説明

配線基板の製造方法

【課題】接続信頼性に優れる配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】表面及び裏面を有し、表面に半導体チップSが実装される配線基板1の製造方法であって、導体層21,22,31,32,131,132及び樹脂絶縁層33,34,133,134をそれぞれ1層以上積層し、表面側及び裏面側の表層にそれぞれ少なくとも1以上の接続端子T1,T11を有するビルドアップ層3,13を形成する工程と、表面側のビルドアップ層34,134上にフィルム状の第1のソルダーレジストを積層して第1のソルダーレジスト層4を形成し、裏面側のビルドアップ層上に第1のソルダーレジスト層4よりも厚みの厚いフィルム状の第2のソルダーレジストを積層して第2のソルダーレジスト層14を形成する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関し、特に、表面側に半導体チップが実装され、裏面側をマザーボードやソケット等に実装する配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板には、種々のものがあり、例えば、表面に半導体チップとの接続端子が形成され、裏面にマザーボードやソケット等(以下、マザーボード等と称する)との接続端子が形成されたものがある。このような配線基板は、通常、コア基板の表面及び裏面に導体層と樹脂絶縁層とを積層してビルドアップ層を形成し、上記ビルドアップ層上に、接続端子等、はんだ付けが必要な部分だけを露出した状態でソルダーレジスト層が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−206446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、半導体チップと配線基板との接続は、フリップチップ方式、すなわちアレイ状に並んだ半田バンプと呼ばれる突起状の端子によって接続するのが一般的であった。しかしながら、近年では、半導体チップの高集積化及び高密度化が進んでおり、より高密度に接続端子を実装できるCu−Pillar(以下、Cuピラーと称する)を用いた接続方式が、半導体チップと配線基板との接続に用いられるようになっている。
【0005】
ところが、従来の配線基板では、ソルダーレジスト層をスクリーン印刷法又はロールコータ法で、ビルドアップ層上に積層しているため、ソルダーレジスト層の厚みが、配線基板の表面及び裏面で同じとなっている。しかしながら、表面側のソルダーレジスト層が厚いとCuピラーが配線基板の接続端子まで届かず、接触不良を生じる虞がある。このため、半導体チップと配線基板とをCuピラーで接続する場合は、ソルダーレジスト層を薄くする必要がある。一方、配線基板とマザーボード等とは、裏面側のソルダーレジスト層の開口から露出した接続端子上に形成される半田ボールを介して接続されている。このような接続端子上に半田ボールが形成されたBGA(Ball Grid Array)基板では、半田ボールを接続端子上に確実に接続するために、ソルダーレジスト層をある程度厚くする必要がある。ソルダーレジスト層が薄いと半田ボールがうまく形成されず、接続信頼性が低下する。
【0006】
つまり、ソルダーレジスト層が厚いと、半導体チップと配線基板との接続信頼性が低下し、ソルダーレジスト層が薄いと、配線基板とマザーボード等との接続信頼性が低下する。
【0007】
本発明は、上記の事情に対処してなされたものであり、接続信頼性に優れる配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、
表面及び裏面を有し、表面に半導体チップが実装される配線基板の製造方法であって、導体層及び樹脂絶縁層をそれぞれ1層以上積層し、表面側及び裏面側の表層にそれぞれ少なくとも1以上の接続端子を有するビルドアップ層を形成する工程と、表面側のビルドアップ層上にフィルム状の第1のソルダーレジストを積層して第1のソルダーレジスト層を形成し、裏面側のビルドアップ層上に第1のソルダーレジスト層よりも厚みの厚いフィルム状の第2のソルダーレジストを積層して第2のソルダーレジスト層を形成する工程と、を有する配線基板の製造方法に関する。
【0009】
