説明

酸性モノアゾ染料

本出願では、式(I)の新規な染料が開示されている(全ての置換基は、特許請求の範囲に規定されている)。これらの染料は、基材、特に紡織繊維材料、紙及び紙様の基材及びプラスチックフィルム及び透明プラスチックを印刷又は染色するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物と、インクジェット印刷法による、記録材料、特に、紙又は紙様の基材、紡織繊維材料、プラスチックフィルム及び透明プラスチック(plastic taransparency)を印刷するための染料としての上記化合物及び/又はそれらの混合物の使用と、それらによって印刷された記録材料とに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷法は、産業用途向けに、ますます重要になりつつある。
【0003】
インクジェット印刷法は、公知である。以下において、インクジェット印刷の原理を、非常に簡潔にのみ論じる。この技術の詳細については、例えば、「Chemistry and Technology of Printing and Imaging Systems」のR.W.KenyonのInk−Jet−Printing section、Peter Gregory(編集者)の「Blackie Academic&Professional,Chapmann&Hall 1996,pages113−138」、及び本明細書で引用されるリファレンスに記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
つい最近開発された微孔性及び多孔質の表面を含むインクジェット用インク受け入れ層と共に、耐酸化性染料に対する要求がさらに大きくなってきている。本発明の染料によって解決される課題は、耐酸化性染料を提供することであり、特に、耐オゾン性を増すことである。これらの課題は、本発明に従う染料を提供することで解決される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の式(I):
【化1】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H,−CN又はSO2NHR6であり、
ここで、R6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
の染料を、遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物として提供する。
【0006】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物として、好ましい式(I)の化合物は、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである、
ことを特徴とする。
【0007】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物として、式(I)に従う好ましい化合物は、次の式(Ia):
【化2】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
を有する。
【0008】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物として、式(I)に従うさらに好ましい化合物は、次の式(Ib):
【化3】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
を有する。
【0009】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、繊維反応性基、又はそれらが適用される基材に対する反応性基を有しないことが好ましい。
【0010】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の好ましい化合物は、置換基R3及びR4が、N原子に加えて、ヘテロ原子1個を含む5又は6員環を共に形成し、当該複素間は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されている。好ましくは、追加のヘテロ原子は、O又はN原子であり、さらに好ましくは、O原子である。好ましくは、この環は6員環である。好ましくは、追加のヘテロ原子は、O原子である。−NR34において、置換基R3及びR4が5又は6員環を共に形成する化合物は、モルホリノ基であることが好ましい。
【0011】
式(I)、(Ia)又は(Ib)のさらに好ましい化合物では、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルである。
【0012】
置換されたフェニル又はナフチル(naphtyl)は、−SO3H、−COOH、−OH、アルキル又はアルコキシによって置換されたフェニル基又はナフチル基を意味する。これらのアルキル又はアルコキシ基は、−SO3H、−COOH、−OHによって、さらに置換されていてもよいC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシであることが好ましい。アルキル基は、メチル又はエチルであることが好ましい。アルコキシ基は、メトキシ又はエトキシであることが好ましい。
置換されたアルキルは、−OH、−COOH、−NH2、−NHアルキル、−N(アルキル)2、−SO3H、−O−アルキルから選択される基によってさらに置換されているアルキル基を表す。アルキル基はまた、分岐していてもよい。
【0013】
脱プロトン性(deprotonable)基(−COOH又は−SO3H基等)はまた、塩形態(−COOM又は−SO3M等)であってもよい。これらの脱プロトン性基のプロトンの一部のみを中和されることも可能である。さらに、いくつかの異なるカチオンが存在して、染料が、混合塩の形態であってもよい。
好適なカチオン「M」は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム又はアルキルアンモニウムカチオンである。対応するカチオンの例は、ナトリウム、リチウム又はアンモニウム又はモノ−、ジ−若しくはトリエタノールアンモニウムカチオンである。
【0014】
上記カチオンの例は、アルカリ金属カチオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、並びにアンモニウムカチオン、又は置換されたアンモニウムカチオン、例えば、モノ−、ジ−、トリ−及びテトラメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、並びにモノ−、ジ−、及びトリエタノールアンモニウムである。好ましいカチオンは、アルカリ金属カチオン及びアンモニウムカチオンであり、そしてナトリウムカチオンが最も好ましい。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、式(I)の化合物の調製であり、
第一段階では、次の式(II):
【化4】

(式中、全ての基は、前出の通りである)
の化合物を、次の式(III):
【化5】

の化合物と反応させることを特徴とする。
【0016】
この反応により、次の式(IV):
【化6】

に従う化合物を生成させる。
【0017】
第二の段階では、上記式(IV)の生成物を、式HX1(式中、X1は、前出の通りである)の化合物の一部と反応させ、次の式(V):
【化7】

の化合物を生成させる。
【0018】
第三の段階では、上記式(V)の化合物を、式HX2(式中、X2は、前出の通りである)の化合物と縮合させ、次の式(VI):
【化8】

(式中、R1及びR2は、前出の通りである)
の化合物を生成させる。
【0019】
最終段階では、式(VI)の化合物を、次の式(VII):
【化9】

の化合物のジアゾニウム塩とカップリングさせ、次の式(I):
【化10】

(式中、全ての置換基は、前出の通りである)
の染料を生成させる。
【0020】
式(VII)の化合物のジアゾニウム塩は、下記式(VIIa)の化合物か、又は下記次の式(VIIb):
【化11】

