線基板100(101)の製造方法について説明する。ここで、配線基板101は、配線基板100が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0048】
図4及び図5は、実施の形態1の配線基板100(101)の製造方法を示す断面図である。図4及び図5では、図3よりも配線基板100(101)を縮小して示す。
【0049】
まず、図4(A)に示すように、絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25を重ね合わせて熱硬化処理を施すことにより、配線基板101を作成する。
【0050】
次に、図4(B)に示すように、配線基板101の裏面101Bから、レーザ加工等を行うことにより、孔部70を形成する。孔部70は、配線基板101の裏面101Bから導電層23の下面23Aに至るまで絶縁層13、14、15を除去することによって形成される。
【0051】
例えば、COレーザの出力を絶縁層13、14、15を加工するのに適した値に設定してレーザ加工を行えば、絶縁層13、14、15を除去する加工を導電層23の下面23Aで停止させることができる。
【0052】
これは、絶縁層13、14、15よりも導電層23の方が加工に必要なレーザの出力が高いためである。従って、絶縁層13、14、15を加工する際のレーザの出力は、導電層23を加工するために必要な出力よりも小さく、かつ、絶縁層13、14、15を加工するのに十分な出力に設定すればよい。
【0053】
このようにして、配線基板101の下面から導電層23の下面23Aに至る孔部70を形成することができる。
【0054】
なお、孔部70は、後に貫通孔60を形成する位置において、平面視で貫通孔60と同心円状になるように、中心の位置を合わせて形成される。
【0055】
孔部70の内径は、後にメッキレジスト部50を形成することを考慮して、貫通孔60の内径よりもメッキレジスト部50として必要な厚さだけ大きく設定すればよい。
【0056】
次に、図5(A)に示すように、孔部70(図4(B)参照)の内部にメッキレジストを充填することにより、メッキレジスト部50Aを形成する。メッキレジスト部50Aは、配線基板101の裏面101Bから導電層23の下面23Aに至るまで形成される。
【0057】
メッキレジストとしては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂等を用いればよい。
【0058】
次に、図5(B)に示すように、配線基板101の表面101A又は裏面101B側からドリルで穿孔することにより、表面101Aから裏面101Bまで貫通する貫通孔60を形成する。
【0059】
この時点で、メッキレジスト部50が配線基板101の裏面101B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまで、貫通孔60の内部に形成される。
【0060】
次に、メッキレジスト部50が形成された配線基板101を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図5(C)に示すように、ビア40及びメッキ層30A、30B、30Cを形成する。
【0061】
貫通孔60の内部では、貫通孔60の下端60Bから導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50が形成されているため、メッキレジスト部50が形成されている部分にはビア40は形成されない。
【0062】
ビア40は、貫通孔60の内部において、メッキレジスト部50が形成されていない部分(下面23Aから上端60Aまでの孔部61)に形成される。
【0063】
これにより、ビア40は、下端が内層の導電層23に接続されるとともに、上端が導電層21及びメッキ層30に接続される。
【0064】
以上により、図5(C)に示す配線基板100が形成される。図5(C)に示す配線基板100は、図3に示す配線基板100と同一である。
【0065】
配線基板100に形成されるビア40は、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層23に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0066】
これは、配線基板100の裏面100B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50を精度よく形成できることにより、ビア40の下端が導電層23の下面23Aよりも下に形成されること(スタブの発生)を抑制できるからである。
【0067】
このため、実施の形態1によれば、スタブの発生を効果的に抑制することにより、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板100を提供することができる。
【0068】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア40を傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔60内に残存することがなく、ビア40を形成しない側の貫通孔60の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0069】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0070】
<実施の形態2>
実施の形態2の配線基板200は、メッキレジスト部50Aの形成の仕方が実施の形態1の配線基板100と異なる。以下、実施の形態1の配線基板100と同一又は同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、実施の形態1の図面を一部援用する。
【0071】
図6は、実施の形態2の配線基板200の断面構造を示す図である。
【0072】
配線基板200は、5層の絶縁層11、12、13、14、15と、5層の導電層21、22、23、24、25、メッキ層30A、30B、30C、ビア40、及びメッキレジスト部50を含む。配線基板200には表面200Aから裏面200Bまで貫通する貫通孔60が形成されており、ビア40とメッキレジスト部50は、貫通孔60の内壁に沿って筒状に形成されている。
【0073】
このように、図6に示す配線基板200は、実施の形態1の配線基板100(図3参照)と同一の構成を有する。
【0074】
ここで、図6には、配線基板200の表面200Aとして導電層21の表面を示すが、導電層21が形成されていない部分では、配線基板200の表面200Aは絶縁層11の表面である。
【0075】
同様に、配線基板200の裏面200Bとして絶縁層15の下面を示すが、絶縁層15の下面に導電層が形成されている場合には、配線基板200の裏面200Bは絶縁層15の下面に形成される導電層の表面である。
【0076】
次に、実施の形態2の配線基板200の製造方法について説明する。実施の形態2の配線基板200の製造方法は、実施の形態1において図4(A)、(B)に示した工程と同様の工程を含み、実施の形態1において図5(A)に示した工程を図7(A)に示す工程に代えたものである。
【0077】
このため、実施の形態2では、配線基板201について、実施の形態1の配線基板101について図4(A)、(B)を用いて説明した工程と同様の工程が行われるものとして説明を行う。
【0078】
なお、配線基板201は、配線基板200が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0079】
図7は、実施の形態2の配線基板200(201)の製造工程を示す図である。図7では、図6よりも配線基板200(201)を縮小して示す。
【0080】
配線基板201の裏面201Bにレーザ加工によって孔部70(図4(B)参照)を形成した後に、図7(A)に示すように、メッキレジスト部250Aを形成する。
【0081】
メッキレジスト部250Aは、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂が付着したブラシ又はスポンジ等を孔部70の下端70B側から孔部70の内部に挿入し、ブラシ又はスポンジ等を回転させて孔部70の内壁に塗布すればよい。
【0082】
また、このときに、ブラシ又はスポンジ等を回転させながら上昇させることにより、孔部70の下端70Bから導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部250Aを形成すればよい。
