説明

重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法

【課題】重質炭酸カルシウムを簡便に微粒化でき、分散安定に優れたスラリーの製造法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体及び(メタ)アクリル酸塩共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)中に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位がアルカリ金属塩単位49.9〜99モル部、アルカリ土類金属塩単位0.1〜10モル部及びアンモニウム塩単位0〜10モル部からなり、(A)を構成する全単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸塩単位が50〜99個数%である重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いて、
体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.0002Y〜0.5Yμmかつ0.9〜1.5μmの重質炭酸カルシウムに粉砕する湿式粉砕工程を含む重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法に関する。さらに詳しくは、紙塗被塗料に適した重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重質炭酸カルシウムを乾式粉砕した後、全カルボキシル基のうち、10〜99.99モル%がアルカリ金属塩0.01〜5モル%が有機アミン塩を構成しているα、β−不飽和カルボン酸塩共重合体からなる顔料分散剤を用いて湿式粉砕して、重質炭酸カルシウムスラリーを得る方法(特許文献1)や(メタ)アクリル酸単位が60〜100個数%である分散剤を用いて、体積平均粒子径Yの重質炭酸カルシウムを0.0001Y〜0.1Yの重質炭酸カルシウムに湿式粉砕(乾式粉砕することなしに)して重質炭酸カルシウムスラリーを得る方法(特許文献2)が知られている。
【特許文献1】特開平11−217534号公報
【特許文献2】国際公報WO2004/087574パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前者の方法では、乾式粉砕してから、湿式粉砕する必要がある。さらに、乾式粉砕工程及び湿式粉砕工程を併用して、体積平均粒子径1.5μm以下に粉砕し、重質炭酸カルシウムの濃度が70重量%以上のスラリーとすると、経日でスラリー粘度が上昇する(分散安定性が悪い)という問題がある。
一方、後者の方法では、体積平均粒子径を0.9〜1.5μmに粉砕する場合、粉砕時間が長くなるという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、重質炭酸カルシウムを、簡便に(乾式粉砕工程を必要とせず湿式粉砕工程だけで、短時間に)微粒化することができ、分散安定に優れたスラリーを製造することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の重合体が上記目的を達成することを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明の重質炭酸カルシウム粉砕工程用分散剤の特徴は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)中に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位が(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩単位49.9〜99モル部、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩単位0.1〜10モル部及び(メタ)アクリル酸アンモニウム塩単位0〜10モル部からなり、(A)を構成する全単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸塩単位が50〜99個数%である分散剤であり、重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いて、
体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.00001Y〜0.1Yμmかつ0.9〜1.5μmの重質炭酸カルシウムに粉砕する湿式粉砕工程を含むことを特徴とする重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法である点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法は、極めて簡便に(乾式粉砕工程を必要とせず湿式粉砕工程だけで、短時間に)重質炭酸カルシウムを微粒化することができる。そして、分散安定に優れたスラリーを製造することができる。
すなわち、本発明の製造方法により、体積平均粒子径0.9〜1.5μmの重質炭酸カルシウムに粉砕する場合でも、粉砕時間が長くなるという問題はない。
また、本発明の製造方法により、体積平均粒子径1.5μm以下に粉砕し、重質炭酸カルシウムの濃度が70重量%以上の重質炭酸カルシウムスラリーとしても、経日でスラリー粘度が上昇するという問題はない。
よって、本発明の製造方法で製造され得る重質炭酸カルシウムスラリーを紙塗被塗料に用いた場合、紙塗被時の塗被操業性(高速塗被性)を向上させるのみならず紙塗被塗料の高濃度化に極めて有効なものとなる。すなわち、本発明の製造方法で製造され得る重質炭酸カルシウムスラリーは、塗被紙の製造における操業性の向上及び品質の向上を達成でき、さらに高濃度化による乾燥負荷軽減等に起因して原価低減ができるため、特に紙塗被紙の製造に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(共)重合体は、重合体及び/又は共重合体を意味する。
【0007】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)としては、アクリル酸重合体、メタクリル酸重合体及びアクリル酸−メタクリル酸共重合体が含まれる。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)としては、アクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及びアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)としては、アクリル酸塩重合体、メタクリル酸塩重合体及びアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体が含まれる。そして、ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、共重合体の場合、重合形式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよい。
(メタ)アクリル酸塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等が含まれる。
【0008】
アルカリ金属塩としては、リチウム、カリウム又はナトリウム等の塩が挙げられる。これらの塩のうち、重質炭酸カルシウムの分散効果の観点等から、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましく、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0009】
