説明

配線基板ならびにその配線基板を備えた電子装置および電子モジュール装置

【課題】 実装信頼性が高い配線基板および電子装置ならびに電子モジュール装置を提供する。
【解決手段】 本発明の配線基板は、電子部品Eが収納される凹部1aが形成された絶縁基板3と、凹部の底面1cに形成された複数の電極2と、凹部の側壁1bの一部が傾斜しており、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角が鋭角である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品が搭載される配線基板、ならびにその配線基板を備えた電子装置および電子モジュール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品を配線基板に半田等のろう材を介して搭載された電子装置が知られている。
【0003】
例えば、CCD型またはCMOS型等の撮像素子を配線基板に搭載した、デジタルカメラや光学センサ等に適用される撮像装置では、配線基板上に撮像素子を実装するとともに、レンズ固定部材によって撮像素子の上にレンズが配置されて、レンズおよびレンズ固定部材によって撮像素子が封止されており、撮像素子の周囲にコンデンサや抵抗等の電子部品が搭載されているものである。そして、このような撮像装置は、配線基板に搭載された撮像素子の受光部に入力された光(画像)を撮像素子によって電気信号に変換し、ボンディングワイヤ等の接続部材および配線基板の配線導体および外部端子を介してデジタルカメラ内の外部回路等に出力するものである。このような撮像装置として、撮像装置の面積を小さくして小型化するために、配線基板の上面に凹部を設け、配線基板の上面に凹部を塞ぐように撮像素子が配置されるとともに、凹部の底面に撮像素子からの電気信号を処理するためのコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品が半田等のろう材を介して複数搭載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−335533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品を複数搭載した電子装置においては、配線基板に設けられた凹部にコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品を半田等のろう材を介して搭載する場合に電子部品が起きあがる現象が発生することがある。前述の現象が発生すると電子部品と配線基板の周辺に搭載するCCD型撮像素子またはCMOS型撮像素子等の半導体素子との電気的な接続ができなくなってしまい、半導体素子からの電気信号を処理することができず、正常な信号を出力する電子装置とすることができないという問題があった。
【0006】
また、例えば撮像装置においては、配線基板の上面に設けられた凹部の底面に電子部品を実装する場合に、前述の現象が発生すると起きあがった電子部品がその上部に搭載されている撮像素子と接触してしまい、撮像素子が破損してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、実装信頼性が高い配線基板および電子装置ならびに電子モジュール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様による配線基板は、絶縁基板と、絶縁基板に形成された複数の電極とを備えている。絶縁基板は、電子部品が収納される凹部を有している。凹部は、その底面に複数の電極が形成されている。凹部は、側壁の一部が傾斜している。凹部の側壁の一
部と凹部の底面とのなす角は、鋭角である。
【0009】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の配線基板と、配線基板に搭載された電子部品とを備えている。
【0010】
本発明の他の態様によれば、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置と、電子装置に搭載された電子デバイスとを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一つの態様による配線基板において、凹部の側壁の一部と凹部の底面とのなす角が鋭角となるように凹部の側壁の一部が傾斜していることによって、電子部品を凹部に実装する場合に、電子部品が起きあがる現象が発生しようとしても、この電子部品の起きあがりは一部が傾斜している凹部の側壁によって有効に防止されることとなり、電子部品の実装信頼性が高い配線基板となるものである。
【0012】
本発明の他の態様によれば、一部が傾斜している凹部の側壁に沿って底面に第1の電極が形成されており、平面視において、第1の電極の大きさが、第2の電極の大きさより小さく形成されていることによって、電子部品を凹部に実装する場合に、電子部品が起きあがろうとするのは、一部が傾斜している凹部の側壁側であるため、この電子部品の起きあがりは確実に、一部が傾斜している凹部の側壁によって有効に防止されることとなり、電子部品の実装信頼性が更に高い配線基板となるものである。
【0013】
また、本発明の他の態様によれば、一部が傾斜している凹部の側壁と電子部品の一部が接するように収納されていることによって、電子部品が起きあがる現象が発生しようとしても、電子部品の起きあがりは、一部が傾斜している凹部の側壁によって更に確実に防止されるものとなって、電子部品の実装信頼性が更に高い電子装置となるものである。
【0014】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の配線基板を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0015】
本発明の他の態様によれば、電子モジュール装置は、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本実施形態の電子装置の実施の形態の一例を示す上面図であり、(b)は図1(a)に示された電子装置のA−A線における断面を示す断面図である。
