説明

重力濾過用の改良型収着剤配合ウェブ

担体と、担体上に回収されたウェブと、を含む、濾過媒体が開示される。ウェブは、親水性ポリマーメルトブローン繊維、及び親水性ポリマーメルトブローン繊維に捕捉された複数の収着剤粒子、を含む。担体は多孔質シートを含み、かつ担体坪量を有する。ウェブはウェブ坪量を有する。親水性ポリマーメルトブローン繊維は、ウェブ坪量の少なくとも3%を構成し、複数の収着剤粒子は、最大でウェブ坪量の97%を構成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
家庭用の水濾過のように、多くの種類の流体濾過システムが市販されている。従来は、水から金属及び/又は有機物質を除去するには、遊動状態の炭素粒子床が用いられてきた。あるいは、吸着性活性炭等の収着物質とポリエチレン等のポリマー結合剤との組み合わせから複合ブロックを作製することができ、これらは、加熱及び加圧条件下で同時に焼結されており、水濾過技術では有用である。炭素ブロック法は、例えば、粒子が脱落することなく、又は粒子が過剰に空間を占有することなく、炭素粒子床を遊離させるのと同等の機能性を提供する。炭素ブロック技術の場合、活性炭などの収着性物質の量を増やすことにより、ブロックに対する圧力低下が増大することがある。
【0002】
一部の用途では、重力は、濾過器を通る水流を発生させるのに利用できる唯一の力であり得る。そのような用途で炭素ブロックを使用する場合、ブロックに対する圧力低下が比較的大きいために、ブロックを通る水の流量が制限されることがある。炭素ブロック以外の濾過器を使用する一部の事例では、疎水性などの濾過特性により、水の流量が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家庭用途のためのコンパクトな水濾過システムの提供が今も必要とされている。また、システム全体において圧力低下を増大させずに、高配合の活性物質を有するシステムを提供することも必要とされている。重力の作用により、向上したシステム処理能力を呈する水濾過システムを提供することも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、担体と、担体上に回収されたウェブと、を含む、濾過媒体が開示される。通常、ウェブは、親水性ポリマーメルトブローン繊維、及び親水性ポリマーメルトブローン繊維に捕捉された複数の収着剤粒子、を含む。通常、担体は多孔質シートを含み、かつ担体坪量を有し、ウェブはウェブ坪量を有する。一実施形態では、親水性ポリマーメルトブローン繊維は、ウェブ坪量の少なくとも3%を構成し、複数の収着剤粒子は、最大でウェブ坪量の97%を構成する。一実施形態では、親水性ポリマーメルトブローン繊維は、ウェブ坪量の少なくとも12%を構成し、複数の収着剤粒子は、最大でウェブ坪量の88%を構成する。
【0005】
一部の形態では、ウェブ坪量は、約10g/m〜約2000g/mの範囲内にある。他の実施形態では、ウェブ坪量は、約400g/m〜約600g/mの範囲内にある。
【0006】
一部の実施形態では、担体坪量は、約40g/m〜約120g/mの範囲内にある。一実施形態では、担体坪量は、約90g/m〜約110g/mの範囲内にある。
【0007】
一部の実施形態では、親水性ポリマーメルトブローン繊維にはポリブチレンテレフタレート(PBT)が含まれる。
【0008】
一部の実施形態では、親水性ポリマーメルトブローン繊維には、熱可塑性ポリエステルエラストマーが含まれる。
【0009】
一部の実施形態では、多孔質シートは親水性である。一部のかかる実施形態では、多孔質シートには、親水性の化学的性質を有するように官能基化されたポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。一部の実施形態では、多孔質シートにはポリアミドが含まれる。一部のかかる実施形態では、多孔質シートには、ポリエステル芯部及びポリアミドのシースを備える不織布が含まれる。
【0010】
一部の実施形態では、ポリマーメルトブローン繊維は、約2μm〜約50μmの範囲内の平均繊維直径を有する。一部のかかる実施形態では、ポリマーメルトブローン繊維は、約6μm〜約14μmの範囲内の平均繊維直径を有する。一部のかかる実施形態では、ポリマーメルトブローン繊維は、約16μm〜約30μmの範囲内の平均繊維直径を有する。
【0011】
一部の実施形態では、収着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換剤樹脂、金属イオン交換収着剤、活性アルミナ、抗菌化合物、酸性ガス収着剤、ヒ素還元物質、ヨウ素化樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。通常、収着剤粒子は、250μm以下の平均粒径を有する。一部の実施形態では、収着剤粒子には、約180μm〜約220μmの範囲内の平均粒径を有する活性炭が含まれる。一部の実施形態では、収着剤粒子は、約130μm〜約180μmの範囲内の平均粒径を有する活性炭が含まれる。
【0012】
一部の実施形態では、ウェブは、約0.20g/cm〜0.50g/cmの範囲内の収着剤粒子密度を有する。一実施形態では、ウェブは、収着剤粒子密度勾配がある。
【0013】
一実施形態では、ウェブは、カレンダー加工、熱誘導圧縮、又は加圧によって固められる。
【0014】
一部の実施形態では、ウェブは、2秒以下のガーレー時間を有する。
【0015】
一部の実施形態では、濾過媒体は、周囲条件下で毎秒5.3cmの空気の一定の前面速度における圧力低下が、150mm水柱以下である。
【0016】
一部の実施形態では、上記の濾過媒体を含む濾過器カートリッジが開示され、濾過媒体の少なくとも一部は多孔質シェル内に捕捉される。
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記要約は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書全体にわたって、類似の参照数字が類似の要素を指す添付図面が参照される。
【図1】本開示による例示的な濾過媒体の側面図。
【図2】本開示による例示的な濾過媒体の側面図。
【図3】本開示による例示的な濾過器カートリッジの斜視図。
【図3a】図3の3a−3aで切り取った濾過器カートリッジの断面図。