【0083】
この場合に、ブラシ又はスポンジ等を回転させる機構としては、例えば、貫通孔60(図6参照)を穿孔するためのドリルの駆動機構を用いることができる。また、ドリルを回転させながら上昇させる機構についても、貫通孔60を穿孔するためのドリルの駆動機構を用いることができる。
【0084】
このようなドリルの駆動機構を用いれば、孔部70の下端70Bから導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部250Aを形成することができる。
【0085】
なお、フッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂は、例えば、溶媒に混ぜた状態でフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂に付着させて塗布してもよい。
【0086】
次に、図7(B)に示すように、配線基板201の表面201A又は裏面201B側からドリルで穿孔することにより、表面201Aから裏面201Bまで貫通する貫通孔60を形成する。
【0087】
この時点で、メッキレジスト部250A(図7(A)参照)の中心が貫通され、メッキレジスト部50が配線基板201の裏面201B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまで、貫通孔60の内部に形成される。
【0088】
次に、メッキレジスト部50が形成された配線基板201を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図7(C)に示すように、ビア40及びメッキ層30A、30B、30Cを形成する。
【0089】
貫通孔60の内部では、貫通孔60の下端60Bから導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50が形成されているため、メッキレジスト部50が形成されている部分にはビア40は形成されない。
【0090】
ビア40は、貫通孔60の内部において、メッキレジスト部50が形成されていない部分(下面23Aから上端60Aまでの孔部61)に形成される。
【0091】
これにより、ビア40は、下端が内層の導電層23に接続されるとともに、上端が導電層21及びメッキ層30に接続される。
【0092】
以上により、図7(C)に示す配線基板200が形成される。図7(C)に示す配線基板200は、図6に示す配線基板200と同一であり、また、実施の形態1の配線基板(図3参照)とも同一である。
【0093】
配線基板200に形成されるビア40は、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層23に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0094】
これは、配線基板200の裏面200B(貫通孔60の下端60B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部50を精度よく形成できることにより、ビア40の下端が導電層23の下面23Aよりも下に形成されること(スタブの発生)を抑制できるからである。
【0095】
このため、実施の形態2によれば、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板200を提供することができる。
【0096】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア40を傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔60内に残存することがなく、ビア40を形成しない側の貫通孔60の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0097】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0098】
次に、図8及び図9を用いて、実施の形態2の変形例の配線基板202について説明する。
【0099】
図8は、実施の形態2の変形例の配線基板202の断面構造を示す図である。
【0100】
配線基板202は、貫通孔260の孔部261の内径が孔部61(図6参照)より小さく設定されており、メッキレジスト部250の形状が実施の形態2の配線基板200(図6参照)と異なる。メッキレジスト部250は、導電層23の下面23Aの下に、凸部251を有する。その他の構成は、実施の形態2の配線基板200(図6参照)と同様である。
【0101】
次に、実施の形態2の変形例の配線基板202(203)の製造方法について説明する。実施の形態2の変形例の配線基板202(203)の製造方法は、貫通孔260のうち、ビア40が形成される孔部261の内径が実施の形態2の孔部61(図6参照)の内径よりも小さい点が異なる。なお、配線基板203は、配線基板202が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0102】
このため、実施の形態2の変形例では、配線基板203について、実施の形態2の配線基板201について図7(A)を用いて説明した工程と同様の工程が行われ、配線基板203の裏面203Bに孔部70が形成された後に、メッキレジスト部250A(図7(A)参照)が形成されているものとして説明を行う。
【0103】
図9は、実施の形態2の変形例の配線基板202(203)の製造工程を示す図である。図9では、図8よりも配線基板202(203)を縮小して示す。
【0104】
配線基板203の孔部70内にメッキレジスト部250A(図7(A)参照)を形成した後に、図9(A)に示すように、配線基板203の表面203A又は裏面203B側からドリルで穿孔することにより、表面203Aから裏面203Bまで貫通する貫通孔260を形成する。
【0105】
この時点で、メッキレジスト部250A(図7(A)参照)の中心が貫通され、メッキレジスト部250が配線基板203の裏面203B(貫通孔260の下端260B)から導電層23の下面23Aに至るまで、貫通孔260の内部に形成される。
【0106】
貫通孔260の孔部261の内径が実施の形態2の貫通孔60(図6参照)よりも小さいことにより、メッキレジスト部250は、導電層23の下面23Aの下に、凸部251を有する。
【0107】
なお、メッキレジスト部250が形成される孔部262の内径は、実施の形態2の孔部62の内径と同一である。
【0108】
次に、メッキレジスト部250が形成された配線基板203を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図9(B)に示すように、ビア40及びメッキ層30A、30B、30Cを形成する。
【0109】
貫通孔260の内部では、貫通孔260の下端260Bから導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部250が形成されているため、メッキレジスト250が形成されている部分にはビア40は形成されない。
【0110】
ビア40は、貫通孔260の内部において、メッキレジスト250が形成されていない部分(下面23Aから上端60Aまでの孔部61)に形成される。
【0111】
これにより、ビア40は、下端が内層の導電層23に接続されるとともに、上端が導電層21及びメッキ層30に接続される。
【0112】
以上により、図9(B)に示す配線基板202が形成される。図9(B)に示す配線基板202は、図8に示す配線基板202と同一である。
【0113】
配線基板202に形成されるビア40は、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層23に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0114】
これは、配線基板202の裏面202B(貫通孔260の下端260B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部250を精度よく形成できることにより、ビア40の下端が導電層23の下面23Aよりも下に形成されること(スタブの発生)を抑制できるからである。
【0115】