アルカリ土類金属塩としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム又は亜鉛等の塩が挙げられる。これらの塩のうち、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、カルシウム塩、マグネシウム塩及び亜鉛塩が好ましく、さらに好ましくはカルシウム塩及びマグネシウム塩、特に好ましくはマグネシウム塩である。
【0010】
アンモニウム塩としては、アンモニウム(NH4)塩及び有機アンモニウム塩(脂肪族アミン塩、脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物の塩、アルカノールアミン塩、脂環族アミン塩及び芳香族アミン塩等)が含まれる。
【0011】
脂肪族アミン塩としては、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩のいずれでもよい。1級アミン塩としては、炭素数1〜12のモノアルキルアミン塩等が用いられ、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン又はドデシルアミン等の塩が挙げられる。2級アミン塩としては、炭素数2〜24のジアルキルアミン塩等が用いられ、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン又はジドデシルアミン等の塩が挙げられる。3級アミン塩としては、炭素数3〜9のトリアルキルアミン塩等が用いられ、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン又はトリブチルアミン等の塩が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、炭素数4〜16のテトラアルキルアンモニウム塩等が用いられ、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0012】
脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物の塩としては、脂肪族アミンのエチレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)又はプロピレンオキシド付加物(付加モル数2〜20)の塩、及びこれらのアミンを4級化剤(エチレンオキシド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル炭酸及び塩化メチル等)で4級化した4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0013】
アルカノールアミン塩としては、炭素数1〜20のアルカノールアミンの塩等が用いられ、メタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン又はブタノールアミンの塩等が挙げられ、さらに、これらのアルカノールアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
【0014】
脂環式アミン塩としては、炭素数5〜8のシクロアルキルアミンの塩等が用いられ、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン又はシクロヘキシルメチルアミン等の塩が挙げられ、さらに、これらのシクロアルキルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
【0015】
芳香族アミン塩としては、炭素数6〜10のアリルアミンの塩等が用いられ、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルメチルアミン又はトルイジン等の塩が挙げられ、さらに、これらのアリルアミンを4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩等も使用できる。
【0016】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)において、アクリル酸−メタクリル酸共重合体の場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜100が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
【0017】
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)おいて、(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、(メタ)アクリル酸単位及び(メタ)アクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜40、特に好ましくは3〜35、最も好ましくは5〜30である。また、(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、(メタ)アクリル酸単位及び(メタ)アクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、50〜99が好ましく、さらに好ましくは60〜99、特に好ましくは65〜97、最も好ましくは70〜95である。 なお、メタクリル酸単位を含む場合、アクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99、特に好ましくは90〜99である。また、メタクリル酸単位の含有量(個数%)は、アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜25、特に好ましくは1〜10である。また、メタクリル酸塩単位を含む場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99、特に好ましくは90〜99である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜25、特に好ましくは1〜10である。
【0018】
(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)において、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体の場合、アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは90〜99.9である。また、メタクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、アクリル酸塩単位及びメタクリル酸塩単位の合計個数に基づいて、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果の観点等から、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.1〜10である。
【0019】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸塩以外に、他の単量体を構成単位として含んでもよい。
他の単量体としては、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸塩と共重合できる単量体であれば制限なく使用でき、たとえば国際公報WO2004/087574パンフレットに記載された単量体{不飽和モノカルボン酸エステル、不飽和ジカルボン酸、α−ヒドロキシ不飽和モノカルボン酸、ヒドロキシルアルキル不飽和カルボン酸エステル、ポリアルキレングリコール不飽和単量体、(メタ)アクリロイル基含有アミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、スルホ基含有不飽和単量体、芳香族不飽和単量体、脂肪族不飽和単量体、脂環式不飽和単量体及びシアノ基含有不飽和単量体等}を使用することができる。
