説明

重合性化合物、その重合体、ならびにそれを用いた薄膜、電荷輸送材料及び光導電性材料

【課題】電荷輸送材料の機能膜の作製に有用な新規な重合性化合物、及び重合体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる重合性化合物、及びその重合体である。X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、芳香族基又は複素環基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材料、表示材料として有用な光導電性材料、電界発光素子及び、二次電池、燃料電池等に利用可能な電荷輸送材料、ならびに電荷輸送材料の作製に有用な新規な化合物及びその重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学デバイスは、コンピューターディスプレイ、グラフィックディスプレイ、標識ディスプレイ、看板やビジュアルサイン、照明、光検出器などの様々な電子製品で使用されることがある。電気光学デバイスの例には、エレクトロルミネセンスデバイス及び有機発光電気化学セルがある。一般に、電気光学デバイスの設計及び動作には、光エネルギーと電気エネルギーとの間の変換の原理が組み込まれている。その上、電気光学デバイスの設計及び動作は、一部では電気光学デバイス中における電極と隣接媒体との間での電荷輸送に依存している。残念ながら、電極(例えば、陰極)と隣接媒体(例えば、光を放出する活性層)との間での電荷輸送の効率が悪いと、電気光学デバイスの動作に問題が生じることがある。
【0003】
有機EL素子は、発光層又は発光層を含む複数の有機化合物層と、該有機化合物層を挟んだ対向電極とから構成されている。有機EL素子は、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機化合物層において再結合し、生成した励起子からの発光、及び/又は、前記励起子からエネルギー移動して生成した他の分子の励起子からの発光を利用した、発光を得るための素子である。
【0004】
これまで有機EL素子は、機能を分離した積層構造を採ることにより、輝度及び素子効率が大きく改善され発展してきた。例えば、正孔輸送層と発光兼電子輸送層とを積層した二層積層型素子や、正孔輸送層と発光層と電子輸送層とを積層した三層積層型素子や、正孔輸送層と発光層と正孔阻止層と電子輸送層とを積層した四層積層型素子がよく用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
従来から、このような有機EL素子や光導電性撮像素子等の電子デバイスにおいて、光・電子変換機能を有する低分子量有機化合物の薄膜、中でもフレキシビリティーに富むアモルファス膜が好適に用いられている。これらの低分子量有機化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ−[(1−ナフタレニル)−N,N’−ジフェニル]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等が知られており(非特許文献1参照)、アモルファス膜としては、これら自身からなるアモルファス膜や、成膜性が悪いものについては、ポリカーボネート樹脂のようなバインダー樹脂と当該低分子量有機化合物とを有機溶剤に溶解させ、これを塗布、乾燥して得られたアモルファス膜が用いられている(非特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、従来、知られているこれら低分子量有機化合物を用いて形成されたアモルファス膜は、結晶化する傾向があるため、膜強度が不十分であるという問題や、バインダー樹脂を用いた場合に、当該低分子量有機化合物の有する機能がバインダー樹脂に希釈されてしまうためキャリア移動度等の電気特性が低下するという問題がある。
【非特許文献1】電子材料,2001年12月号,pp. 18−23(2001)
【非特許文献2】Appl. Phys. Lett.,Vol. 61,p. 761(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、電荷輸送材料の機能膜の作製に有用な新規な重合性化合物、及び重合体を提供することである。
また、本発明の他の課題は、電荷輸送層として高い電荷移動度を示すとともに、強度が良好な薄膜を提供することである。
また、本発明の他の課題は、高い電荷移動度を示す電荷輸送材料、及びそれを利用した新規な光導電材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(1)で表わされる重合性化合物:
【化1】

一般式(1)中、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、芳香族基又は複素環基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。
【0009】
[2] 下記一般式(2)で表わされる重合性化合物:
【化2】

一般式(2)中、Ar4は芳香族基又は複素環基を表し;L4は単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P4は重合性基を表す。
【0010】
[3] 下記一般式(3)で表わされる重合性化合物:
【化3】

一般式(3)中、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。
【0011】
[4] 下記一般式(4)で表される重合性化合物:
【化4】