【0019】
定義
他の用語は、本開示の他の箇所に示されたときに定義され得るが、以下の定義リストは、読者の便宜を図って編集された。
【0020】
「重力流れ」又は「重力流れ濾過」への言及には、濾過媒体を通る流体の流れが含まれ、重力は、流体に作用して流体に濾過媒体を通過させる実質的に唯一の原動力である。
【0021】
「ウェブ」への言及には、開放的な構造で絡まった大量の繊維、例えば、マイクロファイバーから構成される濾過媒体が包含され、繊維間には捕捉された粒子が有り、粒子は、水から化学汚染物質、塩素、及び沈降物等の物質を減少させる又は除去するための収着剤である。
【0022】
「捕捉される」という用語への言及とは、粒子がウェブの繊維中に分散されて物理的に保持されていることを表す。一般に、繊維及び粒子に沿って点接触及び線接触しているので、粒子のほぼ全ての表面積が流体とのやり取りに利用できる。
【0023】
「収着密度勾配」への言及とは、ウェブを通り抜ける平方面積あたりの収着物質の量が均一でなくてよいことと、ウェブの特定の範囲ではより多くの物質を供給し、他の範囲ではより少ない物質を提供するように変えることができることを表す。例えば、軸方向の吸着密度勾配とは、フィルターの中心部分に沿って、フィルターの一方の端部での平方面積あたりの吸着剤の量がもう一方の端部での量と異なり、また両端部間でも異なるが、中心部分からの径方向では変わらないことを表す。他方で、径方向の収着密度勾配とは、ウェブの中心部分から離れるにつれて、コア範囲がウェブの外側表面と比べて異なる量の収着剤を有することを表す。密度の変動は、線形でなくてもよく、必要に応じて変化させることができる。例えば、密度は、一段階変化、多段階変化、正弦関数的に等で変化させることができる。
【0024】
粒子及び微粒子という用語は、実質上互換的に使用される。一般に、粒子は、小片又は個別の部分である。微粒子は、複数の粒子に関する又はそれらで形成されている。本発明の実施形態で使用される粒子は、バラバラのままであることができ、又は微粒子を形成するために凝集して、物理的に噛合って、静電的に結びついて、ないしは別の方法で結合していてもよい。特定の場合、凝集物は、米国特許第5,332,426号(Tangら)に記載されているもののように、意図的に形成することができる。
【0025】
「カレンダー加工」への言及には、製品、例えば高分子収着剤を配合したウェブをローラーに通して圧縮材料を得るプロセスが包含される。ローラーは所望により、加熱してよい。
【0026】
「ガーレー時間」という用語は、124mm(4.88インチ)HO圧(1.216kPa)で50cmの空気が、約645mm(1平方インチ)の円形断面積を有するウェブ試料を通過するのに要する時間を指す。一貫した測定のために、温度約23℃〜24℃(74°F〜76°F)及び相対湿度50%を保持する。「ガーレー」時間は、W.& L.E.Gurley(Troy,N.Y.)から商品名「Model 4110」透気度試験機として販売されている種類の透気度試験機で測定することができ、透気度試験機は、(Gurley−Teledyne)感度計(型番4134/4135)を用いて較正及び操作される。ガーレー時間は、粒子配合されたウェブの空隙容量と反比例する。ガーレー時間は、粒子配合されたウェブの平均孔径とも反比例する。
【0027】
「メルトフローインデックス」又は「MFI」という用語はまた、MFR又はメルトフローレートとも様々に呼ばれ、試験法ASTM 1238で定義されている。ポリプロピレンポリマーは、ASTM 1238試験法の「方法B」改良版を用いて測定した。
【0028】
「メルトブローン法」という用語は、1つ以上の穴からなるダイを通じて熱可塑性ポリマーを押出すことによって微細繊維を製造する工程を指す。繊維がダイから出てくると、それらは、出てくる繊維とほぼ平行に又はそれとの接線で流れている気流によって細くなっていく。
【0029】
「空隙容量」という用語は、濾過器の重量と容量を測定し、次にその濾過器重量を、理論重量である同じ容量の同一構成成分の材料の固体質量と比較することによって算出される割合を指す。
【0030】
「熱分解」という用語は、材料に対する熱の作用を指す。例えば、複合ブロック又は配合ウェブ中に形成された特定の収着剤粒子は、焼結又はカレンダー加工等の処理中に物理的に不安定になり易い場合がある。ポリプロピレン等のポリマーに関して、ポリマーを熱のみによって又は機械的な作用とを組み合わせて処理する工程は、ポリマー鎖の切断、架橋、及び/又は化学変化を生じさせる可能性がある。
【0031】
「多孔性」という用語は、材料中の空隙の量である。孔及び空隙の寸法、頻度、数、及び/又は相互接続性が、材料の多孔性に影響する。
【0032】
「高密度化」という用語は、濾過器巻き取り軸若しくはマンドレルの上に直接又は間接的に堆積した繊維を、堆積前若しくはその後で圧縮し、そして意図的であろうと若しくは形成中の又は形成された濾過器を取り扱う一部のプロセスの人為的な影響としてであろうと、より多孔性の低い面積を広く又は局所的に形成するように製造するプロセスを指す。高密度化はまた、ウェブのカレンダー加工法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0033】
担体とともに濾過媒体を形成する粒子配合メルトブローン(又はブローンマイクロファイバ−BMF)ウェブ(「ウェブ」)が提供される。図1を参照すると、担体160上に回収されたウェブ110を含む濾過媒体100が示されている。示すように、ウェブ110は、親水性ポリマーメルトブローン繊維140と、親水性ポリマーメルトブローン繊維140に捕捉された複数の収着剤粒子120と、を含む。一実施形態では、ウェブ110は担体なしに形成される。
【0034】
