配線板、コネクタおよび電子装置
【課題】配線板の少なくとも片側での対策を可能とし、かつ高速差動信号の差動スキューの発生を防止または十分に抑制する。
【解決手段】2つの配線(11P,11N)からなる差動配線ペア11と、差動配線ペア11の各配線と電気的に接続された2つの接続パッド(1Pと1N,…)と、の各々を複数有する。複数の差動配線ペア11が並んで配置され、複数の接続パッド12が複数列で配置され、差動配線ペアと電気的に接続された2つの接続パッド(1Pと1N,…)が同一列内で隣り合っている。
【解決手段】2つの配線(11P,11N)からなる差動配線ペア11と、差動配線ペア11の各配線と電気的に接続された2つの接続パッド(1Pと1N,…)と、の各々を複数有する。複数の差動配線ペア11が並んで配置され、複数の接続パッド12が複数列で配置され、差動配線ペアと電気的に接続された2つの接続パッド(1Pと1N,…)が同一列内で隣り合っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動信号を伝送する2つの配線を含む配線板と、当該配線板が接続されるコネクタと、当該配線板とコネクタを含む電子装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
高密度に電子回路が実装される電子機器において、電子回路間の伝送方式として、信号振幅が小さくてもノイズに強い「差動信号伝送方式」が多用される。特に、回路が集積化されたIC間の差動信号伝送のために、差動信号伝送方式に適合したフレキシブル配線板等が用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、IC等の回路部品がそれぞれ集積化された2つのプリント配線板をコネクタでつなぐフレキシブル配線板を開示する。
フレキシブル配線板は、差動電気信号のPチャンネルとNチャンネルの2つの配線が対で形成される。以下、この対で形成される2つの配線を「差動配線対」という。差動配線対の長さ方向の両側それぞれに、「コネクタ」と称する端子(電極)が配列された基配線板の端部を有する。各コネクタは、差動配線対ごとに、フレキシブル配線板の端部側(外側)に配置された外側列電極と、差動配線対の配線領域側(内側)に配置された内側列電極とを備える。
【0004】
特許文献1に記載のフレキシブル配線板は、一方のコネクタにおいて、差動配線対をなすPチャンネル信号配線が外側列電極に接続され、Nチャンネル信号配線が内側列電極に接続されている。また、他方のコネクタにおいては、Pチャンネル信号配線またはNチャンネル信号配線と、外側列電極または内側列電極との接続関係が、上記一方のコネクタと逆になっている。
このため、Pチャンネル信号配線とNチャンネル信号配線の配線長が等しくバランスしており、これにより差動信号のPチャンネルとNチャンネルにおける配線スキュー(以下、差動スキュー)を、ある程度解消可能な構成となっている。
【0005】
上記特許文献1は、プリント基板に実装されるコネクタ受部(第1のコネクタ)も開示している。
フレキシブル配線板は、そのコネクタが設けられた端部を、プリント配線板に実装されたコネクタ受部に対し差動配線対の配線方向に挿し込む。フレキシブル配線板の端部がコネクタ受部に差し込まれたときに、コネクタ受部の長短の電極が基配線板の端部を弾性的に挟持し、長短の電極の一方がコネクタ端子として上記電極パッドに摺接して両者が電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−74095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されたフレキシブル配線板の電極配置では、電極を2列配置し、差動配線対の2つの配線の2つの一方端を、配線領域に遠い側の外側列電極と近い側の内側列電極に接続している。また、差動配線対の2つの配線の2つの他方端においては、外側列電極と内側列電極部との接続関係を上記一方端と逆にすることで、差動信号の電気長を決める各配線長を等しくしている。このため、この電極の配置と割り当て(接続)の構造は、差動配線対の両端側に同時に適用することが必須である。したがって、差動配線対の各配線が、直接半導体チップに接続する場合などでは、差動信号の電気長でバランスをとることができない。この場合、差動スキューの改善効果が得られない。
【0008】
また、PチャンネルとNチャンネルの2つの配線の端部に接続される電極が、内側列電極と外側列電極であることから、電極を含めた信号伝送導体の物理構造として真に対称になっていない。このため、より高速な信号を伝送する際には差動信号の2つの(シングルエンド)信号でバランスの崩れ(タイミングのずれ)が現れやすい。この意味で、特許文献1の差動スキューの改善効果は、高速差動信号に対しては限定的である。
【0009】
本開示技術の一形態は、IC実装基板等に適用可能で適用範囲が広く、高速差動信号に対して十分な差動スキューの改善が可能な配線板を提供するものである。
本開示技術の他の形態は、上記配線板の構造に適合し、当該配線板と組み合わせて用いることが可能なコネクタを提供するものである。
本開示技術の他の形態は、上記配線板を有する電子装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示技術に関わる配線板は、差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、の各々を複数有し、複数の前記差動配線対が並んで配置され、複数の前記接続パッドが複数列で配置され、前記複数の接続パッドの配置において前記2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている。
【0011】
本開示技術に関わる電子装置は、少なくとも一方に電子回路が実装された第1の配線板と第2の配線板とをコネクタで接続して有している。この第1の配線板は、本開示技術に関わる上記第1の配線板と同じ構造を備える。
【0012】
上記配線板または上記第1の配線板では、電極パッドを2列で配置し、差動配線対に電気的に接続された2つの接続パッドが、接続パッド配置において同一列内で隣り合っている。このため、差動配線対の配線方向に直交する方向に、接続パッドを列状に並べるという配置が適用できる。このとき、各配線と接続パッドとの接続点を配線方向で揃えることが可能である。その場合、差動スキュー改善のために有効な差動配線対の配線長を揃えることが、配線方向の片側のみで達成される。また、配線と接続パッドを含む信号伝送導体の全体を対称に形成できる。
【0013】
本開示技術に関わるコネクタは、差動信号を伝送する2つの配線に電気的に接続された2つの接続パッドを複数備える基板の一部が差し込まれるソケットと、前記ソケットの内部に設けられ、前記基板の一部が差し込まれたときに前記接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体と、を有し、前記複数の接続パッドの配列に対応して、前記複数の端子体が2列に配置され、前記差動信号の接続切片を構成する2つの前記端子体が同一列内で隣り合っている。
【0014】
上記コネクタでは、接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体がソケット内に設けられている。
接続パッドが2列配置された配線板の端部を、ソケット内のコネクタ受部に挿し込む。すると、配線板の端部に設けられた各接続パッドが、コネクタ受部の端子体に1対1で摺接する。このために接続パッドと端子体は、同じ2列配置で設けられている。そして、差動信号に対応した2つの接続パッドが、差動信号の接続切片となる2つの端子体と接触する。
この接触によって、差動信号が伝送される配線、接続パッド、端子体を含む信号伝送導体の全体が、接触位置のズレ等が許容範囲内であるとすると、ほぼ対称な物理構造を備えた状態になる。
【発明の効果】
【0015】
本開示技術によれば、差動信号の電気長を決める差動配線対の2つの配線の長さがバランスされ、また接続パッド(および端子体)を含めた構造が対称となる。このため、差動スキューがさらに改善される。また、差動配線対の配線方向の片側で差動スキュー改善の構造が実現できるため、本開示技術の適用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に関わる配線板の導電体の平面パターン図と、2方向の断面図である。
【図2】第1の実施の形態に関わる電子装置の要部構成図である。
【図3】第1の実施の形態に関わるコネクタのソケット底板の平面図と、コネクタの断面図である。
【図4】第1の実施の形態のコネクタに配線板が差し込まれた状態の導電体の(透視)平面図と、断面図である。
【図5】第2の実施の形態に関わる配線板の導電体の平面パターン図と、断面図である。
【図6】図5に示す配線板のA面配線図とB面配線図である。
【図7】第1の変形例に関わる電子装置の要部構成図である。
【図8】第2の変形例に関わる電子装置の要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示技術の実施の形態を、主にフレキシブル基板と、コネクタと、フレキシブル基板およびコネクタを有する電子装置を例として、図面を参照して説明する。
以下、次の順で説明を行う。
1.第1の実施の形態:片側(1層)タイプのフレキシブル配線板の配線方向の両側に、それぞれコネクタを介して別の配線板が接続される形態を示す。
2.第2の実施の形態:両面(2層)タイプのフレキシブル配線板の形態を示す。
3.第3の実施の形態:差動配線対の片側に電子回路(IC)がダイレクトに接続される電子装置の形態を示す。
4.第4の実施の形態:電子回路(IC)を実装し、差動配線対の片側端がこれに内部接続される形態を示す。
5.変形例。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
図1に、本開示技術の第1の実施の形態に関わる配線板の実施の形態を示す。図1(A)は、フレキシブル配線板のコネクタ端子が設けられた端部における導電体(配線および電極パッド)の平面パターンを示す図である。また、図1(B)は図1(A)のA−A線に沿った概略断面図、図1(C)は図1(A)のB−B線に沿った概略断面図である。
図1(A)〜図1(C)に示すフレキシブル配線板1は、複数の差動配線ペア11が「配線部」に形成され、基配線板の端部(「コネクタ端子部」)に、複数の接続パッド12からなるコネクタ端子群が配置されている。これらの差動配線ペア11と接続パッド12の配置および形状(パターン)の詳細は後述する。
図1に示すフレキシブル配線板1は、本開示技術における「配線板」の一例であり、例えば図2に示す形態で使用される。この場合、フレキシブル配線板1は、本開示技術における「第1の配線板」の一例に相当する。
【0019】
まず、図2を用いて、フレキシブル配線板の使用形態を説明する。
