説明

配線板及びその製造方法

【課題】ビア及び配線パターンを容易に形成することが可能な配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の金属層の第1の配線パターン113〜119及びビア111,112が形成された面を第1の絶縁層100の上面と対向させ、第2の金属層の第2の配線パターン121〜127が形成された面を第1の絶縁層100の下面と対向させる工程と、第1の配線パターン113〜119及びビア111,112を第1の絶縁層100の上面から圧入するとともに第2の配線パターン121〜127を第1の絶縁層100の下面から圧入することにより第1の絶縁層100の上部に第1の配線パターン113〜119を埋設し、第1の絶縁層100の下部に第2の配線パターン121〜127を埋設し、ビア111,112を第2の配線パターン122,126と圧着する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装する配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に伴い電子機器に内蔵される電子部品及びその電子部品に実装される配線板も小型化の傾向にあり、多くの信号を伝送させるために配線板に構成される配線の微細化が不可欠になっている。
【0003】
従来、配線を形成するためにフォトリソグラフィ技術を利用してきたが、プリント配線レベルで用いられているフォトリソグラフィでは配線幅が10μm以下の微細化が難しく、より微細な配線幅を形成する方法が求められている。
【0004】
微細な配線幅を形成する方法の一つとして、配線パターンを形成するためのパターンを有する金型(モールド)を用いて絶縁層にパターンを転写し、その転写されたパターンに導電材料を充填することにより配線パターンを形成するインプリント法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1では、層間導通用のビアは配線パターンとは別途形成する必要がある。
【0005】
また、他のインプリント法として、配線パターンを形成するためのパターンとビアを形成するためのパターンの2段形状のパターンを有する金型を用いて、絶縁層に2段形状のパターンを同時に転写する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2では、絶縁層に2段形状のパターンを転写した後、金型を絶縁層から離型し、絶縁層に転写されたパターンに導電材料を充填する必要がある。
【0006】
このように、従来のインプリント法では、絶縁層にビア及び配線パターンを形成する際には多くの工数が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−320150号公報
【特許文献2】特開2005−108924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ビア及び配線パターンを容易に形成することが可能な配線板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上部に埋設され、第1の絶縁層の上面と同じ高さの上面を有する第1の配線パターンと、第1の絶縁層の下部に埋設され、第1の絶縁層の下面と同じ高さの下面を有する第2の配線パターンと、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを接続する第1のビアとを備える配線板が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、第1の配線パターン及び第1の配線パターンに接続したビアを有する第1の金属層を形成する工程と、第2の配線パターンを有する第2の金属層を形成する工程と、第1の金属層の第1の配線パターン及びビアが形成された面を第1の絶縁層の上面と対向させ、第2の金属層の第2の配線パターンが形成された面を第1の絶縁層の下面と対向させる工程と、第1の配線パターン及びビアを第1の絶縁層の上面に圧入することにより第1の絶縁層の上部に第1の配線パターンを埋設する工程と、第2の配線パターンを第1の絶縁層の下面に圧入することにより第1の絶縁層の下部に第2の配線パターンを埋設し、且つビアを第2の配線パターンと圧着する工程とを含む配線板の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の更に他の態様によれば、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上部に埋設された第1の配線パターンと、第1の絶縁層の下部に埋設された第2の配線パターンと、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを接続する第1のビアとを有する第1の基板を用意する工程と、第1の絶縁層の上面及び下面に第2及び第3の絶縁層をそれぞれ積層する工程と、第3の配線パターン及び第3の配線パターンと接続する第2のビアを有する第1の金属層を形成する工程と、第4の配線パターン及び第4の配線パターンと接続する第3のビアを有する第2の金属層を形成する工程と、第1の金属層の第3の配線パターン及び第2のビアが形成された面と第2の絶縁層の上面とを対向させ、第2の金属層の第4の配線パターン及び第3のビアが形成された面と第3の絶縁層の下面とを対向させる工程と、第3の配線パターン及び第2のビアを第2の絶縁層の上面から圧入することにより第2の絶縁層の上部に第3の配線パターンを埋設し、且つ第2のビアを第1の配線パターンと圧着させる工程と、第4の配線パターン及び第3のビアを第3の絶縁層の下面から圧入することにより第3の絶縁層の下部に第4の配線パターンを埋設し、且つ第3のビアを第2の配線パターンと圧着させる工程とを含む配線板の製造方法が提供される。