一般式(4)中、L4は単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P4は重合性基を表す。
【0012】
[5] [1]〜[4]のいずれかの重合性化合物の単独重合体又は共重合体。
[6] [1]〜[4]のいずれかの重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は[5]の重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とする薄膜。
[7] [1]〜[4]のいずれかの重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は[5]の重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とする電荷輸送材料。
[8] 光を吸収して電荷分離を行い電荷を発生する電荷発生層と、[1]〜[4]のいずれかの重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は[5]の重合体の少なくとも1種を含有する電荷輸送層とを含む光導電性材料。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電荷輸送材料の機能膜の作製に有用な新規な重合性化合物、及び重合体を提供することができる。
また、本発明によれば、電荷輸送層として高い電荷移動度を示すとともに、強度が良好な薄膜を提供することができる。
また、本発明によれば、高い電荷移動度を示す電荷輸送材料、及びそれを利用した新規な光導電材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
[重合性化合物]
本発明は、下記一般式(1)〜(4)で表される重合性化合物に関する。これらの化合物は、重合性基を有するので、表面に塗布後、単独で又は他の重合性モノマーとともに重合させることで、薄膜を形成可能である。これらの化合物の中には所定の温度範囲おいて液晶相を形成するものがある。かかる化合物を利用して、重合反応を液晶相となる温度範囲で進行させることにより、液晶相の構造を維持する、高い電荷輸送性を示す薄膜を形成することができる。さらに、重合反応により硬化させて薄膜化することにより、強度の高い薄膜を提供できる。この薄膜は、高い電荷輸送性と強固さを有するので、電子写真、電界発光素子、二次電池、燃料電池等、様々な分野への応用が可能である。
【0016】
以下、式(1)〜(4)の化合物について詳細に説明する。なお、本明細書中に、式(1)〜(4)の化合物の説明について、「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルキレン基」の用語は、特に断らない限り、直鎖状及び分岐鎖状のそれぞれを含む意味で用いられ、また、特に「無置換」であると断らない限り、置換基を有するそれぞれを含む意味で用いる。「シクロアルキル基」についても同様である。また、「アリール基」、「ヘテロ環基」、「アリーレン基(2価の基)」の用語については、特に断らない限り、それぞれの環が他の環と縮環している基も含む意味であり、また、特に「無置換」であると断らない限り、置換基を有するそれぞれの基を含む意味で用いる。また、「アルキル基」、「アルケニル基」及び「アルキニル基」は、それぞれシクロアルキル基、シクロアルケニル基及びシクロアルキニル基も含む意味で用いるものとする。また、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を有する置換基(例えばアルコキシ基等)の用語は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及びシクロアルキニル基を有する置換基も含む意味で用いるものとする。
【0017】
【化5】

【0018】
一般式(1)中、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、芳香族基又は複素環基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。
【0019】
【化6】

【0020】
一般式(2)中、Ar4はそれぞれ、芳香族基又は複素環基を表し;L4はそれぞれ、単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P4はそれぞれ、重合性基を表す。
【0021】
【化7】