の化合物のいずれかを表している。
【0021】
上記化合物の生成手順では、式(II)の当初化合物は、公知の方法、例えば、3−ニトロ−ベンゾイルクロリドを、H酸と縮合させ、次に還元させて合成できる。
【0022】
上述の反応の第一段階では、温度は0℃〜40℃、好ましくは0℃〜25℃の範囲であり、そしてpHは、2〜6、好ましくは3〜5の範囲である。上述の反応の第二段階では、反応温度は、20〜70℃、好ましくは30〜60℃の範囲であり、そしてpHは、3〜9、好ましくは5〜8の範囲である。上述の反応の第三段階では、反応温度は、40〜95℃、好ましくは40〜85℃の範囲であり、そしてpHは、5〜10、好ましくは6〜9の範囲である。
【0023】
3アルキル又はC3アルキレンから出発する任意のアルキル又はアルキレン基は、直鎖又は分岐鎖であることができる。C3アルコキシから出発する任意のアルコキシ基は、直鎖又は分岐鎖であることができる。
塩形成に有用なカチオンには、特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、並びにアンモニウムカチオンが含まれる。上記カチオンの例は、アルカリ金属カチオン、例えば、カリウム、リチウム又はナトリウムイオンと、アンモニウムカチオン、例えば、モノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラメチルアンモニウムカチオン又はモノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラエチルアンモニウムカチオン又はモノ−、ジ−若しくはトリエタノールアンモニウムカチオンとである。上記カチオンは、同一又は異なってもよい。すなわち、上記化合物は、混合塩の形態であることができる。
【0024】
本発明に従う染料を、単独で用いることができ、あるいは他の染料又は染料混合物のシェードをつけるために用いることができる。本発明に従う化合物(I)は、他の着色剤、ひいては本発明に従う着色剤と混合し、所望の色相に正確にマッチさせることができる。原則として、この目的において、本発明に従う化合物と相溶する他の任意の着色剤を、用いることができる。
【0025】
一方、本発明に従う式(I)を有する化合物それ自体を、他の着色剤のシェードをつけるために、シェーディング(shading)成分として用いることができる。
本発明に従う混合物それ自体を、シェーディング成分として用い、そして相溶する他の染料混合物と混合させ、所望のシェードを達成させることができる。
染料を混合物にブレンドさせる代わりに、下記のインクとして調製することができ、そして異なるシェードのこれらのインクを混合させ、所望のカラーを得ることができる。
【0026】
上記染料をまた、液状組成物に配合することができる。染料溶液を、セルロースアセテート膜又はポリベンズイミダゾロン膜(PBIL)等の分離膜に通すことで、染料溶液を脱塩及び濃縮させることにより、安定な液状組成物を得ることができる。
【0027】
あるいは、アミン、特に、モノ−、ジ−若しくはトリアルカノールアミン又はポリエトキシレート化アミンと混合させることにより、安定な溶液を生成させることができる。通常、それらのポリエトキシレート化アミンは、エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシド又はそれらの混合物を、モノ−、ジ−若しくはトリアルカノールアミン又はポリアミンのアルカノール誘導体と反応させて生成させることができる。
【0028】
本発明に従う染料はまた、印刷向けに、単独で用いることができる。従って、一定の場合、例えば、シェードが既に適切な場合には、シェーディング染料は必要ない。
【0029】
この混合物中に存在するシェーディング着色剤の量は、達成すべきシェードによって決まる。
例えば、シェードを付与した染料混合物は、下記;
50〜99質量%の、少なくとも1種の式(I)に従う化合物;及び
1〜50質量%の、少なくとも1種の、式(I)に従う化合物ではないが、下記に列挙及び記載されるようなシェーディング成分として記載される化合物:
を含むことができる。
【0030】
好ましくは、上記シェーディング成分は、乾燥染料混合物の総質量に基づいて、0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%の量で存在する。
例えば、上記シェーディング着色剤は、C.I.Direct Red 1,11,37,62,75,81,87,89,95,227;C.I.Acid Red 115,131,144,152,186,245、C.I.Pigment Red 122,176,184,185及び269から成る群から(特に)選択されうる。
【0031】
好ましい混合物では、式(I)に従う化合物は、C.I.(Colour Index)Acid Red 50、C.I.Acid Red 51、C.I.Acid Red 52、C.I.Acid Red 87、C.I.Acid Red 91、C.I.Acid Red 92、C.I.AcidRed 93、C.I.Acid Red 94、C.I.Acid Red 95、C.I.Acid Red 98及びC.I.Acid Red 289から選択される少なくとも一種の化合物と混合される。
【0032】
さらに好ましい混合物では、式(I)に従う化合物は、C.I.Acid Red 1、C.I.Acid Red 33、C.I.Acid Red 35、C.I.Acid Red 40、C.I.Acid Red 76、C.I.Acid Red 106、C.I.Acid Red 138、C.I.Acid Red 155、C.I.Acid Red 160、C.I.Acid Red 172、C.I.Acid Red 249、C.I.Acid Red 264及びC.I.Acid Red 265から選択される少なくとも一種の化合物と混合される。
【0033】
さらに好ましい混合物では、式(I)に従う化合物は、C.I.Acid Red 15、C.I.Acid Red 19、C.I.Acid Red 29、C.I.Acid Red 60、C.I.Acid Red 68、C.I.Acid Red 154及びC.I.Acid Red 176から選択される少なくとも一種の化合物と混合される。
【0034】
さらに好ましい混合物では、式(I)に従う化合物は、C.I.Acid Red 30、C.I.Acid Red 34、C.I.Acid Red 37、C.I.Acid Red 42、C.I.Acid Red 54、C.I.Acid Red 57、C.I.Acid Red 231、C.I.Acid Red 266、C.I.Acid Red 301及びC.I.Acid Red 337から選択される少なくとも一種の化合物と混合される。
【0035】
特に好ましい混合物には、式(I)に従う化合物と、次の式:
【化12】

