説明

配線基板リフロー用ジグ

【課題】リフロー炉内の温度により、基板が反ることを抑制するとともに、リフロー炉内の温度をはんだ溶融温度よりも更に高い温度に上げる必要のない配線基板リフロー用ジグを提供する。
【解決手段】前記課題を解決するため、本発明の配線基板リフロー用ジグでは、配線基板の表面側から配線基板を支えるジグカバーと、配線基板の裏面側から配線基板を支えるジグベースとを有し、前記ジグカバーと前記ジグベースとに、それぞれ開口部が設けられ、リフローはんだ付けする際に、前記ジグカバーと前記ジグベースとにより配線基板を挟むことを特徴とする。
これにより、リフロー炉内の温度を必要以上に上げることなく、基板が反ることを抑制することができることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー炉において、配線基板に実装する部品等をはんだ付けする際に用いる、配線基板リフロー用ジグに関するものである
【背景技術】
【0002】
リフロー炉においては、基板上にはんだペーストを塗布し、該はんだペースト上に実装部品を載せた基板を、上面や下面から熱風や遠赤外線により加熱し、基板に塗布したはんだを溶融させて、実装部品を基板上にはんだ付けする。その際、基板が熱により反ることを防止するために、基板を平面に保つためのジグが用いられる。
【0003】
従来のジグは、例えば、平たい金属板であり、これに基板を取り付け、熱による反りを防止するようにしていた。しかしながら、このようなジグは、自ら熱を吸収し放散するので、リフロー炉内の熱が基板に伝わることを妨げる。そのため、リフロー炉内の温度をはんだ溶融温度以上に上げても、所定のはんだ付け時間内に基板に十分な熱が伝わらず、はんだが溶けきらないことがあった。このような場合、リフロー炉内の温度をはんだ溶融温度よりも更に高い温度に上げることが必要となり、その結果、実装する電子部品に熱ストレスがかかっていた。
【0004】
また、ジグを用いない場合は、例えば、図5に示すように、基板51の表面に実装部品53をはんだ付けし、基板51の裏面に放熱およびグランド用の金属板52をはんだ付けする目的で、ねじ54により基板と金属板をねじ止めした基板においては、リフロー炉内の熱により、基板51よりも金属板52が大きく膨張するため、基板51の表面(実装面)側が凹面となるように反りが生じていた。また、この場合、ねじ止めにより、基板51を金属板52に固定していたため、図6に示すように、ねじ54による固定部分(ねじ54の周囲部)62は、はんだペースト61が逃げてしまい、凹部が生じていた。
【0005】
リフロー炉内で実装部品を基板上にはんだ付けする技術としては、下記の特許文献1(特開2005-286099公報)に、リフロー炉において、実装部品を基板上にはんだ付けする際に、実装部品の位置ずれを防止するため、実装部品を接合する基板上のランドに、スリット等を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-286099公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、リフロー炉内の温度により、基板が反ることを抑制するとともに、リフロー炉内の温度をはんだ溶融温度よりも更に高い温度に上げる必要のない配線基板リフロー用ジグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の代表的な構成は、次のとおりである。
表面に電子部品が取り付けられる配線基板のリフローはんだ付けに用いられるジグであって、
配線基板の表面側から配線基板を押して支えるジグカバーと、配線基板の裏面側から配線基板を押して支えるジグベースとを有し、
前記ジグカバーと前記ジグベースとに、それぞれ開口部が設けられ、
リフローはんだ付けする際に、前記ジグカバーと前記ジグベースとにより配線基板を挟むことを特徴とする配線基板リフロー用ジグ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、リフロー炉内の温度をはんだ溶融温度よりも更に高い温度に上げることなく、基板が反ることを抑制することができる。
【0010】
なお、上記の本発明の構成において、前記ジグカバーに、配線基板の表面側を支える加圧部を設けることも可能である。このようにすると、配線基板を過度に歪ませることなく、適切な荷重で支えることが容易となる。
また、上記の本発明の構成において、前記配線基板は、その裏面に金属板がリフローはんだ付けされるものであり、前記ジグベースの開口部の大きさは、前記配線基板裏面の金属板の大きさにほぼ等しくすることが可能である。このようにすると、はんだ付け時に多くの熱を必要とする配線基板裏面に、リフロー炉内の温度を伝えることが容易となる。
また、上記の本発明の構成において、前記ジグカバーと前記ジグベースとを蝶番で接続することも可能である。このようにすると、配線基板にジグを取り付け、取り外すことが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のはんだリフロー用ジグの構成例を示す図である。
【図2】本発明のはんだリフロー用ジグに基板、金属板、実装部品が取付けられる例を示す展開図である。
【図3】本発明のはんだリフロー用ジグベースに基板が取付けられた例を示す図である。
【図4】本発明のはんだリフロー用ジグに基板が取付けられた例を示す図である。
【図5】従来例における金属板付き基板の反りの例を示す図である。
【図6】従来例の金属板付き基板の凹部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図を参照して説明する。