【0020】
分散効果の観点等から他の単量体単位を含まない方が好ましいが、他の単量体単位を含む場合、他の単量体単位の含有量(個数%)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.1〜1である。また、(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、共重合体を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、0.1〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1である。
【0021】
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び/又は(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなればよいが、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)からなること又はこの共重合体と(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)とからなることが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−メタクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれらの共重合体とアクリル酸塩重合体、メタクリル酸塩重合体及び/又はアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体とからなることであり、特に好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩共重合体及び/又はアクリル酸−メタクリル酸−アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体からなること、又はこれらの共重合体とアクリル酸塩重合体及び/又はアクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体とからなることであり、最も好ましくはアクリル酸−アクリル酸塩共重合体からなること、又はこの共重合体とアクリル酸塩重合体とからなることである。
【0022】
ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜40、特に好ましくは3〜35、最も好ましくは5〜30である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても湿式粉砕工程のみで重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
また、ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位の含有量(個数%)は、(A)を構成する単量体単位の合計個数に基づいて、50〜99が好ましく、さらに好ましくは60〜99、特に好ましくは65〜97、最も好ましくは70〜95である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても湿式粉砕工程のみで重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
【0023】
ポリマー(A)に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩単位、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩単位及び必要に応じて(メタ)アクリル酸アンモニウム塩単位から構成される。
(メタ)アクリル酸塩単位は、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩が49.9〜99モル部(55〜90モル部が好ましく、さらに好ましくは60〜80モル部)、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩が0.1〜10モル部(0.5〜8モル部が好ましく、さらに好ましくは1〜5モル部)、(メタ)アクリル酸アンモニウム塩が0〜10モル部(0〜8モル部が好ましく、さらに好ましくは0〜5モル部)から構成される。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても湿式粉砕工程のみで重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
【0024】
ポリマー(A)中(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A2)及び(A3)の合計重量に基づいて、1〜50が好ましく、さらに好ましくは1〜47が好ましく、特に好ましくは5〜30である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても湿式粉砕工程のみで質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)中にこの(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A2)及び(A3)の合計重量に基づいて、1〜99が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても湿式粉砕工程のみで重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
ポリマー(A)中に(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)を含む場合、この含有量(重量%)は、(A2)及び(A3)の合計重量に基づいて、1〜99が好ましく、さらに好ましくは10〜90、特に好ましくは20〜80である。この範囲であると、乾式粉砕工程がなくても重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となり、さらに粉砕効率の高い重質炭酸カルシウム微粒子化を実現することができる。
【0025】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、8,000〜50,000が好ましく、さらに好ましくは9,000〜40,000、特に好ましくは10,000〜20,000である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。なお、Mwは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
ポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は、4,000〜41,000が好ましく、さらに好ましくは4,200〜33,000、特に好ましくは4,400〜17,000である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。なお、Mnは、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される(以下同様)。
【0026】
ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.2〜2.0が好ましく、さらに好ましくは1.2〜1.9、特に好ましくは1.2〜1.8である。この範囲であると、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