をそれぞれ有するC.I.Acid Red 52及び/又はC.I.Acid Red 289とが含まれる。
【0036】
本発明に従うインクジェット印刷組成物において、追加の染料無しで、染料(I)を用いることができる。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、インクジェット印刷法による、記録材料、好ましくは、紙又は紙様の基材、紡織繊維材料、プラスチックフィルム及び透明プラスチックを印刷するための組成物に関するものであり、下記;
1)上記式(I)の染料;及び
2)水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物を含む媒体:
を含む。
上記インクジェット印刷組成物は、随意選択的に、さらなる添加剤を含むことができる。
【0038】
本発明のさらなる実施形態は、記録材料、好ましくは、紙又は紙様の基材、紡織繊維材料、プラスチックフィルム及び透明プラスチックを印刷するためのインクジェット印刷組成物に関するものであり、下記;
1)上記の染料混合物;及び
2)水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物を含む媒体:
を含む。
上記インクジェット印刷組成物は、随意選択的に、さらなる添加剤を含むことができる。
【0039】
本発明のさらなる実施形態は、インクジェット印刷法に関する上述の組成物の使用に関するものである。
イエロー、マゼンタ又はシアンインクと協働して、少なくとも一つのノズルをさらに配置させることで、高品質のカラー再現性を得ることができる。この方法は、多色印刷として、あるいは、3色成分が用いられる場合には、3色印刷として知られている。
【0040】
本発明の染料及び組成物は、全ての公知の、あるいは、紙又は紙様の基材、紡織繊維材料、プラスチックフィルム及び透明プラスチック用の好適なインクジェットプリンターと共に用いることができる。これは、単色印刷だけでなく、多色印刷、特に3色印刷における使用に適用される。
【0041】
上記インクジェット印刷法向けのインク組成物は、インクジェット用インクの特定の要件に適合させるため、好適な導電率を有し、そして貯蔵、粘度及び表面張力の変化があってはならない。さらに、上記記録材料上の印刷は、良好な特性及び耐久性を有しなければならない。
【0042】
上述の有用な記録材料は、紙及び紙様の基材、紡織繊維材料、プラスチックフィルム並びに透明プラスチックであることが好ましい。しかし、同様に、ガラス及び金属を用いることができる。
【0043】
有用な紙又は紙様の基材には、全ての公知の材料が含まれる。少なくとも一面に、特に、インク組成物を受け入れる材料がコーティングされている紙又は紙様の基材が好ましい。上記紙又は紙様の材料は、特に、独国特許第3018342号明細書、同第4446551号明細書、欧州特許第164196号明細書及び同第875393号明細書に記載されている。
【0044】
有用な紡織繊維材料は、特に、ヒドロキシル含有繊維材料である。セルロースから成る又はセルロースを含むセルロース系繊維材料が好ましい。例えば、天然繊維材料、例えば、綿、リネン又は麻と、再生繊維材料、例えば、ビスコースレーヨン及びリヨセルとが挙げられる。
【0045】
有用なプラスチックフィルム又は透明プラスチックには、公知の材料全てが含まれる。少なくとも一面に、特に、インク組成物を受け入れる材料がコーティングされているプラスチックフィルム又は透明プラスチックが好ましい。上記プラスチックフィルム又は透明プラスチックは、特に、欧州特許第755332号明細書、米国特許第4935307号明細書、同第4956230号明細書、同第5134198号明細書及び同第5219928号明細書に記載されている。
【0046】
上記染料又はインク組成物を受け入れる可能性がさらにあり、かつ有用であるインクジェット記録成分には、微小孔性のポリマー粒子若しくは多孔質のポリマー粒子、又は微小孔性の無機粒子若しくは多孔質の無機粒子をその上に有する上記支持体が含まれる。上記粒子は、ポリマーのバインダーによって緊密に保持されている。
【0047】
上記インク中で用いられる式(I)の染料は、塩が少ないことが好ましい。すなわち、上記染料の質量に基づいて、0.5質量%未満の総塩含有率を有する。より高い塩含有率を有する染料(染料の調製及び/又は次の増量剤の添加に起因する)を、例えば、限外ろ過、逆浸透又は透析等の膜分離法の手段で脱塩できる。
【0048】
上記インクは、インクの総質量に基づいて、0.5〜35質量%の範囲、好ましくは、1〜35質量%の範囲、さらに好ましくは、2〜30質量%の範囲、最も好ましくは、2.5〜20質量%の範囲にある染料の総量を含むことが好ましい。
【0049】
上記インクは、99.5〜65質量%、好ましくは99〜65質量%、さらに好ましくは98〜70質量%、最も好ましくは97.5〜80質量%の上述の媒体2)を含み、そこには、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物が含まれる。
【0050】
上記媒体2)が、水と、有機溶媒又は無水の有機溶媒とを含む混合物である場合、式(I)の化合物を少なくとも1種含む染料混合物は、この媒体中に完全に溶解されることが好ましい。
式(I)の化合物を少なくとも1種含む染料混合物は、20℃において、この媒体(2)中に2.5質量%以上の溶解性を有することが好ましい。
【0051】
本発明のインク組成物が、印刷紙又は紙様の基材に用いられる場合、上記インクは、下記の組成物と共に用いられることが好ましい。上記媒体が、水と有機溶媒との混合物である場合、水:有機溶媒の質量比は、好ましくは、99:1〜1:99の範囲、さらに好ましくは99:1〜50:50の範囲、特に好ましくは95:5〜80:20の範囲である。
【0052】
水との混合物中に含まれる有機溶媒は、水溶性溶媒又は種々の水溶性溶媒の混合物であることが好ましい。好ましい水溶性有機溶媒は、C1〜6アルコール、好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;直鎖のアミド、好ましくはジメチルホルムアミド、又はジメチルアセトアミド;ケトン及びケトアルコール、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性のエーテル、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール、好ましくは、2〜12個の炭素原子を有するジオール、例えば、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ−及びポリアルキレングリコール、好ましくは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセロール及び1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1〜4アルキルエーテル、好ましくは、2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1〜4アルキルエーテル、特に好ましくは、2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、KAO Corp.のEmulgen66(Emulgenは、KAO Corp.の商標である));アルカノールアミン、好ましくは、2−ジエチルアミン−1−エタノール、3−ジメチルアミン−1−プロパノール、3−ジエチルアミン−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エタノール、モノ−、ジ−、トリエタノールアミン、モノグリコールアミン及びポリグリコールアミン(独国特許第2061760号明細書に記載されるように、アンモニア、アルキル−又はヒドロキシアルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、モノ−、ジ−及びトリエタノールアミンを、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド又は2,3−ブチレンオキシドと、好適な比率で反応させることにより得られる。)、好ましくはジエチレングリコールアミン、トリエチレングリコールアミン、ビス−ジエチレングリコールアミン、ポリオキシエチレン−(6)−トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン−(9)−トリエタノールアミン、o−(2−アミノエチル)−ポリエチレングリコール750、o,o−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール500、800、1900、2000、o,o’−ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール1500、環状アミド、好ましくは、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシ)エチル−2−ピロリドン、カプロラクタム及び1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、好ましくは、カプロラクトン;スルホキシド、好ましくは、ジメチルスルホキシド及びスルホランである。