図1は、本発明のはんだリフロー用ジグの構成例を示す図である。図1において、1は、配線基板のリフロー用ジグである。10は、リフロー用ジグ1を構成するジグベースであり、配線基板の裏面側(回路部品を実装しない側)を支える。11は、ジグベース10に設けられた開口部であり、リフロー炉内の熱を配線基板裏側に伝え易くする。12は、ジグベース10と、後述するジグカバー20とにより、配線基板を挟んだ際に、ジグベース10とジグカバー20とを固定するストッパである。ストッパ12は、少なくとも180度、回動可能となっている。13は、配線基板を所定の位置に載置するための突起部である。
【0013】
20は、配線基板のリフロー用ジグ1を構成するジグカバーであり、配線基板の表面側(回路部品を実装する側)を支える。21は、ジグカバー20に設けられた開口部であり、リフロー炉内の熱を配線基板表面側に伝え易くするもので、本例では9個ほど設けられている。22は、ジグカバー20に設けられ、配線基板の表面側を支える加圧部(プランジャ)である。加圧部22は、図1において破線内に示されるように、本例では、18個ほど設けられている。加圧部22は、その内部にばね等を有し、中心の突起部が進退可能であり、配線基板に対して付勢、すなわち、図1において紙面の表側に向けて付勢されており、配線基板表面及び配線基板表面に実装された実装部品を、適切な荷重で支えることができる。加圧部22により、配線基板を過度に歪ませることなく、適切な荷重で支えることが容易となる。23は、前記ジグカバー20と前記ジグベース10とを接続する蝶番である。蝶番23により、配線基板にリフロー用ジグ1を取り付け、取り外すことが容易となる。
なお、本実施例では、前記ジグベース10と前記ジグカバー20の材質は、高耐熱プラスチックであり、板厚は3〜10mmであり、リフロー炉内の熱に対して、十分な剛性を保つようになっている。
【0014】
次に、図2を用いて、リフロー用ジグ1への基板単体や金属板の取付け方を説明する。図2は、本発明のリフロー用ジグ1に基板単体、金属板、実装部品が取付けられる例を示す展開図である。本例では、配線基板は、基板単体の裏面に金属板、基板単体の表面に実装部品が取付けられて構成される。図2において、30は、実装部品や金属板が取付けられてない状態の基板単体である。31は、基板単体30に設けられた開口部である。32は、開口部31に入り、金属板40にはんだ付けされる実装部品であり、本例では、FET(電界効果トランジスタ)である。金属板40の表面上には、実装部品32、基板単体30をはんだ付けするためのはんだペーストが適宜塗布されている。33は、基板単体30を、前記ジグベース10の突起部13に勘合させる基板勘合穴である。
【0015】
40は、基板単体30の裏面にはんだ付けされて、取付けられる金属板で、材質は銅であり、金メッキされている。金属板40は、実装部品32と基板単体30をはんだ付けし、熱を伝えるとともに電気的なグランドを取るための金属板である。41は、金属板40に設けられた開口部である。42は、金属板40を基板単体30の裏面にはんだ付けするための、はんだペーストである。はんだペースト42は、金属板40の全面に塗布されている。43は、金属板40を、前記ジグベース10の突起部13に勘合させる金属板勘合穴である。
【0016】
図2に示すように、金属板40の上に基板単体30が重ねられ、基板単体30の上に実装部品32が載置された状態の配線基板が、ジグベース10上に載置される。
次に、図3に示すように、ジグカバー20が閉じられることにより、金属板40の上に基板単体30が重ねられ、基板単体30の上に実装部品32が載置された状態の配線基板が、ジグカバー20とジグベース10により挟まれる。図3は、本発明のはんだリフロー用ジグベース10に配線基板が取付けられた例を示す図である。
【0017】
次に、図4に示すように、ジグカバー20が閉じられる。その後、金属板40の上に基板単体30が重ねられ、基板単体30の上に実装部品32が載置された状態の配線基板が、ジグカバー20とジグベース10により挟まれた状態で、前記ストッパ12を180度回転することにより、ジグカバー20とジグベース10が固定される。この固定された状態で、配線基板は、リフロー処理される。図4は、本発明のはんだリフロー用ジグに基板が取付けられた例を示す図である。
図4に示すように、ジグカバー20には、開口部21が設けられているので、リフロー炉の熱が、配線基板の表面(実装面)に伝わることが容易となる。また、ジグベース10には、配線基板の大きさと略等しい大きさの開口部11が設けられているので、リフロー炉の熱が、配線基板の裏面に伝わることが容易となる。
【符号の説明】
【0018】
1:リフロー用ジグ、10:ジグベース、11:開口部、12:ストッパ、13:突起部、20:ジグカバー、21:開口部、22:加圧部、23:蝶番、30:基板単体、31:開口部、32:実装部品、33:基板勘合穴、40:金属板、41:開口部、42:はんだペースト、43:金属板勘合穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に電子部品が取り付けられる配線基板のリフローはんだ付けに用いられるジグであって、
配線基板の表面側から配線基板を支えるジグカバーと、配線基板の裏面側から配線基板を支えるジグベースとを有し、
前記ジグカバーと前記ジグベースとに、それぞれ開口部が設けられ、
リフローはんだ付けする際に、前記ジグカバーと前記ジグベースとにより配線基板を挟むことを特徴とする配線基板リフロー用ジグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−60947(P2011−60947A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208079(P2009−208079)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】