【0022】
一般式(3)中、X1、X2、X3、L1、L2、L3、P1、P2及びP3は各々、一般式(1)中のそれぞれと同義である。
【0023】
【化8】

【0024】
一般式(4)中、L4及びP4はそれぞれ、一般式(2)中のそれぞれと同義である。
【0025】
一般式(1)及び(3)において、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、炭素原子数が1〜30のアルキル基又は水素原子)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基である。これらの組み合わせからなる二価の連結基としては、例えば、オキシカルボニル基、ウレイレン基、オキシスルホニル基、−NR1CO−、−SO2NR11−(R11は、炭素原子数が1〜30のアルキル基又は水素原子)等を挙げることができる。ここでいう二価の連結基の具体例は、トリアジン環側から置換フェニル基へ向けた構造として名称を列挙している。X1、X2及びX3は、硫黄原子、酸素原子又はNR1基であるのが好ましく、R1は、炭素原子数が3以下のアルキル基、又は水素原子が好ましい。X1、X2及びX3は、イミノ基(−NH−)であるのがより好ましい。また、X1、X2及びX3は同一であることが好ましい。
【0026】
一般式(1)〜(4)において、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立に、芳香族基又は複素環基を表す。芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環及びピレン環が挙げられる。ベンゼン環やナフタレン環が好ましい。芳香族基は置換基を有していてもよい。
複素環基は、5員、6員又は7員の複素環を有することが好ましい。5員環又は6員環がさらに好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環が含まれる。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。ただし、単環式複素環が好ましい。芳香族基と同様に、置換基を有していてもよい。
【0027】
芳香族基又は複素環基が有していてもよい置換基の具体例として、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素原子数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素原子数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素原子数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素原子数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニルチオ、4−ヘキサノイルアミノフェニルチオ、2−ベンズアミドフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ、1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N'−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
また、一般式(1)及び(3)において、Ar1、Ar2及びAr3は、互いに同一であることが好ましい。
【0029】
一般式(1)及び(3)において、L1、L2、及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基(好ましくは炭素原子数2〜12のアルキレン基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;一般式(2)及び(4)において、L4は各々独立に、単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。L1、L2、L3及びL4はそれぞれ、好ましくは、酸素原子、炭素原子数2〜12のオキシアルキレン基、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、カルボニルオキシ基及びカルボニル基であり、オキシカルボニル基及びカルボニル基がより好ましい。また、一般式(1)及び(3)において、L1、L2及びL3は互いに同一であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)〜(4)において、P1、P2、P3及びP4は重合可能な置換基を示す。P1、P2、P3及びP4の好ましい例として、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基等が挙げられ、特に。また、一般式(1)及び(3)において、P1、P2及びP3は互いに同一であることが好ましい。
【0031】
以下に本発明の一般式(1)〜(4)で表わされる重合性化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
本発明の化合物は、種々の反応を組み合わせて製造することができる。例えば、トリアジン環母核となる円盤状化合物に、側鎖を導入するための試薬を反応させる方法(例えば塩化シアヌルの求核置換反応やカップリング反応等)、及び側鎖部位を有する化合物を出発原料として用いて、環状構造を構築してトリアジン環化合物とする方法;等によって製造することができる。中でも、塩化シアヌルと活性水素を持った化合物(アミン、アニリン、アルコール、フェノール、チオアルコール、チオフェノール等の誘導体が挙げられる)との反応より合成する方法が好ましい。具体的には、後述する合成例を参考にすることができる。
【0037】
反応溶媒としては、ハロゲン化炭化水素系有機溶媒(例えばジクロロメタン)、エステル系有機溶媒(例えば、酢酸メチル又は酢酸エチル)、ケトン系有機溶媒(例えばアセトン又はメチルエチルケトン)、エ−テル系有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン)、ニトリル系有機溶媒(例えばアセトニトリル又はプロピオニトリル)、アミド系有機溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)又はヘキサメチルリン酸トリアミド)、又は、スルホキシド系有機溶媒(例えばジメチルスルホキシド等)が挙げられる。また、必要ならば、触媒、塩基を用いてもよい。
【0038】
本発明の一般式(1)〜(4)で表わされる重合性化合物は、液晶性化合物であっても、非液晶性化合物であってもよい。液晶性化合物であるのが好ましく、特にカラムナー液晶相、ディスコティックネマチック液晶相を示すことが望ましい。本発明の一般式(1)〜(4)で表わされる化合物は単独で用いられてもよいが、任意の比で混合して用いられてもよく、前記一般式(1)〜(4)の化合物以外の種々の化合物と混合して用いられてもよい。例えば、界面活性剤等の低分子、ポリカーボナート等の合成高分子、セルロース誘導体等の天然高分子由来の化合物、液晶性、非液晶性のいずれの化合物とも併用することができる。また、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂の原料として用いられるモノマー等の分子間もしくは分子内に新たに結合を形成し得る化合物;及キシレン等の容易には新たな結合を形成し得ない化合物;いずれとも併用することができる。併用可能な化合物の例には、特開平07−306317号公報及び特開平07−309813号公報に記載のトリフェニレン誘導体(円盤状化合物)、更には特開平08−302355号公報に記載の化合物が含まれる。