本発明によれば、表面側のビルドアップ層上にフィルム状の第1のソルダーレジストを積層して第1のソルダーレジスト層を形成し、裏面側のビルドアップ層上に第1のソルダーレジスト層よりも厚みの厚いフィルム状の第2のソルダーレジストを積層して第2のソルダーレジスト層を形成するようにしたので、半導体チップ及びマザーボード等との接続信頼性に優れた配線基板を製造することができる。
【0010】
また、フィルム状のソルダーレジストをビルドアップ層上に積層して、ソルダーレジスト層を形成しているので、ソルダーレジストをビルドアップ層上に塗布する場合に比較して、形成されるソルダーレジスト層の厚みが均一となる。このため、半導体チップ及びマザーボード等との接続信頼性が向上する。また、ソルダーレジストがフィルム状であるため、取扱い性に優れ、表面側と裏面側とで異なる厚みのソルダーレジスト層を形成することが容易となる。
【0011】
なお、本発明の一態様においては、前記第1のソルダーレジスト層に、前記ビルドアップ層の表面側の前記接続端子の表面及び側面を露出するための第1の開口を形成し、前記第2のソルダーレジスト層に、前記ビルドアップ層の裏面側の前記接続端子の表面の一部を露出するための第2の開口を形成することができる。
【0012】
つまり、この本発明の一態様では、半導体チップが接続される配線基板の表面側に積層されるソルダーレジストの開口は、接続端子の表面及び側面が露出したいわゆるNSMD(ノン・ソルダー・マスク・ディファインド)形状となっており、マザーボード等が接続される配線基板の裏面側に積層されるソルダーレジストの開口は、接続端子の表面の一部が露出したいわゆるSMD(ソルダー・マスク・ディファインド)形状となっている。
【0013】
半導体チップのCuピラーと接続される配線基板の表面側は、ファインピッチに対応するためにソルダーレジスト層の開口をNSMD形状とする必要がある。しかしながら、配線基板の裏面側は、表面側ほどのファインピッチを要求されない。このため、配線基板の裏面側のソルダーレジストの開口を、接続信頼性の高いSMD形状とすることでマザーボード等との接続信頼性を向上することができる。
【0014】
また、本発明の他の態様においては、前記第1のソルダーレジスト層上に、フィルム状の第3のソルダーレジストを積層して第3のソルダーレジスト層を形成し、前記第3のソルダーレジスト層に前記半導体チップの実装領域を取り囲む第3の開口を形成することができる。
【0015】
ビルドアップ層上に積層されるソルダーレジスト層が薄いと、ビルドアップ層の導体層が露出する虞がある。一方で、配線基板の表面に実装される半導体チップとの接続信頼性を確保するためには、半導体チップの実装領域においてソルダーレジスト層が薄くなっていればよい。このため、半導体チップの実装領域以外の領域に、さらにソルダーレジスト層を積層することで、ソルダーレジスト層の厚みを確保することができ、ビルドアップ層の導体層が露出する虞を低減することができる。
【0016】
さらに、本発明のその他の態様においては、前記第3のソルダーレジスト層を形成する場合、前記第1の開口が形成された前記第1のソルダーレジスト層上に、前記フィルム状の第3のソルダーレジストを積層することができる。
【0017】
前記第3のソルダーレジスト層を形成する際に、前記第1の開口が形成された前記第1のソルダーレジスト層上に、前記フィルム状の第3のソルダーレジストを積層することで、製造工程が簡略化されるため、配線基板の製造コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、接続信頼性に優れる配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る配線基板の平面図(表面側)。
【図2】実施形態に係る配線基板の裏面図(裏面側)。
【図3】実施形態に係る配線基板の断面図。
【図4】実施形態に係る配線基板の一部拡大断面図。
【図5】実施形態の変形例に係る配線基板の平面図(表面側)。
【図6】実施形態の変形例に係る配線基板の一部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、コア基板上にビルドアップ層を形成した配線基板を例に、本発明の実施形態を説明するが、一方の主面が半導体チップと接続され、他方の主面がマザーボードやソケット等と接続される配線基板であればよく、例えば、コア基板を有しない配線基板であってもよい。
【0021】
(実施形態)
