説明

酸素供給設備

【課題】製錬炉として自熔炉と転炉とを使用し、かつそれらの燃焼用気体として酸素富化空気を用いる製錬方法において、酸素プラントで製造した低圧酸素を、酸素圧縮機で圧縮し、得られた高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する際に、より一層省エネルギー化した運転が行なえる酸素供給設備を提供する。
【解決手段】少なくとも低圧酸素を製造する酸素プラント1と、低圧酸素を圧縮し高圧酸素を得る2台の圧力調節弁付き酸素圧縮機8,9と、高圧酸素を蓄える酸素ホルダー18とを有し、該高圧酸素を自熔炉22と転炉23へ供給する酸素供給設備であって、一方の酸素圧縮機8の出口配管10を前記自熔炉22への高圧酸素供給配管19に結合し、他方の酸素圧縮機9の出口配管13を前記酸素ホルダー18の受入ノズルに結合し、さらに該酸素ホルダー18の出口配管20を前記転炉23への高圧酸素供給配管20に結合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素供給設備に関し、さらに詳しくは、製錬炉として自熔炉と転炉とを使用し、かつそれらの燃焼用気体として酸素富化空気を用いる製錬方法において、高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する際に、より一層省エネルギー化した運転が行なえる酸素供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
銅製錬方法として、製錬炉として自熔炉と転炉とを使用し、粗銅を製造する方法が広く行なわれている。この方法では、まず、銅硫化精鉱、珪酸鉱、石灰石などの溶剤、粉コークス、煙灰、工程間の繰り返し原料等を混合し、続いて乾燥して得た乾燥物を、燃焼用気体とともに、自熔炉内に吹込む。前記自熔炉内では、前記乾燥物中の鉄及びイオウを酸化燃焼させて高温熔融反応を進め、最終的に銅品位が60質量%程度のマットと、鉄及び珪酸を主成分とするスラグとを製造する。その後、転炉では、前記マット中に燃焼用気体を吹き込み、必要に応じて冷剤を炉内に投入し、最終的に転炉スラグと粗銅とを製造する。通常、得られた粗銅は、さらに精製炉で吹錬された後、鋳造される。得られた精製アノードは、電解精製工程に送られ、ここで電気銅が製造される。
【0003】
上記燃焼用気体としては、当初、予熱した空気が用いられており、この際、自熔炉及び転炉での生産量を増大するためには、予熱空気の吹込み量を増加することが必要であった。しかしながら、予熱空気の吹込み量の増加は、製錬炉に付帯する排ガス処理設備の増強を必要とするため、新規プラント建設の場合を除けば、その実施は実質的に困難であった。
この解決策として、燃焼用気体として、空気から分離された酸素濃度80質量%以上の酸素を混合し、空気中の酸素濃度を高めた酸素富化空気を用いることにより、生産量の増大が図られてきた。このため、上記の銅製錬方法を採用している製錬所では、内部に酸素プラントを備えており、ここで製造された酸素を酸素供給設備によって製錬炉に供給している。ところが、空気から酸素富化空気に用いる酸素を得るためには、例えば、自熔炉の生産能力を75t/hから90t/hへ1.2倍に高める際、酸素プラントのコストは1.47倍となる(例えば、非特許文献1参照。)と云われているなど、使用電力の大きな増加に繋がる。
【0004】
ところで、自熔炉を用いる銅製錬法は、本来、銅硫化精鉱中の鉄及びイオウの酸化燃焼により高温反応が進行するものであり、特別に燃料を必要としない省エネルギー型の製錬法である。しかしながら、このような自熔炉を用いる銅製錬法でも、単位炉当たりの生産量の増大にともない、酸素富化空気に用いる酸素の供給のための電力コストが上昇し、省エネルギー型製錬法とは必ずしも云えなくなりつつある。
【0005】
この解決策として、銅硫化精鉱の一部を酸化焙焼し、得られた酸化焙焼鉱及び/又は該酸化焙焼鉱から硫酸水溶液を用いて銅を浸出した後の残滓を、銅硫化精鉱とともに、自熔炉などの製錬炉で熔錬する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。この方法によれば、自熔炉などの製錬炉で、酸化焙焼鉱中の銅及び鉄と反応している酸素を有効に利用することができるので、高価な酸素を使用しなくとも銅硫化精鉱の処理量を増加させ、銅生産性が増大するとしている。しかも、硫化銅鉱の焙焼は自燃焙焼となるので焙焼工程が追加されることによる燃料コストの増加はほとんど問題にならない程度であるとしている。