【0012】
本発明の更に他の態様によれば、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上部に埋設された第1の配線パターンと、第1の絶縁層の下部に埋設された第2の配線パターンと、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを接続する第1のビアとを有する第1の基板を用意する工程と、第1の絶縁層の上面に第2の絶縁層を積層する工程と、第3の配線パターン及び第3の配線パターンと接続する第2のビアを有する金属層を形成する工程と、第2の絶縁層の上面と、金属層の第3の配線パターン及び第2のビアが形成された面とを対向させる工程と、第3の配線パターン及び第2のビアを第2の絶縁層の上面に圧入することにより第2の絶縁層の上部に第3の配線パターンを埋設し、且つ第2のビアを第1の配線パターンと圧着させる工程とを含む配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビア及び配線パターンを容易に形成することが可能な配線板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る配線板の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の一例を説明するための工程断面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を説明するための工程断面図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を示す断面図である。
【図22】本発明のその他の実施の形態に係る配線板の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
また、以下に示す第1〜第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】

(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る配線板10は、図1に示すように、第1の絶縁層100と、第1の絶縁層100の上部に埋設され、第1の絶縁層100の上面と同じ高さの上面を有する第1の配線パターン113〜119と、第1の絶縁層100の下部に埋設され、第1の絶縁層100の下面と同じ高さの下面を有する第2の配線パターン121〜127と、第1の配線パターン114,118と第2の配線パターン122,126とを接続する第1のビア111,112とを備える両面基板である。
【0018】
第1の配線パターン114,118及び第1のビア111,112は一体として形成されており、第1の配線パターン114,118及び第1のビア111,112との間に界面はない。
【0019】
第1の絶縁層100の材料としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂が使用可能である。第1の配線パターン113〜119、第2の配線パターン121〜127及び第1のビア111,112の材料としては、銅(Cu)や銀(Ag)が使用可能である。
【0020】
本発明の第1の実施の形態に係る配線板10によれば、第1の配線パターン113〜119及び第2の配線パターン121〜127が第1の絶縁層100の上面又は下面と同じ高さであり、第1の配線パターン113〜119及び第2の配線パターン121〜127が上面又は下面から突出していないため、多層にする場合にフラットに多層化しやすい。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る配線板10の製造方法の一例を、図2〜図9を用いて説明する。
【0022】
(イ)図2に示すように、導電材料と離型し易い材質又は表面処理が施された第1の金型103を用意する。第1の金型103は、基体130と、基体130の上部に設けられた凹部133〜139と、凹部134,138に連通した穴131,132とを備える。凹部133〜139及び穴131,132のそれぞれは、図1に示した第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112を形成するためのパターンである。第1の金型103は種々の方法で作製可能であるが、特に微細なサイズが要求される場合には、シード層が形成されたシリコン(Si)基板上にレジストを塗布し、レジストを電子線(EB)、紫外線(UV)又はレーザーを用いて描画・現像してパターニングする。この一連の工程を繰り返し、パターニングした凹凸部にニッケル(Ni)や銅(Cu)等を用いためっきにより導電材料を充填した後、レジストを除去することにより第1の金型103を作製可能である。第1の金型103の表面には、必要に応じて市販のフッ素シランカップリング剤で離型処理をすることができる。
【0023】