そのようなウェブは、収着物質を粒子、微粒子、及び/若しくはそれらの凝集物又はブレンドの形態で、高分子メルトブローン繊維を細くしてこれら繊維をコレクターに搬送する気流へ添加することによって形成され得る。粒子は、繊維が混合気流中の粒子と接触するときにメルトブローン繊維マトリックス中に捕捉され、回収されてウェブを形成する。粒子配合ウェブを形成する同様なプロセスは、所有者が同一である、Eatonらによる米国特許出願公開第2009/0039028号に開示されており、この特許の開示は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。そのような方法によれば、粒子を高配合する(例えば、最大で約97重量%)ことが可能である。収着物質には、吸着剤及び吸着性物質、並びに界面活性を有する物質のように、流体の物理的又は化学的性質を変える種類の物質が挙げられるが、これらに限定されない。収着剤の例としては、粒状及び粉末活性炭、イオン交換剤樹脂、金属イオン交換ゼオライト収着剤、例えばEngelhard製のATS、活性アルミナ、例えばSelecto Scientific製のAlusil、抗菌性化合物、例えば銀系、亜鉛系、及びハロゲン系の物質、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ化樹脂、酸化チタン、水酸化チタン、並びに珪藻土が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
通常、ポリマーメルトブローン繊維には、非親水性材料で構成されたものと比較して、濾過物品の流動性能を改善できる親水性材料が含まれる。より具体的には、親水性材料を含むポリマーメルトブローン繊維は、例えば、重力流れ用途に使用した場合に、濾過媒体を通過する水の流動性能を大幅に高めることができる。
【0036】
1つ以上の実施形態では、メルトブローンポリマー繊維にはポリブチレンテレフタレート(PBT)が含まれる。一実施形態では、ポリマー繊維には、もとはTicona Engineering Polymers(Florence,Kentucky)から商標名CELANEX 2008でペレットとして供給され、約225℃の融点を有するPBTが含まれる。通常、ポリマーメルトブローン繊維は、約2μm〜約50μmの範囲内、好ましくは約6μm〜約14μmの範囲内の平均繊維直径を有する。
【0037】
一実施形態では、メルトブローンポリマー繊維には、熱可塑性のポリエステルエラストマーが含まれる。一実施形態では、ポリマー繊維には、もとはPolyone Distribution(Romeoville,Illinois)から商標名DUPONT HYTREL G3548Lとして供給される、約154℃の融点を有するポリエステル熱可塑性ポリエステルが含まれる。通常、ポリマーメルトブローン繊維は、約2μm〜約50μmの範囲内、好ましくは、約10μm〜約35μmの範囲内、又は約16μm〜約26μmの範囲内の平均繊維直径を有する。
【0038】
本発明の実施形態による濾過媒体には、粒子配合されたウェブ(非カレンダー加工のもの)及び圧縮/高密度化された配合されたウェブ(カレンダー加工されたもの)が包含される。これらの媒体では、流量への抵抗を低くすることができ、また市販の製品と比べると、例えば、重力流れ液体濾過用途において大きな改善が可能である。更なる利点は、高い流量を必要とする用途で見出される。ポリマーメルトブローン繊維の親水性により、ウェブの湿潤性が改善されて、したがって、水がより素早くウェブに浸透するのが可能になり、濾過媒体を「前もって湿らす」必要なしに流量を改善することができる。
【0039】
親水性のウェブに加えて、担体材料が、親水特性を有するように官能基化された場合に更なる利点を得ることができる。例えば、担体に親水特性を付与することで、担体の「ドライロック」を防止できるということが判明している。「ドライロック」とは観察された現象であり、官能基化されていない担体は、最初に湿らされ、次いで乾燥した後、顕著に劣化した流動性能を示すことがある。本出願人は、担体に親水特性を付与するように最初に担体を官能基化することで、「ドライロック」の発生を実質的に防止することができ、それにより、担体が、乾燥した後でさえ、良好な流動性能を示すことが可能になることを発見した。
【0040】
官能基化は、例えば、プラズマ処理によって行うことができる。プラズマ処理は、例えば、Baconらによる米国特許出願公開第2006/0139754号に開示された装置で実施することができ、この特許の開示は、参照により本明細書に援用するものとする。プラズマ処理は、アルゴンで希釈した2%シランのガス混合物を酸素ガスと混合することにより行うことができる。通常、2%シラン混合物の流量は約1000sccmであり、酸素ガスの流量は約1000sccmである。プラズマ処理中のチャンバ内圧力は、通常約1Torr(0.133kPa)である。プラズマは出力1000ワットに維持することができ、担体は、プラズマ中の滞留時間約54秒に相当する約7フィート/分(0.0356m/s)の速度で搬送される。
【0041】
別の実施形態では、官能基化は、例えば、窒素などの不活性ガス環境でのコロナ放電によって生成されたオゾンに暴露して行うことができる。
【0042】
一実施形態では、担体にはポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。本開示に従ってプラズマ処理する場合、例えば、官能基化された担体に親水特性を付与できる少なくとも1つのシリカ又はシラノール基を更に含むようにPET担体を変更することができる。
【0043】
一実施形態では、担体は、もとはMidwest Filtration Company(Cincinnati,Ohio)から商標名UNITHERM 170で供給されるPET多孔質シートを含む。一実施形態では、担体は、もとはMidwest Filtration Company(Cincinnati,Ohio)から商標名UNITHERM 300で供給されるPET多孔質シート(坪量102g/m)を含む。一部の実施形態では、PET多孔質シートは、担体を官能基化するために、上記のように更に処理される。
【0044】
一実施形態では、担体にはポリアミド(例えば、ナイロン6)が含まれる。一部のかかる実施形態では、担体には、ポリアミドの外皮で覆われた、ポリエステルなどの芯材から構成される2成分フィラメントが含まれる。ポリアミドが水の存在下で膨潤する傾向があることから、そのような2成分構成が好ましい場合がある。そのような膨潤度は、担体を全体的にポリアミドで構築するには望ましくないことがある。場合によっては、そのような膨潤度より、実際に濾過媒体の表面が変形したり、又は「波形」になったりすることがあるが、非膨潤材料と単なるポリアミドの薄皮コートとを用意することで、そのような膨潤度を最小化することができる。用意したかかる材料は、完全な親水性であり得るので、通常、担体を更に処理する必要はない。