【0006】
しかしながら、この方法では、酸化焙焼により発生した排ガス中の二酸化イオウを、例えば硫酸として回収するため、酸化焙焼炉の排ガスを排ガス処理設備で処理することが不可欠である。したがって、この方法を採用しても、排ガス処理設備の増強が必要であり、単位炉当たりの生産性を高める上での本来的な問題点を解決することができない。
このような状況から、酸素富化空気に用いる酸素の供給のために要する電力コストの削減について、別の視点からの解決策が求められている。
【0007】
ここで、従来の酸素供給設備とその運転方法を図面を参照して説明する。
上記の銅製錬方法を採用している製錬所に設置されている酸素プラントから製錬炉に酸素を供給するシステムとしては、図1に例示したような酸素供給設備を用いるのが一般的である。図1は、従来の酸素供給設備の設備構成図である。ここで、酸素供給設備から酸素富化空気に用いる高圧酸素が供給される自熔炉と転炉も記載している。
【0008】
図1において、酸素プラント1で製造された低圧酸素は、低圧酸素配管バルブ(1)2を経由する配管を経て、その後分岐された低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管系統と低圧酸素配管バルブ(3)6を経由する配管系統とで、それぞれ酸素圧縮機(1)8と酸素圧縮機(2)9の2台の酸素圧縮機へ供給される。この低圧酸素配管バルブ(1)2を経由する配管には、放風弁3と低圧酸素流量計(1)4を、また低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管系統には、低圧酸素流量計(2)7を設けている。
【0009】
前記酸素圧縮機(1)8と酸素圧縮機(2)9とでは、低圧酸素を圧縮して高圧酸素を得る。前記酸素圧縮機8、9で得られた高圧酸素は、それぞれ高圧酸素配管バルブ(1)16を経由する配管と高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管とで酸素ホルダー18へ供給され、蓄えられる。前記高圧酸素配管バルブ(1)16を経由する配管と高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管には、それぞれに設けたバルブの高圧酸素の供給側に高圧酸素圧力計(1)10と高圧酸素圧力計(2)13を設けている。
【0010】
また、前記高圧酸素配管バルブ(1)16を経由する配管と高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管には、それぞれ低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管に結合する酸素圧縮機バイパス配管(1)12と、低圧酸素配管バルブ(3)6を経由する配管に結合する酸素圧縮機バイパス配管(2)15とを設けている。さらに、前記酸素圧縮機バイパス配管12、15には、それぞれ圧力調節弁(1)11と圧力調節弁(2)14を設けている。
前記酸素ホルダー18に蓄えられた高圧酸素は、自熔炉行き高圧酸素配管19と転炉行き高圧酸素配管20を経由して、酸素富化空気を用いる自熔炉22と転炉23へ供給される。
【0011】
上記酸素供給設備の運転方法において、酸素ホルダー18の圧力が、自熔炉22と転炉23のいずれかのより高圧を必要とする方の圧力に対応するように、2台の酸素圧縮機8、9の運転が設定され、圧力が調整される。具体的には、図1の酸素圧縮機(1)8と酸素圧縮機(2)9との2系統に設置した高圧酸素圧力計(1)10と高圧酸素圧力計(2)13とにより測定されたそれぞれの出口圧力を、自熔炉22と転炉23のいずれかのより高圧を必要とする方の圧力になるように、圧力調節弁(1)11と圧力調節弁(2)14とで制御する圧力制御(PIC)を行ないながら、酸素ホルダー18に高圧酸素を供給する。
【0012】
ところで、自熔炉の操業は連続操業であり、一方転炉の操業は間欠操業である。すなわち、自熔炉で使用する高圧酸素の流量はほぼ一定であるのに対し、転炉で使用する高圧酸素の流量は間欠的である。そのため、定常操業時において、転炉でのピーク使用時が過ぎて酸素ホルダーの圧力が設定値になったときには、酸素圧縮機(1)8の運転は、吐出側の高圧酸素を酸素圧縮機バイパス配管(1)12経由で吸入側に戻すバイパス運転に切り替え、一方酸素圧縮機(2)9の運転を停止させる手順をとり、省エネギー対策としている。