【0053】
好ましい組成物には、2)による媒体には、水と、少なくとも2種又は3種以上、さらに好ましくは、2〜8種の水溶性有機溶媒とが含まれる。
【0054】
特に好ましい水溶性溶媒は、環状アミド、特に、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及びN−エチル−2−ピロリドン;N−(2−ヒドロキシ)エチル−2−ピロリドン、C1〜6アルコール、好ましくは、n−プロパノール、シクロヘキサノール、ジオール、好ましくは、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び1,2−プロピレングリコール、トリオール、好ましくは、グリセロール;及びジオールのモノ−C1〜4アルキル及びC1〜4アルキルエーテル、さらに好ましくは、2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1〜4アルキルエーテル、特に好ましくは、2−[2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ]−エタノール、ジエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル(例えば、KAO Corp.のEmulgen66(Emulgenは、KAO Corp.の商標である))、2−ジエチルアミン−1−エタノール、3−ジメチルアミン−1−プロパノール、3−ジエチルアミン−1−プロパノール、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)−エタノール、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールアミン、ポリグリコールアミン、好ましくは、ポリオキシエチレン−(6)−トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン−(9)−トリエタノールアミン、o−(2−アミノエチル)−ポリエチレン750、o,o−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレン500及びo,o−ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール1500である。
【0055】
2)による媒体には;
(a)75〜95質量部の水;及び
(b)25〜5質量部の、1種又は複数種の水溶性溶媒:
ここで、上記「部数」は、質量部であり、そして(a)及び(b)の「部数」の合計は100である、
が含まれることが好ましい。
【0056】
水と、1種又は複数種の有機溶媒とを含むさらに有用なインク組成物の例は、米国特許第4963189号明細書、同4703113号明細書、同4626284号明細書、及び欧州特許第425150号明細書に記載されている。
【0057】
2)による媒体が、無水(すなわち、1質量%未満の水)の有機溶媒を含む場合、この溶媒は、30〜200℃、さらに好ましくは、40〜150℃、特に好ましくは、50〜125℃の沸点を有することができる。
上記有機溶媒は、水不溶性、水溶性又は上記溶媒の混合物であることができる。
【0058】
好ましい水溶性有機溶媒は、上記の全ての水溶性有機溶媒及びそれらの混合物である。
好ましい水不溶性の溶媒には、とりわけ、脂肪族炭化水素;エステル、好ましくは、エチルアセテート;塩素化炭化水素、好ましくは、CH2Cl2;及びエーテル、好ましくはジエチルエーテル;及びそれらの混合物が含まれる。
【0059】
2)による液状媒体が、水不溶性の有機溶媒を含む場合、上記染料の溶解性を増すために、当該液状媒体に、極性溶媒を添加することが好ましい。
上記極性溶媒の例は、C1〜4アルコール、好ましくは、エタノール又はプロパノール;ケトン、好ましくは、メチルエチルケトンである。
【0060】
上記無水の有機溶媒は、単一溶媒又は2種若しくは3種以上の異なる溶媒の混合物から成ってもよい。
上記無水の有機溶媒が、異なる溶媒の混合物である場合、2〜5種の異なる無水溶媒を含む混合物が好ましい。これにより、乾燥特性と、貯蔵における上記インク組成物の安定性とを良好に制御可能な、2)による媒体を提供することができる。
【0061】
無水の有機溶媒又はそれらの混合物を含むインク組成物は、迅速な乾燥時間が必要とされる場合、そして特に、疎水性及び非吸着性の基材(プラスチック、金属及びガラス等)上の印刷に用いられる場合に、特に関心がある。
低融点媒体は、60〜125℃の融点を有することが好ましい。有用な低融点固体には、長鎖脂肪酸又はアルコール、好ましくは、C18〜24炭素鎖を有する長鎖脂肪酸又はアルコール、及びスルホンアミドが含まれる。
【0062】
本発明のインク組成物は、インクジェット用インクに通常用いられるさらなる成分、例えば、増粘剤、表面張力改良剤、殺生剤、腐食防止剤、レベリング剤、乾燥剤、湿潤剤(humefactant)、インク浸透添加剤(ink penetration additive)、光安定剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、凝固抑制剤、イオン性又は非イオン性界面活性剤、導電性塩及びpH緩衝剤を、助剤としてさらに含むことができる。
【0063】
これらの助剤は、0〜5質量%の量で添加されることが好ましい。
本発明のインク組成物内の沈殿を防ぐために、用いられる染料は、精製され、純粋でなければならない。上記精製は、公知の精製法を用いてなされうる。
紡織繊維材料を印刷する場合、有用な添加剤、並びに溶媒には、水溶性の非イオン性セルロースエーテル又はアルギネートが含まれる。
【0064】
好ましい材料は紙である。この紙は、そのままでもよいし、あるいは処理されていてもよい。
1〜40mPa・s、特に5〜40mPa・s、好ましくは10〜40mPa・sの粘度を有するインク組成物が好ましい。10〜35mPa・sの粘度を有するインク組成物が、特に好ましい。
【0065】
15〜73mN/m、特に20〜65mN/m、特に好ましくは30〜50mN/mの表面張力を有するインク組成物が好ましい。
0.1〜100mS/cm、特に0.5〜70mS/cm、特に好ましくは1.0〜60mS/cmの導電率を有するインク組成物が好ましい。
【0066】
上記インクは、緩衝物質、例えば、ホウ砂、ボラート又はシトレートをさらに含むことができる。例えば、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。
それらは、pHを、例えば、5〜9、特に6〜8に合わせるため、インクの総量に基づいて、0.1〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%の量で、特に用いられる。アルギナチック(alginatic)インクの場合には、シトレート緩衝剤が好ましい。
【0067】
上記インクには、慣用の添加剤、例えば、泡抑制剤、あるいは、特に菌及び/又はバクテリア成長抑制剤をさらに含ませることができる。これらは、習慣的に、インクの総質量に基づいて、0.01〜1質量%の量で用いられている。
上記印刷インク及び染料混合物は、少なくとも式(I)の化合物を含む。
【0068】
本発明の方法によって得ることができる印刷物は、良好な一般耐久性、非常に良好な耐オゾン性、非常に良好な耐光性を有し、そして輪郭(contour)がはっきりし、そして色が濃い。上記インクは、光学濃度の高い印刷物を提供する。本発明に従う染料を用いて、良好な耐オゾン性及び耐光性と共に、特に良好な明度が得られる。
【0069】
用いられる印刷インクは、安定性及び粘度特性が非常に良好である。本発明の記録流体は、インクジェット工程に好適な範囲内にある粘度及び表面張力値を有する。印刷の際に高いせん断力が生じた場合でも、上記粘度は、実質的に変化しない。
本発明に従う記録流体は、貯蔵において、ぼやけた(fuzzy)印刷又はノズル目詰まりを起こす沈殿物を形成する傾向はない。
【0070】
本発明のさらなる態様は、3色印刷における上記印刷インクの使用である。3色印刷は、全ての記録材料に関して、非常に大きな用途である。この印刷形態は、通常、イエロー、レッド及びブルーのインク組成物を用いて実施される。さらに、本発明のマゼンタ染料混合物を、ブラック、イエロー及び/又はシアン記録流体と組み合わせたインクセットとして用いることができる。
【0071】
本発明は、本発明に従う組成物を用いて印刷された記録材料をさらに提供する。
【0072】