図2に示すように、フレキシブル配線板1(第1の配線板)は、2つの他の配線板(第2の配線板2A,2B)間を接続するものである。そのため、図1に示すように接続パッド12が配置されたコネクタ端子群が、フレキシブル配線板の配線方向の両端部に形成される。
コネクタ端子群が形成されたフレキシブル配線板1の一方の端部を、第2の配線板2Aに設けられたコネクタ3のソケット31Aに挿入している。同様に、別のコネクタ端子群が形成された他方の端部を、もう片方の第2の配線板2Bに設けられたコネクタ3Bのソケット31Bに挿入している。
【0020】
第2の配線板2Aに、半導体集積回路(IC)4Aが実装されている。ICの実装形態はベアチップ実装であってもよいが、通常、伝送周波数に適した種類のパッケージにICチップが収容された状態で基板実装される。同様にして、第2の配線板2Bに半導体集積回路(IC)4Bが基板実装されている。
【0021】
図2に示す構成は、本開示技術の「電子装置」の一具体例である。また、ここに示す半導体集積回路4A,4Bは、本開示技術の「電子回路」の一具体例である。本開示技術では、差動信号の入出力を前提としており、そのような電子回路であれば機能は任意である。高周波差動信号を送受信する2つの電子回路としては、送信用ICと受信用ICが例示できる。
【0022】
以下、配線板の配線およびコネクタ端子の構成と、コネクタのコネクタ端子の構成を、図面を用いて詳細説明する。
【0023】
[配線板の断面構造]
フレキシブル配線板1は、図1(B)および図1(C)に示すように、断面構造が、2つの絶縁層とその間の1つの導電層を有する。この構造のフレキシブル配線板1を、「1層(あるいは片面)タイプのフレキシブル配線板」という。
図1(C)は、フレキシブル配線板1を図2のソケット3Aに挿し込むときの状態を示す。このときの状態において、フレキシブル配線板の下面側にコネクタ端子が露出する。
【0024】
上面側の絶縁層14は、フレキシブル配線板のベース層(本開示技術の「基板」相当)となる絶縁層である。絶縁層14は「基板」としては剛性が低い、フレキシブルな樹脂フィルム等から形成されている。
下面側の絶縁層15は、主に保護のために用いられる絶縁層である。
絶縁層14,15に用いられる樹脂フィルムの代表例として、ポリイミド・フィルムを挙げることができる。
【0025】
導電層13は、一般には銅による導電膜が用いられるが、それ以外の導電性材料による層でもよい。
図1(A)および図1(C)に示すように、接続パッド12の配置領域(配線板の端部)を含む配線板部分を「コネクタ端子部」とし、差動配線ペア11が主として配線される領域を含む配線板部分を「配線部」としている。コネクタ端子部には、図1(C)に符号13(12)で示すように、2つの接続パッド12が導電層13から形成されている。一方、符号13(11)で示すように、「配線部」に差動配線ペア11が導電層13から形成されている。
絶縁層15は、「配線部」のほぼ全域を覆い、少なくとも接続パッド12を露出するように形成されている。
【0026】
[配線板の導電層パターン]
図1(A)に示すように、「配線部」において、差動配線ペア11が並んで配置されている。本例では、差動配線ペア11の配線ピッチは一定である。各差動配線ペア11は、差動信号のPチャンネル信号を伝送するPチャンネル信号配線11Pと、差動信号のNチャンネル信号を伝送するNチャンネル信号配線11Nとからなる。Pチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線11Nの離間距離も、各差動配線ペア11で同じとしている。
なお、差動信号のPチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線は、図1(A)において直線配置されている。ただし、これらの配線は、EMI(electromagnetic interference)による不要輻射が生じない範囲で一部が緩やかにカーブすること等は許容され、全体としておおよそ直線状であればよい。
【0027】
「コネクタ端子部」において、接続パッド12が2列で全体としては格子状に配置されている。以下、「コネクタ端子部(配線板端部)」の先端辺E0に近い側の接続パッドの列を「外側列」と言い、遠い側の列を「内側列」と言う。
各々の差動配線ペア11(Pチャンネル信号配線とNチャンネル信配線)は、必ずPチャンネルとNチャンネルが、共に内側列の接続パッドに接続されるか、または、共に外側列の接続パッドに接続される形態をとる。そうすることで、物理的にPチャンネル信号配線とNチャンネル信号配線の両端部から延びる接続パッドの形状を対称に形成できる。言い換えると、差動配線ペア11に接続される2つの接続パッド12は、対応する差動配線ペアの2つの配線の一方の端部側において、当該2つの配線の離間中心を通る対称軸に対して線対称に形成されていることが望ましい。
【0028】
ここで、より詳細な配線と接続パッドの関係を、図1(A)の各接続パッド内に識別符号1P,1N,2P,…,4N,5P,5Nを付した5ペアの信号伝送導体(接続パッドおよび配線)において説明する。ここで説明する関係は、他の信号伝送導体でも同様である。また、1Pと1Nといった、互いに隣り合う信号伝送導体(接続パッドおよび配線)を、特に「差動信号ペア導体」と呼ぶ。
【0029】
配線部で隣り合う2つの差動信号ペア導体(図1での1Pと1N,2Pと2N,…)は、本開示技術で「一つ置きの第1の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体と、「第1の差動配線対間の第2の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体とからなる。
「第1の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体を、例えば奇数番目(1Pと1N,3Pと3N,5Pと5N)の差動信号ペア導体とする。この場合、偶数番目(2Pと2N,4Pと4N)の差動信号ペア導体が、「第2の差動配線対」に対応する。
【0030】
図1(A)においては、奇数番目の差動信号ペア導体が、内側列の接続パッドを含む。また、偶数番目の差動信号ペア導体が、外側列の接続パッドを含む。
【0031】
なお、図1(A)とは逆に、奇数番目の差動信号ペア導体が外側列の接続パッドを含み、偶数番目の差動信号ペア導体が内側列の接続パッドを含むようにしてもよい。この場合、「第1の差動配線対」、「第2の差動配線対」と、奇数番目、偶数番目との関係が上記と逆になる。
【0032】
配線部に着目すると、差動信号を伝送する配線が、1番目のPチャンネル信号配線、1番目のNチャンネル信号配線、2番目のPチャンネル信号配線、2番目のNチャンネル信号配線、・・・のようにPチャンネルとNチャンネルの繰り返しで並んでいる。
そして、1番目、3番目等の奇数番目のPチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線11Nが共に内側列の接続パッド12に接続されている。また、2番目、4番目等の偶数列のPチャンネル信号配線11PとNチャネル信号配線11N共に外側列の接続パッド12に接続されている。
【0033】
この接続関係では、外側列の接続パッド12に接続するために、配線ペア(11P,11N)が必ず、内側列の接続パッド配置領域内を通ることになる。
例えば2番目の配線ペア(11P,11N)は、1番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nが接続される接続パッド12(1N)と、3番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pが接続される接続パッド12(3P)との間のスペースを通る。
同様に、4番目の配線ペアは、3番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nが接続される接続パッド12(3N)と、5番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pが接続される接続パッド12(5P)との間のスペースを通る。
【0034】
2番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pは、内側列の2つの接続パッドを通るときに近い側の接続パッド12(1N)に対し、横に並ぶ(「行方向に並ぶ」の意味)、外側列の接続パッド12(2P)に接続されている。
同様にして、2番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nも、内側列の接続パッド間を通るときに近い側の接続パッド12(3P)と横に並ぶ、外側列の接続パッド12(2N)に接続されている。
この「内側列を通るときに最も近い接続パッドの横に並ぶ外側列の接続パッドに接続される」ことは、4番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11P、Nチャンネル信号配線11Nにおいても同様である。
【0035】
[配線板の導電層パターンの特徴]
以上の構成から明らかなように、本実施の形態における接続パッドは2列で配置され、差動信号に対応する2つの接続パッドが同一列内で隣り合い、かつ、異なる列で1つの接続パッドだけずれた配置であることが大きな特徴の一つである。
また、他の特徴は、外側列の隣り合う2つの接続パッドから延びる配線ペアは、内側列の接続パッドの離間領域を通ることである。
【0036】
[配線板の他の端部の構造]
以上は、フレキシブル配線板1の配線方向の一方側の端部構造の説明であるが、他方側の端部構造においても同様な構成にすることができる。
但し、偶数番目と奇数番目で配線ペアの各配線の長さを揃える意味で、図1の一方端部で内側列の2つの接続パッドに接続された奇数番目の配線ペアを、不図示の他方端部では、外側列内で隣り合う2つの接続パッドに接続させることが望ましい。この場合、図1では外側列の接続パッドに接続された偶数番目の配線ペアは、不図示の他方端部では、内側列内で隣り合う2つの接続パッドに接続される。
【0037】
[コネクタ構造]
図3(B)は、本開示技術の「コネクタ」の一形態を示す概略断面図である。図3(A)は、コネクタのソケット底面におけるコネクタ端子の配置平面図である。図3(B)は図3(A)のC−C線に沿った概略断面を示す。図3(B)に示すコネクタ3は、図2に示すコネクタ3Aに対応する。
【0038】
図3(B)に示すコネクタ3は、図2に示す第2の配線板2Aの基板21に実装される接続部品である。基板21として、一般に、間に絶縁層を挟んで複数の配線層を積層させた積層配線基板が用いられる。
【0039】
コネクタ3は、フレキシブル配線板の挿入口となる側面が開口するソケット31(図2のソケット31Aに対応)を有する。ソケット31の側面が開口した内部空間が「ソケット受部」である。
ソケット31の底板31Cに、コネクタの複数の端子体32が配設されている。複数の端子体32は、図1(A)の2列の接続パッド12の配列に対応して、2列で接続パッドと同じ数が設けられた配列を有する(図3(A)参照)。このため、フレキシブル配線板1をコネクタ3に挿入したときに、フレキシブル配線板1の接続パッド12が、コネクタ3の端子体32と1対1で接触する構成となっている。