なお、酸素プラントは、2台の酸素圧縮機を定格運転する時にも供給できる低圧酸素量を確保しておく必要があるため、連続運転する。
【0013】
上記運転方法における酸素プラント1の放風弁3からの酸素放風量を、図を用いて説明する。図2は、従来の酸素供給設備の運転結果(酸素ホルダー圧力と酸素プラント放風量)を示す。
図2より、2台の酸素圧縮機を定格運転する時にも供給できる低圧酸素量を確保しておく必要があるため、転炉の停止期間(図中で、転炉用酸素流量が底値を示す。)には、余剰酸素(図中で、酸素プラント放風量の変動巾にあたる。)が発生し、酸素プラントからの低圧酸素に余剰が生じて、放風弁による放風量が多くなり損失となっていた。
【0014】
【特許文献1】特開平08−218128号公報(第1頁、第2頁)
【非特許文献1】資源と素材、資源素材学会、1993年、「非鉄製錬号」、p.973
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、製錬炉として自熔炉と転炉とを使用し、かつそれらの燃焼用気体として酸素富化空気を用いる製錬方法において、酸素プラントで製造した低圧酸素を、酸素圧縮機で圧縮し、得られた高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する際に、より一層省エネルギー化した運転が行なえる酸素供給設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記目的を達成するために、低圧酸素を製造する酸素プラントと、低圧酸素を圧縮し高圧酸素を得る2台の圧力調節弁付き酸素圧縮機と、高圧酸素を蓄える酸素ホルダーとを有し、該高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する酸素供給設備において、その運転時の省エネルギー化について、鋭意研究を重ねた結果、一方の酸素圧縮機は、その出口配管を前記自熔炉への高圧酸素供給配管に結合して自熔炉専用として用いること、及び他方の酸素圧縮機は、その出口配管を前記酸素ホルダーの受入ノズルに結合し、さらに該酸素ホルダーの出口配管を前記転炉への高圧酸素供給配管と結合して用いることを実施したところ、より一層省エネルギー化した運転が行なえることを見出し、本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも低圧酸素を製造する酸素プラントと、低圧酸素を圧縮し高圧酸素を得る2台の圧力調節弁付き酸素圧縮機と、高圧酸素を蓄える酸素ホルダーとを有し、該高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する酸素供給設備であって、
一方の酸素圧縮機の出口配管を前記自熔炉への高圧酸素供給配管に結合し、他方の酸素圧縮機の出口配管を前記酸素ホルダーの受入ノズルに結合し、さらに該酸素ホルダーの出口配管を前記転炉への高圧酸素供給配管に結合することを特徴とする酸素供給設備が提供される。
【0018】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記酸素圧縮機は、供給される低圧酸素を流量制御する手段を有することを特徴とする酸素供給設備が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の酸素供給設備は、自熔炉と転炉に必要な高圧酸素を確保しながら、酸素プラントからの放風量を低減することができ、しかもこれにより得られる低圧酸素の余剰分を自熔炉に使用することができるので、使用電力の削減、自熔炉での銅硫化精鉱の増処理などにおいて、その工業的価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の酸素供給設備は、少なくとも低圧酸素を製造する酸素プラントと、低圧酸素を圧縮し高圧酸素を得る2台の圧力調節弁付き酸素圧縮機と、高圧酸素を蓄える酸素ホルダーとを有し、該高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する酸素供給設備であって、