本発明に従う化合物は、カチオン性の可染性材料、例えば、アクリロニトリルの単一又は混合ポリマー、酸変性ポリエステル又はポリアミド;羊毛;低親和性植物なめし皮含有皮革;綿;靱皮繊維、例えば、麻、亜麻、サイザル麻、ジュート、コイア及びわら;再生セルロース繊維、ガラス又はガラス繊維含有ガラス生成物;及びセルロース含有基材、例えば、紙及び綿を染色するために用いられうる。それらはまた、公知の方法に従って、上述の材料を含む、繊維、フィラメント及びテキスタイルを印刷するために用いられうる。本発明の1種又は複数種の化合物を含む好適な印刷ペーストを、印刷されるべき材料に浸透させ、印刷を実施できる。用いられる印刷ペーストの種類は、印刷されるべき材料によって変わりうる。市販の印刷ペーストの選択又は好適なペーストの生産は、当業者にとってありきたりのことである。あるいは、既に記載されたように、本発明の化合物を、上記で説明されるような一般法に従って、例えば、ジェット印刷用に好適なインクの調製に用いることができる。
【0073】
さらに、上記染料を、紙、例えば、標準サイズ若しくは標準サイズ以外、非木材紙若しくは木材含有紙、又は紙ベース製品(厚紙等)の染色又は印刷用に用いることができる。それらを、ストックにおける連続染色、サイズプレスにおける染色、一般的なディッピング、又は印刷(surface printing)工程内で用いることができる。紙の染色及び印刷は、公知の方法で実施される。
上記染色物及び印刷物、そして特に紙の上で得られる上記染色物及び印刷物は、良好な耐久特性を示す。
【0074】
本発明に従う化合物を用いて作製された紙染色物又は紙印刷物は、透明感があり、そして鮮明であり、そして耐光性が良好である。長時間光に曝露すると、上記染色のシェードが、トーンイントーン(tone in tone)で薄くなる。それらは、非常に良好な耐ウェット特性を示し、水、ミルク、果汁、甘いミネラルウォーター、トニック水、石けん及び塩化ナトリウム溶液、小便等に対して変色しない。さらに、それらは、良好な耐アルコール特性を有する。耐ウェット特性は、同様の特性を示す公知の染料と比較して、改良がなされている。それらは、両面性に関する傾向を示さない。耐オゾン性が非常に良好であることに言及することが重要である。
【0075】
本発明の化合物を用いて染色又は印刷した紙は、酸化的又は還元的のいずれかで漂白することができる。この特色は、紙くず及び古紙製品の再利用に関して重要である。
【0076】
本発明の化合物をまた、木材パルプを含む紙を染色するために用いることができ、良好な耐久特性を有する染色物が得られる。さらに、公知の方法に従い、コート紙の製造用にそれらを用いることができる。コーティングの際、片面コート紙を得るために、好適な充填剤(カオリン等)を用いることが好ましい。
【0077】
さらに、本発明の染料混合物は、電子写真トナー及び現像剤における着色剤(1及び2成分粉末トナー、磁性トナー、液体トナー、重合トナー、及び他の特殊トナー等)として有用である。
【0078】
典型的なトナーバインダーは、付加重合、重付加及び重縮合樹脂、例えば、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル、フェノール系及びエポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタン、並びにポリエチレン及びポリプロピレン(個々に又は組み合わせて)であり、さらなる成分、例えば、電荷制御剤、ワックス、又はフロー剤を存在させるか、あるいは、続いて添加することができる。本発明に従う染料混合物は、粉末及び粉末コーティング材料、特に、摩擦電気的に又は静電気的にスプレーされた粉末コーティング材料における着色剤としてさらに有用であり、それらは、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙又はゴム等から製造された製品の表面をコートするために用いられる。用いられる粉末コーティング樹脂は、典型的には、慣用の硬化剤を用いる、エポキシ樹脂、カルボキシル及びヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びアクリル樹脂である。樹脂の組み合わせもまた、用いることができる。例えば、エポキシ樹脂は、カルボキシル及びヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合わせて用いられることが多い。
【0079】
本発明の染料混合物はまた、カラーフィルター用、添加剤用、並びに減法混色の原色生成用の着色剤として(P.Gregory「Topics in Applied Chemistry:High Technology Applications of Organic Colorants」Plenum Press,New York 1991,page15−25)、そして電子新聞用の電子インキ中の着色剤として有用である。
【実施例】
【0080】
本明細書の以下の例は、本発明を具体的に説明するものである。特に明記しない限り、温度は摂氏温度であり;「部」及び「%」は質量部及び質量%である。
【0081】
インク組成物例
本発明に従うインク組成物は、下記;
0.5〜35部の式(I)の化合物;
65〜99.5部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;及び
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことが好ましい。
【0082】
本発明に従うインク組成物は、下記;
1〜20部の式(I)の化合物;
80〜99部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;及び
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことがさらに好ましい。
【0083】
本発明に従うインク組成物は、下記;
1〜5部の式(I)の化合物;
95〜99部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;及び
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことが特に好ましい。
【0084】
本発明に従うインク組成物は、下記;
0.5〜35部の、少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくとも1種のC.I.Acid Red 52又はC.I.Acid Red 289とを含む染料混合物、及び
65〜99.5部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;並びに
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことがさらに好ましい。
【0085】
本発明に従うインク組成物は、下記;
1〜20部の、少なくとも1種の式(I)の化合物と、すくなくとも1種のC.I.Acid Red 52又はC.I.Acid Red 289とを含む染料混合物;及び
80〜99部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;並びに
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことが特に好ましい。
【0086】
本発明に従うインク組成物は、下記;
1〜5部の、少なくとも1種の式(I)の化合物と、すくなくとも1種のC.I.Acid Red 52又はC.I.Acid Red 289とを含む染料混合物;及び
95〜99部の水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物とを含む媒体;並びに
0〜5部の随意選択的な1種又は複数種の添加剤:
を含むことがさらに好ましい。
【0087】
本発明に従う上述の組成物の全ての部数の合計は、100部である。
上述の組成物を、上記媒体を30〜40℃に加熱し、次いで、式(I)の化合物の染料、又は少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくともC.I.Acid Red 52又はC.I.Acid Red 289とを含む染料混合物を添加して調製することが好ましい。次いで、上記組成物を、室温まで冷却する。
【0088】
このインク組成物を、紙又は紙様の基材を印刷するために用いることが好ましい。
下記例は、本発明をさらに具体的に説明するものであって、これらの例に保護の範囲を制限するものではない。例において、特に示されない限り、温度は摂氏温度であり;全ての「部数」及び全ての「%」は、質量部及び質量%である。
【0089】
例1
a)1−(3’−アミノベンゾイルアミノ)−8−ヒドロキシのナフタリン−3,6−ジスルホン酸の、シアヌルクロリドとの縮合
220gの1−(3’−アミノベンゾイルアミノ)−8−ヒドロキシナフタリン−3,6−ジスルホン酸を、水酸化ナトリウムを用いて水に溶解させた。この溶液を、氷/水混合液中で、92.2gのシアヌルクロリドに添加し、水酸化ナトリウムを添加して、pHを3に保った。
この反応が終了した後、次の式(VIII):
【化13】