【0040】
端子体32は、ソケット31の底板31Cの裏面に設けられた外部端子部32Aと、外部端子部32Aから折り曲げられた接続切片部32Bとを有して構成される。接続切片部32Bは、その先端付近の上面から、コネクタ受部の内部空間に突出する接触凸部32Cを有する。
2列の端子体32は、行方向で隣り合う2つの端子体32で、接触凸部32Cが近接するように配置されている。
【0041】
端子体32は、外部端子部32Aと接続切片部32Bでソケット31の底板の一部を挟持して底板に固定されている。
端子体32は抵抗率が低い導電材料からなり、材料がもつ弾性力と、折り曲げられた構造から、フレキシブル配線板をコネクタ内部空間に挿入したときに接触凸部32Cが下方に移動するように弾性変形し、フレキシブル配線板の側に付勢力を与える板バネとしても機能する。
【0042】
このように構成されたコネクタ3は、基板21の上面(実装面)に設けられた不図示の導電層に、例えば半田付け、その他の接続部材で電気的に接続される。
基板21の実装面に形成された不図示の導電層は、基板21の実装面に設けた配線層、または、基板21内に形成されたビア(不図示)の上面に接続する孤立したランドである。
2列の端子体32のうち、フレキシブル配線板の挿入口側(図3(B)では左側)の端子体32は、例えば、ランドとビアを介して基板21の内部または裏面に設けられた配線層(不図示)に接続され、この配線層によって電子回路側に接続される。また、挿入口から遠い奥側列(図3(B)では右側)の端子体32は、基板21の実装面の配線層を介して電子回路側と接続される。
【0043】
[配線板とコネクタの接続]
図4に、図3のコネクタに、図1のフレキシブル配線板が挿入され、電気的な接続が行われた電子装置の伝送可能状態を示す。図4(A)は、導電層パターンの重ね合わせ、特に接続パッドと端子体の接触状態を示す電子装置の(透視)平面図である。図4(B)は、図4(A)のD−D線に沿った電子装置の概略断面図である。
図4に示すように、コネクタ3にフレキシブル配線板1が挿入された状態で、接続パッド12と端子体32が1対1で接触している。
【0044】
差動配線ペアに接続された2つの接続パッド12が同一列内で隣り合うこと、外側列の2つの接続パッド12からの配線ペアが、内側列の接続パッド12の離間領域を通って配線されることは、図1を参照して既に述べた通りである。
この構成に対応して、差動信号の接続切片を構成する2つの端子体32は、同一列内で隣り合って配置される。そのため図4の状態では、差動信号を伝送する配線ペアが接続された2つの接続パッド12と接続する2つの端子体32は、電子回路の差動信号を入出力する端子対と電気的に接続されることになる。
【0045】
なお、フレキシブル配線板1をコネクタ3に挿し込む際に、端子体32の接触凸部32Cが摺接して接触箇所が移動するため、接続パッド12の形状は、基板挿入方向(配線方向)に長い矩形状とすることが望ましい。また、内側列の接続パッド間に絶縁層15で保護されていない細い配線ペアがあるため、これらの配線を損傷しないように、端子体32は接続パッド12の幅より細い長尺状とすることが望ましい。
【0046】
<2.第2の実施の形態>
図5(A)は、第2の実施の形態関わるフレキシブル配線板の導電層パターンを示す(透視)平面図である。図5(B)は、図5(A)のE−E線に沿った断面図である。
図5(B)に示すように、フレキシブル配線板は、コアとなる絶縁層(本開示技術の「基板」に相当)の両面に導電層が形成された2層構造のフレキシブル基板である。その意味で、この構造のフレキシブル基板を、「両面タイプのフレキシブル基板」と言う。
【0047】
図5(B)は、フレキシブル基板を、コネクタ受部としてのソケット内部空間に挿し込むときの状態を示す。このときの状態において、フレキシブル配線板の下面を「A面」、A面側の導電層を「第1層目の導電層」と言う。また、フレキシブル基板の上面を「B面」、B面側の導電層を「第2層目の導電層」と言う。
【0048】
図1(B)に示すフレキシブル配線板1Aは、コアとなる絶縁層14の両面に、2層の導電層(13,16)を有する。絶縁層14の下面(A面)に形成された第1層目の導電層13は、「配線部」の差動配線ペア11と、「コネクタ端子部」の接続パッド12を形成するようにパターンニングされている。このこと自体は第1の実施の形態と同様である。
【0049】
図6(A)に第1層目の導電層13のA面配線図を、図6(B)に第2層目の導電層16のB面配線図を示す。
【0050】
第1の実施形態では、「配線部」から延びる約半数(ここで偶数番目)の差動配線ペア11が、「コネクタ端子領域」内で、2つの接続パッド12の離間領域を通って外側列の接続パッド12に接続される。
これに対し、本第2の実施の形態では、「配線部」の約半数(例えば偶数番目)の差動配線ペア11は、絶縁層14の上面(B面)側の第2層目の導電層16の一端部に、ビア18を介して接続されている。第2層目の導電層16の他端部は、フレキシブル配線板1Aの先端辺E0の側で外側列の接続パッド12に他のビア18を介して電気的に接続されている。
【0051】
図5(A)、図6(A)および図6(B)において、ビア18より一回り大きく描いている符号19により示す円形部は、第1層目の導電層13で形成されたランドと呼ばれるビアの着地部分である。外側列の導電層13延びる連結部に対しビア18を位置ずれなく接続できるようであれば、ランド19は不要である。この例では、「配線部」で差動配線ペア11と第2層目の導電層16の一端部を接続する部分と、「コネクタ端子部」で外側列の接続パッド12と第2層目の導電層16の他端部とを接続する部分の双方にランド19が設けられている。
【0052】
以上の構成を有するフレキシブル配線板1Aは、第1の実施の形態で図4を用いて既に説明したように、コネクタ3に差し込まれときに、その下面(A面)側で2列の接続パッド12が、コネクタ3内の2列の端子体32と1対1で接続される。
第2の実施形態では、このとき「コネクタ端子部」内の細い差動配線ペアは、第2層目の導電層16で形成されている。このため、端子体32の接触凸部32Cが摺接する接続パッド12の周囲に露出していない。この理由から、両面タイプのフレキシブル配線板1Aは、コネクタ接続時に細い差動配線ペアが損傷を受けることがないという利点を有する。
【0053】
なお、図5(A)に示す(透視)平面図では、第2層目の導電層16で形成された細い差動配線ペアが、接続パッド間の離間領域内に位置するように描かれている。しかし、「コネクタ端子部」内の差動配線ペアは第2層目の導電層16から形成されているため、1層目の導電層13からなる接続パッド12と接触することがなく、両者を透視平面パターンとしては重ねてよい。
【0054】
差動配線ペア11は、一般に、同相ノイズが同じ振幅で乗ると信号処理によるノイズ除去が完全に行えるため、極力、2つの配線を近づけて配線される。図5(A)は、そのため結果として「コネクタ端子部」内で差動配線ペアが接続パッド間の離間領域内に収まることになっている。
なお、「コネクタ端子部」において差動配線ペアの2つの配線間隔を接続パッドと若干重なる程度に広げる場合、「配線部」においても差動配線ペア11の2つの配線間隔を同程度に広げることが望ましい。ただし、差動配線ペア11同士の間隔を、ペア内の2つの配線同士の間隔より十分大きくする必要があり、その限度内で、ペア内の2つの配線間隔を広げるとよい。
【0055】
また、ペア内の2つの配線間隔を大きくする理由は、以下のように微細加工等からの要請であってもよい。
歩留まりや加工精度を高くする目的から配線幅をある程度大きくしたいが、多数の差動配線ペアと接続パッド群を配置するスペースも限られていることがある。このような場合、第1の実施の形態の片面タイプに代えて、本実施の形態のような両面タイプのフレキシブル配線板を用いると、このような要請に対応した配線板を実現することが可能である。
【0056】
<3.第3の実施の形態>
図7に、第3の実施の形態に関わるフレキシブル配線板と、これを用いた電子装置の構成図を示す。
図7に示すフレキシブル配線板1Bは、その一端部(図7における右側部)に、上記第1または第2の実施の形態と同様なコネクタ端子部を備える(図1,図5参照)。そのため、フレキシブル配線板1B(第1の配線板)は、その一端部がコネクタ3に挿入され、第2の配線板2Aと接続されている。第2の配線板2Aには、図2と同様に半導体集積回路4Aが実装され、半導体集積回路4Aに対する差動信号の入出力が可能になっている。
【0057】
フレキシブル配線板1Bは、その片側で、「電子回路」としての他の半導体集積回路4Cに、コネクタを介することなくダイレクトな接続が可能な配線板である。図7は、半導体集積回路4Cがダイレクト接続された状態を示す。
【0058】
フレキシブル配線板1Bの「配線部」に複数の差動配線ペア11が配置されていることは、第1,第2の実施の形態と同様である。但し、複数の差動配線ペア11の他方端側(図7における左側)は、コネクタを介することなくダイレクトに半導体集積回路4Cの接続パッドに接続されている。半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11との接続には、一般に種々の方法があり、例えば、半田バンプによる接続、あるいは異方性導電接着フィルムによる接続などを挙げることができる。
【0059】
<4.第4の実施の形態>
図8は、第4の実施形態に関わる配線板と、これを用いた電子装置の構成図を示す。
図8に示す配線板1Dは、例えば、プリント配線板である。
【0060】
プリント配線板は、第1の実施形態等のフレキシブル配線板の「基板」となるフレキシブルな樹脂からなる絶縁層に代えて、比較的硬い絶縁層の基板が用いられる。このような絶縁層の代表例としては、ガラスエポキシ樹脂層が挙げられる。そのため、プリント配線板は、フレキシブル配線板と異なり材料に柔軟性がないが、本発明の接続パッドの配置を同様に実現でき、コネクタも同様の構成をとることで実施できる。
【0061】
具体的に、図8に示す配線板1Cは、その一端部(図8における右側部)に、上記第1または第2の実施の形態と同様なコネクタ端子部を備える(図1,図5参照)。そのため、配線板1C(第1の配線板)は、その一端部がコネクタ3に挿入され、第2の配線板2Aと接続されている。第2の配線板2Aには、図2と同様に半導体集積回路4Aが実装され、半導体集積回路4Aに対する差動信号の入出力が可能になっている。
【0062】
フレキシブル配線板1Bは、その片側で、「電子回路」としての他の半導体集積回路4Cに、コネクタを介することなくダイレクトな接続が可能な配線板である。図7は、半導体集積回路4Cがダイレクト接続された状態を示す。
【0063】
配線板1Cの「配線部」に複数の差動配線ペア11が配置されていることは、第1,第2の実施の形態と同様である。但し、複数の差動配線ペア11の他方端側(図8における左側)には、「電子回路」としての半導体集積回路4Dの実装領域が存在する。図8は、この実装領域には、半導体集積回路4Dが実装されている様子を示す。