(ロ)図3に示すように、第1の金型103の穴131,132及び凹部133〜139に、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)又はニッケル(Ni)等を用いためっきや銅(Cu)や銀(Ag)のナノペーストを用いた印刷等により導電材料を充填し、充填した導電材料を硬化させる。この結果、第1の金型103上に形成された導電材料からなる支持部110、凹部133〜139に充填された導電材料からなる第1の配線パターン113〜119、及び穴131,132に充填された導電材料からなる第1のビア111,112を有する第1の金属層101が形成される。なお、導電材料充填条件を最適化することにより、支持部110を形成せずに第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112のみ形成しても良い。粘着シートや吸着ステージ等の支持具104を用いて第1の金属層101を第1の金型103から図4に示すように取り外す。
【0024】
(ハ)図2に示した第1の金型103とは別途、図5に示すように、導電材料と離型し易い材質又は表面処理が施された第2の金型105を用意する。第2の金型105は、基体150と、基体150の上部に設けられた凹部151〜157とを備える。凹部151〜157は、図1に示した第2の配線パターン121〜127を形成するためのパターンである。第2の金型105は図2に示した第1の金型103と同様に種々の方法で作製可能であるが、 特に微細なサイズが要求される場合には、シード層が形成されたシリコン(Si)基板上にレジストを塗布し、レジストを電子線(EB)、紫外線(UV)又はレーザーを用いて描画・現像してパターニングし、パターニングした凹凸部にニッケル(Ni)や銅(Cu)を用いためっきにより導電材料を充填した後、レジストを除去することにより作製可能である。第2の金型105の表面には、必要に応じて市販のフッ素シランカップリング剤で離型処理をすることができる。
【0025】
(ニ)図6に示すように、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)又はニッケル(Ni)等を用いためっきや銅(Cu)や銀(Ag)のナノペーストを用いた印刷等により、凹部151〜157に導電材料を充填し硬化させる。この結果、第2の金型105上に形成された導電材料からなる支持部120及び凹部151〜157に充填された導電材料からなる第2の配線パターン121〜127を有する第2の金属層102が形成される。なお、導電材料充填条件を最適化することにより支持部120を形成せず第2の配線パターン121〜127のみ形成しても良い。粘着シートや吸着ステージ等の支持具106を用いて第2の金属層102を第2の金型105から図7に示すように取り外す。
【0026】
(ホ)図8に示すように第1の絶縁層100を用意する。第1の絶縁層100としては、例えばエポキシ樹脂等の硬化前の熱硬化性樹脂や液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂が使用可能である。支持具104を用いて第1の金属層101の第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112が形成されている面を第1の絶縁層100の上面と対向させる。また、支持具106を用いて第2の金属層102の第2の配線パターン121〜127が形成されている面を第1の絶縁層100の下面と対向させる。
【0027】
(ヘ)画像認識やピンアライメント等により第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112を対向する第2の配線パターン121〜127と位置合わせする。図9に示すように、軟化する温度まで加熱された第1の絶縁層100の上面から第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112を圧入するとともに、第1の絶縁層100の下面から第2の配線パターン121〜127を圧入し、第1の金属層101、第1の絶縁層100及び第2の金属層102の積層方向に加熱プレスする。本発明の第1の実施の形態では、180℃、10MPaで1時間加熱プレスする。この結果、第1の絶縁層100が熱硬化性樹脂の場合には完全硬化し、熱可塑性樹脂の場合には冷却後に硬化する。また、第1のビア111,112が第1の絶縁層100を貫通し、第2の配線パターン122,126と圧着する。なお、第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111,112の圧入と、第2の配線パターン121〜127の圧入とは同時でなくてもよく、いずれかから順次行っても良い。その後、支持具104,106を第1及び第2の金属層101,102からそれぞれ取り外す。
【0028】
(ト)図10に示すように、第1の金属層101の支持部110及び第2の金属層102の支持部120は余剰部分となるので、研磨又はエッチング等により支持部110,120を除去し、図1に示した配線板10が完成する。なお、図3又は図6に示した導電材料の充填時に条件を最適化することにより支持部110,120をなくし、この研磨又はエッチング工程を省略することもできる。
【0029】
本発明の第1の実施の形態に係る配線板10の製造方法によれば、第1の絶縁層100の両面側から、第1の配線パターン113〜119、第1のビア111,112及び第2の配線パターン121〜127を一括して形成することができるので、容易に配線板10を製造可能となる。