図1は、本実施形態における配線基板1の平面図(表面側)である。図2は、本実施形態における配線基板1の裏面図(裏面側)である。図3は、図1の線分I−Iにおける配線基板1の断面図である。図4は、配線基板1の一部拡大断面図である。なお、図3,4では、半導体チップSが実装された状態での断面図を示した。また、以下の説明では、半導体チップSが接続される側を表面側とし、マザーボードやソケット等(以下、マザーボード等と称する)が接続される側を裏面側とする。
【0022】
(配線基板1の構成)
図1〜4に示す配線基板1は、コア基板2と、コア基板2の表面側及び裏面側に形成されたビルドアップ層3(表面側),13(裏面側)と、ビルドアップ層3上に形成されたソルダーレジスト層4(表面側)と、ビルドアップ層13上に形成されたソルダーレジスト層14(裏面側)と、ソルダーレジスト層4上に形成されたソルダーレジスト層5を備えている。
【0023】
コア基板2は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状の樹脂製基板である。コア基板2の表面及び裏面には、金属配線L1,L11をなすコア導体層21,22がそれぞれ形成されている。また、コア基板2には、ドリル等により穿設されたスルーホール23が形成され、その内壁面にはコア導体層21,22を互いに導通させるスルーホール導体24が形成されている。さらに、スルーホール23は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材25により充填されている。
【0024】
(表面側の構成)
ビルドアップ層3は、コア基板2の表面側に積層された導体層31,32及び樹脂絶縁層33,34からなる。樹脂絶縁層33は、熱硬化性樹脂組成物からなり、表面に金属配線L2をなす導体層31が形成されている。また、樹脂絶縁層33には、コア導体層21と導体層31とを電気的に接続するビア35が形成されている。樹脂絶縁層34は、熱硬化性樹脂組成物からなり、表層に1以上の接続端子T1を有する導体層32が形成されている。また、樹脂絶縁層34には、導体層31と導体層32とを電気的に接続するビア36が形成されている。
【0025】
ビア35,36は、それぞれ、ビアホール37aとその内周面に設けられたビア導体37bと、底面側にてビア導体37bと導通するように設けられたビアパッド37cと、ビアパッド37cと反対側にてビア導体37bの開口周縁から外向きに張り出すビアランド37dとを有している。また、接続端子T1は、半導体チップSとの接続端子である。接続端子T1は、半導体チップSの実装領域Rの内周に沿って配置された、いわゆるペリフェラル電極である。半導体チップSは、この接続端子T1と電気的に接続されることにより配線基板1に実装される。なお、半導体チップSを配線基板1に実装する際は、半導体チップSの柱状端子であるCu−Pillar(以下、CuピラーCと称する)に塗布された半田をリフローすることで半導体チップSのCuピラーCと接続端子T1とを電気的に接続する。
【0026】
ソルダーレジスト層4は、フィルム状のソルダーレジストをビルドアップ層3の表面上に積層して形成されている。上述したように、この実施形態では、半導体チップSのCuピラーCが配線基板1の接続端子T1と接続される。このため、ソルダーレジスト層4の厚みは、CuピラーCの長さに合わせて薄く形成されている。ソルダーレジスト層4の厚みは、例えば、最大厚み15μm、平均厚み8μmである。なお、ここで平均厚みとは、複数点(例えば、1mm間隔)において測定したソルダーレジスト層の厚みを平均した値である。
【0027】
また、ソルダーレジスト層4には、半導体チップSの実装領域Rの内周に沿って配置された接続端子T1を露出させる開口41が形成されている。そして、各接続端子T1の表面及び側面は、この開口41によりソルダーレジスト層4から露出した状態となっている。つまり、ソルダーレジスト層4の開口41は、狭ピッチに対応した各接続端子T1の表面及び側面を露出したNSMD形状となっている。
【0028】
ソルダーレジスト層5は、フィルム状のソルダーレジストをソルダーレジスト層4の表面上に積層して形成されている。ソルダーレジスト層5には、半導体チップSの実装領域を取り囲む開口51が形成されている。ソルダーレジスト層4上にソルダーレジスト層5を形成することにより下地である導体層32が露出するのを防止することができる。また、ソルダーレジスト層5は、半導体チップSを実装した後、半導体チップSとの間に流し込むアンダーフィルUが半導体チップSの実装領域外に流れ出すことを防止することができる。なお、ソルダーレジスト層5の厚みは、例えば、15〜20μmである。