【0039】
また、本発明は、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される重合性化合物の単独重合体又は共重合体にも関する。本発明の重合体は、前記一般式(1)〜(4)の少なくとも一種を、重合開始剤の存在下で、重合させることで得られる。重合開始剤としては、後述する光重合開始剤及び熱重合開始剤が挙げられる。なお、前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される重合性化合物の単独重合体又は共重合体における重合性基(P1、P2、P3及びP4)のうち、50%以上が重合反応で消費されていることが、重合後の膜強度保持の観点で好ましい。重合性基の消費率は膜状態試料の赤外(IR)吸収スペクトルまたは固体核磁気共鳴分光(NMR)法により評価することができる。
【0040】
本発明は、本発明の重合性化合物、及び/又は重合体を含有する薄膜にも関する。本発明の薄膜は、例えば、以下の方法で作製することができる。
まず、本発明の重合性化合物を含有する重合性組成物を塗布液として調製する。前記重合性組成物中には、前記重合性化合物とともに、重合開始剤を添加するのが好ましい。重合開始剤については特に制限はない。光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれであってもよく、前記重合性化合物が有する重合性基(P1、P2、P3及びP4)に応じて選択することができる。
【0041】
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物、アシロインエーテル、アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマー/p−アミノフェニルケトンの組み合わせ、アクリジン及びフェナジン化合物、オキサジアゾール化合物等が含まれる。前記組成物中、光開始剤系の量は、一般的には、溶媒を除いた塗布組成物の0.01〜20質量%程度であり、0.5〜5質量%であるのが好ましい。
光重合開始剤とともに、トリエタノールアミン、ジエタノールアニリン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ミヒラーケトン等を併用することができる。有機アミン化合物の添加量は全光重合開始剤の50〜200質量%が好ましい。更に、光重合開始剤とともに、必要に応じて、N−フェニルグリシン、2−メルカプトベンゾチアゾール、N,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル等の水素供与性化合物を添加して、光重合開始能力をさらに高めることができる。また、酸素による重合阻害を抑制するために、界面活性剤を少量添加することも効果的である場合が多い。
【0042】
式中、P1、P2、P3及びP4がエポキシ基である前記一般式(1)〜(4)で表される化合物の重合には、紫外線活性化カチオン触媒を利用するのが好ましい。カチオン触媒の好ましい例には、アリルジアゾニウム塩(ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボラート)、ジアリルヨードニウム塩、及びVIa族アリロニウム塩(PF6-、AsF6-、SbF6-のようなアニオンをもつアリルスルホニウム塩)が好ましく用いられる。
【0043】
加熱により重合を開始及び進行させて結合を形成する場合は、反応を促進するための物質を、前記組成物中に添加することも可能である。促進物質の例には、塩基が含まれ、より具体的には、水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムが挙げられる)、アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドが挙げられる)、水素化金属(例えば、水素化ナトリウム、水素化カルシウムが挙げられる)、アミン(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)、1,4−ジアザ〔2,2,2〕ビシクロオクタン(DABCO)が挙げられる)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる)、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが挙げられる)が挙げられる。
また、前記促進物質の他の例には、金属化合物(例えば、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ、オクタン酸スズ、亜鉛アセチルアセトナートが挙げられる);及び酸(例えば硫酸及び塩酸等の鉱酸;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、サリチル酸及びその誘導体等のカルボン酸;及びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸)が含まれる。
【0044】
前記塗布液の調製に用いる溶媒についても特に制限はない。用いられる溶媒は、一般的には、沸点が大気圧下30〜200℃、好ましくは30〜150、さらに好ましくは30〜130℃の有機溶媒である。より具体的には、2−ブタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、酢酸エチル、1−ブタノール、フルオロベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、アセトン、塩化メチレン等が挙げられる。
【0045】
次に、前記重合性組成物の塗布液を表面に塗布する。塗布の方法には特に制限はない。スピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により支持体の表面上に塗布することができる。
また、蒸着法などを利用して、支持体等の表面に重合性化合物を含有する層を形成することもできる。
支持体の素材についても特に制限はない。例えば、ガラス及びポリマーのいずれも利用することができる。該ポリマーの例には、ノルボルネン系樹脂(例えば、“ARTON”(日本合成ゴム)、シクロオレフィン系ポリマー(“ゼオネックス”(日本ゼオン))、セルロースアシレート(“フジタック”(富士フイルム))、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンが含まれる。支持体は透明であってもよいし、不透明であってもよい。用途に応じて選択される。支持体上には必要に応じてアルミニウム、金、白金などの金属が蒸着されていてもよいし、イリジウム−スズ−酸化物(ITO)のような導電性化合物の層が形成されていてもよい。また、後述する他の機能層を有する支持体上に、本発明の薄膜を形成してもよい。