半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11との接続には、一般に種々の方法があり、例えば、半田バンプによる接続、あるいは異方性導電接着フィルムによる接続などを挙げることができる。そのため、特に図示しないが、当該配線板1Cには、半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11とを接続する内部接続パッド群が予め設けられている。
【0064】
<5.変形例>
[第1の変形例]
第1から第3の実施の形態では、フレキシブル配線板を例とし、第4の実施の形態ではプリント配線板を例として、本開示技術の「配線板」を説明した。
しかし、本開示技術の「配線板」は、フレキシブル配線板やプリント配線板といった種類を限定しない。
【0065】
例えば、第1〜第3の実施の形態では、本開示技術の「配線板」として、プリント配線板のようにベース層に剛性が高いガラスエポキシ樹脂等の「基板」を用いてもよい。また、第4の実施の形態では、本開示技術の「配線板」としてフレキシブル配線板等を用いてもよい。
【0066】
また、図2,7,8に示す第2の配線板は、プリント配線板である必要はない。さらに、本開示技術が適用された「配線板」が接続されるコネクタは、他の配線板に設けられることも限定されない。例えば、「電子装置」の内部に設けたケース体や仕切りの壁面に設けたコネクタのソケットに、本開示技術が適用されたフレキシブル配線板またはプリント配線板を挿し込む形態でもよい。
【0067】
[第2の変形例]
第2の実施の形態では、複数の差動配線ペア11の全てを、第1層目の導電層13で形成している。しかし、例えば、奇数番目の差動配線ペア11を第1層目の導電層13で形成し、偶数番目の差動配線ペア11を第2層目の導電層16で形成してもよい。
また、そのようにする必要性は乏しいものの、第1層目の複数の接続パッド12を差動配線ペア11と接続する箇所に、第2層目、第3層目といった複数の導電層を用いることを、本開示技術では排除しない。さらに、複数の差動配線ペア11を、3層以上の導電層から形成することを、本開示技術では排除しない。
【0068】
なお、本開示技術は、差動信号の配線や接続の構造に特徴があるため、特に言及していないが、差動でない低速な信号や電圧等を入出力する配線を配線板に設ける場合がある。この場合、例えば図1に示す差動信号のための2列の接続パッドの列方向の一方側と他方側に同様なピッチで接続パッドを増設し、この配線方向に対し左右両側に増設した接続パッド群に、低速信号や電圧の配線を割り当てるとよい。
【0069】
以上の第1〜第4の実施形態および第1,第2の変形例に関わる配線板は、以下のように、種々の利点がある。
【0070】
配線板における差動配線ペアのPチャンネル用とNチャンネル用の2つの配線について、その長さ方向のどの箇所をとっても、2つの信号線が離間する方向で物理的な形状として完全に対称にすることができる。この対称性により、配線部における配線スキューの発生を無くすことができる。配線スキューを無くすことにより、伝送する信号波形品質の劣化を防ぐことができ、またEMIに起因した不要輻射を抑えることができる。
【0071】
差動配線ペアのPチャンネル用とNチャンネル用の2つの配線を、共に内側列の接続パッドに接続するか、もしくは共に外側列の接続パッドに接続している。
このため、配線と接続パッドを含めた信号伝送導体全体で、上記対称性が確保される。したがって、配線部での差動スキューの発生のみならず、コネクタ端子部での差動スキューの発生がない。
【0072】
以下、コネクタ端子部での差動スキューについて、前述した特許文献1の場合と本開示技術が適用された場合とで比較して説明する。ここでは適宜、図4(B)を参照する。
【0073】
特許文献1に示す構造では、差動信号の一方の配線の接続パッドと、他方の配線の接続パッドが、内側列と外側列に分かれて配置されている。したがって、この場合、差動信号の一方の信号は、外側列の接続パッドを経由し、図4に示す「信号の流れ」に沿った方向に引き出されてプリント配線板(第2の配線板)に接続される。これに対し、同じ差動信号の他方の信号は、内側列の接続パッドを経由するため、不図示のビア等を介して、例えば基板内や基板の裏面に設けられた他の配線層に接続され、あるいは、一度信号の流れとは逆の方向に迂回してプリント配線板の配線層に接続される。このため、信号引き出し構造の相違により、当該差動信号の2つの信号間で差動スキューが必ず発生する。
【0074】
これに対し、本開示技術を適用した場合、差動信号の2つの信号間で、信号引き出し構造が同じになるため、コネクタ端子部の構造に起因した差動スキューは発生しないか、発生しても大幅に低減される。
【0075】
以上述べてきた、コネクタに配線板の一部を差し込むコネクタ接続構造は、簡素で部品の値段も安いため低コストである。本開示技術の適用によって、部品点数が増え、あるいは構造が複雑化することがない。このため、本開示技術の適用によって、低コストを維持した上で、差動スキューを防止または大幅に低減できるという利益が得られる。
また、本開示技術は、配線板の片側端で上記対称性が得られるため、第1,第2の実施形態に限らず、第3,第4の実施の形態を含め広範な形態の配線板に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B…(フレキシブル)配線板、2A,2B…第2の配線板、3,3A,3B…コネクタ、4A,04B,04C,04D…半導体集積回路、11…差動配線ペア、11P…Pチャンネル信号配線…、11N…Nチャンネル信号配線、12…接続パッド、13…(第1層目の)導電層、14,15,17…絶縁層、16…第2層目の導電層、18…ビア、19…ランド、21…基板、31,31A,31B…ソケット、32…端子体、32A…外部端子部、32B…接続切片部、32C…接触凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動信号を伝送する2つの配線を含む配線板と、当該配線板が接続されるコネクタと、当該配線板とコネクタを含む電子装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
高密度に電子回路が実装される電子機器において、電子回路間の伝送方式として、信号振幅が小さくてもノイズに強い「差動信号伝送方式」が多用される。特に、回路が集積化されたIC間の差動信号伝送のために、差動信号伝送方式に適合したフレキシブル配線板等が用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、IC等の回路部品がそれぞれ集積化された2つのプリント配線板をコネクタでつなぐフレキシブル配線板を開示する。
フレキシブル配線板は、差動電気信号のPチャンネルとNチャンネルの2つの配線が対で形成される。以下、この対で形成される2つの配線を「差動配線対」という。差動配線対の長さ方向の両側それぞれに、「コネクタ」と称する端子(電極)が配列された基配線板の端部を有する。各コネクタは、差動配線対ごとに、フレキシブル配線板の端部側(外側)に配置された外側列電極と、差動配線対の配線領域側(内側)に配置された内側列電極とを備える。
【0004】
特許文献1に記載のフレキシブル配線板は、一方のコネクタにおいて、差動配線対をなすPチャンネル信号配線が外側列電極に接続され、Nチャンネル信号配線が内側列電極に接続されている。また、他方のコネクタにおいては、Pチャンネル信号配線またはNチャンネル信号配線と、外側列電極または内側列電極との接続関係が、上記一方のコネクタと逆になっている。
このため、Pチャンネル信号配線とNチャンネル信号配線の配線長が等しくバランスしており、これにより差動信号のPチャンネルとNチャンネルにおける配線スキュー(以下、差動スキュー)を、ある程度解消可能な構成となっている。
【0005】
上記特許文献1は、プリント基板に実装されるコネクタ受部(第1のコネクタ)も開示している。
フレキシブル配線板は、そのコネクタが設けられた端部を、プリント配線板に実装されたコネクタ受部に対し差動配線対の配線方向に挿し込む。フレキシブル配線板の端部がコネクタ受部に差し込まれたときに、コネクタ受部の長短の電極が基配線板の端部を弾性的に挟持し、長短の電極の一方がコネクタ端子として上記電極パッドに摺接して両者が電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−74095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されたフレキシブル配線板の電極配置では、電極を2列配置し、差動配線対の2つの配線の2つの一方端を、配線領域に遠い側の外側列電極と近い側の内側列電極に接続している。また、差動配線対の2つの配線の2つの他方端においては、外側列電極と内側列電極部との接続関係を上記一方端と逆にすることで、差動信号の電気長を決める各配線長を等しくしている。このため、この電極の配置と割り当て(接続)の構造は、差動配線対の両端側に同時に適用することが必須である。したがって、差動配線対の各配線が、直接半導体チップに接続する場合などでは、差動信号の電気長でバランスをとることができない。この場合、差動スキューの改善効果が得られない。
【0008】
また、PチャンネルとNチャンネルの2つの配線の端部に接続される電極が、内側列電極と外側列電極であることから、電極を含めた信号伝送導体の物理構造として真に対称になっていない。このため、より高速な信号を伝送する際には差動信号の2つの(シングルエンド)信号でバランスの崩れ(タイミングのずれ)が現れやすい。この意味で、特許文献1の差動スキューの改善効果は、高速差動信号に対しては限定的である。
【0009】
本開示技術の一形態は、IC実装基板等に適用可能で適用範囲が広く、高速差動信号に対して十分な差動スキューの改善が可能な配線板を提供するものである。
本開示技術の他の形態は、上記配線板の構造に適合し、当該配線板と組み合わせて用いることが可能なコネクタを提供するものである。
本開示技術の他の形態は、上記配線板を有する電子装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示技術に関わる配線板は、差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、の各々を複数有し、複数の前記差動配線対が並んで配置され、複数の前記接続パッドが複数列で配置され、前記複数の接続パッドの配置において前記2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている。
【0011】
本開示技術に関わる電子装置は、少なくとも一方に電子回路が実装された第1の配線板と第2の配線板とをコネクタで接続して有している。この第1の配線板は、本開示技術に関わる上記第1の配線板と同じ構造を備える。
【0012】