一方の酸素圧縮機の出口配管を前記自熔炉への高圧酸素供給配管に結合し、他方の酸素圧縮機の出口配管を前記酸素ホルダーの受入ノズルに結合し、さらに該酸素ホルダーの出口配管を前記転炉への高圧酸素供給配管に結合することを特徴とする。
さらに、前記圧力調節弁付き酸素圧縮機は、それぞれ供給される低圧酸素を流量制御する手段を有することができる。
【0021】
本発明において、2台を備える酸素圧縮機の一方を、その出口配管を自熔炉への高圧酸素供給配管と結合して自熔炉専用とし、他方を、その出口配管を酸素ホルダーの受入ノズルに結合し、酸素ホルダーを介し、転炉に高圧酸素を供給することに用いることが重要である。すなわち、このことは、自熔炉の操業が連続操業であり、一方転炉の操業が間欠操業であるという、製錬炉として自熔炉と転炉を用いる銅製錬方法の操業形態に適応させたものである。
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の酸素供給設備の実施の一形態について説明するが、本発明は、これらの実施の形態によってなんら限定されるものではない。
図3は、本発明の酸素供給設備の設備構成図を例示する。ここで、酸素供給設備から酸素富化空気に用いる高圧酸素が供給される自熔炉と転炉も記載している。
本発明の酸素供給設備は、従来の、図1に例示した酸素供給設備に対し、主として、一方の酸素圧縮機から自熔炉へ高圧酸素を供給する配管と、両方の酸素圧縮機へ供給する低圧酸素の制御手段とにおいて、改造を施したものである。
【0023】
図3において、酸素プラント1で製造された低圧酸素は、低圧酸素配管バルブ(1)2を経由する配管を経て、その後分岐された低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管系統と低圧酸素配管バルブ(3)6を経由する配管系統とで、それぞれ酸素圧縮機(1)8と酸素圧縮機(2)9の2台の酸素圧縮機へ供給される。この低圧酸素配管バルブ(1)2を経由する配管には、放風弁3と低圧酸素流量計(1)4を、また低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管系統には、低圧酸素流量計(2)7を設けている。
【0024】
前記酸素圧縮機(1)8と酸素圧縮機(2)9とでは、それぞれ低圧酸素を圧縮して高圧酸素を得る。
ここで、前記酸素圧縮機8で得られた高圧酸素は、酸素ホルダー18を介さずに、新設の自熔炉行き高圧酸素バイパス配管21を経由して、自熔炉行き高圧酸素配管19から自熔炉22へ供給される。なお、自熔炉行き高圧酸素バイパス配管21は、高圧酸素配管バルブ(1)16を経由する配管と自熔炉行き高圧酸素配管19とのバイパスを形成するため、両配管とそれぞれ結合するものである。ここで、高圧酸素配管バルブ(1)16を経由する配管は、バルブを閉じることにより休止される。また、自熔炉行き高圧酸素配管19の酸素ホルダー18の出口側は、バルブ(図示していない。)を閉じることにより休止される。一方、前記酸素圧縮機9で得られた高圧酸素は、高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管で酸素ホルダー18へ供給され蓄えられる。前記酸素ホルダー18に蓄えられた高圧酸素は、転炉行き高圧酸素配管20を経由して、酸素富化空気を用いる転炉23へ供給される。
【0025】
前記自熔炉行き高圧酸素バイパス配管21と高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管には、それぞれのバルブの高圧酸素の供給側に高圧酸素圧力計(1)10と高圧酸素圧力計(2)13を設けている。
また、前記自熔炉行き高圧酸素バイパス配管21と高圧酸素配管バルブ(2)17を経由する配管には、それぞれ低圧酸素配管バルブ(2)5を経由する配管に結合する酸素圧縮機バイパス配管(1)12と、低圧酸素配管バルブ(3)6を経由する配管に結合する酸素圧縮機バイパス配管(2)15とを設けている。さらに、前記酸素圧縮機バイパス配管12、15には、それぞれ圧力調節弁(1)11と圧力調節弁(2)14を設けている。
【0026】
