重量物移送台及び重量物搬送システム
【課題】変断面桁を容易に連続送り出し架設することができる重量物移送台及び重量物搬送システムを提供すること。
【解決手段】重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯2と、該無限軌道帯2の重量物支持面2aを下方から高さ方向に移動自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキ3と、該押上ジャッキ3が搭載されたボディ5と、該ボディ5を高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキ6と、により重量物移送台1が構成される。
【解決手段】重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯2と、該無限軌道帯2の重量物支持面2aを下方から高さ方向に移動自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキ3と、該押上ジャッキ3が搭載されたボディ5と、該ボディ5を高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキ6と、により重量物移送台1が構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚上に設置されて橋桁を移送する際に使用可能な重量物移送台及び該重量物移送台を用いた重量物搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳部に架設する高速道路などの橋梁(道路橋、高架橋)の架設工法としては、橋桁を順次送り出して架設する「送り出し架設工法」がある。この工法では、橋桁の断面下部が平坦ではなく傾斜や曲面が付いたいわゆる「変断面桁」の場合、従来においては垂直方向のジャッキで桁を受け、橋軸方向のジャッキで送り出す手順となり、傾斜や曲率部で、桁の送り出し高さが上下しないよう、かつ、桁下部の形状に合わせたスペーサを出し入れして、頻繁に盛り替えながら、送り出す必要がある。
【特許文献1】特願2000−315134号明細書
【特許文献2】意匠登録1278374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来においては「変断面桁」を「連続送りだし架設」するための専用の設備が無く、従来設備を利用して「変断面桁」を送り出すためには、変断面部(傾斜や曲率部)では桁の送り出し高さが上下しないように、頻繁に盛り替えながら送り出し、さらに各橋脚上での作業を協調しながら行う必要があり、設備、工数とも改善の必要性があった。さらに橋梁工事に際しては工期短縮の要求が大きく、変断面桁を連続送り出し架設する技術開発が望まれている。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、変断面桁を容易に連続送り出し架設することができる重量物移送台及び重量物搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の重量物移送台は、重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯と、該無限軌道帯の重量物支持面を下方から高さ方向に昇降自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキと、該押上ジャッキが搭載されたボディと、該ボディを高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキと、を有したことを特徴とする。
【0006】
重量物の形状に応じて押上ジャッキが伸縮することにより、無限軌道の形状が重量物に合わせて変形し、これにより凹凸を持つ重量物を搬送することができる。さらに鉛直ジャッキにより押上ジャッキが搭載されたボディ自体が傾動することにより、無限軌道の傾動量を増加させ、重量物を確実に搬送することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重量物移送台において、前記すべての押上ジャッキ及び前記すべての鉛直ジャッキに作用する油圧が、すべて連通していることを特徴とする。
【0008】
各油圧が連通していることにより、重量物の形状に合わせて均等に油圧が作用し、重量物が安定に支持される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の重量物移送台において、前記押上ジャッキは、前記無限軌道帯に対して摺接する支持部と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
支持部は、少なくとも送り方向に揺動(首振り)自在とすることができる。これにより、重量物の形状に合わせ、その荷重方向が軸方向に変換されて押上ジャッキに支持される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の重量物移送台において、前記支持部が前記無限軌道帯と摺接する支持面には、フッ素樹脂加工が施されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、無限軌道帯と押上ジャッキの支持面との間での焼き付き等を防止し、無限軌道帯の移動が確実に行なわれる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の重量物移送台において、前記鉛直ジャッキは足部を備え、該足部は該鉛直ジャッキ本体を揺動自在に支持する揺動支持機構を有することを特徴とする。
【0014】
揺動支持機構は、少なくとも送り方向に揺動自在とすることができる。これにより、重量物の形状に合わせ、その荷重方向が軸方向に変換されて鉛直ジャッキに支持される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の重量物移送台において、前記各鉛直ジャッキの足部が挿入される孔が複数形成された補助板を備え、前記複数の孔のうち、少なくともいくつかは、前記足部の寸法に対して前記送り方向に遊びを有することにより、前記足部が前記送り方向に沿って僅かに移動自在であることを特徴とする。
【0016】
ボディに固定されその基端部に揺動支持機構を備えた鉛直ジャッキが伸縮すると、ボディの傾き(各鉛直ジャッキの伸縮量)に応じて各鉛直ジャッキの足部間の距離が変動することとなる。上記構成のように補助板に設けられた孔に鉛直ジャッキの足部が挿入されていることにより、各鉛直ジャッキが保持されると共に、足部が挿入される孔に遊びが設けられていることで、上記傾きに応じた鉛直ジャッキの変動が確保される。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の重量物移送台において、前記複数の孔のうち、少なくとも他のいくつかは、前記足部の寸法に対して送り方向の遊びを持たないことにより、該孔に挿入された前記足部の該孔内での移動が阻止された基準孔であることを特徴とする。
【0018】
少なくとも一部の孔は基準孔とし、該基準孔に挿入された鉛直ジャッキの足部は移動せず、他の孔に挿入された足部が、前記基準孔に対して相対的に移動する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の重量物移送台において、前記基準孔は、前記複数の孔のうち、前記補助板の前記送り方向に沿って最も中央側に位置することを特徴とする。
【0020】
例えば図1に示したように、4列の鉛直ジャッキが左右にそれぞれ設けられている場合、図9のように最も中央に位置する一対の鉛直ジャッキの足部が挿入される孔を基準孔(図9における符号45A)とすることができる。
基準孔を最も中央に位置させることにより、他の孔に形成する遊び量を小さくすることができる。(中央から離れた孔を基準孔とすると、反対側に位置する孔に形成する遊び量が増加する。)