【0046】
次に、重合を進行させて塗布層を硬化させて薄膜を形成する。重合は、光を照射することによって、及び/又は加熱することにより開始させることができる。
重合用の光線としては、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要に応じて用いることができるが、一般的には、紫外線が用いられる。その光線としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)が挙げられる。
【0047】
なお、重合は不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素)下で行われることが重合速度の点で好ましい。
【0048】
重合前、及び/又は重合時に、加熱してもよい。特に、液晶性を示す重合性化合物を利用する態様では、前記重合性組成物を表面に塗布後、液晶相形成温度範囲内の温度まで加熱し、ディスコティックネマチック相又はディスコティック相等を形成させるために一定時間熱処理して、その配向状態を維持しつつ、熱重合又は光重合させ、その後冷却することによって所望の薄膜を得ることができる。
一方、液晶性を示さない重合性化合物を利用する態様では、融点以上の温度領域において、上記と同様に熱重合又は光重合させ、その後冷却することによって所望の薄膜を得ることができる。
【0049】
なお、紫外線による光重合開始剤を用いるラジカル重合やカチオン重合は一般に極めて重合速度が大きく、製造工程では生産性の点で好ましい。
【0050】
また、本発明の薄膜は、本発明の重合性化合物を単独でもしくは他のモノマーとともに重合した後、該重合体を利用して薄膜を形成してもよい。上記と同様に、重合体を所定の溶媒に溶解して、塗布液を調製し、該塗布液を表面に塗布して、薄膜を形成することができる。また、蒸着法などを利用して、薄膜化してもよい。
【0051】
本発明の薄膜の厚みについては特に制限はない。用途に応じて決定することができる。一般的には、0.1〜30μm程度であり、20μm以下が好ましい。
【0052】
本発明の薄膜は、上記した通り、支持体上に形成することができる。そのまま種々の用途、例えば、光導電性材料の作製に利用することができる。また、所望により、本発明の薄膜の上又は下に、他の機能層を配置することができる。他の機能層の例には、電荷発生層、光吸収層、及び電極層等が含まれる。
【0053】
電極層は、金、白金、銀、マグネシウム、アルミニウムのような金属により形成することができる。該電極層の形成には、蒸着法が一般にしばしば用いられるが、化学的方法、及び電気的方法により作製してもよい。
【0054】
本発明の薄膜は、主に紫外光を吸収するので、例えば、エキシマーレーザー、YAG第3高調波、N2レーザー等の紫外光レーザーと組み合わせると、光電荷発生能を示す。
一方、本発明の薄膜の上層又は下層に、可視光又は赤外光を吸収して電荷を発生し得る電荷発生層を配置すると、本発明の薄膜を電荷輸送層として利用し、可視光(例えばYAG第2高調波)又は赤外光(例えばYAGレーザー、半導体レーザー)の照射によって電荷発生能を示す、光電荷発生輸送材料、すなわち光導電性材料の作製が可能である。なお、本発明の薄膜は、正孔輸送層として利用されるのがより好ましい。電荷発生層は、一般的に、色素を適当な溶媒に溶解して調製した塗布液を、スピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの方法で塗布することにより作製することができる。また、同材料を蒸着することにより作製することができる。また、色素顔料を適当なポリマー(ポリエステル、ポリエチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート等)中に固体分散させた組成物を、塗布することにより作製することができる。固体分散には、ペイントシェーカー、サンドグラインダーミル等などが用いられる。
【0055】
なお、一般に、可視光を吸収する色素及び顔料としては、フタロシアニン系、ペリレン系、多環キノン系、アゾ系の化合物等を使用できる。また、赤外光を吸収する色素及び顔料としては、フタロシアニン系、アズレニウム系の化合物等を使用できる。電荷発生層として、電子写真の分野で知られた化合物(例えば電子写真学会編、電子写真技術の基礎と応用、440−442ページ(コロナ社、1988年刊)に記載された化合物が挙げられる)を含む層を利用してもよい。
【0056】
また、本発明の薄膜上に、保護膜を形成してもよい。保護膜用素材としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイミド共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質及びシランカップリング剤などの有機物質を挙げることができる。また、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド及びステアリン酸メチルなどのラングミュア・ブロジェット法(LB法)により形成される累積膜も用いることができる。
【0057】
上記では、本発明の重合性化合物又は重合体を利用して、薄膜状に成形する方法について説明したが、薄膜状のみならず、種々の形態に成形して、光導電性材料及び電荷輸送材料等として利用することができる。例えば、鋳型を用いて種々の形状に成形することができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に制限されるものではない。
【0059】
・ 実施例1(例示化合物の合成例)
(化合物B−1)
下記反応方法に従って、本発明化合物B−1を合成した。
《側鎖のメタンスルホニル体の合成》
4−ヒドロキシブチルアクリレート(50.0g、346mmol)及びトリエチルアミン(38.6g、382mmol)をテトラヒドロフラン430mLに加え、攪拌して溶液を得た。この溶液を0℃に冷却してメタンスルホニルクロリド(40.9g、357mmol)をゆっくりと滴下した。反応液を室温にて2時間攪拌した後、水500mLを加え、酢酸エチルにて抽出した。抽出液を飽和食塩水及び無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、減圧下にて溶媒を留去し、側鎖のメタンスルホニル体を得た。
【0060】
《フェノール誘導体の合成》
還流冷却器及び温度計を装着した500mLの反応容器に、メチルエチルケトン100mL及びシアヌルクロリド(9.22g、0.05mol)を加え、撹拌して溶液を得た。溶液を室温にてN−メチルアミノフェノール硫酸塩(28.4g、0.165mol)を添加した。その後、酢酸ナトリウム(27.1g、0.33mol)を水60mLに溶解させた水溶液をゆっくりと滴下した。室温にて30分攪拌した後、98℃で3時間加熱撹拌した。室温に冷却後、溶媒を減圧留去して、水50mL及びアセトン10mLを加えて固体状態の粗生成物を得た。個体生成物を濾過分取後、水により洗浄した。真空下にて減圧乾燥させて、22.1gg(収率99%)のフェノール誘導体を得た。
【0061】
《化合物B−1の合成》