【0030】
更に、通常のレーザービア形成の場合と比較して、配線パターンとビアとの位置合わせが不要となる。
【0031】
更に、絶縁層に金型のパターンを熱やUV工法を用いて直接転写する場合と比較して、第1及び第2の金型103,105の長寿命化を図ることができる。
【0032】
なお、第1及び第2の金型103,105の作製に電子線加工やフェムト秒レーザー加工等の微細工法を用いれば、炭酸ガス(CO2)レーザーや紫外線(UV)レーザー加工法を用いて配線板にパターンを形成する場合に比較して、ビアと配線パターンとの位置精度を向上することができる。
【0033】
また、図4に示すように第1の金属層101を形成した後、スパッタリング等により第1のビア111,112の先端に半田層を形成し、図9に示した加熱プレス時に第1のビア111,112の半田層を溶解させて、第1のビア111,112と第2の配線パターン122,126との間に合金層を形成しても良い。これにより第1のビア111,112と第2の配線パターン122,126との間の接続信頼性を向上することができる。
【0034】

(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る配線板は、図11に示すように、図1に示した配線板(第1の基板)10と、第1の基板10の上面に積層された第2の基板21と、第1の基板10の下面に積層された第3の基板22を備える多層基板である。
【0035】
第2の基板21は、第2の絶縁層201と、第2の絶縁層201の上部に埋設された第3の配線パターン213〜219と、第3の配線パターン214,218と第1の配線パターン114,118とを接続する第2のビア211,212とを備える。第3の配線パターン214,218及び第2のビア211,212は一体として形成されており、第3の配線パターン214,218と第2のビア211,212との間に界面はない。
【0036】
第3の基板22は、第3の絶縁層202と、第3の絶縁層202の下部に埋設された第4の配線パターン223〜229と、第4の配線パターン224,228と第2の配線パターン122,126とを接続する第3のビア221,222とを備える。第4の配線パターン224,228及び第3のビア221,222は一体として形成されており、第4の配線パターン224,228と第3のビア221,222との間に界面はない。
【0037】
本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法の一例を図12〜図14を用いて説明する。
【0038】
(イ)図12に示すように、第1の基板10を用意する。第1の基板10は、図2〜図10に示した工程等により作製することが可能である。第1の基板10の上面及び下面にシート状の第2の絶縁層201及び第3の絶縁層202を重ね合わせ、図13に示すように積層(ラミネート)する。第2及び第3の絶縁層201,202としては、例えばエポキシ樹脂等の硬化前の熱硬化性樹脂や液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂が使用可能であり、第1の絶縁層100の材料と同じ材料を使用しても良く、異なる材料を使用しても良い。
【0039】
(ロ)図14に示すように第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212を有する第1の金属層を用意する。本発明の第2の実施の形態に係る第1の金属層は、図2〜図4に示した第1の金属層101の形成工程と同様の工程により形成することが可能である。本発明の第2の実施の形態に係る第1の金属層は、導電材料充填条件を最適化し、第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212のみを形成し、図4に示した支持部110のような余剰部分を形成していない。図14に示すように支持具203を用いて第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212を第2の絶縁層201の上面に対向させる。更に別途、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222を有する第2の金属層を用意する。第2の金属層は、図2〜図4に示した第1の金属層101の形成工程と同様の工程により形成することが可能である。第2の金属層は、導電材料充填条件を最適化し、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222のみを形成し、図4に示した支持部110のような余剰部分を形成していない。図14に示すように支持具204を用いて第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222を第3の絶縁層202の下面に対向させる。
【0040】