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項5から8のいずれかに記載の重量物移送台において、前記足部の底面にはフッ素樹脂加工が施されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、鉛直ジャッキの足部が、鉛直ジャッキを支持する支持面と摺動しやすくなり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の重量物移送台において、前記無限軌道帯が前記重量物を支持する支持面には、弾性体が設けられていることを特徴とする。
【0024】
無限軌道帯の支持面にゴム等の弾性体を設けることで、重量物に対する傷や破損が防止される。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の重量物移送台において、前記複数の押上ジャッキが油圧を受ける受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキの受圧面積よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
例えば、押上ジャッキの受圧面積と鉛直ジャッキの受圧面積との比を、約8:9乃至9:10程度とする。これらの差が大きすぎると押上ジャッキに対する負担が大きくなり過ぎる。
各ジャッキに重量物を支持する油圧を作用させると、複数の押上ジャッキのうち、一部の押上ジャッキに局所的に偏った重量が作用した場合に、当該部位では重量物の荷重がダイレクトに作用し、その下方に位置する鉛直ジャッキにその荷重が作用する。すなわち、当該鉛直ジャッキには、他の部位における鉛直ジャッキよりも重い荷重が作用し、荷重が軽い側の鉛直ジャッキが、油圧がバランスする位置まで伸張することとなる。これにより、鉛直ジャッキの伸縮が重量物の形状に追従してボディが傾動する。
【0027】
請求項12に記載の重量物搬送システムは、請求項1から11のいずれかに記載の重量物移送台を複数台備え、さらにこれら重量物移送台による重量物移送量を監視しつつ前記重量物移送台による制御量を演算する制御部を備えたことを特徴とする。
【0028】
制御部により重量物移送台の荷重が適切に制御されるため、重量物移送台の負担が安定し、必要以上の高い能力を持たせる必要が無く、経済的で、軽量な装置とすることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の重量物搬送システムにおいて、前記重量物移送台をさらに昇降させる昇降台を備えたことを特徴とする。
【0030】
重量物の高さ差が大きくても(重量物移送台の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができる。
昇降台としては、橋脚上に設けられた昇降装置と、該昇降装置により昇降可能に支持された支持台とを備え、該支持台上に橋桁が支持されて送り出されるように構成することができる。より詳細には、前記昇降装置は、前記支持台から下方へ延在する軌条鋼に設けられたラックに対して噛合い、回転することにより前記軌条鋼を介して前記支持台を昇降させるピニオンを備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、変断面桁等の重量物を安定して確実に連続送り出し架設することができ、重量物の損傷を抑制しつつ工期を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る重量物移送台の斜視図を示した。また、図2(a)に、同重量物移送台の側断面図、図2(b)に正面図を示した。なお、図1では、後述の無限軌道帯と、一つの駆動部を省略して示してある。
【0033】
重量物移送台1は、重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯2と、無限軌道帯2の重量物支持面2aを下方から高さ方向に伸縮自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキ3と、該押上ジャッキ3が搭載されたボディ5と、ボディ5を高さ方向に伸縮自在に支持する複数の鉛直ジャッキ6と、無限軌道帯2を駆動させる油圧モータを備えた駆動部7とを有する。
【0034】
押上ジャッキ3は、本実施形態では送り方向に並んで12個連設され、重量物移送台1の幅方向中央部に位置して固定されている。無限軌道帯2は、重量物移送台1の幅方向中央部に位置し、押上ジャッキ3の上方からボディ5の下を廻ってループ状に設けられている。
【0035】
鉛直ジャッキ6は、重量物移送台1の幅方向両側であって、押上ジャッキ3及び無限軌道帯2の外側に位置し、本実施形態では4対の鉛直ジャッキ6が送り方向に沿って略均等に位置している。各鉛直ジャッキ6は、ボディ5に対して固定されており、下部が後述のように接地していることで重量物移送台1の重量および重量物の荷重を支持する。
【0036】
駆動部7は各鉛直ジャッキ6の間に位置し、片側に3カ所、両側で6カ所設けられている。
【0037】
以下、各部の詳細な構成を説明する。
押上ジャッキ3の構成について、図3に連設された押上ジャッキ3の使用状態、図4に押上ジャッキ3の側断面図、図5に送り出し方向に直行する面における断面図を示した。
押上ジャッキ3は、前記無限軌道帯2に対して摺接する支持部10と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構11と、一対の油圧シリンダ12と、押上ブロック13とを備える。
押上ブロック13中に、幅方向に並んで油圧シリンダ12が固定されている。油圧シリンダ12は、油圧により伸縮する。押上ブロック13の上端部には、首振り機構11を介して支持部10が支持されている。支持部10が無限軌道帯と摺接する支持面10aには、フッ素樹脂加工が施されている。首振り機構11は、支持部10側に設けられた球状部15と、押上ブロック13側に設けられ、球状部15を支持する球面座16とにより構成されている。球状部15が球面座16内で摺動することにより、支持部10が前後左右に首振り揺動することができるようになっている。なお、球状部15の過度の首振りを防止するストッパ17が、押上ブロック13の上部であって支持部10に面して設けられている。
油圧シリンダ12が伸縮し、支持部10が首振り機構11により傾斜することで、図3に示したように各押上ジャッキ3の支持部10が無限軌道帯2(すなわち重量物)の形状に合わせて滑らかに連続する支持面を形成する。
【0038】
図6に鉛直ジャッキ6の断面図を示した。鉛直ジャッキ6は略円柱状の形状であり、下部に足部18を備える。鉛直ジャッキ6の本体6aは、主にシリンダチューブ19と、該シリンダチューブ19内に挿入されたピストンロッド20とにより構成され、足部18は、鉛直ジャッキ本体6aを揺動自在に支持する揺動支持機構21を有する。揺動支持機構21は、ピストンロッド20の先端に形成された球状部22と、足部18側に形成され球状部22を支持する球面座23とにより構成されている。球状部22が球面座23内で摺動することにより、鉛直ジャッキ本体6aが前後左右に揺動することができるようになっている。なお、球状部22の過度の揺動を防止するストッパ25が足部18の上部であって鉛直ジャッキ本体6aに面して設けられている。また、足部18の底面27には、フッ素樹脂加工が施されている。
【0039】
図7に駆動部7の正面図、図8に駆動部7の側面図を示した。
駆動部7は、油圧モータ30、支持枠31、油圧モータ30の回転軸先端に固定されたスプロケット32、モータジャッキ33を備える。スプロケット32は無限軌道帯2と係合することで、油圧モータ30の回転力により無限軌道帯2が走行される。モータジャッキ33が伸縮することにより、無限軌道帯2の上下に合わせて油圧モータ30の位置がシンクロして昇降する。
【0040】
図9に示したものは、鉛直ジャッキ6を支持するベースプレートアッセンブリ40である。ベースプレートアッセンブリ40は、平板状であってその上に鉛直ジャッキ6の足部18が支持されるベースプレート41と、ベースプレート41からスペーサとしてのサポートガイドブロック42の厚さを隔てて上方に位置するジャッキサポート(補助板)43とを有する。
【0041】
ジャッキサポート43には、鉛直ジャッキ6の足部18が挿入される孔45A,45Bが複数箇所に形成されている。孔45A,45Bは鉛直ジャッキ6の配置に合わせ、送り方向に沿って4対形成されている。送り方向の中央に最も近い一対の孔45Aは、足部18の形状に対して遊び無く嵌合する真円形状であり、他の孔45Bは、送り方向に遊びを持つ長孔形状である。