このため、実施の形態2の変形例によれば、スタブの発生を効果的に抑制することにより、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板202を提供することができる。
【0116】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア40を傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔60内に残存することがなく、ビア40を形成しない側の貫通孔60の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0117】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0118】
<実施の形態3>
実施の形態3の配線基板300は、メッキレジスト部350の形成の仕方が実施の形態1の配線基板100と異なる。このため、貫通孔360の形状も実施の形態1の配線基板100とは異なる。以下、実施の形態1の配線基板100と同一又は同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、実施の形態1の図面を一部援用する。
【0119】
図10は、実施の形態3の配線基板300の断面構造を示す図である。
【0120】
配線基板300は、5層の絶縁層11、12、13、14、15と、5層の導電層21、22、23、24、25、メッキ層30A、30B、30C、ビア40、及びメッキレジスト部350を含む。配線基板300には表面300Aから裏面300Bまで貫通する貫通孔360が形成されており、ビア40とメッキレジスト部350は、貫通孔360の内壁に沿って筒状に形成されている。配線基板300の構成は、メッキレジスト部350と貫通孔360以外は、実施の形態1の配線基板100と同様である。
【0121】
配線基板300には、配線基板300の表面300Aから裏面300Bまで貫通する貫通孔360が形成されている。貫通孔360は、導電層21と導電層23とを接続するビア40を形成するために形成される。貫通孔360は、表面300Aから裏面300Bまで一定度内径を有する。
【0122】
ここで、図10には、配線基板300の表面300Aとして導電層21の表面を示すが、導電層21が形成されていない部分では、配線基板300の表面300Aは絶縁層11の表面である。
【0123】
同様に、配線基板300の裏面300Bとして絶縁層15の下面を示すが、絶縁層15の下面に導電層が形成されている場合には、配線基板300の裏面300Bは絶縁層15の下面に形成される導電層の表面である。
【0124】
また、貫通孔360の内径とは、ビア40及びメッキレジスト部350の厚さを含まない内径(図11(B)参照)である。なお、貫通孔360は、例えば、ドリルを用いて形成される。
【0125】
貫通孔360には、まず、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を形成する。その後に、無電解メッキ層を形成し、さらに無電解メッキの上に電解メッキ層を形成することにより、貫通孔360の内部のメッキレジスト部350が形成されていない部分に、ビア40が形成される。
【0126】
ビア40は、無電解メッキ層と電解メッキ層とによって貫通孔360の内壁に沿って形成される筒状のメッキ部の一例である。ビア40は、貫通孔360内のメッキレジスト部350が形成されていない部分(貫通孔360の上端360Aから導電層23の下面23Aと同一の高さまでの部分)に形成される。
【0127】
これにより、ビア40は、上端が導電層21に接続され、下端が導電層23に接続されることになり、配線基板300の最上層の導電層21と内層の導電層23は、ビア40によって接続される。
【0128】
また、ビア40を形成する際には、同時に、メッキ層30A、30B、30Cが導電層21の上に形成される。メッキ層30A、30B、30Cは、図示しないマスクとレジスト等を用いて、貫通孔360の上端360Aの周囲で導電層21のパターンに合わせてパターニングされる。
【0129】
図10に示すメッキ層30Aと30Bは、ビア40に接続されるとともに、平面視では、貫通孔360の周囲で互いに接続されている。メッキ層30Cは、メッキ層30A、30B、及びビア40とは接続されていない。
【0130】
図10では、説明の便宜上、ビア40とメッキ層30A、30Bとを分けて説明するが、ビア40とメッキ層30A、30Bは、一体的に形成される。なお、メッキ層30A、30B、30Cを特に区別しない場合には、単にメッキ層30と称す。
【0131】
ビア40及びメッキ層30を構築する無電解メッキ層と電解メッキ層は、例えば、銅メッキで形成することができる。ただし、ビア40及びメッキ層30は銅メッキに限定されず、他の材料(例えば、ニッケル、錫、亜鉛等)のメッキであってもよい。
【0132】
メッキレジスト部350は、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまで貫通孔360の内壁に形成される筒状のメッキレジスト部の一例である。
【0133】
ここで、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を形成するとは、メッキレジスト部350を貫通孔360の下端360Bから導電層23の下面23Aに当接するまで形成することをいう。
【0134】
しかしながら、図10に示すようにメッキレジスト部350が下面23Aに当接しない場合には、貫通孔360を形成する前の導電層23の下面(図11(A)参照)、又は、貫通孔360内にある仮想的な導電層23の下面までメッキレジスト部350を形成することをいう。
【0135】
また、厳密には、製造誤差等により、メッキレジスト部350が下面23Aに届かない場合、又は、メッキレジスト部350が下面23Aを少し超える場合もあり得る。このような場合でも、メッキレジスト部350は、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまで形成されていることとする。
【0136】
メッキレジスト部350としては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂を用いることができる。
【0137】
次に、図11及び図12を用いて、実施の形態3の配線基板300(301)の製造方法について説明する。ここで、配線基板301は、配線基板300が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0138】
図11及び図12は、実施の形態3の配線基板300の製造方法を示す断面図である。図11及び図12では、図10よりも配線基板300(301)を縮小して示す。
【0139】
まず、図11(A)に示すように、絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25を重ね合わせて熱硬化処理を施すことにより、配線基板301を作成する。
【0140】
次に、配線基板301の表面301A側からドリルで穿孔することにより、表面301Aから裏面301Bまで貫通する貫通孔360を形成する。
【0141】
ここで、図11(A)、(B)に示す部分では、配線基板301に含まれる導電層21、22、23、24、25は、ビア40と接続するか接続しないかにより、平面視における形状(パターン)が決められている。
【0142】
例えば、ビア40に接続されない導電層22、24、25は、貫通孔360を避けるために平面視で貫通孔360よりも大きな円形の開口部を有する。貫通孔360と導電層22、24、25とは、平面視で中心を一致させて同心円状に配置されるように設計されている。図11(A)、(B)には、導電層21、22、24、25は、それぞれ2つに分かれているが、実際には層毎に接続されている。
【0143】
次に、図12(A)に示すように、配線基板301の裏面301B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を形成する。メッキレジスト部350は、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂が付着したブラシ又はスポンジ等を下端360B側から貫通孔360に挿入し、ブラシ又はスポンジ等を回転させて貫通孔360の内壁に塗布すればよい。
【0144】