上記酸素供給設備の運転方法において、酸素圧縮機8と酸素圧縮機9へ供給される低圧酸素は、それぞれこれを流量制御する手段を用いて制御される。すなわち、酸素圧縮機8は、自熔炉専用として稼動し、低圧酸素流量計(2)7の流量値をほぼ一定に保つように圧力調節弁(1)11を用いて流量制御(FIC)を行う。一方、酸素圧縮機9は、転炉専用として稼動し、低圧酸素配管バルブ(3)6を経由する配管を通過する低圧酸素の流量をほぼ一定に保つように圧力調節弁(2)14を用いて流量制御(FIC)を行う。
上記酸素供給設備では、従来の酸素供給設備では、転炉の停止期間に放出していた余剰の低圧酸素を自熔炉22で使用することができるため、酸素プラント1から放風弁3で放出していた低圧酸素放風量を低減することができる。
【0027】
上記運転方法における酸素プラント1の放風弁3からの酸素放風量について、図を用いて説明する。図4は、本発明の酸素供給設備の運転結果(酸素ホルダー圧力と酸素プラント放風量)を示す。
図4より、1台の酸素圧縮機を自熔炉専用に一定流量で運転しても、他の1台の酸素圧縮機で、転炉に必要な下限以上の圧力に酸素ホルダー圧力を保持することができること、及び本発明の酸素供給設備を用いた場合の酸素プラント放風量が、従来の酸素供給設備の場合と比較して小さいこと、が分かる。この酸素プラント放風量の違い(図中の酸素プラント放風量と従来運転における酸素プラント平均放風量の差にあたる。)は、この分の低圧酸素を自熔炉で使用することができたことによるものである。
したがって、本発明の酸素供給設備を用いれば、低圧酸素の放風量を最低限にまで抑制し、使用電力を削減し、また自熔炉で銅硫化精鉱を増処理することが達成される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上より明らかなように、本発明の酸素供給設備は、製錬炉として自熔炉と転炉とを使用し、かつそれらの燃焼用気体として酸素富化空気を用いる製錬方法において、より一層省エネルギー化した運転が行なえるものであるので、銅硫化精鉱の製錬分野で利用される酸素供給設備として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の酸素供給設備の設備構成図である。
【図2】従来の酸素供給設備の運転結果(酸素ホルダー圧力と酸素プラント放風量)を示す図である。
【図3】本発明の酸素供給設備の設備構成図である。
【図4】本発明の酸素供給設備の運転結果(酸素ホルダー圧力と酸素プラント放風量)を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 酸素プラント
2 低圧酸素配管バルブ(1)
3 放風弁
4 低圧酸素流量計(1)
5 低圧酸素配管バルブ(2)
6 低圧酸素配管バルブ(3)
7 低圧酸素流量計(2)
8 酸素圧縮機(1)
9 酸素圧縮機(2)
10 高圧酸素圧力計(1)
11 圧力調節弁(1)
12 酸素圧縮機バイパス配管(1)
13 高圧酸素圧力計(2)
14 圧力調節弁(1)
15 酸素圧縮機バイパス配管(2)
16 高圧酸素配管バルブ(1)
17 高圧酸素配管バルブ(2)
18 酸素ホルダー
19 自熔炉行き高圧酸素配管
20 転炉行き高圧酸素配管
21 自熔炉行き高圧酸素バイパス配管
22 自熔炉
23 転炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも低圧酸素を製造する酸素プラントと、低圧酸素を圧縮し高圧酸素を得る2台の圧力調節弁付き酸素圧縮機と、高圧酸素を蓄える酸素ホルダーとを有し、該高圧酸素を自熔炉と転炉へ供給する酸素供給設備であって、
一方の酸素圧縮機の出口配管を前記自熔炉への高圧酸素供給配管に結合し、他方の酸素圧縮機の出口配管を前記酸素ホルダーの受入ノズルに結合し、さらに該酸素ホルダーの出口配管を前記転炉への高圧酸素供給配管に結合することを特徴とする酸素供給設備。
【請求項2】
前記酸素圧縮機は、供給される低圧酸素を流量制御する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の酸素供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−235547(P2009−235547A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85980(P2008−85980)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】