【0029】
なお、ソルダーレジスト層4,5としてフィルム状のソルダーレジストを用いることで、インク状のソルダーレジスト(例えば、ワニス)を塗布した場合に比べて、ソルダーレジスト層の厚みを均一に保つことができる。
【0030】
(裏面側の構成)
ビルドアップ層13は、コア基板2の裏面側に積層された導体層131,132及び樹脂絶縁層133,134からなる。樹脂絶縁層133は、熱硬化性樹脂組成物からなり、裏面に金属配線L12をなす導体層131が形成されている。また、樹脂絶縁層133には、コア導体層22と導体層131とを電気的に接続するビア135が形成されている。樹脂絶縁層134は、熱硬化性樹脂組成物からなり、表層に1以上の接続端子T11を有する導体層132が形成されている。また、樹脂絶縁層134には、導体層131と導体層132とを電気的に接続するビア136が形成されている。
【0031】
ビア135,136は、それぞれ、ビアホール137aとその内周面に設けられたビア導体137bと、底面側にてビア導体137bと導通するように設けられたビアパッド137cと、ビアパッド137cと反対側にてビア導体137bの開口周縁から外向きに張り出すビアランド137dとを有している。また、接続端子T11は、配線基板1をマザーボード等に接続するための裏面ランド(BGAパッド)として利用されるものであって、配線基板1の略中心部を除く外周領域に形成され、前記略中央部を囲むようにして矩形状に配列されている。
【0032】
ソルダーレジスト層14は、フィルム状のソルダーレジストをビルドアップ層13の表面上に積層して形成されている。ソルダーレジスト層14には、各接続端子T11の表面の一部を露出させる開口141が形成されている。このため、各接続端子T11は、表面の一部が開口141によりソルダーレジスト層4から露出した状態となっている。つまり、ソルダーレジスト層14の開口141は、各接続端子T11の表面の一部を露出したSMD形状となっている。なお、ソルダーレジスト層4の開口41とは異なり、ソルダーレジスト層14の開口141は、各接続端子T11毎に形成されている。
【0033】
上述したように、この実施形態では、各接続端子T11間は、各接続端子T1間ほどは狭ピッチとなっていない。このため、ソルダーレジスト層14の開口141は、各接続端子T11の表面の一部を露出したSMD形状とすることができる。ソルダーレジスト層14の開口141の形状をSMD形状とすることで、マザーボード等との接続信頼性を向上することができる。
【0034】
また、ソルダーレジスト層14は、ソルダーレジスト層4よりも厚くなっている。ソルダーレジスト層14の厚みは、例えば、25μmである。ソルダーレジスト層14を厚くすることで、印刷法により接続端子T11上へ形成される半田ボール15の接続信頼性を向上できる。また、ソルダーレジスト層14を厚くすることで下地である導体層132が露出するのを防止することができる。
【0035】
さらに、開口141内には、たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−Sbなど実質的にPbを含有しない半田からなる半田ボール15が接続端子T11と電気的に接続するようにして形成されている。なお、配線基板1のマザーボード等への実装は、配線基板1の半田ボール15をリフローすることにより行われる。
【0036】
なお、ソルダーレジスト層14としてフィルム状のソルダーレジストを用いることで、インク状のソルダーレジスト(例えば、ワニス)を塗布した場合に比べて、ソルダーレジスト層の厚みを均一に保つことができる。
【0037】
(配線基板の製造方法)
次に、本発明の配線基板1の製造方法について説明する。なお、この実施形態では、ビルドアップ層3,13は、セミアディティブ法により形成されるが、他の手法(例えば、サブトラクティブ法)により形成してもよい。以下、配線基板1の製造方法について説明する。
【0038】
(コア基板工程)
板状の樹脂製基板の表面及び裏面に銅箔が貼付された銅張積層板を準備する。また、銅張積層板に対してドリルを用いて孔あけ加工を行い、スルーホール23となる貫通孔を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでスルーホール23内壁にスルーホール導体24を形成し、銅張積層板の両面に銅めっき層を形成する。
【0039】