の化合物を得た。
【0090】
b)化合物(VIII)の、アントラニル酸との縮合
68.6gのアントラニル酸を、水酸化ナトリウムを用いて水に溶解させ、そして化合物(VIII)の溶液に添加した。温度を45〜47℃に上げ、そしてpHを7に保った。
この反応の終了後、式(IX)の化合物を得た。当該化合物を、塩化ナトリウムを用いた沈殿で分離した。
【0091】
【化14】

【0092】
c)化合物(IX)の、3−メルカプト−l−プロパンスルホン酸との縮合
562.5gの化合物(IX)のプレスケーキを水に溶解させ、そして86.5gの3−メルカプト−l−プロパンスルホン酸を添加した。温度を60℃に上げ、そしてpHを7.5〜8.0に保った。
5時間後、次の式(X):
【化15】

の化合物を塩析し、そしてろ過した。
【0093】
d)2−アミノ−1−カルボキシベンゼン−5−スルホン酸のジアゾ化及びカップリング
水中の100gの2−アミノ−1−カルボキシベンゼン−5−スルホン酸を、0〜5℃でジアゾ化し、次いで、水中の600gの化合物(X)のプレスケーキの溶液に添加し、水酸化ナトリウムを添加して、pHを7に保った。
このカップリングの終了後、次の式(XI):
【化16】