【0027】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)は、通常の重合法(溶液重合法、塊状重合法及び逆相懸濁重合法等)を用いて得ることができ特に限定されるものではないが、溶液重合法が好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸塩との共重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造することもできる。
また、(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)の場合、(メタ)アクリル酸塩の(共)重合により製造してもよく、また、(メタ)アクリル酸の(共)重合体を得てから、この(共)重合体を塩基等で中和して製造することもできる。
【0028】
溶液重合法の場合に使用できる溶媒としては、通常のポリカルボン酸重合用溶媒等が使用でき、水及び/又はアルコール等が含まれる。水としては、水道水、脱イオン水及び工業用水等が挙げられる。アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール等が用いられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びエチレングリコール等が挙げられる。これらのうち、水、水及びアルコールの混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは水及びアルコールの混合溶媒、特に好ましくは脱イオン水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒である。
水とアルコールとを混合して使用する場合、混合重量比(水/アルコール)は、0.1〜99.9/0.1〜99.9に任意に混合できるが、0.1〜50/50〜99.9が好ましく、さらに好ましくは0.1〜40/60〜99.9、特に好ましくは0.1〜30/70〜99.9である。この範囲であれば、ポリマー(A)のMwとMnとの比(Mw/Mn)を1.2〜2.0に調整しやすく、重質炭酸カルシウム粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
【0029】
溶剤の使用量は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて100〜500重量%程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて100〜1000重量%程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて100〜1000重量%程度である。
【0030】
逆相懸濁重合法の場合に使用できる溶媒としては、水及び/又はアルコール(溶液重合法と同じ)以外に、炭素数6〜18の炭化水素等が使用でき、アルカン及びアレーン等が含まれる。
アルカンとしては、ヘキサン、イソヘキサン、オクタン、2−エチルヘキサン、デカン及びイソオクチルデカン等が挙げられる。
アレーンとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びt−ブチルベンゼン等が挙げられる。
これらのうち、ヘキサン、オクタン、トルエン及びキシレンが好ましく、さらに好ましくはヘキサン及びトルエン、特に好ましくはヘキサンである。
溶剤の使用量は通常の方法と同様であり、例えば、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)の場合、(A1)の重量に基づいて、水100〜500重量%、炭化水素等100〜1000重量%程度であり、また(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)の場合、(A2)の重量に基づいて、水100〜1000重量%、炭化水素等100〜2000重量%程度である。また(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)の場合、(A3)の重量に基づいて、水100〜500重量%、炭化水素等100〜2000重量%程度である。
【0031】
(共)重合には、重合開始剤を用いることができ、溶液重合法の場合、たとえば国際公報WO2004/087574パンフレットに記載された重合開始剤(アゾ化合物、過硫酸塩、過硼酸塩、過酸化物及びレドックス触媒等)が含まれる。
これらのうち、アゾ化合物及び過硫酸塩が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムである。これらの重合開始剤は、1種又は2種以上の混合物でも用いることができる。
【0032】
また、塊状重合法及び逆相懸濁重合法の場合、重合開始剤としては、たとえば国際公報WO2004/087574パンフレットに記載された重合開始剤(アゾ化合物、過酸化物及びレドックス触媒等)が含まれる。
これらのうち、アゾ化合物及び過酸化物が好ましく、さらに好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物である。これらの重合開始剤は、1種又は2種以上の混合物でも用いることができる。
また、その他の重合法においても、公知の重合開始剤が使用できる。
【0033】
重合開始剤を使用する場合、この使用量は通常の重合と同様にして目的に応じ適宜調整し利用されるが、溶液重合法の場合、重合濃度、重合温度、単量体の仕込み速度などに大きく影響されるためポリマー(A)に対して、数%と比較的少量の重合開始剤を使用することが好ましい。一方、塊状重合法及び逆相懸濁重合法の場合、いずれも反応速度が速く、目的とする重量平均分子量、数平均分子量を得るためには、比較的多くの重合開始剤量を使用することが好ましい。すなわち、重合開始剤の使用量は、目的とする重量平均分子量及び数平均分子量となるように、通常の方法と同様にして調整される。
【0034】
ポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び/又は、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる群れより選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでいればよく、ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる場合、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい。また、ポリマー(A)が(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸塩(共)重合体(A3)からなる場合、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよい(水溶液にすると(A2)が生成するから、この場合は固体で保存する)。また、ポリマー(A)が(A1)、(A2)及び(A3)からなる場合、(A1)、(A2)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、また、(A1)を得てからこの一部を中和して製造してもよく、(A1)及び(A3)をそれぞれ製造してから混合してもよく、(A1)又は(A2)を得てから一部を中和して製造してもよい。また、ポリマー(A)が(A2)からなる場合、(A2)を直接製造してもよく、(A1)を得てから一部を中和して製造してもよい。
【0035】
本発明の製造方法で使用する重質炭酸カルシウム粉砕工程用分散剤には、ポリマー(A)以外に、必要に応じ、水及び/又は添加剤等を含んでいてもよい。この添加剤としては、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理及びエマルション塗料等に添加されるもの等が使用でき、たとえば国際公報WO2004/087574パンフレットに記載された添加剤(耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤、染料及び顔料等)が含まれる。