上記配線板または上記第1の配線板では、電極パッドを2列で配置し、差動配線対に電気的に接続された2つの接続パッドが、接続パッド配置において同一列内で隣り合っている。このため、差動配線対の配線方向に直交する方向に、接続パッドを列状に並べるという配置が適用できる。このとき、各配線と接続パッドとの接続点を配線方向で揃えることが可能である。その場合、差動スキュー改善のために有効な差動配線対の配線長を揃えることが、配線方向の片側のみで達成される。また、配線と接続パッドを含む信号伝送導体の全体を対称に形成できる。
【0013】
本開示技術に関わるコネクタは、差動信号を伝送する2つの配線に電気的に接続された2つの接続パッドを複数備える基板の一部が差し込まれるソケットと、前記ソケットの内部に設けられ、前記基板の一部が差し込まれたときに前記接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体と、を有し、前記複数の接続パッドの配列に対応して、前記複数の端子体が2列に配置され、前記差動信号の接続切片を構成する2つの前記端子体が同一列内で隣り合っている。
【0014】
上記コネクタでは、接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体がソケット内に設けられている。
接続パッドが2列配置された配線板の端部を、ソケット内のコネクタ受部に挿し込む。すると、配線板の端部に設けられた各接続パッドが、コネクタ受部の端子体に1対1で摺接する。このために接続パッドと端子体は、同じ2列配置で設けられている。そして、差動信号に対応した2つの接続パッドが、差動信号の接続切片となる2つの端子体と接触する。
この接触によって、差動信号が伝送される配線、接続パッド、端子体を含む信号伝送導体の全体が、接触位置のズレ等が許容範囲内であるとすると、ほぼ対称な物理構造を備えた状態になる。
【発明の効果】
【0015】
本開示技術によれば、差動信号の電気長を決める差動配線対の2つの配線の長さがバランスされ、また接続パッド(および端子体)を含めた構造が対称となる。このため、差動スキューがさらに改善される。また、差動配線対の配線方向の片側で差動スキュー改善の構造が実現できるため、本開示技術の適用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に関わる配線板の導電体の平面パターン図と、2方向の断面図である。
【図2】第1の実施の形態に関わる電子装置の要部構成図である。
【図3】第1の実施の形態に関わるコネクタのソケット底板の平面図と、コネクタの断面図である。
【図4】第1の実施の形態のコネクタに配線板が差し込まれた状態の導電体の(透視)平面図と、断面図である。
【図5】第2の実施の形態に関わる配線板の導電体の平面パターン図と、断面図である。
【図6】図5に示す配線板のA面配線図とB面配線図である。
【図7】第1の変形例に関わる電子装置の要部構成図である。
【図8】第2の変形例に関わる電子装置の要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示技術の実施の形態を、主にフレキシブル基板と、コネクタと、フレキシブル基板およびコネクタを有する電子装置を例として、図面を参照して説明する。
以下、次の順で説明を行う。
1.第1の実施の形態:片側(1層)タイプのフレキシブル配線板の配線方向の両側に、それぞれコネクタを介して別の配線板が接続される形態を示す。
2.第2の実施の形態:両面(2層)タイプのフレキシブル配線板の形態を示す。
3.第3の実施の形態:差動配線対の片側に電子回路(IC)がダイレクトに接続される電子装置の形態を示す。
4.第4の実施の形態:電子回路(IC)を実装し、差動配線対の片側端がこれに内部接続される形態を示す。
5.変形例。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
図1に、本開示技術の第1の実施の形態に関わる配線板の実施の形態を示す。図1(A)は、フレキシブル配線板のコネクタ端子が設けられた端部における導電体(配線および電極パッド)の平面パターンを示す図である。また、図1(B)は図1(A)のA−A線に沿った概略断面図、図1(C)は図1(A)のB−B線に沿った概略断面図である。
図1(A)〜図1(C)に示すフレキシブル配線板1は、複数の差動配線ペア11が「配線部」に形成され、基配線板の端部(「コネクタ端子部」)に、複数の接続パッド12からなるコネクタ端子群が配置されている。これらの差動配線ペア11と接続パッド12の配置および形状(パターン)の詳細は後述する。
図1に示すフレキシブル配線板1は、本開示技術における「配線板」の一例であり、例えば図2に示す形態で使用される。この場合、フレキシブル配線板1は、本開示技術における「第1の配線板」の一例に相当する。
【0019】
まず、図2を用いて、フレキシブル配線板の使用形態を説明する。
図2に示すように、フレキシブル配線板1(第1の配線板)は、2つの他の配線板(第2の配線板2A,2B)間を接続するものである。そのため、図1に示すように接続パッド12が配置されたコネクタ端子群が、フレキシブル配線板の配線方向の両端部に形成される。
コネクタ端子群が形成されたフレキシブル配線板1の一方の端部を、第2の配線板2Aに設けられたコネクタ3のソケット31Aに挿入している。同様に、別のコネクタ端子群が形成された他方の端部を、もう片方の第2の配線板2Bに設けられたコネクタ3Bのソケット31Bに挿入している。
【0020】
第2の配線板2Aに、半導体集積回路(IC)4Aが実装されている。ICの実装形態はベアチップ実装であってもよいが、通常、伝送周波数に適した種類のパッケージにICチップが収容された状態で基板実装される。同様にして、第2の配線板2Bに半導体集積回路(IC)4Bが基板実装されている。
【0021】
図2に示す構成は、本開示技術の「電子装置」の一具体例である。また、ここに示す半導体集積回路4A,4Bは、本開示技術の「電子回路」の一具体例である。本開示技術では、差動信号の入出力を前提としており、そのような電子回路であれば機能は任意である。高周波差動信号を送受信する2つの電子回路としては、送信用ICと受信用ICが例示できる。
【0022】
以下、配線板の配線およびコネクタ端子の構成と、コネクタのコネクタ端子の構成を、図面を用いて詳細説明する。
【0023】
[配線板の断面構造]
フレキシブル配線板1は、図1(B)および図1(C)に示すように、断面構造が、2つの絶縁層とその間の1つの導電層を有する。この構造のフレキシブル配線板1を、「1層(あるいは片面)タイプのフレキシブル配線板」という。
図1(C)は、フレキシブル配線板1を図2のソケット3Aに挿し込むときの状態を示す。このときの状態において、フレキシブル配線板の下面側にコネクタ端子が露出する。
【0024】
上面側の絶縁層14は、フレキシブル配線板のベース層(本開示技術の「基板」相当)となる絶縁層である。絶縁層14は「基板」としては剛性が低い、フレキシブルな樹脂フィルム等から形成されている。
下面側の絶縁層15は、主に保護のために用いられる絶縁層である。
絶縁層14,15に用いられる樹脂フィルムの代表例として、ポリイミド・フィルムを挙げることができる。
【0025】
導電層13は、一般には銅による導電膜が用いられるが、それ以外の導電性材料による層でもよい。
図1(A)および図1(C)に示すように、接続パッド12の配置領域(配線板の端部)を含む配線板部分を「コネクタ端子部」とし、差動配線ペア11が主として配線される領域を含む配線板部分を「配線部」としている。コネクタ端子部には、図1(C)に符号13(12)で示すように、2つの接続パッド12が導電層13から形成されている。一方、符号13(11)で示すように、「配線部」に差動配線ペア11が導電層13から形成されている。
絶縁層15は、「配線部」のほぼ全域を覆い、少なくとも接続パッド12を露出するように形成されている。
【0026】
[配線板の導電層パターン]
図1(A)に示すように、「配線部」において、差動配線ペア11が並んで配置されている。本例では、差動配線ペア11の配線ピッチは一定である。各差動配線ペア11は、差動信号のPチャンネル信号を伝送するPチャンネル信号配線11Pと、差動信号のNチャンネル信号を伝送するNチャンネル信号配線11Nとからなる。Pチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線11Nの離間距離も、各差動配線ペア11で同じとしている。
なお、差動信号のPチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線は、図1(A)において直線配置されている。ただし、これらの配線は、EMI(electromagnetic interference)による不要輻射が生じない範囲で一部が緩やかにカーブすること等は許容され、全体としておおよそ直線状であればよい。
【0027】
「コネクタ端子部」において、接続パッド12が2列で全体としては格子状に配置されている。以下、「コネクタ端子部(配線板端部)」の先端辺E0に近い側の接続パッドの列を「外側列」と言い、遠い側の列を「内側列」と言う。
各々の差動配線ペア11(Pチャンネル信号配線とNチャンネル信配線)は、必ずPチャンネルとNチャンネルが、共に内側列の接続パッドに接続されるか、または、共に外側列の接続パッドに接続される形態をとる。そうすることで、物理的にPチャンネル信号配線とNチャンネル信号配線の両端部から延びる接続パッドの形状を対称に形成できる。言い換えると、差動配線ペア11に接続される2つの接続パッド12は、対応する差動配線ペアの2つの配線の一方の端部側において、当該2つの配線の離間中心を通る対称軸に対して線対称に形成されていることが望ましい。
【0028】
ここで、より詳細な配線と接続パッドの関係を、図1(A)の各接続パッド内に識別符号1P,1N,2P,…,4N,5P,5Nを付した5ペアの信号伝送導体(接続パッドおよび配線)において説明する。ここで説明する関係は、他の信号伝送導体でも同様である。また、1Pと1Nといった、互いに隣り合う信号伝送導体(接続パッドおよび配線)を、特に「差動信号ペア導体」と呼ぶ。
【0029】
配線部で隣り合う2つの差動信号ペア導体(図1での1Pと1N,2Pと2N,…)は、本開示技術で「一つ置きの第1の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体と、「第1の差動配線対間の第2の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体とからなる。
「第1の差動配線対」に対応する差動信号ペア導体を、例えば奇数番目(1Pと1N,3Pと3N,5Pと5N)の差動信号ペア導体とする。この場合、偶数番目(2Pと2N,4Pと4N)の差動信号ペア導体が、「第2の差動配線対」に対応する。
【0030】
図1(A)においては、奇数番目の差動信号ペア導体が、内側列の接続パッドを含む。また、偶数番目の差動信号ペア導体が、外側列の接続パッドを含む。