また、このときに、ブラシ又はスポンジ等を回転させながら上昇させることにより、配線基板301の裏面301B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を形成すればよい。
【0145】
この場合に、ブラシ又はスポンジ等を回転させる機構としては、例えば、貫通孔360を穿孔するためのドリルの駆動機構を用いることができる。また、ドリルを回転させながら上昇させる機構についても、貫通孔360を穿孔するためのドリルの駆動機構を用いることができる。
【0146】
このようなドリルの駆動機構を用いれば、配線基板301の裏面301B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を形成することができる。
【0147】
なお、フッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂は、例えば、溶媒に混ぜた状態でフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂に付着させて塗布してもよい。
【0148】
次に、メッキレジスト部350が形成された配線基板301を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図12(B)に示すように、ビア40及びメッキ層30を形成する。
【0149】
貫通孔360の内部では、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350が形成されているため、メッキレジスト部350が形成されている部分にはビア40は形成されない。
【0150】
ビア40は、貫通孔360の内部において、メッキレジスト部350が形成されていない部分(下面23Aから上端360Aまでの部分)に形成される。
【0151】
これにより、ビア40は、下端が内層の導電層23に接続されるとともに、上端が導電層21及びメッキ層30に接続される。
【0152】
以上により、図12(B)に示す配線基板300が形成される。図12(B)に示す配線基板300は、図10に示す配線基板300と同一である。
【0153】
配線基板300に形成されるビア40は、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層23に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0154】
これは、配線基板300の裏面300B(貫通孔360の下端360B)から導電層23の下面23Aに至るまでメッキレジスト部350を精度よく形成できることにより、ビア40の下端が導電層23の下面23Aよりも下に形成されること(スタブの発生)を抑制できるからである。
【0155】
このため、実施の形態3によれば、スタブの発生を効果的に抑制することにより、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板300を提供することができる。
【0156】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア40を傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔360内に残存することがなく、ビア40を形成しない側の貫通孔360の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0157】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0158】
<実施の形態4>
実施の形態4の配線基板400は、表面400A側と裏面400B側にメッキレジスト部450A、450Bを形成し、ビア440を貫通孔460の中間部に形成した点が実施の形態1の配線基板100と異なる。以下、実施の形態1の配線基板100と同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図13は、実施の形態4の配線基板400の断面構造を示す図である。
【0160】
配線基板400は、5層の絶縁層11、12、13、14、15と、5層の導電層21、22、23、24A、24B、24C、25、ビア440、及びメッキレジスト部450A、450Bを含む。配線基板400には表面400Aから裏面400Bまで貫通する貫通孔460が形成されており、ビア440とメッキレジスト部450A、450Bは、貫通孔460の内壁に沿って筒状に形成されている。
【0161】
ここで、図13には、配線基板400の表面400Aとして導電層21の表面を示すが、導電層21が形成されていない部分では、配線基板400の表面400Aは絶縁層11の表面である。
【0162】
同様に、配線基板400の裏面400Bとして絶縁層15の下面を示すが、絶縁層15の下面に導電層が形成されている場合には、配線基板400の裏面400Bは絶縁層15の下面に形成される導電層の表面である。
【0163】
貫通孔460は、ビア440が形成されている孔部461と、メッキレジスト部450A、450Bが形成されている孔部462A、462Bとを含む。孔部461と孔部462A、462Bの内径は異なり、孔部462A、462Bの内径の方が孔部461の内径よりも大きい。
【0164】
なお、孔部461、462A、462Bは、貫通孔460の上端460Aから下端460Bにかけて、孔部462A、461、462Bの順に連なっている。
【0165】
ここで、孔部461、462A、462Bの内径とは、それぞれ、ビア440、メッキレジスト部450A、450Bの厚さを含まない内径である。
【0166】
ここで、図13に示す部分では、配線基板400に含まれる導電層21、22、23、24A、24B、24C、25は、ビア440と接続するか接続しないかにより、平面視における形状(パターン)が決められている。
【0167】
例えば、ビア440に接続されない導電層21、22、25のうち、導電層21は、配線基板400の上面400Aに貫通孔460を避けた位置(図中右側)に形成されており、例えば、パッドとして用いられる。また、導電層22、25は、貫通孔460を避けるために平面視で貫通孔460よりも大きな円形の開口部を有する。貫通孔460と導電層22、25とは、平面視で中心を一致させて同心円状に配置されるように設計されている。図13に示す導電層22、25は、それぞれ2つに分かれているが、実際には層毎に接続されている。
【0168】
また、導電層24A、24B、24Cについては、導電層24A、24Bは互いに接続されるとともに、ともにビア440の下端に接続されている。導電層24Cは、導電層24A、24Bとは接続されていない。なお、導電層24A、24B、24Cを特に区別しない場合は、導電層24と称す。
【0169】
絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25は、コア層である絶縁層12と絶縁層14の両面に、それぞれ、導電層22、23と導電層24、25を形成した状態で熱硬化処理が施されることによって固着される。
【0170】
なお、説明の便宜上、図13には配線基板400の一部分の断面を示す。配線基板400は、図13に示さない部分において、裏面400Bにも導電層が形成されている。また、配線基板400は、貫通孔460を複数含んでもよい。
【0171】
配線基板400には、配線基板400の表面400Aから裏面400Bまで貫通する貫通孔460が形成されている。貫通孔460は、導電層23と導電層24とを接続するビア440を形成するために形成される。
【0172】
貫通孔460には、まず、貫通孔460の上端460Aから導電層23の上面23Bに至るまでメッキレジスト部450Aを形成するとともに、配線基板400の裏面400B(貫通孔460の下端460B)から導電層24の下面24Dに至るまでメッキレジスト部450Bを形成する。
【0173】
その後に、無電解メッキ層を形成し、さらに無電解メッキ層の上に電解メッキ層を形成することにより、貫通孔460の内部のメッキレジスト部450A、450Bが形成されていない部分に、ビア440が形成される。
【0174】
上述したように、貫通孔460のうち、メッキレジスト部450A、450Bが形成されている孔部462A、462Bの内径は、ビア440が形成されている孔部461の内径よりも大きい。貫通孔460の形成方法については後述する。
【0175】