上記で得られたフェノール誘導体(8.00g、18.0mmol)、側鎖のメタンスルホニル体(14.0g、63.0mmol)及び炭酸カリウム(9.95g、72.0mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド110mLに添加し、80℃にて7時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、酢酸エチル200mL及び水200mLを添加し、抽出操作を行った。酢酸エチルからなる抽出液を、飽和食塩水及び無水炭酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下にて溶媒を留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製を行い、化合物B−1(5.22g、収率35.2%)を得た。
【0062】
なお、他の例示化合物A−1〜A−8及びC−4については、前記合成例において、N−メチルアミノフェノール硫酸塩をp−アミノフェノールに代えることで、同様に合成することができる。
また、他の例示化合物C−1〜C−2及びC―5については、前記合成例において、N−メチルアミノフェノール硫酸塩をp−ブロモフェノールまたはm−ブロモフェノールに代えることで、同様に合成することができる。
また、他の例示化合物C−3については、前記合成例において、N−メチルアミノフェノール硫酸塩をp−ヒドロキシチオフェノールに代えることで、同様に合成することができる。
【0063】
(化合物D−1)
下記反応方法に従って、本発明化合物D−1を合成した。
《トリアジン中間体1の合成》
還流冷却器及び温度計を装着した300mLの反応容器に、シアヌルクロリド(2.68g、14.5mol)および炭酸カリウム(6.63g、48.0mol)をN,N−ジメチルアセトアミド50mLに添加した。氷冷下にて攪拌しながら、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン(10.0g、43.6mmol、和光純薬工業株式会社製)を少量ずつゆっくりと添加した。その後、室温にて2時間、80℃で5時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、酢酸エチル100mL及び水100mLを添加し、抽出操作を行った。酢酸エチルからなる抽出液を、飽和食塩水及び無水炭酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下にて溶媒を留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製を行い、トリアジン中間体1(4.57g、収率41.3%)を得た。
【0064】
《トリアジン中間体2の合成》
上記で得られたトリアジン中間体1(4.57g、5.99mmol)をジクロロメタン30mLに添加し、−78℃にて攪拌した。この溶液に三臭化ホウ素1mol/Lクロロホルム溶液(39.5mL、39.5mmol)をゆっくりと滴下した。その後、0℃にて1時間、室温にて3時間攪拌を行った。氷冷下、この反応液に水50mLを滴下した後、30分間攪拌を行った。反応溶液を室温まで戻した後、ジクロロメタン及び水を添加し、抽出操作を行った。ジクロロメタンからなる抽出液を、飽和食塩水及び無水炭酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた固体を水及びアセトンにて洗浄することにより、トリアジン中間体2(1.30g、収率31.9%)を得た。
【0065】
《化合物D−1の合成》
上記で得られたトリアジン中間体2(1.30g、1.91mmol)、上記で合成した側鎖のメタンスルホニル体(3.82g、17.2mmol)及び炭酸カリウム(2.38g、17.2mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド20mLに添加し、80℃にて7時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却後、酢酸エチル及び水を添加し、抽出操作を行った。酢酸エチルからなる抽出液を、飽和食塩水及び無水炭酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下にて溶媒を留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製を行い、化合物D−1(1.17g、収率42.6%)を得た。
【0066】
なお、他の例示化合物D−2〜D−7についても、適宜該当する構造の側鎖のメタンスルホニル体を試薬として選択することにより、前記合成例と同様に合成することができる。
【0067】
・ 実施例2(薄膜作製−1)
2cm×2cmのITOコートガラス(一部電極とするためテープでマスク済み)上に、本発明の化合物B−1の20質量%溶液100μLを100rpmにてスピンコートで塗布して、化合物B−1の薄膜を形成した。
この薄膜をホットプレート上にて120℃まで加熱して後、紫外線照射装置(ULTRA−VIOLET PRODUCTS社製UVSL−58(16W))を使用し、光源を膜から14cm離した状態にて、アルゴン雰囲気下にて波長254nmの光を20分間光照射した。UV光照射を終了後、表面が固くなっていることから、重合が進行していることを確認した。なお、この膜は素子を作成するのに十分な強固さを有しており、その膜厚は2.7μmであった。この薄膜サンプルをRUN−B−1と名付ける。
【0068】
・ 実施例3(薄膜作製−2)
化合物A−1の塩化メチレン20質量%溶液に重合開始剤イルガキュア907(IRG−907、チバガイギー社製)を化合物A−1に対して0.03質量%の量を加え、光重合を空気下で行った他は、実施例2と同様にして薄膜RUN−A−1を形成した。この薄膜は十分な強度を有し、その膜厚は3.6μmであった。
【0069】
・ 実施例4(薄膜作製−3)
実施例3にて、過冷却時の光重合温度を180℃とした以外は全く同様にして、化合物C−1から薄膜RUN−C−1を作製した。この薄膜は十分な強度を有しており、その膜厚は3.0μmであった。
【0070】
・ 実施例5(薄膜作製−4)
実施例3にて、化合物A−1の代わりにD−1を用い、120℃に加熱した状態で光重合反応を行った以外は全く同様にして薄膜RUN−D−1を作製した。この薄膜も室温にて十分な強固さを有しており、その膜厚は4.2μmであった。
【0071】
・ 実施例6(薄膜作製−5)
実施例3にて、化合物C−1単独の代わりにD−1(50質量%)およびポリビスフェノールZカーボネート(50質量%)の混合物を用い、120℃に加熱した状態で光重合反応を行った以外は全く同様にして薄膜RUN−E−1を作製した。この薄膜も室温にて十分な強固さを有しており、その膜厚は3.9μmであった。
【0072】
・ 実施例7(正孔ドリフト移動度の測定)
《サンプルの作製》
下記のトリスアゾ顔料E−1(70mg)及びポリエステルのバイロン200(東洋紡社製)(700mg)を、テトラヒドロフラン8mL及びガラスビーズ(1mmφ)と共にブラスチック容器に入れてペイントシェーカーにて固体分散した。
【0073】
【化13】