【図2】(a)は本実施形態の電子モジュール装置の実施の形態の一例を示す斜視図であり、(b)は図2(a)に示された電子モジュール装置のA−A線における断面を示す断面図である。
【図3】(a)は本実施形態の電子装置の実施の形態の他の例を示す上面図であり、(b)は図1(a)に示された電子装置のA−A線における断面を示す断面図である。
【図4】本実施形態の配線基板における製造方法でのセラミックグリーンシートの貫通孔の形成方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態における電子装置は、配線基板1と、配線基板1に搭載された電子部品Eとを備えてい
る。
【0019】
配線基板1は、絶縁基板3と、絶縁基板3に形成された複数の電極2とを備えている。
【0020】
絶縁基板3は、電子部品Eが収納される凹部1aを有している。
【0021】
絶縁基板3は、上面にコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品Eを半田等のろう材を介して搭載するための凹部1aを有し、例えば、酸化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・窒化珪素質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁性セラミックスや、エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂、および四フッ化エチレン樹脂を始めとするフッ素系樹脂等の樹脂(プラスティックス)から成る略四角形の絶縁層を複数上下に積層して形成されている。
【0022】
絶縁基板3は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウムの粉末に酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の焼結助剤を添加し、さらに適当な有機バインダ・溶剤等を添加混合して泥漿物を作るとともに、この泥漿物をドクターブレード法やカレンダーロール法を採用することによってグリーンシート(生シート)とし、しかる後、このグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して略四角形状に加工するとともにこれを複数枚積層し、焼成することによって製作される。
【0023】
また、絶縁基板3が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によって成形することによって形成することができる。また、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合は、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって形成することができる。
【0024】
この絶縁基板3において、凹部の底面1cに複数の電極2が被着形成されており、また撮像素子等の電子デバイスCが搭載される上面にビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を含む配線導体4が被着形成されている。複数の電極2および配線導体4は、絶縁基板3がセラミックスから成る場合は、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末メタライズから成り、絶縁基板3用のセラミックグリーンシートに複数の電極2および配線導体4用の導体ペーストをスクリーン印刷法等によって所定形状で印刷して、セラミックグリーンシートと同時に焼成することによって、絶縁基板3の所定位置に形成される。内部導体のうち、セラミックグリーンシートを厚み方向に貫通する貫通導体は、導体ペーストを印刷することによってセラミックグリーンシートに形成した貫通孔を充填しておけばよい。このような導体ペーストは、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、絶縁基板3との接合強度を高めるために、ガラスやセラミックスを含んでいても構わない。
【0025】
また、複数の電極2および配線導体4は、絶縁基板3が樹脂から成る場合には、銅,金,アルミニウム,ニッケル,クロム,モリブデン,チタンおよびそれらの合金等の金属材料から成る。例えば、ガラスエポキシ樹脂から成る樹脂シート上に配線導体の形状に加工した銅箔を転写し、銅箔が転写された樹脂シートを積層して接着剤で接着することによって形成する。内部導体のうち、樹脂シートを厚み方向に貫通する貫通導体は、導体ペーストの印刷やめっき法によって樹脂シートに形成した貫通孔の内面に被着形成するか、貫通孔を充填して形成すればよい。また、金属箔や金属柱を樹脂から成る絶縁基板に一体化さ
せたり、絶縁基板3にスパッタリング法,蒸着法等,めっき法等を用いて被着させたりして形成される。なお、外部回路基板と電気的に接続するために配線基板1の下面に形成された外部電極もまた、前述の電極2と同様にして形成される。
【0026】
凹部1aは、側壁1bの一部が傾斜しており、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角は、鋭角である。
【0027】
電極2は、凹部の底面に複数形成されており、半田等のろう材を介してコンデンサ,コイルおよび抵抗等の電子部品Eの端子にそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
電子部品Eは、凹部1aに収納されている。また、電子部品Eは、複数の端子を有している。電子部品Eの各端子は、半田等のろう材を介して凹部の底面に形成された複数の電極2のそれぞれに電気的に接続されている。
【0029】
本実施形態の配線基板1においては、電子部品Eが収納される凹部1aが形成された絶縁基板3と、凹部の底面1cに形成された複数の電極2と、凹部の側壁1bの一部が傾斜しており、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角が鋭角である。