ビア440は、無電解メッキ層と電解メッキ層とによって貫通孔460の内壁に沿って形成される筒状のメッキ部の一例である。ビア440は、貫通孔460内のメッキレジスト部450A、450Bが形成されていない部分(導電層24の下面24Dと同一の高さから導電層23の上面23Bと同一の高さの部分)に形成される。
【0176】
これにより、ビア440は、上端が導電層23に接続され、下端が導電層24A、24Bに接続されることになり、配線基板400の内層の導電層23と内層の導電層24は、ビア440によって接続される。
【0177】
ビア440を構築する無電解メッキ層と電解メッキ層は、例えば、銅メッキで形成することができる。ただし、ビア440は銅メッキに限定されず、他の材料(例えば、ニッケル、錫、亜鉛等)のメッキであってもよい。
【0178】
メッキレジスト部450Bは、配線基板400の裏面400B(貫通孔460の下端460B)から導電層24の下面24Dに至るまで貫通孔460の内壁に形成される筒状のメッキレジスト部の一例である。
【0179】
メッキレジスト部450Aは、配線基板400の表面400A(貫通孔460の上端460A)から導電層23の上面23Bに至るまで貫通孔460の内壁に形成される筒状の第2メッキレジスト部の一例である。
【0180】
メッキレジスト部450A、450Bとしては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂を用いることができる。
【0181】
次に、図14及び図15を用いて、実施の形態4の配線基板400(401)の製造方法について説明する。ここで、配線基板401は、配線基板400が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0182】
図14及び図15は、実施の形態4の配線基板400(401)の製造方法を示す断面図である。図14及び図15では、図13よりも配線基板400(401)を縮小して示す。
【0183】
まず、図14(A)に示すように、絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25を重ね合わせて熱硬化処理を施すことにより、配線基板401を作成する。
【0184】
次に、図14(B)に示すように、配線基板401の表面401Aと裏面401Bから、レーザ加工等を行うことにより、孔部470Aと孔部470Bを順次形成する。孔部470Aは、配線基板401の表面401Aから導電層23の上面23Bに至るまで絶縁層11、12を除去することによって形成される。同様に、孔部470Bは、配線基板401の裏面401Bから導電層24の下面24Dに至るまで絶縁層14、15を除去することによって形成される。
【0185】
例えば、COレーザの出力を絶縁層11、12を加工するのに適した値に設定して配線基板401の表面401A側からレーザ加工を行えば、絶縁層11、12を除去する加工を導電層23の上面23Bで停止させることができる。
【0186】
同様に、COレーザの出力を絶縁層14、15を加工するのに適した値に設定して配線基板401の裏面401B側からレーザ加工を行えば、絶縁層14、15を除去する加工を導電層24の下面24Dで停止させることができる。
【0187】
これは、絶縁層11、12、14、15よりも導電層23、24の方が加工に必要なレーザの出力が高いためである。従って、絶縁層11、12、14、15を加工する際のレーザの出力は、導電層23、24を加工するために必要な出力よりも小さく、かつ、絶縁層11、12、14、15を加工するのに十分な出力に設定すればよい。
【0188】
このようにして、配線基板401の上面401Aから導電層23の上面23Bに至る孔部470Aを形成するとともに、配線基板401の下面401Bから導電層24の下面24Dに至る孔部470Bを形成することができる。
【0189】
なお、孔部470A、470Bは、後に貫通孔460を形成する位置において、平面視で貫通孔460と同心円状になるように、中心の位置を合わせて形成される。
【0190】
孔部470A、470Bの内径は、後にメッキレジスト部450A、450Bを形成することを考慮して、貫通孔460の内径よりもメッキレジスト部450A、450Bとして必要な厚さだけ大きく設定すればよい。
【0191】
次に、図15(A)に示すように、孔部470A、470Bの内部にメッキレジストを充填することにより、メッキレジスト部451A、451Bを形成する。メッキレジスト部451Aは、配線基板401の表面401Aから導電層23の上面23Bに至るまで形成され、メッキレジスト部451Bは、配線基板401の裏面401Bから導電層24の下面24Dに至るまで形成される。
【0192】
メッキレジストとしては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂等を用いればよい。
【0193】
次に、図15(B)に示すように、配線基板401の表面401A又は裏面401B側からドリルで穿孔することにより、表面401Aから裏面401Bまで貫通する貫通孔460を形成する。
【0194】
この時点で、メッキレジスト部450Aが貫通孔460の上端460Aから導電層23の上面23Bに至るまで、貫通孔460の内部に形成され、メッキレジスト部450Bが貫通孔460の下端460Bから導電層24の下面24Dに至るまで、貫通孔460の内部に形成される。
【0195】
次に、メッキレジスト部450A、450Bが形成された配線基板401を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図15(C)に示すように、ビア440を形成する。
【0196】
貫通孔460の内部では、貫通孔460の上端460Aから導電層23の上面23Bに至るまでメッキレジスト部450Aが形成されるとともに、貫通孔460の下端460Bから導電層24の下面24Dに至るまでメッキレジスト部450Bが形成されているため、メッキレジスト部450A、450Bが形成されている部分にはビア440は形成されない。
【0197】
ビア440は、貫通孔460の内部において、メッキレジスト部450A、450Bが形成されていない部分(下面24Bと同一の位置から上面23Bと同一の位置までの孔部461(貫通孔460の中間部))に形成される。
【0198】
これにより、ビア440は、下端が内層の導電層24に接続されるとともに、上端が導電層23に接続される。
【0199】
以上により、図15(C)に示す配線基板400が形成される。図15(C)に示す配線基板400は、図13に示す配線基板400と同一である。
【0200】
配線基板400に形成されるビア440は、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層23、24に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0201】
これは、配線基板400の表面400B(貫通孔460の上端460A)から導電層23の上面23Bに至るまでメッキレジスト部450Aを精度よく形成できることにより、ビア440の上端が導電層23の上面23Bより上に形成されること(スタブの発生)を抑制できるためである。
【0202】
また、これに加えて、配線基板400の裏面400B(貫通孔460の下端460B)から導電層24の下面24Dに至るまでメッキレジスト部450Bを精度よく形成できることにより、ビア440の下端が導電層24の下面24Dより下に形成されること(スタブの発生)を抑制できるためである。
【0203】
このため、実施の形態4によれば、スタブの発生を効果的に抑制することにより、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板400を提供することができる。
【0204】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア440を傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔460内に残存することがなく、ビア440を形成しない側の貫通孔460の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0205】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0206】
<実施の形態5>