【0042】
図10は無限軌道帯2を示した図である。図11は無限軌道帯2を構成する一片のクローラプレート2bを示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。クローラプレート2bの上面(重量物支持面2a)には、ゴム板(弾性体)2cが設けられている。
【0043】
このように構成された重量物移送台1では、すべての押上ジャッキ3及び前記すべての鉛直ジャッキ6に作用する油圧が、すべて連通し、不図示の油圧源により油圧が与えられる。油圧は、桁荷重を支えること、桁高さを一定にすることを目標に設定される。
【0044】
さらに、押上ジャッキ3の油圧受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキ6の受圧面積よりも小さく、押上ジャッキ3の受圧面積と鉛直ジャッキ6の受圧面積との比が、約8:9乃至9:10の範囲となっている。
【0045】
上記重量物移送台1の作用について説明する。
重量物移送台1は、図12に示したように使用される。重量物移送台1は、橋脚99上に幅方向左右一対設置され、桁100のウェブ100aを下方から支持しつつ紙面奥行き方向に搬送する。桁100は図13に示したように角折れ部101を有する変形面桁である。図14、図15、図16、及び図17に、角折れ部を有する橋桁(重量物)を移送する際の状態をステップ1からステップ14に区切って示した。
【0046】
ステップ1のように桁100の下面が平坦面の場合、無限軌道帯2の重量物支持面2aは水平であり、押上ジャッキ3及び鉛直ジャッキ6はそれぞれ一様の伸縮状態である。なお、本体傾斜時の鉛直ジャッキ6のストロークを考慮し、予めストロークを伸張しておく。
【0047】
駆動部7の油圧モータ30が駆動されると、スプロケット32を介して無限軌道帯2が走行される。無限軌道帯2は押上ジャッキ3の支持部10上を摺動する。このとき支持部10の支持面10aには、フッ素樹脂加工が施されているため、焼き付きが防止される。また、無限軌道帯2のクローラプレート2bの上面(重量物支持面2a)には、ゴム板(弾性体)2cが設けられているため、桁100の損傷を防止できる。
【0048】
また、押上ジャッキ3の油圧受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキ6の受圧面積よりも小さいことから、桁100の荷重とバランスする油圧が鉛直ジャッキ6に与えられているこの状態では、押上ジャッキ3は油圧のみでは桁100の荷重が支持されず、押上ジャッキ3の躯体が直接桁100の荷重の一部を支持している。
【0049】
桁100の進行により角折れ部101が重量物移送台1にさしかかると、押上ジャッキ3が角折れ部101に追従して伸張する(ステップ2)。
【0050】
このとき、押上ジャッキ3の支持部10が角折れ部101の形状に合わせて揺動するため、各押上ジャッキ3の支持部10が無限軌道帯2(すなわち桁100)の形状に合わせて滑らかに連続する支持面を形成する。そして桁100の荷重が首振り機構11の球状部15及び球面座16を介して押上ジャッキ3の軸方向に作用する。このため、押上ジャッキ3により桁100の荷重を確実に支持することができる。
【0051】
複数の押上ジャッキ3のうち、伸張した領域Aと、伸張していない領域Bとを比較すると、領域Aでは油圧のみにより桁100の荷重が支持され、領域Bでは油圧だけではなく押上ジャッキ3の躯体が直接桁100の荷重の一部を支持している。その結果、領域Aに位置する鉛直ジャッキ6には、領域Bに位置する鉛直ジャッキ6と比較して作用する荷重が軽くなる。そのため、ステップ3,ステップ4のように角折れ部101の進行が進むと、領域Aでは鉛直ジャッキ6が伸張してボディ5が傾斜する。
【0052】
鉛直ジャッキ6の足部18は揺動支持機構21を有するため、鉛直ジャッキ6の伸張に合わせて鉛直ジャッキ本体6aが傾斜することとなる。このとき揺動支持機構21の球状部22及び球面座23を介して鉛直ジャッキ6の軸方向に沿って荷重がベースプレートアッセンブリ40側へ作用する。このため、鉛直ジャッキ6により桁100の荷重を確実に支持することができる。
【0053】
また、鉛直ジャッキ6の伸張量が均一なステップ3での鉛直ジャッキ6間の距離αと比較し、ボディ5が傾斜したステップ4での鉛直ジャッキ6間の距離βは長くなる。鉛直ジャッキ6を保持するジャッキサポート43の孔45Bは長孔であるため、基準孔45Aに挿入された一対の鉛直ジャッキ6に対して相対的に鉛直ジャッキ6がベースプレート41上で滑り、足部18間の距離がαからβとなる。またこのとき基準孔45Aが最も中央寄りに位置していることにより、他の孔45Bに形成する遊び量(長孔寸法)を小さくすることができる。(中央から離れた孔を基準孔とすると、反対側に位置する孔に挿入される足部18の移動量が増加し、孔に形成する遊び量を増加させなければならない。)
【0054】
またこのとき、足部18の底面27にフッ素樹脂加工が施されているため、足部18とベースプレート41との間での焼き付きが防止される。
【0055】
ステップ5、ステップ6のように角折れ部101が通過すると、再び押上ジャッキ3に対して均一に桁100の荷重が作用するため、押上ジャッキ3の伸張量は均一となり、桁100の形状に対して平行にボディ5が傾斜した状態となる。ステップ7では、鉛直ジャッキ6の残ストロークを考慮し、盛り替えを行なう。
桁100の形状が再び水平に戻る際にも、上記と同様に押上ジャッキ3が形状に追従して縮退し、荷重バランスに応じて鉛直ジャッキ6が伸縮する。(ステップ8乃至14)。
【0056】
このように、本実施形態の重量物移送台1は、桁下面に傾斜や曲面が存在した場合でも、その形状に応じて、無限軌道帯が追従し、かつ高さ変動にも追従できるため、変形面桁を安定して効率的に送り出し作業を実現することができる。また、無限軌道帯2により桁100を支持する荷重が集中しないため、桁100の損傷等を防ぐことができる。
【0057】
次に、上記重量物移送台1を使用した重量物搬送システムについて説明する。図18はシステム構成図である。重量物移送台1は、桁設置方向に沿って複数箇所、例えばA点、B点…N点で示した各橋脚99ごとに、それぞれ幅方向に左右一対ずつ設置される。各点には、油圧源である橋梁用ポンプユニット120が、それぞれ一対の重量物移送台1毎に設けられている。したがって、桁100を支持する重量物移送台1は、各点毎、さらに幅方向の左右それぞれに独立して油圧が制御される。なお符号121は重量物移送台1の幅方向位置を調整する手動ポンプである。
【0058】
油圧情報(圧力、高さ)、桁100の位置情報は、計測制御システム部(制御部)130に与えられる。計測制御システム部130は制御用コンピュータ131、無停電電源装置132,プリンタ133,通信装置134等を備える。通信装置134には、レーザ変位計140により計測された桁100の移動量が入力される。桁100には反射板141が取り付けられ、レーザ変位計140により反射板141の距離が測定される。
【0059】
桁100を移送する際に、各重量物移送台1の油圧情報が計測制御システム部130に与えられる。また、桁100の移動量が計測制御システム部130に与えられる。計測制御システム部130では、橋軸方向の送り出し速度、重量物移送台1の負荷荷重、桁上面の高さ寸法を計測制御システム部130で一元管理し、重量物移送台1に対する油圧制御が適切値となるように重量物移送台1の搬送量、橋梁用ポンプユニット120による油圧制御指令を出力する。
【0060】
これにより、各重量物移送台1の負担が安定するため、必要以上の高い能力を持たせる必要が無く、経済的で、軽量な装置とすることができる。
特に、桁上面の高さが変わらないように(各々の重量物移送台1の負担が設計荷重とかわらないように)荷重と高さを制御できるようにして、架設桁を連続して送り出す。
【0061】
このように、本実施形態の重量物搬送システムは、重量物移送台1を複数の橋脚上に各々設置して、桁面上の高さが変わらないように荷重と高さを制御することにより、重量物移送台1に必要以上の能力を持たせる必要がなく、経済的で、軽量な装置を実現することができる。また、前記制御により、変断面桁を安定して連続的に送り出すことができるため、架設工期を大幅に短縮することができる。