の染料を塩析し、そしてろ過した。
【0094】
上記プレスケーキを、塩性溶液で洗浄し、次いで水に溶解させた。上記溶液を、25〜50℃の温度、及び10〜30barの圧力において、メンブランフィルターを用いて脱塩した。濃縮及び乾燥の後、545.3nmのλmax(室温において、2wt‰の酢酸ナトリウム水溶液中で測定された)濃いレッドの粉末を得た。
【0095】
例2
a)化合物(VIII)の、2−アミノ−1−ヒドロキシベンゼン−4−スルホン酸との縮合
例1で製造されたように、95gの2−アミノ−1−ヒドロキシベンゼン−4−スルホン酸を、水酸化ナトリウムを用いて水に溶解させ、そして化合物(VIII)の溶液に添加した。温度を30〜35℃に上げ、pHを5に保った。
この反応が終了した後、次の式(XII):
【化17】

の化合物を得た。
【0096】
b)化合物(XII)の、N−メチル−タウリンとの縮合
600gの化合物(XII)のプレスケーキを水に溶解させ、そして70gのN−メチル−タウリンを添加した。温度を40〜50℃に上げ、そしてpHを8〜8.5に保った。
次の式(XIII):
【化18】

の化合物を得た。
【0097】
d)4−アミノ−1−メチルベンゼン−3−スルホン酸のジアゾ化及びカップリング
水中の88gの4−アミノ−1−メチルベンゼン−3−スルホン酸を、0〜5℃でジアゾ化し、次いで、水中の580gの化合物(XIII)のプレスケーキの溶液に添加し、水酸化ナトリウムを添加して、pHを6〜7に保った。このカップリングの終了後、式(XIV)の染料を塩析し、そしてろ過した。次のメンブランフィルター(25〜50℃の温度及び10〜30バールの圧力)及び乾燥によって、濃いレッド粉末がもたらされた。
次の式(XIV):
【化19】

の、545.7nmのλmax(2wt‰の酢酸ナトリウム水溶液中で、室温で測定)を有する染料が得られた。
【0098】
例3
a)N−メチル−タウリンの、化合物(IX)との縮合
138gの、式(IX)の化合物から成る、湿気を含むプレスケーキを、500mlの水に添加した。17.1gのN−メチル−タウリンを添加し、そして温度を60〜65℃に上げ、そしてpH値を8〜8.5に保った。
2時間後、次の式(XV):
【化20】

の化合物を得た。
この生成物を塩析し、そしてろ過した。
【0099】
d)2−ナフチルアミン−1,5−ジスルホン酸のジアゾ化及び化合物(XV)とのカップリング
水中の37gの2−ナフチルアミン−1,5−ジスルホン酸を、0〜5℃でジアゾ化し、次いで、水中の250gの化合物(XV)のプレスケーキの溶液に添加し、水酸化ナトリウムを添加して、pHを7〜8.5に保った。このカップリングの終了後、式(XVI)の染料を塩析し、そしてろ過した。次のメンブランフィルター(25〜50℃の温度及び10〜30バールの圧力)及び乾燥により、濃いレッド粉末を得た。
次の式(XIV):
【化21】

の染料は、545.5nmのλmax(2wt‰の酢酸ナトリウム水溶液中で、室温で測定)を有していた。
【0100】
表1
例4〜106
例1と同様に、次の式(XVII)に従う化合物を得た。
【0101】
【化22】

【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
【表6】

【0108】
【表7】

【0109】
【表8】

【0110】
【表9】

【0111】
表2
例107〜118
例3と同様に、次の式(XVIII)に従う化合物を得た。
【0112】
【化23】

【0113】
【表10】

【0114】
【表11】

【0115】
染料混合物
下記の染料混合物を用い、上述の記録材料を印刷するための組成物を配合した。
上記組成物は、下記;
1)上記染料又は染料又は染料混合物;及び
2)水、あるいは、水と、有機溶媒、無水の有機溶媒又は低融点を有する固体との混合物を含む媒体;並びに
3)随意選択的なさらなる添加剤:
を含む。
【0116】
例119(染料混合物1)
90質量%の例1及び
10質量%のC.I.Acid Red 52。
この混合物を、下記;
2.5質量%の例119(染料混合物1);
15質量%のN−メチル−ピロリドン;
82.5質量%の水:
を含む組成物を配合するために用いた。
【0117】
この混合物を、下記;
2.5質量%の例119(染料混合物1);
20質量%の1,2−プロピレングリコール;
77.5質量%の水:
を含む組成物を配合するためにさらに用いた。
【0118】
表3
例120〜123
化合物1は、式(I)に従う化合物又はそれらの混合物である。
化合物2は、カラーインデックスの名称で指定された染料である。
【0119】
【表12】