(ハ)画像認識やピンアライメント等により、第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212を対向する第1の配線パターン113〜119と位置合わせし、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222を対向する第2の配線パターン121〜127と位置合わせする。そして、図15に示すように、第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212を軟化する温度まで加熱された第2の絶縁層201に圧入すると同時に、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222を第3の絶縁層202に圧入し、第1の基板10、第2の絶縁層201及び第3の絶縁層202の積層方向に加熱プレスする。この結果、第2の絶縁層201及び第3の絶縁層202が熱硬化性樹脂の場合には完全硬化し、熱可塑性樹脂の場合には冷却後に硬化する。更に、第2のビア211,212が第1の配線パターン114,118と圧着し、第3のビア221,222が第2の配線パターン122,126と圧着する。これにより、第2の基板21及び第3の基板22が第1の基板10に積層して形成される。なお、第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212の圧入と、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222の圧入とは同時でなくてもよく、いずれかから順次行っても良い。その後、支持具203,204を取り外すことにより、図11に示した多層基板が完成する。
【0041】
本発明の第2の実施の形態に係る配線板の製造方法によれば、第1の基板10の両面にそれぞれ積層した第2及び第3の絶縁層201,202に第3の配線パターン213〜219及び第2のビア211,212と、第4の配線パターン223〜229及び第3のビア221,222とを一括して形成することができ、容易に多層基板を製造可能となる。
【0042】
なお、図11には第1〜第3の基板10,21,22からなる多層基板を示したが、第2の基板21の上面又は第3の基板22の下面に更に同様の基板を積層しても良い。また、第1〜第3の基板10,21,22は各層毎に同じ配線パターン形状であっても良く、異なる配線パターン形状であっても良い。
【0043】
また、本発明の第2の実施の形態に係る第1の金属層及び第2の金属層としては、本発明の第1の実施の形態に係る第1の金属層101を用いても良く、第1の金属層101と同じパターン形状又は異なるパターン形状を有する別個のものでも良い。また、本発明の第2の実施の形態に係る第1の金属層及び第2の金属層として、一つの金属層を順次用いても良いし、第1の金属層及び第2の金属層が互いに同じパターン形状又は異なるパターン形状を有する別個のものを用いても良い。
【0044】
また、図14に示した第2のビア211,212及び第3のビア221,222の先端にスパッタリング等により半田層を形成し、図15に示した加熱プレス時に半田層を溶解させて第2のビア211,212と第1の配線パターン114,118との間及び第3のビア221,222と第2の配線パターン122,126との間に合金層をそれぞれ形成しても良い。これにより第2のビア211,212と第1の配線パターン114,118との間及び第3のビア221,222と第2の配線パターン122,126との間の接続信頼性を向上することができる。
【0045】

(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る配線板は、図16に示すように、図1に示した配線板(第1の基板)10の上面に複数(第2〜第4)の基板31〜33が積層された多層基板である。
【0046】
第2の基板31は、第2の絶縁層301と、第2の絶縁層301の上部に埋設された第3の配線パターン313〜319と、第3の配線パターン314,318と第1の配線パターン114,118とを接続する第2のビア311,312とを備える。第3の配線パターン314,318及び第2のビア311,312は一体として形成されており、第3の配線パターン314,318と第2のビア311,312との間に界面はない。
【0047】
第3の基板32は、第3の絶縁層302と、第3の絶縁層302の上部に埋設された第4の配線パターン323〜329と、第4の配線パターン324,328と第3の配線パターン314,318とを接続する第3のビア321,322とを備える。第4の配線パターン324,328及び第3のビア321,322は一体として形成されており、第4の配線パターン324,328と第3のビア321,322との間に界面はない。
【0048】
第4の基板33は、第4の絶縁層303と、第4の絶縁層303の上部に埋設された第5の配線パターン333〜339と、第5の配線パターン334,338と第4の配線パターン324,328とを接続する第4のビア331,332とを備える。第5の配線パターン334,338及び第4のビア331,332は一体として形成されており、第5の配線パターン334,338と第4のビア331,332との間に界面はない。
【0049】
本発明の第3の実施の形態に係る多層基板の製造方法の一例を図17〜図21を用いて説明する。
【0050】
(イ)図17に示すように、第1の基板10を用意する。第1の基板10は、図2〜図10に示した工程等を経ることにより作製することが可能である。第1の基板10上にシート状の第2の絶縁層301を重ね合わせ、図18に示すように積層する。
【0051】