実施の形態5の配線基板500は、貫通孔560の中間部と裏面500B側にメッキレジスト部550A、550Bを形成し、ビア540Aを貫通孔560の中間部に形成するとともに、ビア540Bを裏面500B側に形成した点が実施の形態1の配線基板100と異なる。以下、実施の形態1の配線基板100と同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0207】
図16は、実施の形態5の配線基板500の断面構造を示す図である。
【0208】
配線基板500は、5層の絶縁層11、12、13、14、15と、5層の導電層21、22A、22B、22C、23、24A、24B、24C、25A、25B、25C、26、メッキ層530A、530B、530C、530D、ビア540A、540B、及びメッキレジスト部550A、550Bを含む。
【0209】
配線基板500には表面500Aから裏面500Bまで貫通する貫通孔560が形成されており、ビア540A、540Bとメッキレジスト部550A、550Bは、貫通孔560の内壁に沿って筒状に形成されている。
【0210】
ここで、図16には、配線基板500の表面500Aとして導電層21の表面を示すが、導電層21が形成されていない部分では、配線基板500の表面500Aは絶縁層11の表面である。
【0211】
同様に、配線基板500の裏面500Bは、導電層26が形成されている部分では導電層の下面であり、貫通孔560の下端560Bの近傍のように導電層26が形成されていない部分では、配線基板500の裏面500Bは絶縁層15の下面である。
【0212】
貫通孔560は、ビア540A、540Bがそれぞれ形成されている孔部561A、561Bと、メッキレジスト部550A、550Bがそれぞれ形成されている孔部562A、562Bとを含む。
【0213】
孔部561A、561Bと孔部562A、562Bの内径は異なり、孔部562A、562Bの内径の方が孔部561A、561Bの内径よりも大きい。孔部561Aと孔部561Bの内径は等しい。同様に、孔部562Aと孔部562Bの内径は等しい。
【0214】
なお、孔部561A、561B、562A、562Bは、貫通孔560の上端560Aから下端560Bにかけて、孔部561A、562A、561B、562Bの順に連なっている。
【0215】
ここで、孔部561A、561B、562A、562Bの内径とは、それぞれ、ビア540A、540B、メッキレジスト部550A、550Bの厚さを含まない内径である。
【0216】
ここで、図16に示す部分では、配線基板500に含まれる導電層21、22A、22B、22C、23、24A、24B、24C、25A、25B、25C、26は、ビア540A、540Bと接続するか接続しないかにより、平面視における形状(パターン)が決められている。
【0217】
例えば、ビア540A、540Bに接続されない導電層24C、25C、26のうち、導電層24C、25Cは、貫通孔560を避けた位置(図中右側)に形成されている。また、導電層26は、貫通孔560を避けるために平面視で貫通孔560よりも大きな円形の開口部を有する。貫通孔560と導電層26とは、平面視で中心を一致させて同心円状に配置されるように設計されている。図16に示す導電層21、23は、それぞれ2つに分かれているが、実際には層毎に接続されている。
【0218】
また、導電層22A、22B、24A、24B、2A、25Bについては、導電層22A、22Bは互いに接続されるとともに、ともにビア540Aの中間部に接続されている。導電層24A、24Bは互いに接続されるとともに、ともにビア540Bの上端に接続され、導電層25A、25Bは互いに接続されるとともに、ともにビア540Bの下端に接続されている。
【0219】
なお、以下では、導電層22A、22B、22Cを特に区別しない場合には、単に導電層22と称す。同様に、導電層24A、24B、24Cと、導電層25A、25B、25Cをそれぞれ特に区別しない場合には、それぞれ、単に導電層24、25と称す。
【0220】
絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25は、コア層である絶縁層12と絶縁層14の両面に、それぞれ、導電層22、23と導電層24、25を形成した状態で熱硬化処理が施されることによって固着される。
【0221】
なお、説明の便宜上、図16には配線基板500の一部分の断面を示す。配線基板500は、貫通孔560を複数含んでもよい。
【0222】
配線基板500には、配線基板500の表面500Aから裏面500Bまで貫通する貫通孔560が形成されている。貫通孔560は、導電層21、22、23を接続するビア540Aと、導電層24、25を接続するビア540Bとを形成するために形成される。ビア540A、540B、メッキレジスト部550A、550B、及び貫通孔560の形成方法については後述する。
【0223】
ビア540A、540Bは、無電解メッキ層と電解メッキ層とによって貫通孔560の内壁に沿って形成される筒状のメッキ部の一例である。ビア540A、540Bは、貫通孔560内のメッキレジスト部550A、550Bが形成されていない部分に形成される。
【0224】
これにより、ビア540Aとビア540Bは、それぞれ、導電層21、22、23と導電層24、25を接続することになる。
【0225】
ビア540Aには、メッキ層530A、530Bが接続される。また、配線基板500の裏面500Bの導体層26には、メッキ層530C、530Dが形成される。
【0226】
メッキ層530A、530B、530C、530Dは、ビア540A、540Bとともにメッキ処理によって形成される。
【0227】
ビア540A、540Bとメッキ層530A、530B、530C、530Dを構築する無電解メッキ層と電解メッキ層は、例えば、銅メッキで形成することができる。ただし、ビア540A、540Bは銅メッキに限定されず、他の材料(例えば、ニッケル、錫、亜鉛等)のメッキであってもよい。
【0228】
メッキレジスト部550Bは、配線基板500の裏面500B(貫通孔560の下端560B)から導電層25の下面25Dに至るまで貫通孔560の内壁に形成されるメッキレジスト部の一例である。
【0229】
メッキレジスト部550Aは、導電層23の下面23Aから導電層24の上面24Dに至るまで貫通孔560の内壁に形成されるメッキレジスト部の一例である。
【0230】
メッキレジスト部550A、550Bとしては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂を用いることができる。
【0231】
次に、図17乃至図19を用いて、実施の形態5の配線基板500(501)の製造方法について説明する。ここで、配線基板501は、配線基板500が完成する前の製造段階における配線基板を表す。
【0232】
図17乃至図19は、実施の形態5の配線基板500(501)の製造方法を示す断面図である。図17乃至図19では、図16よりも配線基板500(501)を縮小して示す。
【0233】
まず、図17(A)の(1)に示すように、プリプレグ層である絶縁層13を用意し、図17(A)の(2)に示すように、プリプレグ層である絶縁層13の一部に貫通孔130を形成する。貫通孔130は、後に形成する貫通孔560よりも平面視で大きければよく、平面視における形状は、円形に限らず、例えば、矩形であってもよい。貫通孔130は、ドリルを用いた機械的な加工によって形成してもよいし、ウェットエッチングを行うことによって形成してもよい。
【0234】
次に、図17(A)の(3)に示すように、貫通孔130内にメッキレジスト部551を充填する。
【0235】
次に、図17(B)に示すように、絶縁層11、12、13、14、15と導電層21、22、23、24、25を重ね合わせて熱硬化処理を施すことにより、配線基板501を作成する。絶縁層13の貫通孔130(図17(A)参照)にはメッキレジスト部551が充填されている。
【0236】
メッキレジスト部551は、後に貫通孔560が貫通されることにより、メッキレジスト部550Aになるメッキレジスト部である。このため、メッキレジスト部551は、後に形成される貫通孔560を平面視で内包するように、位置合わせが行われて形成される。
【0237】
次に、図18(A)に示すように、配線基板501の裏面501Bから、レーザ加工等を行うことにより、孔部570を形成する。孔部570は、導電層26の一部を除去した後に、導電層25の下面25Dに至るまで絶縁層15を除去することによって形成される。
【0238】
例えば、まず、COレーザの出力を導電層26を加工するのに適した値に設定して、導電層26の一部を除去する。次に、COレーザの出力を絶縁層15を加工するのに適した値に設定して絶縁層15のレーザ加工を行えば、絶縁層15を除去する加工を導電層25の下面25Dで停止させることができる。