その後、スルーホール導体24内をエポキシ樹脂等の樹脂穴埋め材25で充填する。さらに、銅張積層板の両面の銅箔上に形成された銅めっきを所望の形状にエッチングして銅張積層板の表面及び裏面に金属配線L1,L11をなすコア導体層21,22をそれぞれ形成し、コア基板2を得る。なお、スルーホール23形成工程の後、加工部分のスミアを除去するデスミア処理を行うことが望ましい。
【0040】
(ビルドアップ工程)
コア基板2の表面及び裏面に、樹脂絶縁層33,133となるエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料をそれぞれ重ね合わせて配置する。そして、この積層物を真空圧着熱プレス機で加圧加熱し、フィルム状絶縁樹脂材料を熱硬化させながら圧着する。 次に、従来周知のレーザー加工装置を用いてレーザー照射を行い、樹脂絶縁層33,133にビアホール37a,137aをそれぞれ形成する(穴あけ工程)。
【0041】
続いて、樹脂絶縁層33,133の表面を粗化した後、無電解めっきを行い、ビアホール37a,137aの内壁を含む樹脂絶縁層33,133上に無電解銅めっき層を形成する。次にフォトレジストを樹脂絶縁層33,133上に形成された無電解銅めっき層上にラミネートして、露光・現像を行い、所望の形状にめっきレジストを形成する。
【0042】
その後、このめっきレジストをマスクとして、電解めっきにより、銅をめっきして、所望の銅めっきパターンを得る。次に、めっきレジストを剥離して、めっきレジスト下に存在していた無電解銅めっき層を除去して、金属配線L2,L12をなす導体層31,131を形成する。また、この際に、ビア導体137b、ビアパッド137c及びビアランド137dからなるビア35,135も形成される。
【0043】
次に、導体層31,131上に、樹脂絶縁層34,134となるエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料をそれぞれ重ね合わせて配置する。そして、この積層物を真空圧着熱プレス機で加圧加熱し、フィルム状絶縁樹脂材料を熱硬化させながら圧着する。 次に、従来周知のレーザー加工装置を用いてレーザー照射を行い、樹脂絶縁層33,133にビアホール37a,137aをそれぞれ形成する(穴あけ工程)。
【0044】
導体層31,131上に樹脂絶縁層34,134となるエポキシ樹脂を主成分とするフィルム状絶縁樹脂材料をそれぞれ重ね合わせて配置する。そして、この積層物を真空圧着熱プレス機で加圧加熱し、フィルム状絶縁樹脂材料を熱硬化させながら圧着する。次に、従来周知のレーザー加工装置を用いてレーザー照射を行い、樹脂絶縁層34,134にビアホール37a,137aをそれぞれ形成する(穴あけ工程)。
【0045】
続いて、導体層31,131を形成した時と同様にセミアディティブ法に従って、ビアホール37a,137aが形成された樹脂絶縁層34,134上に、接続端子T1,T11を有する導体層32,132をそれぞれ形成する。
【0046】
(ソルダーレジスト層工程)
表層に接続端子T1,T11をそれぞれ有するビルドアップ層3,13上に、それぞれフィルム状のソルダーレジストをプレスして積層する。ここで、ビルドアップ層13上に積層するフィルム状のソルダーレジストは、ビルドアップ層3上に積層するフィルム状のソルダーレジストよりも厚い。
【0047】
ビルドアップ層3,13上に、それぞれ積層したフィルム状のソルダーレジストを露光・現像して、各接続端子T1の表面及び側面を露出させるNSMD形状の開口41が形成されたソルダーレジスト層4と、各接続端子T11の表面の一部を露出させるSMD形状の開口141が形成されたソルダーレジスト層14とを得る。
【0048】
次に、ソルダーレジスト層4上に、フィルム状のソルダーレジストをプレスして積層し、このフィルム状のソルダーレジストを露光・現像して、半導体チップSの実装領域を取り囲む開口51が形成されたソルダーレジスト層5を得る。
【0049】
(バックエンド工程)
半田印刷により、ソルダーレジスト層14に形成された開口141から露出した接続端子T11表面に半田ペーストを塗布した後、所定の温度と時間でリフローを行い、接続端子T11と電気的に接続された半田ボール15を形成する。
【0050】
(半導体チップSの実装)
半導体チップSは、半導体チップSのCuピラーCに塗布された半田をリフローすることで配線基板へ実装される。その後、半導体チップSと配線基板1との間にアンダーフィルUを流し込む。
【0051】