【0062】
重量物搬送システムの変形例として、以下のように構成してもよい。
図19のように、重量物移送台1を昇降台150上に設置し、昇降台150をジャッキ151により昇降自在に支持する。なお、符号152はジャッキ151により上昇させた昇降台150を安定的に支持する受け台である。
【0063】
これにより、変断面桁の高さ差が大きくても(重量物移送台1の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができる。
【0064】
また、重量物移送台1と複数のジャッキ151を足とした昇降台150の固定方法を橋軸直角方向にスライドできるようにすれば、曲線形状を含む橋梁変断面桁の送り出し架設を実現することができる。
すなわち、上記により上り下りの勾配や曲線形状を含む橋梁変断面桁の送り出し架設が実現し、適用範囲が広がり、各種線形の橋梁の送り出し工期を大幅に短縮することができる。
【0065】
昇降台の他の例として、以下のように構成することもできる。
図20に示したように、昇降台160は、橋脚99上に設置され、桁100を支持するものである。大きく分けて橋脚99上に設置される支持部160aと、支持部160aにより昇降自在に支持された昇降部160bとにより構成される。支持部160aは、橋脚99上面に設置され最終的に桁100を支持する支承161を取り囲み、H形鋼が井桁状に配置された基部162と、その上端が基部162に固定され橋脚99の前方及び後方より外側に張り出して基部162から下方へ向けて延在する支持鋼163と、支持鋼163により支持され、昇降部160bを昇降自在に把持する昇降装置165と、を有する。図の例では橋脚99の左右方向に二カ所支承161が設置され、基部162はそれぞれの支承161に対応して二カ所設けられ、支持鋼163及び昇降装置165は橋脚99の左右及び前後方向に合計4カ所設けられている。
【0066】
昇降部160bは、重量物移送台1を介して桁100の荷重を支持する支持台166と、支持台166の四隅部からそれぞれ下方に延在する軌条鋼167とを有する。
【0067】
軌条鋼167はH形鋼であり、平坦面側を橋脚99側に向けた状態で設けられている。昇降装置165はH形鋼を案内する案内部168を上下に備える。
【0068】
軌条鋼167の支持鋼163に対向する面には、図21に示したようにラック170が長手方向に沿って設けられている。支持鋼163に固定された昇降装置165は、ラック170と噛み合うピニオン172と、ピニオン172を駆動する油圧モータ173とを備える。
本変形例では、ピニオン172を回転させることにより軌条鋼167を連続的に昇降させることができる。
これにより、変断面桁の高さ差が大きくても(重量物移送台1の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量物移送台の斜視図である。
【図2】(a)は同重量物移送台の側断面図であり、(b)は同正面図である。
【図3】連設された押上ジャッキの使用状態を示した側面図である。
【図4】押上ジャッキの側断面図である。
【図5】同押上ジャッキの送り出し方向に直行する面における断面図である。
【図6】鉛直ジャッキの断面図である。
【図7】駆動部の正面図である。
【図8】駆動部の側面図である。
【図9】鉛直ジャッキを支持するベースプレートアッセンブリであり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図10】無限軌道帯を示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図11】無限軌道帯を構成する一片のクローラプレートを示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図12】重量物移送台の使用状態を示した図であり、橋桁の橋軸に直行する断面図である。
【図13】同使用状態を橋桁側面から見た側面図である。
【図14】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図15】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図16】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図17】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図18】重量物搬送システムの構成図である。
【図19】同重量物搬送システムの変形例である。
【図20】同重量物搬送システムの変形例であり、昇降台の他の例を示した斜視図である。
【図21】同昇降台の一部を拡大して示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…重量物移送台、2…無限軌道帯、2c…ゴム板(弾性体)、3…押上ジャッキ、5…ボディ、6…鉛直ジャッキ、6a…鉛直ジャッキ本体、7…駆動部、10…支持部、10a…支持面、11…首振り機構、12…油圧シリンダ、18…足部、21…揺動支持機構、27…底面、43…ジャッキサポート(補助板)、45A…孔(基準孔)、45B…孔、100…桁(重量物)、150…昇降台
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚上に設置されて橋桁を移送する際に使用可能な重量物移送台及び該重量物移送台を用いた重量物搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳部に架設する高速道路などの橋梁(道路橋、高架橋)の架設工法としては、橋桁を順次送り出して架設する「送り出し架設工法」がある。この工法では、橋桁の断面下部が平坦ではなく傾斜や曲面が付いたいわゆる「変断面桁」の場合、従来においては垂直方向のジャッキで桁を受け、橋軸方向のジャッキで送り出す手順となり、傾斜や曲率部で、桁の送り出し高さが上下しないよう、かつ、桁下部の形状に合わせたスペーサを出し入れして、頻繁に盛り替えながら、送り出す必要がある。
【特許文献1】特願2000−315134号明細書
【特許文献2】意匠登録1278374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来においては「変断面桁」を「連続送りだし架設」するための専用の設備が無く、従来設備を利用して「変断面桁」を送り出すためには、変断面部(傾斜や曲率部)では桁の送り出し高さが上下しないように、頻繁に盛り替えながら送り出し、さらに各橋脚上での作業を協調しながら行う必要があり、設備、工数とも改善の必要性があった。さらに橋梁工事に際しては工期短縮の要求が大きく、変断面桁を連続送り出し架設する技術開発が望まれている。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、変断面桁を容易に連続送り出し架設することができる重量物移送台及び重量物搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の重量物移送台は、重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯と、該無限軌道帯の重量物支持面を下方から高さ方向に昇降自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキと、該押上ジャッキが搭載されたボディと、該ボディを高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキと、を有したことを特徴とする。
【0006】
重量物の形状に応じて押上ジャッキが伸縮することにより、無限軌道の形状が重量物に合わせて変形し、これにより凹凸を持つ重量物を搬送することができる。さらに鉛直ジャッキにより押上ジャッキが搭載されたボディ自体が傾動することにより、無限軌道の傾動量を増加させ、重量物を確実に搬送することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重量物移送台において、前記すべての押上ジャッキ及び前記すべての鉛直ジャッキに作用する油圧が、すべて連通していることを特徴とする。
【0008】