【0031】
なお、図1(A)とは逆に、奇数番目の差動信号ペア導体が外側列の接続パッドを含み、偶数番目の差動信号ペア導体が内側列の接続パッドを含むようにしてもよい。この場合、「第1の差動配線対」、「第2の差動配線対」と、奇数番目、偶数番目との関係が上記と逆になる。
【0032】
配線部に着目すると、差動信号を伝送する配線が、1番目のPチャンネル信号配線、1番目のNチャンネル信号配線、2番目のPチャンネル信号配線、2番目のNチャンネル信号配線、・・・のようにPチャンネルとNチャンネルの繰り返しで並んでいる。
そして、1番目、3番目等の奇数番目のPチャンネル信号配線11PとNチャンネル信号配線11Nが共に内側列の接続パッド12に接続されている。また、2番目、4番目等の偶数列のPチャンネル信号配線11PとNチャネル信号配線11N共に外側列の接続パッド12に接続されている。
【0033】
この接続関係では、外側列の接続パッド12に接続するために、配線ペア(11P,11N)が必ず、内側列の接続パッド配置領域内を通ることになる。
例えば2番目の配線ペア(11P,11N)は、1番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nが接続される接続パッド12(1N)と、3番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pが接続される接続パッド12(3P)との間のスペースを通る。
同様に、4番目の配線ペアは、3番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nが接続される接続パッド12(3N)と、5番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pが接続される接続パッド12(5P)との間のスペースを通る。
【0034】
2番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11Pは、内側列の2つの接続パッドを通るときに近い側の接続パッド12(1N)に対し、横に並ぶ(「行方向に並ぶ」の意味)、外側列の接続パッド12(2P)に接続されている。
同様にして、2番目の配線ペアのNチャンネル信号配線11Nも、内側列の接続パッド間を通るときに近い側の接続パッド12(3P)と横に並ぶ、外側列の接続パッド12(2N)に接続されている。
この「内側列を通るときに最も近い接続パッドの横に並ぶ外側列の接続パッドに接続される」ことは、4番目の配線ペアのPチャンネル信号配線11P、Nチャンネル信号配線11Nにおいても同様である。
【0035】
[配線板の導電層パターンの特徴]
以上の構成から明らかなように、本実施の形態における接続パッドは2列で配置され、差動信号に対応する2つの接続パッドが同一列内で隣り合い、かつ、異なる列で1つの接続パッドだけずれた配置であることが大きな特徴の一つである。
また、他の特徴は、外側列の隣り合う2つの接続パッドから延びる配線ペアは、内側列の接続パッドの離間領域を通ることである。
【0036】
[配線板の他の端部の構造]
以上は、フレキシブル配線板1の配線方向の一方側の端部構造の説明であるが、他方側の端部構造においても同様な構成にすることができる。
但し、偶数番目と奇数番目で配線ペアの各配線の長さを揃える意味で、図1の一方端部で内側列の2つの接続パッドに接続された奇数番目の配線ペアを、不図示の他方端部では、外側列内で隣り合う2つの接続パッドに接続させることが望ましい。この場合、図1では外側列の接続パッドに接続された偶数番目の配線ペアは、不図示の他方端部では、内側列内で隣り合う2つの接続パッドに接続される。
【0037】
[コネクタ構造]
図3(B)は、本開示技術の「コネクタ」の一形態を示す概略断面図である。図3(A)は、コネクタのソケット底面におけるコネクタ端子の配置平面図である。図3(B)は図3(A)のC−C線に沿った概略断面を示す。図3(B)に示すコネクタ3は、図2に示すコネクタ3Aに対応する。
【0038】
図3(B)に示すコネクタ3は、図2に示す第2の配線板2Aの基板21に実装される接続部品である。基板21として、一般に、間に絶縁層を挟んで複数の配線層を積層させた積層配線基板が用いられる。
【0039】
コネクタ3は、フレキシブル配線板の挿入口となる側面が開口するソケット31(図2のソケット31Aに対応)を有する。ソケット31の側面が開口した内部空間が「ソケット受部」である。
ソケット31の底板31Cに、コネクタの複数の端子体32が配設されている。複数の端子体32は、図1(A)の2列の接続パッド12の配列に対応して、2列で接続パッドと同じ数が設けられた配列を有する(図3(A)参照)。このため、フレキシブル配線板1をコネクタ3に挿入したときに、フレキシブル配線板1の接続パッド12が、コネクタ3の端子体32と1対1で接触する構成となっている。
【0040】
端子体32は、ソケット31の底板31Cの裏面に設けられた外部端子部32Aと、外部端子部32Aから折り曲げられた接続切片部32Bとを有して構成される。接続切片部32Bは、その先端付近の上面から、コネクタ受部の内部空間に突出する接触凸部32Cを有する。
2列の端子体32は、行方向で隣り合う2つの端子体32で、接触凸部32Cが近接するように配置されている。
【0041】
端子体32は、外部端子部32Aと接続切片部32Bでソケット31の底板の一部を挟持して底板に固定されている。
端子体32は抵抗率が低い導電材料からなり、材料がもつ弾性力と、折り曲げられた構造から、フレキシブル配線板をコネクタ内部空間に挿入したときに接触凸部32Cが下方に移動するように弾性変形し、フレキシブル配線板の側に付勢力を与える板バネとしても機能する。
【0042】
このように構成されたコネクタ3は、基板21の上面(実装面)に設けられた不図示の導電層に、例えば半田付け、その他の接続部材で電気的に接続される。
基板21の実装面に形成された不図示の導電層は、基板21の実装面に設けた配線層、または、基板21内に形成されたビア(不図示)の上面に接続する孤立したランドである。
2列の端子体32のうち、フレキシブル配線板の挿入口側(図3(B)では左側)の端子体32は、例えば、ランドとビアを介して基板21の内部または裏面に設けられた配線層(不図示)に接続され、この配線層によって電子回路側に接続される。また、挿入口から遠い奥側列(図3(B)では右側)の端子体32は、基板21の実装面の配線層を介して電子回路側と接続される。
【0043】
[配線板とコネクタの接続]
図4に、図3のコネクタに、図1のフレキシブル配線板が挿入され、電気的な接続が行われた電子装置の伝送可能状態を示す。図4(A)は、導電層パターンの重ね合わせ、特に接続パッドと端子体の接触状態を示す電子装置の(透視)平面図である。図4(B)は、図4(A)のD−D線に沿った電子装置の概略断面図である。
図4に示すように、コネクタ3にフレキシブル配線板1が挿入された状態で、接続パッド12と端子体32が1対1で接触している。
【0044】
差動配線ペアに接続された2つの接続パッド12が同一列内で隣り合うこと、外側列の2つの接続パッド12からの配線ペアが、内側列の接続パッド12の離間領域を通って配線されることは、図1を参照して既に述べた通りである。
この構成に対応して、差動信号の接続切片を構成する2つの端子体32は、同一列内で隣り合って配置される。そのため図4の状態では、差動信号を伝送する配線ペアが接続された2つの接続パッド12と接続する2つの端子体32は、電子回路の差動信号を入出力する端子対と電気的に接続されることになる。
【0045】
なお、フレキシブル配線板1をコネクタ3に挿し込む際に、端子体32の接触凸部32Cが摺接して接触箇所が移動するため、接続パッド12の形状は、基板挿入方向(配線方向)に長い矩形状とすることが望ましい。また、内側列の接続パッド間に絶縁層15で保護されていない細い配線ペアがあるため、これらの配線を損傷しないように、端子体32は接続パッド12の幅より細い長尺状とすることが望ましい。
【0046】
<2.第2の実施の形態>
図5(A)は、第2の実施の形態関わるフレキシブル配線板の導電層パターンを示す(透視)平面図である。図5(B)は、図5(A)のE−E線に沿った断面図である。
図5(B)に示すように、フレキシブル配線板は、コアとなる絶縁層(本開示技術の「基板」に相当)の両面に導電層が形成された2層構造のフレキシブル基板である。その意味で、この構造のフレキシブル基板を、「両面タイプのフレキシブル基板」と言う。
【0047】
図5(B)は、フレキシブル基板を、コネクタ受部としてのソケット内部空間に挿し込むときの状態を示す。このときの状態において、フレキシブル配線板の下面を「A面」、A面側の導電層を「第1層目の導電層」と言う。また、フレキシブル基板の上面を「B面」、B面側の導電層を「第2層目の導電層」と言う。
【0048】
図1(B)に示すフレキシブル配線板1Aは、コアとなる絶縁層14の両面に、2層の導電層(13,16)を有する。絶縁層14の下面(A面)に形成された第1層目の導電層13は、「配線部」の差動配線ペア11と、「コネクタ端子部」の接続パッド12を形成するようにパターンニングされている。このこと自体は第1の実施の形態と同様である。
【0049】
図6(A)に第1層目の導電層13のA面配線図を、図6(B)に第2層目の導電層16のB面配線図を示す。
【0050】
第1の実施形態では、「配線部」から延びる約半数(ここで偶数番目)の差動配線ペア11が、「コネクタ端子領域」内で、2つの接続パッド12の離間領域を通って外側列の接続パッド12に接続される。
これに対し、本第2の実施の形態では、「配線部」の約半数(例えば偶数番目)の差動配線ペア11は、絶縁層14の上面(B面)側の第2層目の導電層16の一端部に、ビア18を介して接続されている。第2層目の導電層16の他端部は、フレキシブル配線板1Aの先端辺E0の側で外側列の接続パッド12に他のビア18を介して電気的に接続されている。
【0051】
図5(A)、図6(A)および図6(B)において、ビア18より一回り大きく描いている符号19により示す円形部は、第1層目の導電層13で形成されたランドと呼ばれるビアの着地部分である。外側列の導電層13延びる連結部に対しビア18を位置ずれなく接続できるようであれば、ランド19は不要である。この例では、「配線部」で差動配線ペア11と第2層目の導電層16の一端部を接続する部分と、「コネクタ端子部」で外側列の接続パッド12と第2層目の導電層16の他端部とを接続する部分の双方にランド19が設けられている。
【0052】
以上の構成を有するフレキシブル配線板1Aは、第1の実施の形態で図4を用いて既に説明したように、コネクタ3に差し込まれときに、その下面(A面)側で2列の接続パッド12が、コネクタ3内の2列の端子体32と1対1で接続される。
第2の実施形態では、このとき「コネクタ端子部」内の細い差動配線ペアは、第2層目の導電層16で形成されている。このため、端子体32の接触凸部32Cが摺接する接続パッド12の周囲に露出していない。この理由から、両面タイプのフレキシブル配線板1Aは、コネクタ接続時に細い差動配線ペアが損傷を受けることがないという利点を有する。