【0036】
水を含む場合、水の含有量は、目的に応じ任意に調整できるが、適用される重質炭酸カルシウムスラリーの固形分の低下を防止するという観点から、最小限に抑えることが好ましい。一方、取り扱い性の観点から、多量であることが好ましい。したがって、水を使用する場合、水の含有量(重量%)は、ポリマー(A)の重量に基づいて、0.1〜400が好ましく、さらに好ましくは0.2〜150、特に好ましくは0.3〜100である。
添加剤を含む場合、この合計含有量(重量%)は目的に応じ任意に調整できるが、ポリマー(A)の重量に基づいて、0.1〜5が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3である。
【0037】
水を含まない場合、本発明の製造方法で使用する重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤の形態は、重質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムスラリーへの添加・溶解性の観点等から、微粉末状粒子の形態が好ましい。微粉末状粒子の大きさ(mm)は、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.001〜1である。なお、この大きさは、レーザー回折散乱法(JIS Z8825−1:2001)による体積平均粒子径である。
【0038】
必要により含有する水及び添加剤(耐水化剤、防腐防黴剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、保水剤、染料及び顔料等)は、任意の段階で配合できる。なお、水は、重合溶媒として使用したものをそのまま用いることができ、必要に応じて濃度調整(加熱留去、減圧留去及び/又は加水等)してもよい。
【0039】
本発明の製造方法に適用できる重質炭酸カルシウムとしては、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム、アラゴナイト又はバテライト結晶型重質炭酸カルシウムのいずれでもよいが、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムが好ましい。なお、本発明の製造方法は、重質炭酸カルシウム以外の顔料にも適用でき、他の顔料としては、クレイ、カルサイト、アラゴナイト又はバテライト結晶型軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ、フェライト及びアルミナ等が挙げられる。
【0040】
本発明の製造方法に適用できる重質炭酸カルシウムは、5000μm以下{体積平均粒子径(μm)としては、3〜2000が好ましく、さらに好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜20}の天然の石灰石等に適用できる。5000μm以下であれば従来のように乾式粉砕工程と湿式粉砕工程とを必要とせず、本発明における湿式粉砕工程のみで短時間で重質炭酸カルシウムスラリーを得ることができる。
また、本発明の製造方法は、天然の石灰石等を乾式粉砕工程でさらに粉砕した重質炭酸カルシウムにも適用できる(この場合、分散剤を用いなくてもよい)。乾式粉砕工程で粉砕後の体積平均粒子径(μm)は、3〜2000が好ましく、さらに好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜20である。
本発明の製造方法を他の顔料に適用する場合も、使用する他の顔料の粒子径は上記とほぼ同様である。
【0041】
本発明の製造方法は、以上のような体積平均粒子径(Yμm)を有する重質炭酸カルシウムを、0.0002Y〜0.5Y(好ましくは0.0002Y〜0.5Y、さらに好ましくは0.0002Y〜0.47Y、特に好ましくは0.0002Y〜0.43Y)μm、かつ0.9〜1.5(好ましくは0.9〜1.5、さらに好ましくは1.0〜1.4、特に好ましくは1.1〜1.3)μmの体積平均粒子径を有する重質炭酸カルシウムに粉砕する湿式工程を含むものである。
体積平均粒子径Yから0.0001Y〜0.1Yに粉砕するとは、粉砕前の体積平均粒子径YをY/10,000〜Y/10の体積平均粒子径に粉砕することを意味し、粉砕度としては1/10,000〜1/10に相当する。このように、湿式粉砕後の体積平均粒子径を湿式粉砕前の体積平均粒子径で割ったものを粉砕度と定義する。粉砕工程で得られる重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭酸カルシウムの濃度(重量%)(スラリー濃度)としては、スラリーの重量に基づいて、70〜85が好ましく、さらに好ましくは75〜85、特に好ましくは80〜85である。
また、粉砕工程で得られる重質炭酸カルシウムスラリーのpHは、8.5〜10.1が好ましい。
すなわち、本発明の製造方法は、高い粉砕度で重質炭酸カルシウムを粉砕して上記範囲の微粒子、かつ高濃度の重質炭酸カルシウムスラリーを得るのに適している。さらに、スラリー濃度が75重量%以上、かつ体積平均粒子径が0.9〜1.5μmである高濃度微粒子スラリーを得るのに好適であり、特にスラリー濃度が80重量%以上、かつ体積平均粒子径が0.9〜1.5μmである高濃度・低粘度重質炭酸カルシウムスラリーを得るのに好適である。本発明の製造方法によると、乾式粉砕工程がなくても、このような高濃度、低粘度スラリーが容易に製造でき、このような高濃度微粒子スラリーは粒子の分散効果、減粘効果及び安定性に優れている。一方、従来の製造方法(分散剤を用いて乾式粉砕工程及び湿式粉砕工程を経て製造する方法)により得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、高濃度かつ低粘度とはならなず、さらに安定性に著しく劣るものである。これは、乾式粉砕工程及び湿式粉砕工程を経る場合に比較して、本発明の製造方法によると分散剤が重質炭酸カルシウムの粒子表面により均一に分布しやすいためと考えられる。なお、本発明の製造方法は、粉砕度、分散効率及び安定性の観点等から、スラリー濃度が70重量%未満、かつ体積平均粒子径が0.9μm未満の重質炭酸カルシウムスラリーを得るのには適していない。
【0042】
なお、体積平均粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準拠したレーザー光回折散乱法{商品名:マイクロトラック(MICROTRAC UPA、Leeds and Northerup製)等のレーザー光回折散乱粒度分布測定装置、レーザー光波長;780nm、測定温度;25℃、分散媒;水)}により測定される。
【0043】
重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤の使用量(重量%)は、ポリマー(A)の重量として、重質炭酸カルシウムの重量に基づいて、0.01〜4が好ましく、さらに好ましくは0.01〜3、特に好ましくは0.01〜2である。この範囲であると、粒子の分散効果及び安定性がさらに良好となる。
重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤は、湿式粉砕工程の任意の箇所に添加でき、また、一括添加又は分割添加のいずれでもよく、分割添加が好ましく、さらに好ましくは分散剤の一部を湿式粉砕工程の初期に、残りを湿式粉砕工程の途中、又は湿式粉砕後に添加することである。
【0044】