(ロ)図19に示すように第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312を有する金属層を用意する。この金属層は、図2〜図4に示した第1の金属層101の形成工程と同様の工程により形成することが可能である。この金属層は、導電材料充填条件を最適化し、第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312のみを形成し、図4に示した支持部110のような余剰部分を形成していない。図19に示すように支持具300を用いて第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312を第2の絶縁層301の上面に対向させる。
【0052】
(ハ)画像認識やピンアライメント等により、第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312を対向する第1の配線パターン113〜119と位置合わせする。そして、図20に示すように、第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312を軟化する温度まで加熱された第2の絶縁層301に圧入し、第1の基板10及び第2の絶縁層301の積層方向に加熱プレスする。この結果、第2の絶縁層301が熱硬化性樹脂であれば完全硬化し、熱可塑性樹脂であれば冷却後に硬化する。更に、第3の配線パターン313〜319が第2の絶縁層301の上部に埋設され、第2のビア311,312が第1の配線パターン114,118と圧着し、第2の基板31が形成される。その後、支持具300を第3の配線パターン313〜319から図21に示すように取り外す。図17〜図21に示した工程と同様の工程を繰り返すことにより、図21に示した第2の基板31の上面に第3及び第4の基板32,33を順次積層して形成し、図16に示した多層基板が完成する。
【0053】
本発明の第3の実施の形態に係る配線板の製造方法によれば、両面基板である第1の基板10の上面(片面)に積層した第2の絶縁層301に第3の配線パターン313〜319及び第2のビア311,312を一括して形成することができ、容易に多層基板を形成することができる。
【0054】
なお、図16には第1〜第4の基板10,31〜33からなる多層基板を示したが、第4の基板33の上面に更に同様の基板を積層しても良い。また、第1〜第4の基板10,31〜33は各層毎に同じ配線パターン形状であっても良く、異なる配線パターン形状であっても良い。
【0055】

(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0056】
例えば、本発明のその他の実施の形態に係る配線板は、図22に示すように、第1の絶縁層100と、第1の絶縁層100の上部に埋設された第1の配線パターン113〜119と、第1の絶縁層100の下部に埋設された第2の配線パターン121〜127と、第1の配線パターン114,118に接続する第1のビア111x,112xと、第2の配線パターン122,126と第1のビア111x,112xとを接続する第2のビア111y,112yとを備える両面基板である。第1の配線パターン114,118と第1のビア111x,112xとは一体に形成され、第2の配線パターン122,126と第2のビア111y,112yとは一体に形成されている。
【0057】
図22に示した配線板を製造する場合、第1の絶縁層100の上面から第1の配線パターン113〜119及び第1のビア111x,112xを圧入するとともに、第1の絶縁層100の下面から第2の配線パターン121〜127及び第2のビア111y,112yを圧入し、積層方向に加熱プレスする。この結果、第1のビア111x,112xと第2のビア111y,112yとが圧着する。
【0058】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0059】
10…第1の基板(配線板)
21,31…第2の基板
22,32…第3の基板
33…第4の基板
100…第1の絶縁層
101…第1の金属層
102…第2の金属層
103…第1の金型
104,106,203,204,300…支持具
105…第2の金型
110,120…支持部
111,112,111x,112x,111y,112y,211,212,221,222,311,312,321,322,331,332…ビア
113〜119…第1の配線パターン
121〜127…第2の配線パターン
130,150…基体
131,132…穴
133〜139,151〜157…凹部
201,301…第2の絶縁層
202,302…第3の絶縁層
213〜219,313〜319…第3の配線パターン
223〜229,323〜329…第4の配線パターン
303…第4の絶縁層
333〜339…第5の配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上部に埋設され、前記第1の絶縁層の上面と同じ高さの上面を有する第1の配線パターンと、
前記第1の絶縁層の下部に埋設され、前記第1の絶縁層の下面と同じ高さの下面を有する第2の配線パターンと、
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとを接続する第1のビア
とを備えることを特徴とする配線板。
【請求項2】
前記第1の配線パターンと前記第1のビアとが一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線板。