【0045】
一実施形態では、ポリアミド担体には、坪量が3.0オンス/平方ヤード(100g/m)で、ポリエステル芯部とポリアミド(ナイロン6)外皮部とを有する2成分フィラメントで作製され、商標名COLBACK WHD 100(Colbond,Inc.(Enka,North Carolina)から入手可能)で販売されている熱接合スパンレイド不織布が含まれる。
【0046】
これら配合ウェブの開放的な多孔性は、濾過器及びハウジングの貫流抵抗をほとんど増大しない。媒体に対するこの低い圧力低下は、ハウジング全体での濾過のように高流量の用途、更には重力流濾過を必要とする用途での利用を可能にする。低い圧力低下が、ウェブ及び担体の一方又は両方の親水特性とともに相まって、重力流れによる水濾過用途における性能を改善し、より安定させる。
【0047】
92重量%、94重量%、95重量%、96重量%、又は97重量%さえも含む、90重量%を超える活性炭配合が実証された。少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、又は88%に及ぶことさえある配合も可能である。重量パーセントが高い活性炭配合が有益であるのは明らかであるが(例えば、収着容量がより大きくなる)、本開示による親水性メルトブローン繊維を含むウェブは、先行技術のウェブと比較して、高い配合で粒子の脱落が少なくなるという驚くべき利点を示すことができる。「粒子の脱落」とは、収着剤粒子がウェブから離脱することを意味し、そのような粒子は流量に同伴するようになるか、あるいはウェブから落下する。理論に束縛されるものではないが、本開示による親水性メルトブローン繊維を含むウェブは、先行技術の繊維と比較して、収着剤粒子をより確実に捕捉することができるので、粒子の脱落が減ると考えられる。
【0048】
当然のことながら、平均径が小さい粒子の方が、活性化のための表面積が大きく、ひいては、より大きい収着容量を有することができるということも理解されたい。したがって、流体流れから、例えば、クロリンをより効果的に除去するには、直径がより小さい微粒子が望ましい。しかし、直径がより小さい微粒子は、脱落しないようにウェブ内に確実に捕捉するのがより難しくもある。
【0049】
一部の実施形態では、親水性メルトブローン繊維の有効繊維直径は、約5マイクロメートル〜約10マイクロメートルの範囲内であり、収着剤粒子の平均粒径は、約180マイクロメートル〜約220マイクロメートルの範囲内である。
【0050】
一部の実施形態では、親水性メルトブローン繊維の有効繊維直径は、約16マイクロメートル〜約30マイクロメートルの範囲内であり、収着剤粒子の平均粒径は、約130マイクロメートル〜約180マイクロメートルの範囲内である。一部の実施形態では、より大きい有効繊維直径には、より開通性の高いウェブ構造(それによって、圧力低下を小さくし、流量を増加させる)とともに、直径がより小さい粒子をより確実に捕捉して(すなわち、脱落を減らして)、収着容量を増やすという利点があると考えられる。
【0051】
配合ウェブは、一部のイオン交換剤樹脂等の感熱微粒子を用いる場合、炭素ブロック技術に勝る更なる利点を有することができる。粒子は、ブロック成形又は押出成形プロセス中にみられる高温には暴露されない。これにより、微粒子(イオン交換剤樹脂)の劣化と関わりのある熱不安定性に関する懸念が軽減される。開放的な多孔質構造はまた、高い沈殿状態でも有利である。極めて隙間の多い構造は、粒子と接触する流体のための多数の潜在的経路を保有している。家全体での濾過では、大きな沈降粒子は媒体内に捕捉される一方で、より小さな沈降粒子は媒体を通り抜けることができることが望ましい。このことが、媒体が汚染されて圧力低下が過度になるまでの、より長い耐用年数をもたす。
【0052】
一実施形態では、ウェブは、2(又は他の実施形態では、1若しくは0.5)秒以下のガーレー時間を有する。一部の実施形態は、濾過器が、周囲条件下で毎秒5.3cmの空気の均一な面速度で、150(又は他の実施形態では75若しくは30)mm水柱以下の圧力低下を示すことを提示する。特定の実施形態では、粒子の平均粒径は、250(又は200、150、100、若しくは60)μm以下である。詳細な実施形態は、濾過器が、1ガロンあたり10分(2.64分/L)未満を要する平均充填速度であることを提示する。
【0053】
他の実施形態には、約10g/m〜約2000g/m(又は約20g/m〜約300g/m、若しくは約25g/m〜約100g/m)の範囲内のウェブ坪量を有するウェブが含まれる。他の実施形態では、ウェブは、約0.20g/cm〜約0.5g/cmの範囲内の収着剤粒子密度を有する。
【0054】
更なる実施形態は、ウェブが、カレンダー加工、加熱、又は加圧によって圧縮されていることを提示する。他の実施形態には、収着密度勾配を有するウェブが挙げられる。
【0055】
更なる態様では、濾過媒体の形成方法であって、溶融ポリマーを複数のオリフィスから流し出してフィラメントを形成する工程と、フィラメントを繊維まで細くする工程と、収着剤粒子の流れをフィラメント又は繊維の渦中に導く工程と、繊維及び収着剤粒子を不織布ウェブとして回収して、濾過媒体を形成する工程とを含む方法が提供される。一実施形態では、方法は、カレンダー加工、加熱、又は加圧によって不織布ウェブを圧縮して、2秒以下のガーレー時間を有する圧縮ウェブを形成する工程を更に含む。
【0056】
粒子配合プロセス
粒子配合プロセスは、例えば、同一出願人の米国特許出願公開第2006/0096911号に開示されているように、標準的なメルトブローン繊維の形成法に付加されるプロセス工程であって、これは参照により本明細書に援用するものとする。ブロー成形されたマイクロファイバー(BMF)は、溶融ポリマーをダイに入れてそこから流し出すことによって作製され、この流れは、ダイ空洞内のダイの幅全体に広がっており、ポリマーは、一連のオリフィスを通じてダイからフィラメントとして押出される。一実施形態では、加熱された気流は、ダイ出口(チップ)を形成する一連のポリマーオリフィスと隣接している空気分流板及びエアナイフアセンブリを通過する。この加熱された気流は、温度と速度の両方を調節することで、ポリマーフィラメントを所望の繊維直径まで細くする(延伸する)ことができる。BMF繊維は、この乱流気流の中を、回転している表面に向かって運ばれ、表面で回収されるとウェブが形成される。