【0120】
全ての例(1〜118)並びに式(I)に従う化合物及びそれらの混合物は、化合物1として好適である。
本明細書に列挙されている、C.I.Acid Redの全ての化合物及びC.I.Direct Red化合物、並びにそれらの混合物は、化合物2として好適である。
【0121】
適用例
適用例(A)
水とN−メチルピロリドンとの混合物97.5部(水:N−メチルピロリドンの比は、85:15である)中の、例1の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0122】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有している。
【0123】
適用例(B)
水とプロピレングリコールとイソプロパノールとの混合物97.5部(水:プロピレングリコール:イソプロパノールの比は、90:5:5である)中の、例2の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有している。
【0124】
適用例(C)
水とN−メチルピロリドンとの混合物97.5部(水:N−メチルピロリドンの比は、85:15である)中の、例3の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、良好な耐久性、特に、耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0125】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有し、そしてカラーが鮮やかである。
【0126】
適用例(D)
水とプロピレングリコールとイソプロパノールとの混合物97.5部(水:プロピレングリコール:イソプロパノールの比は、90:5:5である)中の、例14の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、良好な耐久性、特に、耐オゾン性及び耐光性を有しており、そしてカラーが鮮やかであった。
【0127】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有しており、そしてカラーが鮮やかである。
【0128】
適用例(E)
水とN−メチルピロリドンとの混合物97.5部(水:N−メチルピロリドンの比は、85:15である)中の、例42の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0129】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有している。
【0130】
適用例(F)
水とN−メチルピロリドンとの混合物97.5部(水:N−メチルピロリドンの比は、85:15である)中の、例94の染料からなるインク2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0131】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有している。
【0132】
適用例(G)
水とN−メチルピロリドンとの混合物97.5部(水:N−メチルピロリドンの比は、85:15である)中の、例119の混合物(染料混合物1)2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0133】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、良好な耐久性を有している。
【0134】
適用例(H)
水と2−ピロリドンとの混合物97.5部(水:2−ピロリドンの比は、85:15である)中の、例120の混合物(染料混合物2)2.5部を、HP880C(商標)デスクジェット(商標)プリンター内に導入し、そして、A4のEpson(商標)製のPremium Glossy Photo Paper;SO41287に印刷した(HP及びデスクジェットは、Hewlett−Packard,Palo Alto,California,USAの登録商標であり、Epsonは、Seiko Epson Kabushiki Kaishaの登録商標である)。そのようにして得られたマゼンタ印刷物は、非常に良好な耐オゾン性及び耐光性を有していた。
【0135】
この適用例を、存在する用途の全ての例において、同様の様式で用いることができる。同様に、個々の染料の混合物を用いることができる。そのようにして得られた印刷物は、非常に良好な耐久性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物としての、次の式(I)の染料。
【化1】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H,−CN又はSO2NHR6であり、
ここで、R6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
【請求項2】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物としての、下記;
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである、
を特徴とする、請求項1に記載の染料。
【請求項3】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物としての、次の式(Ia):
【化2】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
を特徴とする、請求項2に記載の染料。
【請求項4】
遊離の酸又は塩形態、並びにそれらの混合物としての、次の式(Ib):
【化3】

(式中、
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−COOH又は−SO3Hであり、そして
1は、NR34;SR5;OHであり、
2は、NR34;SR5;OHであり、
ここで、
3は、H、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、
4は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニル、ナフチル又は置換されたナフチルであり、あるいは、
3及びR4は、N、O又はSに加えて、1個又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員環を形成し、ここで、当該複素環は、未置換か又は1個若しくは2個のC1〜4アルキル基で置換されており、
5は、C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;フェニル又は置換されたフェニルであり、そしてX1は、X1又はX2がSR5又はOHを表す場合を除いて、X2の意味を有さず、そして
1は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−COOCH3;−CF3;−SO3H;アミノ;アルキルアミノ;−CN又はSO2NHR’6であり、
ここで、R’6は、H、C1〜4アルキル、フェニル又は置換されたフェニルであり、
2は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hであり、
3は、H;C1〜4アルキル;置換されたC1〜4アルキル;C1〜4アルコキシ;−OH;−COOH;−SO3Hである)
を特徴とする、請求項2に記載の染料。
【請求項5】
前記式(I)に従う化合物の調製方法であって、
第一の段階では、次の式(II);
【化4】

(式中、全ての基は、前出の通りである)
の化合物を、次の式(III):
【化5】

の化合物と反応させて、次の式(IV):
【化6】

に従う化合物を生成させ、そして
第二の段階では、前記式(IV)の生成物を、式HX1(式中、X1は、前出の通りである)の化合物の一部と反応させ、次の式(V):
【化7】

の化合物を生成させ、そして
第三の段階では、前記式(V)の化合物を、式HX2(式中、X2は前出の通りである)の化合物と縮合させ、次の式(VI):
【化8】

(式中、R1及びR2は、前出の通りである)
の化合物を生成させ、そして
最終段階では、前記式(VI)の化合物を、次の式(VII):
【化9】

の化合物のジアゾニウム塩とカップリングさせ、前記次の式(I):
【化10】

(式中、全ての置換基は、前出の通りである)
の染料を生成させること、
を特徴とする前記式(I)に従う化合物の調製方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を少なくとも1種含むインクジェット用インク。
【請求項7】
塩の総含有率が、前記染料の総量に基づいて、0.5質量%未満であることを特徴とする、請求項6に記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
記録材料を印刷するため、並びに/又はインクジェット印刷法の中でセルロース含有基材を染色するため及び/若しくは記録材料を印刷するための請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
記録材料が、紙又は紙様の基材であることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を用いて印刷又は染色された、記録材料、又は紙様の基材、又はセルロース含有基材。

【公表番号】特表2007−518852(P2007−518852A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546399(P2006−546399)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004292
【国際公開番号】WO2005/073323
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】