【0239】
これは、絶縁層15よりも導電層25の方が加工に必要なレーザの出力が高いためである。従って、絶縁層15を加工する際のレーザの出力は、導電層25を加工するために必要な出力よりも小さく、かつ、絶縁層15を加工するのに十分な出力に設定すればよい。
【0240】
このようにして、配線基板501の下面501Bから導電層25の下面25Dに至る孔部570を形成することができる。
【0241】
なお、孔部570は、後に形成される貫通孔560を平面視で内包するように、位置合わせが行われて形成される。孔部570は、後に内部にメッキレジストを充填し、そのメッキレジストをメッキレジスト部550Bとして用いるために形成される。
【0242】
このため、孔部570が円筒状である場合は、孔部570の内径は、後にメッキレジスト部550Bを形成することを考慮して、貫通孔560の内径よりもメッキレジスト部550Bとして必要な厚さだけ大きく設定すればよい。
【0243】
また、孔部570が円筒状ではなく、平面視で矩形である場合は、メッキレジスト部550Bとして必要な厚さが確保できるような縦横の寸法に設定すればよい。
【0244】
次に、図18(B)に示すように、孔部570の内部にメッキレジストを充填することにより、メッキレジスト部552を形成する。メッキレジスト部552は、配線基板501の裏面501Bから導電層25の下面25Dに至るまで形成される。
【0245】
メッキレジストとしては、例えば、無電解メッキが付き難いフッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂等を用いればよい。
【0246】
次に、図19(A)に示すように、配線基板501の表面501A又は裏面501B側からドリルで穿孔することにより、表面501Aから裏面501Bまで貫通する貫通孔560を形成する。
【0247】
この時点で、メッキレジスト部550Aが導電層23の下面23Aから導電層24の上面24Eに至るまで、貫通孔560の内部に形成される。また、メッキレジスト部550Bが配線基板501の裏面501B(貫通孔560の下端560B)から導電層25の下面25Dに至るまで、貫通孔560の内部に形成される。
【0248】
次に、メッキレジスト部550A、550Bが形成された配線基板501を無電解メッキの溶液に含浸させて無電解メッキ層を形成し、その上に電解メッキ層を形成することにより、図19(B)に示すように、ビア540A、540Bを形成する。
【0249】
貫通孔560の内部では、導電層23の下面23Aから導電層24の上面24Eに至るまでメッキレジスト部550Aが形成されるとともに、貫通孔560の下端560Bから導電層25の下面25Dに至るまでメッキレジスト部550Bが形成されている。このため、メッキレジスト部550A、550Bが形成されている部分にはビア540A、540Bは形成されない。
【0250】
ビア540A、540Bは、貫通孔560の内部において、メッキレジスト部550A、550Bが形成されていない部分に形成される。
【0251】
これにより、ビア540Aは、導電層21、22、23に接続され、ビア540Bは、導電層24、25に接続される。
【0252】
以上により、図19(B)に示す配線基板500が形成される。図19(B)に示す配線基板500は、図16に示す配線基板500と同一である。
【0253】
配線基板500に形成されるビア540A、540Bは、従来の製造方法によるビアとは異なり、内層の導電層21〜25に接続される部分において、スタブの発生を抑制することができる。
【0254】
これは、導電層23の下面23Aから導電層24の上面24Eに至るまで、メッキレジスト部550Aを560の内部に精度よく形成できるからである。メッキレジスト部550Aは、プリプレグ層である絶縁層13を導電層21〜26と絶縁層11、12、14、15と貼り合わせる前に、貫通孔130内に充填したメッキレジスト部551(図17(A)参照)から形成されている。
【0255】
プリプレグ層である絶縁層13は、上側に導電層23が張り合わされ、下側に導電層24が張り合わされる(図17(B)参照)。このため、絶縁層13を貫通するメッキレジスト部551(図17(A)参照)の平面視における中央部に貫通孔560を貫通させることにより、導電層23の下面23Aから導電層24の上面24Eに至るまで、メッキレジスト部550Aを560の内部に精度よく形成できる。
【0256】
そして、この結果、ビア540Aの下端とビア540Bの上端におけるスタブの発生を抑制することができる。
【0257】
また、実施の形態5でスタブの発生を抑制できるのは、上述の理由に加えて、メッキレジスト部550Bを配線基板500の裏面500B(貫通孔560の下端560B)から導電層25の下面25Dに至るまで、貫通孔560の内部に精度よく形成できるからである。
【0258】
上述のように、レーザ加工によって貫通孔560の下端560Bから導電層25の下面25Dに至るまで孔部570(図18(A)参照)を形成し、孔部570内に充填したメッキレジスト部552(図18(B)参照)からメッキレジスト部550Bを形成する。
【0259】
このため、配線基板500の裏面500B(貫通孔560の下端560B)から導電層25の下面25Dに至るまでメッキレジスト部550Bを精度よく形成することができる。
【0260】
以上より、実施の形態5によれば、スタブの発生を効果的に抑制することにより、信号の反射又はノイズ等が発生せず、高速信号の伝送特性が良好な配線基板500を提供することができる。
【0261】
また、従来のビアの不要な部分を裏面側から削り取る方法のように機械的な加工を行わないため、ビア540A、540Bを傷つけることがなく、削り屑等が貫通孔560内に残存することがなく、ビア540A、540Bを形成しない側の貫通孔560の孔径が大きくなることがなく、導電層21〜25への影響が残らない。
【0262】
このため、従来の製造方法によるビアを含む配線基板に比べて、高速信号の伝送特性が大幅に良好になる。
【0263】
また、メッキレジスト部550Aが十分な厚さを有するようにメッキレジスト部550Aを形成できるので、ビア540Aとビア540Bとを確実に絶縁させることが可能である。
【0264】
なお、以上で説明した実施の形態1乃至5では、レーザ加工で孔部70、470A、470B、570を形成する場合について説明したが、ドリルを用いて孔部70、470A、470B、570を形成してもよい。
【0265】
以上、本発明の例示的な実施の形態の配線基板、配線基板ユニット、電子装置、及び配線基板の製造方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
絶縁層と、
前記絶縁層と交互に積層される導電層と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の第1導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第1メッキレジスト部と、
前記第1メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部と
を含む配線基板。
(付記2)
前記第1メッキレジスト部の形成区間の前記貫通孔の内径と、前記メッキ部の形成区間の前記貫通孔の内径とは等しい、付記1記載の配線基板。
(付記3)
前記第1メッキレジスト部の形成区間の前記貫通孔の内径は、前記メッキ部の形成区間の前記貫通孔の内径よりも大きい、付記1記載の配線基板。
(付記4)
前記貫通孔の他端側からいずれかの層間の第2導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第2メッキレジスト部をさらに含み、
前記メッキ部は、前記第1メッキレジスト部及び前記第2メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成される、付記1乃至3のいずれか一項記載の配線基板。
(付記5)
前記第1メッキレジスト部が形成される区間の前記貫通孔の内径と、前記メッキ部が形成される区間の前記貫通孔の内径とは異なる、付記1記載の配線基板。
(付記6)
前記第1メッキレジスト部は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、又はオレフィン樹脂によって形成される、付記1乃至5のいずれか一項記載の配線基板。