【0053】
なお、図5(A)に示す(透視)平面図では、第2層目の導電層16で形成された細い差動配線ペアが、接続パッド間の離間領域内に位置するように描かれている。しかし、「コネクタ端子部」内の差動配線ペアは第2層目の導電層16から形成されているため、1層目の導電層13からなる接続パッド12と接触することがなく、両者を透視平面パターンとしては重ねてよい。
【0054】
差動配線ペア11は、一般に、同相ノイズが同じ振幅で乗ると信号処理によるノイズ除去が完全に行えるため、極力、2つの配線を近づけて配線される。図5(A)は、そのため結果として「コネクタ端子部」内で差動配線ペアが接続パッド間の離間領域内に収まることになっている。
なお、「コネクタ端子部」において差動配線ペアの2つの配線間隔を接続パッドと若干重なる程度に広げる場合、「配線部」においても差動配線ペア11の2つの配線間隔を同程度に広げることが望ましい。ただし、差動配線ペア11同士の間隔を、ペア内の2つの配線同士の間隔より十分大きくする必要があり、その限度内で、ペア内の2つの配線間隔を広げるとよい。
【0055】
また、ペア内の2つの配線間隔を大きくする理由は、以下のように微細加工等からの要請であってもよい。
歩留まりや加工精度を高くする目的から配線幅をある程度大きくしたいが、多数の差動配線ペアと接続パッド群を配置するスペースも限られていることがある。このような場合、第1の実施の形態の片面タイプに代えて、本実施の形態のような両面タイプのフレキシブル配線板を用いると、このような要請に対応した配線板を実現することが可能である。
【0056】
<3.第3の実施の形態>
図7に、第3の実施の形態に関わるフレキシブル配線板と、これを用いた電子装置の構成図を示す。
図7に示すフレキシブル配線板1Bは、その一端部(図7における右側部)に、上記第1または第2の実施の形態と同様なコネクタ端子部を備える(図1,図5参照)。そのため、フレキシブル配線板1B(第1の配線板)は、その一端部がコネクタ3に挿入され、第2の配線板2Aと接続されている。第2の配線板2Aには、図2と同様に半導体集積回路4Aが実装され、半導体集積回路4Aに対する差動信号の入出力が可能になっている。
【0057】
フレキシブル配線板1Bは、その片側で、「電子回路」としての他の半導体集積回路4Cに、コネクタを介することなくダイレクトな接続が可能な配線板である。図7は、半導体集積回路4Cがダイレクト接続された状態を示す。
【0058】
フレキシブル配線板1Bの「配線部」に複数の差動配線ペア11が配置されていることは、第1,第2の実施の形態と同様である。但し、複数の差動配線ペア11の他方端側(図7における左側)は、コネクタを介することなくダイレクトに半導体集積回路4Cの接続パッドに接続されている。半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11との接続には、一般に種々の方法があり、例えば、半田バンプによる接続、あるいは異方性導電接着フィルムによる接続などを挙げることができる。
【0059】
<4.第4の実施の形態>
図8は、第4の実施形態に関わる配線板と、これを用いた電子装置の構成図を示す。
図8に示す配線板1Dは、例えば、プリント配線板である。
【0060】
プリント配線板は、第1の実施形態等のフレキシブル配線板の「基板」となるフレキシブルな樹脂からなる絶縁層に代えて、比較的硬い絶縁層の基板が用いられる。このような絶縁層の代表例としては、ガラスエポキシ樹脂層が挙げられる。そのため、プリント配線板は、フレキシブル配線板と異なり材料に柔軟性がないが、本発明の接続パッドの配置を同様に実現でき、コネクタも同様の構成をとることで実施できる。
【0061】
具体的に、図8に示す配線板1Cは、その一端部(図8における右側部)に、上記第1または第2の実施の形態と同様なコネクタ端子部を備える(図1,図5参照)。そのため、配線板1C(第1の配線板)は、その一端部がコネクタ3に挿入され、第2の配線板2Aと接続されている。第2の配線板2Aには、図2と同様に半導体集積回路4Aが実装され、半導体集積回路4Aに対する差動信号の入出力が可能になっている。
【0062】
フレキシブル配線板1Bは、その片側で、「電子回路」としての他の半導体集積回路4Cに、コネクタを介することなくダイレクトな接続が可能な配線板である。図7は、半導体集積回路4Cがダイレクト接続された状態を示す。
【0063】
配線板1Cの「配線部」に複数の差動配線ペア11が配置されていることは、第1,第2の実施の形態と同様である。但し、複数の差動配線ペア11の他方端側(図8における左側)には、「電子回路」としての半導体集積回路4Dの実装領域が存在する。図8は、この実装領域には、半導体集積回路4Dが実装されている様子を示す。
半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11との接続には、一般に種々の方法があり、例えば、半田バンプによる接続、あるいは異方性導電接着フィルムによる接続などを挙げることができる。そのため、特に図示しないが、当該配線板1Cには、半導体集積回路4Cと複数の差動配線ペア11とを接続する内部接続パッド群が予め設けられている。
【0064】
<5.変形例>
[第1の変形例]
第1から第3の実施の形態では、フレキシブル配線板を例とし、第4の実施の形態ではプリント配線板を例として、本開示技術の「配線板」を説明した。
しかし、本開示技術の「配線板」は、フレキシブル配線板やプリント配線板といった種類を限定しない。
【0065】
例えば、第1〜第3の実施の形態では、本開示技術の「配線板」として、プリント配線板のようにベース層に剛性が高いガラスエポキシ樹脂等の「基板」を用いてもよい。また、第4の実施の形態では、本開示技術の「配線板」としてフレキシブル配線板等を用いてもよい。
【0066】
また、図2,7,8に示す第2の配線板は、プリント配線板である必要はない。さらに、本開示技術が適用された「配線板」が接続されるコネクタは、他の配線板に設けられることも限定されない。例えば、「電子装置」の内部に設けたケース体や仕切りの壁面に設けたコネクタのソケットに、本開示技術が適用されたフレキシブル配線板またはプリント配線板を挿し込む形態でもよい。
【0067】
[第2の変形例]
第2の実施の形態では、複数の差動配線ペア11の全てを、第1層目の導電層13で形成している。しかし、例えば、奇数番目の差動配線ペア11を第1層目の導電層13で形成し、偶数番目の差動配線ペア11を第2層目の導電層16で形成してもよい。
また、そのようにする必要性は乏しいものの、第1層目の複数の接続パッド12を差動配線ペア11と接続する箇所に、第2層目、第3層目といった複数の導電層を用いることを、本開示技術では排除しない。さらに、複数の差動配線ペア11を、3層以上の導電層から形成することを、本開示技術では排除しない。
【0068】
なお、本開示技術は、差動信号の配線や接続の構造に特徴があるため、特に言及していないが、差動でない低速な信号や電圧等を入出力する配線を配線板に設ける場合がある。この場合、例えば図1に示す差動信号のための2列の接続パッドの列方向の一方側と他方側に同様なピッチで接続パッドを増設し、この配線方向に対し左右両側に増設した接続パッド群に、低速信号や電圧の配線を割り当てるとよい。
【0069】
以上の第1〜第4の実施形態および第1,第2の変形例に関わる配線板は、以下のように、種々の利点がある。
【0070】
配線板における差動配線ペアのPチャンネル用とNチャンネル用の2つの配線について、その長さ方向のどの箇所をとっても、2つの信号線が離間する方向で物理的な形状として完全に対称にすることができる。この対称性により、配線部における配線スキューの発生を無くすことができる。配線スキューを無くすことにより、伝送する信号波形品質の劣化を防ぐことができ、またEMIに起因した不要輻射を抑えることができる。
【0071】
差動配線ペアのPチャンネル用とNチャンネル用の2つの配線を、共に内側列の接続パッドに接続するか、もしくは共に外側列の接続パッドに接続している。
このため、配線と接続パッドを含めた信号伝送導体全体で、上記対称性が確保される。したがって、配線部での差動スキューの発生のみならず、コネクタ端子部での差動スキューの発生がない。
【0072】
以下、コネクタ端子部での差動スキューについて、前述した特許文献1の場合と本開示技術が適用された場合とで比較して説明する。ここでは適宜、図4(B)を参照する。
【0073】
特許文献1に示す構造では、差動信号の一方の配線の接続パッドと、他方の配線の接続パッドが、内側列と外側列に分かれて配置されている。したがって、この場合、差動信号の一方の信号は、外側列の接続パッドを経由し、図4に示す「信号の流れ」に沿った方向に引き出されてプリント配線板(第2の配線板)に接続される。これに対し、同じ差動信号の他方の信号は、内側列の接続パッドを経由するため、不図示のビア等を介して、例えば基板内や基板の裏面に設けられた他の配線層に接続され、あるいは、一度信号の流れとは逆の方向に迂回してプリント配線板の配線層に接続される。このため、信号引き出し構造の相違により、当該差動信号の2つの信号間で差動スキューが必ず発生する。
【0074】
これに対し、本開示技術を適用した場合、差動信号の2つの信号間で、信号引き出し構造が同じになるため、コネクタ端子部の構造に起因した差動スキューは発生しないか、発生しても大幅に低減される。
【0075】
以上述べてきた、コネクタに配線板の一部を差し込むコネクタ接続構造は、簡素で部品の値段も安いため低コストである。本開示技術の適用によって、部品点数が増え、あるいは構造が複雑化することがない。このため、本開示技術の適用によって、低コストを維持した上で、差動スキューを防止または大幅に低減できるという利益が得られる。
また、本開示技術は、配線板の片側端で上記対称性が得られるため、第1,第2の実施形態に限らず、第3,第4の実施の形態を含め広範な形態の配線板に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B…(フレキシブル)配線板、2A,2B…第2の配線板、3,3A,3B…コネクタ、4A,04B,04C,04D…半導体集積回路、11…差動配線ペア、11P…Pチャンネル信号配線…、11N…Nチャンネル信号配線、12…接続パッド、13…(第1層目の)導電層、14,15,17…絶縁層、16…第2層目の導電層、18…ビア、19…ランド、21…基板、31,31A,31B…ソケット、32…端子体、32A…外部端子部、32B…接続切片部、32C…接触凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、
前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、
の各々を複数有し、
複数の前記差動配線対が並んで配置され、