各油圧が連通していることにより、重量物の形状に合わせて均等に油圧が作用し、重量物が安定に支持される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の重量物移送台において、前記押上ジャッキは、前記無限軌道帯に対して摺接する支持部と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
支持部は、少なくとも送り方向に揺動(首振り)自在とすることができる。これにより、重量物の形状に合わせ、その荷重方向が軸方向に変換されて押上ジャッキに支持される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の重量物移送台において、前記支持部が前記無限軌道帯と摺接する支持面には、フッ素樹脂加工が施されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、無限軌道帯と押上ジャッキの支持面との間での焼き付き等を防止し、無限軌道帯の移動が確実に行なわれる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の重量物移送台において、前記鉛直ジャッキは足部を備え、該足部は該鉛直ジャッキ本体を揺動自在に支持する揺動支持機構を有することを特徴とする。
【0014】
揺動支持機構は、少なくとも送り方向に揺動自在とすることができる。これにより、重量物の形状に合わせ、その荷重方向が軸方向に変換されて鉛直ジャッキに支持される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の重量物移送台において、前記各鉛直ジャッキの足部が挿入される孔が複数形成された補助板を備え、前記複数の孔のうち、少なくともいくつかは、前記足部の寸法に対して前記送り方向に遊びを有することにより、前記足部が前記送り方向に沿って僅かに移動自在であることを特徴とする。
【0016】
ボディに固定されその基端部に揺動支持機構を備えた鉛直ジャッキが伸縮すると、ボディの傾き(各鉛直ジャッキの伸縮量)に応じて各鉛直ジャッキの足部間の距離が変動することとなる。上記構成のように補助板に設けられた孔に鉛直ジャッキの足部が挿入されていることにより、各鉛直ジャッキが保持されると共に、足部が挿入される孔に遊びが設けられていることで、上記傾きに応じた鉛直ジャッキの変動が確保される。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の重量物移送台において、前記複数の孔のうち、少なくとも他のいくつかは、前記足部の寸法に対して送り方向の遊びを持たないことにより、該孔に挿入された前記足部の該孔内での移動が阻止された基準孔であることを特徴とする。
【0018】
少なくとも一部の孔は基準孔とし、該基準孔に挿入された鉛直ジャッキの足部は移動せず、他の孔に挿入された足部が、前記基準孔に対して相対的に移動する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の重量物移送台において、前記基準孔は、前記複数の孔のうち、前記補助板の前記送り方向に沿って最も中央側に位置することを特徴とする。
【0020】
例えば図1に示したように、4列の鉛直ジャッキが左右にそれぞれ設けられている場合、図9のように最も中央に位置する一対の鉛直ジャッキの足部が挿入される孔を基準孔(図9における符号45A)とすることができる。
基準孔を最も中央に位置させることにより、他の孔に形成する遊び量を小さくすることができる。(中央から離れた孔を基準孔とすると、反対側に位置する孔に形成する遊び量が増加する。)
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項5から8のいずれかに記載の重量物移送台において、前記足部の底面にはフッ素樹脂加工が施されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、鉛直ジャッキの足部が、鉛直ジャッキを支持する支持面と摺動しやすくなり、焼き付き等を防ぐことができる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の重量物移送台において、前記無限軌道帯が前記重量物を支持する支持面には、弾性体が設けられていることを特徴とする。
【0024】
無限軌道帯の支持面にゴム等の弾性体を設けることで、重量物に対する傷や破損が防止される。
【0025】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の重量物移送台において、前記複数の押上ジャッキが油圧を受ける受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキの受圧面積よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
例えば、押上ジャッキの受圧面積と鉛直ジャッキの受圧面積との比を、約8:9乃至9:10程度とする。これらの差が大きすぎると押上ジャッキに対する負担が大きくなり過ぎる。
各ジャッキに重量物を支持する油圧を作用させると、複数の押上ジャッキのうち、一部の押上ジャッキに局所的に偏った重量が作用した場合に、当該部位では重量物の荷重がダイレクトに作用し、その下方に位置する鉛直ジャッキにその荷重が作用する。すなわち、当該鉛直ジャッキには、他の部位における鉛直ジャッキよりも重い荷重が作用し、荷重が軽い側の鉛直ジャッキが、油圧がバランスする位置まで伸張することとなる。これにより、鉛直ジャッキの伸縮が重量物の形状に追従してボディが傾動する。
【0027】
請求項12に記載の重量物搬送システムは、請求項1から11のいずれかに記載の重量物移送台を複数台備え、さらにこれら重量物移送台による重量物移送量を監視しつつ前記重量物移送台による制御量を演算する制御部を備えたことを特徴とする。
【0028】
制御部により重量物移送台の荷重が適切に制御されるため、重量物移送台の負担が安定し、必要以上の高い能力を持たせる必要が無く、経済的で、軽量な装置とすることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の重量物搬送システムにおいて、前記重量物移送台をさらに昇降させる昇降台を備えたことを特徴とする。
【0030】
重量物の高さ差が大きくても(重量物移送台の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができる。
昇降台としては、橋脚上に設けられた昇降装置と、該昇降装置により昇降可能に支持された支持台とを備え、該支持台上に橋桁が支持されて送り出されるように構成することができる。より詳細には、前記昇降装置は、前記支持台から下方へ延在する軌条鋼に設けられたラックに対して噛合い、回転することにより前記軌条鋼を介して前記支持台を昇降させるピニオンを備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、変断面桁等の重量物を安定して確実に連続送り出し架設することができ、重量物の損傷を抑制しつつ工期を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る重量物移送台の斜視図を示した。また、図2(a)に、同重量物移送台の側断面図、図2(b)に正面図を示した。なお、図1では、後述の無限軌道帯と、一つの駆動部を省略して示してある。
【0033】
重量物移送台1は、重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯2と、無限軌道帯2の重量物支持面2aを下方から高さ方向に伸縮自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキ3と、該押上ジャッキ3が搭載されたボディ5と、ボディ5を高さ方向に伸縮自在に支持する複数の鉛直ジャッキ6と、無限軌道帯2を駆動させる油圧モータを備えた駆動部7とを有する。
【0034】
押上ジャッキ3は、本実施形態では送り方向に並んで12個連設され、重量物移送台1の幅方向中央部に位置して固定されている。無限軌道帯2は、重量物移送台1の幅方向中央部に位置し、押上ジャッキ3の上方からボディ5の下を廻ってループ状に設けられている。