【0057】
例えば、活性炭粒子又はイオン交換剤樹脂ビーズの収着剤粒子等の所望の粒子を粒子ホッパーに充填し、そこでそれらで重力測定的にフィードロール内の凹型の空洞を埋める。分割された調節領域を有する剛性の又は半剛性のドクターブレードによって、フィードロールに対向して制御された間隙を形成して、ホッパーからの流れを規制する。ドクターブレードは通常、フィードロールの表面と接触するように調節されて、微粒子の流れを、フィードロールの陥凹部内の容量までに制限する。その結果、供給量は、フィードロールの回転の速度を調節することによって制御できる。ブラシロールは、フィードロールの後方で作動して、残留微粒子を凹型の空洞から取り除く。微粒子を、圧縮空気又は他の加圧ガス供給源によって加圧可能なチャンバに入れる。このチャンバは、粒子を運びそして粒子とメルトブロー繊維とを混合させる気流を生み出すように設計されており、メルトブロー繊維は、気流によって細くされ、搬送されて、メルトブローン・ダイから出ていく。
【0058】
強制空気微粒子の流れの圧力を調節することによって、粒子の速度分布が変わる。極めて低い粒子速度を利用すると、粒子は、ダイ気流によって方向転換されて、繊維と混合されない場合がある。低い粒子速度では、粒子は、ウェブの上面でのみ捕捉される場合がある。粒子速度が増大するにつれて、粒子は、メルトブローン気流中で繊維と更に完全に混合し始め、回収されたウェブに均一な分布を形成できる。粒子速度が増大し続けると、粒子は、一部がメルトブローン気流を通過して、回収されたウェブの下部に捕捉される。更に高い粒子速度では、粒子は、回収されたウェブに捕捉されずに、メルトブローン気流を完全に通過する可能性がある。
【0059】
別の実施形態では、2つの一般的に垂直な、斜めに配置されたダイであって、一般に対向するフィラメントの流れをコレクターに向けて噴出するダイを用いることで、粒子が2つのフィラメント気流の間に挟まれる。その一方で、収着剤粒子は、ホッパーを通過して第1シュートに入る。粒子は、フィラメントの流れに重力送りされる。粒子と繊維との混合物は、コレクターに到達し、粒子配合された自己支持性のある不織布ウェブを形成する。
【0060】
他の実施形態では、粒子は、振動フィーダー、排出装置、又は当業者に既知の他の技法を用いて提供される。
【0061】
多くの用途では、ウェブ全体にわたる実質的に均一な粒子分布が望ましい。不均一な分布が有利であり得る場合があってもよい。ウェブの深さ方向の勾配は、ディプスフィルトレーションのために利用可能な孔径分布に変化をもたらす場合がある。粒子を配合した表面を有するウェブは、濾過器に形成でき、そこで流路の前半で粒子に流体を暴露し、残りのウェブが、粒子の脱落を防ぐ支持体構造及び手段を提供する。流路はまた、メルトブローンウェブがプレ濾過器として機能して、一部の汚染物質を除去してから流体が粒子の活性な表面に到達することができるように、反転することも可能である。
【0062】
図2に示す別の実施形態では、2つの担体160間に回収されたウェブ110を含む濾過媒体200が示されている。示すように、ウェブ110は、親水性ポリマーメルトブローン繊維140と、親水性ポリマーメルトブローン繊維140に捕捉された複数の収着剤粒子120と、を含む。
【0063】
図3及び図3aに示す別の実施形態では、濾過器カートリッジ302が示されている。示すように、濾過器カートリッジ302は、多孔質シェル380内に捕捉された、図2に関連して説明した濾過媒体200を含む。多孔質シェル380は、濾過媒体200との流体連通を可能にする少なくとも1つの開孔382を含む。示すように、多孔質シェル380は、濾過媒体200を多孔質シェル380内に捕捉するために継ぎ目部で結合された2つの半体で形成されている。多孔質シェル380は、例えば、濾過器カートリッジ302が、重力流れ濾過システムなどの濾過システムに設置された場合に、濾過媒体200を保護することができる。
【実施例】
【0064】
別途注記のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、割合、及び比率等は、重量による。
【0065】
ポリプロピレン樹脂、オレフィン性エラストマー樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、及び熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂からの粒子配合メルトブローンウェブを、水浄化用途のための性能を特徴付ける粒子配合プロセスに従って形成したまま、処理された担体及び未処理の担体上に回収した。
【0066】
【表1】

【0067】
調製実施例:プラズマ処理担体
プラズマ処理した担体の場合、担体のプラズマ処理は、本願において別の箇所で説明した(すなわち、Baconらによる米国特許出願公開第2006/0139754号明細書に見られる)装置で行った。これらの実施例では、「処理」とはプラズマ処理を意味し、一方で、「未処理」とはプラズマ処理されていないことを意味する。
【0068】
実施例1〜4:配合ウェブ(ポリプロピレン系)
約10インチ(25.4cm)幅の配合ウェブのショートヤードのロールを次のような条件下で回収した。ポリプロピレンポリマーを6.9lb/hr(3.2kg/hr)で10インチ(25.4cm)幅のドリル穿孔オリフィスダイ(DOD)に通して押出成形した。ポリマー溶融温度は625°F(330℃)であった。ダイからコレクターまでの距離は8.5インチ(21.6cm)であった。基本ウェブ(配合微粒子なし)の試料を坪量73グラム/平方メートル(g/m)で回収し、Davies,C.N.,「The Separation of Airborne Dust and Particles」(Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings IB,1952)に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を評価した。空気の温度及び速度を調整して、有効繊維直径8ミクロン(μm)を得た。
【0069】