複数の前記接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の接続パッドの配置において前記2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている
配線板。
【請求項2】
前記複数の接続パッドは、差し込み型コネクタの端子である
請求項1に記載の配線板。
【請求項3】
前記2つの接続パッドを基本構成単位とする前記複数の接続パッドが配置された当該配線板の一部は、他の基板のコネクタ受部に差し込まれる差し込み端部を構成する
請求項2に記載の配線板。
【請求項4】
前記接続パッドが2列で格子状に配置され、
前記差動配線対に接続された前記2つの接続パッドが前記2列の各列に配置され、
前記2列の一方の列の前記2つの接続パッドと他方の列の前記2つの接続パッドが、列間で1つの接続パッドだけずれて配置されている
請求項3に記載の配線板。
【請求項5】
前記2つの接続パッドは、対応する前記差動配線対の前記2つの配線の一方の端部側において、当該2つの配線の離間中心を通る対称軸に対して線対称に形成されている
請求項1から4の何れか一項に記載の配線板。
【請求項6】
前記複数の差動配線対の配線方向の両側に、それぞれ、当該配線板とは異なる他の基板のコネクタ受部に差し込まれるコネクタ端子として、前記2つの接続パッドを各列の基本構成単位とする複数の接続パッドが複数列で配置されている
請求項1から5の何れか一項に記載の配線板。
【請求項7】
前記複数の差動配線対の一方端側に、当該配線板とは異なる他の基板のコネクタ受部に差し込まれるコネクタ端子として、前記2つの接続パッドを各列の基本構成単位とする複数の接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の差動配線対の他方端側に、当該配線板に実装される電子回路が接続される内部接続パッド群が配置されている
請求項1から5の何れか一項に記載の配線板。
【請求項8】
基板と、
前記複数の差動配線対と前記複数の接続パッドとが形成され、前記基板に支持された導電層と、
を有する請求項1から7の何れか一項に記載の配線板。
【請求項9】
前記基板の端辺に近い外側列の接続パッドと、前記端辺から遠い内側列の接続パッドとを、それぞれ複数有し、
前記差動配線対の並びにおいて、一つ置きの第1の差動配線対の各配線が前記内側列の各接続パッドに接続され、
前記差動配線対の並びにおいて、前記第1の差動配線対の間に配線された第2の差動配線対の各配線が、前記外側列の各接続パッドから、前記内側列の接続パッドの離間領域を通って延在する
請求項8に記載の配線板。
【請求項10】
基板と、
絶縁層を間に介在させて前記基板に支持された2層の導電層と、
を有し、
一方の層の前記導電層に、前記基板の端辺に近い外側列の接続パッドと、前記端辺から遠い内側列の接続パッドとが、それぞれ複数形成され、
前記差動配線対の並びにおいて、一つ置きの第1の差動配線対の各配線が前記内側列の各接続パッドに接続され、
前記差動配線対の並びにおいて、前記第1の差動配線対の間に配置された第2の差動配線対の各配線が、前記外側列の各接続パッドに導体ビアで接続された他方の層の前記導電層と電気的に接続されている
請求項1から7の何れか一項に記載の配線板。
【請求項11】
交互に配置される前記第1の差動配線対と前記第2差動配線対が、前記一方の層の導電層から形成され、
前記他方の層の導電層は、他の導体ビアを介して、前記一方の層の導電層で形成された前記第2差動配線対の配線の端部側と接続されている
請求項10に記載の配線板。
【請求項12】
差動信号を伝送する2つの配線に電気的に接続された2つの接続パッドを複数備える基板の一部が差し込まれるソケットと、
前記ソケットの内部に設けられ、前記基板の一部が差し込まれたときに前記接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体と、
を有し、
前記複数の接続パッドの配列に対応して、前記複数の端子体が2列に配置され、前記差動信号の接続切片を構成する2つの前記端子体が同一列内で隣り合っている
コネクタ。
【請求項13】
前記端子体が2列の配置領域内で格子状に配置され、
前記差動信号の接続切片を構成する2つの端子体が前記2列の各列に配置され、
前記2列の一方の列の前記2つの端子体と他方の列の前記2つの端子体が、列間で1つの端子体だけずれて配置されている
請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
少なくとも一方に電子回路が実装された第1の配線板と第2の配線板とをコネクタで接続して有し、
前記第1の配線板は、
差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、
前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、
の各々を複数有し、
前記第1の配線板において、
複数の前記差動配線対が並んで配置され、
複数の前記接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の接続パッドの配列において前2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている
電子装置。
【請求項1】
差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、
前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、
の各々を複数有し、
複数の前記差動配線対が並んで配置され、
複数の前記接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の接続パッドの配置において前記2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている
配線板。
【請求項2】
前記複数の接続パッドは、差し込み型コネクタの端子である
請求項1に記載の配線板。
【請求項3】
前記2つの接続パッドを基本構成単位とする前記複数の接続パッドが配置された当該配線板の一部は、他の基板のコネクタ受部に差し込まれる差し込み端部を構成する
請求項2に記載の配線板。
【請求項4】
前記接続パッドが2列で格子状に配置され、
前記差動配線対に接続された前記2つの接続パッドが前記2列の各列に配置され、
前記2列の一方の列の前記2つの接続パッドと他方の列の前記2つの接続パッドが、列間で1つの接続パッドだけずれて配置されている
請求項3に記載の配線板。
【請求項5】
前記2つの接続パッドは、対応する前記差動配線対の前記2つの配線の一方の端部側において、当該2つの配線の離間中心を通る対称軸に対して線対称に形成されている
請求項1から4の何れか一項に記載の配線板。
【請求項6】
前記複数の差動配線対の配線方向の両側に、それぞれ、当該配線板とは異なる他の基板のコネクタ受部に差し込まれるコネクタ端子として、前記2つの接続パッドを各列の基本構成単位とする複数の接続パッドが複数列で配置されている
請求項1から5の何れか一項に記載の配線板。
【請求項7】
前記複数の差動配線対の一方端側に、当該配線板とは異なる他の基板のコネクタ受部に差し込まれるコネクタ端子として、前記2つの接続パッドを各列の基本構成単位とする複数の接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の差動配線対の他方端側に、当該配線板に実装される電子回路が接続される内部接続パッド群が配置されている
請求項1から5の何れか一項に記載の配線板。
【請求項8】
基板と、
前記複数の差動配線対と前記複数の接続パッドとが形成され、前記基板に支持された導電層と、
を有する請求項1から7の何れか一項に記載の配線板。
【請求項9】
前記基板の端辺に近い外側列の接続パッドと、前記端辺から遠い内側列の接続パッドとを、それぞれ複数有し、
前記差動配線対の並びにおいて、一つ置きの第1の差動配線対の各配線が前記内側列の各接続パッドに接続され、
前記差動配線対の並びにおいて、前記第1の差動配線対の間に配線された第2の差動配線対の各配線が、前記外側列の各接続パッドから、前記内側列の接続パッドの離間領域を通って延在する
請求項8に記載の配線板。
【請求項10】
基板と、
絶縁層を間に介在させて前記基板に支持された2層の導電層と、
を有し、
一方の層の前記導電層に、前記基板の端辺に近い外側列の接続パッドと、前記端辺から遠い内側列の接続パッドとが、それぞれ複数形成され、
前記差動配線対の並びにおいて、一つ置きの第1の差動配線対の各配線が前記内側列の各接続パッドに接続され、
前記差動配線対の並びにおいて、前記第1の差動配線対の間に配置された第2の差動配線対の各配線が、前記外側列の各接続パッドに導体ビアで接続された他方の層の前記導電層と電気的に接続されている
請求項1から7の何れか一項に記載の配線板。
【請求項11】
交互に配置される前記第1の差動配線対と前記第2差動配線対が、前記一方の層の導電層から形成され、
前記他方の層の導電層は、他の導体ビアを介して、前記一方の層の導電層で形成された前記第2差動配線対の配線の端部側と接続されている
請求項10に記載の配線板。
【請求項12】
差動信号を伝送する2つの配線に電気的に接続された2つの接続パッドを複数備える基板の一部が差し込まれるソケットと、
前記ソケットの内部に設けられ、前記基板の一部が差し込まれたときに前記接続パッドに1対1で摺接する複数の端子体と、
を有し、
前記複数の接続パッドの配列に対応して、前記複数の端子体が2列に配置され、前記差動信号の接続切片を構成する2つの前記端子体が同一列内で隣り合っている
コネクタ。
【請求項13】
前記端子体が2列の配置領域内で格子状に配置され、
前記差動信号の接続切片を構成する2つの端子体が前記2列の各列に配置され、
前記2列の一方の列の前記2つの端子体と他方の列の前記2つの端子体が、列間で1つの端子体だけずれて配置されている
請求項12に記載のコネクタ。
【請求項14】
少なくとも一方に電子回路が実装された第1の配線板と第2の配線板とをコネクタで接続して有し、
前記第1の配線板は、
差動信号を伝送する2つの配線からなる差動配線対と、
前記差動配線対の各配線と電気的に接続された2つの接続パッドと、
の各々を複数有し、
前記第1の配線板において、
複数の前記差動配線対が並んで配置され、
複数の前記接続パッドが複数列で配置され、
前記複数の接続パッドの配列において前2つの接続パッドが同一列内で隣り合っている
電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−80628(P2013−80628A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220178(P2011−220178)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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