【0035】
鉛直ジャッキ6は、重量物移送台1の幅方向両側であって、押上ジャッキ3及び無限軌道帯2の外側に位置し、本実施形態では4対の鉛直ジャッキ6が送り方向に沿って略均等に位置している。各鉛直ジャッキ6は、ボディ5に対して固定されており、下部が後述のように接地していることで重量物移送台1の重量および重量物の荷重を支持する。
【0036】
駆動部7は各鉛直ジャッキ6の間に位置し、片側に3カ所、両側で6カ所設けられている。
【0037】
以下、各部の詳細な構成を説明する。
押上ジャッキ3の構成について、図3に連設された押上ジャッキ3の使用状態、図4に押上ジャッキ3の側断面図、図5に送り出し方向に直行する面における断面図を示した。
押上ジャッキ3は、前記無限軌道帯2に対して摺接する支持部10と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構11と、一対の油圧シリンダ12と、押上ブロック13とを備える。
押上ブロック13中に、幅方向に並んで油圧シリンダ12が固定されている。油圧シリンダ12は、油圧により伸縮する。押上ブロック13の上端部には、首振り機構11を介して支持部10が支持されている。支持部10が無限軌道帯と摺接する支持面10aには、フッ素樹脂加工が施されている。首振り機構11は、支持部10側に設けられた球状部15と、押上ブロック13側に設けられ、球状部15を支持する球面座16とにより構成されている。球状部15が球面座16内で摺動することにより、支持部10が前後左右に首振り揺動することができるようになっている。なお、球状部15の過度の首振りを防止するストッパ17が、押上ブロック13の上部であって支持部10に面して設けられている。
油圧シリンダ12が伸縮し、支持部10が首振り機構11により傾斜することで、図3に示したように各押上ジャッキ3の支持部10が無限軌道帯2(すなわち重量物)の形状に合わせて滑らかに連続する支持面を形成する。
【0038】
図6に鉛直ジャッキ6の断面図を示した。鉛直ジャッキ6は略円柱状の形状であり、下部に足部18を備える。鉛直ジャッキ6の本体6aは、主にシリンダチューブ19と、該シリンダチューブ19内に挿入されたピストンロッド20とにより構成され、足部18は、鉛直ジャッキ本体6aを揺動自在に支持する揺動支持機構21を有する。揺動支持機構21は、ピストンロッド20の先端に形成された球状部22と、足部18側に形成され球状部22を支持する球面座23とにより構成されている。球状部22が球面座23内で摺動することにより、鉛直ジャッキ本体6aが前後左右に揺動することができるようになっている。なお、球状部22の過度の揺動を防止するストッパ25が足部18の上部であって鉛直ジャッキ本体6aに面して設けられている。また、足部18の底面27には、フッ素樹脂加工が施されている。
【0039】
図7に駆動部7の正面図、図8に駆動部7の側面図を示した。
駆動部7は、油圧モータ30、支持枠31、油圧モータ30の回転軸先端に固定されたスプロケット32、モータジャッキ33を備える。スプロケット32は無限軌道帯2と係合することで、油圧モータ30の回転力により無限軌道帯2が走行される。モータジャッキ33が伸縮することにより、無限軌道帯2の上下に合わせて油圧モータ30の位置がシンクロして昇降する。
【0040】
図9に示したものは、鉛直ジャッキ6を支持するベースプレートアッセンブリ40である。ベースプレートアッセンブリ40は、平板状であってその上に鉛直ジャッキ6の足部18が支持されるベースプレート41と、ベースプレート41からスペーサとしてのサポートガイドブロック42の厚さを隔てて上方に位置するジャッキサポート(補助板)43とを有する。
【0041】
ジャッキサポート43には、鉛直ジャッキ6の足部18が挿入される孔45A,45Bが複数箇所に形成されている。孔45A,45Bは鉛直ジャッキ6の配置に合わせ、送り方向に沿って4対形成されている。送り方向の中央に最も近い一対の孔45Aは、足部18の形状に対して遊び無く嵌合する真円形状であり、他の孔45Bは、送り方向に遊びを持つ長孔形状である。
【0042】
図10は無限軌道帯2を示した図である。図11は無限軌道帯2を構成する一片のクローラプレート2bを示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。クローラプレート2bの上面(重量物支持面2a)には、ゴム板(弾性体)2cが設けられている。
【0043】
このように構成された重量物移送台1では、すべての押上ジャッキ3及び前記すべての鉛直ジャッキ6に作用する油圧が、すべて連通し、不図示の油圧源により油圧が与えられる。油圧は、桁荷重を支えること、桁高さを一定にすることを目標に設定される。
【0044】
さらに、押上ジャッキ3の油圧受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキ6の受圧面積よりも小さく、押上ジャッキ3の受圧面積と鉛直ジャッキ6の受圧面積との比が、約8:9乃至9:10の範囲となっている。
【0045】
上記重量物移送台1の作用について説明する。
重量物移送台1は、図12に示したように使用される。重量物移送台1は、橋脚99上に幅方向左右一対設置され、桁100のウェブ100aを下方から支持しつつ紙面奥行き方向に搬送する。桁100は図13に示したように角折れ部101を有する変形面桁である。図14、図15、図16、及び図17に、角折れ部を有する橋桁(重量物)を移送する際の状態をステップ1からステップ14に区切って示した。
【0046】
ステップ1のように桁100の下面が平坦面の場合、無限軌道帯2の重量物支持面2aは水平であり、押上ジャッキ3及び鉛直ジャッキ6はそれぞれ一様の伸縮状態である。なお、本体傾斜時の鉛直ジャッキ6のストロークを考慮し、予めストロークを伸張しておく。
【0047】
駆動部7の油圧モータ30が駆動されると、スプロケット32を介して無限軌道帯2が走行される。無限軌道帯2は押上ジャッキ3の支持部10上を摺動する。このとき支持部10の支持面10aには、フッ素樹脂加工が施されているため、焼き付きが防止される。また、無限軌道帯2のクローラプレート2bの上面(重量物支持面2a)には、ゴム板(弾性体)2cが設けられているため、桁100の損傷を防止できる。
【0048】
また、押上ジャッキ3の油圧受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキ6の受圧面積よりも小さいことから、桁100の荷重とバランスする油圧が鉛直ジャッキ6に与えられているこの状態では、押上ジャッキ3は油圧のみでは桁100の荷重が支持されず、押上ジャッキ3の躯体が直接桁100の荷重の一部を支持している。
【0049】
桁100の進行により角折れ部101が重量物移送台1にさしかかると、押上ジャッキ3が角折れ部101に追従して伸張する(ステップ2)。
【0050】
このとき、押上ジャッキ3の支持部10が角折れ部101の形状に合わせて揺動するため、各押上ジャッキ3の支持部10が無限軌道帯2(すなわち桁100)の形状に合わせて滑らかに連続する支持面を形成する。そして桁100の荷重が首振り機構11の球状部15及び球面座16を介して押上ジャッキ3の軸方向に作用する。このため、押上ジャッキ3により桁100の荷重を確実に支持することができる。
【0051】
複数の押上ジャッキ3のうち、伸張した領域Aと、伸張していない領域Bとを比較すると、領域Aでは油圧のみにより桁100の荷重が支持され、領域Bでは油圧だけではなく押上ジャッキ3の躯体が直接桁100の荷重の一部を支持している。その結果、領域Aに位置する鉛直ジャッキ6には、領域Bに位置する鉛直ジャッキ6と比較して作用する荷重が軽くなる。そのため、ステップ3,ステップ4のように角折れ部101の進行が進むと、領域Aでは鉛直ジャッキ6が伸張してボディ5が傾斜する。
【0052】
鉛直ジャッキ6の足部18は揺動支持機構21を有するため、鉛直ジャッキ6の伸張に合わせて鉛直ジャッキ本体6aが傾斜することとなる。このとき揺動支持機構21の球状部22及び球面座23を介して鉛直ジャッキ6の軸方向に沿って荷重がベースプレートアッセンブリ40側へ作用する。このため、鉛直ジャッキ6により桁100の荷重を確実に支持することができる。
【0053】