目標坪量と有効繊維直径を達成するように基本ウェブの条件を調節した後、微粒子混合物B611を粒子ローダーホッパーに加えて、所望の配合量の収着剤粒子を供給するようにフィードロールの速度を調節した。粒子ローダーチャンバへの空気圧を2psig(13.8kPa)に設定し、その結果、ウェブ全体にわたって粒子がほぼ一様に分散された。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例5〜8:配合ウェブ(メタロセン触媒オレフィン性エラストマー系)
約10インチ(25.4cm)幅の配合ウェブのショートヤードのロールを次のような条件下で回収した。メタロセン触媒オリフィス性エラストマーポリマーを6.1lb/hr(2.7kg/hr)で10インチ(25.4cm)幅のドリル穿孔オリフィスダイ(DOD)に通して押出成形した。ポリマー溶融温度は535°F(280℃)であった。ダイからコレクターまでの距離は8.5インチ(21.6cm)であった。基本ウェブ(配合微粒子なし)の試料を坪量67グラム/平方メートル(g/m)で回収し、Davies,C.N.の「The Separation of Airborne Dust and Particles」(Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings IB,1952)に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を評価した。空気の温度及び速度を調整して、有効繊維直径24ミクロン(μm)を得た(より高い押出温度での樹脂のブロッキング、及び使用した温度での空気速度の限界のために、有効繊維直径をこれ以上小さくすることができなかった)。
【0072】
目標坪量と有効繊維直径を達成するように基本ウェブの条件を調節した後、微粒子混合物B611を粒子ローダーホッパーに加えて、所望の配合量の収着剤粒子を供給するようにフィードロールの速度を調節した。粒子ローダーチャンバへの空気圧を2psig(13.8kPa)に設定し、その結果、ウェブ全体にわたって粒子がほぼ一様に分散された。
【0073】
【表3】

【0074】
実施例9〜18:配合ウェブ(ポリブチレンテレフタレート系)
約10インチ(25.4cm)幅の配合ウェブのショートヤードのロールを次のような条件下で回収した。ポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリマーを13.2lb/hr(6.0kg/hr)で10インチ(25.4cm)幅のドリル穿孔オリフィスダイ(DOD)に通して押出成形した。ポリマー溶融温度は580°F(305℃)であった。ダイからコレクターまでの距離は8.5インチ(21.6cm)であった。基本ウェブ(配合微粒子なし)の試料を坪量73グラム/平方メートル(g/m)、55g/m、及び87g/mで回収し、Davies,C.N.の「The Separation of Airborne Dust and Particles」(Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings IB,1952)に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を評価した。空気の温度及び速度を調整して、有効繊維直径7.5ミクロン(μm)を得た。
【0075】
目標坪量と有効繊維直径を達成するように基本ウェブの条件を調節した後、微粒子混合物B611を粒子ローダーホッパーに加えて、所望の配合量の収着剤粒子を供給するようにフィードロールの速度を調節した。粒子ローダーチャンバへの空気圧を2psig(13.8kPa)に設定し、その結果、ウェブ全体にわたって粒子がほぼ一様に分散された。
【0076】
【表4】

【0077】
実施例19〜22:配合ウェブ(熱可塑性ポリエステルエラストマー系)
約10インチ(25.4cm)幅の配合ウェブのショートヤードのロールを次のような条件下で回収した。熱可塑性ポリエステルエラストマーポリマーを8.8lb/hr(4.1kg/hr)で10インチ(25.4cm)幅のドリル穿孔オリフィスダイ(DOD)に通して押出成形した。ポリマー溶融温度は518°F(270℃)であった。ダイからコレクターまでの距離は7インチ(17.8cm)であった。基本ウェブ(配合微粒子なし)の試料を坪量65及び102グラム/平方メートル(g/m)で回収し、Davies,C.N.の「The Separation of Airborne Dust and Particles」(Institution of Mechanical Engineers,London Proceedings IB,1952)に記載の方法に従って有効繊維直径(EFD)を評価した。空気の温度及び速度を調整して、有効繊維直径25ミクロン(μm)及び18ミクロン(μm)を得た。
【0078】
目標坪量と有効繊維直径を達成するように基本ウェブの条件を調節した後、微粒子PGWH−150MPを粒子ローダーホッパーに加えて、所望の配合量の収着剤粒子を供給するようにフィードロールの速度を調節した。粒子ローダーチャンバへの空気圧を2psig(13.8kPa)に設定し、その結果、ウェブ全体にわたって粒子がほぼ一様に分散された。
【0079】
【表5】

【0080】
実施例1〜22の構成体のまとめを下記の表6に示す。有効繊維直径は、端数を最も近い半マイクロメートルに丸めた。
【0081】
【表6】

【0082】
水流装置
スチールの抜き型を使用して実施例1〜22のウェブの一部を打ち抜き、その結果、直径が4.7インチ(11.9cm)の媒体ディスクが得られた。
【0083】
リザーバ、媒体ホルダ、及び回収チャンバから水流装置を組み立てた。リザーバは、上部が開いたポリエチレン容器であり、1リットルの流体を保持することができた。リザーバには、下に配置された媒体ホルダとの流体連通を可能にする、底部にあけられた開孔があった。
【0084】
媒体ホルダは、それぞれアルミニウムから構成され、直径3.9インチ(9.9cm)の開口を有する上部シリンダ及び底部シリンダを含み、担体を媒体ディスクの下流側に向けた状態で、濾過媒体ディスクを上部シリンダと底部シリンダとの間に配置した。リザーバに注がれた流体が、重力の作用を受けて上部シリンダに流入するように、媒体ホルダの上部シリンダをリザーバの開孔と位置合わせしてリザーバの底部に取り付け、封止した。媒体ディスクを上部シリンダ内のシリンダ凹部に置き、底部シリンダを媒体を介して配置し、所定の位置にボルト留めした。ボルトを締めることで、媒体ディスク内に流体が通過する、遮るもののない3.9インチ(9.9cm)の直径部分を残しながら、媒体を上部シリンダと底部シリンダとの間に挟んで締め付けた。媒体ディスクを締め付けることで封止が形成され、そのため、媒体ホルダに流入した流体は、媒体ディスクを迂回することができないことになった。底部シリンダには、流体が媒体ホルダから流れ出て、回収チャンバに流入するのを可能にする、媒体ディスクの下にある1.2インチ(3cm)の開口があった。