【0030】
このように、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角が鋭角となるように凹部の側壁1bの一部が傾斜していることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eが起きあがるマンハッタン現象が発生しようとしても、この電子部品Eの起きあがりは一部が傾斜している凹部の側壁1bによって有効に防止されるものとなって、本実施形態の一つの態様による配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0031】
次に、本実施形態の配線基板1の製造方法について説明する。
【0032】
絶縁基板3は、例えば酸化アルミニウム(Al)質焼結体からなり、その上面に電子部品Eが収納される凹部1aを有している。この絶縁基板3は、主成分が酸化アルミニウム(Al)である酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、Alの粉末に焼結助材としてシリカ(SiO),マグネシア(MgO),カルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダ、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、従来周知のドクターブレード法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0033】
このセラミックグリーンシートを用いて、以下の(1)〜(5)の工程により配線基板1が作製される。
【0034】
(1)凹部の側壁1bとなる部位の打ち抜き金型を用いた打ち抜き工程。
【0035】
(2)凹部の底面1cに形成される複数の電極2、電子デバイスCが搭載される上面にビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を含む配線導体4をそれぞれ形成するための導体ペーストの印刷塗布工程。
【0036】
(3)各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する工程。
【0037】
(4)このセラミックグリーンシート積層体を個々の絶縁基板3となる積層体に切断分離し、これらを焼成して各凹部1aを有する焼結体を得る工程。
【0038】
(5)複数の電極2を保護して酸化防止するとともにろう付けを容易にするための金属めっき層を複数の電極2の表面に被着する工程。
【0039】
この配線基板1は、これを多数個取りで一括して作製できることから、セラミックスからなる基板上に金属製の枠体を設けたタイプの半導体パッケージに比べて低コストで製造でき高い汎用性を有する。
【0040】
本実施形態の電子装置において、図4に記載されているように、凹部の側壁1bの一部が傾斜しており、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角度をX度としたとき、70≦X≦85であるのがよい。Xが70未満の場合、凹部の側壁1bの厚みが薄いものとなるため、配線基板1を取り扱うときの外力によって、凹部の側壁1bに割れ、欠け等の不具合が発生する可能性がある。Xが85を超える場合、凹部の側壁1bによって電子部品Eの起きあがりを十分に防止することができない可能性がある。また、Xを上記範囲とすることで、電子部品Eが起きあがるマンハッタン現象が発生しようとしても、電子部品Eの起きあがりは傾斜している凹部の側壁1bによって有効に防止されることとなり、電子部品の実装信頼性が高いものとなる。
【0041】
また、凹部の側壁1bの一部が傾斜するように一部の内壁が傾斜している傾斜部となる貫通孔は、セラミックグリーンシートに形成される方形の貫通孔の対向する少なくとも1対の内壁がセラミックグリーンシートの一方の主面から他方の主面に向けて70〜85度の角度θで広がるように形成する。このように貫通孔の内壁がセラミックグリーンシートの一方の主面から他方の主面に向けて70〜85度の角度θで広がるように形成することにより、貫通孔の内壁が絶縁基板2の下面に対して70〜85度の角度θで外側に広がるように形成することができる。
【0042】
このように方形の貫通孔の対向する少なくとも1対の内壁がセラミックグリーンシートの一方の主面から他方の主面に向けて70〜85度の角度θで広がるように形成するには、図4(a)に貫通孔の形成方法を説明するための断面図で示すように、打ち抜き金型のパンチ6とダイス7との間の一部のクリアランスGを大きく設定すればよい。例えばセラミックグリーンシートの厚みが0.5mm程度の場合であれば、金型の一部のクリアランスGを0.2〜0.5mm程度とすればよい。そうすることにより角度θを70〜85度とすることができる。なお、前述のセラミックグリーンシートは、複数枚を重ねたものであっても構わない。それら複数枚のセラミックグリーンシートは、凹部1aの深さに相当する厚みにまで重ねた後に打ち抜き加工を行うことが生産性の観点では好ましいが、凹部の側壁1bと凹部の底面1cとの成す角を漸次小さくする場合には、それぞれを所定の角度で打ち抜いた後、それらを積層することで凹部の側壁1bとなる貫通孔の内壁を所望の形状とすることができる。このような構造は、複数枚のセラミックグリーンシートを積層した後に打ち抜き加工を行う場合に比べて生産性に劣るが、電子部品Eが浮き上がる効果を損なうことなく、凹部1aとなるセラミックグリーンシートと凹部の底面1cとなるセラミックグリーンシートとの積層性に優れたものとなるので、信頼性の高い配線基板とすることが可能である。
【0043】
本実施形態の配線基板1において、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角が鋭角となるように凹部の側壁1bの一部が傾斜していることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eが起きあがるマンハッタン現象が発生しようとしても、この電子部品Eの起きあがりは一部が傾斜している凹部の側壁1bによって有効に防止されるものとなって、本実施形態の一つの態様による配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0044】