【0074】
実施例2〜6で作製したITOガラス上の薄膜RUN−A−1、RUN−B−1、RUN−C−1、RUN−D−1およびRUN−E−1の表面上に、前記トリスアゾ顔料E−1の固体分散テトラヒドロフラン溶液50μLを500rpmの速度でスピンコートとし、電荷発生層を形成した。乾燥後、さらに電極として金を約1000Åの厚みで真空蒸着して、正孔ドリフト移動度測定用サンプルとしてそれぞれRUN−A−1−G、RUN−B−1−G、RUN−C−1−G、RUN−D−1−G及びRUN−E−1−Gを作製した。同様に、電荷発生層を有さないサンプルとして、ITOガラス上の薄膜に直接金を約1000Åの厚みで蒸着したRUN−A−1−N、RUN−B−1−N、RUN−C−1−N、RUN−D−1−N及びRUN−E−1−Nを作製した。
【0075】
《正孔ドリフト移動度の測定》
Time of Flight法により、正孔ドリフト移動度の測定を行った。Time of Flight法による測定については多くの文献、成書等に記載されているが、たとえば電子写真学会誌第22巻第1号69ページ(1983年)に詳細に記載されている。
ITOガラスを負極に、金を正極につないで200Vの電圧(約4×105V/cmの電場)を印加し、Q−スイッチNd:YAGレーザーの第二高調波(532nm)を光源(160mW/cm2)として、温度25℃にてITO側から照射した。回路に2000Ωの抵抗とオシロスコープを接続し、得られた光電流の減衰曲線より正孔ドリフト移動度μ=L2/VxT(cm2/Vs)(L:膜厚、V:電圧、tT:電荷移動時間)を求めた。結果を比較例とともに表1にまとめて記す。
【0076】
【表1】