【0085】
回収チャンバは、リザーバ及び媒体ホルダを作業面よりも上に持ち上げるように構成されたポリエチレン容器であり、そのため、ビーカーを媒体ホルダの下に置いて、媒体ホルダの底部にある1.2インチ(3cm)の開口から落下した流体を捕捉することができた。回収チャンバには、ビーカーを容易に配置し、取り出すことができるようにし、ビーカーによって捕捉されない流体が回収チャンバから流れ出ることができるようにもする、開いた側部があった。
【0086】
試験方法
標準的な実験室環境条件において、上記のように媒体ディスクを水流装置内に配置した。過剰な流体がドレインに流入できるように、水流装置をドレイン上に配置した。上記のように、回収チャンバ内にビーカーを配置した。リザーバの開いた上部からリザーバに水道水(City of Eagan,Minnesota)1リットルを注いだ。その水は、重力の作用を受けて媒体ホルダに流入して、媒体ディスクに接触した。媒体ディスクを通過した水が媒体ホルダから出て、ビーカー内に回収された。水が媒体ディスクを通過するのに要した時間をストップウォッチで記録した。
【0087】
各実施例に対して、最初に注入した後、ビーカーに回収された水を清浄な試料セルに注ぎ、その試料セルを比濁計(Hach Company(Loveland,Colorado)から入手可能なHach 2100P Portable Turbidimeter)に挿入することにより、その水の濁度を分析した。計器に付属するメーカーの説明書に従って試料セルを分析し、比濁計濁度単位(NTU)で記録した。最初に水を媒体に通したときに、許容できない量の微粒子が媒体ディスクから脱落したかどうかを特定するためにこの初期濁度を試験した。濁度データを下記の表7に示す。
【0088】
【表7】

【0089】
表7のデータから分かるように、測定した濁度は、試験した全ての実施例で約10NTU以下であった。濁度については、約20NTU未満の値が許容範囲内であると考えられる。これらのデータは、試験した実施例の場合、初期排出時に、媒体に捕捉された微粒子のうちのごくわずかしか(又は全てが)取り除かれず、脱落しなかったことを示す。例えば、粒状活性炭(GAC)の凝集ブロックを含む先行技術の媒体が、炭素の脱落により100NTUを超える初期濁度を示す場合があることから、この結果は意義深い。そのような高い脱落度により、水の見かけが、通常はエンドユーザにとって望ましくない、非常に濁ったものになり得る。実施例1、5、9、19、21については、これらの調整用ウェブが収着剤粒子を配合されていなかったため、濁度データを示していない。実施例2、4については、媒体を通過した流れが実質的になく、したがって、濁度を試験する水がビーカー内になかったため、濁度データを示していない。
【0090】
各実施例に対して濁度試験を行ったのに続いて、更に4回、上記のように1リットル注入を行った。注入1〜5の任意の間に媒体が乾ききらないようにした。注入1〜5の流れデータを下記の表8に示す。便宜上、注入1〜5の平均流れデータを表8にまとめており、平均時間は、端数を最も近い秒に丸めた。1000mL(1L)を単位が秒の平均時間で除することにより、表9のミリリットル毎秒の平均流量を計算した。
【0091】
【表8】

【0092】
【表9】

【0093】
注入1〜5の条件下で、TYPE 3860Xポリマーから構成されるウェブを有する実施例は、VISTAMAXX 2125、CELENEX 2008、及びHYTRELから構成されるウェブを有する実施例と比較して、流量の点で完全に劣っていたことが、表9にまとめたデータから分かる。注入1〜5の条件下で、CELENEX 2008及びHYTRELポリマーから構成されるウェブを有する実施例は、VISTAMAXX 2125から構成されるウェブを有する実施例と比較して、流量の点で良好に機能したことも分かる。担体を有する実施例のみを考察して、注入1〜5の条件下の実施例の平均相対流れ性能を下記のチャート1に示す。
【0094】
【表10】

【0095】
上記した初期の5回の注入後、実施例7〜8(VISTAMAXX 2125)、及び実施例17〜18(CELENEX 2008)のそれぞれの媒体ディスクを水流装置からそれぞれ取り出し、24時間の間、強制空気炉内で乾燥させた。この炉を110℃の温度に設定した。次いで、各媒体ディスクを炉から取り出した。
【0096】
炉で乾燥させた後、各媒体ディスクを上記の水流装置内に再設置した。次いで、上記の注入及び時間計測プロセスを使用して、各媒体ディスクに対して、更に5回の1リットル注入を行った。注入6〜10の任意の間に媒体が乾ききらないようにした。これらの更なる注入を行うことの意図は、(i)同じ基本ポリマーからなり、(ii)同じ坪量及び微粒子配合を有するが、担体を処理したものと未処理のものとがある媒体ディスクを乾燥させ、その後、再度湿らせた後の、媒体の流れ特性への影響を試験することにあった。注入6〜10の流れデータを下記の表10に示す。便宜上、注入6〜10の平均流れデータを、表11及びチャート2にまとめており、表11では、平均時間は、端数を最も近い秒に丸めている。1000mL(1L)を単位が秒の平均時間で除することにより、表10のミリリットル毎秒の平均流量を計算した。
【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
【表13】

【0100】
初期に湿らせた後、媒体ディスクを乾ききらせた条件では、プラズマ処理した担体を有する媒体ディスクが、より良好な流れ性能を示したことが、上記の表10、11及びチャート1から分かる。これらの条件下で、実施例7及び8のVISTAMAXX 2125の場合、水は、未処理担体を有するウェブと比較して、処理担体を有するウェブを平均で約2.9倍素早く通過した。同様に、実施例17及び18のCELENEX 2008ウェブの場合、水は、未処理担体を有するウェブと比較して、処理担体を有するウェブを平均で約3.5倍素早く通過した。