また、複数の電極2が第1の電極2aと第2の電極2bとを含んでなるとともに、一部
が傾斜している凹部の側壁1bに沿って底面1cに第1の電極2aが形成されており、平面視において、第1の電極2aの大きさが、第2の電極2bの大きさより小さく形成されている。このような構造とすることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eは一部が傾斜している凹部の側壁1b側が起きあがろうとするものとなるが、一部が傾斜している凹部の側壁1bによって電子部品Eの起きあがりは有効に防止されるものとなる。
【0045】
なお、第1の電極2aは、凹部の側壁1bから離間して形成されていてもよい。このことにより、電極2の表面に電解めっきを用いて金(Au)や銀(Ag)等を被着させる場合に、凹部の側壁1bが傾斜していることにより、めっき液の循環が阻害され、凹部の側壁1b近傍でめっき皮膜が良好に形成されなくなるといった不具合を避けることができる。
【0046】
また、セラミックグリーンシート積層体から切り出した個々の積層体を焼成することにより、各電極2および配線導体4が焼成されて被着形成される。すなわち、凹部の底面1cの複数の電極2は5〜10μmの厚さで形成され、また、電子デバイスCが電気的に接続される入出力端子の配線導体が、5〜10μmの厚さで形成される。
【0047】
さらに、各電極2を保護するとともに酸化防止をし、またその上へのロウ付けを容易かつ強固に行なうために、複数の電極2の表面に、厚さ0.5〜10μmのNiメッキ層を被着させるか、またはこのNiメッキ層および厚さ0.5〜2μmの金(Au)メッキ層を順次被着させるのがよい。
【0048】
このようにして形成された配線基板1に、凹部1a内に電子部品Eを収納するとともに、半田ペースト等で電気的に接続することで電子装置となる。
【0049】
また、前述の電子装置の上面に、電子部品Eより大きい形状の電子デバイスCを搭載し、接続部材8を用いて配線導体4と電気的に接続することで電子デバイスCと電子部品Eとが配線導体1を介して電気的に接続された電子モジュール装置となる。電子デバイスCは例えばCCD型撮像素子またはCMOS型撮像素子等の半導体素子である。接続部材8としては、例えば金(Au)等からなるボンディングワイヤが用いられる。なお、電子デバイスCを保護するとともに電子デバイスCからの放熱を促進する目的で、必要に応じて凹部1a内に樹脂等を充填しても構わない。また、それらの樹脂は電子デバイスCを固定する目的を兼ねるものであっても構わない。
【0050】
本実施形態の配線基板1において、凹部の側壁1bの一部と凹部の底面1cとのなす角が鋭角となるように凹部の側壁1bの一部が傾斜していることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eにおいてマンハッタン現象が発生しようとしても、電子部品Eの起きあがりは一部が傾斜している凹部の側壁1bによって有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0051】
本実施形態の配線基板1において、複数の電極2が第1の電極2aと第2の電極2bとを含んでなるとともに、一部が傾斜している凹部の側壁1bに沿って底面1cに第1の電極2aが形成されており、平面視において、第1の電極2aの大きさが、第2の電極2bの大きさより小さく形成されていることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eは一部が傾斜している凹部の側壁1b側が起きあがろうとするものとなるが、一部が傾斜している凹部の側壁1bによって電子部品Eの起きあがりは有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0052】
本実施形態の電子装置において、電子部品Eが凹部1aに収納され、複数の電極2に電気的に接続された配線基板1を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0053】
本実施形態の電子装置において、図1、2に記載されているように、一部が傾斜している凹部の側壁1bと電子部品Eの一部が接するように収納されていることによって、電子部品Eにおいてマンハッタン現象が発生しようとしても、一部が傾斜している凹部の側壁1bによって電子部品Eの起きあがりは有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0054】
本実施形態の電子装置において、上記構成の配線基板1を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0055】
本実施形態の電子モジュール装置において、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0056】
(第2の実施形態)
図3を参照して本発明の第2の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態と異なる点は、凹部の構造である。第1の実施形態において、凹部の側壁の一部が傾斜しており、凹部の対向する少なくとも1対の側壁のそれぞれと凹部の底面とのなす角が鋭角である構造であったが、本実施形態においては凹部の対向する少なくとも1対の側壁において、一方の側壁と凹部の底面とのなす角が鋭角であり、他方の側壁と凹部の底面とのなす角が鈍角である構造である。
【0057】