なお、本発明の製造方法の湿式粉砕工程で使用する粉砕装置としては、例えば、一般流体用攪拌機(プロペラミキサー、タービンミキサー及びデソルバー等)、高速回転高せん断型攪拌分散機(ホモミキサー、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ボールミル、コーレスミキサー、ディスクキャビテーションミキサー及びステイターローラー等)、コロイドミル(TKマイコロイダー、TKホモミックラインミル、TKハイラインミル、シャーロットコロイドミル及びシャーロットコロイドミル等)、加圧ノズル(ジェット流)式分散機(ガウリン及びホモジナイザー等)、超音波式乳化機(ディスパーソニック及びウルトラジェッター等)、機械的振動攪拌機及び静電場を利用した攪拌機等が挙げられる。これらのうち、一般流体用攪拌機及び高速回転高せん断型攪拌分散機が好ましく、さらに好ましくはプロペラミキサー、ホモミキサー、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ボールミル及びコーレスミキサーである。またこれらの粉砕装置は、1種類のみを用いてもよく、また2種類以上を併用してもよい(1種類のみ用いることが簡便性の観点等から好ましい。)。また、粉砕条件(温度等)にも制限がなく、従来と同様な条件等が適用できる。
【0045】
本発明の製造方法は、紙塗被塗料、紙加工、繊維処理及びエマルション塗料等に使用される重質炭酸カルシウムスラリーに適用でき、紙塗被塗料に使用される重質炭酸カルシウムスラリーに対して特に効果的である。
紙塗被塗料に適用すると、塗被塗料中のバインダーの含有量を少なくすることができ、紙塗被塗料のハイシア流動性が向上{紙へ塗被する際の塗被操業性(高速塗工性等)が向上}する。さらに重質炭酸カルシウムスラリーが高濃度であるため紙塗被塗料自体の高濃度化にも貢献する。
【0046】
紙塗被塗料に適用する場合、重質炭酸カルシウムスラリーの使用量(重量部)は、紙塗被塗料の顔料又はフィラー100重量部に対して、任意の割合で利用可能であるが、10〜100が好ましく、さらに好ましくは30〜100、特に好ましくは50〜100、最も好ましくは60〜100である。この範囲であると、紙塗被塗料をさらに低粘度化及び高濃度化にすることができ好ましい。
【0047】
紙塗被塗料には、重質炭酸カルシウムスラリー、重質炭酸カルシウム以外の顔料又はフィラー、及びバインダー等が構成成分として挙げられる。
重質炭酸カルシウム以外の顔料又はフィラーとしては、無機顔料(クレイ、カルサイト、アラゴナイト又はバテライト結晶型軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(ポリスチレン系プラスチックピグメント等)等が挙げられ、単独又は混合して使用できる。
重質炭酸カルシウム以外の顔料又はフィラーは、塗被紙の要求性能、塗被方法に基づき、その使用量(重量部)は様々であり、バインダー及び顔料又はフィラーの合計100重量部に対して、0〜90が好ましく、さらに好ましくは0〜70、特に好ましくは0〜50、最も好ましくは0〜40である。
【0048】
バインダーとしては、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、変性スチレンブタジエンラテックス、アクリルラテックス及び酢酸ビニルラテックス等が挙げられる。
スチレンブタジエンラテックスは、スチレン及びブタジエンの共重合体等が使用でき、オレイン酸ナトリウム等の乳化剤を用いて乳化重合により得られる。
変性スチレンブタジエンラテックスは、スチレン、ブタジエン及び他のモノマーの共重合体等が使用できる。他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル等の他のビニルモノマー等が挙げられる。
アクリルラテックスは、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が使用できる。
酢酸ビニルラテックスは、酢酸ビニル、高級脂肪酸ビニルエステル、マレイン酸ジエステル及び/又はエチレンの共重合体等が使用でき、ポリビニルアルコールやヒドロキシエチルセルロース等の保護コロイドである乳化分散剤を利用し、酢酸ビニルを乳化重合して得られる。
これらの他に、酢酸ビニル−アクリル共重合体ラテックス、塩化ビニル共重合体ラテックス、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等の合成ラテックス等も使用できる。ラテックス以外のバインダーとしては、水溶性バインダー等が含まれ、天然バインダー、半合成バインダー及び合成バインダー等が使用できる。天然バインダーとしては、デンプン等のスターチ、こんにゃく等のマンナン、アルギン酸等の海藻類、大豆タンパク等の植物性粘質物、デキストリン等の微生物性粘着物及びカゼイン等のタンパク質等が挙げられる。半合成バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース等の変性セルロース及びカルボキシメチルスターチ等の変性スターチ等が挙げられる。合成バインダーとしては、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100%)等が挙げられる。
バインダーの使用量(重量%)は、顔料又はフィラーの重量に基づいて、0.01〜20が好ましい。
【0049】
このような紙塗被塗料は、通常水性分散液体の形で使用され、必要に応じてその他の添加剤(例えばポリメタクリル酸−アクリル酸エステルなどの保水性・流動性改良剤、ポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸の中和度95〜100モル%)等の顔料分散剤、脂肪酸エステルなどの消泡剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑・離型剤、グリオキザールやポリアミド尿素ホルムアルデヒドあるいはポリアミドポリアミン系樹脂等の耐水化剤、湿潤剤、防腐剤及び蛍光染料等)が添加される。
【0050】
紙塗被塗料は既知の方法で、原紙に塗被できる。例えば、スプレーコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ロッドコーター及びエアナイフコーター等により原紙に塗被した後、乾燥し必要に応じてカレンダーリング、スーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリングの仕上げを行う方法が適用できる。塗被温度は通常10〜60℃、乾燥温度は通常90〜150℃であり、カレンダーリング、スーパーカレンダーリング又はソフトニップカレンダーリングの温度は通常30〜200℃である。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
<実施例1>
滴下ライン、撹拌装置及び温度計付きの耐圧反応容器に、水200部及びイソプロピルアルコール300部を投入し、撹拌下、アクリル酸300部及び40%過硫酸ナトリウム水溶液100部をそれぞれ別々の滴下ラインから3時間かけて一定速度で滴下しながら密閉下で反応させた。反応温度は65〜100℃を保った。滴下終了後、3時間90〜100℃に保った後、150部の水を滴下(加水)しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、30℃に冷却し反応物を取り出した。
その後、取り出した反応物250部に、撹拌下、40℃以下に保ちながら、徐々に50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム(純度94%)0.81部を分割投入して、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム塩−アクリル酸マグネシウム塩共重合体(アクリル酸単位:30モル部、アクリル酸ナトリウム塩単位:68モル部、アクリル酸マグネシウム塩単位:2モル部)を40%含む水溶液{重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤(1)}を得た。