また、鉛直ジャッキ6の伸張量が均一なステップ3での鉛直ジャッキ6間の距離αと比較し、ボディ5が傾斜したステップ4での鉛直ジャッキ6間の距離βは長くなる。鉛直ジャッキ6を保持するジャッキサポート43の孔45Bは長孔であるため、基準孔45Aに挿入された一対の鉛直ジャッキ6に対して相対的に鉛直ジャッキ6がベースプレート41上で滑り、足部18間の距離がαからβとなる。またこのとき基準孔45Aが最も中央寄りに位置していることにより、他の孔45Bに形成する遊び量(長孔寸法)を小さくすることができる。(中央から離れた孔を基準孔とすると、反対側に位置する孔に挿入される足部18の移動量が増加し、孔に形成する遊び量を増加させなければならない。)
【0054】
またこのとき、足部18の底面27にフッ素樹脂加工が施されているため、足部18とベースプレート41との間での焼き付きが防止される。
【0055】
ステップ5、ステップ6のように角折れ部101が通過すると、再び押上ジャッキ3に対して均一に桁100の荷重が作用するため、押上ジャッキ3の伸張量は均一となり、桁100の形状に対して平行にボディ5が傾斜した状態となる。ステップ7では、鉛直ジャッキ6の残ストロークを考慮し、盛り替えを行なう。
桁100の形状が再び水平に戻る際にも、上記と同様に押上ジャッキ3が形状に追従して縮退し、荷重バランスに応じて鉛直ジャッキ6が伸縮する。(ステップ8乃至14)。
【0056】
このように、本実施形態の重量物移送台1は、桁下面に傾斜や曲面が存在した場合でも、その形状に応じて、無限軌道帯が追従し、かつ高さ変動にも追従できるため、変形面桁を安定して効率的に送り出し作業を実現することができる。また、無限軌道帯2により桁100を支持する荷重が集中しないため、桁100の損傷等を防ぐことができる。
【0057】
次に、上記重量物移送台1を使用した重量物搬送システムについて説明する。図18はシステム構成図である。重量物移送台1は、桁設置方向に沿って複数箇所、例えばA点、B点…N点で示した各橋脚99ごとに、それぞれ幅方向に左右一対ずつ設置される。各点には、油圧源である橋梁用ポンプユニット120が、それぞれ一対の重量物移送台1毎に設けられている。したがって、桁100を支持する重量物移送台1は、各点毎、さらに幅方向の左右それぞれに独立して油圧が制御される。なお符号121は重量物移送台1の幅方向位置を調整する手動ポンプである。
【0058】
油圧情報(圧力、高さ)、桁100の位置情報は、計測制御システム部(制御部)130に与えられる。計測制御システム部130は制御用コンピュータ131、無停電電源装置132,プリンタ133,通信装置134等を備える。通信装置134には、レーザ変位計140により計測された桁100の移動量が入力される。桁100には反射板141が取り付けられ、レーザ変位計140により反射板141の距離が測定される。
【0059】
桁100を移送する際に、各重量物移送台1の油圧情報が計測制御システム部130に与えられる。また、桁100の移動量が計測制御システム部130に与えられる。計測制御システム部130では、橋軸方向の送り出し速度、重量物移送台1の負荷荷重、桁上面の高さ寸法を計測制御システム部130で一元管理し、重量物移送台1に対する油圧制御が適切値となるように重量物移送台1の搬送量、橋梁用ポンプユニット120による油圧制御指令を出力する。
【0060】
これにより、各重量物移送台1の負担が安定するため、必要以上の高い能力を持たせる必要が無く、経済的で、軽量な装置とすることができる。
特に、桁上面の高さが変わらないように(各々の重量物移送台1の負担が設計荷重とかわらないように)荷重と高さを制御できるようにして、架設桁を連続して送り出す。
【0061】
このように、本実施形態の重量物搬送システムは、重量物移送台1を複数の橋脚上に各々設置して、桁面上の高さが変わらないように荷重と高さを制御することにより、重量物移送台1に必要以上の能力を持たせる必要がなく、経済的で、軽量な装置を実現することができる。また、前記制御により、変断面桁を安定して連続的に送り出すことができるため、架設工期を大幅に短縮することができる。
【0062】
重量物搬送システムの変形例として、以下のように構成してもよい。
図19のように、重量物移送台1を昇降台150上に設置し、昇降台150をジャッキ151により昇降自在に支持する。なお、符号152はジャッキ151により上昇させた昇降台150を安定的に支持する受け台である。
【0063】
これにより、変断面桁の高さ差が大きくても(重量物移送台1の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができる。
【0064】
また、重量物移送台1と複数のジャッキ151を足とした昇降台150の固定方法を橋軸直角方向にスライドできるようにすれば、曲線形状を含む橋梁変断面桁の送り出し架設を実現することができる。
すなわち、上記により上り下りの勾配や曲線形状を含む橋梁変断面桁の送り出し架設が実現し、適用範囲が広がり、各種線形の橋梁の送り出し工期を大幅に短縮することができる。
【0065】
昇降台の他の例として、以下のように構成することもできる。
図20に示したように、昇降台160は、橋脚99上に設置され、桁100を支持するものである。大きく分けて橋脚99上に設置される支持部160aと、支持部160aにより昇降自在に支持された昇降部160bとにより構成される。支持部160aは、橋脚99上面に設置され最終的に桁100を支持する支承161を取り囲み、H形鋼が井桁状に配置された基部162と、その上端が基部162に固定され橋脚99の前方及び後方より外側に張り出して基部162から下方へ向けて延在する支持鋼163と、支持鋼163により支持され、昇降部160bを昇降自在に把持する昇降装置165と、を有する。図の例では橋脚99の左右方向に二カ所支承161が設置され、基部162はそれぞれの支承161に対応して二カ所設けられ、支持鋼163及び昇降装置165は橋脚99の左右及び前後方向に合計4カ所設けられている。
【0066】
昇降部160bは、重量物移送台1を介して桁100の荷重を支持する支持台166と、支持台166の四隅部からそれぞれ下方に延在する軌条鋼167とを有する。
【0067】
軌条鋼167はH形鋼であり、平坦面側を橋脚99側に向けた状態で設けられている。昇降装置165はH形鋼を案内する案内部168を上下に備える。
【0068】
軌条鋼167の支持鋼163に対向する面には、図21に示したようにラック170が長手方向に沿って設けられている。支持鋼163に固定された昇降装置165は、ラック170と噛み合うピニオン172と、ピニオン172を駆動する油圧モータ173とを備える。
本変形例では、ピニオン172を回転させることにより軌条鋼167を連続的に昇降させることができる。
これにより、変断面桁の高さ差が大きくても(重量物移送台1の昇降高さを超えていても)、上下の追従が可能となり、盛り替えなしに安定して重量を支えつつ、荷重と高さを制御しながら、連続送り出しを行なうことができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量物移送台の斜視図である。
【図2】(a)は同重量物移送台の側断面図であり、(b)は同正面図である。
【図3】連設された押上ジャッキの使用状態を示した側面図である。
【図4】押上ジャッキの側断面図である。
【図5】同押上ジャッキの送り出し方向に直行する面における断面図である。
【図6】鉛直ジャッキの断面図である。
【図7】駆動部の正面図である。
【図8】駆動部の側面図である。
【図9】鉛直ジャッキを支持するベースプレートアッセンブリであり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図10】無限軌道帯を示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図11】無限軌道帯を構成する一片のクローラプレートを示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図12】重量物移送台の使用状態を示した図であり、橋桁の橋軸に直行する断面図である。
【図13】同使用状態を橋桁側面から見た側面図である。