【0077】
表に示す結果から、本発明の化合物を100〜180℃の重合温度で重合させて形成した実施例の薄膜RUN−A−1−G、RUN−B−1−G、RUN−C−1−G、RUN−D−1−G及びRUN−D−1−Gはいずれも、1×10-5cm2/Vs以上の大きな正孔ドリフト移動速度を与えることが理解できる。表中に比較例として示した、現在電子写真に主に用いられている公知のポリビニルカルバゾールやポリマー分散されたTPD等の正孔ドリフト移動速度10-5〜10-6cm2/Vsと比較すると、その値が高いことが理解できる。
なお、電圧を逆方向に印加すると、正孔よりは遅いものの電子の移動も観測され、電子輸送材料としても機能できる。
【0078】
電荷発生層を有さないRUN−A−1−N、RUN−B−1−N、RUN−C−1−N、RUN−D−1−N及びRUN−E−1−Nも、レーザーをYAGレーザー第三高調波(355nm)に変えたところ、吸収強度が小さくS/N比が悪化したものの、同様な正孔ドリフト移動度を示すことが明らかになった。
【0079】
上述のようにして作製した実施例の薄膜RUN−A−1−G、RUN−B−1−G、RUN−C−1−G、RUN−D−1−G及びRUN−E−1−Gの引っかき強度をJIS−K−5400に記載の方法にて鉛筆硬度のテストを実施した。なお、測定室の条件は、23℃、50%RHとした。
薄膜RUN−A−1−G、RUN−B−1−G、RUN−C−1−G、RUN−D−1−G及びRUN−E−1−Gの鉛筆硬度はそれぞれ3H、3H、4H、4H、4Hであった。一方で前記表1において比較例として取り上げたポリビニルカルバゾール及びTPD/ポリビスフェノールZカーボネート薄膜の鉛筆硬度は共に3Hであった。従って、本発明の実施例の薄膜は、引っかき強度の点でも優れていることが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる重合性化合物:
【化1】

一般式(1)中、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、芳香族基又は複素環基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。
【請求項2】
下記一般式(2)で表わされる重合性化合物:
【化2】

一般式(2)中、Ar4は芳香族基又は複素環基を表し;L4は単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P4は重合性基を表す。
【請求項3】
下記一般式(3)で表わされる重合性化合物:
【化3】

一般式(3)中、X1、X2及びX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;L1、L2及びL3は各々独立に、単結合、NR2基(R2は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P1、P2及びP3は各々独立に、重合性基を表す。
【請求項4】
下記一般式(4)で表される重合性化合物:
【化4】

一般式(4)中、L4は単結合、NR3基(R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し;P4は重合性基を表す。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物の単独重合体又は共重合体。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は請求項5に記載の重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とする薄膜。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は請求項5に記載の重合体の少なくとも1種を含有することを特徴とする電荷輸送材料。
【請求項8】
光を吸収して電荷分離を行い電荷を発生する電荷発生層と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物の少なくとも1種、及び/又は請求項5に記載の重合体の少なくとも1種を含有する電荷輸送層とを含む光導電性材料。

【公開番号】特開2009−221124(P2009−221124A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65456(P2008−65456)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】