(マザーボード等への実装)
配線基板1は、配線基板1の半田ボール15をリフローすることでマザーボード等へ実装される。
【0052】
(実施形態の変形例)
図5は、実施形態の変形例に係る配線基板1Aの平面図(表面側)である。図6は、図6は、配線基板1Aの一部拡大断面図である。なお、図5では、半導体チップSの図示を省略した。図1〜図4を参照して説明した上記実施形態では、ソルダーレジスト層4に、半導体チップSの実装領域Rの内周に沿って配置された接続端子T1を露出させる開口41が一つだけ形成された配線基板1について説明した。
【0053】
しかしながら、図5及び図6に示すように、半導体チップSと接続される接続端子T2の形状を帯状とし、この帯状の接続端子T2の一部を露出させる複数の開口41A〜41Dを半導体チップSの実装領域Rの周辺部に形成するようにしてもよい。なお、図5、図6では、図示していないが、フィルム状のソルダーレジストをソルダーレジスト層4の表面上に積層してソルダーレジスト層5を設け、このソルダーレジスト層5に半導体チップSの実装領域Rを取り囲む開口51を形成してもよい。その他の構成については、図1〜図4を参照して説明した配線基板1の構成と同じであるため、同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【実施例】
【0054】
発明者らは、上述した配線基板1の製造方法に基づいて、以下の表1に示す4つの試料(サンプル)A〜Dを作成し、それぞれの試料A〜Dについての評価試験を行った。なお、半導体チップのCuピラーが接続される接続端子T1は、50μmピッチで、ビルドアップ層3の表層に形成されている。なお、表1の「表面SR層厚み」とは、ソルダーレジスト層4の平均厚みである。また、表1の「裏面SR層厚み」とは、ソルダーレジスト層14の平均厚みである。
【0055】
【表1】

【0056】
初めに、各試料A〜Dについて説明する。なお、1mm間隔で測定したソルダーレジスト層4,14の厚みを平均したものを平均厚みとした。
【0057】
(試料A)
試料Aは、インク状のソルダーレジストを塗布してソルダーレジスト層4,14を形成した試料である。ソルダーレジスト層4,14の平均厚みは、それぞれ25μm、25μmである。
【0058】
(試料B)
試料Bは、インク状のソルダーレジストを塗布してソルダーレジスト層4,14を形成した試料である。ソルダーレジスト層4,14の平均厚みは、それぞれ8μm、8μmである。
【0059】
(試料C)
試料Cは、フィルム状のソルダーレジストをプレスにより積層してソルダーレジスト層4,14を形成した試料である。ソルダーレジスト層4,14の平均厚みは、それぞれ8μm、8μmである。
【0060】
(試料D)
試料Dは、フィルム状のソルダーレジストをプレスにより積層してソルダーレジスト層4,14を形成した試料である。ソルダーレジスト層4,14の平均厚みは、それぞれ8μm、25μmである。
【0061】
表2は、上記のようにして作成した試料A〜Dの評価結果である。
【表2】

【0062】
表2における「SR形成歩留まり」とは、ソルダーレジスト層4,14が、それぞれビルドアップ層3,13上に正常に形成されているかどうかを評価したものである。具体的には、ソルダーレジスト層4,14の下地である導体層32,132がソルダーレジスト層から露出している場合をNGとした。
【0063】
表2における「チップ実装歩留まり」とは、半導体チップとの接続信頼性を評価したものである。具体的には、試料A〜Dの配線基板に半導体チップを実装して各端子間の導通テストを行い、導通がない場合をNGとした。
【0064】
表2における「信頼性試験結果」とは、マザーボード等との接続信頼性を評価したものである。具体的には、試料A〜Dの配線基板をマザーボードに接続して各端子間の導通テストを行い、導通がない場合をNGとした。
【0065】
表2の結果から、試料Aは、「チップ実装歩留まり」が50%であることが確認できた。これは、半導体チップが備えるCuピラーの長さに対して、試料Aの表面側に形成されたソルダーレジスト層4が厚すぎるために、試料Aに実装された半導体チップのCuピラーと、試料Aの接続端子とが正常に接続されていないためである。
【0066】