コーレス型ミキサー(特殊機化工業株式会社、TKホモジナイザーAM−20型)を用いて、分散剤(1)1部及び水333.3部を1000rpmで撹拌しながら、これに、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)1000部を徐々に加えた後、さらに20000rpmで10分間撹拌して粗スラリーを得た。引き続き、この粗スラリー1200部及びメジア(ジルコニア、体積平均粒子径1.25mm)3600部を湿式粉砕用ビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社、PM1RL−V)に投入して、1,200rpmで約30分間密閉下で湿式粉砕した後、目開き38μmのステンレス金網(JIS Z8801−1:2000)にてろ過して、微粉砕スラリーを得た。ついで、この微粉砕スラリーに水を加えて、蒸発残渣(スラリー重量1〜1.5g、160℃、20分)が75%になるように調整して、重質炭酸カルシウムスラリー(1)を得た。
【0052】
<実施例2>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液54.4部及び水酸化マグネシウム0.4部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(2)を得た。
【0053】
<実施例3>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液107.8部及び水酸化マグネシウム0.4部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(3)を得た。
【0054】
<実施例4>
イソプロピルアルコール300部、水200部、40%過硫酸ナトリウム水溶液100部及び50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部を、それぞれイソプロピルアルコール400部、水100部、40%過硫酸ナトリウム水溶液200部及び50%水酸化ナトリウム水溶液81.1部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(4)を得た。
【0055】
<実施例5>
イソプロピルアルコール300部、40%過硫酸ナトリウム水溶液100部、加水量(イソプロピルアルコールの減圧除去時の水の量)150部及び50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部を、それぞれイソプロピルアルコール100部、40%過硫酸ナトリウム水溶液50部、加水量200部及び50%水酸化ナトリウム水溶液81.1部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(5)を得た。
【0056】
<実施例6>
水酸化マグネシウム0.81部を、水酸化マグネシウム4.1部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(6)を得た。
【0057】
<実施例7>
水酸化マグネシウム0.81部を、水酸化マグネシウム0.4部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(7)を得た
【0058】
<実施例8>
水酸化マグネシウム0.81部を、水酸化マグネシウム0.4部及び50%水酸化カリウム水溶液0.8部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(8)を得た。
【0059】
<実施例9>
水酸化マグネシウム0.81部を、水酸化マグネシウム0.4部及び25%アンモニア水溶液3.6部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(9)を得た。
【0060】
<実施例10>
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径50μm)に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(10)を得た。
【0061】
<実施例11>
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径500μm)に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(11)を得た。
【0062】
<実施例12>
カルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製 体積平均粒子径5000μm)に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(12)を得た。
【0063】
<実施例13>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部を50%水酸化ナトリウム水溶液67.2部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(13)を得た。
【0064】
<実施例14>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部を50%水酸化ナトリウム水溶液100部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(14)を得た。
【0065】
<実施例15>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部を50%水酸化ナトリウム水溶液104.4部に変更した以外は実施例1と同様にして重質炭酸カルシウムスラリー(15)を得た。
【0066】
<比較例1>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ使用しないこと以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(16)を得た。
【0067】
<比較例2>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液37.8部(水酸化マグネシウムは使用しない)に変更し、アトライターの分散時間30分を45分に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(17)を得た。
【0068】
<比較例3>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液100部(水酸化マグネシウムは使用しない)に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(18)を得た。
【0069】
<比較例4>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部及び水酸化マグネシウム0.81部を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液33.3部及び水酸化マグネシウム0.4部及びモノエタノールアミン0.9部に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(19)を得た。
【0070】
<比較例5>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部、水酸化マグネシウム0.81部及びカルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液33.3部、水酸化マグネシウム0.4部、モノエタノールアミン0.9部及び重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径50μm)に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(20)を得た。