本実施形態の電子装置において、凹部の側壁の一部が傾斜しており、一方の側壁と凹部の底面とのなす角度をY度とし、他方の側壁と凹部の底面とのなす角をZ度としたとき、70≦Y≦85および95≦Z≦110であるのがよい。Yが70未満の場合、凹部の側壁1bの厚みが薄いものとなるため、配線基板1を取り扱うときの外力によって、凹部の側壁1bに割れ、欠け等の不具合が発生する可能性がある。Yが85を超える場合、凹部の側壁1bによって電子部品Eの起きあがりを十分に防止することができない可能性がある。また、Xを上記範囲とすることで、電子部品Eにおいてマンハッタン現象が発生しようとしても、電子部品Eの起きあがりは傾斜している凹部の側壁1bによって有効に防止されることとなり、電子部品の実装信頼性が高いものとなる。また、Zが95未満の場合、電子部品Eを凹部に収納する際に凹部の開口が狭いものとなり、電子部品Eを凹部に収納し難いものとなる可能性がある。Zが110を超える場合、凹部の大きさが大きいものとなるため、ビアホール導体やスルーホール導体等の貫通導体を含む配線導体4を所望の箇所に形成できなくなる可能性がある。
【0058】
また、凹部の対向する少なくとも1対の側壁において、一方の側壁と凹部の底面とのなす角が鋭角であり、他方の側壁と凹部の底面とのなす角が鈍角となるように一部の内壁が傾斜している傾斜部となる貫通孔を形成するには、図4(b)に貫通孔の形成方法を説明するための断面図で示すように、セラミックグリーンシート5を打ち抜き金型で打ち抜いた後、傾斜部を有する金型やゴム等の弾性体を押し当てればよい。なお、前述のセラミックグリーンシート5は、複数枚を重ねたものであっても構わない。
【0059】
本実施形態の配線基板1において、凹部1aの対向する少なくとも1対の側壁において、一方の側壁と凹部の底面1cとのなす角が鋭角であり、他方の側壁と凹部の底面1cとのなす角が鈍角であることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eにおいてマンハッタン現象が発生しようとしても、電子部品Eの起きあがりは傾斜して
いる凹部の一方の側壁によって有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0060】
本実施形態の配線基板1において、複数の電極2が第1の電極2aと第2の電極2bとを含んでなるとともに、傾斜している凹部の一方の側壁に沿って底面1cに第1の電極2aが形成されており、平面視において、第1の電極2aの大きさが、第2の電極2bの大きさより小さく形成されていることによって、電子部品Eを凹部1aに実装する場合に、電子部品Eは傾斜している凹部の一方の側壁側が起きあがろうとするものとなるが、傾斜している凹部の一方の側壁によって電子部品Eの起きあがりは有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0061】
本実施形態の電子装置において、電子部品Eが凹部1aに収納され、複数の電極2に電気的に接続された配線基板1を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0062】
本実施形態の電子装置において、図3に記載されているように、傾斜している凹部の一方の側壁と電子部品Eの一部が接するように収納されていることによって、電子部品Eにおいてマンハッタン現象が発生しようとしても、傾斜している凹部の一方の側壁によって電子部品Eの起きあがりは有効に防止されるものとなって、配線基板1は、実装信頼性に関して向上された電子装置を実現することが可能となる。
【0063】
本実施形態の電子装置において、上記構成の配線基板1を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【0064】
本実施形態の電子モジュール装置において、上記構成の電子装置を備えていることによって、電子部品の実装信頼性に関して向上されている。
【符号の説明】
【0065】
1・・・・・配線基板
1a・・・・凹部
1b・・・・凹部の側壁
1c・・・・凹部の底面
2・・・・・複数の電極
2a・・・・第1の電極
2b・・・・第2の電極
3・・・・・絶縁基板
4・・・・・配線導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収納される凹部が形成された絶縁基板と、
前記凹部の底面に形成された複数の電極と、
前記凹部の側壁の一部が傾斜しており、該凹部の側壁の一部と前記凹部の底面とのなす角が鋭角であることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記複数の電極が第1の電極と第2の電極とを含んでなるとともに、
前記一部が傾斜している凹部の側壁に沿って前記底面に前記第1の電極が形成されており、
平面視において、前記第1の電極の大きさが、前記第2の電極の大きさより小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された配線基板と、
該配線基板に形成された前記凹部に収納され、前記複数の電極に電気的に接続された電子部品とを備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
前記一部が傾斜している凹部の側壁と前記電子部品の一部が接するように収納されていることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記複数の電極から前記絶縁基板の上面に導出された配線導体を備えた前記配線基板を含んで成る、請求項3または請求項4に記載された前記電子装置の上面に、前記電子部品より大きい形状の電子デバイスが搭載されるとともに、該電子デバイスと前記絶縁基板の上面に導出された配線導体とが電気的に接続されており、
前記電子デバイスと前記電子部品とが前記配線導体を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電子モジュール装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−77739(P2013−77739A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217411(P2011−217411)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】