表2の結果から、試料Bは、「SR形成歩留まり」が50%であることが確認できた。これは、試料Bの裏面側に形成されたソルダーレジスト層14が薄いために、下地である導体層132がソルダーレジスト層14から露出しているためである。また、試料Bは、「信頼性試験結果」がNGであることが確認できた。これは、試料Bの裏面側に形成されたソルダーレジスト層14が薄いために、接続端子T11上に形成される半田ボール15が正常に形成されなかったためである。
【0067】
表2の結果から、試料Cは、「信頼性試験結果」がNGであることが確認できた。これは、試料Bの裏面側に形成されたソルダーレジスト層14が薄いために、接続端子T11上に形成される半田ボール15が正常に形成されなかったためである。
【0068】
表2の結果から、試料Dは、「SR形成歩留まり」、「チップ実装歩留まり」、「信頼性試験結果」のすべての評価が正常であることが確認できた。すなわち、本発明の製造方法により配線基板を製造することで、半導体チップ及びマザーボード等との接続信頼性に優れる配線基板を製造できることがわかった。
【0069】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、上記具体例では、配線基板1がBGA基板である形態について説明したが、半田ボール15の代わりにピンもしくはランドを設けた、いわゆるPGA(Pin Grid Array)基板もしくはLGA(Land Grid Array)基板としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…配線基板、2…コア基板、3,13…ビルドアップ層、4,5,14…ソルダーレジスト層、15…半田ボール、21,22…コア導体層、23…スルーホール、24…スルーホール導体、25…樹脂製穴埋め材、31,32,131,132…導体層、33,34,133,134…樹脂絶縁層、35,36,135,136…ビア、37a,137a…ビアホール、37b,137b…ビア導体、37c,137c…ビアパッド、37d,137d…ビアランド、41,51,141…開口、L1,L2,L11,L12…金属配線、R…実装領域、S…半導体チップ、T1,T2,T11…接続端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を有し、前記表面に半導体チップが実装される配線基板の製造方法であって、
導体層及び樹脂絶縁層をそれぞれ1層以上積層し、表面側及び裏面側の表層にそれぞれ少なくとも1以上の接続端子を有するビルドアップ層を形成する工程と、
表面側の前記ビルドアップ層上にフィルム状の第1のソルダーレジストを積層して第1のソルダーレジスト層を形成し、裏面側の前記ビルドアップ層上に前記第1のソルダーレジスト層よりも厚みの厚いフィルム状の第2のソルダーレジストを積層して第2のソルダーレジスト層を形成する工程と、
を有する配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のソルダーレジスト層に、前記ビルドアップ層の表面側の前記接続端子の表面及び側面を露出するための第1の開口を形成し、前記第2のソルダーレジスト層に、前記ビルドアップ層の裏面側の前記接続端子の表面の一部を露出するための第2の開口を形成する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のソルダーレジスト層上に、フィルム状の第3のソルダーレジストを積層して第3のソルダーレジスト層を形成する工程と、
前記第3のソルダーレジスト層に前記半導体チップの実装領域を取り囲む第3の開口を形成する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第3のソルダーレジスト層を形成する工程は、
前記第1の開口が形成された前記第1のソルダーレジスト層上に、前記フィルム状の第3のソルダーレジストを積層することを特徴とする請求項3に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記ビルドアップ層を形成する工程では、コア基板の表面及び裏面に前記導体層及び樹脂絶縁層をそれぞれ1層以上積層することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48205(P2013−48205A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13904(P2012−13904)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】