【図14】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図15】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図16】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図17】角折れ部を有する橋桁を移送する際の状態を順に示した図である。
【図18】重量物搬送システムの構成図である。
【図19】同重量物搬送システムの変形例である。
【図20】同重量物搬送システムの変形例であり、昇降台の他の例を示した斜視図である。
【図21】同昇降台の一部を拡大して示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1…重量物移送台、2…無限軌道帯、2c…ゴム板(弾性体)、3…押上ジャッキ、5…ボディ、6…鉛直ジャッキ、6a…鉛直ジャッキ本体、7…駆動部、10…支持部、10a…支持面、11…首振り機構、12…油圧シリンダ、18…足部、21…揺動支持機構、27…底面、43…ジャッキサポート(補助板)、45A…孔(基準孔)、45B…孔、100…桁(重量物)、150…昇降台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯と、
該無限軌道帯の重量物支持面を下方から高さ方向に昇降自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキと、
該押上ジャッキが搭載されたボディと、
該ボディを高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキと、
を有した重量物移送台。
【請求項2】
前記すべての押上ジャッキ及び前記すべての鉛直ジャッキに作用する油圧が、すべて連通している、請求項1に記載の重量物移送台。
【請求項3】
前記押上ジャッキは、前記無限軌道帯に対して摺接する支持部と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構とを備えた、請求項1または2に記載の重量物移送台。
【請求項4】
前記支持部が前記無限軌道帯と摺接する支持面には、フッ素樹脂加工が施されている、請求項3に記載の重量物移送台。
【請求項5】
前記鉛直ジャッキは足部を備え、該足部は該鉛直ジャッキ本体を揺動自在に支持する揺動支持機構を有する、請求項1から4のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項6】
前記各鉛直ジャッキの足部が挿入される孔が複数形成された補助板を備え、前記複数の孔のうち、少なくともいくつかは、前記足部の寸法に対して前記送り方向に遊びを有することにより、前記足部が前記送り方向に沿って僅かに移動自在である、請求項5に記載の重量物移送台。
【請求項7】
前記複数の孔のうち、少なくとも他のいくつかは、前記足部の寸法に対して送り方向の遊びを持たないことにより、該孔に挿入された前記足部の該孔内での移動が阻止された基準孔である、請求項6に記載の重量物移送台。
【請求項8】
前記基準孔は、前記複数の孔のうち、前記補助板の前記送り方向に沿って最も中央側に位置する、請求項7に記載の重量物移送台。
【請求項9】
前記足部の底面にはフッ素樹脂加工が施されている、請求項5から8のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項10】
前記無限軌道帯が前記重量物を支持する支持面には、弾性体が設けられている、請求項1から9のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項11】
前記複数の押上ジャッキが油圧を受ける受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキの受圧面積よりも小さい、請求項1から10のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の重量物移送台を複数台備え、
さらにこれら重量物移送台による重量物移送量を監視しつつ前記重量物移送台による制御量を演算する制御部を備えた、重量物搬送システム。
【請求項13】
前記重量物移送台をさらに昇降させる昇降台を備えた、請求項12に記載の重量物搬送システム。
【請求項1】
重量物を支持し、送り方向に進行させる無限軌道帯と、
該無限軌道帯の重量物支持面を下方から高さ方向に昇降自在に支持し、前記送り方向に沿って複数並べられた押上ジャッキと、
該押上ジャッキが搭載されたボディと、
該ボディを高さ方向に移動自在に支持する複数の鉛直ジャッキと、
を有した重量物移送台。
【請求項2】
前記すべての押上ジャッキ及び前記すべての鉛直ジャッキに作用する油圧が、すべて連通している、請求項1に記載の重量物移送台。
【請求項3】
前記押上ジャッキは、前記無限軌道帯に対して摺接する支持部と、該支持部を揺動自在に支持する首振り機構とを備えた、請求項1または2に記載の重量物移送台。
【請求項4】
前記支持部が前記無限軌道帯と摺接する支持面には、フッ素樹脂加工が施されている、請求項3に記載の重量物移送台。
【請求項5】
前記鉛直ジャッキは足部を備え、該足部は該鉛直ジャッキ本体を揺動自在に支持する揺動支持機構を有する、請求項1から4のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項6】
前記各鉛直ジャッキの足部が挿入される孔が複数形成された補助板を備え、前記複数の孔のうち、少なくともいくつかは、前記足部の寸法に対して前記送り方向に遊びを有することにより、前記足部が前記送り方向に沿って僅かに移動自在である、請求項5に記載の重量物移送台。
【請求項7】
前記複数の孔のうち、少なくとも他のいくつかは、前記足部の寸法に対して送り方向の遊びを持たないことにより、該孔に挿入された前記足部の該孔内での移動が阻止された基準孔である、請求項6に記載の重量物移送台。
【請求項8】
前記基準孔は、前記複数の孔のうち、前記補助板の前記送り方向に沿って最も中央側に位置する、請求項7に記載の重量物移送台。
【請求項9】
前記足部の底面にはフッ素樹脂加工が施されている、請求項5から8のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項10】
前記無限軌道帯が前記重量物を支持する支持面には、弾性体が設けられている、請求項1から9のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項11】
前記複数の押上ジャッキが油圧を受ける受圧面積が、前記複数の鉛直ジャッキの受圧面積よりも小さい、請求項1から10のいずれかに記載の重量物移送台。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の重量物移送台を複数台備え、
さらにこれら重量物移送台による重量物移送量を監視しつつ前記重量物移送台による制御量を演算する制御部を備えた、重量物搬送システム。
【請求項13】
前記重量物移送台をさらに昇降させる昇降台を備えた、請求項12に記載の重量物搬送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−214891(P2008−214891A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50746(P2007−50746)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(506122246)三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社 (111)
【出願人】(390027513)大瀧ジャッキ株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(506122246)三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社 (111)
【出願人】(390027513)大瀧ジャッキ株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
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