【0071】
<比較例6>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部、水酸化マグネシウム0.81部及びカルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液33.3部、水酸化マグネシウム0.4部、モノエタノールアミン0.9部及び重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕サンプル、体積平均粒子径500μm)に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(21)を得た。
【0072】
<比較例7>
50%水酸化ナトリウム水溶液75.6部、水酸化マグネシウム0.81部及びカルサイト結晶型重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、石灰石原料の乾式粉砕品、体積平均粒子径8μm)を、それぞれ50%水酸化ナトリウム水溶液33.3部、水酸化マグネシウム0.4部、モノエタノールアミン0.9部及び重質炭酸カルシウム(日本セメント株式会社製、体積平均粒子径5000μm)に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の重質炭酸カルシウムスラリー(22)を得た。
【0073】
実施例及び比較例で使用した重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤1〜22について、共重合体の構成、重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を表1及び2にまとめた。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の条件で測定した。使用装置:東ソー(株)製形式HLC−8120GPC
カラム :東ソー(株)製形式Tskgelα6000と形式Tskgelα3000とを直列につないだカラム
検出器 :RI検出器
データ処理機:東ソー(株)製形式SC−8020
カラム温度:40℃
溶離液 :0.5%酢酸ナトリウム溶液{溶媒:蒸留水<関東化学製>/メタノール<特級 関東化学製>(体積比:蒸留水/メタノール:1/1)}
溶離液流速:1.0ml/分
試料濃度:0.25%溶離液溶液
試料溶液注入量:200μl
標準物質:東ソー(株)製TSK標準ポリエチレンオキシドSE−150:(光散乱法で測定された重量平均分子量(以下、Mと省略する)885,000、同SE−70:(M)510,000、同SE−30:(M)340,000、同SE−8:(M)95,000、同SE−5:(M)46,000、同SE−2:(M)26,000)、和光純薬工業(株)製試薬(和光規格1級合格品ポリエチレングリコール4000):(M)4,000、和光純薬工業(株)製試薬(特級特級ポリエチレングリコール1000):(M)1,000
【0077】
<重質炭酸カルシウムスラリーの粘度測定>
実施例1〜15及び比較例1〜7で得た重質炭酸カルシウムスラリー1〜22を25℃に温調し、撹拌モーターにて1000rpmで5分間撹拌して均一にした直後にB型粘度計(株式会社トキメック製、TV−20型)を用い回転数60rpmで60秒後のスラリー粘度(N1)を測定した。また、25℃の恒温器にて7日間静置後、同様にしてスラリー粘度(N7)を測定した。これらの測定結果を表3に示した。
【0078】
<重質炭酸カルシウムスラリーの体積平均粒子径の測定>
実施例1〜15及び比較例1〜7で得た重質炭酸カルシウムスラリー1〜22をそれぞれ2.5%に希釈して、レーザー光回折散乱式粒度分布測定装置(商品名:マイクロトラック(MICROTRAC X100、Leeds and Northerup製)を用いて(レーザー光波長;780nm、測定温度;25℃、分散媒;水、計測時間6分)体積平均粒子径(粉砕後)を測定し、これらの測定結果を表3に示した。また、使用した重質炭酸カルシウムの体積平均粒子径(粉砕前)及びこれを用いて算出した粉砕度を示した。
【0079】
【表3】

−:測定範囲を超えた(>20000mPa.s)
【0080】
実施例1〜15で得た重質炭酸カルシウムスラリーは、比較例1〜7で得た重質炭酸カルシウムスラリーに比較して、粘度(N1)が著しく低く、分散効果及び減粘効果に極めて優れていた。また、同様に、7日後の粘度(N7)も著しく低く、粒子の安定性が極めて優れていた。また、同様に、粉砕後の体積平均粒子径が著しく小さく、分散効果に極めて優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)中に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位が(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩単位49.9〜99モル部、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩単位0.1〜10モル部及び(メタ)アクリル酸アンモニウム塩単位0〜10モル部からなり、(A)を構成する全単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸塩単位が50〜99個数%である重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いて、
体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.0002Y〜0.5Yμmかつ0.9〜1.5μmの重質炭酸カルシウムに粉砕する湿式粉砕工程を含むことを特徴とする重質炭酸カルシウムスラリーの製造方法。
【請求項2】
重質炭酸カルシウムが、カルサイト結晶型重質炭酸カルシウムである請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸(共)重合体(A1)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸塩共重合体(A2)及び(メタ)アクリル酸塩共重合体(A3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリマー(A)を含んでなり、(A)中に含まれる(メタ)アクリル酸塩単位が(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩単位49.9〜99モル部、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩単位0.1〜10モル部及び(メタ)アクリル酸アンモニウム塩単位0〜10モル部からなり、(A)を構成する全単量体単位の数に基づいて、(メタ)アクリル酸塩単位が50〜99個数%である重質炭酸カルシウム湿式粉砕工程用分散剤を用いて、
体積平均粒子径Yμmの重質炭酸カルシウムを体積平均粒子径0.0002Y〜0.5Yμmかつ0.9〜1.5μmの重質炭酸カルシウムに粉砕する湿式粉砕工程を含む製造方法により製造され得ることを特徴とする重質炭酸カルシウムスラリー。
【請求項4】
請求項3に記載の重質炭酸カルシウムスラリーを配合してなる紙塗被塗料。
【請求項5】
請求項4に記載の紙塗被塗料を塗被してなる塗被紙。

【公開番号】特開2006−193418(P2006−193418A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360947(P2005−360947)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】