【請求項3】
前記第1の絶縁層の上面に積層された第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の上部に埋設され、前記第2の絶縁層の上面と同じ高さの上面を有する第3の配線パターンと、
前記第3の配線パターンと前記第1の配線パターンとを接続する第2のビア
とを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線板。
【請求項4】
前記第3の配線パターンと前記第2のビアとが一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の配線板。
【請求項5】
第1の配線パターン及び前記第1の配線パターンに接続したビアを有する第1の金属層を形成する工程と、
第2の配線パターンを有する第2の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層の前記第1の配線パターン及び前記ビアが形成された面を第1の絶縁層の上面と対向させ、前記第2の金属層の前記第2の配線パターンが形成された面を前記第1の絶縁層の下面と対向させる工程と、
前記第1の配線パターン及び前記ビアを前記第1の絶縁層の上面に圧入することにより前記第1の絶縁層の上部に前記第1の配線パターンを埋設する工程と、
前記第2の配線パターンを前記第1の絶縁層の下面に圧入することにより前記第1の絶縁層の下部に前記第2の配線パターンを埋設し、且つ前記ビアを前記第2の配線パターンと圧着する工程
とを含むことを特徴とする配線板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の配線パターンを埋設する工程と、前記第2の配線パターンを埋設し且つ前記ビアを前記第2の配線パターンと圧着する工程とが同時に行われることを特徴とする請求項5に記載の配線板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の金属層は、前記第1の配線パターン及び前記ビアを支持する支持部を更に有し、
前記第2の配線パターンを埋設し且つ前記ビアを前記第2の配線パターンと圧着する工程の後に、前記支持部を除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の配線板の製造方法。
【請求項8】
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の上部に埋設された第1の配線パターンと、前記第1の絶縁層の下部に埋設された第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとを接続する第1のビアとを有する第1の基板を用意する工程と、
前記第1の絶縁層の上面及び下面に第2及び第3の絶縁層をそれぞれ積層する工程と、
第3の配線パターン及び前記第3の配線パターンと接続する第2のビアを有する第1の金属層を形成する工程と、
第4の配線パターン及び前記第4の配線パターンと接続する第3のビアを有する第2の金属層を形成する工程と、
前記第1の金属層の前記第3の配線パターン及び前記第2のビアが形成された面と前記第2の絶縁層の上面とを対向させ、前記第2の金属層の前記第4の配線パターン及び前記第3のビアが形成された面と前記第3の絶縁層の下面とを対向させる工程と、
前記第3の配線パターン及び前記第2のビアを前記第2の絶縁層の上面に圧入することにより前記第2の絶縁層の上部に前記第3の配線パターンを埋設し、且つ前記第2のビアを前記第1の配線パターンと圧着させる工程と、
前記第4の配線パターン及び前記第3のビアを前記第3の絶縁層の下面に圧入することにより、前記第3の絶縁層の下部に前記第4の配線パターンを埋設し、且つ前記第3のビアを前記第2の配線パターンと圧着させる工程
とを含むことを特徴とする配線板の製造方法。
【請求項9】
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の上部に埋設された第1の配線パターンと、前記第1の絶縁層の下部に埋設された第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンと第2の配線パターンとを接続する第1のビアとを有する第1の基板を用意する工程と、
前記第1の絶縁層の上面に第2の絶縁層を積層する工程と、
第3の配線パターン及び前記第3の配線パターンと接続する第2のビアを有する金属層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層の上面と、前記金属層の前記第3の配線パターン及び前記第2のビアが形成された面とを対向させる工程と、
前記第3の配線パターン及び前記第2のビアを前記第2の絶縁層の上面に圧入することにより前記第2の絶縁層の上部に前記第3の配線パターンを埋設し、且つ前記第2のビアを前記第1の配線パターンと圧着させる工程
とを含むことを特徴とする配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−159883(P2011−159883A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21590(P2010−21590)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】