(付記7)
プリプレグを含む絶縁層と、
前記絶縁層と交互に積層される導電層と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、
前記プリプレグの絶縁層内に形成され、隣接の導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成されるメッキレジスト部と、
前記メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部と
を含み、前記メッキレジスト部は、複数のメッキ部の間に配置される、配線基板。
(付記8)
付記1乃至7のいずれか一項記載の配線基板と、
前記配線基板に搭載される電子部品と
を含む、配線基板ユニット。
(付記9)
付記8記載の配線基板ユニットを含む、電子装置。
(付記10)
導電層と絶縁層を交互に積層する工程と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の導電層に至るまで前記貫通孔内にメッキレジスト部を形成する工程と、
前記メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に、メッキ部を形成する工程と
を含む配線基板の製造方法。
(付記11)
前記貫通孔を形成する前に、前記いずれかの層間の導電層に至るまで前記貫通孔より内径の大きい非貫通孔を形成する工程をさらに含み、
前記メッキレジスト部は、前記非貫通孔の内部にメッキレジスト材が形成され、該メッキレジスト材を貫通するように前記貫通孔が形成されることにより前記非貫通孔の内壁部に形成される、付記10記載の配線基板の製造方法。
(付記12)
プリプレグを含む絶縁層に第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔内にメッキレジスト材を形成する工程と、
前記メッキレジスト材が形成された絶縁層に導電層および他の絶縁層を積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体に、前記メッキレジスト材の内部を貫通する第2貫通孔を形成する工程と、
前記前記メッキレジスト以外の前記貫通孔の内壁上に、メッキ部を形成する工程と
を含む配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0266】
1 サーバ
2 配線基板ユニット
3A、3B BGA
4A、4B CPU
5A〜5F メモリモジュール
6A、6B 電源モジュール
11、12、13、14、15 絶縁層
21、22、23、24、25 導電層
23A 下面
30 メッキ層
30A、30B、30C メッキ層
40 ビア
50 メッキレジスト部
60 貫通孔
60A 上端
60B 下端
61、62 孔部
100 配線基板
100B 裏面
101 配線基板
101A 表面
101B 裏面
200、201 配線基板
200A、201A 表面
200B、201B 裏面
70 孔部
70B 下端
250、250A メッキレジスト部
251 凸部
202、203 配線基板
202A、203A 表面
203B、203B 裏面
260 貫通孔
260A 上端
260B 下端
300、301 配線基板
300A、301A 表面
300B、301B 裏面
350 メッキレジスト部
360 貫通孔
360A 上端
360B 下端
400、401 配線基板
400A、401A 表面
400B、401B 裏面
24A、24B、24C 導電層
440 ビア
450A、450B メッキレジスト部
460 貫通孔
460A 上端
460B 下端
461、462A、462B 孔部
500、501 配線基板
500A、501A 表面
500B、501B 裏面
22A、22B、22C、25A、25B、25C、26 導電層
530A、530B、530C、530D メッキ層
540A、540B ビア
550A、550B メッキレジスト部
560 貫通孔
560A 上端
560B 下端
561A、561B、562A、562B 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層と交互に積層される導電層と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の第1導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第1メッキレジスト部と、
前記第1メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部と
を含む配線基板。
【請求項2】
前記第1メッキレジスト部の形成区間の前記貫通孔の内径と、前記メッキ部の形成区間の前記貫通孔の内径とは等しい、請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1メッキレジスト部の形成区間の前記貫通孔の内径は、前記メッキ部の形成区間の前記貫通孔の内径よりも大きい、請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記貫通孔の他端側からいずれかの層間の第2導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成される第2メッキレジスト部をさらに含み、
前記メッキ部は、前記第1メッキレジスト部及び前記第2メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成される、請求項1乃至3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項5】
プリプレグを含む絶縁層と、
前記絶縁層と交互に積層される導電層と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔と、
前記プリプレグの絶縁層内に形成され、隣接の導電層に至るまで前記貫通孔の壁上に形成されるメッキレジスト部と、
前記メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に形成されるメッキ部と
を含み、前記メッキレジスト部は、複数のメッキ部の間に配置される、配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の配線基板と、
前記配線基板に搭載される電子部品と
を含む、配線基板ユニット。
【請求項7】
請求項6記載の配線基板ユニットを含む、電子装置。
【請求項8】
導電層と絶縁層を交互に積層する工程と、
前記導電層及び絶縁層を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の一端側からいずれかの層間の導電層に至るまで前記貫通孔内にメッキレジスト部を形成する工程と、
前記メッキレジスト部以外の前記貫通孔の内壁上に、メッキ部を形成する工程と
を含む配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記貫通孔を形成する前に、前記いずれかの層間の導電層に至るまで前記貫通孔より内径の大きい非貫通孔を形成する工程をさらに含み、
前記メッキレジスト部は、前記非貫通孔の内部にメッキレジスト材が形成され、該メッキレジスト材を貫通するように前記貫通孔が形成されることにより前記非貫通孔の内壁部に形成される、請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
プリプレグを含む絶縁層に第1貫通孔を形成する工程と、
前記第1貫通孔内にメッキレジスト材を形成する工程と、
前記メッキレジスト材が形成された絶縁層に導電層および他の絶縁層を積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体に、前記メッキレジスト材の内部を貫通する第2貫通孔を形成する工程と、
前記前記メッキレジスト以外の前記貫通孔の内壁上に、メッキ部を形成する工程と
を含む配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−195389(P2012−195389A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57272(P2011−57272)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】