【0101】
この発明の種々の修正及び変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことは、当業者には分かるであろう。本発明は、本明細書において説明した例示の実施形態に制限されないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過媒体であって、
担体と、
前記担体に配置されたウェブと、を含み、
前記ウェブは、
親水性ポリマーメルトブローン繊維、及び
前記親水性ポリマーメルトブローン繊維に捕捉された複数の収着剤粒子、を含み、
前記担体は多孔質シートを含み、かつ担体坪量を有し、
前記ウェブはウェブ坪量を有し、前記親水性ポリマーメルトブローン繊維は、前記ウェブ坪量の少なくとも3%を構成し、前記複数の収着剤粒子は、最大で前記ウェブ坪量の97%を構成する、濾過媒体。
【請求項2】
前記親水性ポリマーメルトブローン繊維は、前記ウェブ坪量の少なくとも12%を構成し、前記複数の収着剤粒子は、最大で前記ウェブ坪量の88%を構成する、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項3】
前記ウェブ坪量は、約10g/m〜約2000g/mの範囲内にある、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項4】
前記ウェブ坪量は、約400g/m〜約600g/mの範囲内にある、請求項3に記載の濾過媒体。
【請求項5】
前記担体坪量は、約40g/m〜約120g/mの範囲内にある、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項6】
前記担体坪量は、約90g/m〜約110g/mの範囲内にある、請求項5に記載の濾過媒体。
【請求項7】
前記親水性ポリマーメルトブローン繊維にはPBTが含まれる、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項8】
前記親水性ポリマーメルトブローン繊維には、熱可塑性ポリエステルエラストマーが含まれる、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項9】
前記多孔質シートは親水性である、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項10】
前記多孔質シートには、親水性の化学的性質を有するように官能基化されたPETが含まれる、請求項9に記載の濾過媒体。
【請求項11】
前記多孔質シートにはポリアミドが含まれる、請求項9に記載の濾過媒体。
【請求項12】
前記多孔質シートには、ポリエステル芯部及びポリアミドのシースを備える不織布が含まれる、請求項11に記載の濾過媒体。
【請求項13】
前記ポリマーメルトブローン繊維は、約2μm〜約50μmの範囲内の平均繊維直径を有する、請求項1又は請求項7〜8のいずれか一項に記載の濾過媒体。
【請求項14】
前記ポリマーメルトブローン繊維は、約6μm〜約14μmの範囲内の平均繊維直径を有する、請求項13に記載の濾過媒体。
【請求項15】
前記ポリマーメルトブローン繊維は、約16μm〜約30μmの範囲内の平均繊維直径を有する、請求項13に記載の濾過媒体。
【請求項16】
前記収着剤粒子は、活性炭、珪藻土、イオン交換樹脂、金属イオン交換収着剤、活性アルミナ、抗菌化合物、酸性ガス吸着剤、ヒ素還元物質、ヨウ素化樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項17】
前記収着剤粒子は、250μm以下の平均粒径を有する、請求項16に記載の濾過媒体。
【請求項18】
前記収着剤粒子には、約180μm〜約220μmの範囲内の平均粒径を有する活性炭が含まれる、請求項17に記載の濾過媒体。
【請求項19】
前記収着剤粒子には、約130μm〜約180μmの範囲内の平均粒径を有する活性炭が含まれる、請求項17に記載の濾過媒体。
【請求項20】
前記ウェブは、約0.20g/cm〜0.50g/cmの範囲内の収着剤粒子密度を有する、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項21】
前記ウェブは、収着剤粒子密度勾配を有する、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項22】
前記ウェブは、カレンダー加工、熱誘導圧縮、又は加圧によって固められる、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項23】
前記ウェブは、2秒以下のガーレー時間を有する、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項24】
周囲条件下で毎秒5.3cmの空気の一定の前面速度における圧力低下が、150mm水柱以下である、請求項1に記載の濾過媒体。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の濾過媒体を含む濾過器カートリッジであって、前記濾過媒体の少なくとも一部は多孔質シェル内に捕捉される、濾過器カートリッジ。
【請求項26】
ウェブを含む濾過媒体であって、
前記ウェブは、
親水性ポリマーメルトブローン繊維と、
前記親水性ポリマーメルトブローン繊維に捕捉された複数の収着剤粒子と、を含み、
前記ウェブはウェブ坪量を有し、前記親水性ポリマーメルトブローン繊維は、前記ウェブ坪量の少なくとも3%を構成し、前記複数の収着剤粒子は、最大で前記ウェブ坪量の97%を構成する、濾過媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【公表番号】特表2012−523312(P2012−523312A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504815(P2012−504815)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030208
【国際公開番号】WO2010/118112
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】